罷免権<本澤二郎の「日本の風景」(3321)

<安倍そっくりな丸山穂高?>

 元島民と北方領土を視察した、維新の丸山穂高という若手の衆院議員が「戦争で取り返しはどうか」と問いかける場面が発覚して、日本とロシアに衝撃を与えている。大阪都構想にマイナスと判断した維新は、即座に除名したのだが、本人は絶対やめない、と開き直っている。

 思うに、モリカケ事件発覚で追及された安倍晋三、改憲発言の安倍とそっくりではないのか。日本国憲法は、このような極右議員を想定して、狂ったような公務員を罷免せよ、と主権者に指示している。

<立憲主義が知らない、忘れたのか>

 立憲民主党という政党が存在しているが、立憲主義を学校では教えてこなかった。したがって、立憲を名乗る政党の存在価値を理解できない。支持が広がらない理由だが、そのはずで首相自身が、これを無視して、憲法を敵視して6年。

 

 憲法違反の極右首相を自民党どころか、公明党や、それに維新までが支持、支援を惜しまない。狂った議会を、さらに継続して、憲法を破壊するのに必死というのだから、この国の前途は、311の放射能で悪戦苦闘している福島と歩調を合わせている。

<議会が駄目なら有権者が罷免権行使義務>

 丸山も安倍同様に公務員である。公務員は憲法を尊重、擁護する義務がある。それを本人は知っている。知っていて、公然と違反したのだから、もはや救いようがない。開き直って議会を乗り切ったとしても、有権者が許さないだろう。

 過ちを認めて、出直すという再生の道を自ら断ってしまった。非公務員であれば、言論は自由である。

<松下政経塾に根源>

 念のため、ネットを開いて調べると、頷くほかなかった。

 彼は「教師の息子」だから、東大受験のための私立高校で学んで、ほぼ目的を達して、経済産業省にはいり、原子力関連のポストで働いていたが、すぐさま松下政経塾へと突っ込んでいく。

 

 野心と大望ゆえであろうが、官界は東大でも法学部が主流だ。挫折するのが早かった。しかし、彼の政治思想は松下政経塾で、極右思想を徹底的に教え込まれたのだろう。

 神道教育と改憲軍拡思想である。その先に維新が存在し、政界へと政治人間として歩んでいく。彼にはいい先輩がいなかったのだ。

 「人を見る目がない」といわれる筆者は、維新の橋下が日本記者クラブで講演したさい、すっかり誘惑されてしまった。都構想は大行革であるから、反対する理由などなかった。実は、彼は天才的詐欺師だった。野望はほかにある。同じことを、松下政経塾についても騙されてしまった。

 

 当初は、松下が戦前の軍需産業であることも、幸之助が典型的なナショナリストで、憲法敵視の経済人ということさえ知らなかったせいでもあった。

 何か大きな仕事をなそうとする人間は、当初は偽りの仮面で登場するものである。政治記者は、それさえも理解していなかったのだから、情けない。

 

 人間は正直でありたい。その結果、人に騙されても、他人を騙すよりもいい。

<心配な私生活?>

 修身斉家治国平天下とは、古来より、人の上に立つ者に課された政治信条で、多分、王道でもあろう。国民の代表には、この修身と斉家が不可欠である。

 

 悲しいかな、安倍晋三にはこれがない。

 丸山はどうか。ネット情報だと、彼はまだ独身で、かつ酒好き。「アルコール依存症」と維新の幹部は決めつけている。事実なら、治療が必要で、政治活動どころではない。結婚生活も無理だろう。

 国会の事務所は、どうなのか。

 

 まともな政党と政治家は、修身斉家の人であってほしい。天下人にとって、これは不可欠だ。

 

 日本国憲法は、護憲を天皇・首相・裁判官など公務員に対して命じている。

破憲とか加憲の政党政治家に期待することは、何もない。どうしてもやる、というのであれば、非公務員となって活動するほかない。

 

 この厳しい掟ともいえる立憲主義は、歴史の教訓からきている。これを破る人間・政党・政治家を、憲法は許容していない。

 

 日本国は、憲法を尊重し、擁護する日本人によって、安定した生活と平和が樹立できるだろう。船に例えると、それは帆船・日本丸である。これほど安全な航海と乗り物はない。

 今回の問題は、義務教育の大事さを、改めて教えている。小学校・中学校・高校で、日本国憲法をしっかりと教えることで、この国の平和と安全は確保される。貧困からも脱却できるだろう最高の憲法である。

2019年5月21日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)