シャンチー先生の脳卒中診療録~如何に防ぎ、如何に治すか~

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更にもう一つありました。

以前書いた若いクモ膜下出血の方は、術後の経過も良く、麻痺などの神経症状の出現もなく、良好に経過をしています。


前回動脈瘤は2つと言いましたが、最近脳血管撮影を再検しましたところ、更にもう一つ在る事が判りました。今回手術した物を含めて3つの動脈瘤が在ることになります。


いずれも一カ所の開頭で出来る場所では無いため、計3回開頭術をしなくてはならないことになります。


高齢者であればそのまま放置も出来ますが、まだ30代の若年者で、クモ膜下出血の家族歴(2親等以内)と既往歴があるとなれば、破裂率はクモ膜下出血の家族歴や既往歴の無い患者様と比べると高くなりますので、放置する訳にはいきません。


ご本人とご家族の気持ちはかなり落ち込んでいますが、何とか現実を見つめて乗り越えて貰いたい物だと思います。


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なぜに勝手に止めるの・・・?

脳内出血は脳の中に出血を起こすことです。


色々な原因がありますが、その殆どは高血圧が原因です。

ですから、「高血圧性脳内出血」とも呼ばれます。


脳内出血を起こして来られる患者様はここ数年減少している様な印象があります。

高血圧の危険性がかなり知られてきて、降圧剤を飲んでいる方が増えてきている恩恵かと思います。


しかし、やはり時折脳内出血を起こして来院される患者様は居られます。


そして、その中で高血圧と言われていなかった(でなかった)患者様というのは少なく、殆どの患者様はご自身が高血圧である事を知っています。

でも、降圧剤を飲まなかったり、以前は飲んでいたのに今は自己判断で止めていたりします。

勿論、キチンと内服していたのに出血したという方も居られますが、全体数の中では少数です。


くれぐれも自己判断での休薬は止めて欲しいと思います。



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えーーーん!!腫れてしまった・・・。

頭を栄養する血管の太い部分(内頸動脈、中大脳動脈など)が閉塞した場合は、広い範囲に脳梗塞が起こります。


閉塞して早期(6時間以内)には、閉塞しているところにある血の塊(血栓)を溶かす事(血栓溶解療法)も有りますが、6 時間を越えたり、CTやMRIで脳梗塞の所見が出ている場合には血栓溶解療法は出来ません。


では、閉塞した血管はずっと閉塞したままかというと、時に自然開通する事が有ります。


これは良い事だと思われますか・・・??


我々は


止めてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!


と思います。


なぜなら、再開通して血流が再開しても、脳梗塞が完成している場合はダメになった神経細胞は生き返りません。


そ・の・う・え・・・・!!


血流が途絶して脳梗塞になっている部分を栄養している血管自体もすでに痛んでいるため、流れ始めた出血自体が漏れだして出血をしたり、血液中の水分が漏れだして、脳がものすごく腫れてしまいます。


この腫れが強すぎると命を落とします!


再開通せずにいれば、麻痺が残る程度で収まった脳梗塞が、命を取ってしまう可能性が出てくるのです。


ですから、

やめてくれ!!!!!!!!!!!


なのです。


では、腫れてきた場合はどうするかというと、「減圧開頭術」といって、頭蓋骨を一部外して腫れによる圧の上昇を外に逃がす手術をします。


場合によっては脳を一部取ってしまったりもします。救命のためには致し方のない事です。


今から、その手術をするために手術室に行くところです・・・。


ふぅ・・・・。

「手術はしません・・・!」

60歳の女性で時折頭痛がする方が来院され、MRI検査にて動脈瘤が見つかりました。


「動脈瘤があります。

出血の可能性は動脈瘤一般では0.5~0.7%/年程度ですが、あなたの場合は大きいのと、形が不整なので、破れる可能性はもっと高いです。

破れた場合には1/3の方は死亡します。手術をしても1/3の方は麻痺や意識障害などの後遺症が残ります。


手術しますか・・・?」


「頭を開けるんですか・・・。

今は手術しません。もしも破れたら手術をします。」


「判りました。では定期的にMRIで経過を見ていきましょう。

ただし、動脈瘤が大きくなったり、形が変わってきた場合は手術した方がよいです。」


そう言って経過を見ていた患者様が先日クモ膜下出血を起こして来られ、手術を行いました。


動脈瘤が見つかっても手術をしないと言う患者様は増えています。

でも殆どの患者様は破裂しません。


逆に手術する前日に破れた患者様も居ますし、手術の前の造影検査のために入院する数日前に破れて無くなった若い女性患者も居られます。


当然、一旦破裂した動脈瘤に手術をしないという選択は、余程の重症でない限りはありませんが、破裂する前の動脈瘤に対して手術をするかどうかと言うのは非常に難しい選択となります。


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年下ですが・・・。

「救急入ります。35歳女性で、パチンコ中に倒れたとのことです。

今は意識があるらしいです。」


「へーーーい!」


約15分後に救急車到着・・・。

到着時には眼を カ!! と見開いたまま瞬きもせずに体を硬直させていました。

「エピかもしれんなぁ・・・。フェノバール筋注しとこか・・・。」

ちなみにエピとはエピレプシー、てんかんの事です。


そして点滴を確保しながら、心電図モニターを・・・。

「ん??不整脈があるぞ?」

その瞬間、私は気付きました。

「これはエピではない・・・クモ膜下出血やわ・・・。」


ただのエピでは不整脈は出ません。

更にこの年齢で元々この様な不整脈の頻発がある事はまず無いでしょう。


クモ膜下出血時の不整脈はよく見られることです。

ほぼ必発と言っても良いほどに見られます。


緊急でMRI(+MRA)を撮影すると思った通りクモ膜下出血でした。

その上、動脈瘤は二カ所あることも判りました。


他の脳神経外科医と相談し、翌日精査(脳血管撮影)の上、手術と言うことにしました。

なぜ翌日にしたのか・・・・?


来院が夕方5時頃であった上に、来院時に再出血をしている可能性が高く、一般的に発症(出血)から6時間以内は血管撮影自体が再出血を助長してしまう事が多いと言われていることから、来院から6時間後では検査が夜中になってしまうからです。


一般的に、クモ膜下出血を起こした脳動脈瘤に対しての早期手術というのは0~3日の間に行う物なので、

別に翌日が遅いわけではありません。


MRIが終わった後に患者様はICUに入れ、ご家族に説明をする事になりました。

説明を聞きに入ってきたご家族は、旦那様と、本人のお母様と、娘さんでした。

娘さんと言っても患者様も若いですから、当然娘さんと言っても若く、まだ小学生でした。


(しまった・・・!!)

とても私が話そうとした内容は小学生の娘さんに絶えられそうもない内容だったのです。

かといって、「出てください」とも言えず、

「娘さんのいる前ではなかなか言いにくいのですが・・・」

と言って説明を始めることになってしまいました。


「クモ膜下出血を起こした場合、1/3の方が亡くなります。。」

「再破裂を起こすと死亡する可能性が高くなります。」

「再出血を防ぐためには手術をしなくてはいけません。」


等々・・・。

当然娘さんは泣いていました・・・。

私の心も痛みました。。。(泣


旦那様も当然ですがかなりのショックを受けていて唇が震えていました。

お母様も顔を手で覆って涙目になっていました。


実はお母様の話では患者様のお父様もクモ膜下出血で手術をしているとの事でした。

「二親等以内にクモ膜下出血の患者がいる場合は、クモ膜下出血を起こす可能性が高くなる。」

と言う事実があります。


二親等以内というと、親・兄弟・祖父母・子供・孫が二親等以内になります。

つまり、旦那様とお母様は可能性は高くないですが、娘さんはいずれはクモ膜下出血を起こす可能性が高いということになります。将来的には検査が必要と言うことになります。


結局翌日の手術も上手く行き、まだまだ余談は許しませんが、今のところ経過も良好で、かなり意識も回復してきています。

娘さんのためにも何とか元気で帰らせてあげたいと思っています。


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タダの眩暈ではありません。。。。

殆ど毎日の様に「眩暈」を訴えて来る患者様がいます。


でも、その殆どの方は、「良性頭位変換性眩暈」と言う、耳からの眩暈です。

特徴は向きによって眩暈が良くなったり、悪くなったりする事です。

患者様は大抵、「左向きの方がマシ・・・」「寝返りすると目が回る・・・」とかおっしゃります。


でも、時折耳からでない物が有ります。

目が回るだけかと思っていたら、嚥下障害が出てきたり、手足の痺れ感が出てきたり・・・。

その様な時はMRIを行うと、脳梗塞が認められる場合が有ります。

脳幹という生命維持に重要な部分に脳梗塞を起こしても眩暈が起こることが有ります。

この場合やっかいな事に発症から2-3日経過しないとMRIに写ってこない事が有ります。

ですから、「脳梗塞は無い・・・」と診断されて治療が遅れる可能性があります。


また、血管自体に問題が有る事もあります。

脳梗塞を起こすと眩暈を起こしてくる小脳や脳幹を栄養しているのは椎骨動脈(その末梢の脳底動脈)ですが、この血管に狭い所(狭窄)が有って血流障害を来すと眩暈の原因となる場合も有ります。

これを椎骨脳底動脈血流不全症(VBI)と言います。


この狭窄がMRA(MRIの装置で血管を撮影した物)で撮れる範囲内に狭窄が有れば判りますが、それ以下の部位に狭窄があるとなかなか狭窄を見つけにくい場合もあります。


何らかの原因で血圧が低下したりすると眩暈が頻発すると言うことになり、ご本人様にも苦痛がありますが、血管が狭いだけで脳梗塞ではないので、血管のをバルーン(風船)で広げてやれば、症状は消えてしまいます。


この様な症例は眩暈患者の総数の中では少ないですが、見逃してはいけないものです。


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言葉が喋れない・・・

脳梗塞でも、脳内出血でも、左の脳に起こった場合、「失語症」という症状が起こることが有ります。


右利きの方の場合は、殆どの方は左半球の脳に言語中枢があります。

左利きの方の場合は、左にあったり、右にあったり、両方に有ったりするらしいです。


言語中枢には2種類有ります。


1)感覚性言語中枢 言葉を聞いたり、読んだりして理解する中枢です。

2)運動性言語中枢 言葉を話したり、書いたりする中枢です。


これらが障害されると失語症が起こります。


1)感覚性失語症 感覚性言語中枢が障害されて、他人の言うことや書いてある文字が理解出来ません。また、自分が言っている事自体も理解できないため、修正が出来無いため、発言が支離滅裂で意味不明になります。

2)運動性失語症 運動性言語中枢が障害されて、言葉を喋ったり、書いたり出来なくなります。


実際の臨床では、発症時には両方障害されている場合と、運動性失語症だけの事が多いように思います。

感覚性失語症のみというのは少ないです。


両方障害されていても、感覚性失語症の方が回復は早く、運動性失語症は軽くはなりますが、残りやすい様に思います。


元々無口な方が失語症になってもそれほどではないようですが、お喋り好きの方が失語症になると非常にストレスを感じるようです。

脳梗塞も脳内出血もその原因は生活習慣病が殆どです。

予防に気をつけた方が良いと思います。




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血管が痛んでますねぇ・・・

57歳男性、奥さんと子供三人との家族で、

仕事も順調で、何の不安もなく生活していました。


「痛てててててててて・・・」


突然の後頭部痛・・・。余りの痛みのために吐いてしまいました。


「あれ?肩こりかなぁ・・・。」

「ちょっと様子みて治らなかったら病院行くか・・・」


その後徐々に痛みは改善してきて一週間ほどで消失・・・。

本人の痛みがあったことすら忘れていました。


そして一ヶ月後・・・。

「おおおおとうさーーーん」

突然意識不明になって倒れ、救急車で病院へ。

CTにて重度のクモ膜下出血・・・。

そして一週間後に死亡・・・。


クモ膜下出血の原因は・・・。


きっとくる~!!きっと来る~!!

原因は椎骨動脈の解離性動脈瘤です・・・。


動脈の壁は外膜・中膜・内膜の三層構造になっています。

何かの原因で内膜に傷が付いて血液が壁内に流れ込んで、壁を剥がしていく事があります。

剥がしていく時に酷い痛みを伴います。これを血管解離と言います。


最終的に外膜を突き破ってしまえばクモ膜下出血になりますが、血管内腔に開いた場合には、正常な血流のルート(真腔ーしんくう)と異常なルート(偽腔ーぎくう)の二つのルートができあがることになります。


偽腔が真腔の方に突出してくれば、血管の狭窄・閉塞を起こし、脳梗塞を起こすことがありますが、

偽腔が血管外の方に突出すれば、動脈瘤となります。


当然ですが、偽腔の血管の壁は正常な血管よりは薄いですから、破れやすいです。

破れるとクモ膜下出血になります。


外来受診をする頭痛の患者様のかなりの方は肩こりからの頭痛か、偏頭痛ですが、時にこの様な頭痛も紛れ込んでいます。

「ほおっておくと、大変なことになりますよぉ~~~~!」


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全ては日常から・・・。

脳梗塞の危険因子には

1) 高血圧

2) 糖尿病

3) 高脂血症

4) 動脈硬化

5) 喫煙

6) 脱水


等が上げられます。

このうち高血圧、糖尿病、高脂血症はいわゆる生活習慣病ですね。


喫煙は本人の嗜好の問題であって、自らの選択です。


日常生活で食事に気をつけ、禁煙をし、特に夏場には脱水にならないように水分補給に気をつけていく・・・

こう言ったことが脳梗塞予防の基本です。


モヤってます。。。

皆さんの頸にドクドクと拍動している血管があると思います。

これを頸動脈と言います。正確には総頸動脈です。

この頸動脈はアゴの骨のあたりで二本に枝分かれをします。

一本が脳を栄養する内頸動脈、もう一本が顔面等を栄養する外頸動脈です。


内頸動脈は頭の中に入ると、眼の奥あたりで更に前大脳動脈と中大脳動脈に枝分かれをします。

この内頸動脈が大脳の2/3~3/4位を栄養します。

大脳の残りと、小脳・脳幹は頸椎の横を走っている椎骨動脈からの血流が栄養しています。


昨日の話です。

56歳の男性が来院されました。

入浴後に急に右半身の麻痺と言語障害、右顔面神経麻痺が出たとのことです。


緊急でMRI(強い磁石を用いて体の輪切りを撮影する検査です。)を撮影してみると、左の脳に脳梗塞が薄く出てきています。

更にMRA(MRアンギオグラフィー・・・脳や頸部の血管をMRIの機械で撮すものです。)をみてみると・・・、

右内頸動脈は眼の奥の分岐部の直前で非常に高度の狭窄を起こし、更に中大脳動脈は殆ど写っていませんでした。更に左内頸動脈に関しても同じく分岐部あたりで狭窄を認めました。


「モヤってるねぇ・・・」


もやもや病・・・両側の内頸動脈が徐々に閉塞してくる病気です。日本人に多く、血管撮影をすると閉塞(高度狭窄)している血管の周囲に発達してきた新生血管がもやもやと見えるので「もやもや病」と呼ばれます。

小児期と若年成人に患者数のピークが二峰性にあり、小児期には血流低下による虚血症状で、成人には出血発症が多いです。

治療としては頭皮の血管を頭の中につなぐ手術や頭皮の筋肉を脳表に落とし込む(筋肉からの新生血管の発達を促して血流量の上昇を期待する)手術が行われます。


今回の患者様がもやもや病かどうかの確定診断は脳血管撮影を行わなくては出来ませんので、近日中に検査を行う予定です。


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