『30年ペンキ屋やってるけど、そんなもん見たことも聞いたこともねえ!』
自らがシックハウス症候群を患た30代、建材の匂いを消すのに必死だった頃、リフォームの現場で50代の塗装職人さんにHSセラミックスを塗料に入れて欲しいとお願いしたら上記の言葉が飛び出してしまいました。
『まあまあw、ちょっと入れてみれって。匂い消えるから。』
同じ室内にいた浜なまりの小林旭似の見事なリーゼントの髪型の60代の大工さんが間に入ってくれて、その塗装職人さんはしぶしぶ塗料にHSセラミックスを入れてくれることになりました。
大工さんには数日前に一通り説明していて、実際に入れた瞬間に匂いが消えるのを見てもらっておりましたので、理解していてくれていました。
溶剤系の塗料缶にHSセラミックスをパラパラッと入れて刷毛で混ぜた瞬間.....
『おお~!あっという間に匂い消えたなw』
『....塗装なんて匂いがするのが当たり前なんだっての。』
塗装職人さんは納得の行かない表情で作業をはじめました。
このお話には後日談が有って、私が現場に居ないときにこの塗装職人さんがHSセラミックスを塗料に入れないで塗ろうとしたらしいのですが、大工さんが匂いの違いに気が付いて
『おうっ!いい匂いさせてるなw。粉(HSセラミックス)入れたのかwww』
と注意して入れさせたらしいのです。
住む方の為に始めたシックハウス対策ですが、私は一番環境ホルモンの被害を受けている人たちが誰なのかが分かっています。
それは現場で働く職人さんたちに他なりません。
毎日毎日、朝から晩まで汗と誇りまみれになりながら一生懸命に働いています。
私の造る住宅やリフォームは、彼ら無しには完成しません。
色々なことを調べていくうちに、建設系の職人さんの寿命、特に内装工事や塗装工事に携わる職人さんの寿命が50代という衝撃的な資料が見つかりました。(保存しておけば良かったのですが、今は見つからず。)
確かに私の周りでも40代50代で引退する職人さんが結構いて、原因はやはり塗料や接着剤、壁紙などに含まれる環境ホルモンという事が理解出来ました。
建築のシステムは、発注者⇒設計者⇒建設会社⇒内装工事・塗装工事などの協力業者⇒職人さん
という基本的な流れになっています。
相見積もりで価格の叩き合いをすると、実はほんのわずかな価格の違いなのに職人さんたちは安全な製品を使うことが出来なくなります。
彼らは現場でついた環境ホルモンの匂いを家庭に持ち込みます。
場合によっては匂いに慣れた職人さんたちと違い、免疫力が落ちて行った職人さんの家族は徐々に環境ホルモンに被ばくして、やがてアレルギーやアトピーを発症します。
それは『建築の現場だから仕方がない』とはなりません。
誰かが意識を高く持ち、行動しなくてはならないのです。
買い物は投票
前出の建築のシステムのチャートの通り、一番の権限を持つのは発注者に他なりません。
リフォームや新築をお考えの方、建築が完成するまでに数十人、数百人の職人さんが現場に携わって建物は完成します。
職人さんたちの健康被害が多いという事は、完全して今後誤字寸が住むことになる建物がどういう意味を持つのかを考えてみると選択肢は変わることもあるでしょう。
そんなことをほんの少しでも頭の片隅に思い浮かべてもらったら、世の中は少しづつ変わっていくのかもしれません。