さて、長いこと「黄金を抱いて翔べ」の世界にひたった記事を書いてきましたが、その間も、とーぜんトン活は続けている訳で、今回は、ずっと書きたかった「CATCH ME」アルバム全体の感想をまとめてみたいと思います。
とりあえず1回めは、「catch me」から、「DESTINY」まで。
何しろこのアルバムを手に入れるまで、ものすごーーーく苦労しましたからねえ(笑)
→参考過去記事 「そして私はsynnaraで買いました①」
このアルバムのリード曲である「CATCH ME」だけは、公式がつべに上がった時に、何度も聴いたけれど、改めてアルバム全体を通して聞くと、この曲には違った意味が見えるように思います。
以下はど素人の主観にまみれた好き勝手な感想です^^曲順は、アルバムの順番です。
●catch me
ピアノの旋律で始まる、6集リード曲。この曲はPVについて考察した時、「”私”の中の内なる他者」「分裂する自己」の物語として受け取ることができるなあ、と思ったものでした。
純粋に耳から音楽として聴いてみると、この曲は、音楽的にも異質な世界をつなぎ合わせた、実験的な楽曲だと思います。
サビや歌い出しに見られるメロディアスな部分では、ピアノの旋律が印象的だけど、合間合間に入ってくる電子音楽、エレクトロの部分では、乾いた、無機質なイメージ。
この楽曲に取り入れられた”ダブステップ”というジャンルの音楽は、エレクトロの中から分派した、ドラムよりも低いベース音でリズムを取る感じや、ワブルベースという、人の声のような、ギギギギ、ウワウワウワ、という音が特徴的な、2000年にイギリスで流行った音楽・・・・ということになっている、ウィキなんかでは。
エレクトロというと、日本ではパヒューム、きゃりーぱみゅぱみゅなんかが、その系統の中で、ポップスと融合した楽曲を歌っているんだけど、この人達に共通しているのは、パフォーマンスやPVが、すごく人工的な世界をイメージしたものになっているということ。
考えてみたら、東方神起が日本でリリースした「ANDOROID」も、エレクトロ系の音楽で、彼らはANDROID(人工生命体)をテーマに歌っていたんでしたね。
「CATCH ME」 では、そのエレクトロの人工的で、乾いた、非感情的な音の世界と、全く正反対の抒情的でドラマティックなメロディが交互に入れ替わります。
だから、曲全体を聴くと、実に正体不明なヘンテコりんな音楽だと思うんです。
所が、そのヘンテコリンさが面白い、というか、とても実験的で、野心的で、挑戦的で、「この曲・・・好みじゃないかも」と思うのに、ついつい何度も聴いてしまう理由になっている。
個人的には、サビから始まって、ユノの歌い出しから始まる、4つ打ちのリズムの力強さ、徐々にスピードがあがっていって、せきたてるようなドラムのリズムが好き。
そのくせ、ダブステップを意識したパートになると、リズムが変化して、ゆっくり、変則的な打ち方に変わる。
歌い方も、気持ちを吐き出すような歌い方から、人工的で無機質で、どこか冷たい歌い方に変化して、1曲の中で、同じ歌手の違った声の表情がうかがえる、奥行きのある楽曲になっていると思います。
この曲にピアノの音を入れることを提案したのはユノだったそうですが、ピアノの音と電子音の対比は、この楽曲の中の異なる世界を際立たせる、効果的な装置になっていると思いました。
ユノってなんだろう・・・こう、作曲とか作詞とか、直接的な創造じゃないけれど、音を組み合わせるセンスがあるのかなあ。
ユノやジュンスを中心に面倒を見ていた彼らの歌の先生、歌手のThe Oneは、優れた歌手になる為に作曲するようによく言っていたそうで、ジュンス、ユチョン、ジェジュンはそれぞれ自作曲も持っているし、チャンミンは、今回で2曲目の作詞をこなしている。
じゃあユノは?となると、とりあえず曲のクレジットに名前が残るような形で曲を作ったり、作詞したりということはないんだけど、ただ、インタビューなんかで曲について語ったり、説明したりしているユノは、すごく戦略的に音楽をプロデュースするセンスに満ちているように見える。
この「CATCH ME」という曲は、過去の東方神起のどんな曲の延長線上にもない、全くの新しい”東方神起”ワールドを展開していて、<異質なものの融合>とでも言うべき曲。
ピアノの旋律を響かせたサビで始まり、エレクトロの人工的な音で閉じる。
その対照性に、思わず、「この曲はなんなんだ??」と思ってしまう所も魅力の一つで、その意味からいっても「CATCH ME」というタイトルは、実に挑発的で魅力的な、悪魔の誘惑のように抗いがたい力を持っていますね。
【関連過去記事】
東方神起「catch me!」PV考察1-catch meを謎解きしてみる-
東方神起「catch me!」PV考察2-catch meを謎解きしてみる-
●VIVA
この曲は実はすごく好み(笑)。原題は訳すと「人生は輝いた」だけど、サビの部分の「まるで棘のよう、恐ろしい獣のよう、引き裂かれた時間に打ち勝った瞬間、人生は輝いた」という言葉からは、明るいイメージよりも、むしろ輝く瞬間までの、壮絶な何かとの戦いの方をイメージさせる。
明るさよりも暗さ、そして暗さの中に潜む自負心。ちょっと「黄金を抱いて翔べ」の世界観に似ていると思います。
楽曲の雰囲気も、「catch me」のエレクトロ部分を受け継ぐように、重低音がメインで重い。
ドラムもひかえめで、歌い出しから、メロディというよりラップに近い。
ユノのげだるげで、無表情に、平坦に流していく声を、チャンミンの「hi,hi」「ok」という合いの手でリズムをつけて、耳にひっかけていくような感じ。
そこから、初めてサビに行く前で、どこかエキゾチックな節回しで
「たどぅる ってどぅろでっち てっち こぎっかじらご
くって なん めんせへっち へっち おぬれ Gloria」
と歌う部分が、ちょっとぞくっとくる感じ。
最初に聴いた時は、なんか「おまじないとか呪文みたいな節だなあ」と思いました。ちょうどこの部分は、歌の中の「僕」が、かつて周りの人に、もうお前はおしまいだと見放され、そこから這い上がることを誓った、という内容になっているんですね。
だからどこか、見放されたことの悲しみと、孤独と、にじみだす闘志をひそませて、声に冷たい色気がある。
2番はチャンミンが歌い出しになるんだけど、ユノとはまた違った歌い方。
ユノの無表情で平坦な感じに対して、チャンミンの言葉の最後は毎回少し甘さが漂う。
「ちんっちゃが でぬん ぎるん じょんまる すぃっち あんちゃな
ね あね っさうむん きるご じるへっちまん
くってん いろん ぴょんふぁらん さんさん もってっち」
この「ちゃな?」「ちまん?」と上がる調子に発音された後、唇のはしをゆがめるような感じで吐き捨てるように発音される「もってっちぃ」。
メロディもなく、低いベースの音に言葉をからませるようにして、ストイックに歌いだされる中で、不意に優しげにひびくこの「ちゃな?」や「ちまん?」、感情をにじませた「もってっちぃ」がツボでツボで、初めて聴いた時、超ドキドキ!
「本物になろうとするのは簡単なことじゃないじゃないか。
僕の戦いはうんざりするほど長かったけど
あの頃、今のように平安を手に入れる日がくるとは想像できなかった。」
チャンミンの歌い方だと、苦い過去をふりかえって余裕をもちながらも、かつて自分を苦しめた過去を、冷静に見返している、そんな感じがします。
さて、この曲は低いベース音がゆっくりと音程を移動していく程度で、あまり余計な音が入ってこず、とてもストイックな楽曲です。ドラムも控えめだし、二人の声でリズムをつけたり、変化をつけたりしながら、サビの高揚感を高めていく。
それだけに、声がものすごく色っぽく感じるんですよね。ある時はからみつくように、ある時は冷たく素っ気なく。
途中、ダブステップらしい、音がうわうわと重なる所はあるものの、基本的には抑えた音の構成で、そこが逆にそそられる、個人的に好きな曲でした。
●DESTINY
ゆったりとしたドラムから始まる、大人っぽいバラード。一目ぼれした女の子への気持ちを歌ったラブソングだけど、これまでの暗くて重い楽曲から、少し華やいだ印象の曲。
二人のハーモニーが一番楽しめる曲でもありますね。
最初の歌い出しは交互で、サビの手前で合流するとハーモニーに分かれ、そのまま2人で歌うサビへ。
何となくステージで、目を合わせながら歌う2人が想像できますね。
個人的には、一番のサビが終わった後の、ユノパート「いみのるた あんごっまんがった」の「が」の音が、ユノらしく鼻に抜けていく感じが、甘ったるくてスキ。
「もう君のすべてがわかっちゃったみたいだ」ってあんな甘い声で言われたら・・・・
うーん、卒倒するだろうなあ(笑)
ユノは、このアルバムに関してのインタビューで、「ドライブしている時に聴くことができるようなアルバムが、よいアルバムだ」ということを言っていたんだけど、このアルバムの中でもDESTINYは、まさにドライブ向きで、車の中で流れているのがぴったりのような気がします。
お喋りとお喋りの合間にふっと訪れる沈黙の隙間を、優しく埋めてくれそうな、そんな感じ。
リラックスさせるような、そういうゆったりとしたバラードですね^^
●長文、ここまで読んでくださってありがとう^^