映画『月の満ち欠け』を観てきました。
ストーリー
仕事も家庭も順調だった小山内堅(大泉洋)の
日常は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘・瑠璃の
ふたりを不慮の事故で同時に失ったことで一変。
深い悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と
名乗る男(目黒蓮)が訪ねてくる。事故に
遭った日、小山内の娘が面識のないはずの自分に
会いに来ようとしていたこと、そして彼女は、
かつて自分が狂おしいほどに愛した“瑠璃”という
女性(有村架純)の生まれ変わりだったのでは
ないか、と告げる。
【愛し合っていた一組の夫婦】と、
【許されざる恋に落ちた恋人たち】。
全く関係がないように思われたふたつの物語が、
数十年の時を経てつながっていく。
それは「生まれ変わっても、あなたに逢いたい」と
いう強い願いが起こした、あまりにも切なすぎる
愛の奇跡だった——
(以上、公式サイトより転記)


田中圭さん出演作品で楽しみにしていた作品。
予告によればファンタジーなので、原作は読まずに
観た方が楽しめそうと思って未読です。

私は公開初日には観られなくて、3日目の週末に
観たのですが、早くも観た方たちがツイッターで
こぞって圭くんを絶賛していて、しかもそれが
タナカーさんでない方も多くて、
「主演じゃないのにこんなに沸かせるなんて
圭くん一体どんな人物を演じてるんだろう」と
期待度がさらに瀑上がりでしたアップ

そしてそんな声の通り、圭くん演じる正木竜之介、
めっちゃくちゃこわかったですガーン
途中で、もう出番は終わりかなと思ったところが
あったのですが、全然終わりじゃなくて、
前半も既にめちゃくちゃ怖かったのですが、
後半の恐怖と言ったら……!
私が圭くんの沼にハマっていなかったら、嫌いに
なっていたかもと思ってしまうくらいの怖い人物。
実際、鑑賞後にトイレに並んでいたら、4人くらいの
女性グループが「田中圭怖すぎて嫌いになりそう」
と言っていました。
終演直後の劇場でも「田中圭出るって知らなかった
けど、すごかったね」と言っているのが聞こえて、
誰よりも爪痕を残していました。(ドヤ顔ニヤリ

タバコを吸って溜め込んだ怒りに耐えながら、
若干震えてる体から出ているあの空気。
本当に怒っている人っていうのは本当に怖い。
『哀愁しんでれら』の泉澤さんのときも相当
怖かったけど、私にはこの正木さんは泉澤さんの
10倍怖く感じました。泉澤さんにはひかりちゃんと
いうある種の弱みがあったけど、正木さんには
それがないんです。私は瑠璃じゃないのに、
心臓がバクバクして逃げ出したくなりました。
圭くんを見てこんな感情になるなんてびっくり。
田中圭という俳優の凄みを感じました。


「生まれ変わり」がテーマになっているお話は
私は好きです。この作品はファンタジーだけど、
実際に前世の記憶を持った人というのは世界各地に
いると聞きます。ちょっと信じられないような
気もするけど、これは真実なのだろうと思わずには
いられないものもあります。
亡くなった人の生まれ変わりに会えたり、
自分が生まれ変わって大切な人に再会したり…
なんてことができたら、ロマンがあるなとは
思うけど、過去の記憶があるなんて重そうです。
今の自分が揺らいで、自分を見失ってしまいそう。
私は覚えてなくてよかった。笑

ちょっと話は逸れるのですが、前世の記憶ものでは
『ぼくの地球を守って』という漫画が大好きで、
学生時代に何度も読みました。
本当によくできているお話でスケールも大きくて、
ファンタジーというよりSFといった感じなので、
一応少女漫画だと思うのですが、男女関係なく
楽しめると思います。
かなり長編ですが、ご興味あればオススメです!


映画の話に戻って、圭くん演じる正木さん以外で
印象に残ったのは、有村架純さん演じる瑠璃ですね。
有村架純さんて、なんだかちょっとミステリアスで
そこがとても魅力的ですよね。
見た目はかわいらしいのに、内面が年齢よりも
だいぶ落ち着いているというか。子供らしい
子供時代じゃなかったのかな、と思ってしまうくらい
どこか達観しているような雰囲気があります。
それが、正木さんとの結婚生活がうまくいってない
ことを心の底に隠して、あきらくん(目黒蓮さん)と
会う瑠璃ととてもマッチしていました。
ひとりで抱えるには重すぎるのに、大学生の彼には
一言も話さない。でもその目の奥には悲しみと
諦めとが宿っていて、あきらくんは余計に瑠璃に
惹かれてしまうんです。

あきらくんがどんな人物なのかは、ほとんど
描かれていません。なぜ大学生の彼が人妻の瑠璃に
あそこまで惹かれたのか、そこは気になります。
原作では描かれているのかなぁ。
正木さんについても原作ではもっと描いていると
どこかで読んだので、近々読んでみたいです。

あ、あと柴咲コウさんもよかったです。
柴咲コウさんも高校生の娘がいる母親の役をする
ような歳になったんだなぁ、となんだかしみじみ
していまいました。
キレイでおだやかでおちゃめな梢さん。
最後に回収された伏線、びっくりしたなー。
原作が未読だったから驚くことができたところ
でした。
小説の映画化って、原作を先に読むか、
映画を先に観るか、すごく迷いますよね。
この作品は、先に映画を観て正解でした!


生まれ変わり。前世の記憶。
絶対起きないとは言い切れない奇跡。
でも、たとえ生まれ変わって、前世のすべてを
覚えていて、大切だった人に会えたとしても、
やっぱり別人だから、やり直すことはできないん
ですよね。
でも、それで区切りがつくのかもしれません。
そしてその次こそ、ちゃんと忘れて、
まっさらな人生を送れるのかもしれないですね。
やっぱり「魂」ってあるんだろうな。

そういえば、映画の中で
「子供は親を選んで生まれてくる。空の上から、
このお母さんのおなかに入ろうと決める」
というセリフがあったのですが、
実は私はこれを覚えています。
ちょっとフシギちゃんみたいでアレなんですが、
まだ生まれる前に空にいて、私は雲みたいなものの
一部だったんです。ちゃんと自分という意識は
あるんだけど、ほかのたくさんの魂たちと
ひとかたまりの雲で、境目がない感じでした。
私はそこから下を見下ろして、母を見つけて、
「あのおなかに入ろう」と決めたんです。
理由はわからないけど、そのときに母が履いていた
花柄のスカートを覚えていて、おなかの中でも
そのスカートの模様を見ていた気がします。
おなかの中から見えるはずないんですけどね。
でも、自分で決めて生まれてきた実感があります。
そういうことが語られるというのは、きっと
一部の人は、自分で選んだことを覚えてるのかも
しれません。だって、空の上から見下ろして
母親を選ぶなんて、実体験じゃないと思いつかない
ですよね? そんなことないのかな。

でも前世については私は何ひとつ覚えてないし、
今の私が経験していることを来世でもやっぱり
全部忘れてしまっているだろうと思います。
どれだけの執念を持っていたら
「忘れずに記憶したまま生まれ変わる」ことが
できるのでしょうか。
とても興味深いです。

でも…、私はやっぱり忘れちゃおうと思います。笑