2022年の1本目は、
映画『明け方の若者たち』を観てきました。

カツセマサヒコさん原作の同名の小説を
北村匠海さん主演で映画化した作品。
原作は未読ですが、青春群像劇なのかな、と思って
観に行きました。

匠海くん演じる「僕」が、学生時代最後の
つまらない飲み会で出会った「彼女」と過ごした
数年間を描いた作品でした。

ほかのキャラクターはちゃんと名前があるのですが
主人公と彼女だけ明らかにされていません。
「自分事」として感じてもらうための演出なのかな。
私は自分事と捉えるには年が離れすぎてるけど、
「僕」の過ごした日々は、誰もが通りすぎてきた
ものじゃないかなと思います。

大好きな彼女がいて、自分の世界が彼女一色になって
学生を卒業して、希望に満ち溢れて社会に出る。
でもいざ入社してみると思い描いてた仕事じゃなくて、不本意ながらもそこで日々を送っていく。
「こんなはずじゃなかった」けど、
同期の親友もできて、集まって飲んでは
「いつかクリエイティブなことをやってやろう」と
話しながら過ごす。
諦めてる日もあれば、奮い立つ日もあって、
そんな日々も、彼女と親友がいれば楽しかった。
それなのに、ある日突然彼女との時間が終わってしまうーーー。


20代の頃って、こんな心境になりがちだよねー、
という気持ちで観ていました。
そして、今ではそんな気持ちは、私の中からは
なくなってしまっていることに気づかされました。
大した野望なんて持ってなかったけど、
それでも20代の頃には、無自覚ながらも
「何者かになってやろう」みたいた気持ちは
多少なりともあったなぁ、と。
今では、そんなの微塵も残ってなくて、
そんなときがあったことさえ忘れてました。
葛藤してもがくことも「若さ」だったんだなぁ。


観る前は『花束みたいな恋をした』とか
『ボクたちはみんな大人になれなかった』みたいな
感じの映画なのかなと思っていたのですが、
それらとはちょっとテイストが違う気がしました。
その2本は、懐かしく振り返る感じだけど、
『明け方の若者たち』の「僕」は現在進行形で
こんな思いや経験をくりかえし味わって、
私たちみたいな大人にこれから向かっていくんだなぁ。
渦中にいた当時は確実に苦しくて重い感情だったけど、
そこの感受性を失った今では、それすらも眩しく
輝いて見える気がしました。
なんだか悲しい感想だなぁ。笑


北村匠海くんもよかったですし、
「彼女」役の黒島結菜さんもキレイでかわいくて
「僕」が大好きになるのが納得できる女の子でした。
彼女の秘密が明かされた後でも、
不思議と嫌な印象がなかったです。
親友の尚人役の井上祐貴さんもよかったです。
最初は、イケメンでデキるヤツで、
ちょっと鼻につくタイプなのかな…と思ってたら、
本当にいいヤツで。
「僕」はどれだけ彼女にフラれても、
尚人がいればきっと大丈夫と思える親友でした。
こういう親友に出会えたのは人生の宝ですよね。
うーん、感想が全部ババくさくなってしまうあせる


新年1本目にしては、ちょっと控えめで、
自分が歳を重ねたことを実感させられる作品でした。