いつぶりだろう?ここに来たのは…。
あんなに来るのが楽しみだった空間が。
穏やかな気持ちにさせてくれる空間が。
…あなたの笑顔を独り占めできてた空間が。
今は…ただただ…
苦しいよ…。
窓を眺めていると、背後に感じる気配。
「宇野ちゃん…。」
そこには私の大好きな笑顔があった。
隆 いや、俺は…俺も…会いたかった。
実 …
隆 会いたかった。
あの遊園地で会って以来。
宇野ちゃんはこの場所に来なくなった。
夏休みに入ったせい…
宇野ちゃんのことだから、休み中も勉強とかで忙しいんだ…
そんな言葉を何度も繰り返して自分に言い聞かせた。
でも、頭の片隅には
あの遊園地での2人の姿がいつも留まっている。
2人の関係は?
あのとき何をしてたの?
あの日から避けられてる気がするのは気のせい?
彼女がいる立場のくせに
こんな気持ちばかり渦巻いてる。
祈には…別れを告げた。
でも…
「祈は待ってる。隆ちゃんは、宇野さんとは一緒にいられないよ。」
別れを告げたのに、不敵な笑顔を浮かべた祈。
何があったんだ?
何を知ってる?
宇野ちゃんと一緒にいられないって…。
すっきりしないまま、けど…宇野ちゃんへの想いは募る一方で。
そんな矢先に届いた短いメッセージ。
「会いたい…」
俺もずっと会いたかった。同じ気持ちだったことに顔がほころんでしまう。
待ち合わせは…2人のいつもの場所。
窓際に座る君。
風に乗せられて少しだけ伸びた前髪がなびく。
久しぶりにみた横顔は
憂いを帯びていて…。でも、
また一段と綺麗になっていた。
この時決めたんだ。
君にこの想いを伝えようって。
好きだよ…。一緒にいたいって…。
実 会いたかった…。私も。
隆 ほんと?
実 うん。
隆 宇野ちゃん…俺、
宇野ちゃんの目の前に歩みを進めて、目を見つめる。
一度しっかりと目が合ったのに、君は俺の横を通り過ぎて、本棚に手をかける。
隆 宇野ちゃん?
実 にっしー、あたしね。
隆 ん?
実 あたし…真司郎と付き合うことになった。
宇野ちゃんが発した言葉は、俺が求めてた言葉じゃ…なかった。
