第一章

分かり合えない



昨日、母親とドカーンとぶつかり合いまして。


遡ること1ヶ月前の「お前はオワコンなんだよ」と私に言い放った父とのやり合い(厳密にいうと父はそんな言葉はチョイスしてないが、そのように私は受け取った)の際に、父との議論がトリガーになり、その場にいた母は流れ弾に当たったのだ。

私は長年積もりに積もった母への思いをぶつけてしまったわけだ。

それから1ヶ月、両親を避けていたが昨日、両親になんの気なく会い、「元通りに」いかないかな〜なんて思ってみたものの、一度大きくズレてしまった歯車はやはり、そううまくは元に戻らないようだ。私は戻す気がなかったと思う。


また険悪な雰囲気になってしまった。


私はすぐ自分の家に戻った。もう疲れたのだ。自室に戻り、天井を眺めた。

幼少期から今までのことを思い出す。でももう、なんだかどうでもいい。ずっと昔に自分の気持ちが空中分解してしまい、思考停止したことに気づいていた。罪悪感もとっくに感じることがなくなっていた。

歳をとった母親に優しくできない自分を責めることもなくなった。無人間になってしまったようだ。


なんてことを考えていると、チャイムが鳴った。

母だった。


「寝てました、ごめんね」夫が母にそういうと、

「あらそう。エミリは?」と、夫に突然尋ねたことを悪そびれることもなく私の所在を尋ねた。まったく、母らしい。


今夜は逃がしてはくれないようだ。


「ママの何が気に食わないの?教えて」

食い気味にきた。


「わからないよ、わたしも。」

「わからないじゃないよ、考えて」という。


それから話し合いが始まった。


続くー