こんにちは、男女J-pop/フォークデュオ、HONEBONEのVo.担当高円寺系ハーフのEmilyです。



監督もブログに書いていたので私もお二人について書きたいと思います。
文章の汚さは私のアイデンティティ、
失礼を承知で書きます!



私が来年出演させていただく、
品川ヒロシ監督の最新映画「リスタート」で、
私が演じる未央のお父さんお母さん役の、

こちらのお二人。


中野英雄さん
黒沢あすかさん
でございます。


知らないはずがない、名俳優に名女優、数々の名作に出演されておられるお二人が、、今回私の両親になるだってえ!?


忘れもしない、初めてお顔を合わせたのは台本の読み合わせの日。



私はこれでも主役だ、
きちんと挨拶をしなければ!!!
と気合が入っていたのに、中野さん、黒沢さんが部屋に入って来られるや否や、みんな一斉の挨拶になってしまいタイミングをつかめず!!


うぉおおおおおおい!?
出だしが肝心だぞ!?

私はこう見えて結構体育会系なんだぞ!?

巻き返せるか?
なんてことも考る余裕もなく読み合わせスタート…

貫禄がすげぇ…
空気が一気に変わった…
なんだこれぇ…

しかし、、

負けてたまるか。
これでも私は主役だ!!!
お二人に比べてクソほど暇だったはずだ!!台本の練習の量では負けるつもりはない!だから、必死に台本を見ないで覚えてますよアピールをした。(心は震えていた...)

すると後日、撮影に入ったときに、
お二人が
「台本ちゃんと覚えてたよね〜ウインク

的な爽やかテンションで話しかけて頂いた時は嬉しかった。。

ほら、やっぱり見てくれてる人はいるんだ…


私はそう思った。


撮影の合間、お話しさせて頂くと
中野さんと私はめちゃんこ地元が近いという奇跡的なローカル話をさせてもらった。
やはり地元が同じだったりすると急にほっこりする。
中野さんの学生時代の話はほっこりしなかったけど。
(映画のような青春時代を送られていたので…)


お二人との思い出は、短期間でも、ものすごく濃密なものだった。

あすかさんは私の声を褒めてくださった。
「あなたの声好きよ」って。
めちゃくちゃ嬉しかった。

中野さんは「エミリは自然体でいいよな」って言ってくださった。


それぞれ、お二人とのタイマンシーンがあるんですがどちらも本当に心に刻まれるほど思い出に残るシーンだった。
私はあすかさん演じるお母さんに甘ったれて、イライラしたりもした。(役の中でよ!?)

いつの間にか、そこには私のお母さんが出来上がっていて、私は大ベテランを前にしても緊張せず、わがままな演技をさせて頂いた。
それは、あすかさんがもちろん、導いてくださったからである。それしかない。
私にそういう演技をさせてくださったのだ。

私はあすかさんが大好きだ。
旦那様と映画を撮られた話や、他の作品の時のことなど気さくに教えてくださった。あすかさんの映画(演技に対する)に対するアツさがとっても好きだ。そういうところが特に好きだ。


そして優しく私の話も聞いてくださった。歌も聴いて頂いた、笑って頂いた。
本当にこんなことあるんだなあって思った。
深みのありすぎるお方だった。
まだまだ話し足りないんだなぁ。



そして中野さん。

この方とはちょっと、とんでもない体験をした。

(後ろのSWAYどうした)


北海道の撮影では、かなりメンタルにくるシーンが多かった。情緒をコントロールする仕事だと、頭ではわかっているものの、私は初心者、ど素人。

うまくコントールできたら世話ねえよ!
なんて思いつつ、やるしかないと思っていた。


中野さんとのタイマンシーンで、
私はペース配分を考えなかったせいで、大事な場面で涙が枯れてしまったのである。気持ちもどんどん萎えてしまい、終いには中野さんの顔も見れなくなった。なんたる素人失敗談。


うつむく私を見て監督は中野さんの「顔だけは見て」と言った。


なのに、私は逆らった。
(なんてことを!いや、余裕はそこにはなかった)


その時のことを今、正直に話すと
私はすごくイライラした。中野さん演じる父にも腹立たしい気持ちになった。
何より自分にイライラした。



そして役から一度魂が抜けて、
自分はなぜここで今必死に泣く必要があるのか?
なんだこれは?

という気持ちまで一度落ちた。


中野さんの顔がますます見れなくなった。

大ベテランを前にしてとんだ失礼な感情だな。



何回か撮ったが、私はそれでも泣けなかった。


それでも中野さんはずっと寄り添ってくれた。
お話をしてくださった。
私を丁寧に包んでくださった。
監督も然り。
こんな、無名な人間に。


「よし、次で最後にしよう」
後で聞いた話だが、監督はそう言ったらしい。


私には実はその言葉が聞こえていなかった。
聞こえていたらきっともっと焦っていたと思う。
でもそうだよな、時間もない、予算も限られている、みんな疲れている、寝ていない、次のシーンも控えている。

私にかけられる時間も限られているのだ。
当たり前の話。


監督は撮り始める前に私の横に座り、みんなは私から少し離れた。そこは異空間。
綺麗な川、空、木。のどかなのに私だけこの世界に取り残されたような顔をしていた。

そして、二人だけの秘密だから言わないけど監督は私の右耳にいくつかの言葉を投げかけた。

私の心はまた波打ちだした。監督はきっとそれを感じただろう。

涙が溜りだした。


「スタート」という言葉が聞こえた。
撮影続行。


監督の魔法のような言葉が頭に浮かぶ。
よし、泣けそう。


そう思ったのに、また感情が止まった。
ピタッと。

風がやんだように。静けさが心に戻ってしまった。




泣けない。
終わりだもう。

私もこの程度か。ダセェな。




どうしよう、泣けないよ。
こわい、どうしたらいい?
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい。







私はうつむいた。
でも監督の言葉が蘇る。
「顔だけは見て」

見てどうするの?
見てどうなんの?



諦めかけたが、振り絞ってもう一度、
セリフを言う中野さんの顔を、
半ば絶望した気持ちで覗き込んだ。



すると。












私は、大泣きした。
中野さんも泣いていた。












実はそこの記憶があまりない。
(なんか、かっけ〜)
(トランス状態だったのである)




「はい!!!カット!!!!OK!!!!」


その言葉と同時に私は泣き崩れた。


カットがかかった後も泣き続け、大声で泣き続けた。


28歳の女が、大泣きしている!!
なんだこれは!!


中野さんが「あいつまだ泣いてらぁ」と言ってるのが聞こえた。笑ってる。

監督がまた横に戻ってきてくれた
「マジでよかったよ」


私はそれでも泣いた。
涙と嗚咽が止まらなかった。
監督は笑っていた。
みんな次の準備を早々としながら笑っていた。


今もあの瞬間が忘れられない。



なんとか泣き止んで、中野さんのところに駆けつけた。がっちりハグしてなぜか、
「ありがとうございました」と言った。
すると周りから、


撮影まだ終わってねえぞ!
と突っ込まれたが、私の中で何かが弾け飛んだ瞬間だったのは確かである。


中野さんはさらに、「おめーすげーな、俺も泣いちゃったよ」と言ってくれた。めちゃめちゃに褒めてくれた。
ど素人相手に大ベテランがめちゃめちゃやさしくしてくださる。中野さんが導いてくれたのに。


なんて現場だ!!!
感謝しかない。



でも本当にあの時の、あの時間は確かに私の中の何かを変えた。変えた?
というよりも、
違う世界に行ったような感覚。
不思議な感覚だった。
今でも言葉にするのがとても難しい。



黒沢さんが
「あんたあの瞬間から目つき変わったよ」


とおっしゃっていた。


 みんなも何か変わったように見えた。
素人にも、奇跡を起こせるんじゃないかと思えた。すごく大げさだけど、私には人生で味わったことのない感覚だったから、ずっと覚えていたくて、書き続けている日記に記録した。


2019/8/29
なんだこの感覚は。
味わったことない。
覚えていよう、覚えていよう。


後になって笑い話となったことがある。

その中野さんとのタイマンシーンで、
行き詰まった私をサポートすべく、
中野さんの真後ろに監督は立った。普通はモニターやらなんやらチェックしなきゃならず少し離れた場所でお芝居を見守らなくてはならないのに。

私の目を見つめて「大丈夫だ、いけるよ」とやさしく見守ってくれたのだ。

最終的に泣いた私を見て、監督は、「モニター前から離れて中野さんの後ろに来てよかったなー。」と思ったらしい。

しかし、OKをもらった後、私は監督にこう言った。
「っていうか、監督どこにいました?モニター前にもいなかったですよね?どこにいたんですか?姿見えなかったけど。」


監督は絶句していた。



そう、私はトランス状態だったので中野さん以外の人間が誰一人目に入らなかったのである。あの時を思い出すと、中野さん以外モザイクがかかっているような感じだったのをうっすら覚えている。
だから監督がどこにいたのかもわからなかったのである。モザイクの中にいたんだろうな。



なんて切ない話なのだ。

監督は複雑そうだった。
すみません。

自分のおかげで泣いたと思っていたから、、。


いや、監督のおかげもありますよ!?
何言ってんすか!


監督は遠くを見つめていた。。


感謝してます。





長くなったけど、大好きなお二人。
私はお二人の娘役を演じられて本当に幸せでした。まだまだお話足りない。
打ち上げでたくさんお話ししたいなあ。



ありがとうございました。




2020年公開予定の
「リスタート」
クラウドファンディングも佳境をむかえてきてる!支援していただける方は是非お願いします。