例年よりも寒い東の都シドニーを後にし、西の都パースへと飛んだ。
パースからレンタカーで4000キロ程北へ走り、ブルームという場所へ向かうことにする。ここなら寒くない。
最初は、パースからシドニーへレンタカーでオーストラリア横断路を走ろうと計画していた。
このルートは、自分が13年前に自転車で走破したルートだ。
自分の思い出が詰まった場所を嫁さんと一緒に走りたかったのだ。
さすがに自転車で一緒に走ろうなんて言ったら、それこそ成田離婚になり兼ねないので、レンタカーで走ることを考えていた。

レンタカーで横断ルートを走って「こんな所を俺は自転車で走ったんだぜー。すっげーだろー」と自慢したかったのだ。
愛する人から尊敬されたいじゃないっすか。
かー、めんどくせーやつだなーって言われそうだけど、男とはそういう生き物なんです。ふふっ。

しかし例年よりも寒いオーストラリア。特に寒い南部(南半球なので南に行くほど寒い)ルートは楽しめないと思い、パースからブルームへ北上し、暖かいオーストラリアを満喫することにした。(南半球なので北へ行くほど暑い)

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オーストラリア国内移動は、世界一周航空券に含めていないので、普通にエコノミークラスで飛んだ。
だってさー
ケチくさいって言われるかもしれないけどさー
エコノミークラスは2人で5万円くらいで飛べるんだけどさー
ビジネスクラスだと2人で20万円とかしちゃうんだぜー
ファーストクラスは国内線なので設定が無かったんだけどさ
国内移動だから、別にそんな贅沢しなくても良いかなーって思ってね

そうそう、こんな話知ってます?
世界中に広がるDFS、デューティーフリーショッパーズと言う名のブランド品を売る免税店
世界中の有名な空港の出国ゲート付近に必ずと言って良いくらい併設されていて、出国間際に購入して、出国してから開封する(商品を使う)から、購入国では課税されず、高い贅沢品であるブランド品が免税価格で買えると言うシステムのお店だ。
ブランド品が安く買えると言うので、ブランド好きの方々が必ず立ち寄るお店で、何故だか国内線の沖縄にもあったりする。

俺は全くブランド品に興味が無いのだが、高校生だった頃、ハワイに連れて行ってもらうことが出来て、ハワイのDFSでは、バブってたブランド好きの日本の女性の方々が大挙して押し寄せて、ブランド品を嬉しそうに買いあさっていた。
何故だか関西方面のおばちゃん達は、海外だろうがなんだろうが日本語が通じなくても関西弁で店員にまくしたてていた。
「なぁそれ、たっかいわぁ。負けてぇな。」と大きな声で交渉し価格を下げてる姿を見て俺は衝撃を受けた。
そして「なんだ、やっぱり英語なんて勉強しなくても何とかなるじゃん」と英語の偏差値が38だった高校生の俺は、自分を正当化し、海外に行けたという貴重な体験を思いっきり無駄にして、全く英語の勉強に励むことなんかせずにクルクルパー街道をひた走るのだった。

嗚呼話がそれた。

そのDFSの創業者さん。何と言う名前だったか忘れてしまいましたが、世界中で贅沢品をいっぱい売って、とんでもない資産家になったにも関わらず、世界中を飛行機で飛びまわる時は全てエコノミークラスだそうです。
ビジネスクラスやファーストクラスに乗る金があったら、全て寄付するという、それはそれは素晴らしい哲学をお持ちの方なんだそうです。

この話を思い出せば、エコノミークラスに乗ってもセルフイメージは下がらないのさ!
「寄付をしたことはあっても、DFSの創業者さんみたいな金額を寄付したことないよね?」「ファーストに乗って、あれだけ浮かれてたでしょ?」と言うツッコミを受けそうだけど、自分をDFSの創業者さんだと思い聞かせながらエコノミークラスに乗ることにした。
でも今回は一人旅じゃない。
嫁さんに恐る恐る「なぁビジネスクラスじゃなくてエコノミークラスでパースに行ってもいいかな?」と聞いたら「え?全然良いよー。だってそれが普通じゃん。」とお答えになられました。
くぅー
良い嫁さんだ。嫁さんは豪邸に住みたいと言うよりも、2LDKくらいの家で十分とか言っちゃう人で、全然浪費家じゃないんだよね。
僕が何かをプレゼントすると、「せっかく晃ちゃんからもらったコレ、明日来る友人に上げても良いかな?」と自分が使うより他人が使う方が嬉しかったりする人で、買い物に行っても自分のものよりも「これ、友達にあげたら凄く喜びそう」と、自分が何かを買うと言うよりも、誰かに何かをあげることばかり考えている天然で分かち合いができる人なのだ。
俺がDFSの創業者さんくらい稼いだら、嫁さんが俺に代わって全額寄付しちゃいそうな感じの人で、ああこの人となら面白そうな人生歩けそうだぜ!とか思っちゃったんですぅ。
嫁さんの自慢話をしちゃうのって良いのかな?と思っちゃったけど、今回は新婚旅行と言うことで多少はご容赦くださいませ m(__)m

そんなんで、エコノミークラスでパースに行きました。
しかしオーストラリアはでかい国で、国内線にも関わらず5時間以上のフライトでございました。
まぁ、その距離を13年前の俺は55日かけて自転車で横断したわけだから、それにくらべたらあっという間だけど、成田=香港間より長いフライトなんだよねー
一度贅沢を覚えてしまったこの体。
果たしてエコノミークラスに乗るのが苦しいと感じないのかなー
「あー、トイレに行ったら隣の奴に、肘掛取られたー!」とかセコイこと言ったりしないかなー
などと不安になっていたのでございましたが、「イカンイカン、自分はDFSの創業者だ。」と言い聞かせ、フライトを楽しむことにいたしましたの。

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パース空港で日本でも有名なクリスピークリームのドーナッツ屋さんを発見!
並ばないで買えるなんて!買っちゃおっかなと感動していたら
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ハングリージャックスを発見!
通称「ハンジャ」と呼んでいたハンバーグ屋さんだが、バーガーキングのブランドをオーストラリア国内でブランド名を変えて展開していて、13年前の俺はよくたいらげていた。
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このオージーバーガーってのが、一番でかいやつで、マクドナルドで言うところのビッグマックと言うか、ダブルクオーターパウンダーみたいな存在で、特徴はデカイのとビートと呼ばれる赤いカブみたいな野菜が挟まってるのだ。
しかし、話はそれるがマックのダブルクオーターパウンダーってネーミングうまいよね。
クオーターって4分の1って言う意味じゃん。
4分の1がダブルってことは、2分の1って言う意味じゃん。
だから本当は、ハーフパウンダーってネーミングが妥当なわけじゃん。
でも、ハーフって言われるとさ、なんだかショボイ感じがしちゃうけど、ダブルクオーターって名前にしちゃうとさ、何だか分からんがダブルだから、すげー量なんだろーって感覚になるわけでさ。
インパクトが全く変わって売上も相当変わるんだろうなー。こういうネーミング付けちゃう人って天才だなーとか思うよねー
今度割り勘の時に「ダブルクオーター出すよ」って言ってみよっと。

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懐かしい!うまいぜ!!と感動しながらオージーバーガーをほおばりました。
ただしハイカロリーで、自転車に乗りまくっていた頃の自分ならカロリーを消費したけど、レンタカーの自分では消費できないので、ドーナッツは食べなかった。
なんつーかさ、新婚旅行から帰ってきて「あれ、晃ちゃんが妊娠したの?」なんて言われたくないじゃーん。
ただでさえ、自転車に乗っていた13年前に比べ15キロもデブ化しちゃったのにさ

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国内線だから食事は出ないと思っていたけど、しっかり出ましたです。
いつも思うんだけど、日本の航空会社も含めてエコノミーの機内食って味が???って感じで、こんなんだったら日本のコンビニ弁当の方が100万倍美味しい感じがするんだけど、コンビニ弁当出してもらえないのかなー
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こちらも不思議な味でございました。

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嫁さんを喜ばせたのが、キットカットのアイス
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へー、こんなのあるんだーと感動したけど、買うと3ドルもするんだぜー(240円)
「おかわり100本貰ったら、航空券代と変わらんねー。100本おかわりして、モトとっちゃえよー」と、とてもDFSの創業者らしからぬ発言をしていたのでありました。

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エコノミーは寝辛いっちゃ寝辛いけど、意外だったのは、ファーストに乗りなれた自分(そこ、2回しか乗ってないじゃんって突っ込まないように!)にとって、思っていたほど苦痛じゃなかった。
人間一度贅沢を覚えると、なかなかグレートダウンできないじゃない。
でもエコノミーに乗っても全然大丈夫でございました。
まぁ乗りなれていたってのが最大の理由だと思うけど(笑)
嫁さんと「お互いが近いねー」なんて言いながら、楽しみながら乗りました。
ふふ。
なんつーか
エコノミーだろうがファーストだろうが、吉野家だろうが5つ星レストランだろうが、どこでも楽しめるのって大事だよねー。
幅広ーく、人生を楽しみたいもんだ。

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エコノミーなので荷物待ちの時間が長いのだけど、待っているとなんだこれ?靴??

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靴だけ預ける人っているの!?と爆笑しながらシャッターをきると、隣にいたオージーが「体が行方不明になっちゃったね」とジョークをかましていた。
いいなー、こういうオージージョーク(笑)

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フライトを楽しみ、パースでレンタカーを受け取り、フリーマントルへ向かうことにした。
フリーマントルは、パースからちょっと走ったオシャレな港町で、デートスポットとか買い物とかパース市民が週末にくりだす場所で、日本で言うところの横浜みたいな感じの街だ。
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この国の定番、フィッシュアンドチップスを注文
「出来あがったらこの装置が光って音がするから楽しみに待っててね」と持たされ、そこには「西オーストラリア州でナンバーワンのフィッシュアンドチップスだ」と記されている。
西オーストラリア州は人口は少ないけどオーストラリア国土の半分近くを占めていて、西オーストラリア州の店では良く「この店が西オーストラリア州で一番だ」と書かれていて、謙虚なんだか傲慢なんだかよくわからん、このうたい文句が多い。
ちなみにシドニーになると「南半球で一番」と言ったうたい文句が多くて、でも南半球って先進国は少ないから、これまた謙虚なのか傲慢なのかさっぱり分からないうたい文句だ。
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出来あがったフィッシュアンドチップスは、西オーストラリアで一番うまいのかは分からんが、ふわっとしていて美味しかった。

嫁さんはトマトケチャップでチップス(フライドポテト)を食べたいと言っていたが、俺はビネガーをかけて食べた。そうビネガーとは酢のことだ。
オーストラリアでは、チップスにビネガーをかける。
最初はマズイと思っていたけど、慣れてくるとビネガー付きが美味しい。
ビネガーをかけたチップスを嫁さんは不思議そうな顔をしながら味わっていたが、俺は「懐かしー、うめー」と叫びながら食ったんだよねー
てかさー、ケチャップは別売でさー、ケチケチ旅行をしていた自分は、無料のビネガーばかり付けて食べていたんだよね

13年前の自転車旅の時、うまそうにフィッシュアンドチップスを頬張る俺を見て、店のおやじが「日本にはどのくらいフィッシュアンドチップスの店があるんだ?」って聞くから「全然無いよ」と答えたら「おい!それは本当か?オーストラリアはどんな小さな町でもフィッシュアンドチップスがあるんだぞ。日本には全然無いってすっごいビジネスチャンスだと思わないか?」とハイテンションで鼻を膨らませながら興奮していたけどさー
まー、確かにフィッシュアンドチップス美味しいかもしれないけどさー
日本にはもっと美味しいと思うものがたくさんあって、正直フィッシュアンドチップスだけで店を作っても流行らないよなーと思いながらも、凄い興奮してる店のオジサンの鼻を折るのも申し訳ないと思いつつ「マイビー(メイビー そうかもなー)」とバリバリのオージーイングリッシュでテキトーに話を流した。
あのオジサンは今でもフィッシュアンドチップス屋さんを続けているのだろうか
俺の無責任な一言で日本で無謀な賭けをして散在していたりしないだろうか
でも、どこまでもノーテンキなあのオジサンなら、楽しく人生を送ってるに違いないなー
そんなことを思い出しながら、久々のフィッシュアンドチップスを頬張った。

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嫁さんにインド洋を見せた。初めて見るインド洋に沈む夕日
ふふふ
デートコースとしてはバッチリなのだ。

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新婚旅行なので、スイートルームにチェックイン
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スイートルームと言っても、国道1号沿いにあるモーテルなのさ。
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あ、モーテルって言っても日本で言う変な意味のモーテルと違って、健全なものなのだ。
因みにスイートルームって言うのは、ベッドルームとリビングが別室になっていれば、どんなグレードのホテルでもスイートルームって言うのさ。
1泊150ドルだったので、1万2000円くらいなのだ。
13年前の自転車旅の時は、超ケチケチ旅行だったので、モーテルなんて贅沢なホテルに泊まったことが無いので、150ドルが高いのか安いのかさっぱりわからんが、とりあえずチェックインして疲れを取り、長かった7月15日が暮れて行ったのだ。