ひたすら続くフカフカの砂々地獄。


ひたすら押して歩く。
深い砂の道は、タイヤがめり込み乗ることが出来ない上、チェーンにまとわりついて抵抗になる。
ここは砂とコルゲーションのダブルパンチで最低の道だ。
砂地獄が終り路面が締まっていると嬉しさのあまりカッ飛ばしてしまう。
するとそこには地割れがぽっかり穴を開け待っている。
路面にはうっすら浮き砂が残っていてスリップ。


集中力があればスリップなどしないのだが、寝不足のせいで集中力が欠ける。
地割れに落ち、自転車も自分もハマリ抜け出すのに一苦労。
幸い打撲だけで済んだ。
まぁその気になればすぐ抜け出せるのだが、精神的に参って暫く地割れの中で動きが止まる。
するとそこへ4WD車が。
情けないが引き起こすのを手伝ってもらおうと思ったが4WD車はあっさり無視して走り去った。
大地にひっくり返ったまま上空を見上げると飛行機が飛んでいる。
「あぁ早くあれに乗ってかえりたい。」
ケープヨークからケアンズへは飛行機で帰るつもりなので飛行機を見ると泣きが入ってしまう。
途中何度も引き返そうと思ったが、今来た道を引き返すのは辛い。
だったら早くケープに着いてチャリンコから降りたい。
仕方なく前進したと言うのが本音だ。
まぁ落ち込んでも仕方が無いので、記念写真を撮る。
どうせ後で良い思い出になるんだろうと思えば、落ち込んでいても笑えてしまうから不思議だ。

ガンショットクリークは急な崖を降りると川になっている。

これが道だ。

重すぎるので、自転車と荷物をまとめて渡ることはできない。

自転車から荷物を下ろして何往復かして川を渡る。

その後、ジャーディーンリバーを超える。
ここは川が深く、ワニの生息率が多い。
3年前に人が食べられちゃったらしい。
この川では、泳いで渡るなどという無謀な事はせず、バイパスロードへ迂回し、渡し舟で渡る。


アボリジニのおじさんが船頭さんだが、良い奴だった。
バイパスロードなので4WD車で旅する人達が多い。
とは言っても1時間に2台くらいしか見ないが。
ここを自転車で走ると言うのは、4WD車で走る人から見るとヒーローに見えるようだ。
多くのドライバーから記念撮影を求められる。
俺はオチョーシ者なので、さっきまでの疲れを隠し、勇ましく振舞う。
あいあむ じゃぱにーず さむらいだ!
ゲイシャ・フジヤマ・バンザーイ!!
この日は、ジャーディーンリバーを超えた所に廃墟があったので、そこで寝た。
巨大な蜘蛛が歩いていたので、建物の中にテントを張った。
それでも屋根や壁があると、風の影響が無いので凄く快適に眠れる。

蚊に喰われた跡をハエが舐めに来る。

どれだけ追い払ってもしつこい奴らだ。

なんかもーどうでも良いって感じがして、笑いながら写真に収めた。

いろいろ感覚が麻痺してきたのだ。