篤人とLDHとわたしと。、

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『お祈りメール来た、日本死ね』 海老原嗣生

1)
aまずお祈りメールとはどのようなものかというと 就職活動をしていくなかで、様々な企業にエントリーしていくわけだが不採用となってしまったときに来る不採用通知メールのことをお祈りメールと呼ぶ。かつての就職活動は紙ベースであったが、2000年代からはその殆どが「就職ナビ」と呼ばれるWEBサイトへ移行した。となると不採用通知も郵便で受け取るのではなくメールで受け取ることになる。「当社とはご縁がありませんでしたが、今後のご活躍をお祈りしております。」という遠回しなメールが企業から送られて来て一方的に終了してしまう。企業を数多く受けている人はこのメールを大量に受けることとなるのだ。これに精神的ダメージを受けてしまう学生もかなり多い。近年の日本型採用はかなり軸がぶれぶれで抜け駆け企業が出たり、学生の学業が阻害されたり、入社後に社風とのミスマッチが発生したりしている。筆者は本書で日本と欧米国との採用、雇用における比較をしているがまず就職するにあたり日本型雇用の良い所を整理すること、2つめに欧米型雇用とは何かを知ること、3つめに欧米の大変さを知ること、そしてそれを踏まえて、改革案を考えることが大事であるとしている。
b)
私の姉と兄はもう職についているが、姉は就職活動中就職鬱のようなものになりかけてしまった。というのも就職についての明確な目標のないままに就職活動を初めてお祈りメールをたくさんもらい精神的ダメージをくらったからである。彼女は就職がなかなかうまくいかなかった中でなんとか採用してもらえるところを見つけたわけであるが、特に行きたかったところでもなければよく知っている会社でもなかった。その会社はいってしまえばブラック企業であり、彼女は3ヶ月でその会社を辞職した。私はそんな彼女の様子を家族という立場でずっと見て来たわけである。彼女のようになってしまわないように就職活動や雇用について学ぶこの重要性が痛いくらいにわかるので今回は本書を選んだ。

2)
いまの日本では「卒業後に日本型採用をやりましょう」というおかしな方向に向かっている。「日本型=未経験者の人柄採用」ですから、いくらでも早期選別自体は可能です。そうしたら、卒業後まで待っている企業はないでしょう。一方、欧米なら、未経験採用はほんの少数のエリートのみになる。大多数は、新卒にこだわらないけど、その分、企業実習、見習い訓練などで、経験を積まねばならない。卒業後に、未経験者を、大量に、という三条件のかけ合わせは成立しないのだ。
日本型採用批判論と欧米型賛成論という論議はこの手の本ではよくある論であるが、著者が指摘するのは、こうした議論の危うさである。日本企業の採用には、確かにそれは日本の特殊な雇用システムと切り離して理解することができない。強い人事権をもった人事部 によって、社内の欠員を組織内の異動によって補充する定期異動システム、多様な職務・勤務地で働くことを社員に要求する無限定雇用。日本型の新卒一括採用は、こういったさまざまな雇用システムを補完し、またそれらによって支えられることで成立してきた、一種の合理的なシステムだからだ。例を挙げてみるとフランスは長期のインターンシップで実務経験を積んだ上で採用するのが一般的で、超エリートはインターン中かなりの給与が出るが、それ以外は最低賃金以下で働かされていること、アメリカも大企業の新卒採用は一部の幹部候補に限られ、超一流大学の学生や地方大学の上澄み(GPA3.8以上など)のみであること、両者とも就職後の配置転換は本人の同意と政府等の職業訓練が必要であるため例外的であり、人材が足りない時は該当の業務に必要なスキルをすでに持っている人物を外部から登用するのが一般的であることなどが書かれていた。いってしまえば能力のあるものは初期の段階で判断を下され、エリート街道まっしぐらという感じで、のほかの大多数の人たちは殆どが出世できないという形である。日本人は出世できる形が基本であるので一生同じ仕事、給与ではきっとやっていけない。
日本の就職状況を取り巻く厳しい現実と日本以上に厳しい欧米の現実を客観的データを示して論じている。 若者が未来に希望を持てないのはどの国も同じなのかもしれないがそこに何とか光を見出そうと模索しているのが本書である。

3)
c 本書では欧米との比較がたくさんされているが、私は欧米は短時間でやることをやってバカンスなどの休暇をしっかり楽しめているといういってしまえば良い部分しか知らなかったように思う。しかし今回読んでみると安易に欧米の方がいいとは言えないと感じた。彼らも欧米型の雇用の中で大変な思いをしているのだと感じた。
d 今現在欧米と日本では全く違った雇用形態を取っているが、もっと互いの良い部分をしっかりと雇用主、被雇用者が理解し、取り入れていくことが大事である。

4)
もう大学生だからあまり勉強する機会もないと思っている人たちが多いのは事実であるが皆がこういった日本の雇用形態についてよく知り、勉強することについての重要性、そしてどうしていけば良い職につけるのか理解していくことが必要である。

5)海老原嗣生 2016 『お祈りメール来た、日本死ね』文春新書