ピアノ曲を使ったフィギュアスケートのプログラムで私が特に好きなプログラム・演技第2弾の協奏曲編である。
(第1弾ソロ編は ピアノとフィギュアスケート その1 | ピアノな日々)
ソロは色々な曲を使ったプログラムがあるが、協奏曲は感覚値ラフマニノフの2番がピアノ協奏曲を使ったプログラムのほぼ8-9割を占めるのではないか。(あくまでも感覚値だが)
他の協奏曲は、同じラフマニノフのパガニーニの狂詩曲がちらほら、他はグリーグとチャイコフスキーの1番はどこかで見たことあるような気がする程度である。
それくらい大人気である。
しかもオリンピックイヤーなどの勝負の年にこの曲を使う選手が多い。
緩急あり、美しいスローパートあり、ドラマチックで情熱的な旋律あり、で盛り上がるプログラムを作るのにこれ以上はないくらい適しているのであろう。
名演もとても多く、私のチョイスもラフマニノフ一色である。
①浅田真央選手 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
何と言っても真っ先に挙げたいのがソチオリンピックの浅田真央選手の’伝説のフリー’。
銀メダルで終わったバンクーバーオリンピックから4年間、金メダルを目指して頑張ってきた浅田選手だが、前半のショートプログラムで大きなミスをしてしまう。メダル獲得も絶望的な中、ノーミスで滑り切り、’奇跡’と大きな感動を呼んだ。
私も家族でこのフリープログラムが始まる確か午前3時とかの時間に起きてLIVEでこの演技を見て号泣した。
特に最後の有名な旋律にのせたステップとフィナーレのコレオシークエンスは最高だ。
今でも何回見ても感動が甦り、涙なしで見ることが出来ない。
②伊藤みどり選手 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第1番、第2番
1992年のアルベールビル・オリンピックで銀メダルを獲得した伊藤みどり選手のこれまた伝説のフリープログラムでの演技。
ラフマニノフのピアノ協奏曲を使ったプログラムは殆どが2番の第1楽章だが、この伊藤選手のプログラムは1番の第1楽章と2番の第3楽章を組み合わせたものである。
伊藤選手が女子で世界ではじめて成功させたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に金メダル候補として挑んだが、前半のオリジナルプログラム(現在のショートプログラム)で失敗して4位と出遅れてしまう。(当時のルールでは前半4位だと自力での優勝は絶望的。)更にフリーでもトリプルアクセルを失敗してしまう。
通常、大技はまだ体力のある冒頭や前半に組み込むもので、女子でトリプルアクセルを後半に跳ぶ選手は今も殆どいない。
伊藤選手も予定では前半の1回のみだったと思う。
しかし、伊藤選手は何としてもオリンピックでトリプルアクセルを跳びたいという強い意志で後半に再度チャレンジし、見事成功、金メダルには届かなかったが逆転で銀メダルを勝ち取った。
後半に伊藤選手がラフマニノフ2番第3楽章の美しい旋律に乗せてトリプルアクセルに再チャレンジしたときの驚き、成功したときの伊藤選手の満面の笑顔と歓喜は忘れられない。
③ナタリア・ミシュクテュノク、アルトゥール・ドミトリエフ ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
最初に紹介した2つの演技に比べて日本での知名度は圧倒的に低いと思うが、私がラフマニノフの2番を良い曲だなーと思ったのは実はこの演技がきっかけである。
1994年のリレハンメル・オリンピック銀メダルの演技(優勝ペアにはミスがあったため、こちらが優勝ではないかとの物議を醸した。)である。ちなみにこのペアはその1回前のアルベールビルでは金メダルに輝いている。
特に最後に男性が黒っぽい衣装から一部赤にチェンジしてのドラマチックなフィナーレは鳥肌ものだ。
④高橋大輔選手 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
高橋大輔選手がシニアで世界のトップ選手になり始めた頃の、初めてのオリンピックに出場したときのプログラム。
オリンピック前の2005年グランプリファイナルではこのプログラムで初のメダル獲得、全日本選手権でも優勝した(全日本選手権は一旦2位とされたが、その後採点ミスが発覚し、優勝となった)。
残念ながらノーミスでの実施の動画は見つけられないが、有名なピアノの旋律に乗せて’世界一’と評された高橋選手のステップが印象的なプログラムである。
⑤荒川静香選手 ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
トリノオリンピックで日本人初のフィギュアスケート金メダリストとなった荒川静香選手。オリンピックではショートプログラムはショパンの幻想即興曲の管弦楽版、フリープログラムはトゥーランドットで歴史に残る名演技を披露した。フィギュアスケートファンでなくても荒川選手のトゥーランドットにのせた美しい体をそらせたイナバウアーは知っているのではないか。
その荒川選手、このオリンピック選考会である前年末の全日本選手権(3位で代表選出)ではショートがここで紹介するパガニーニの主題による狂詩曲、フリーが幻想即興曲であった。
私はこのパガニーニのショートがカッコよくて大好きだったのだが、ジャンプを跳ぶタイミングがどうしても合わせづらいということでオリンピックには変更したそうである。
個人的にはちょっと残念な気もしたが、その変更がなければ名プログラムのトゥーランドットも金メダルももしかしたらなかったかもしれないのでやむを得ない。
⑥羽生結弦選手 ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
2度のオリンピックチャンピオン、希代のフィギュアスケート選手である羽生結弦選手がジュニアの世界選手権で優勝したときのプログラム。
まだ幼い感じの残るジュニアの羽生選手だが、演技内容はシニア選手顔負けで、その後の大活躍を予感させるものである。
当時のコーチである阿部奈々美さん振付で、ジュニア離れした羽生選手の表現力も存分に引き出している。
協奏曲編は以上だが、ジュニア時代の羽生選手のプログラム以外は全てオリンピックイヤーのプログラム。
来週始まるミラノ・コルティナオリンピックでもラフマニノフ2番を演じる選手はいるだろうか。
日本人選手の応援と共に、チェックしてみたい。