2026/3/21 14:00 東京芸術劇場
ピアノ:牛田智大
■ブラームス:7つの幻想曲 Op.116
■ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
■ブラームス:6つの小品 Op.118
■ブラームス:4つの小品 Op.119
<アンコール>
■ショパン:舟歌 Op.60
■ショパン:ノクターン 第17番 Op.62-1
本日は牛田智大さんのオール・ブラームス・プログラムのリサイタルに伺った。
ブラームス晩年の作品を一気に20曲演奏するという試みである。
牛田さん曰く、「限りなくシンプルで、限りなく孤独で、そして限りなく深く美しい感情に満ちている」「夜空に浮かぶ星々のような作品群」。
また、ツアー前のインタビューでは、「死を目前にした諦めというよりは、むしろ晩年においてもなお失われていない情熱の表れのような感覚」とも仰っていた。
確かに、そう思って聴いてみると、今日、牛田さんのピアノを通じて感じられたのは、全般的には孤独・寂寥・諦観に近いようなイメージやメロディが基調でありながらも、ところどころに希望や情熱がにじみ出てくるような音楽だった気がする。
大作曲家の晩年の作品を、まだ若い牛田さんが演奏することで、よりそういったニュアンスが伝わってきたのかもしれない。
若い頃の私だったら、多分、「うーん、正直に言えばショパンが聴きたかったなー」などと罰当たりなことを考えたかもしれない。
ブラームスの頃の50代と現代の50代では大分感覚が違うとは思うが、それでも50代も半ば過ぎると、時々ふと残りの人生に思いを馳せることがある。体も頭も若い頃のようには動かず、思うように出来ないことも少しずつ増えるが、一方でプラスにせよマイナスにせよ、色々なことに深い感情を抱くようになる。
このリサイタルを聴けたのが、今の初老に足がかかった自分で良かったなと思う、そんな時間だった。
アンコールは、私がショパンコンクールの配信で聴いて以来恋焦がれていた「舟歌」!
ツアーの他会場での情報で期待はしていたが、最初の1音が鳴った瞬間、心震えた。
配信で聴くのより、特に前半は優しいイメージで、終盤はやはり深く心に響いてくる音。
もちろん、トリルは限りなく美しかった。
いつか、50歳くらいになった牛田さんが今日弾いたブラームスを弾くのも聴いてみたい。
そのときに元気でリサイタルに行ける状態でありますように。



