「Op. ローズダスト 下」福井晴敏 | 読書ノート「本の旅」

「助けようと思えば助けられない道理はないのに、無名の他者を人間と捉えられない想像力の欠如、なにごとも合理で量る感性の磨耗が人を殺す。

そうして他者への共感を欠いたところで形成される国家は形骸に等しく、その国益が“全体の利益”になろうはずもない。

にもかかわらず、国家という組織自体の生存衝動に搦め取られ、時々の利害調整の産物を国益と呼ぶ思考停止が人を殺す。」