5月27日更新分・道外【石頭FBノート】 | 手上のコイン Blog

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五月天の石頭がFBのノートに書いてる日記を、ちょこちょこ翻訳しております。おかしいところがあれば、ご指摘下されば幸いですm(_ _)m

石頭FBノート 道外'170527


道外 5月27日更新


この街の光は好き放題な振る舞いで、わんぱくな子供のように春の最後の微かな涼しさを挑発し、無害ですこぶる親しみを感じさせる。
もしここの緯度がこんなに赤道から離れていなかったら、端午節前の陽の光は、それでもこんなに友好的で松花江(ハルビンを流れる河の名前)の水のように冷たく心地よくは無かっただろう。

このような光を見ていると、かえってベッドの中の暗がりが恋しくなる。それは一種、時間に背き、得難いゆとりに背き、可能性に背き、予想外な出来事にも背くことだ。

カーテンを開けた。窓の外にあるのは有名な龍塔だ。
光の下ではその前方の赤いダイヤモンドの煌めきよりは見劣りがする。
龍塔の前にただ指輪を被せてあるみたいに、青天の光を反射していて、それからはどうあっても目を離すことが出来なくなってしまう。
しなやかに地表の上に支えようとしているが、その下にいる人間はそれが作り出 した虚空を通り抜けるのに慎重にならずにいられない。

僕はこのダイヤモンドに警戒しながら道を通り過ぎた。
心の中ではただ早くここを離れることを考えていた。
それは、ダイヤの底の先端に真っ直ぐ向き合っていると、ダイヤモンドが最新鋭の兵器に変わって、全てを灰塵と化す光線を発射するのではないかと心配になるからだ。

幸い僕は古い道の外れに逃げおおせた。この「道」はそもそも鉄道だったところだ。光緒①の時代には東清鉄道と呼ばれていた。
鉄道の片側は道裏(鉄道より西の地区のこと)で人でごった返し賑わっている。僕がずっといたのは道外(鉄道より東の地区)だ。道外は道内の風景には劣るようだが、一種庶民的な味わいが異国情緒に満ちた街並みと融合していた。

地上に落ちる影はだんだん短くなってきた。
古い道のはずれにはたくさんの本格的なレストランが並んでいる。
一軒の三鮮餃子(豚肉・エビ・玉子入りの餃子) を売る店に入ると、店内の、客のいるテーブルの上には地元の豚の天ぷらと餃子以外に、申し合わせたかのようにどのテーブルにも飲みかけの酒が載っていた。
東北の剛胆な笑い声は僕の腹の底まで響いた。
コップの白酒を頼み、彼らと卓を隔てて共に飲む。
けれど、彼らはやはり男らしく、酒は既に三本目であるのに顔色ひとつ変わらなかった。
僕はまだコップの底が見えていないのに既に怪しくなっている。

この白酒の暖かさはあたかも外の陽光のようだ。
もし今晩の仕事が無かったら、この酒と天気なら古い道のはずれで酔って寝転んでしまうのも一興だ。
と心の中で思いながら、また2両(1両は50gなので100gほど)の餃子を頼んだ。
酒に浸るのは、この貴重なのんびりした時間を裏切らないだろう。




①清の時代の年号。西暦1875年~1908年。日本でいうと明治8年から41年の間の年号です。

ハルビンと聞くとモスクとか派手でカラフルなライトアップされた異国情緒の街並みを想像してしまうけど、2000年に建った龍塔も有名なのね。
しかしこんな話書かれたせいで、思わずGoogle mapで鉄道跡探しましたわ。


そして突っ込みどころ満載なんだけど、突っ込む気力がありません(笑)

誰か突っ込んで(笑)