【観劇記録】ペノザネオッタ | 手上のコイン Blog

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ONEOR8『ペノザネオッタ』

ぼくらはかれのために
ふっかつのじゅもんをとなえた


2011年6月18日(土)~6月26日(日)
赤坂RED THEATER

作・演出 田村孝裕

■Cast

恩田隆一
和田ひろこ
野本光一郎
冨田直美
伊藤俊輔

赤澤ムック(黒色綺譚カナリア派)
白州本樹
山口森広
広澤草
根本雅也
関口敦史

矢部太郎(カラテカ)


■Story

子どもの頃、いつも一緒に遊んでいた4人組。
3人は、彼のことを友達とは思っていなかった。しかし彼は、3人を親友だと思っていた。それから数年後、彼は……。


そういえば最近、見に行く予定の公演チラシをちゃんと持っていることが少ない。この芝居も、概要をチラシ見て書こうと思って探したが、20秒くらいで思い出した。
あ。チラシ、持ってなかったや……。←おそっ

Twitterのカンフェティーとかのツイート見てとっちゃったりするからなぁ…。

小さな設定がきちんきちんと合わさっていて、いい脚本であったと思うし、不思議と思わぬことでホロリとしてしまい、なぜだろうと首を捻りつつ。
懐かしい気持ちになった作品でありました。

ファミコンに夢中になった世代って、ドンぴしゃだな~。
矢部さん演じる周生は、身体の弱い子どもで、いつも体育は見学するような子。
どうやら手術なんかもしたらしい。
でも、一緒に遊ぶ仲間たち『男熟』の(誤記にあらず)メンバーや、周囲にはなるべくそれは知られたくなかったようだ。
そんな周生が子どもの頃遊び友達とずっとやっていたのは
ファミコン。
それも普通のソフトではなく、周生の父親が作って、小学生に売りつけていた海賊版ソフト。その中で、彼が一つだけクリアーできていないソフトがあった。
それが『ドラクワ』こと、ドラゴン・クワイエットというソフト。何のパクリだっったかは言うまでもない(笑)
ラスボス、ゾーマンの倒し方をその頃つるんでゲームをやっていたメンバーに訊いてくれと頼まれて、出かけた姉の美和。
しかし、彼はそのゲームをクリアしないまま、亡くなってしまう。

通夜の夜に集まった当時の仲間たちは、彼が知りたがっていたラスボスの倒し方を思い出そうと、そのゲームを始めるのだが、誰一人として思い出すことの出来ないまま、夜は更けてゆく…。


もちろん友人や家族の死という悲しい出来事が主題なのだが、観劇した後には哀しさではなく、どこか温かな想いと、ちょっぴりの切なさが残る。
でもその切なさは、どこから来ているのか、わからないほどに自分の中に同化した『何か』だったあたりが。まあ、同世代の脚本家の作品だったからなのかな~という気がする。

ゲームをクリアすると、嬉しいと同時に終わってしまったな~という、寂しさともなんともつかない感覚を覚える。
そういう時に感じる、ちょっぴり切ない気持ち。
まだ、遊んでいたかったような。これでいいんだというような。
昔を懐かしんだり、ああだったのだろうか、こうだったのだろうかと振り返る時もそうだ。
その頃に戻りたいような。大人になってよかったような。

何かを、積み残したままであるような。

生きている者も、たくさんの積み残しを振り返りながら、それでもそれぞれの日常を生きていくんだろう。
と、そんな気がした。

しかし、ドラゴンクワイエット、クリアのしかたがまた秀逸であったな~。

半ばゲームの中で生きていた周生。でも彼が仲間を見つめる目は的確で。そうやって、彼が存在していたという証が残されていて。

そいうえば劇中で、ゲームなんてクリアしても何もならないのに、男の人はなんで夢中になるのかと訪ねた言葉に、誰だったかがこう答えていたっけ(←すいません、そのあたりはウロ覚えで…。)
『男というのは何の意味もないものにロマンを覚える生き物なんだ』
と。でも、こういうロマンもいいかもね。
まあ、ゲームばっかりしている人は嫌だけど(笑)


前回観た絶滅のトリが面白くて、
本当はお金なくて見送る予定だったけど。
公演が終わりに近づくにつれどうしても行きたくなって、楽日の昼に当日券で観劇。

行って良かった。
本当に。