- 幽霊たち (新潮文庫)/ポール・オースター
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昔は原作ものの芝居を観る前には、極力、小説は先に読まなかったが、最近は逆に読むようにしている。
特に、この『幽霊たち』の感想を拾い読みしていたら、初見では解りづらい芝居のようだったので、読むことに。
オースターは、『偶然の音楽』を読んだきりで、他に手をつけるつもりは無かった。
偶然の音楽はまだ小説というか、ストーリーのある作品であったな、とこれを読んで思う。
幽霊たちの登場人物たちには、名前がない。
正確には、それぞれの呼び名は存在する。けれど、それはブルー、であるとか、ブラック・ホワイト・ブラウン……。
呼び名以上の意味は存在するのかどうか定かではない。
物語が存在する街の風景の方がずっと明瞭であると言っていいほどに。
そして、彼らはその存在。自分が自分であり、彼が彼であり、ということにすらもだんだんと輪郭を失っていくのだ。
あたかも、生きていても幽霊であるかのごとくに。
万人に面白い小説ではないと思うけれど、ちょっと変化球の小説なので、それなりの面白みをもった本だった。
芝居で観るとまた、違うんだろうな~。
楽しみ、楽しみ(笑)