【観劇記録】今日、秋晴れスル。 | 手上のコイン Blog

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『今日、秋晴れスル。』 
2009年10月9日(金)~10月18日(日)
中野・劇場MOMO


のらくら閑劇記-kyou

脚本 小林佐千絵 
演出 中村公平


■Cast

前澤航也
碓井将仁
福田修司
斎藤政希
中村公平
水野真花(シフトエス)
福沢重文(演劇集団スプートニク)
堀田勝(ブリングアップ) 
岡戸三樹
冨田裕美子
小林高朗
沼忠宏
吉村京太


■Story

ある街のある路地にある小さな喫茶店。
古ぼけた店内、コーヒーおかわり200円、
ドアが開くとカウベルの音。
それはどこにでもある流行らない店。
ただひとつ違うところは、
そこが歌声喫茶であるということ。
数十年前までは・・・。

閉店をひかえたある日、
私はふと思い出した。

父親が自慢げに語っていた
歌声が響くこの店のこと。

喫茶店カポカポは閉店します。
長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。
そう書くはずだったハガキに

集え!若人!!
集え!かつての若人!!

・・・と書いてみた。

「マスター、何やってるんですか?」


秋の空の下、
小さな出会いの物語が始まります。


(HPより)



まだまだ宿題消化中(笑)。


去年良かった公演の中で五指には入る。
要所要所を良く押さえた脚本と、魅力的な役者さんたち。個性を生かした配役。


かつて歌声喫茶だった、古い喫茶店。
その閉店を決めた今のマスターが、開店当時、父親と一緒に店を切り盛りしていたという友人たちに、一週間だけの歌声喫茶復活のお知らせを出す。だが、そのほとんどは現住所不明で戻ってきてしまう。
どうやって歌声喫茶を再現したものかと店の人たちが頭を悩ませる中、いきなりやってきたお客さんと共にハプニングが舞い込んでくる。

突然店のトイレに立てこもってしまった歌手と、それを追いかけてきたファンとマネージャー。
歌手は、歌うことができなくなってしまったという。

そして出した案内のハガキの返信を持って尋ねてきた宛先人の息子だという男性。だが、彼は父親の不参加の理由をなかなか話そうとしない。

また、閉店よりも先に店を辞めて世界旅行に出るというバイトの代わりに、店にアルバイトに来ることになった女性にもどこか、おかしなというか不思議なところがある。

登場する人物達の一人一人に事情があり、悩みがあり…そんなことが少しずつ露呈して行く中、
マスターの父親の遺品の中から、当時の店の仲間達で書いていたノートが掘り出される。その中には作りかけのオリジナルソングがあった…。



最初は浮いたように感じるセリフが、繰り返されていくうちに突然ジーンとさせられたり、思いがけないところから登場人物の背景がわかったり。
おかしな、個性のある人たちがたくさん登場するのに、その導線がからまったりせずにきちんとラストへ収束してゆくのが凄かった。


決して大団円とか、全部の問題が解決するわけじゃない。
起きてゆくのは、ほとんどが人間の力で起こすことのできる、小さな奇跡。
人が灯すことのできる、小さな勇気。


だからこそいい。そう思った。