- きよしこ (新潮文庫)/重松 清
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『きよしこ』
重松清・/新潮文庫
吃音の少年を主人公にした、連作短編集。
少年時代から、大人になるまでの成長や出会い、別れを描く。
重松さんの小説は、好きだけれど、私はそんなに連続しては読まない。
一つ一つをかみ締めるように大事に読みたいと思わせる作家さんだからだ。
それに、決して、楽観主義のようなお話は書かない作家さんだと思っているからでもある。
夢物語のように、ご都合主義で、めでたしめでたしとはならない。
現実の残酷な側面も、人間の弱い側面も、
ちゃんと描き出す。
けれど、その視点は冷淡ではなく。
いつも優しい。
このきよしこも、重松さん自身の体験ももちろん反映されているのだろうけれど。
少年を特別な者には描いていない気がする。
だから、誰もが共感できる。
そして、物語はそっと云うのだ。
「生きてるって、大変だけど悪くない。」