神秘思想と形態形成場 その4 | 日本人よ速やかに新人類に変貌せよ!

日本人よ速やかに新人類に変貌せよ!

革命家足立啓司がゴーピ・クリシュナの遺志を継いで運営するクンダリーニ・リサーチ・ファンデーション日本支部からの情報発信。

 

  シェルドレイクはその分野の文献を調べたり、結晶学の専門家の話を聞いて、新しい結晶物を形成することの難しさを知りました。それを実現するのに或る一定の時間の経過が必要だという。問題が時間であるなら、研究者達が試行錯誤の時間を重ねていくうちに次第に実験技術に熟練していくからとの説明ができよう。しかし、これまで決して結晶化しようとしなかった物質がある日を境に全世界的規模で一斉に結晶化するようになった、とするとそれはどう説明できよう。結晶化のきっかけが結晶体の分子であることから、その分子が大気圏内にすでに拡散して準備が整っていたとの説明が出た。また、世界を飛び回って活動する結晶学者達の髭に付着して結晶体分子が世界中に広がっていったという説すら登場した。

 シェルドレイクはまたネズミの学習に関する多くの学術論文にも目を通しました。ニューヨークで行われたネズミの学習実験。いつも一番優秀なネズミが選ばれて次の世代の繁殖を進めた。優秀なネズミは世代を継いで実験においてますます巧みになっていった。こうしてゆっくりとではあるが優秀なネズミの血統が誕生していったのだが、時折、そんな背景の無い凡庸なネズミが優秀なネズミと同様の学習能力を示すことがあって、そういった事実は全て異常または理解不可能と結論されました。数年後、全く同じ学習実験がニューヨークのネズミとは無関係で行われました。場所はスコットランドのエジンバラ。ところがここでネズミ達は最初の世代からニューヨークのネズミの30世代後のネズミと同じ学習能力を示したのだった。同様に、少し遅れたオーストラリア、メルボルンでのネズミの学習能力実験でも同じ結果が現れました。つまりここで言えることは、にわかに信じ難いけれども、世界中のネズミ達が場所を違(たが)えても同じ行動をする、同じことに習熟するという事実です。

 かく、生物学的に見た多くの事実はシェルドレイクの形成因果の仮説を支持するのです。種の繁栄において優性劣性の特徴は、どちらが長く存在していてその形態形成場が強固に確立されているかという問題としてとらえられる。劣性の生物の形態形成場は、その確立が安定していない、と考えられる訳だ。例えば雑種の鳥の行動は時に奇妙である。形態形成場にうまくつながっていない。そんな様相を示すのだ。隔世遺伝とか先祖返りは、遠い昔の先祖の形態形成場に同調したと説明できないか。機械論者や生気論者には説明ができない。シェルドレイクはこの世に起こる不可思議な現象を説明するのが自説<形成的因果作用>の仮説だと言います。ただあくまでも仮説であるから、立証が必要だと言い、そのための実験を準備しているとシェルドレイクは述べています。

 

 シェルドレイク、1942年生まれで、僕足立啓司は1958年生まれ。ヒッピー文化の真っただ中で青春を過ごしました。で、この文化の、その行きつく先は精神文化でした。ある種のドラッグもこれに結びついて、ナチュラルハイとか積極的に肯定されました。二人ともインドに住みました。当時、スピリチュアルを求めた若者が世界からインドのそこら中に押し寄せて、まるで唐時代の長安もかくありなんという風情でした。僕の印象ですが、インド人およびウパニシャッド哲学、ヴェーダーンタ哲学、仏教哲学等インドの精神文化は、個人の脳みそを超えた、脳外の意識の存在を平気でまじめに語る文化です。ユングが言った集合的無意識です。で、ユングもまたインド滞在者でインド精神文化の薫陶を受けています。

 次回からシェルドレイクの仮説とイスラム神秘思想家イブン・アラビーの思想を関連づけて稿を進めていきます。

 では次回に!

 

ボディサットヴァ/足立啓司