神秘家としてそしてまた哲人として特筆すべきゴーピ・クリシュナの高次元意識に関する調査と彼自身の直接体験に照らし合わせてみると、ホイットマンの、これまで大胆に叙述されてきた彼の神や自然や人々との関係性をより深く理解できる説得力のある真相が見えてくる。
ホイットマンの伝記は多くの作家によって著されているので、ここではその彼の生涯の出来事を事(こと)細かくたどって紹介はしない。
ホイットマンの意識はクンダリーニの活動によって或る日拡大した。そういう仮定の上に立ってホイットマンの考えや行動をここでは検証していきたい。
ゴーピ師の提唱した理論によれば、根本的生命エネルギー、<クンダリーニ>は、人間が獲得し得る一切の創造性、非凡な能力、直感、そして霊性開顕の直接の原因である。
天才や神秘家には共通点が多い。ある種の光や音響を体験する。自分を取り巻く環境が自分と一体化している感覚を持つ。他者を惹きつける存在として磁力を放つ。治癒能力や予知能力を発揮しながら、人格障害と揶揄される。そして世間に対しての距離感・・・。これらの特徴を表す実例にあふれているのがウォルト・ホイットマンの生涯であり、彼の作品である。
一般の文章スタイルを逸脱(いつだつ)する彼の作風は革命だった。
しかし、人間精神の謳歌(おうか)を表現するにあたって、ホイットマンにはその破天荒な作風が必要だったと伝記作家並びに研究者は一致して考えている。
僕と一緒に草の上でくつろごう
よ。
喉(のど)の栓はゆるめて。
歌詞も曲も韻も要らない。
慣習とか説教も要らない。
これが最高だ、と呼ばれるものも
必要ない。
静けさがあれば、それでいい。
君のバルブ付き(調子が変化す
る)のハミングはいいね。
そう言えば、あの6月の日、僕等
は横になっていたね。
とても透明な夏の朝だったね。
君は頭を僕のお尻の方へと横切
って移してからおもむろに優しく
僕の方に向きを変えた。
僕は、着ていたシャツの胸をはだ
けて君の舌を僕の丸裸の心臓に
突っ込んだ。
君は、僕のひげを感じただろう。
僕の足までつかんだだろう。
その瞬間、僕にはわかった。
この世の一切の人為と議論を超
えた安息と歓喜と知識の実在を。
それらは僕のまわりに広がってい
た。
僕はわかった。神の手は僕にも
約束されていたんだ。
さて、ホイットマンの<僕自身の歌>からの抜粋ですが、みんなはどう感じますか。次回、一緒に解釈を試みましょう!
ではまた
ホモ・ノブス/足立啓司