バンツマ若き日の無声映画、江戸怪賊傳 影法師 | 楽しい倫敦 おいしい倫敦 

バンツマ若き日の無声映画、江戸怪賊傳 影法師

こんなに古い映画なのに、この日は観客に二十代か三十代の若い女性の二人組だの三人組がいたのはどうしてだろう。その三男の田村正和ファン? 長男の田村高廣だったら二十代のバンツマにそっくりだが、正和はあまり似ていない。

2024.5.16(木)

国立映画アーカイブサイレントシネマ・デイズ 2024、6日間に6本の映画が取り上げられた内で唯一の邦画、

(ポスターの写真は1934年の中国映画、富豪令嬢の陸上選手を描いた「スポーツの女王」。)

江戸怪賊傳 影法師 という1925年、バンツマ、坂東妻三郎 が23歳で人気急上昇中の頃の1本を観に行った。

義賊、影法師は無敵の剣士にして怪盗、掏摸も達者なのだが、実は女盗賊と言うか 月形龍之介 演じる悪い男に捕まって女房、盗賊にさせられたお栄とひょんなことから愛し合い、そこに脱獄した月形が現れて捕り方に囲まれてというまでの前編。

なのだが、流石に100年ものの映画で残っているフィルムは相当傷んでおり、欠落も少なくない感じ。長~い字幕が一瞬で消えて読めなかったり、最後は大立ち回りが盛り上がり始めたところで唐突に「完」となったり、そもそも字幕がそんなに丁寧には入らないから、馬鹿に親切な解説サイトで予習していなかったらストーリーを追えなかっただろう。こんな珍品なのだから、やはり活弁付の回に行くべきだったかな。

マドンナのお栄役の マキノ輝子 というのは日本映画の父とも言われる牧野省三の娘で弟には監督のマキノ雅弘、この暫く後には歌舞伎の沢村国太郎(妹は沢村貞子、弟は加東大介)と結婚して津川雅彦、長門裕之を生むのだが、この映画の頃は亭主役の妻子ある月形と不倫関係、少し後には駆け落ちして一女を設けたとか、いやはや何とも。

バンツマも月形も二十代前半の若い時なんか初めて見たが、月形はこんな若い時から敵役だったのだ。