エノケンの孫悟空 | 楽しい倫敦 おいしい倫敦 

エノケンの孫悟空

2024.3.27(水)

神保町シアター の特集、五所平之助山田太一と木下恵介 に替わったら、毎日その朝の1回目だけは エノケン生誕120年祭 として4本の映画を連続上映することになった。朝ドラのブギウギで笠置シヅ子と共に改めて少~しスポットライトが当たった面もあるかな。高齢者だから笠置にしてもエノケンにしても現役時代を知ってはいるのだがそれは最盛期を過ぎてから、笠置なんか40代で台風家族というTVドラマに出ていた時はおばパーマの回転焼屋のおばちゃんそのもので、かつては歌って踊るブギの女王と聞かされても信じ難かったし、エノケンの場合も知っているのは1962年の右足切断の頃以降で、その笑いも時代遅れの感があった。

で、観に行ったのは1940年の 孫悟空

これは山本嘉次郎が脚本・監督、前後編計220分の大作で大規模セットや野外ロケを多用して何十人もの踊り子が歌い踊るミュージカル仕立て、猪八戒の巨漢、岸井明の他、三蔵法師や沙悟浄あたりはエノケンの仲間だが、お伽国の狆々姫に高峰秀子、珍妙大王に人気コメディアンの高勢実乗、徳川夢声、さらに歌い手には李香蘭、渡辺はま子、藤山一郎と人気者を大量動員、全盛期のパワーを感じさせた。

機関銃をバリバリ撃ちまくったり、筋斗雲ではなく飛行機で飛んだりする斬新なドタバタナンセンスでもあったが、その特撮はまだ四十前だった円谷英二さんだった。

でも、出来としてはどうだろう。大規模セットや野外ロケではチビのエノケンが走り回り跳び回る珍妙な味が活きなかったような。

むしろ一番印象が強かったのが 中村メイコ さん。2歳から子役で活躍したという彼女がこの時は6歳だが、お伽国の百科辞典の精 袖珍という大事な役で天才子役と言われたことはあるなと改めて認識した。