今度は江戸狛犬図鑑で遊ぶ①富岡八幡宮 | 楽しい倫敦 おいしい倫敦 

今度は江戸狛犬図鑑で遊ぶ①富岡八幡宮

2024.2.3(土)

買うほどじゃないけどちょっと読んでみたい本が色々ある図書館でまたヘンな本を見つけた、江戸狛犬図鑑

あちこちの神社で、ちょっと気になる個性的な狛犬を見掛けることは間々あるけれど、説明板なんかまずないから大抵はそれっきりの不完全燃焼になっている。台座に奉納者の名前や年代が書いてあったりはするけど残念ながらたいてい読み辛い。

著者の 荒 勝俊 氏は 東京狛犬散歩の会 を主宰する人だが、本業は早稲田の教授で専門はバイオテクノロジー、畑違いもいいとこのこの本では200社以上の神社(一部は寺)の狛犬を1600-1700年代、1800年代、1900年代、年代不詳に分けて紹介している。大変な労作だと思う。

狛犬の起源、意味するところは諸説あるようだが、日本には平安時代に伝来、当初は天皇の玉座を守る一対の唐獅子像、その内に向かって左の口を閉じた吽形が角がある日本独自の霊獣、狛犬に置き換わって、向かって右の口を開けた阿形の唐獅子と共に神社を守護するようになったとか。但し、実際には一対の左右の姿はあまり変わらない。

富裕な商人など町人が奉納するようになった江戸初期の素朴で彫りの浅い狛犬を 日本参道狛犬研究会 なんか設立した研究家でもある 三遊亭円丈 師匠は「はじめ型」と命名、その他「唐獅子型」、関西に多い和犬っぽい「短足型」、明治以降の威厳ある「護国型」などに分類、加賀では逆立ちするなど地方色もあるらしい。観察に当たっては顔、毛並み、頭部、足元などが観察ポイントになる。

 

でもこれ程多数の神社を改めて回るのは並大抵でなく、取り敢えずは手近な 富岡八幡宮 をチェックした。この本に紹介されているのは五対だが、多分新しい年代不詳ものがもう一対あって結構な数だった。下町は関東大震災と東京大空襲で二回こてんぱん、古いものは墓石位しかないと思ってたが、狛犬もあったことを改めて認識した。

まず最大、最古の、比較的オーソドックスな一対が拝殿前の石段下にある。

頭頂部に穴があるのは多分、角か宝珠があった跡、台座をよく見ると海邊 大工町が 享保12年 に奉納したものだと分かる。吉宗の時代、1727年という300年物なのに思いの外傷みが少ない。一方、阿形の方の頭には何も無い。

ゴジラ顔のインパクトでは永昌五社稲荷神社前の赤鳥居のとこの二番目に古い1763年奉納の阿形。少々傷みが目立つ、造りとしてはやや素朴なこちらは阿吽の双方ともに頭頂部に角っぽいもの(宝珠かも)がある。

力強さでは永昌稲荷すぐ前の阿形がなかなかだが、これは1864年とやや新しい。1800年代になると技術が磨かれて凝ったものが増えるようだ。

西側の大鳥神社などの摂社がある一角には、これは眉毛が印象的で妙にじじむさい1859年物の阿形。確かに色々あるもんだ。

あとは古い、面白い、行きやすいものを見繕っていくつか訪ねてみたいかな。