アフガニスタンで、2期10年在職したカルザイ大統領の引退に伴い、5日土曜日に大統領選挙が行われた。

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アフガニスタンは、資源もなく、農作可能な土地にも恵まれず、生活は極めて厳しい。

平均寿命は、ほぼ世界ワーストと言ってよく、48歳しかない。

2001年タリバン政権崩壊後、大統領選挙は3回目となる。

法律で3選が禁じられているため、
カルザイ大統領は出馬できず、

タリバン政権崩壊後では初めて民主的に政権が交代される。

しかし、選挙前にタリバンが妨害を宣言しており、

既に起きたいくつかの暴動の犯行声明が出されている。

前回2009年よりも国内のセキュリティが強化された。

パキスタンでも国境の検問所が閉じられ、パキスタン軍が配備された。

選挙の結果が出るまで数週間掛かり、
8人の候補者の中で過半数を得た者がいない場合は、
上位二名の決戦投票が行われる。

今のところ、当日は何も起きていないと報道されたが、最終的に市民20人の死者が出た。

タリバンは、再び厳格なイスラムの教えによる統治を目指し、選挙を否定する。

国民の世論調査では、最優先課題に治安が挙がる。


アフガニスタンは、
冷戦時にはソ連侵攻され、
ソ連撤退後はテロの温床となり、
同時多発テロでアメリカの攻撃受けて政権が崩壊し、
カルザイ大統領に統治されてからも、
アメリカ軍や国際駐留部隊が治安を維持していた。

駐留部隊は今年末に撤退することになっている。

アメリカは今後もアフガニスタンと安全保障協定を結び、駐留を継続しようと試みているが、米軍の犯罪による反米感情が強く、交渉は難航している。

アメリカは、これまでの軍事成果として、この地域での影響は残したいと考える。

カルザイ大統領が、協定の署名を先送りしたのは自身の権力を退陣後にも引っ張るためとも言われるが、交渉の争点は裁判権である。

アメリカは犯罪を犯した米兵をアフガニスタンの法律で裁かれないよう要求し、アフガニスタンは当然これに反対する。

アメリカは、他の駐留国でも同様であり、アフガニスタンだけが不公平に主権が制限されているわけではないと、日米地位協定の例を持ち出す。

これは完全な言葉のあやであり、日本の沖縄では裁判権は制限されている。

要は他国同様に不平等を飲めということだ。

アメリカの交渉姿勢は非礼で強気だ。

しかし、テロ活動があるような国では、アメリカが完全に撤退すると、治安はさらに悪くなるだろう。

テロの無い状態というのは、実はすごいことなのだと思う。

少数弱者の声が無視されるからテロが産まれる。

リーダーは面倒でも少数意見を聞いて行くことから始めなければならない。

暴力や非論理には屈してはいけないが、
0点か100点を取り合う全面対決ではなく、
ある程度は折れて失点を許容するより仕方ないと思う。

まずは60点を取り、テロ活動の起きない状態まで持って行かなくては、民主化を始めるのは難しい。

ただし、怒りがエスカレートしているテロリストになると、まともな要望をしてこないことがほとんどであるため、60点すら非常に難しい。

この教訓を日常に例えると、離婚協議の席では既に遅く、普段の揉め事の初動段階で相手に意見を出させて点を取らせておくことが重要だ。

Afghanistan Chooses a New Leader