hominism
「もみ」といいます。

東方神起のおふたりが何より大好きで大切です。
ふたりのお名前を借りて頭のなかのお話やライブレポを書き綴っています。
お話はホミンのみです。

あくまでも私の頭のなかのお話なので、そのような内容に興味の無い、お好きでない方はそっと閉じて頂けましたら、と思います。
また、お話は全て幸せな結末にしかなりません。

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@hominism0212 こちらは鍵でブログの事も呟いています

ご訪問ありがとうございます、ご縁があれば幸いですニコニコ







  • 18Feb
    • What is love 2

      塾に居る間もずっとそわそわして、集中なんて出来なかった早くユンホさんに会いたくて堪らなかったからだって、連絡先を掌に書いてもらったのにそれが消えてしまって、もう会えなかったらどうしようと怖かった経った一晩の、一時の出会いそれなのにあまりにもユンホさんの存在は強烈に僕の心に焼き付いて、ほんの一瞬で恋に落ちた塾に向かう途中に偶然、工事現場で働くユンホさんに会えた嬉しくて嬉しくて冷静で居られなくて、次の約束…つまり、昨日と同じ時間に昨日出会った公園に来る事、と言われた事で舞い上がってしまい、また連絡先を聞きそびれてしまったきっと、あのひとは約束を守ってくれるそう勝手に思ってはいるけれど、僕が知っている事と言えば…「二十歳、ユンホさん、それから仕事…あとはこれだけ」学ランのポケットに入れたままの、小さなココアの缶昨夜ユンホさんとふたりで飲んだ、彼の好きだという飲み物僕が知るのはそれしか無いだから、本当にこの後会えるのか分からなくて、大事な試験の時よりも心臓はばくばくとうるさかった「シム君、次の問、もう解けてる?」「…っあ、はい」心ここに在らずだったけれど、昨夜も予習はきちんとして来たから、何とか答える事が出来た講師には丸を貰えたけれど、その後に『だけど集中するように』と言われたしっかり僕の事は見抜かれていたようだ塾が終わった後、友人では無くて塾仲間の女子に声を掛けられた分からないところが有るから教えて欲しいと言われて、更にたまに話をする男子に『あの子は多分シムの事が好きなんだ』なんて揶揄うように言われた昨日の夜を迎えるまでの僕ならば、将来の為に恋は必要無いなんて言いつつもそれなりに喜んだかもしれないだけど今は全く心は動かない、どころか早く塾を出たくて…「ごめん、他の誰かに聞いてもらって良い?今日は早く帰らないとなんだ」両手を合わせて謝って、彼女が更に何か言いかけたけれどそれを聞く事も無く教室を出て走った擦れ違った講師には走らないように、と言われたまた謝って『さようなら』と挨拶をしたら、『シムがこんなに生き生きしているのは初めて見た気がする』なんて言われたやっぱり、僕は今分かりやすいのだろうかと言うか、今までがそんなに生き生きしていなかったのなら、ユンホさんは眠っていた僕を起こしてくれたような凄いひと「冷えちゃった…でもまた一緒に飲めると良いな」学ランの上から膨らんだポケットに手を当てたダッフルコートを着て、夜の道をあの公園に向かって走り出した体力が無くて、結局走り切る事は出来なかっただけど、塾を時間通りに出たからユンホさんが言った『昨日の時間』には間に合う肩で息をしながら、それでも足を止める事無く歩いて、途中で母親にメッセージを入れた昨日、帰宅した時に遅かったとか、バイクの音が五月蝿くて心配したと言われてしまったから『塾の皆で復習と予習をする事になったから少し遅くなる心配しないで』そう送ったら、直ぐに既読がついて『心配だから、ちゃんと連絡してね危ないから友達と一緒に帰ってきてね』と返ってきた「心配性…大丈夫だよ」大丈夫、なんて何も保証は無いユンホさんの居る世界は僕の知らない世界だろうからだけど、それよりも彼を知りたい否が応無く惹かれてしまって止まらない「…良し、これで当分返さなくても良いよね」キャラクターが『OK』とジェスチャーするスタンプと、それから『今から始めるから』と返信して、ココアを入れたポケットと反対の学ランの右ポケットにスマホを仕舞い、また少し走った「……やっぱり少し暗いし怖い…」近道だと思って昨日通った裏道普段通らないからやはり慣れないだけど、その先にユンホさんが居ると思うと、それだけで怖くたって進む事が出来るとは言え、昨日この先で体格の良い男達に絡まれて財布を盗られそうになった事を思い出してぞくりとした「…っ…大丈夫、だってあのひと達よりユンホさんの方が上で…」そのユンホさんが僕に来るようにって言ったのだから首を横に振って手袋をした拳を握って、それからリュックの紐をぎゅっと握って足を進めたのだけど…「…え、誰……もしかしてユンホさん?」公園まで後少し、というところで前から光と、それから音が聞こえたバイクの音で、どうやら一台では無く数台いる様子誰か分からなくて流石に脚が震えただって、音が普通よりも大きいから、例えば通りすがりの普通のひとでは無いと分かったから「どうしよう…」一度だけ、後ろを振り返った引き返そうかだって、もしもまた襲われて財布どころか暴力を振るわれたら?もしも不良のようなひと達に追われたら、僕の足でバイクから逃げるだなんて不可能治安が悪い土地じゃ無いそう思っていたけれど、僕が知らない世界なんて幾らでも有るのだと昨日知ったばかり「…あ……」震える足は結局動かなくなってしまって、どうやら三台だったバイクは僕の前で停まった「度胸が有るんだな、乗れ」「…え…」「ユンホさんに呼ばれたんだろ?居たら連れて来るように言われたんだ早くしろ」昨日の男達かと思ったら、そうでは無かっただけどやはり、と言うか如何にも怖そうな男ユンホさん、と言っているだけどもしかしたらその名前を出して僕から財布を盗ったり…悪い事を考えているかもしれない「本当にユンホさんの仲間ですか?」「信じないなら帰れよ俺達だってお前みたいな子供にユンホさんが執着するところなんて見たくない」「…っ子供じゃ無い!高二です」「は?同い年?嘘だろ…あはは、聞いていた通り度胸があって面白いんだなとにかく乗れよ」体格の良いその男は、バイクから降りて僕の腕を掴んだ「痛っ、離してよ」「じゃあ自分で乗ってくれユンホさんが待ってる」「……」掴まれた左手首が痛いだけど、それはユンホさんと出会った証のようで、痛む事に安堵した昨日初めて乗ったバイク、だけどユンホさんのそれとは違うバイクに乗って、ヘルメットをしないままあっという間に僕は昨日の公園に着いた「…ユンホさん!」「本当に来たんだな、チャンミン」「だって約束したし、それに連絡先をまた聞きそびれて…会えなかったらどうしようって、ずっとあれから考えていたんです」エンジンを切ったバイクから直ぐに降りて、ユンホさんに抱き着いた塾に行く途中、工事現場で会ったユンホさんは仕事用の服を着ていたそれも格好良かったけれど、今は昨日の夜と同じような、まるで闇夜に溶け込んでしまうような黒い上下「おい!ユンホさんに軽々しく触るな」ぎゅっと抱き着いていたら、後ろから僕の肩を誰かが掴む嫌だ、と首を振ったら…「こいつに触るな」「…ユンホさん…」誰か知らない男の手は、ユンホさんによって退けられた僕は男なのに、それなのに守られたようで嬉しくてどきどきした「チャンミン、此処に来たって事は、俺から逃げないつもりだって事だよな?」ゆっくりとユンホさんが僕の身体を離して、至近距離で見つめられた小さな公園、周りには十人程の男達が居る多分、だけど皆年齢は二十前後そして、昨日僕を遅い掛けた三人は見当たらない「あの、昨日のひとは…」「ああ、俺のオンナに手を出そうとしたからもう関係は切った」「女って…」「チャンミンが俺のオンナになるんだろ?俺の事を知りたくて怖いと思っても此処に来た度胸のあるやつは好きだ、だから受け入れてやるよ」「…っえ、……っんんっ…」腰をぐっと抱き寄せられたユンホさんの顔が信じられない程近くに来て、近くで見たらまるで彫刻のように綺麗で格好良くて見蕩れていたら口が塞がれて息が出来なくなった「…っん、…んぅっ、……っ!」離して欲しい、とユンホさんの胸を叩いてみたけれど、胸は厚みがあってびくともしない細く見えるけれど、筋肉質なようだ「…っ、や……っん…」「…チャンミン、キスもした事無いの?鼻で息をしてご覧」「…え…キス……」漸く塞がれたものが外れて、ぷはっと息を吐いたら、まだ至近距離に居るユンホさんが僕の目を見て囁いたその瞬間に、唇が触れていた事を漸く理解して、理解したら身体がぞわぞわして経験した事の無いような気持ちになって…「あはは、急に嬉しそうな顔になるんだな、可愛い今度は鼻で息をしてみて?」「…ん……っふ……ん…」「うん、上手だ」ダッフルコートの上から腰を擦るようにユンホさんの大きな手が動く服の上からなのに、まるで裸を触られているように感覚が過敏になる僕の初めて…いや、二度目のキスはキスだと分かった途端に頭がふわふわして、熱い舌が入ってきて戸惑っていたらあっという間に僕の舌も絡め取られて…「早く俺のオンナにしたいな」「…っん……僕は男…」「知ってるよ、でも俺が好きなんだろ?」「…うん」周りに何人も居るのに、キスなんてしてしまっただけど、キスをしたって事はユンホさんも僕を好きだって事で、つまり僕達は恋人で…「俺が好きならオンナになってもらわなきゃ」「え…それって…」「本当は今直ぐ、と言いたいところだけど…残念、呼び出しだ」「え……」僕から名残惜しさも何も無い様子で手を離したユンホさんは、ポケットのなかからスマホを取ったどうやら電話が掛かって来たようで…「問題は起こして無いって言ってるだろ犯罪なんて何もしてない……分かった、帰る」苛立った様子で電話を切ったユンホさんは、まるで知らないひとのようで怖い「あの…」「チャンミン、電話番号は?」「え…」「チャンミンの番号、登録するから教えて」「あ…」慌てて番号を伝えたら、ユンホさんはそれを入力して僕に着信を残してくれた「今直ぐオンナにしてやりたいんだけど、帰らないとチャンミン、週末なら泊まれる?」「え…ユンホさんの家ですか?」「うん、嬉しそうだな」「だって僕、付き合うなんて初めてで…」そう言ったら、近くに居た男に笑われた付き合った事が無いから笑われたのかと思った、のだけど…「男の癖にユンホさんと付き合えるとか思ってるのか?遊んでもらえるだけで感謝しろよそれに、ユンホさんの親は…」「…余計な事を言うなまだこいつに話す必要は無い」「え…」ユンホさんは会いに来たら教えてくれると言っただけど、知る事が出来たのは電話番号だけそれから、キスの味やっぱり怖いひとなのだろうだけど、キスは甘かった「怖気付いた?」「…そんな訳!もっとユンホさんの事が知りたい、全部…」「週末にその代わり、もう今更逃げるなんて許さないからな?あと、金は持っているし犯罪はしないから」こくこくと頷いたら、ふっと優しく微笑んでそれから抱き締められた「あの、ココア…冷えたけど一緒に飲みたくて」「これは貰うよ、その代わり新しいのを買って飲もう今日は急がなきゃいけないけど…送るよ」ヘルメットを渡されて、ユンホさんのバイクの後ろに乗った僕をここに連れて来たバイクの男はヘルメットを渡さなかっただけど、ユンホさんは僕にヘルメットを渡してくれる「あの…」「何?」「ヘルメットを被らなきゃ捕まるんじゃ…」「ああ、犯罪って事?でも、ひとつしか無いしチャンミンを送らないと…俺のオンナになりたい、なんて度胸のある可愛いやつだからだから、俺が事故を起こさないように大人しく乗っていて?」「…はい」僕の為、そう思うと嬉しくて頬が緩む女にはなれないけれど、好きになってしまったから性別なんて関係無い週末にはもっとユンホさんの事を知る事が出来るそれが楽しみで仕方無くて…僕はまだ、彼の事を何も知らなくてただ浮かれていたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村先日の前後編の続きでした頭のなかにはだいぶ先まで有るので、またタイミングを見て更新出来たら良いなあと思っています読んでくださってありがとうございます

    • 悪い男 番外編 2

      人生を、命を掛けるくらいの想いだと思っていた全てが欲しくて愛されたくて自分を捧げて、今思えば馬鹿な事もしたと思うそんな風に思えるまで二年が掛かったのだけど例えば誰かがあの頃の僕達の事を知ったなら、恋心を拗らせた、なんて思うかもしれないでも、男同士でメンバー同士相手は恋なんて必要無いと言うヒョンだった恋愛経験の殆ど無い自分には、好きだという気持ちを伝えずに身体で繋がっているしか無かったし…気持ちが通じ合った時にはもう、僕達の糸は絡まって解けなくなってしまっていたそんな風に命まで失い掛けるくらい追い詰められた恋も、想いも、時間が経てば穏やかになるユノヒョンと僕は、隠さなければならない仲ではあるけれど…大きな壁のようなものを乗り越えて想いを確かめ合えたから、プライベートでは世間の普通の恋人のように過ごす事が出来ているとは言え、穏やかだという事は裏を返せば刺激が少ないという事僕達の恋は始まりがあまりにも穏やかでは無かっただからきっと、お互いに口には出さなくても、あの頃と比べたら少しばかり気持ちが落ち着いてしまったのだろうなと思う「今日は部屋でのんびりしたい気分だったんですけど…」「昨日も一昨日もそう言ってただろたまには気分転換になるし…な?」そう言って微笑まれたら何も言えない本当は、後少しして日付が変われば僕の誕生日で…そんな夜にユノヒョンと一緒に居られるからふたりきりでゆっくりしたかっただけど、恥ずかしくてプライドばかりが邪魔をして言えない今日の撮影現場では、一日早いけど、と言ってスタッフの方達がケーキや花束をくれた花束はとても大きかったし綺麗だったから、事務所に飾っておく事にしたユノヒョンも勿論、と言うか一緒に『おめでとう』と言ってくれていたさらりとひと言だけだったから、少しばかりそれが寂しかったでも、まあいつもの事だけれど僕達はほぼ常に一緒、スケジュールもそうだしプライベートでもお互いにのめり込み過ぎて…いや、お互いを守ろうとした挙句周りが見えなくなった過去が有るし、時間も経ったから仕方無いなんて、言い訳を重ねる事ばかり上手くなってしまったけれど、本当は僕の気持ちは何も変わらないユノヒョンだけが好きで誰にも奪われたく無い何もしてでもこのひとがずっと僕だけの恋人であればといつも思っているだけど、ひとの気持ちは変わるものだし、元々恋なんて必要無いと言っていたヒョンだから、最近あまり激しく求めてくれない事も仕方無いのだろう我儘を言って飽きられたく無いし、穏やかな今を壊したくは無い「さあ、どうぞ」「…あ、ありがとうございます自分で開けられるのに」「俺がエスコートしたいだけだから」扉を開けるユノヒョンは、片手でマスクを外して微笑んだきっと、僕が二年経ったってこんなに好きでいるだなんて微塵も思っていないのだろうそもそも最初に好きになったのは僕だし誰かが知れば引かれるくらいその気持ちを膨らませているのは僕それが今もやはり変わらない、というだけ「チャンミナと外で何かするってあまり無いだろ?このバー、俺も初めてなんだけどまだ出来たばかりだしプライバシーにも配慮されてるって後輩の俳優から聞いたんだ」「俳優って…最近ヒョンに良く連絡してくる?」「そう、で、勧められたからチャンミナと来たくて」良く連絡をするのが当たり前、まるでそう言われているようで面白く無いユノヒョンだって、昔は僕を閉じ込めて誰にも見せたくない、なんて言っていた癖になんて、二年前を『昔』と思うくらい、あの頃の自分達は僕のなかでも過去になってしまったのだろうかそう思うと少し切ない苦しいくらいに愛して愛されて、雁字搦めで辛かったのも真実なのに「ユノヒョンも初めてなら許します」「ん?何が?」「何でも有りません顔は隠さなくても店内なら問題無いんですか?」「ああ、大丈夫誰でも入れる訳じゃあ無いらしいから」先にマスクを取ったのはユノヒョンだけど、一応確認してから帽子とマスクを外した静電気で何だか髪の毛が跳ねているような気がしたから、ヒョンの後ろを歩きながら髪の毛を押さえて手櫛で梳かした付き合いは長いし恋人になってからも…『昔』と思うくらい長くはなった今更もう、見せていない面も無いし恥ずかしがる必要も無いと思うのだけど、やはり恥ずかしいと言うか、良いところを見て欲しい「鏡無いかな…」席に向かって歩きながら視線で鏡を探しながら頭を押さえていたら、くるりとユノヒョンが振り返って来て僕を見て笑った「チャンミナ、どうした?可愛いんだけど…」「…っ、見ないでください」慌てて手を下ろしたけれど、感覚で分かる多分、まだ一房髪の毛が跳ねている俯いて顔を逸らしたのに、ヒョンの手が伸びて…「これ?可愛いからこのままで良いよ」「…ひとに見られます」「薄暗いし誰も気にしないよ、それに男同士だし」優しく頭を撫ぜてまた「可愛い」なんて言うそれがどれだけ僕にとって、今でも泣きたくなるくらい嬉しいのか、なんてユノヒョンは知らないのだろう「ここで良いかな、奥だし人目も気にならない」ユノヒョンに促されて、カウンターの一番奥に腰掛けた壁際、つまり一番奥はヒョンが座るのかと思ったけれど、僕が座る事になった「ケータリングも食べて来たし…シャンパンと…俺は車なのでジュースを、それと何かつまみをお願いします」「え…僕だけ飲むなんて…」「良いんだよ、俺が連れてきたんだから」スマートにオーダーするユノヒョンに僕が見蕩れている事を知っているのだろうか気恥ずかしいのと、ヒョンを束縛してはいけないという思いがあって、感情を閉じ込める癖があるふたりでやり直そうと誓い合った二年前はもっと素直になれたのだけど…なんて、今日は特に感傷に浸ってしまうだって、今は午後の十時過ぎこのままじゃあ誕生日を迎える瞬間もこの場所で…ユノヒョンとふたりきりでは居られないそれが少し…いや、かなり不満だから「一緒に居られるだけ幸せだって思わなきゃ」「どうした?」「いえ、何でも」シャンパンが目の前に置かれたから、ふたりで乾杯をしたユノヒョンのグラスの中身は赤い尋ねてみたら苺と葡萄や他にも数種の果汁が入っているそうで、ヒョンからすれば『シャンパンより豪華』らしい僕達が落ち着いて付き合えるようになって一年した頃だったろうか、ユノヒョンは友人達と頻繁に会うようになったお互いに依存し合うようになる前は別にそれが普通だったから、元来のユノヒョンに戻っただけと言えばそれまでだけど、他の女性を抱いたり遊んだり、という事はしていないようだし僕だけだと変わらずに言ってくれているだから、寂しいだとかもっと雁字搦めにして欲しいなんて思ってはいけないでも…やっぱり、誕生日の夜はふたりで居たい明日の誕生日当日は昼から夜までしっかりスケジュールがあるから、ゆっくり出来るのは今夜、つまり誕生日を迎えて直ぐの夜だけ「あの、ユノヒョン…!」「ん?」『早めにここを出てふたりになりたい』そう伝えようと思ったこのバーは雰囲気は良いけれど、やっぱり他にも客は居るしバーテンダーだってカウンターのなかに居るし確かに、顔を出していても誰も気にしている風も無いどこかで顔を見た事のあるようなひとも離れたテーブルに座っているし、僕らのような芸能人が居ても騒がれる事も無さそうだだけど、それとこれとは別人前じゃあ触れられないし日付も変わってしまうし…「その、これを飲んだらもう…」「あ…そうだ、お願いします」「え…」折角勇気を出してふたりきりになりたいと言おうとしたのに何だかさっきからどこか心ここに在らず、と言った様子のユノヒョンは離れた場所に居る壮年のバーテンダーに声を掛けたおかわりを貰うのだろうか、と思ったけれどヒョンのグラスにはまだジュースが入っている話の骨を折られてしまったし、ヒョンはバーカウンターの奥の方を見ている「一緒に居るんだから僕の方を見てください」「…っえ、あ、ごめん何か言いかけてたよな?」「言いかけてるって分かってるなら……っえ、何…」にこにこと笑うユノヒョンが格好良くて、でも何だかむかむかして少しばかり文句を言ってやろうか、なんて思った嫌われたく無いから我慢しているけれど、僕は恋人だし、一緒に居るのに心ここに在らずだなんて…だけど、奥からこちらに向かって現れたものに口がぽかん、と開いてしまった「こちら、お連れ様からです」「え…ユノヒョン?これ…」バーカウンターの奥から現れたのは大きな赤い薔薇の花束…を持った、どうやら多分バーテンダー多分、と言うのもユノヒョンが声を掛けたバーテンダーは奥に声を掛けた様子だったけれど、直ぐに戻ってきてグラスを拭いているからそして、花束を持った男は大きな花束で顔が隠れているから「どうにかしてサプライズで渡せないかなと思って今日は、と言うか今日も一日仕事で一緒だから隠す時間も無いし…花屋から直接ここに運んでおいて貰ったんだ」「受け取って?」と言って、ユノヒョンが椅子から立ち上がり手を伸ばし、花束に手を伸ばす少し早いけれど誕生日のプレゼントなのだろうか何も無いと思っていたから嬉しくてどきどきして待っていたら、花束はユノヒョンに、では無くて直接僕に差し出された「え…あ、ありがとうございます」一旦ユノヒョンの手に渡るものだと思ったから驚いたけれども受け取らないのもおかしいから手を伸ばした、のだけど…「…お前、何でここに…!」「え…ヒョン?誰……っあ…」花束は受け取る直前でユノヒョンの手に渡ったと言うか、男の手からヒョンが奪い取るようにして取ったそうして現れたその顔に固まった「お久しぶりです」「ジフ…」それは、二年と少し前、僕が一時付き合っていた年下の男付き合っていた、と言うのが正しいのかは分からないけれどユノヒョンと一緒に居てもお互いに破滅に向かうだけだと思い、逃げるようにして僕を想ってくれていたこの男の元に向かったヒョン以外に唯一、僕を抱いた男ユノヒョンは立って花束を持ったまま、カウンターの向こう側、僕達の直ぐ目の前に立つジフを見ている「お前、何で此処に…」「働いているのは偶然ですおふたりの前に現れるつもりも掻き乱すつもりも有りませんでも、今日チョンさんが花束をうちに預けて…チャンミンに渡すと聞いて」「で?直接渡そうとしたのか?」「チャンミンが受け取るかな、と思って」にこりと笑ってジフは「冗談ですよ」と続けた彼は、僕がユノヒョンを好きな事を知っていて、それでも良いと傍に居てくれた結果彼からユノヒョンの元へと戻ったそれでも、こんな僕を許してくれた何度か、あの後連絡を貰ったけれど、それも僕を心配するもので…大丈夫だし上手く行っていると伝えたら、連絡も途絶えたし僕の前に姿を現す事も無かった「チャンミン、明日誕生日ですよね?少し早いけど、おめでとうございます」「…あ…うん」「これは僕から…チョンさんにももう一杯、どうぞ」驚く僕と立ち上がったままのユノヒョンをものともせずに、ジフはシェイカーを振ってカクテルを作った同様にジュースを別のシェイカーに入れて、ユノヒョンにはアルコール無しのドリンクを作り僕達の前にそっと置いて微笑む「目立つので座った方が良いかと思いますが…」「…言われなくても…」何だか、ジフは普通なのにユノヒョンの方が身構えているのが意外だっただって、ユノヒョンと僕はお互いにあの頃互いを想いながらも別の相手と関係を持っていたから理由があったし、好きだからこそそうなった誤解も解いたし過去は過去として、今の僕達があるユノヒョンは僕に対してジフとの事を責める事はしないし、僕も…あれ以降ずっとヒョンは僕だけだと分かっているから、過去に嫉妬はするけれど責めたりしないお互い様だから「何であいつが…チャンミナ、まさか連絡なんて取ってないよな?」「何も…本当に久しぶりで驚きました」ジフは何事も無かったかのように別の客の元に行き談笑している僕はと言えば、ただ驚いたけれどももう、二年も経っているし過去の事幸せで居て欲しいとは思うけれど、僕はユノヒョンしか見ていないから…気にならないと言えば嘘になるけれど、それだけだ「もう一度乾杯しますか?あ、でもお花…」「…後で渡す」「え、今渡してくれるんじゃあ…」サプライズでこの場で渡してくれる筈だった薔薇の花束は、結局ジフから贈り主であるユノヒョンに手渡ってそのままヒョンはそっと腿の上に大きな花束を置いて、乾杯もせずにジフの作ったカクテルのようなジュースを一気に飲み干した「飲んだら出よう」「え…あ、はい」視線で『早く飲んで』と言われたついさっきまで、まるでゆっくりしようとでも言う風だったのに何だか少し苛苛しているようにも見えただけど、僕がユノヒョンの事を好きで仕方無くて、僕達が駄目にならない為にヒョンから離れてジフの元に行った事も分かっているから何も思う訳なんて無いそれに、ヒョンだってもう最近は普通に…男女問わず友人と会って僕を放っておく事も増えたしとにかく、僕からすれば元々早くふたりきりになりたかったから願ってもいない事少しハイペースになってしまったけれど、ヒョンにじっと見つめられながら新しいカクテルを飲み干したヒョンがスタッフを呼び、カードで会計してくれたカウンターに座ったままカードが戻ってくるのを待っていたら、それを持って現れたのはジフだった僕をちらりと見て、それからユノヒョンに微笑んだ「今日はありがとうございますまた、是非ゆっくりいらしてください」「……」「悪い事なんて考えていません俺はチャンミンが幸せならそれで良いので」「ジフ…」ユノヒョンが黙っているし、僕も何を言って良いか分からずにいたら、ヒョンが立ち上がり左手で僕の右腕を掴み引っ張った「帰ろう」「あ、ちょっと、ヒョン…っ」珍しく強引に引っ張られて、バランスを崩し掛けた椅子から降りて歩き出すところでジフはカウンターから出て来て僕らの前を歩いたヒョンは僕の腕を掴み右手では花束を持ったまま、半歩前を歩く何が何だか分からないまま薄暗い店内を歩いたら、ジフが扉を開けてくれたそして…「テレビでおふたりを見ていて、きっと上手く行っているんだろうなあと思っていましたが…やっぱり、僕の付け入る隙なんて無さそうですねチョンさんがそんなに嫉妬するだなんて思いませんでした」「嫉妬…」思わず瞬きをしてしまったあまりに意外な言葉だったから以前のユノヒョンなら、二年前なら有り得るけれど、最近は僕達も別々の時間が増えたし、嫉妬なんて僕ばかりだと思っていたから前に立つヒョンの表情は見えない、けれどもヒョンは更に前に立って扉を押さえながら僕達を見るジフに向かって言った「隙なんて有る訳無いだろもう二度と離さないと決めたんだからご馳走様、チャンミナ行こう」「はい…あの!ジフ、ありがとう」今度は腕では無くて、腰を抱かれたその手の力が強くて、ユノヒョンの言葉が嬉しくて…だけどジフに何も伝えていないと思って礼を告げたら、二年前と変わらずに優しく微笑んでくれた「またお待ちしています」そう言って頭を下げたジフを横目に見ながら、ヒョンに抱き寄せられるようにして車に向かった外は雪が降っていて、一瞬で芯から冷えていくような寒さ直ぐ近くのパーキングで良かったと思いながら、ユノヒョンの車の助手席に乗り込んだ「…ええと、驚きましたよね」「……折角考えたのにそれに、あいつ…いや、良い」僕の為の、多分誕生日プレゼントであろう薔薇の花束は結局後部座席に置かれてしまったユノヒョンが苛苛しているように見えたのは、ジフが言う通り嫉妬であれば正直とても嬉しいだって、本当は以前のように、とは言わないけれどもっと束縛して欲しいからでも、ヒョンが多くを語らないし『程良い距離感』で最近は付き合っているから深く追求し辛くてシートベルトを締めて走り出す車から夜景を眺めた「あれ、今日は僕の部屋に行くんでしたよね?方向が…」あのバーからなら、この道だと遠回りだと思われる道に進む車左側のユノヒョンを見たら、「大丈夫」とひと言そう言われたら何も言えないから黙っていた車のなかでは僕達の曲が流れていて、少し気恥ずかしいだけど、ヒョンは当たり前のように口ずさんで、それに…「僕のパートをヒョンが歌うと何だか不思議です」「いつもひとりの時はこうして歌ってるんだひとつに重なるようで心地好いから」「…何だか意味深に聞こえます」「意味深?そのままだよいつだって本当はチャンミナを掴まえていたいし…気持ちも変わらないよ」「…ユノヒョン…」「着いたよ、ここならひとも居ないし…少しくらい外に出ても平気かな」歌を口ずさむユノヒョンを見ていて、何処に向かっているのかを気にしていなかったと言うか、僕のマンションに向かうものだと思っていたから人通りの少ない道の路肩に停まった車内から窓の外を見たら、少し離れた向こうに、だけど広がっていたのは街や道路の明かりに照らされた漢江だった「寒いけど少しだけ」先に外に出たユノヒョンは助手席の扉を開けて僕に左手を伸ばす少し恥ずかしいけれど、その手を取って車から降りた「今日、本当に寒いですね…最近暖かかったから…」「こうすれば少しはまし?」「…うん、でも、誰かに見られませんか?」「フードを被っているし、ここは穴場だから」ヒョンは僕の後ろからダウンジャケットで包むように抱き締めてくれた雪は相変わらず降っていて、風も少し強いだけど、ヒョンとふたりなら何て事は無いその想いが僕だけで無くてヒョンも同じなら良いと思う「チャンミナ、あれ着けてる?」「え…はい、いつも通り…っえ、ちょっと、ヒョン?」答えたら、冷たい手が僕のタートルネックのニットの首の後ろ側に伸びた隙間から風も入って寒くて肩を縮めたら、首に着けていたネックレスが外された振り返ったら、ヒョンはネックレスに通していた指輪を外して僕の左手をそっと支えて薬指に嵌めてくれたもう二年近く前にユノヒョンから送られたペアの指輪だ「ふたりきりだし今はプライベートだから」「…ありがとうございますユノヒョンのは?」「俺にも嵌めてくれる?」「うん」ヒョンはダウンコートのファスナーの付いたポケットから小さな布の袋を取り出したそのなかに指輪は入っていて、何だか几帳面なヒョンらしいと思った「嫉妬、してくれたんですか?」指輪を嵌めながら、ヒョンの綺麗な指を見下ろして尋ねた顔を見るのは少し気まずくてと言うか、最近は嫉妬なんてされる事も無いと思っていたからだけど、僕の恋人は後ろから強く僕を抱き締めて、そしてお互いに指輪を嵌めた左手を絡めるように握ってきて… 「もう二度とチャンミナを閉じ込めたらいけないから、我慢してるんだチャンミナにもひとりの時間を作ってやらなきゃって思っているし、余裕のある姿も見せなきゃ恥ずかしいって思っていて…」「我慢なんて…」「でも、今日あいつを…ジフを見て、チャンミナがあいつを見ているのを見て嫉妬したそれに…」「それに?」抱き締められたまま振り向いたら、視界は暗くなってキスをされて、答えは返って来なかった「…ん……っ、ヒョン、好き…」「…俺だけ?他のやつを見てない?」「そんな暇無い…ずっとユノヒョンの事しか…だから、ユノヒョンも僕だけを見て欲しい、お願い前みたいな事にはならないから…」抱き締めて抱き締められて、何度もキスをした遠くに見える美しい夜景も良いけれど、それよりユノヒョンの方が良くて嫉妬してくれた事も、僕を束縛しない為に我慢しているなんて事も…思ってもいなかったから嬉しくて「ユノヒョン、早く帰ってもう…」「欲しい?」「うん」前を押し付けて早く、と訴えた何も考えられなくなるくらい抱いて欲しいし、今日は何度も欲しくて最近ずっと、別々に居ても物分りの良い恋人で居なきゃって思っていたから、そうで無くても良いのだと思うと止まらなくなりそうでだけどもう一度キスしたくてヒョンに顔を近付けたら、恋人は思い出したようにスマホを見て、そして慌てて僕を車に押し込んだ「え…ちょっと、ムード…」「ごめん、チャンミナ…っと…」ユノヒョンも運転席に乗って、慌てた様子で後ろを振り向いた何だか今日のヒョンは良く分からなくて唇を尖らせたら、目の前が急に真っ赤になった「チャンミナ、誕生日おめでとう」「…え、あ…」「さっきバーで渡すのに失敗したからとにかく受け取って」「…ありがとうございます」大きな薔薇の花束は、やっと僕の手元にやって来たずっしりと重たい、両手で持たないと困る程の花束しっかり両手で持ちながらヒョンを見たら、彼はスマホを見せて来た「良かった、今丁度日付も変わったみたいだおめでとう、チャンミナ」「あの、失敗って?」そう尋ねたら、恋人は少し困ったように視線を泳がせるだけど、それでもじっと見ていたら観念したように僕を見て教えてくれた「あのバーでサプライズで渡して、次の一年も一緒に居て欲しいと言おうと思ったんだだけどあいつが…チャンミナに渡す事は阻止出来たけど、俺より先に『おめでとう』なんて言うから」「…だから機嫌が悪かったんですか?」「……だから、誕生日を迎える直前と、一番最初は俺が言おうと思って花束も誕生日になる瞬間に渡そうと思ったんだ」最後の方は小さな声で、多分恥ずかしいと思っているのかもしれないだけど、僕は嬉しくて仕方無いし、それに何より…「最近、もうユノヒョンは以前と比べたら僕の事はそこまでなのかなって思っていたんです」「そんな訳…むしろ逆だよ」「…でも分からなくて多分、僕は好き過ぎてまた臆病になっていたんですだから、ヒョンも僕を…今でも束縛したいくらい愛してくれているって分かって、それが何より嬉しい」こんなに嬉しい誕生日なんて初めてと言って良いくらい頬が緩んでしまうから、薔薇の花束に顔を埋めたそうしたら、頭に何かが触れて…「まだ髪の毛跳ねてましたか?」慌てて顔を上げたら、少し頬の赤いユノヒョンと目が合ったヒョンは口元を手で押さえて、少し視線を逸らした「違う、キスしただけ」「…え…」「本当は今直ぐ抱き締めて思い切りキスしたいでも、花束があるから出来なくて…だから、早く帰ろう」「ユノヒョン…」「今から朝まで、他の誰かから連絡が入っても…ジフから来たとしても返事はしない事…とか言ったらチャンミナは嫌?」エンジンを入れて、車がゆっくりと走り出す前を向いてハンドルを握るユノヒョンを、薔薇の花束を抱き締めたまま見つめた「嬉しい、だから朝までずっと…部屋に着いたら離さないでください」明日が…いや、誕生日の今日が仕事で少し残念だと思っていたでも、仕事で良かったのかもしれないそうじゃ無きゃ、夜通し、どころか一日中ベッドから出られなくなって大変な事になりそうだからランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村久しぶりの悪い男、お付き合いくださった方がいらっしゃれば心から感謝致しますあれから少し時間の経ったふたりのお誕生日編でしたこのブログではホミンちゃんのお誕生日をお祝い出来るのは今年で三回目で、こうして今年もこのお部屋でお祝い出来る事が幸せです私の大好きな大好きなチャンミン、いつも通り言うならユノヒョンのウリチャンミナが今日からの一年も幸せでありますようにいつまでもユノヒョンと仲良く隣合って笑っていてくれますようにお誕生日おめでとうございます、のぽちっ♡ ↓にほんブログ村

  • 17Feb
    • この後の更新について

      この後、0時の更新はとても久しぶりですが、「悪い男」を更新させて頂きます久しぶりなので突然更新したら「何の話?」となる方もいらっしゃるかと思うので告知してみました単発なので、それだけでも読んで頂ける内容です完結済みでこれまでのお話はこちらから読んで頂けます ↓悪い男(完結)年末にこのお部屋で皆様に「長編のお話と成人指定のお話で続きを読みたいお話はどれですか?」と質問させて頂いた時に、このお話が一番リクエストが多かったので…少し遅くなりましたが、久しぶりの更新になりますリクエストをしてくださった皆様、本当にありがとうございますそれでは(最近定時の0時から遅れがちですが、今日は定時に)お会い出来ますようにホミンちゃんの3歳差が今年ももう終わると思うと少し寂しいですが…幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村

    • まなざし 6 最終話

      何処に居るのが一番落ち着くかと言われたら、僕はこう答える誰にも侵される事の無い自分だけのテリトリー、つまり自分の家それは嘘じゃあ無いし、華やか過ぎる世界にはいつもどこか違和感があったり他のアイドルや歌手と自分は何か違う、という気持ちがあるこの仕事を選んだ事に後悔は無いし、自分は恵まれていると思うけれども、大勢のなかに居ると時に疲弊してしまう自分をより良く見せようとする事も苦手だけど、それでもそれ以上に…大勢のなかに居るユノヒョンの事が好きで、その隣にいつも居たいと思っている部屋が一番落ち着くだけど、そこにユノヒョンが居る事が何よりも一番そんな事言える訳も無いから人前では言わないけれど「チャンミナ」「……何ですか?」僕はと言えばずっと息が上がっているのに、ユノヒョンは余裕勿論疲れていない訳は無いのだろうけど、アドレナリンも出ているのだろう衣装を着替えてセットアップのスーツでスタンバイしていたら、マイクをずらしたユノヒョンが耳元で囁いた「一旦今日で終わりだな」「…はい」「先週より良い顔をしているし、それを見たら俺も嬉しいよ」「それは…」ユノヒョンのお陰だって分かっている癖にそう視線で訴えたらにこりと微笑むユノヒョンでは無いひとと交際しているそう、事務所は僕の事を発信したその理由は真実…つまり、ユノヒョンと僕が恋愛関係に有る事がどこからか知られて公になってしまいそうになったからそんな事になれば、ファンによって成り立つ仕事をしていて、更に圧倒的に女性ファンが多い僕達にとっては致命的だから、それを避ける為に現在単独の仕事が少ない僕が別の誰かと交際している、という事にしてカモフラージュしたのだ真実では無いから何もダメージにもならないし、これで僕達の関係を覆い隠す事が出来るそう、どこか簡単に思っていたけれど、現実はそう簡単では無かったSNSでも、それから会うひと会うひとにも『相手は?』だとか『良かった』そんな風に言われたり、その逆で『何を考えているの?』『信じられない』そんな風に辛辣な言葉を投げ掛けられる事も真実では無いから何を言われたって平気そう思っていたけれど、ユノヒョンと付き合っている事は事実きっと、本当の事を知られたら…どうなるのかなんて考えたくも無いけれど、悪い事ばかり考えてしまうそれでも、好きな気持ちを押さえる事は出来ないし、ヒョンが居るからここまでやって来れた誰に何も思われても言われても、それが僕の真実「始まるな」「うん…」「今日もちゃんと聴いて、見ていて」「何を?」「チャンミナに向けて歌ってるって言ってるだろ?」その言葉で分かった今年に入って、昨日まで五回これまでと比べてユノヒョンの歌い方が変わった歌それはここから数曲目のバラードで、幕が開けばもう言葉を交わす事が出来ないからヒョンは僕に伝えてくれたのだろう「あまりヒョンを見ていたら変に思われるかもしれないので、モニターのなかのヒョンを見ます」「伝わればそれで良いよ」ユノヒョンは頷いてマイクの位置を直したから、僕も急いで口元に戻したバラードまでの数曲はアップテンポなものばかり今日は最後に追加公演を発表する事になっているから、まだ終わりじゃあ無いだけど、一旦この十一月から続いたツアーも落ち着く生中継も入っていて失敗は許されないから緊張する特に、今年に入ってからはファンが僕を見る目がまるで…何か試されているようにも感じて怖かったでも、ユノヒョンは一緒に乗り越えようと行ってくれたし、辛い思いをさせてごめんと謝ってくれたでも、ユノヒョンに『誰か』が居るだなんて事になればもっと荒れるだろうし広告の仕事だったりにも影響が出るだろうだからこれで良いそれに何より、本当は良くないのかもしれないけれど…年明け以降のステージで、毎回ユノヒョンはバラードを僕に向けて歌ってくれている最初は気付かなかったけれど、はっきりそう言ってくれた一部、真実を知っているスタッフ達以外には誰にも僕達の事は知られてはいけない今知られてら、カモフラージュだって全て水の泡でも、きっと誰も僕達が付き合っているだなんて思わないだろうそれはそれで寂しいけれど、僕だけが、僕達だけが真実を分かっていればそれで良い「……っ…はあ…」衣装替えをする前の最後の曲切ないバラードの前奏が奏で始められたメインステージに背を向けて、左右に別れた小さなステージにユノヒョンと別々に立つ右手を胸に当てて息を整えながらちらりと右の向こう側に居るユノヒョンを見た離れているし、まだ薄暗いから僕がそう見えただけかもしれないでも…「……ユノヒョン…」マイクを下ろしたまま小さく名前を呟いた勘違いかもしれないでも、ヒョンは僕を見ていて、そして僕の口の動きを見て微笑んだような気がしたそれだけで、例え世界中が敵になったって生きていける気がするなんて言うと大袈裟だけど…いつだって、ユノヒョンは僕を導いてくれる光のような存在だから「……」ゆっくりと目を瞑って歌い始めたそれは、淡い想いを抱いたまま離れ離れになってしまった『ふたり』の歌夏の夜の光景、匂いや情景、隣で見た蛍と想いびとの涙を思い出してはまだ好きなのだという気持ちを歌うもので…結ばれない運命を知りながらも想い続けるふたりの切ない歌いつも僕はそれを、切ない気持ちのままに歌っていたそして、その『ふたり』は何処かに居る誰か、で勿論僕では無くて…そう思っていただけど、ユノヒョンはこの歌を僕への想いを込めて歌っているのだと教えてくれたもしもこれが僕達の歌であるならば、僕達は同じ気持ちで…儚く光る蛍を見ても、僕達の想いは夏の蛍のように一時で消えて無くなるのものでは無い『好きだよ まだ』そう歌う曲だけれど、それは悲しいものでも切ないものでも無くて、これからも変わらずに好きでいるという事目を瞑ってそんな想いを込めて歌ったら、未だ拭えない不安のようなものが少し軽くなった「好きだよ まだ」曲の一番の最後、僕はユノヒョンの事だけを考えて目を瞑り詩を紡ぎ歌った近くから拍手が起きて…そうして、ここがステージの上なのだと思い出したくらい、曲の世界に入り込んでいたようだそして…「……」ヒョンが聴いて見ていて、と言った最後のサビ先週の公演では彼は反対側に立つ僕の方を向いて歌ってくれた僕までヒョンの方を向いて、向かい合うようになったら良くないと思ったし、それに少し気恥ずかしくていつも通りモニターのなかのユノヒョンを見ていたでも、見ているだけで涙が込み上げてきただって…「…狡いよ…」「何か言いましたか?チャンミンさん」「…いえ、何でも」歌が終わって直ぐにステージを降りて走り出したスタッフが横についてくれて、直ぐに着替えられるようにスーツのジャケットを脱ぎながら涙が込み上げてくるけれど、それは悲しいからじゃあ無い「ちゃんと見てくれた?頑張ったんだけど…」「はい、しっかり」「気持ちを込め過ぎたら泣きそうで…堪える為に目を瞑ってしまったんだ」裏手に捌けたところで合流したユノヒョンは、服を脱ぎながら僕に話し掛ける「少し潤んでますね、でも僕も同じです」「うん、チャンミナの気持ちが伝わったよ俺の気持ちも伝わった?」「…はい」微笑み掛けたら、ヒョンは耳元で囁いた「ずっと変わらずに好きだよ」「っ、もう!集中出来なくなるから危険です」「あはは、リラックスする事も大事だから」甘い声に涙は引いたそれに、流れそうになった涙は悲しいからじゃ無いユノヒョンも珍しく、バラードで目を瞑り歌を歌った切なげに眉を顰めていて…だけど、歌い終わったら満たされたように、少し微笑んでいたから「モニターのヒョンをしっかり見ていました」「モニターだったの?直接見て欲しかったな」次の衣装に着替え終わった時に素直に告げたら、僕の恋人は少し不満げに唇を尖らせただから、今度は僕が耳元で「今夜はヒョンだけを見て過ごしたいです」と誘ってみたライブのアンコール中に、春の追加公演を発表した少し弱気にもなっていた僕は客席の反応が少し不安だっただけど、客席は会場の隅から隅まで埋め尽くされていたし、発表の瞬間に会場からは歓声と拍手が巻き起こって安堵したまた、少し涙が零れそうになったけれどステージに立っている間はそんな事は見せないし、それに今僕が泣いたりでもすれば憶測ばかりが広がるかもしれない本当の事は言える訳が無いから、いつも通りのステージの上の僕でいた「打ち上げもお疲れ様遅くなったけど…ゆっくり休んでくれ」「はい、お疲れ様でした…ええと、お休みなさい」大人数の打ち上げも終えて、ホテルに帰ったマネージャーが部屋まで送ってくれて、僕達はそれぞれ隣同士の部屋に入るのだけど…「チャンミナはこっちだろ」「え…っわ、ちょっと…!」「別に問題無いだろ?男同士、仲の良いメンバーなんだから」自分の部屋の扉に手を伸ばしたところでユノヒョンに腰を抱き寄せられたマネージャーは僕達を見て「隠し切っているし、俺は分かっているから」と言ってくれてほっとした「けど、折角ふたりの事を隠しているんだから、それがばれるような事は絶対に控える事、良いな?」「分かってるでも、今日のステージも良かっただろ?チャンミナが居るからだし、チャンミナに向けて歌ったからなんだ」「はいはい、惚気は分かったからあんなに良いステージを見せられたら何も言えないよ」マネージャーはそう言って、だけど最後にも念押しで「きちんと隠す事」と言って背を向けた直ぐに、ふたりでユノヒョンの部屋に入った扉を閉めてそのまま抱き締め合って…「…っふ……ん…っ…」「…愛してる、チャンミナの恋人は俺だけだろ?」「当たり前…っあ、ヒョン、シャワー…」キスをして、そのまま恋人の手が僕のスウェットのなかに入り脇腹から胸に上がっていくライブの後に軽くシャワーは浴びたけれど、まだ汚いだけど触れられたら欲しくなるから首を振って駄目だと訴えた「シャワー?後で良いよ、だって今日もずっと触れたくて…それに、今夜は俺だけを見ていてくれるんだろ?だから、歌っている時のように目を瞑ったら駄目だよ全部…俺の事をちゃんと見ていて」「…っあ……」三時間もステージに立って打ち上げでも周りに気を配って休む暇なんて無かったのにヒョンは簡単に僕を抱き上げてベッドにそうっと下ろした「やっぱり痩せ過ぎ明日の朝は沢山食べさせるからな」「…でも、その前にヒョンが沢山欲しい…っあ、変な意味じゃ無くて」何気無く言った言葉食事よりもユノヒョンと触れていたくて…そう言ったつもりだっただけど、ヒョンは嬉しそうに微笑んで僕のスウェットパンツを下着ごとずるり、と脱がせて指を後ろにあてがった「…ひ、っ…ん…」「ここで俺を食べてくれるんだろ?俺も、早くチャンミナに食べられたい」「…ユノヒョンのエッチ」「お互い様だと思うけど…」「…ん…っ……ふ…好き…」恋人の首に腕をまわして身体全体で抱き着いてキス外では言えない気持ちを、誰にも知られてはいけない気持ちを、伝えても伝えてもとどまるどころか膨らむ想いを伝えて、その夜はもう無理、と言ってもヒョンを沢山『食べる』事になったステージの上に立つ事が、今はまだ少し怖いだけど、ユノヒョンが僕を見るその眼差しを感じる事が出来たらそらだけで僕の心は満たされる昔からずっとずっと変わらないヒョンの隣が僕の居場所で、そして落ち着ける場所それを守る為なら何だって出来るし…僕達はそんな風に与えるだけじゃ無くて、いつもお互い様「チャンミナが居なきゃここまで来れなかったし、それはこれからも変わらないよいつか、本当の事を言えるように今は頑張ろう」「…うんユノヒョンが居ればそれだけで頑張れるから」明け方になって、もうお互いに身体に力も入らなくなった頃、上下する胸に抱き寄せられてヒョンの鼓動を聞きながらそんな言葉を聞いた夢のなかでも僕はステージに立っていて、勿論隣にはユノヒョンが居て…これが僕の居場所なんだって思ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございます短いお話でしたが、どのように、どうやって、何をどこまで…と自分なりに悩んだり気を付けながら、でも私の頭のなかのお話を更新させて頂きました年末から、そしてXVツアー京セラ最終日までのもしも、のお話でした今年の6公演中5公演に参戦して、自分が見たものや感じた事だったりを(レポにも書いていますが…)ここにも残しておきたいなあと思いました最後までお付き合いくださった方がいらっしゃれば、心から感謝致します

    • Fated 71

      強い意思を持っていても、どれだけ自分というものを持っていても逃れる事が出来ないから『運命』と言うのだろうか運命の相手、というものがもしも存在するのなら、自分にとっての運命はチャンミンだと思っていたそれは最近の事では無くて以前から思っていた事アルファの俺とベータのチャンミンは、二次性だけで無く性格も違うけれども、ふたりで居れば凹凸が上手く重なり合うようでもあるし、お互いがお互いを補い合う事が出来る長く隣に居るチャンミンは、メンバーと言うよりも家族のようだし、家族というよりも自分の片割れのようでもある自分の片割れのような存在に出会えた事こそ運命だと思うし、そんな相手と共にお互いに切磋琢磨しながら活動してきたからこそ今があるのだと思っているそれなのに、俺の『運命』はただ一度擦れ違っただけのオメガ女性なのだという運命に引き摺られる事無く、オメガになったチャンミンだけを愛している始まりは彼がオメガになった事だけれど、メンバーとして大切な事は変わらないし、それにプラスして恋愛感情が加わって…これまで以上に大切に思っているオメガが、その二次性を隠して芸能界で活動する事はアルファの俺には計り知れない苦労が有る筈それを完全に理解する事は出来なくとも、支えて守りたい運命だなんて信じたくも無い女性のフェロモンに打ち勝ったし、変わらずにチャンミンを愛している彼も同じ気持ちで居てくれている事務所や周りのスタッフ達は俺が見ず知らずのオメガ女性と番にでもなれば活動にも人気にも影響するだろうから…と、彼女が二度と俺やこの世界には関わらないように話し合ってくれた運命のオメガだなんて認めたく無いけれど、俺にとってのそれはもう他に現れる事は無いから、心配は無い、後はチャンミンを守れば良いのだと思っていたいや、そう強く思う事で『大丈夫』だと思いたかっただけど…「え…本当に?」「ああ、俺も身近でそんな話は初めて聞いたから…本人が何より落ち込んでいるよ今はまだ知り合いにも会いたくないらしくて…」「だから、今日は来なかったのか…」最近、誘われていても断っていた友人達からの誘いつい、チャンミンと居る事を優先してしまっていたし、その前は自分自身もあのオメガ女性との事で心中穏やかでは無かったからけれども、運命には打ち勝つ事が出来る、と最近漸く思えて来たし、チャンミンとの付き合いもそれなりに順調何よりチャンミンが『たまには僕以外とも会わないと、皆寂しがってるんじゃあ無いですか?』なんて言ってくれたから、久々に友人達と集まっている「今日は無理だけど、落ち着いたら皆で誘って食事でもしようきっと気分転換が必要だろうから」「…そうだな…」友人の言葉に、明るく返す事は出来なかった楽しいと思っていた集いで聞かされたのは、友人であるアルファの男が『運命のオメガ』である女性と出会ってしまったという話アルファの彼はベータ女性と結婚をして、こどもも居るアルファだけれど穏やかで優しくて、何よりも妻とこどもを大切にしている事を知っている会えばいつも家族の話をしていたし、浮気や不倫なんてするタイプでも無いけれども…「俺はベータだし、オメガなんてそうそう居ないし…分からないけど、抗う事も出来ないくらい惹かれ合うのかなユノはどう思う?」『どう思う』なんて聞かれて本当の事なんて言える訳が無いオメガになったチャンミンを愛していて、その上別の運命のオメガが俺にも現れた、だなんてだから俯いたまま、ワインをひと口飲んで乾いた口を潤して答えた「…さあ…俺も出会った事が無いからだけど、あんなに家族を愛しているあいつの意思に反して…本能だけで番になるような関係を運命だなんて、最低だ」「…こんな事を言うと不謹慎なのかもしれないでも、普段はアルファを羨ましく思うけれど…自分達の気持ちなんて関係無しに相手が決まるだなんて怖いよ突出した何か、が無くても…ベータで良かったって思ったあいつや…アルファのユノの前で申し訳無いけど」「いや、そう思って当たり前だよ家庭を壊してお互いに番になって…それでいつか愛し合えるならまだしも、そうで無ければ地獄だ」数人のなかに、アルファは俺ともうひとりだけもうひとりのアルファの友人も今日その話を知ったらしく絶句している彼も、そんな『運命』が自分に訪れたら…と初めて恐怖を感じているのだろうだって、ドラマや映画で描かれる『運命』は美しいものばかりだ例え恋人は居ても未婚のアルファ男性とオメガの女性が出会って…その瞬間に強く惹かれ合い結ばれるそこには大抵身分の差があったり超えなければならない壁があるけれども、ふたりは運命によって恋をして最後は必ず結ばれて番になる番になればオメガ女性は他のアルファに狙われる事も無くなり、ふたりはお互いだけをずっと見つめていられるつまりはハッピーエンドだ「運命のオメガ…俺にもどこかに居るかなと思っていたんだけど、出会わなくても良いよだって、好きでも無いオメガと番になって離婚して、愛する妻とこどもを失うなんて…」友人のアルファがぼそりと言ったそう、だから俺は勝手に決められた運命なんて必要無いのだ「ごめん、ちょっと…今日は帰るよ」俺は…俺達は大丈夫そう思っていたし、強く思おうとしているけれども恐ろしくなった俺に運命の番が現れたように、チャンミンにもいつか現れるかもしれない俺は一度耐える事が出来たけれど…もしも万が一、いつかどこかでまた会った時にも耐えられるか、なんて…気持ちや感情を超えてくる本能が作用すればどうなるか分からない自分は大丈夫だと思っているけれども、身近にそんな話を聞くと一気に身体が冷えた普段よりもワインを飲んだのに、アルコールで上がった体温も直ぐに奪われていくような、足元が揺らぐような恐ろしさとにかく、チャンミンに早く会いたかったタクシーに飛び乗って、何度もスマホを見たカトクで『今から行くよ』と伝えようかとも思っただけど、頭のなかは混乱していて…俺はもう大丈夫だと思っているのに、それなのに動揺している自分に混乱して言葉が纏まらず、結局チャンミンにメッセージを送る事は出来なかった合鍵は持っているから、眠っていても部屋に入る事は出来る今日は遅くなるし会えない事になっているから、チャンミンが眠っていれば…抱き締めて寝顔を見ていられれば良いとにかく、チャンミンに触れて自分の気持ちを確かめて安心したかった「…勝手に入ってごめん」合鍵を持っていても、普段は連絡をするしエントランスでオートロックのインターフォンも鳴らすだから、こんな風に部屋に入るのは初めてで少し緊張したそうっと鍵を開けて、それからなかへと入った廊下は暗くて、どうやらリビングも暗いやはり眠っているのだろうか、と寝室の扉に手を掛けて開いたら…「…チャンミナ!良かった起きていて…」「…っ…あ…良かった…ユノヒョンじゃ無かったらどうしようかと…っ…」直ぐ目の前に立っていたのは、何故か枕を胸に抱き締めているチャンミン俺を心細そうな目で見る恋人を力いっぱい抱き締めた「酔ってますか?」小さな声で、心配するように胸のなかで囁くチャンミン酔っていない訳では無い、と思うだけど酔いなんて覚めてしまった酔っ払ってやって来たと思われたら困るから、腕の力を緩めて枕を抱き締めたままのチャンミンを見つめた「チャンミナに会えて良かった」「…え…夕方まで仕事で一緒でしたよね?何かあったんですか?……っん…」何かあった、なんて…俺はそんなに分かりやすい顔をしているのだろうか見透かされそうで怖くて、キスでその先を塞いだそれから、可愛い恋人がぎゅうっと抱き締めている枕を取って床に落としただって、俺よりも枕が大事、みたいに見えるからつまりはただの嫉妬チャンミンは床に落ちた枕に手を伸ばそうとするから、至近距離で見つめて囁いた「俺より枕?」「だって、ユノヒョンが居なくて寂しくて…これはユノヒョンの枕だから」言われた初めて、そうだと気付いたチャンミンの枕なら嫉妬で下に落としてしまって申し訳無いと思ったのだけど…俺の枕なら良しとしようそんな風に思えた事で、少し冷静になったそして、チャンミンの顔もどこか不安そうで…何かあったのか、と分かりやすく顔に書いてあるから、話す事にした本当は、チャンミンに話すべき事では無いのかもしれないチャンミンと直接繋がっている友人では無いし、誰とは分からないように名前は言わないようにしたけれど、番になってしまったアルファは今とても苦しんでいるだろうから誰にも知られたく無いと思っているかもしれないからだけど、怖くて仕方無かった折角乗り越えたのにチャンミンだけを愛していて、そしてこれからもこの世界で活動する為にチャンミンがオメガである事を隠して、その事実を知る俺が守り抜いて…そうやって強く在らなければならないのに、またあのオメガと出会ってそれが出来なくなったら?俺の知らないところでいつか、今度はチャンミンが彼の『運命のアルファ』と出会ってしまったら?怖くて仕方無くて、自分だけではこの気持ちを抱え切れなくて、友人のアルファが運命のオメガと出会い番になって…そして、家庭を失った事を話した「そいつがどれだけ家族を愛しているのかを知っているんだだから、皆驚いていて…俺だって、一度は耐える事が出来ただから大丈夫だって思ってきたしそう思いたいだけど、もうあのオメガには会いたく無いんだ」「ユノヒョン…」「あのオメガの女性の事を…考えたく無いのに思い出してしまったからチャンミナに会いたくなって先に抜けてきた連絡も無しに来てごめん」「そんな事…会えなくて寂しくて、ひとりじゃあ眠れないって思っていたから嬉しいです」弱いところなんて見せたく無かった一番不安なのはオメガになったチャンミンだと分かるからだけど、乗り越えたと思った恐怖が蘇るんだあの、好ましくも無いのに身体を熱くする匂いと、何の興味も無いのにあのオメガを欲しいと思う本能寝室の前、廊下で立ったままチャンミンを抱き締めてキスをしたスウェットの上下を身に付けたチャンミンその生地の手触りが気持ち良くて、分厚いスウェットの上からチャンミンの身体を確かめるように触ったら、いやいやをするように首を振る「ヒョン、やだ…直接…っ…あ、ん…っ冷た…っ」直接、と言うからスウェットのなかに手を入れたらびくん、と身体を震わせる嫌では無さそうだから、そのまま手を腹から胸に這わせていく「なあ、ここに早く入りたい」「…っう……ん……」抱き締めたまま、左手を臍の上辺りに乗せてぐっと押して耳元で囁いたチャンミンの熱い奥は、俺の手の下にあって…狭くて熱いそこで、早くひとつになりたいチャンミンだけを愛していて、チャンミンも俺だけを愛しているのだと、言葉だけじゃ無く伝え合いたい擦るようにそこを押しながら薄い茂みにゆっくりと手を下ろしていったら…「…っ」「チャンミナ?」俺の肩を掴んでいた手に急に力が篭って、そしてその手は離れた顔を背けるようにして俯いて、両手で口を押さえる「ユノヒョン…ごめ……っ…」そのまま廊下にしゃがみこんで背中を震わせる低く唸るような声、そして咳き込んでいて…「チャンミナ!」嘔吐しているのだと分かって慌ててしゃがんで背中を擦るチャンミンは肩を震わせたまま涙声で何度も「ごめんなさい」「見ないで」そう言っていた「ちょっと待って、動かないで、大丈夫だから」ダウンジャケットを脱いで背中に掛けて、急いで洗面所へと向かったタオルを二枚お湯で濡らして、それとは別に濡らしていないバスタオルもキッチンで水をグラスに入れて、それも持って廊下に戻った「チャンミン、大丈夫か?具合が悪かったなんて知らなくて…」「…具合…悪くなんて…」チャンミンは口元を押さえたまま、色を無くしたような顔色で俯いている吐き気は収まっているようだから、背中をもう一度擦ってやった「手を離して?大丈夫だから」「…でも…汚い…」「大丈夫、チャンミナなら何でも平気だから知らないの?」安心させるように微笑み掛けたまだ温かい濡れタオルを口元に持っていったら、チャンミンは涙を流しながらそれで口元を拭いた床は、ほんの少しだけ濡れているけれど…「チャンミナ、この前にも吐いたの?」「…吐いてない、今が初めて…」「じゃあ、何も食べて無いのか?」床を濡らすものはただの水にしか見えないチャンミンは頷いて食欲が無かったのだと告げた最近、そうで無くても以前よりも食が細くて心配していただけど、彼はオメガになった所為も有ると話していたそう言われたらアルファの俺には深く追求する事も出来なかったけれども…「やっぱり、どこか調子が悪いんじゃあ…心配だよ」もう一枚の濡れタオルでチャンミンの手を拭いてやって、しゃがみこんだままの恋人を抱き締めたそれでも、チャンミンは大丈夫だと微笑んだ「身体が冷えたから…風呂に入りたいです」「…うん」その後はふたりで風呂に入って、浴槽にゆっくりと浸かったチャンミンは吐き気は引いた様子で、風邪でも無いと言ったけれども、それならば尚更原因が気になる「寒くない?」「…熱いくらいです、でも廊下で少し冷えたから…」浴槽のなか、後ろからチャンミンを抱き締めて問い掛けたら、チャンミンは俯いて答えたやっぱり細くなっているから身体が弱っているのだろうか普段は良くても、コンサートはこれでは持たない数ヶ月先に控えているから、それまでにはまた体力を付けるようにしなければ…そんな事を思っていたら、ふとチャンミンの動作が目に付いたそれは、最近彼が良くする仕草そして、もしかして、と思った「チャンミナ…まさか…」「……」ぴく、と俺の言葉にチャンミンの手が止まった見た目でなんて何も分からないけれども、平らな腹をチャンミンは摩るようにして撫ぜていたのだ「…そうかも、と思ったんですそれでも良いって…だけど、怖い」まるで分かっていたような口調それでも良い、なんて思っている事すら知らなくて…チャンミンがオメガだと知られる事はあってはならないだから、あのオメガ女性と出会った後もチャンミンを番にする事無く耐えてきたチャンミンが項を噛んでも良いと言っても、その誘惑にも耐えてきたけれども、番、どころか…チャンミンが妊娠した、だなんて項を見るまでも無くオメガである事が世間に知られる事になるそれに、俺達の活動は?「ごめんなさい、ユノヒョン」震える声で小さく膝を抱えるチャンミンそれでも、片手はずっと腹を押さえている何も言えなくて、ただチャンミンを抱き締める事しか出来なかった愛し合っているし、考えた事が無い訳では無いけれども、俺達はこの世界で生きている何も気にせずに居られるなら、手放しで喜べる事だけど…俺の、俺達の運命は何処へ向かって、何が正解なのだろうかランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村このお話は特殊設定のオメガバースです1話から読んで頂ければ分かるようになっていますが、悔しくはこちらに説明してあります ↓Fated 設定とお知らせお話を再開してから、沢山の方に読んで頂けてとても有難いなあと思っていますまだもう少し続くので、長くなりますが最後までお付き合い頂ければ幸いです

  • 16Feb
    • black day 26 後編

      学生だからまだまだこどもだと思っていた出会った時からずっと、俺は社会人だけれどチャンミンは大学生だったからだけど、年の差は二歳それも、学生の内なら大きくも感じるし社会人と学生と思うと同様だだけど、チャンミンはもう直ぐ大学を卒業するこどもだって思っていたけれど、出会った頃からすればとても成長したと思うなんて偉そうな事を言える程俺だっておとなでは無いのだけどある意味、チャンミンの方がおとななんじゃあ無いかと思う事も有るそれは、男としては少し悔しいのだけどアルコールについて高いものはなかなか用意出来ないけれど記念日には良くシャンパンを開けたりするのだけど、チャンミンはアルコールに弱そうな見た目をしているのに実は割と強い俺も勿論飲めるけれどとても強いとは言えないから、油断するとチャンミンに負けてしまいそうになるのだとは言え、酔っ払ったチャンミンは普段よりも甘えてくれたり…つまり、とても可愛いチャンミンにとっては学生最後の記念日で、そしてバレンタインデー普段よりも甘えて欲しいなあ、なんて下心でふたりとも普段はあまり飲まないウイスキーと、それからウイスキーの入ったチョコレートを買ったチャンミンは甘過ぎるものは得意で無いから、丁度良いだろうとも思ったのだけど…「ユンホさん、このチョコ美味しいですウイスキーも…意外と飲みやすいんですね」「良かった、チャンミンの口に合えば良いなあと思っていたから」チャンミンのカルボナーラを食べてソファで寛いでいるカルボナーラが美味しくて沢山食べてしまったから、俺はと言えば腹が膨れてしまっているチャンミンもどうやらチョコレートを用意してくれているようだし、チョコは別腹だけど酒は必要無いかなという感じウイスキーはチャンミンを酔わせたくて買ってきたから、俺は飲まなくても問題は無いチャンミンからのプレゼントも楽しみだけど、それより今日は可愛い恋人を酔わせたい「明日は休みだしゆっくり出来るから嬉しいな」「…はい」チャンミンの部屋だけど、もう何度も何度も来ているから何処に何が有るのか、なんて大体分かるグラスを取ってきて炭酸水とウイスキーを注いでチャンミンに差し出したら、恋人は可愛い顔に似合わない飲みっぷりを見せてくれた「顔赤いけど大丈夫?」「…大丈夫、美味しいから…それにバレンタインデーだし」元々、少し舌っ足らずなところが有るのだけど、アルコールの所為か飲み出して二十分も経っていないのにまるで甘えるように身体を預けてきた「酔ってるの?いつもよりも目がとろんとしてる」「ん…酔ってるのかなあ…美味しくて…」こてん、と俺の右肩に頭を預けてくる抱き合っている時は大胆になるチャンミンだけど、それ以外はどちらかというと恥ずかしがる事が多いだからこんなに甘えてくれるなんて…やはりウイスキーが効いたのだろうか明日が休みで無ければ『飲み過ぎ無いように』なんて年上ぶって言うところだけど、夜は長いし明日も明後日も休みまだ夜の八時過ぎで少し早いだけどもう触れたて我慢出来なくなってきた卒業前でチャンミンは忙しくて、平日はなかなかゆっくり会う事も出来ない俺の誕生日に泊まって祝ってもらって、それっきり抱き合っていない「チャンミン…」肩に腕をまわして抱き寄せようとしたキスをして…ベッドまで行くのももどかしいかな、なんて下心でいっぱいになっていたら、チャンミンが急に立ち上がった「忘れてた!僕のチョコも持ってきます!」「…びっくりした…あはは酔ってるのかな、やっぱり」良い雰囲気だと思ったから少し、いや、本音はかなり残念けれどもがっつくのなんて恥ずかしいし、チャンミンが準備してくれたチョコレートだって楽しみだから、酔わないように…「俺はこっちにしよう」ソファの横に置いた仕事用の鞄からミネラルウォーターのペットボトルを取り出して喉を潤したそもそも、俺のグラスにはウイスキーは殆ど入れていないそれもこれもチャンミンを酔わせるのが目的と言うか、酔ったチャンミンの可愛い顔が見たいし甘えて欲しいという事「何を準備してくれたのかな」一年前のバレンタインデーは、今思い出しても頬が緩んでしまう大きなチーズが塊で出てきて、それを摘むのかと思ったら、そのなかにチョコレートが隠れていたのだから大きな瞳をきらきらさせて『どうですか?』と言葉にはしなくても顔に書かれていて可愛かったきっと物凄く考えてくれたのだろうムード、というよりは驚きが大きかったのだけど、忘れられないバレンタインデーになったキッチンで俺に背中を向けているチャンミンをじっと見ていたら、くるりと振り向いてにこりと笑うその手のなかには小さな紙の箱があって…「これ…買ったの?」「…そう見えますか?作ったんです」市販のものかと思うくらい、何だか可愛らしい箱「バレンタインデーのチョコレートです」と頬を赤くしたチャンミンはソファの前に立って両手でその箱を差し出してきた「ありがとう、嬉しいよ」一年前と違って今年はストレートに渡された何だか一瞬拍子抜けしてしまったけれど、定位置である俺の右側に座ったチャンミンの顔には『早く開けてください』もしくは『ユンホさんはどんな反応するかなあ』とでも言った風に書かれている「開けても良い?」頬が緩むのを必死で抑えながら尋ねたら、チャンミンはこくこくと頷くそれから、ウイスキーのグラスを持ってごくりと飲んで大きな瞳を潤ませる視線を感じながらゆっくりと箱を開けたら、なかに入っていたのはシンプルな半円形のチョコレートだった綺麗に詰められているから、やはり買って来たのだと言われても頷いてしまいそう「凄い、これを作ったの?」「はい、味見も沢山して…でも、ユンホさんの舌に合うと良いんですが…」「ありがとう、じゃあ食べさせてくれる?」なかから指先で摘める大きさのチョコを一粒取り出したそれからチャンミンの前に差し出したら、顔を赤くしてそれを受け取った「…食べさせるって…」「…ん…口に入れて?」ぱか、と口を開けて顔を近付けたチャンミンは視線を泳がせて、それからごくりと唾を飲み込んで…「あーん、で良いですか?」「うん、ちょっと恥ずかしいけど嬉しい」俺はほぼ素面だけど、チャンミンもまだ完全には酔っていないようだチャンミンは小さく「あーん」と言いながら俺の口に半円形のチョコレートを入れた「……」小さなそれをゆっくりと噛んだら、ふわっと口のなかに芳醇な香りが広がったのだけど…「…ん……これって…」「…分かりますか?その…」「俺が買ったのと似てるけど違う…もしかしてブランデー?」甘めのチョコレートそのなかから広がったのはブランデーの味香りがふわっと鼻から抜けるおとなのチョコレートだチャンミンは頷いて「コニャックです」と言った「美味しい、俺のウイスキー入りのチョコと似てるけど…また全然違うんだなでも…」「でも?」「チョコレートで酔いそう」なんて、ウイスキー入りのチョコレートはチャンミンにしか食べさせていないし、俺はまだこれがひとつめだから問題は無いでも、自分が酔った振りをすればチャンミンももっと食べて、そしてウイスキーを飲んで酔っ払って甘えてくれるのでは無いかと思った「コニャック…ブランデー、強く無いですか?」「けっこうしっかりだけど、うん、大丈夫だよチャンミンも食べる?ほら、あーん」「…ん……」俺の様子をじいっと見つめてくるのが小動物のようで可愛くて、一粒摘んで差し出したら素直に口を開けたチャンミンはチョコレートを食べて「あまい」とこどものように言ってくしゃりと笑う「甘い?じゃあこれを飲んでそうしたらすっきりしそうこのウイスキーはあまり甘く無いし、チャンミン好みかなって」「…ありがとうございます」ソーダで割ったウイスキーのグラスを渡したら、チャンミンはそれを思い切りごくごくと飲んだ酔わせて…なんて思ったけれど、あまりに勢い良く飲むのを見て慌てて手を伸ばしたけれど、三分の一程残っていたウイスキーはもう全て無くなっていた「…はあ…美味しい…けど、ふわふわします」「チャンミン、大丈夫か?何だか一気に酔ったんじゃないか?」グラスを持つ手も何だか覚束無いから、空になったそれを取ってローテーブルに置いたそうしたら、チャンミンはぷく、と頬を膨らませて俺の買ってきたウイスキーのチョコレート、それに俺に作ってくれたコニャック入りのチョコレートをぱくぱくと口に入れた「寄って無いです、僕はもう社会人になるし…」「うん、そうだな」「ユンホさんの……ユノの恋人だし」「…っ…不意打ちで名前を呼ばれたらどきどきするな」いつまで経っても恥ずかしがり屋の恋人は、抱き合っている時…それも、たまにしか『ユノ』と呼んでくれないいつもの呼び方で不満は無いし、チャンミンに『ユンホさん』と呼ばれる事が嬉しいだけど、ユノと呼ばれるのも勿論嬉しくて完全に頬が緩んでしまった「どきどきする?僕に?…ユノが?」「…やばい、可愛い」「どきどきしますか?って聞いてるのに…もう!」チャンミンは更に舌っ足らずにそう言うと、頬を思い切り膨らませて俺に顔を近付けてくる酔ったチャンミンに甘えて欲しいと思ったけれど、これは…「好き、もうベッドに行きたいです」「…うん、行こうか」何だか想像以上に可愛くて、そしてまるで小悪魔のようだぎゅっと首に抱き着いてくるチャンミン立ち上がろうとした…のだけど、飲み慣れないウイスキーで酔っ払ったチャンミンはベッドに行きたいと言った癖に、首に抱き着いたまま身体をどんどん預けて凭れてきて…「チャンミン、これじゃあベッドに行くどころか立てないよ」「…なんで?やだあ」「やだ?じゃあ少しだけ身体に力を入れて?このままじゃ流石に立てないよ」狭いソファに座ったまま、仰向けに倒れたチャンミンはそんな俺の上に覆い被さっていやいやをするように首を振る「僕ももうおとなだし、でも甘えることも出来るし…ユンホさんが好きだし……キスして」「チャンミン、相当酔ってるな?」酔わせようとしたのは俺だけど、こんなに効果てきめんだとは思わなかった「酔って…わかんないそれより!僕はユンホさんの事も酔わせたくて、ふたりで酔っ払ったらいつもより甘えられるって思って…それなのに…」「チャンミン?」「甘えたいのに…ユノ……んっ…」「…っ、…チャンミン…」顔をがばっと上げたと思ったらキスをして、そして中心をぐりぐりと押し付けてきたアルコールの入ったチャンミンの身体は熱くて火照っている予定ではチャンミンが酔ったらもっとムードのある雰囲気になる筈だったのだけれど、これはこれで可愛いし…ソファでもう少し触ったり悪戯してみようか、と思ったけれども、計画と言うのはなかなか上手く行かないようだ「ユンホさん…」「うん、何?」「…えへへ、ユノ…好き、大好きです」すりすりと身体を擦り付けて舌っ足らずに告白するから、もう力任せに体勢を入れ替えてここでこのまま、と思ったけれども、次の瞬間、チャンミンの身体からは力が抜けて…「え…っおい、チャンミン?」「……ん…」一瞬でチャンミンは眠ってしまった慌てて名前を呼んだけれど、俺の声にくふくふ笑うだけその笑顔があまりに幸せそうで、起こす事も動かす事も出来なくなってしまった「…ウイスキー…酔わせようと思って気合い入れ過ぎたかな」最近はチャンミンの方がアルコールに強いだからしっかり酔わせるには量が無いと、と思ったのだけれどもそんな俺の作戦はがっつき過ぎてある意味失敗に終わったらしい「…これは…起きるまで俺も動けないな」すうすうと穏やかな寝息を立てるチャンミンの背中を撫ぜて、俺も目を瞑った「…ん…」何か声が聞こえて意識が浮上したそれはチャンミンの声で…「え、何で寝てるの?コニャックのチョコを出して、食べてもらって…それからウイスキーを飲んで気持ち良くなって…服着たままだし…何もしてないって事?」どうやら、声はしっかりしているから酔いは覚めたのだろうか何時間経ったのかは分からないけれど、チャンミンはまだ俺の腕のなかに居る「折角チョコとお酒で酔って甘えてユンホさんと…と思ったのに…僕のチョコでユンホさんの事も酔わせてって思ったのに…酔った振りどころか完全に酔った、僕のばか」「……え…」「え…っあ!ユンホさん、ええとおはようございます」チャンミンの言葉に思わず声を出してしまっただって、彼の台詞は俺の計画と同じだったからつまり、最近俺よりもアルコールに強いチャンミンを酔わせて甘えさせたくて、ウイスキー入りのチョコレートと飲みやすいけれど度数は高めだというウイスキーを準備したから「おはよう、って、まさか朝じゃ無いよな?」チャンミンは俺の身体の上から起き上がり、彼のスウェットパンツのポケットからスマホを取り出した「十一時半…二時間くらい寝てたって事ですか?すみません、ユンホさんの上で…っあ、ユンホさん?」「ユノだよ、甘えてくれるんだろ?」「…っ聞いてたんですか?」まだ完全に酔いは覚めていないのだろう抱き寄せたチャンミンは舌っ足らずにそう言うと、小さく「ユノ」と囁いた「…最高、可愛いまだバレンタインデーは三十分残っているから、沢山甘えて?」「三十分経ったら甘えたら駄目ですか?…っわ!」腰と背中を支えたまま、チャンミンの身体ごと起き上がって真正面から見つめた「チャンミンだけだよ俺にいつでも甘えて良いのは明日は休みだから今日は沢山甘える事」「…言われて甘えるのは恥ずかしいです」「じゃあ、ウイスキーを飲む?」「飲んだらまた寝てしまいそうだし…変な事とか言ってませんでしたか?僕」どうやら記憶が無いらしい真剣な、少し困った目で俺を見て尋ねる焦らしながら考える振りで一呼吸置いてから答えた「ユノって何度も呼んでくれたし、それに…」「……」「甘えたいって言ってた俺も甘えて欲しいから…今からちゃんとこれ以上はお酒の力は借りずに甘える事…出来る?」両手で頬を包んでじっと見つめたら、チャンミンは真っ赤な顔で頷いた今夜は沢山甘えさせて、そしてこの週末はアルコールの力を借りずにチャンミンが甘えられるように仕向けてみようと思う初めて出会ってから二年が近付いているこどもだと思っていたチャンミンはいつの間にかおとなになって俺よりもアルコールが強くて…なんて思っていたけれど、俺に甘える為にアルコールを飲むだなんて、出会った頃と変わらずに一所懸命で可愛いこれからは、おとなになっていくチャンミンのギャップを楽しめるのかもしれないランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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    • 咎送り 17

      日々は穏やかに過ぎていく父は俺とチャンミンの関係を知っても咎めるような事も面白可笑しく揶揄うような事をしない母と妹も同様だ…と言うか、彼女達は特に俺に興味も無いチャンミンに対しても、彼は元々父が呼び寄せた事を分かっているから、手も口も出そうとしない彼女達は彼女達で退屈凌ぎの相手となる誰か、もそれぞれ居るだろうから俺の婚約者、つまり将来の領主の妻を選び決める為の舞踏会は、今のところあれ以降行われていないけれどもそれも父の一存で決められる事だから、何時またその時が来るのかは分からないだけど…「舞踏会、また次もあるの?」「…さあ、でも父上には今はまだ必要無いと伝えてあるこの間見た令嬢のなかには惹かれる相手は居なかったとも」「ユンホの意見は聞き入れられるの?」こちらを見るチャンミンの、少し長めの前髪が風にふわりと吹かれて丸い額が顕になった「本来、俺の意思は俺の未来には関係無い筈だけれども決めるのは全て父上だから…彼の気の向くまま、なのだと思うよ」「そう…そうだよね」椅子から立ち上がり、チャンミンは歩いていく彼の向かう方、青い海から風が吹いてくる暑い夏だけれど、海は北に面しているからか風は涼しいいや、もう秋が直ぐそこまでやって来ているからだろうか「チャンミン、気を付けて」「ユンホは意外と心配性だなもう海にも、この砂浜にも慣れたから問題無いよ」立ち上がって声を掛けたら、振り返ってチャンミンは微笑む革の靴を脱いで素足になって、ズボンの裾を捲り上げているチャンミンの領地には無いという海俺は特別好きな訳では無いのだけど、チャンミンにとっては我が領地にやって来て初めて訪れた場所彼は海を気に入って、時間さえ有れば俺に『海を見に行きたい』そう強請るようになった「…わっ、水がついこの間よりも冷たくなってる」「そうなのか?夏ももう直ぐ終わるからかな季節が変わればまた、捕れる魚も変わる冬の魚は脂が乗っていて美味いんだ」「へえ…本当にここは資源が豊かだな我が領地の民にも食べさせてやりたいな…」海の入口、とも言える砂浜チャンミンは寄せる波で足を濡らして驚いた様子海で遊ぶなんてまるでこどもだけれどもそれも、チャンミンにとって海は馴染みの無いものだから、なのだろう「ユンホ…」「何だ?」砂浜と海、丁度その境目に立つチャンミンは水平線の向こう側をじっと見ながら俺の名を呼んだ彼の後ろ、波がぎりぎり到達しない場所に立っているから、強い風でも吹けばチャンミンの小さな声は届かなくなってしまいそう「あの先に逃げ切れた罪人も存在するのか?」「海の向こうに?」「ああ、初めて海に来た日に…男ふたり、が捕まっていただろ?彼らは捕らえられたけれど、何か罪を犯してこの領地から逃れたひとも居るのだろうか、と思って」チャンミンの声はやはり、風と波の音に攫われてしまいそうに小さい…いや、どこか心細いあの日も、捕らえられた男ふたりを見て不安げにしていたそれは、海に逃げようとしていた罪人ふたりの罪が同性を愛した事だったからなのだろう俺達も愛し合っているだけど、俺とチャンミンは大丈夫、俺がチャンミンを従属させているように見せているから執着していようが、我儘で奔放な時期領主の暇潰しにしか見えないだろうそう伝えたけれど、チャンミンの表情はあの日から少しばかり暗い「俺はあまり興味は無いのだけど…逃げ切る罪人も勿論居るよ罪状までは知らないけどな」「…じゃあ、男ふたりで彼らの関係が許される何処かに向かった、という誰かも居るかもしれないって事?」「そうだな、きっと…居るんじゃないかな」チャンミンは漸くこちらを振り向いて、手を伸ばしてきた一歩足を進めて、その手を左手で掴み細い身体を引き寄せたバランスを崩し掛けたチャンミンはばしゃ、と海水を足元で弾かせながら俺の胸に飛び込むような形になった「…っ、離して…」「ひとは殆ど居ない、それに…言っただろ?誰かがこれを見たって、時期領主のお戯れとしか思わないそれが、俺達の真実を隠すには一番良いんだ」「あ、っ…」腰をぎゅっと抱き寄せて耳元で囁いたチャンミンはふるりと震えて、無意識なのだろうか…身体を擦り寄せてきた「これじゃあ足りない、帰ったら抱きたい」左手を腰にまわしたまま、右手で頬を包みこちらを向かせたら、小さく頷くけれども、俺の胸に手を置いたまま、チャンミンはもう一度海を振り返った「自由は幸せなのだろうか」「…え?」「海のその先に逃れた罪人は…同性を愛してしまった人間は、逃げ切れたら自由になれるのだろう?」チャンミンの表情は見えないけれども、声は平坦で感情は感じられない俺の胸を、シャツの上からぎゅっと掴んで水平線をただ眺めている「自由か…何処か、船にでも乗って陸まで辿り着けばだけど、別の領地や国ではどんな暮らしが待っているかなんて分からない例えばそれが俺達のような身分のある人間であれば…全てを失って得る自由だけしか残らないかもしれない」「…そうだよねそれに、僕達は『自由』が何なのかすら分からないのに」そう言いながら俺の方を向き直ったチャンミン彼の表情には哀しみのようなものが見えた屋敷に帰宅したら、丁度夕食の時間だった唯一家族が揃うのがこの時間、だけれど皆黙々と食べるだけチャンミンがやって来て最初の頃は、母や妹も少しばかり彼に関心を示していたけれど、今はやはり俺の『もの』であると認識されているからだろう彼女達は俺達に何を言う事も無い「今日は良い魚が手に入ったらしいチャンミン、見た事が無いのではないか?」「はい、初めて見ました」大きなテーブルを囲み、ナイフとフォークの音だけが響く広間沈黙を破ったのは父だった彼女達はチャンミンは俺のもの、では無くて父と俺のものであると思っている…が正しいのかもしれない領主の家族だから、母と妹も位が高いけれども、女の地位はこの世界では低いだから、父に逆らう人間など居ないのだまあ、母も妹もそれぞれ遊んでいるから我が家族に関しては何も問題は無いのだろう「これは春先の魚なのだ季節外れだが、我が領地までやって来たらしい」「海流…海の、ですか?」チャンミンは海と聞いて瞳を輝かせている父もそんな彼を微笑ましそうに見て説明を続けた「海の向こうには、色々な国がある寒い国も有れば、常夏のような国もこの魚は流れから外れて、寒い国からやって来たのだろうな」「そんな事が有るのですね」「ああ、この魚にとってはいつもの海流から外れて冒険をした結果、捕らえられてしまった悲劇だけれど、お陰で我々は美味い魚をこうして食べる事が出来る」「冒険…」俺の右隣に座るチャンミンは父の言葉に俯いて、唇を噛み締めた彼は俺からすれば甘い同じ時期領主、だけれど俺よりも自由を与えられて育ったからだろうか感情を直ぐに外に出してしまうところがあるチャンミンは確実に、初めて海に行った日から少し不安定だ「父上、魚に感情なんて有りません冒険でも無いし、ただの偶然です」「ユンホは趣が無いな…まあ、領主には向いているのかもしれん」「……」俺からすれば、父の方が余っ程感情や趣なんて持ち合わせていないと思うだけど、最近はそうでは無くて、隠しているだけなのかもしれないと思うようになったそれは、チャンミンを見る目がやはりどこか優しいから…いや、懐かしむような慈しむような…その正体は俺には分からないし、意味すら無いのかもしれないけれど「ああ、そうだ…冒険で思い出した」父はにこりと微笑んで俺と、それからチャンミンを見た何か退屈凌ぎの良からぬ事でも思い付いたのか、と身構えたけれども、父の口から続いた言葉は予想だにしないものだった「近い内に、チャンミンは家に帰るが良い」「え…旦那様?僕は春まで此処に居るのでは…」チャンミンはかたん、と音を立ててフォークを皿に置いた普段は音を立てないから、余程動揺したのだろうけれども、俺だって顔には出していないけれど同じだ「父上、どういう事ですか?チャンミンはまだ帝王学の何たるかも学んでいないのに…」「ユンホ、落ち着け」「…っ……申し訳ございません」顔には出していないつもりだけど、声で父は察したのだろうか父の言葉に妹はくすくすと笑っている玩具が奪われそうになって兄が焦っているとでも思っているのだろうチャンミンはちらりと俺を見たその瞳は揺れていて、唇を噛み締めているもしかしたら、喜ぶのかもしれないとも思ったでも、俺と離れたく無いと思っている事が分かるから安堵したそんな俺達を、父はまるで見透かすように見ているから、チャンミンから父に視線を移した「一体どういう事なのですか?」内心心臓はばくばくと五月蝿いけれども努めて冷静に問い掛けたすると…「ユンホもチャンミンも、まだ一緒に居たいようだな安心しろ、一時の話だチャンミンの父も母も息子を心配しているだろうから土産でも持って数日間ゆっくりして、それから帰って来なさい」「……良いのですか?僕は人質なのでは…」「勿論、監視も付ける我が領地の者と、それからユンホ…」「え…俺…?」チャンミンもばっ、とこちらを振り向いた父はにやりと笑って、そして続けた「ユンホも共に隣領地に向かい、あの土地の事を見て来るが良い」「…隣領地に俺が…」自由なんて、生まれた時から無かったこの領地のなかなら、今はまだ少しは我儘な時期領主、として過ごす事が出来るけれど、外の世界になんて…そう思っていたから、何だか不思議な感じだ「ユンホ、一緒に行こうユンホに見せたい場所が沢山有る」チャンミンは安堵の表情で俺を見て、それから微笑み掛けるそれがとても可愛くて、やはり彼の故郷を恋しく思っているのだと感じた少し胸が痛いけれど、チャンミンの喜ぶ顔は久しぶりに見た気がするから、やはり嬉しい「チャンミンは嬉しそうだな」「旦那様…いえ、そんな…」「隠さずとも良い、大切な許嫁も居るのだから…彼女との時間も取ってやりなさい」「……はい」父も、俺達か恋仲である事は流石に察していないようだ気付かれたら困るから、それで良いだけど、現実を突き付けられたようで胸が痛かった俺達は、どれだけ愛し合ったところで未来は無いのだ「来週にはもう向かうのか…我が領地を出るだなんて初めてで緊張する」「僕も…緊張する春まで帰る事は出来ないと思っていたから」眠る前、俺の部屋にチャンミンを呼んだふたりでベッドの上で、月明かりだけが照らすなかで囁き合う「帰る事は出来ない、かやはり、帰りたい?」「…っあ…ん…」前開きの寝巻き、その胸の合わせから手を入れて薄い胸に触れた直ぐに甘い声が漏れて、身体が熱くなる「…生まれ故郷で、僕の場所だから…っん…ぅ……」「…塩っぱい、海の味がする」「え…っや、身体を洗ったのに…暑いから汗をかいたのかも」胸を舐めてから言ったら、チャンミンは慌てた様子で胸を隠そうとするだから、覆い被さって胸を隠す邪魔な手はシーツの上で掴んで縫いつけてやった「…舐めないで…」「嫌がったら、余計に舐めたくなるそれに、チャンミンなら美味しいよ」「ん、…っユンホ…怒ってる?」「怒ってなんて……」言われて気が付いた自分が苛立っていた事に感情なんて覆い隠す事が当たり前だったのに…いや、チャンミンに恋をした時点で、それを彼に対して告げた時点でもう、感情を隠す事なんて出来なくなっているのに「俺が居ても帰りたいのか?俺を愛していても…」「違う…ユンホが一緒だから…そうじゃなきゃ…本当は帰りたくないって思っていたんだから僕は、時期領主なのに…最低だ」「…チャンミン…」腕が伸びて、首に絡み付いて俺の首筋に顔が埋められた暑い舌が俺の首を舐めて、「塩っぱい」とひと言「俺は汗だな」「うん、ユンホの汗…美味しい」こどものようにぺろぺろと俺の首を舐めて、身体を擦り寄せる理性は直ぐに吹き飛んで、やり返すようにチャンミンの首元に噛み付いた「…っあぁっ!」「許嫁とチャンミンが居るところなんて見たく無い」「…ん!っ、…ユンホしか…愛していない」脚を抱えて、準備なんて要らないくらい俺の形に慣れた後ろに自身を宛がったチャンミンは俺の目を真っ直ぐに見て、挿入した瞬間に声にならないくらいの声で言った「誰も知らない場所に行きたい」「え…」「…好き…っユンホ…」「…っ…」腰に脚が絡み付いて、ぐっと締め付けられたチャンミンの言葉は何とか聞こえたけれども、それはベッドのなかの睦言で…深い意味なんて無いのだと思ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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  • 15Feb
    • cute cute lollipop 8

      このオフを取得する為に、何度も社長に直談判した今や事務所の稼ぎ頭となったチャンミン、彼には日々多くの仕事の依頼が舞い込んでいるなかで出された条件は、オフになっても問題無いように、会社の損失を出さないように先回りして仕事をこなしておく事休暇を終えてからスムーズにスケジュールをこなせるように各所ともスケジュールを調整する事それから、自ら申し出て他の事務所社員達の仕事や新人のアイドルのマネジメントも一部こなしたチャンミンにオフを与えてやりたいし…と言うのは建前で、何より恋人として一緒にゆっくり過ごしたかった普段から頑張っているチャンミンを恋人として労ってやりたかった…まあ、つまりはプライベートでゆっくり一緒に過ごしたかったのだ「俺も変わったよなあ…」冷静沈着なマネージャーでSPそれは仕事の顔だけれど、プライベートでも常に仕事の事を考えていた元々働いていたい方で残業も休日出勤も進んで行ってきただから、仕事の顔が素顔と言っても良い恋人と過ごすよりも仕事を成功させたい休日に部屋でゆっくり過ごすよりも鍛錬していたいそんな風に思っていたのに、今ではオンとオフを切り替えて過ごしたいと思っているつまり…いつも、同棲、いや、同居している部屋でもマネージャーとアイドルという関係がどこか残っているのだけど、本当は家ではただの恋人として過ごしたいし、チャンミンをとことん甘やかしてやりたい「甘やかす、なんてどうしたら良いのか分からないし…ドラマの恋人みたいな事なんて出来ないし」ベッドに腰掛けて、腿の上に肘をついて頬杖をついて項垂れたこの沖縄旅行には、正直並々ならぬ思いがある必死でもぎとったオフ、という事も有るけれど…何より、恋人として甘い時間を過ごしたいのだマネージャーやSPとアイドルでは無くて、ただの恋人同士として普通に「芸能事務所に十年以上居てマネージャーだのSPだのしてきて、恋愛も遠ざけて来たのに普通なんて分からないけどな…はは」つい考え込んでしまうのも職業柄なのだろうか常に先の事やリスクを考えてしまう悪く言えば守りに入りがちだけど、そんな俺を変えつつあるのはチャンミンだいつも真っ直ぐに…いや、真っ直ぐ過ぎるくらい俺にぶつかってくる常に笑顔で全力、後先なんて考えていないようにも見えるけれど、実は誰よりもファンの事を愛して考えているそんなチャンミンだから支えて守りたくなるそして、オフの間はファンの為のチャンミン、では無くて俺の為だけのチャンミンで居て欲しい、なんて思うようになったのだ「良い天気だな…真冬だなんて信じられない」何だか真面目に考え出してしまったけれど、ここは沖縄顔を上げたらもう直ぐそこに青い海と空が広がっているコートなんて必要無いくらいの陽気でソウルとは大違いだ必死に頑張ったお陰で無事に五日間のオフを得る事が出来たとは言え、もうオフは二日目、そして午後つまり刻々とふたりきりの恋人としての時間は減っていくのだ「……」チャンミンよりも一回り年上だし、今更年下の恋人に溺れるなんて…幾らチャンミンがあまりに可愛くても、そんな事は恥ずかしいと思ってきた常にマネージャーとしてSPとして冷静沈着で、可愛い恋人から素敵だと思って欲しいとも思っているだから…「…十五分…まだ待たないと…いや、流石に遅くないか?待って欲しいと言われたけれど、もしかしてひとりで倒れていたり…」ホテルに到着して早々、チャンミンはキャリーケースを持って浴室の方へと消えた待っていてくださいと言われたから、こうして大人として余裕のある風に待っているけれども、正直気になって仕方無いだから色々な事を考えてしまうのだ「もう待ったよな?充分」自分に言い聞かせるように呟いて、それから立ち上がったゆっくりと歩いて、部屋の入口近くの浴室の前の扉に立ったすう、と息を吸って、最後にもう一度がっついていないだろうか、と自分に問い掛けた理由も聞かずに十五分待ったなら良しとしようそう結論付けて、扉をノックした「チャンミン、どうかしたのか?」「…っあ、ええと…後少しで出ます!」「具合でも悪いのか?心配だよ」チャンミンは時々予想もつかないような行動を取る振り回される事も多々有るのだけれど、それも彼が一所懸命な証拠である一所懸命だから人々は魅了されるし、応援して見守りたくなるのだと思う裏表が無いから、マネージャーの俺も同じように引き寄せられるでも、マネージャーとしてははらはらする事があるのも事実「チャンミン?開けても良いか?」「…っあ、駄目!僕が開けるから…」折角ふたりきりの旅行一分だって無駄にしたく無い恥ずかしくて言えないけれどそれが本音だから、扉を開けて抱き締めたいなのにチャンミンは頑なにひとりで居る「…明るい内に外を散策しようかと思ったんだけど…」我ながら情けない恋人に早く顔を出して欲しいから必死になるだなんて社長や事務所の一部社員は俺達のプライベートでの関係を知っていて、今回の俺の計画…つまり、チャンミンに内緒でオフを取得しようとした事も知られているから、年下の恋人に夢中になっている事は知られているでも、まだチャンミンの前では格好付けていたいけれどもやっぱりもう、最後まで格好付ける事は難しそうだ「なあ、本当に心配だよ、せめて何をしているのか……っえ…」心配しているのだ、と言って扉を開けようと思ったオフとは言え、チャンミンはアイドルで俺はマネージャーだから開けても許される筈なんて、オフはただの恋人で在りたいなんて思っていた癖に我ながら勝手だけど「…急いだからまだ完璧じゃ無いのに…ユノさんが急かすから」「チャンミン…」俺が勝手に扉を開ける前に、チャンミンが扉を開けた扉にかけようとした手は宙で止まったままだって、男の格好で出国してここ、日本の沖縄にやって来たチャンミンはものの十五分、いや二十分程でセミロングの可愛らしいアイドル…では無くて、女の子の姿になっていたから「ユノさんに見付からないように準備していたんです……どうですか?」「……ええと…可愛過ぎてびっくりした」我ながら何だか情けない声と言葉だって、本当に可愛いから「…えへへ、嬉しいです」くるり、と俺の前で回ったチャンミンはミニスカートの裾をぎゅっと両手で掴んだ恥ずかしい時や嬉しい時のチャンミンの癖だ明るい茶色のセミロングのウィッグはとても自然で、チャンミンを知らない誰かが見ればウィッグだと分からない程薄ピンクのオーバーサイズのシャツを膝上のミニスカートにインして、細いウエストと脚が際立っている「どうですか?衣装は派手なものが多いですが…こんな感じなら普通の女の子みたいに見えるかなあって」「…普通、じゃ無い」「え…頑張ったんですが…やっぱり男にしか見えませんか?」俺の言葉ひとつでしゅん、と目に見えて沈むチャンミンそんな姿も…と言うか、どんな顔も可愛いのだけど誤解は解かなければならない「違うよ」「…ユノさん…?」そっと左手を伸ばして頬に触れたメイクなんて必要無いけれど、薄く施されているだから、完全に女の子にしか見えないけれども普通では無いだって…「こんな『普通の女の子』居ないよ可愛過ぎて…心臓が止まるかと思った」「…っ…良かったあ…おかしいって思われたらどうしようかと思ってこれなら外で普通に恋人として手を繋いで歩けると思うんですだから、海を見に行きたいです!」花が綻ぶように、という言葉が有るけれど、チャンミンは大輪の花が咲き誇るような…いや、その場の空気が全て浄化されるような笑顔を見せるそんな彼に多くのひとが夢中になっているし、一番近くに居る俺もどんどん嵌っている「可愛過ぎて誰にも見せたくないくらいだけど…」「それは僕の台詞ですユノさんが素敵すぎて、今日のラフな格好も下ろした前髪も格好良過ぎてでも、誰がユノさんを好きになっても僕が一番ユノさんの事を好きなので…だから負けません」俺の方がきっと、いや、どう考えたってライバルだらけだだって恋人はアイドルなのだからだけど、可愛い恋人に可愛く『架空のライバルには負けない』なんて言ってもらえたから有り難くその言葉を受け取る事にした ホテルの部屋を出て、建物の外へと出たフロント付近にはスタッフや宿泊客が複数居たたまに視線は感じたけれど、それらは多分、長身のチャンミンのスタイルや可愛らしさに目を奪われていたのだと思うこれがもしもソウルなら、大騒動になってしまうところけれどもここなら、マスクも眼鏡も必要無いチャンミンは女の子にしか見えないから、俺達は少しばかり年の差のある恋人に見えている筈「…嬉しいな」「…俺も同じ事を思っているよ」「本当に?もっと嬉しいですやっぱり女装して良かった♡服もメイクも頑張った甲斐がありました!」ホテルを出て直ぐ傍の海まで歩きながら話したら、チャンミンは俺の右腕にぎゅうっと抱き着いてきたシャツは見覚えが有るもので、彼の私服だボトムスがスカートに変わるだけでオーバーサイズのシャツはまるで別物のように見えるまあ、どちらにしろ似合っているし可愛いのだけど「ユノさん!見て!凄いです砂浜が白いし近くで見たら海の青が更に綺麗…」「チャンミン!転けないように気を付けて」韓国語を分かる誰がが居るなら別だけど…平日だからかオフシーズンだからか、殆どひとの居ない海辺で異国の言葉を話す俺達は、会話を気にする必要も無さそうだ外でこんな風に自由に居られる事なんて無くて感動しそうになる日本には過去に仕事で来た事がある言葉が通じない事も勿論分かっている韓国では少し名の知れたアイドルだって、日本では知名度なんて全く無い事も知っているだけど、日本でチャンミンと共に過ごす事は初めてそれに、沖縄という土地は俺にとっても全くの初めてだだから、日本には少しは慣れていた筈だけれど、俺もやはりまるで初めてのように胸が高鳴っている「サンダルだから濡れても平気ですよね?」ビーチサンダルで、ほんの少し海に足をつけるチャンミン後ろから追い掛けて、普段ならば海に足をつけるだなんて浮かれた事はしないけれど、今はただの恋人だから…「平気だし、チャンミンはスカートだから思い切り濡れても大丈夫だよ」「わっ!冷たくて気持ち良い…ユノさんにも仕返しです!」俺も海に足をつけて、しゃがんで海水を掬ってチャンミンに少しだけかけてみたチャンミンは幼いこどものように笑ってバシャバシャと水のなかで跳ねた今きっと写真を撮ったらとても良いものが撮れるだろうなんて考えるのは職業病なのだろうかでも、どれだけ良い表情だったとしても、一番では無い女の子の格好をして薄くメイクを施したチャンミンは本物の女性アイドルになんて負けないくらい可愛いだけど、それよりももっと可愛い姿があるから「チャンミン」「…何ですか?」海に足首まで浸かり、低くなる太陽を眺めていたチャンミンがこちらを振り返り微笑んだ西日が彼の頬を照らして茶色い髪の毛は光に透けているとても美しい光景に思わず見蕩れてしまうけれども、一番では無い「好きだよ」「…っ……ん、…っふ……ぅ…」腕を伸ばしたら、いつもチャンミンは俺の胸に飛び込んでくるだけど、それも待てなくて自ら抱き寄せて胸のなかに収めたそのまま両頬を包んでキスをして、唇を舌で舐めた「っん、ユノさん…っ、…」「うん、どうしたの?」「……ふ…っあ…メイクが取れちゃう…っ…」砂浜の遠くにカップルらしき姿が見えるけれど関係無いここにはチャンミンを知るひとは居ないし、俺達は男女のカップルに見えるだろうから「…取れたって良い、むしろリップを取るつもりでキスしたんだ」唇を離して囁いたまだ少し色のついた唇に左手の親指をあてて優しく拭い取るように左右に動かした「折角メイクしたのに…これじゃ男に戻っちゃう…」「戻っても良いんだよそのままのチャンミンが好きなんだから…ほらやっぱり…このままが一番可愛い」リップが取れたチャンミンを見つめてもう一度キスをした今写真を撮ればきっと、最高のものになるだろうマネージャーとしての血が騒いでしまうでも、それ以上に誰にも見せたく無い「僕も、今日のリラックスしているユノさんが大好きです勿論いつのユノさんも最高ですが…んっ……」キスしながらウィッグまで取ってしまおうか、とも思っていたけれどもチャンミンがあまりに本当に可愛くて、悪戯をする余裕すら無かったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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    • Fated 70

      Side C男として、いつか誰かと結婚してこどもを、と思っていたそれがオメガになった事で別れてしまった元彼女となのか、それとも別の誰かなのかなんて分からないだけど、僕は男でベータだから、僕の妻になる誰かがこどもを産むのだと思っていたいや、思うも何もそれしか無い男なのだからけれども僕はオメガになった男だけれど、二次性がオメガだから女性器が腹の奥に形成されたそれはもう完成していて、アルファやベータの男性と関係を持てば…いや、例えオメガ同士だとしても、相手が男であれば妊娠も出産も出来る身体に変化したのだオメガだけれど男である事には変わらないだから、以前から当たり前に思っていたように相手が女性であれば結婚だってこどもをもうける事だって出来るけれども、僕が恋をしたのはずっと誰よりも近くに居たユノヒョンだった切っ掛けはオメガに突然変異して理性の効かない発情期であるヒートがやって来た事僕のオメガのフェロモンにアルファのユノヒョンが反応して、お互いに熱を鎮めあった事男である事が、誰よりも男らしく在りたいと思う自分のこれまでの全てが覆されたようで、現実を受け入れる事が出来なかった今思えば何度もユノヒョンに冷たい態度を取ったりしたと思うでも、それでもヒョンは僕を受け止めてくれたし、オメガになった僕も変わらずにチャンミンなのだと言ってくれた結局、誰よりも自分が自分で無くなると思っていたのは僕自身だったユノヒョンは変わってしまった僕も変わらずに僕で…抱き合う関係に、恋をする関係には変わったけれど、つまりはそれ以外は変わらないのだと時間を掛けて何度も何度も伝えてくれた男らしくいなければいけないと思っていた男だから、こどもを産む事なんて出来ないし…それはオメガになっても変わらないと思っていたでも、今のありのままの僕をヒョンに受け入れてもらった事で、『こうで無ければならない』という自分を少しずつ緩めて今の…オメガに変化した僕を自分自身でも受け入れる事が出来た「だから…愛し合っているんだからこどもが出来たって不思議じゃあ無い筈」ベッドの上で寝転がり呟いた今日は折角早く帰って来れたし、寝不足に疲れも溜まっているだから早く眠ろうと思ったのだけど、ひとりじゃあ眠れない夕方までユノヒョンとふたりで仕事だったヒョンは友人から誘われていて…最近僕が一緒に居たい、離れたく無いと我儘ばかりで断ってもらう事も多かったけれど、流石に断り続ける事は良くないからと食事に向かったどちらかの部屋で眠って仕事に行く事が当たり前になっていたから、寂しくて仕方無い「……そろそろ出来てないかな」毎日、何度も何度も下腹部を撫ぜるように触れているこの奥にユノヒョンと僕のこどもが居るかもしれないから男性オメガの妊娠は、機能があっても難しいとは医師に言われたけれど運命のオメガ、なんてまるでドラマや映画に出てくるような相手にユノヒョンは遭遇したドラマや映画では双方が美しくてドラマチックな出会いを果たすのだけど、現実はと言えば…ユノヒョンは勿論とても格好良いし特別だと言われるアルファのなかでも別格だと思っているでも、そんなヒョンの運命のオメガは、極々普通の地味なインタビュアー見習いだった折角、なんて言いたくは無いけれど僕がオメガになったのにそれなのに何故僕がユノヒョンの運命では無いのだろうヒョンは僕だけを愛していると言ってくれているし、もうあのオメガ女性の事が話題に出る事も無い「また、もしも出会ったら…そう思って怯えているのは僕だけみたいだ」俯せになって、いつもユノヒョンが僕のベッドで眠る時に使う枕を抱き締めた『大丈夫』『もう会う事も無い』『チャンミナしか好きじゃ無い』そう言ってくれるし、実際に彼女と出会った時にユノヒョンは僕を選んで抱いてくれたそれも、彼女に身体が反応して欲情したからだけどでも、次は?絶対に会わないなんて保証は無いし、もしもまたふたりが出会ってしまって本能に流されたら?オメガになって、それでもやっと自分を受け入れて愛し愛される事が出来たのに愛したひとから必要で無いと思われたら…次はもう、耐えられないかもしれない優しいユノヒョンは、項を噛んでくれない噛んで痕が残ると僕がオメガだと分かるから、なんて言われたでも、項を噛まれて番にならなければ…ユノヒョンは運命のオメガと再開した時にまた僕以外のオメガに欲情する項を噛んでもらえないなら、形が欲しいこどもが出来れば、そうすれば結婚という形の代わりに番になれるだろう「なのに…ユノヒョンのばか!不安になってるのは僕だけなの?」枕をぼん、とマットレスに叩き付けたこどもっぽいヒステリーだでも、ひとりだし許して欲しい折角ピルの服用を止めたそれだって物凄く勇気の要る事だったのだそうしてユノヒョンとのこどもを妊娠して安心したいと思ったそれなのに、医師には男性オメガはただでさえ妊娠し難いなんて言われたのに、ヒョンは避妊具を使うようになった『チャンミナの身体に負担が掛かるだろうから』『ピルだけでは完全に防げないかもしれないし』なんて…ずっと何も着けずに抱き合ってきたのに、僕の奥に何度も何度も注いできた癖にそれでも、必要無いと言ってユノヒョンに迫っているから毎回装着している訳では無い一晩で二回、も普通だから一度目は『チャンミナの為に…』なんて言って着けても、二度目はヒョンも興奮してくれて無いままで直接触れ合う事が多いこどもを欲している、そう言葉で言えたら良いけれど、それは出来ないだって、純粋に心からこどもが欲しい訳では無くて、ユノヒョンを繋ぎ止める為だからでも、今はヒョンとの…愛するひととのこどもを欲しいのも本音産んでもらう訳では無くて自分が産む事になるし、怖く無いと言えば嘘になるけれども、ユノヒョンとなら何でも乗り越えられると信じているから「あれ…そう言えば…」ふと思ってがばりと起き上がったiPhoneを手に取って、カレンダーを開いたピルの服薬を止めて三週間程で、抑制剤を処方してもらう為に病院に行った勿論、ピルも飲んでいる事になっているから抑制剤と同様にピルも処方されたのだけど…「あの時はまだ妊娠なんてしている訳が無いって思ってたけど…」病院にユノヒョンと向かって、その後ヒョンが避妊具を、と意識するようになって三週間程が過ぎているつまり、もう妊娠している可能性だってある、筈「……もしそうだとしても音とか…分かる訳無いよね」ベッドの上で座って両手を下腹部にあてた近い内に、時間のある時に病院に行ってみようか今ならば可能性が有るから検査してもらえるどきどきしながら下腹部を撫ぜていたら、玄関からがちゃ、と音がした「…っえ、…何…」合鍵を持っているのはユノヒョンとマネージャーだけこんな夜にマネージャーが連絡も無しに来る訳が無いでも、ユノヒョンだって食事中の筈で、連絡も無いからきっと今日は遅くなるし彼自身の部屋に帰るだろうと思っていて…「……まさか強盗とか…オートロックだしそんな訳無いよね?」連絡無くユノヒョンが来る事なんて珍しい付き合い出してからも彼は優しくマメで、こんな時は『向かっているよ』だとか何か連絡をくれる筈だからゆっくりと、ユノヒョンの枕を持って立ち上がったカトクのアプリを開いても、特に連絡は入っていない「……」寝室の扉をそうっと開けて覗いたら…「チャンミナ!良かった起きていて…」「…っあ……良かった、ユノヒョンじゃ無かったらどうしようかと…」がばっと抱き着いて来たのは、ダウンジャケットを着たままのユノヒョンアルコールの匂いに混じって、知らない香水の匂いもする「…酔ってますか?」ぎゅうぎゅうに抱き締められたまま僕は枕を抱き締めているからユノヒョンを抱き締められない何とか身を捩ってヒョンを真正面から見つめたら、少し頬の赤いヒョンはこどもみたいな顔で首を傾げたけれども、僕をじっと見てから今度は眉を下げて…「チャンミナに会えて良かった」「え…夕方まで仕事で一緒でしたよね?」まるで会えない相手であるような事を言う僕の部屋に来てくれて嬉しい今夜はもう会えないだろうと思っていたし、友人達との付き合いをこれ以上制限してはいけないと思っていたから、会えて嬉しいだけど、ユノヒョンの様子に少し違和感を感じたアルコールの所為であれば良いけれど、やはりそれだけでは無い、ずっとヒョンと居るからこそ分かる違和感だ「…何かあったんですか?……っん…」尋ねた瞬間にキスで唇を塞がれたそのまま、ヒョンの手は僕の腕のなかから枕を取って床に落とした「俺より枕?」「だって、ユノヒョンが居なくて寂しくて…これはユノヒョンの枕だから」嫉妬したような顔やはりアルコールの所為なのだろうか僕の言葉にヒョンは少し安堵したような表情を浮かべて、そして視線を逸らして口を開いた「知り合いのアルファが、運命のオメガと出会って…本能に逆らえないまま番になった」「…え…それって、今日そのアルファが集まりに居たんですか?」アルファと運命のオメガ、それに番その言葉に一気に身体が冷えただけど、僕に視線を合わせないままのユノヒョンの顔も強ばっている事に気が付いた「来てはいないよ、でも話だけ共通の友人から聞いたそのアルファは…ベータの女性と結婚をして、こどもも居るんだ奥さんとこどもを大切にしていて浮気をするようなやつじゃ無いそれなのに…出会ってしまって必死に堪えたけれど…その『一度』でお互いに本能に逆らえずに番になったそうだ」「…結婚は?」「番になっても結婚とは別だから、こどもも居るなら結婚生活を続ける夫婦も居るらしいでも…番になれば、アルファはそのオメガとしか関係を持てないというだろう?大切にして来た奥さんは耐えられないと言って別れたそうだ」「そんな…」運命、とは何なのだろうそんな呼び名だから、まるでロマンチックな何かのように思える実際にフィクションの世界ではそうだ美しいアルファと美しいオメガが出会って運命の恋に落ちる弱いオメガは運命のアルファに守られる事で他の男に狙われる事も無くなるし、ふたりの恋は誰にも邪魔する事が出来なくなるだけど、そんなの…やっぱり、現実には無いのだ「そいつが、どれだけ家族を愛しているのかを知っているんだだから、皆驚いていて…俺だって、一度は耐える事が出来ただから大丈夫だって思ってきたしそう思いたいだけど、もうあのオメガには会いたく無いんだ」「…っユノヒョン……」低く、絞り出すように言われたユノヒョンからすれば見知った仲のアルファに必要の無い『運命』が訪れて、ショックだったに違いない優しいヒョンだから…「俺もあの…オメガの女性の事を…考えたく無いのに思い出してしまったからチャンミナに会いたくなって先に抜けて来た連絡も無しに来てごめん」「…そんな事…会えなくて寂しくて、ひとりじゃあ眠れないって思っていたから嬉しいです」最近ずっと、こどもが出来るだろうか、とか…またユノヒョンの前にあの女性が現れないだろうか、とか…そんな不安ばかり抱えているだけど、ユノヒョンに触れていたら、抱かれていたら全て忘れる事が出来る「俺を待っていた?」「…うん、それに、ヒョンが誰かのものに、なんて耐えられないです」「チャンミナだけのものだよチャンミナも、俺だけの…だろ?」「…っあ……ん…」廊下で立ったまま、キスをしたそのままユノヒョンの手はスウェットの上から僕の身体に触れていく「…ヒョン、やだ…直接…っん…」もどかしくてキスの合間に強請ったら、くすりと微笑んだ恋人はスウェットの裾からなかに大きな手を入れて…「…っん、冷た…っ…」「チャンミナはあったかいな直ぐに体温も混じり合うよ」やはりアルコールに酔っているのだろう普段よりも少し荒々しい手つきでも、そんな風に、奪われるように抱かれたら…今日は避妊具なんて使わずに抱き合える「なあ、ここに早く入りたい…」「…っん、あ……」冷たい手が僕の下腹部に触れて、ぐっと押された臍の辺りを押されると、ダイレクトに内蔵を押されているようでぞくりとした体温が冷たくて、もしも、ここにこどもが居たら?ふとそう思ったそうしたら…「…っう……ん…」「チャンミナ?」「…っ、……あ…」下腹部から一気に何かがせり上がってきた疲れが溜まっていて早く眠りたかった事もあって、今日も夕飯は食べて無いのにアルコールだって、こどもが出来たらと思っているから飲んでいないのに…「ユノヒョン、ごめ……っ…」しゃがみこんで口元を押さえて、だけどせり上がってきた胃液を少し掌に出してしまった「チャンミナ!」心配するヒョンの声に申し訳無い、と思うだけど、腹の奥がむかついて何も言えなくて、せり上がる胃液に涙が零れたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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  • 14Feb
    • 皆様へお願いとお知らせ

      ご訪問ありがとうございますお話等を読んでくださっている方、また特にアメンバー様やアメンバー申請をお考えの皆様はお手隙の際に必ずお読み頂きますようお願い致します。まずは昨日の質問の記事に回答してくださっている皆様、ありがとうございます。書きたいものだらけで次のお話をどうしよう、と毎回決められないしどんどん増えていく一方なのでご意見を頂けるととても助かります更新を止めているお話(シム先生、お花売り、Chandelier)については、空白期間が長くなるともう読んでくださる方もどうでも良くなったり別のお話の方が…となるかな?と自分では思うので、こちらもどのくらいの方が再開を望んでくださるかで進め方やタイミングを考えたいなあと思っています。ので、このお部屋のお話を読んでくださっている方で答えてやっても良いよ、という方がいらっしゃれば昨日の記事にコメントを頂けるととても有難いです昨日発表されたこちら…ホミンちゃんのLove Love Planet最高ですよね…荒ぶり出すと止まらないので、また別で荒ぶりたいなあと思うのですが、ひとつだけ言わせてください…私、ホミンちゃん愛とセンスの無さだけは自信があって、このお部屋でも特に荒ぶり記事(リアルホミンちゃん妄想)のなかではセンスの無い文章を書き連ね残してきているのですが…あの恥ずかしい記事にお付き合いくださっている方はご存知かも…なのですが、以前からずっとLove Love music という言葉を使っていまして…最近は恥ずかしくてあまり使っていなかったのですが、また復活させていこうと思いましたそんな訳で(そんな訳もこんな訳も無い事は分かっております…)また勝手に、勿論勝手に、ですが公式様が寄ってきたのでは?と思ってしまいました事を反省させて頂こうと思います…ホミンちゃんの後ろにハート左にユノヒョン、右にウリチャンミナふたりに大きく✕がかかっていますよね…これはつまりユノヒョン×ウリチャンミナすなわちホミンちゃんですよ、という事なのでは?大丈夫ですバレンタインだからLove、やハートを使っている事は勿論分かっています大丈夫です…と、長くなる前置きはここまでにして…本題なのですが、アメンバー様の見直しをさせて頂こうと思います。このお部屋では定期的に行っていて、昨年11月に行ったばかりなのですが…年末の件以降、アメンバー様のなかでもお話だったりを読まなくなった方や気持ちの変わられた方だったりもいらっしゃるかと思います現在、私のお部屋(ブログ)のアメンバー様は870人程いらっしゃいます。そのなかで、どなたが今年に入り来てくださらなくなったか、は全体の人数が私ひとりで管理するには多過ぎて正確に分からない状況です。また、アメンバー様では無いアメーバIDをお持ちの読者様、ウェブから読んでくださっている読者様、それに通りすがりの方を合わせると一日に一万人近くがご訪問くださっています。どの方が好きでいてくださっているか、はコメントやいいね、足跡がいつもある方で無いとなかなか分からなくて…11月にアメンバー様を見直しします、とお伝えした際には読んでくださっていた方も現在は…という事も有るかと思うので(個人的には切ないですが)、再度になりますがアメンバー様の見直しをさせて頂こうと思います。理由は…✔アメンバー記事には動画サイトに無断転載されたお話がある事(現在まだ非公開にしてあります)✔アメンバー限定記事は、このお部屋を好きでいてくださっている方にお届けしたい事✔限定で読める記事なので、全体公開し辛い激しめの荒ぶりだったり私の個人的な気持ちだったりを書いている事✔もうこのお部屋をほぼご訪問されない、記事が必要無い方に通知等が行く事は避けたい為アメンバー様の見直しはどうするか、ですが…本日から2月末日まで期間を設けさせて頂きます。その間、「今年に入り私から見てお見かけしていない」「お話以外の雑記やアメンバー様に向けたお知らせだったりには目を通してくださっていない」と思われる方は一旦アメンバー様から外させて頂こうと思いますなので、読んでいるよ、というアメンバー様、もしくはこれからアメンバー申請をお考えの方がいらっしゃれば…✔2月中にこの記事に足跡(いいね、とバナーのクリック)をお願いします。上が「いいね」で下がバナーです。それぞれ一度ずつクリックして頂けると足跡と応援になります✔3月以降、足跡の無い方、もしくは今年に入ってからお見かけしていないと思われる方、お話を読んでくださっていないと思われる方をアメンバー様から一旦解除させて頂こうと思います。今年に入ってからアメンバーになってくださった方は今回足跡が無くても外す事は有りませんまた、このお部屋では一旦ご訪問が見られなくなってアメンバーを外させて頂いても、また読んでくださり申請をしてくだされば承認しております。毎日ご訪問くださる方もいらっしゃれば、時間のある時に、たまに、ですとか纏めて読んでくださる方もいらっしゃいます。どのように使って頂けても拙いお話にお付き合い頂ける事が有難いし嬉しいなあと思っています。二週間と少し、期間を設けておりますので、その間に足跡を残して頂けましたら幸いです。(勿論、もう必要無いという方はそのままで大丈夫です)ちなみに、良く聞かれるのですが…「いいね」はAmeba会員様(無料です、私も勿論無料で登録運営しております)で尚且つログインしている方が押せる足跡の機能ですこちらのバナーは誰でもどこから読んでいても押して頂けるともので、こちらは「ブログ村」という大きなブログサイトと連動しているものですいつも最後に「ぽちっとしてくださいね」と書いてあるこちらをクリックすると…この画面になります。この下にスクロールすると、私と同じような(と書くと他の書き手様からすれば…かもしれませんが)ホミンやそれ以外でもお話のお部屋が出てきます。こちらもクリックして頂けるとどれだけ読んでくださっているかが分かるようになっているランキングに反映される為、私のやる気スイッチになります。画面がこのようになれば反映されているので、そのまま戻って頂ければこのお部屋(例えばこの記事ならこのページ)に戻ります。なので、いいなあ、と思って頂けたらAmebaの方はいいねとバナー、そしてそれ以外の方はバナーを押して足跡と応援を残して頂けると嬉しいです勿論強制では無いので良くないと思われましたらそっと閉じて頂ければ大丈夫です今回のアメンバー様の見直しが終わりましたら、限定のお話で現在非公開にしてある「ひなぎく幼稚園のチョン先生」を限定公開に戻そうと思っておりますこのお部屋を安心して更新したい為お願い事をしてしまいますが、足跡を残してくだされば特に変わりはないので…ご理解頂けましたら幸いです。例えば自分で時間を掛けて今年に入ってからの足跡を詳しく調べたり色々、が出来たら皆様にお願いをしなくても分かるかもしれないのですが、仕事と家事以外の時間に機械音痴な私がお話を書いてこのお部屋を管理して…なので難しくてこれからもこのお部屋でマイペースに、ホミンちゃんへの気持ちを吐き出していけたらと思っておりますので、お付き合い頂ける方がいらっしゃればとても幸せです。それではまた夜のお話でお会い出来ますように…ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いしますこれがバナーです ↓にほんブログ村いいね、は1番下にあります

    • 先程の更新について

      「black day 」は一ヶ月に一度のお話です話数はついていますが、単発で読んで頂けますこれまでのお話はこちらにあります ↓black day

    • black day 26 前編

      誰かに良く思われたい、だとかもっと好きになって欲しい、なんて思った事が無かった僕は僕で誰かに合わせるなんて面倒臭いこのままの自分を好きになって欲しい、とも思わないけれど、つまりは生身の人間にあまり興味も無かったのだまだ二十やそこらの大学生なのに冷めていたのかもしれないいや、単に夢中になれるものが無かっただけそんな僕を変えたのが、二歳年上のユンホさんだった「…こんな感じ?濃いのかな…分かんないや」味見だけでちょっと気持ち悪くなって来ただって、甘いからそれに少しふわふわもする「何だか昼間から贅沢…」ひとり暮らしの部屋、狭いキッチンに椅子を置いて座ってスプーンで固める前のとろりとしたものを舐めた二月十四日、今日は毎月ユンホさんと記念日としてお祝い…なんて言うと大袈裟だけれど、節目のように合う日初めて出会って、そして付き合ったのも十四日だから「あれ、来月が来たら僕が一目惚れして二年って事?今でも嘘みたい」ミネラルウォーターのペットボトルを開けて、ぐいっと飲んだ舌に残っていた甘さが喉を抜けていって少しすっきりする今でもたまに夢に出てくる光景がある道で転けてしまった僕に手を差し伸べて助けてくれたユンホさんの、優しい微笑み、そしてあの時は名前を聞き取る事が出来なかったけれど、ユンホさんを呼ぶ当時の彼女の声恥ずかしい気持ちと雷にでもうたれたような衝撃一目惚れなんて有る訳が無いって思っていたのに、突然訪れた恋それから一ヶ月ずっと、頭のなかはユンホさんだらけだった優しい微笑みと低いのに甘い声、触れた手の感触彼女も居るし男同士、結ばれる筈なんて無いって思っていた「今でも夢みたいだよ」付き合えた事も、そして月日が経ってもこんなにも好きでいる事その全てが僕のかけがえの無い宝物なんて、こんな事を思ってしまうのは卒業が近付いているから来月の今日はもう、僕は大学生では無くなっている社会人のユンホさんに少しでも近付けるのは嬉しいけれど、甘える事は許されなくなりそうで…だから、まだ学生のうちに甘えておきたい、なんて思ったのだ単位は取得出来ているから今日は大学を休んだ就職難だけれど、両親のツテもあって一般企業に就職も決まった勿論これからは甘えなんて許されないだろうし、人生はまだまだこれからだから、今日は特別社会人になればもっとおとなになるから、学生最後のバレンタインデーは甘えてみたい「味見、飽きたけど…でもユンホさんに食べてもらうんだからちゃんとしなきゃ」甘いものは嫌いでは無いけれど、あまり得意では無いそれに、ユンホさんと出会った頃は苦手だと思っていたあるものは、実は得意らしいと最近気付いてしまったでも、可愛いと思われたいこんな自分がいるだなんて思っていなかったんだユンホさんと出会うまでは水で口もさっぱりしたから、もう一度配合を変えて今日の為のプレゼントに取り掛かった味見し過ぎて口のなかは甘ったるいし頭はふわふわだけど、これはつまり成功、という事に違いない「後は冷やして出る前に詰めて…ちょっと眠くなってきたかも」今日の大仕事、なんて言うと大袈裟だけど…をやり遂げたから、ベッドに寝転がった夢を沢山見た一目惚れして一ヶ月、僕が今を逃したらいけない、と勇気と勢いで声を掛けた時の不思議そうな顔のユンホさん急に声を掛けた僕を受け入れてくれて、一緒に買い物をしてくれた事男に告白なんてされて、それでも真剣に考えてくれて恋人になってくれた事一所懸命な僕の事が好きだと言って…それまで記念日だとかサプライズなんて必要無いと思っていたらしいのに、僕とはそうして思い出を沢山作りたいって言ってくれた事会社の後輩にも僕の事を紹介してくれたり、レストランでも恋人だって隠す事無くサプライズをしてくれた事ずっと一緒に、人生を共にしたいと言って長い時間を掛けてプロポーズしてくれた事髪の毛を切り過ぎてしまっても可愛いと言ってくれて、何気無い時間も共に居られる事が幸せだと言ってくれて、先月はふたりの一年間を書き込んでいこう、と手帳をプレゼントしてくれて…「…っあ……」思い出が寄せる波のように夢のなかで現れて、気が付いたら涙を流していた「…夢で嬉し泣き、なんて…我ながら重いよね」起き上がったら思っていた以上に涙が流れていたようで、頬が濡れていたもしかしたら、眠る前にふわふわしていたからかもしれない得意だと思っていたけれど、やっぱりそうでも無いのだろうかその方が甘えられそうだし良いなあ、なんて思いながらスマホを探したら…「わっ!もうこんな時間」どうやら僕は三時間は眠っていたらしいユンホさんからの連絡はまだ無いけれど、そろそろ仕事が終わる時間待ち合わせは僕のアパートの最寄り駅今から出れば待ち合わせ時間には充分間に合うし、今日は僕の家にユンホさんが泊まる予定だから最悪この部屋に直接来てもらえば夕食の準備も出来る…かもしれないだけど、味見を頑張ったチョコをまだ詰めていないし、記念日の恒例のようになっているシャンパンも帰り道にふたりで買おうと話していたし…「…駄目だ、どちらにしろ今からちゃんとした食事なんて間に合わない」二兎を追う者は一兎をも得ず、寝起きでも焦っている時ほど冷静になれたりするものだ今日は記念日でバレンタインデーだから、チョコは計画通り準備して食事は簡単なものにしようと決めて、部屋を片付ける事とチョコの準備、それから随分派手についてしまった寝癖を直す事に時間を掛けた「…っはあ…良かった、間に合った…」チョコ作りの片付けや寝癖を直したり、に思ったよりも時間が掛かってしまい待ち合わせぎりぎりになっただけど、ユンホさんが教えてくれた電車の到着時刻には本当にぎりぎりだけど間に合ったから、改札の外で胸に手をあてて息を整えた吐く息は白いけれど、今日はまだ氷点下では無いから暖かい方とは言え、周りはバレンタインデーのカップルばかりで待つ間は少し寂しい勿論、と言うか周りで待ち合わせをしているカップルは男女しか居ないそれがずっと寂しかったり後ろめたかったり…何より、僕は自らユンホさんを好きになったから良いけれど、ユンホさんからすれば男の僕と待ち合わせるだなんて本当は嫌なんじゃないかなあと思う事もあったでも、ユンホさんはいつもひとの目なんて気にする事無く僕に笑いかけてくれる大切にしてくれて、男同士なんて事は関係無いのだと言ってくれて…だから、僕も男女の恋人達と変わりなんて無いのだと思えるようになった「変わらない事は無いだろうけど…」でも、それだって気持ちの持ちようだ自分達がお互いを信じて想い合っていればそれで良い「…あ!」「チャンミン!待たせてごめん」「…待って無い、それにユンホさんの事ならどれだけでも待てます」改札を通り抜けたユンホさんが僕に向かって両手を広げるから、そこに飛び込むようにして抱き着いた「チャンミン、珍しく積極的だな」「だってバレンタインデーなのでそれに、ハグくらい男同士だってしますよね?ユンホさんに会いたくて夢まで見ていたので、会えて嬉しくて」ぎゅうっと抱き着いてから腕を緩めて恋人を見つめたら、ユンホさんは首を傾げて微笑んだ「夢?昨日の夜?」「……内緒です…っわ…」「俺に秘密を作るの?チャンミンの事は全部知りたいのに」むにっと頬を摘まれてユンホさんの整った顔が近付いてきた慣れないしどきどきするどれだけキスをしても抱き合っても、好きな気持ちが膨らんで愛おしくなる「僕もユンホさんの事は全部知りたいですでも、まだまだ時間は有るので…と言うか、それよりカトクでも話しましたが夕食が出来ていなくて…」「ん?大丈夫だよ課題があったんだろ?休んで時間を作ってくれただけで充分過ぎるくらい嬉しいから気にしないで」「…はい」嘘は良くないでも、チョコに入れたものの所為で眠くなって三時間も眠って時間が無くなった、なんて言えなくて見えを張ってしまった「スーパーで買い物して帰りましょう、ね?」バレンタインデーだからそれに、もう日は暮れて暗いから寄り添っていないと寒いからそんな風に言い訳をして、ユンホさんの手を手袋越しに掴んだ夕食は、パスタにした以前も作った事が有るのだけど、その時にユンホさんが好きだと言ってくれたカルボナーラパンチェッタを多めにして、シャンパンを開けて食べたら少しはおしゃれな食卓になった「チャンミンって料理の才能が有るよな」「…そんな事無いですそれに、自分だけなら適当になるし…」「俺の為に頑張ってくれたって事?」「…当たり前ですでも、本当は記念日だしもっと色々準備しようと思って…」そう言ったら、ユンホさんは「これからも数え切れないくらい記念日は有るから」と優しく笑ってくれた「数え切れないくらい記念日があったって、毎回特別にしようってしてくれるのに?ユンホさんばっかり、いつも格好良くて狡い」嬉しくて恥ずかしくてシャンパンをぐいっと飲んだ今日はもっと飲んで甘えたいシャンパンだけじゃ無くて頭がふわふわになるまで頑張って作ったチョコレートも有るし…「あの!僕、準備したものが有るんです」「バレンタイン?俺もちゃんと準備してきたよ流石に俺はチョコは作れないから買ってきたものだけど…」ユンホさんはそう言うと、近くに置いていた紙袋のなかから小さな箱を取り出した「僕も有るので…」「先に俺から」立ち上がろうとしたらユンホさんに腕を掴まれて、そのままソファに座った「これ、ふたりで食べたいなあと思ってそれと、売り場で聞いたらこれも合うって言われたから…」「これって…ウイスキー?」頷いたユンホさんがテーブルに置いたのは、外国産のウイスキーの瓶それから、小さな箱のなかに入っていたのはお酒の包み紙で巻かれたチョコレート「ウイスキーはあまりお互い飲まないから…酔ってしまいそうだけど、明日は休みだから」そう言ってにこり、と微笑むユンホさんからは下心のようなものは感じられないきっと、単におとなだからウイスキーの入ったチョコレートを用意してくれたのだろうでも、僕も同じような事を考えたのだけど僕はと言えば下心ばかりで…「…ありがとうございます」でも、そんな下心を持っているなんてユンホさんに知られたく無いから、純粋な振りで微笑んだ頭のなかで思ったのは、僕の作ったチョコレートとユンホさんのウイスキー入りのチョコレート、両方食べたら…お酒が意外に得意になってしまった僕だけど、お酒に酔った演技をしなくても本当に酔っ払ってユンホさんに沢山甘える事が出来るかもしれないって事「チャンミン、どうしたの?こういうチョコはあんまり好きじゃ無い?甘過ぎるのは苦手だと思ったからアルコール入りにしたんだけど…」「え…っいえ、凄く嬉しいです、ありがとうございます」「そう、良かった」いつも通り優しく微笑むユンホさんお酒の力を借りて普段より沢山甘えたい、なんて下心大有りの僕大学最後のバレンタインデーが甘い甘い夜になると良いな、なんて俯いて頬が緩むのを必死に耐えたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村一ヶ月に一度のふたりでした一話完結で、と思ったのですが例の如く収まりきらなかったので前後編で更新させて頂きます毎回毎回、もうそろそろ飽きられているのでは?と思っているのですが、後少しこのふたりにお付き合い頂けたら嬉しいです読んでくださってありがとうございます

  • 13Feb
    • ご訪問くださる皆様へ 2

      ご訪問ありがとうございます本当は朝に更新した記事で、お話を読んでくださっている皆様に質問をさせて頂きたかったのですが、ぬいホミンちゃんに荒ぶり文字数を使ってしまったので…日々、このお部屋で私の拙いお話にお付き合いくださってありがとうございます最近なかなか時間が足りていないのですが、常に書きたいホミンちゃんが沢山で相変わらず増える一方で…最近の色々で落ち着くかとも思ったのですが、むしろ、という状況です連載がふたつ終わったので、現在連載のお話が夜更新の「Fated」「咎送り」のふたつです後は連載では無くてもう少しで終わる予定です新しい連載のお話を始めたいなあと思うのですが、書きたい頭のなかのお話があまりに沢山で、どれにしようと決められない状態ですなので、読んでくださる皆様のご意見をうかがいたいなあと思って…と言うのも現在休止中のお話我慢出来ずに単発で更新したまだまだ頭のなかには先のあるお話まだお話にはしていない頭のなかのお話それらを合わせると、少なくとも15個くらいはあるので優先順位が決められません…これまでも皆様に意見?リクエスト?をうかがってお話を始めたりどれにするか決めたりしてきたので、また皆様の力をお貸し頂けたら…以下質問ですまだ形にしていないお話は、ここに私が書くとねたばれ(と言う程のものでも無いのですが…)になるので、これまでに一度でも更新している未完結のお話で、きちんと連載で読みたいと思ってくださるものがあれば教えて頂けますでしょうか?現在一旦更新を止めている連載(カテゴリー分けしてあります)「秘密のシム先生」→高校生のユノと養護教諭のチャンミンのお話「Chandelier」→義理の兄ユノと義理の弟チャンミンのお話「お花売り」→パラレルで芸能界このカテゴリーのなかに入っている1話から数話のお話のその後 ↓SS(パラレル)「infatuation」→年下ユノと年上チャンミンのお話「What is love」→昨日更新のお話「鬼が出るか邪が出るか」→パラレルでコメディ寄りのお話「明日へ還る」→探偵のユノと訳ありのチャンミンのお話「Breathless」→王子のチャンミンと人魚のチャンミンここにタイトルの有るもの、もしくは無いものでも連載で読みたい、というものが有ればどんどん教えて頂きたいですまた、Twitterの鍵アカウントをフォローしてくださっている方で私が呟いているお話未満のあれこれでこれ、というのがもしもあれば教えて頂けると嬉しいですひとつでもふたつでも、優先順位をつけて頂いてもタイトルだけ挙げて頂いても大丈夫です(何も無いよ、興味無いよ、という方はそっと閉じて頂ければ…)自分で決められない優柔不断なのと、読みたいと言って頂けると書きたくなる単純ホミンちゃん脳なのでご協力頂けると有難いですある程度声をいただけたら良いなあと思っているので、特に期限等は設けておりませんので、お時間ある時にコメントからお声掛け頂ければ…また、完全なリクエスト(こんなお話を書いて欲しい、等)はキリ番だったりの時にのみ受け付けておりますので、私のお話もしくはTwitterで出てきたお話やシチュエーションから、でお願い出来たらと思いますいつもいつも、このお部屋にお付き合いくださる皆様に感謝しておりますそれでは、次はお話でお会い出来ますように応援してくださいね幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村

    • ご訪問くださる皆様へ 1

      おはようございます昨日は1年に1度の、私がいつも執拗いくらいに212212212…と繰り返すまさにその日、ユノのお誕生日とチャンミンのお誕生日の丁度真ん中であるホミンちゃんデーでしたねとは言え平日なので、特別な事は出来ませんでしたが、折角なので普段とは違うお話を更新してみましたお返事が相変わらず追い付いていなくて…なのですが、二卵性双生児のお話「Devotion」、そして少し危険な匂いのするユンホさんと学生チャンミンのお話「What is love」読んでくださったりコメントをくださった皆様、ありがとうございます他にもホミンちゃんデーらしい事をこのお部屋でも残しておきたかったのですが仕事に追われていたりで何も出来なかったので、少しだけ…もう一昨日になってしまうのですが、ホミンちゃんデーの前日11日にホミンちゃんデー前祝いご結婚おめでとうパーティーを行ってきました申し訳ございません今勝手に名付けただけです…ぬいちゃんも持ち寄って…と言う事だったので、私も一番前の15センチbaby神起ちゃんと、その左側に居るフラワーデュオちゃんというホミンちゃんご夫婦×2組を持参しました本当は、あと1組、公式ぬいちゃんも有るのですが…ホミンちゃん×3組を持っていくと、いまだぬいホミンちゃんの存在を隠している旦那に完全に怪しまれると思ったのでお留守番させる事にしましたTwitterに載せたのですが、ホミンちゃん勢揃いシーンを荘厳なBGMと共に動画で撮影したものがとても可愛いので(たまには自画自賛させてください申し訳ございません…)リンクを貼らせて頂きますねリンク先私のTwitterの動画です ↓onlybuddy勢揃いおめでとう動画とにかくお写真のセンスが無いので…なのですが、実物はとても可愛いし素敵でした沢山のホミンちゃんご夫婦に囲まれた苺のハニトーちゃんも美味しかったですひなぎく幼稚園くまさん組のチャンミンもタピオカミルクティーがお気に入りでした(気持ち悪い自覚は常にあるので諸々突っ込みや色々は大丈夫です…)最高に格好良い軍服ユノヒョンが居たので、幼稚園児チャンミンを並べてみました青年ユノが可愛がっていた近所のこどもチャンミンは優しいユノヒョンが大好きで、いつも「将来ユノヒョンと結婚したい」「お嫁さんになる」と話していました「チャンミンは男の子だろ?結婚も出来ないし、お嫁さんにはなれないよ」「出来るもん、だってユノヒョンが大好きなの」俺が言うと、必ず大きな瞳を潤ませて俺に抱き着いてくる天使のようなこども可愛いけれど男だし、自分を女の子だと思っている訳では無いきっと、成長すれば自身の言動を恥ずかしく思ったり、何も無かったように女の子を好きになる筈まだ幼稚園児だから結婚だとか嫁だとか…そんな事も分からないだけだと思っていた「じゃあ、行ってくるよ」「…やだ、ユノヒョン、行かないで」「でも行かなきゃちゃんと帰ってくるからそれまで良い子で待っていて?チャンミンは男の子だから待てるよな?」入隊の日、見送りに来たチャンミンが抱き着いて泣くから、しゃがんで頭を撫ぜてやったじっと見つめるとしゃくり上げながらも必死で涙を堪えて、唇を噛み締めて「待つ」と震える声で言った「偉いよ、チャンミン帰ってきたら沢山遊ぼう」「…うん、でも…」「でも?」「良い子で待つからやくそく…チャンミンとやくそくして」背伸びをして俺のスウェットの裾を小さな手で掴む涙を堪えてじっと見つめてくる瞳があまりに真剣だったから、その『約束』に応じただけど、六歳のこどもが言う事なんてやはり時間と共に変わる筈だし、その意味だってきっと分かっていないのだろうと思っていた軍隊に入り合えない事が当たり前になるチャンミンは小学生になって、新しい出会いも沢山有るだろう可愛い女の子も沢山居るだろうし、十五も歳の離れた男と…なんて、直ぐにおかしいと気付く筈それなのに…「ユノヒョン!お帰りなさい!」「チャンミン、ただいま何だか一気に大きくなったななんて、俺からすればまだまだ小さいけど」元々標準より小さかったチャンミンは、二年弱の間にすらっと身長が伸びていた手足が長いから、八歳に見えないいや、かと言ってこどもである事には変わりないのだけど「ユノヒョンに早く会いたくて、毎日ユノヒョンの事を考えてました」「そうなの?ありがとう」「ユノヒョンが怪我しませんように、ってそれに、風邪も引きませんようにって」身長が伸びたとは言えまだまだ小さなチャンミンを抱っこしてやったら、チャンミンの小さな手が俺の頬を包んだ「どうした?」「…ユノヒョン、好き、早く結婚して」「…え…」顔を離したチャンミンは含羞んで顔を赤くしているあまりに唐突で固まってしまったけれど…「今、キスしたの?」「うん、だってユノヒョンは僕の旦那様だから約束…帰ってきたら結婚するって良い子で待ってたから、早くユノヒョンと結婚したい」六歳ならまだ結婚なんて分からないのだと思っていただけど、八歳なら?小学生になれば?いや、まだまだ分からないのかもしれないだから今はまだ… 「約束…うん、そうだなでも、八歳は結婚出来ないんだだから、結婚出来る歳になって、それでもチャンミンが俺のお嫁さんになりたいなら、その時は結婚しようか…な?」狡いかもしれないけれど、これなら傷付ける事無く断れるあと数年もすれば確実に目が覚める筈そう思っていたけれど、チャンミンの初恋は嘘でも勘違いでも無く本気で、そしてその本気に触れて行くうちに俺の気持ちも揺り動かされていくのだけど、それはまた後の話この組み合わせが可愛過ぎて勝手に広げて文字数を使ってしまった事をお詫び申し上げます…他にも可愛いぬいホミンちゃんばかりで、眼鏡をかけた知的で世界一格好良いユノヒョンやレザーでハードスタイルなホミンちゃん、ピアスをつけたアダルトなホミンちゃんだったり…ちゃんとお写真を撮っておけば良かったと後悔していますホミンちゃんデーだった事もあり、最近色々とホミンちゃんを振り返っていますが、やはり私のなかにはホミンちゃんしか無いし、実際に1月の名古屋と京セラのふたりを見ていても、最近のふたりを見ていてもお互いが唯一無二なんじゃないかなあと思います(勿論個人的な感覚ですが…)ホミンちゃんがふたりで泊まる事になった部屋に、天蓋付きダブルベッドだけで無くてツインベッドの寝室があって…(∵)良かった、もしもベッドがひとつなら…ええと…とても危険だから…と、どう考えても普通ならしない「こめかみをかきながらカメラから視線を逸らす」という仕草つきで語るチャンミンのウリヒョンこと旦那様ことユノヒョンもそれを聞いて(´,,•J•,,`)ふぅーっ///と、まるで欧米のドラマですか?というようなリアクションをした後に口元を徐に押さえてにやつきもしくは涎をおさえるような仕草をするユノヒョンのウリチャンミナもベッドで危ない事になっていたホミンちゃんが居る部屋に、それを知らずにやって来たスジュのドンヘが扉を開けようとしたら鍵がかかっていて、鍵がかかっている、イコールホミンちゃんが居ると察して更に「ふふっ」と苦笑いのように笑ってそのまま立ち去るのも…以前も荒ぶり記事でひたすら勝手に検証しましたが、やはりホミンちゃんだなあと思いました仲良しカップルの匂わせ、どころかストレートにアピールされているようにしか思えません…(個人の主観です)少しずつ新しい韓国その他の予定も出始めていたり、チャンミンが出演していた「糧食の良識」に関するネット上の記事ではチャンミンは東方神起として、今年も国内外で歌手活動を継続する予定である。と書かれていたので…勿論、公式からの情報が無いと分かりませんが、これから先もホミンちゃんふたりの活動が見られると(良いなあと)思っていますと…本当はこの先、お話を読んでくださる皆様に(皆様程居ない事は分かっております…)質問があったのですが、長くなってしまったので別記事で質問させて頂こうと思いますまだまだ続くホミンちゃん月間、ホミンちゃんにとってもふたりを応援する皆様にとっても素敵な思い出が沢山出来る月になりますように私は変わらずにホミンちゃんが大好きで寝ても覚めてもホミンちゃんです毎日ホミンちゃんを語りたくて堪らないし、またホミンちゃん会を出来たら良いなあと勝手に思っていたり、4月の東京も(まだチケット当落やエントリーはこれからですが…)楽しみで仕方有りませんここが、そんな気持ちを共有する場所であれば良いなあと思うし、色々な事があってその気持ちにはなれない、という方がいらっしゃれば気持ちが少しでも穏やかになれたら良いなあと思っていますそれでは、今日が皆様にとって素敵な一日になりますように…そして、ホミンちゃん情報がひとつでも増えますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村

    • Fated 69

      芸能の世界に入って長いけれど、これまで積み重ねてきたキャリアは全て、ひとりだけでは成し得る事が出来なかったと思っている勿論、まずは自分自身が必死に脇目も振らずに頑張ってきただけど、隣に同じように頑張ってくれているチャンミンがいつだって居たからここ迄来る事が出来た今はオメガに突然変異したけれど、ベータのチャンミンはアルファばかりの芸能界でもしっかりと自分を持っていた『アルファでは無いから…』そんな偏見も、一般社会ではあまり見られなくともこの業界ではまだまだ根強いそれでも、突出した才能や美貌を持つアルファにも負けないくらいの外見と歌の才能、それに何よりも必死に努力して俺の隣に立って…時に、悔しがって泣く姿も見てきたけれど、逆に俺が支えてもらった事も沢山だ二十代も半ばになって、ふたりだけのグループとして確固たる地位を築く事も出来たこの業界に居る以上人気なんていつ揺らいでしまうか分からないでも、泣き虫だった幼いチャンミンもおとなになって頼れる存在になったから、ふたりでこれから先も努力を続ければ大丈夫だと思っていたそんな風にこれから先がまだまだ楽しみだと思っていた矢先に訪れたチャンミンの突然変異オメガになる事で心身共に変化していくチャンミンを支えて守らなければならないと思ったメンバーから、家族のような兄弟のような存在から恋人に変わって、更にチャンミンへの気持ちは強くなった守らなければと思っていたら、俺の前にチャンミン以外の『運命のオメガ』が現れて、今度は俺の方が本能と肉体的欲求に振り回される自分に嫌気が差したあのオメガ女性に反応して発情してしまいチャンミンを傷付けたあの女性にまた反応する事が怖くて、自分が自分で無くなる事が怖くてチャンミンの項を自分勝手に噛もうともしたあの女性オメガと遭遇してから少し時間が開いて冷静になったら自己嫌悪が訪れたけれども、事務所も動いてくれて、あのオメガ女性は二度と俺の前に姿を現さないと聞いた本人だって、俺と何かなる事を望んでいないらしいとも聞いて安堵したそして、オメガになってからは俺の想像以上に大変で有るに違いないチャンミンが俺を支えてくれた俺を愛しているのだと言って、項を噛んでも良いとまで言ってくれた包み込むように抱き締められて、チャンミンの奥で愛されて、そうしたらやはり項を噛む事なんて出来ないと冷静になったアルファである俺がオメガのチャンミンの項を噛みながら抱けば、俺達は『番』になるそうすれば、お互いに別の相手に反応する事は無くなる結婚よりも深い繋がりで、どちらかの命が尽きるまで切れる事の無い契約のようなもの愛し合う俺達からすれば、安心出来る手段でもあるだけど…そんな風にチャンミンを縛る事はしたく無いと思った番になんてならなくてもお互いに今と変わらずに想い合っていればやっていけるこれまでも、チャンミンがオメガになってからもずっとそうだったし絆や想いはより深まっている何より、番になれば項に痕も噛み残るチャンミンがオメガであると世間に知られる事になるそんな事は俺達の仕事上避けなければならないそれにチャンミン自身もオメガである事は隠したいと考えているなら、どれだけチャンミンの項が魅力的でも、欲求が高まりアルファとしてオメガの項を噛みたくなっても耐える事で…本能では無く、理性的に俺自身の意思でチャンミンを愛しているのだと証明したいそうして、俺を支えて隣に居てくれるチャンミンに応えたいと思うのだ「お待たせしました」「お疲れ様、チャンミナ」診察室の扉が開いて、チャンミンが出てきた俺の言葉に少し唇を尖らせて「別に疲れて無いです」なんて言う「でも、病院に来るのはあまり好きじゃあ無いって言うから」「…オメガにならなければ病院に来る必要も無かったのであ、トイレに行ってくるので少しだけ待っていてもらって良いですか?」「ああ、じゃあここで座って待っているよ」定期的に通っている診察俺も診察室のなかに入った事も有るけれど、診察とは言っても主に処方の為のものだオメガにはヒートと呼ばれる発情期が訪れるそれがやって来たら、アルファを誘うフェロモンが出たり、過ぎた快楽が身体を襲いオメガは日常生活を送る事も困難になるだから、その発情期が来ないようにする為のヒートの抑制剤、それから妊娠を防ぐ為のピルを毎日服薬しなければならない「慣れたとは言え、必要無かった事だもんな」チャンミンは最近ではもう、オメガである自分自身を受け入れているようにも見える抱き合っていても、抱かれる方が良いと言ってくれるし、最近はあまり『男らしくいたいのに』なんて言わなくなった勿論、言葉に出していないから思っていない訳では無いと思うけれども、最近のチャンミンは何かを乗り越えたような強さも感じるだから、俺の方がチャンミンに助けられて支えられている気がするのだ「俺も頑張らないと…」呟いて小さく頷いたら、診察室の扉がまた開いた「…チョンさん、こんにちは」「あ…先生、いつもお世話になっていますあの、チャンミンはどうですか?」『どうですか』なんてあまりに曖昧だ突然目の前に主治医が現れたから勢いで聞いてしまって、これでは返答に困ってしまうだろうかと思ったら、彼は少し考える様子で…「以前よりは精神的にも落ち着いているようには見えますですが、その…妊娠はしていないか、と気にされていました」「…妊娠?不安がっていた、という事ですか?」そんな話はチャンミンは俺にしていない俺が知っているのは、ピルを飲んでいればまず妊娠しないという事で…チャンミンは毎日きちんと服薬していると言っている「…不安…そうですね、少し不安定には見えました男性オメガの場合、もしも妊娠すると初期では女性よりも気付き難い事がありますピルを服薬していれば百パーセント、とは言えませんがまず妊娠の可能性は有りませんそれをお伝えした上でエコー検査も出来ると提案しましたが、必要無いと言われました」この医師は、俺達が肉体関係にある事を知っているだからこの事を話してくれたのだろう「男性オメガはそもそも妊娠が難しく…それも伝えましたが、少し元気が無さそうに見えました何か有ればまた此処へ来るようにも伝えましたが、チョンさんも少し気にして頂けると…」「…勿論です、教えてくださってありがとうございます」頭を下げたら、主治医は廊下をトイレとは反対方向に歩いていき、その後ろ姿を見ていたら後方から足音が聞こえた「ユノヒョン、お待たせしました」「いや、大丈夫だよ、帰ろうか」「はい」つい触れたくなって腰を抱いてしまったそうしたら、「目立つから止めてください」と抗議されてしまったお互いにマスクと眼鏡、それに目立たない服で変装しているそれに、ここはオメガを診察する病棟だからプライバシーも守られている「これなら俺だって分からなくない?」「ユノヒョンはオーラが凄いので見るひとが見れば分かります帰ったら…そうしたら沢山触れて欲しいです」「…うん」貴重なオフの予定は通院、後は何も無しこの後はチャンミンの部屋に向かってふたりでゆっくりと過ごす予定だ「ん?トイレに行ってたけど腹の調子でも悪いのか?」「え…あ、いえ、お腹が空いたなあと思って」病院内を歩いていたら、チャンミンが右手で腹を擦っているのが気になった体調は悪そうには見えないけれども、主治医はチャンミンが妊娠について気にしていたと言うし、やはりオメガである事で不安は尽きないのだろうと思った「何か買って帰ろうか寒いから温まるものが良いな」「…買い置きのものも色々有るので…それより、早くユノヒョンが欲しい」はっきりと言われてどきりとした「チャンミナ、狡い」「何がですか?」「触れたら駄目だって言うのに、言葉で誘惑するなんて…」「誘惑とか…だって、本当にそう思っているので」歩きながら肩がぶつかったこれくらいなら例え誰かに見られても、男同士でおかしいとは思われないだろうふたりで俯いて、駐車場までの道を急いだ帰宅したら、チャンミンは直ぐに俺を求めてきた昨夜も翌日がオフだから、と何度も求め合った嬉しいけれど、妊娠を不安がっていたと話す医師の言葉が頭を過ぎって…「チャンミナ、その…店で買うと目立つから、ネットで買うよ今日は間に合わないけど」「…何をですか?…んっ…」裸でベッドの上、あっという間にチャンミンは俺の上に乗った俺の先端はもう、チャンミンの熱くてひくついている入口に触れていて、腰を進めたくて仕方無い医師から話を聞いたと言えば、チャンミンは良く思わないだろうから言えないけれど、何より彼自身を不安になんてさせたく無い「ゴム、ピルが有るからって着けてないだろ?でも、あった方が安全だろうし…最近回数も増えてるから」仰向けに寝転がったまま、細い腰をそっと掴んで言ったら、チャンミンは眉を顰めた「…僕の事が嫌になったんですか?それとも、男でオメガとか…気持ち悪い?」「そんな事ある訳無い、逆だよ、チャンミナが大切だから…」「じゃあ必要無いです今日もピルを貰ったし……っあ……」ゆっくりと俺の中心がチャンミンの熱い熱い粘膜に包まれていくそれから、チャンミンの右手は彼の下腹部に伸びた「…っ…痛い?チャンミナ」「…っあ…ううん…気持ち良い…なのに…っあぁっ!」何か、言葉を言い掛けたけれども、後はもうお互いに止まる事も出来なくなって、思考はどんどんと奪われていく誰を抱いてもこんなに夢中になった事は無いチャンミンの匂いだけが俺を熱くする「チャンミナ…愛してる」「…っもっと…足りない……僕だけを見て」チャンミンの事しか見ていないだけど、切なげに俺を見て下腹部を擦るそう言えば、今日だけじゃ無くて最近良くこの仕草を見ているような気がするそう思うのに、やっぱり思考は真っ白になって…「駄目だ…っチャンミナ、離して…」「やだ、…っ出して…」腰を持って抜こうとしたけれど、チャンミンは抱き着くようにして俺に覆い被さってくるナカで角度が変わって、チャンミンの腰も止まらなくて、結局いつも通り奥に出してしまった「…っはあ…ごめん…」「…嬉しいから…っん…謝らないでくださいそれに、まだ足りない、こんなんじゃあ…」オメガである事を以前よりも受け入れたチャンミン好きだからこそそんな彼に誘惑されたら拒む事なんて出来ない運命のオメガなんて関係無い俺にとっての運命は、好きなのはチャンミンだけその気持ちは同じだと思っていたけれども、俺達は違う人間で…二次性が違う、アルファとオメガが分かり合うのは簡単では無いのだという事を、俺は未だ分かっているつもりでも分かっていないのだランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村このお話は特殊設定のオメガバースです1話から読んで頂ければ分かるようになっていますが、詳しい説明はこちらにあります ↓Fated 設定とお知らせ久しぶりの「Fated」になりました年末以降、リアル設定は避けた方が良いのかなと思ったり、新しいお話を始めてしまったりで一旦更新を止めていたのですが、続きを読みたいですと多くの方からお声掛け頂いているので再開させようと思います少し久しぶりになったので短くなりましたが、またこれまでのように定期更新していこうと思いますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです

  • 12Feb
    • What is love 後編

      バイクなんて乗った事が無くて、自転車とは比べ物にならないくらい速くて怖かった「あの…っ…」「何?」「落ちそう…あの、速くて…」塾からの帰り道、近道をしようと暗い裏道を進んでいたそうしたら、どう見ても穏やかでは無さそうな男達に囲まれて足止めをくらってしまいお金を取られそうになった絶体絶命だと思ったら、男達をひと言で竦ませてしまうような男のひとが現れたそれが、今僕の前に座ってバイクを運転するユンホさん「落ちそう?落ちたら怪我するからしっかり掴まれって言っただろ?」「しっかりって…あの!振り返ったら危ないです!」僕にだけヘルメットを被せて、ユンホさんはヘルメットをしていない確かヘルメットは装着しないといけない筈バイクが走り出す前にそれを言ったら、『普段後ろになんて誰も乗せないし予備のヘルメットなんて持ってないそれに、普段から面倒で被らないから』なんて言われたユンホさんが怖くない訳じゃ無いでも、仲間のような手下のような男達を視線と言葉で一喝したり、一般人…つまり僕に悪い事をするな、と言ってくれたり家まで送ると言ってくれたり、半分僕の不注意で手首を痛めてしまったのに『何かあれば連絡して』と電話番号を掌に書いてくれたりそれに、自分はヘルメットをしないのに、僕には『危ないから』とヘルメットを被せてくれた茶色い髪の毛切れ長で少し冷たそうに見える瞳、大きなピアス派手なバイクとエンジン音短いジャケットとだぼついたパンツやシルバーのネックレス服装でも分かる、真面目では無いのだと「バイクなんて慣れてるから大丈夫それより、チャンミンがちゃんと俺に抱き着いてくれないと危ないから」「抱き着くって……っ寒…」風が前からびゅうっと吹いて震えた寒くて思わずユンホさんの背中に顔をつけた香水だろうか、ほんの少し甘い匂いそれが男っぽくて少し怖いユンホさんのイメージとは逆でびっくりしたびっくりしたけれど、嫌じゃ無い、むしろ良い匂い「寒い?お、丁度良いな」前を向いたユンホさん言葉はエンジン音でなかなか聞き取り辛いけれど、その分大きな声で話してくれているバイクは急に減速して…「…わあっ!」「あはは、俺に衝突してる鼻とか潰れなかった?」バイクを停めて足を地面につけたユンホさんが振り返る僕のヘルメットをゆっくりと外して、革の手袋を取った手で鼻を摘まれた「髪の毛に癖がついてる…チャンミンは癖毛なの?」「…はい、あの、鼻…手を離してくださいそれに、どうして停まったんですか?」ユンホさんの手は冷たいだけど、僕の鼻も冷たいからあたたかく感じた「寒いって言うから…ここで待ってて」「え…」むにっと鼻を更に摘んでから手は離れていく触れられると何故かドキドキしてしまうからほっとしただけど、今度はユンホさんがバイクから降りて歩いて行くから不安になるまだ家までは距離が有る歩いて帰れない事は無いけれど、普段通らない道だし相変わらず暗い道を進んでいるから少し不安「…ユンホさん…」ヘルメットをぎゅっと胸に抱き締めて小さくなる背中を見ていたら、彼は立ち止まったそれから、その後ろ姿でバイクを停めた理由が分かったこちらを向いたユンホさんは僕を見て…暗いから良く見えなかったけれど、多分笑ったでも、馬鹿にするような雰囲気では無くて何故か優しく感じる「縄張りとか言ってたし…あの怖い男のひと達が怯えていたくらいだから、きっとユンホさんの方が強いし怖いって事だよね?」不良の世界なんて分からない漫画雑誌にはそういうテーマの作品も有るし、見た事はあるだけどやっぱり、あまり好きにはなれないから避けていた分からないから優しく思ったりドキドキするのだろうか「ほら、寒いって言ったから」「…わっ、僕にくれるんですか?」「全部は駄目、一緒に飲もう」頬にぴと、と当てられたのは自動販売機で買った缶ユンホさんはやっぱり優しい顔で笑って、それから缶を開けて僕に差し出してきた「こどもはココアが好きだろ?」「…こどもって…高校二年生だからそんなにこどもじゃ無いですそれにコーヒーの方が好きだし…」きっと怖いひとなのだろうでも、仲間なのか手下なのか…に向けていた顔と僕に向ける顔は違うだから、普通に話せるようになっていた「僕を襲ったひと達も『中学生?』とか言ってたけど、失礼です」「あはは、本当に?見えないよ、可愛くてまあ、俺は二十だから、俺からすればこどもだよ」笑うなんて失礼だと思うでも、ぽんぽんと頭を撫ぜて微笑まれて嫌じゃ無いどころかやっぱりドキドキするどう返したら良いのか分からなくて、ココアをゆっくりと飲んだ「甘い…でも美味しい、ありがとうございます」「うん、美味いだろ?これが好きで自販機で見付けたら必ず買うんだ」ユンホさんが「頂戴」と言うから缶を渡したら、嬉しそうに口をつけた友達とだって、同じペットボトルや缶に口をつけたりしないだからこんな事も初めてで…「あの…っ、これって間接キスじゃあ…」「チャンミン、顔真っ赤こんなの別に普通だし誰とでもするよほら、残りは全部飲んで良いよ」「え…」まだ半分以上残っている小さなココアの缶渡されて、じっと見つめられてどうしたら良いか分からないずっとドキドキしている間接キスをユンホさんがしている、と思って更にドキドキした今も、ココアの缶を持つだけで…でも、誰とでもするし普通だと言われて、今度は何故か胸がざわさわモヤモヤする「コーヒーが良かった?でも知らなかったから、ごめん」「…いえ、ありがとうございます」ユンホさんが口をつけた飲み口に、今度はまた僕が口をつけるただそこは固いだけで、触れても何も分からないでも、やっぱり…僕にはこんな事普通じゃ無い「飲んだら帰ろう、チャンミンの家に丁度俺の縄張りの直ぐ近くだから場所もちゃんと分かるし」ゆっくりと飲んでいたら、そう言われた住所を伝えてスマホで地図も見せたユンホさんはそれで分かると言っていたけれど、僕が不安な気持ちだろうと思って気を遣ってくれているのかもしれない「…ご馳走様でした」「うん、俺も飲みたかったしちょっとはあたたまった?あと左の手首はどう?」「…まだ痛いけど、大丈夫です」物凄くゆっくり飲んでしまった早く帰らなきゃ両親だって心配するのに僕はユンホさんの事なんて、名前と年齢しか知らないのに何故か離れたく無いと思ってしまったそもそも歩いて帰る事の出来る距離だから、バイクだったら直ぐに家に到着してしまったでも、あっという間という程では無かったから少し不思議だったその謎は、家の手前でバイクを停めて僕のヘルメットを取ったユンホさんによって明かされた「チャンミンを乗せて走るのが楽しくて、少しだけ寄り道をしたんだけど…分かった?」「…ううん、分からなかった」「あはは、そっか怖がってぎゅっと抱き着いてくるのが何だか可愛くてこれからは知らない男に着いていったら駄目だよ俺じゃなきゃ襲われていたかも」「…っ…はい…」やっぱり、ユンホさんは良いひとだったけれど、不良は怖いお金、どころか暴力を振るわれて殴られでもしたらどうなっていたか分からない「あの、本当に助けてくださってありがとうございます」「俺の舎弟がチャンミンを怖がらせたんだから当たり前だよ」舎弟、なんて漫画のなかでしか見た事の無い言葉本当にそんな言葉を使うひとが居る事に驚いたやはり、僕達はあまりに違うそれなのに、やっぱり…ドキドキするし、もっともっとゆっくりココアを飲めば良かったと思う「じゃあ行くよあの道はもう通らない方が良いチャンミンは可愛いから誰かのオンナにされるかもしれないから」「女?僕は男ですけど…っあ、ユンホさん…」「まあ、分からないならそのままで良いよ手首、治らなかったら連絡して」何だか意味深に微笑んで、そのままユンホさんはエンジンを掛けてバイクで走り去ってしまった僕の家は直ぐそこで、住宅街に大きな音が響き渡る家の目の前でバイクを停めなかったのは、僕の親が驚いたら大変だから、とユンホさんは言った僕とは関わらない世界の、優しいけれどきっと怖いひとそれなのに…「胸が苦しい…痛っ…」両手で胸を押さえたら、左手首に痛みが走った尻もちをついた時に左手で身体を支えて少しだけ捻ったところ骨に異常でもあれば連絡を、とユンホさんは心配してくれて、そして左の掌にペンで電話番号を書いてくれたそれなのに…「…あ…嘘…」掌を広げたら、滲んでしまって殆ど読めなくなっている何か、が書いていた事は分かるけれど、油性ペンでは無かったのだろう連絡なんてこれじゃあ出来ない「…もう会いたいのに…」思わず呟いて分かったユンホさんが恋しいのだと勉強が大事将来の為に今必死で頑張って良い人生を送る事が大事普通に幸せな家庭を築いてこどもを作って…だから、その為にも今は恋なんて必要無いと思っていたそれに、恋なんてどんな感情かも分からなかったでも、このドキドキはきっと恋に違いないそれにやっと気付いたのに、連絡すら取れない項垂れて玄関の扉を開けたら、母さんが飛んできて「遅かったわねさっきバイクの音が煩くて、暴走族がいたみたいだし心配してたのよ」と僕を抱き締めたそのバイクはきっとユンホさんで、彼は僕を助けてくれたひとでもそんな事は言えないから「塾で残って勉強していただけだよ」と安心させるように笑ってみせただけど、心のなかはユンホさんでいっぱいで、明日も塾の帰りはあの道を通ろうと決めた「ああもう、何で僕に押し付けるんだよ…」翌日は高校を出るのが遅くなってしまった部活はしていないけれど、毎日のように塾があるだから、ホームルームが終われば直ぐに塾に向かいたいそれなのに、担任教師から雑用を頼まれて…しかも、他にも一緒に頼まれたクラスメイト達は部活だとか委員会だとかで理由を付けて、結局馬鹿正直に残ったのは僕だけ塾に着くのがぎりぎりになりそうだから、普段は使わない抜け道を使って塾に向かった「あ…!」途中、自動販売機を見付けたもしかしてと思ったら、昨日ユンホさんが買ってくれたココアがあったから迷わずに買った「これが好きだって言ってたよね…ユンホさんて顔に似合わず甘党なのかな」でも、一見怖そうだけど笑うと優しいし…そうじゃ無くても、僕に見せた顔はやっぱり優しかったココアを持ったまま早足で歩いていたら、前に工事現場が見えた肉体労働なんて大変そうだし、僕は普通の会社に就職したいなあ、なんてぼんやり思いながら通り過ぎようとしたら…「ユンホさん!」「え……あれ、チャンミン」肩に大きな袋を担いで、ヘルメットを被っていたのは会いたくて堪らなかったひと「また会えた…と言うか、連絡も無いし、もう関わる事も無いかと思っていたんだけど…」「連絡…して欲しく無かったですか?」重たそうな袋を下ろしたユンホさんは僕の前にやって来た少し困ったような顔で僕を見るから、胸がずきんと痛い「いや、そんな事無いよでも、チャンミンは俺達みたいなのとは関わりたく無いだろ?」「そんな事…ユンホさんともっと話したくてでも、書いてもらった電話番号が消えちゃって……」手を洗ったらもう、何も残らなくなった左手を開いてみせたら、ユンホさんが僕の手に触れたその一瞬でドキドキして固まってしまったら、直ぐに大きな手は離れていく「ごめん、泥がついちゃうな」「…良いです、ついても…だって……好きです!」「え……」告白、なんて自分がする事になると思わなかったでも、昨日の夜みたいに後悔したく無い「好きって…俺は男だけど?俺のオンナになりたいって事?真面目そうなチャンミンなのに」「僕も男だから女じゃ無いです、でも好きで…」「…ふうん…そっか」ユンホさんはにこり、と笑ったでも、その微笑みは少し怖かった優しいのに、やっぱり知らない世界のひとでも、それでもこの気持ちはもう止められそうも無い不良も工事現場も、僕とは関係の無い世界だと思っていたのにそこにユンホさんが居ると思うと…「好きです!」「分かったよ、じゃあ、昨日と同じ時間にあの公園にまた来て俺の事を教えてあげるから」「塾が終わったら行きます」「うん、度胸のある子は好きだよ」褒められて嬉しくて頬が緩んでしまっただけど、僕はまだまだユンホさんの居る世界の事なんて何も知らなくて…波乱万丈な恋はまだ始まってもいないし、まだ僕は恋も愛も、それらの何たるか、も何も知らないのだと気付くのはまだまだ先の事ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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    • What is love 前編

      いつでも真面目に列からはみ出すような事は決してしない黙々と決められた事を毎日行ない日々を丁寧に過ごす面白みが無い、なんて言われる事もあるだけど、生きていくのに面白みも冒険も必要無い「シム、また明日」「うん、明日のテストも頑張ろう」友人、いや、ただの勉強仲間つまりは大学受験のライバルそんな同級生と手を振って挨拶を交わしひとり夜道を歩き出したいつも通りの毎日朝起きて高校に行く授業が終われば直ぐに塾に向かい勉強をする遊ぶ時間なんて無いだけど、今の頑張りが将来の自分を楽にしていくそう両親には言われているし、先行きが不安なこの世の中では実際にそれが賢い生き方なのだろう今は恋愛なんて興味も無いけれども『良い人生』には家族の存在は不可欠良い大学に入り良い会社に就職して頼れる大人の男になれば、良い女性と結婚をして子供を作って…それが人生の幸せに違い無い「結婚の前に好きなひとすら居ないけど…それより勉強しなきゃ」別に勉強が好きな訳では無い本当は漫画が好きでも、漫画に時間を費やしたって良い将来には辿り着け無いし両親だって良い顔はしないたまに、漫画のなかの登場人物達が自由に彼らの人生を切り拓いたり冒険するのを見て羨ましくもなるけれども、あれは全てフィクションで偽物の世界全てを投げ出すような『何か』なんてある訳が無い「疲れた…」クラスメイトのなかにはいつも遊んでいる生徒も居る彼氏や彼女を作って週末や放課後にはデート、だとか部活の仲間と遊びに、だとか僕はと言えば、ずっと勉強ばかり寂しくない訳じゃ無いだけど、遊んだら良い人生になんてならないだから、僕は間違ってなんていない「…っ…お腹空いた…」ぐう、と大きく腹の虫が鳴った頭を使うとお腹が空いてしまう早く帰って夕食を食べて、それから明日の予習をして寝て、起きたらまた学校へ行って…「考えても仕方無いよね」つまらない人生、なんてふと思い浮かんだ自分の事をそんな風に思っていないだけど、漫画のなかでは僕のような人間はそう言われるそれでも、自分なりに一所懸命頑張っている取り敢えず、少しでも早く家に帰って腹を満たす為に近道をする事にした細い道で人通りは少ない途中、小さな公園があって、そこは不良達の溜まり場になっていると聞くどうせそれだって、僕の人生とは交わる事の無いもの街灯もあまり無くて少し怖いでも、体力も無いし疲れているから俯きながら早足で歩いた「…うるさ…あれって不良?」公園が斜め前に見えてきた時、話し声とエンジン音がした多分、バイクだろうたまに夜走っている暴走族とか、そういう類なのかもしれない「やっぱりこの道は止めたら良かった」肩を竦めて溜息をひとつでも、引き返すと更に遅くなるそれに、この道を抜ければ家はもう後少しだから目立たないように静かに通り過ぎよう僕は兎に角、無難に生きていきたい勉強を頑張ったって結局いつも一番にもなれない特別になれない事なんて分かっているだから、せめて穏やかにトラブルになんて巻き込まれたくないし、冒険も要らない近付く程に騒がしい男達の声が聞こえる暗いから、静かに通れば公園のなかに居る男達には見つからないいや、例えみつかったって僕になんて誰も興味は無いから大丈夫そう思っていたのに…「あれ、何?こんな夜道に真面目君が居るなんて」「学ランにダッフルコートとか、いつの時代だよ」「危ないからお兄さん達が送ってやるよただし、送迎代も貰うけど」「え…ちょっと!」タイミングが悪かったのだろう僕が公園に差し掛かるところで、三人の男達が公園から出て来たまだ彼らが徒歩だから良かったのかもしれないなんて思えたのは一瞬で、一番屈強そうな男の手が僕に伸びて、リュックを引っ張られた「……っ…!」あまりに恐怖を感じると声が出なくなると、その時初めて知った「お小遣いとか持ってるんだろ?中学生?こんな時間に外を歩いているから悪いんだよ」「俺らも悪いようにはしたくないから大人しくしてて金さえ有れば良いから」リュックはあっという間に奪われた財布はスラックスのポケットのなか現金なんて殆ど入っていないけどいっそ、リュックを残して逃げようかとも思ったでも、情けない事に腰が抜けて…「…っふ……」しゃがみ込んだら、リュックを漁る男の隣に立っていた男が僕を覗き込んで笑う「次からはここを通るのは止めるんだな俺達の縄張りだから」縄張り、なんて…ここは公道で、こんな不良達のものじゃあ無いそう言ってやりたいのに何も言葉にならないリュックのなかを漁る男は、財布が無い事に苛立っているようで…僕の方に歩いてきた「財布、お前が持ってるんだろ?なら最初から言わなきゃ…」「…あ……っ…」殴られる?それとも…ただ、平和に平凡に、列から外れる事無く生きていきたいだけなのに男の腕が伸びて来て、もう駄目だと目を瞑ったその時…「おい、一般人に迷惑を掛けるなっていつも言ってるよな?俺の目が届かないとでも思ってるのか?」「…っユンホさん…これは…」「金なら自分で稼げこいつは子供だろ」冬の夜の冷たい空気を切り裂くような低い声その声に、僕を取り囲んでいた男達は一瞬で離れていったしゃがみ込んだまま、ゆっくりと顔だけ上げたら男が目の前にしゃがみ込み僕の顔を覗いてきた「…っや、…痛…っあ…」ゆっくりと手が伸びて思わず目を瞑った逃げようとしたら腰が抜けて後ろに尻餅をついてしまった「…大丈夫か?ほら、掴まって」「…あ、ありがとう、ございます…」手が伸びてきて怖かっただって、さっきの男のひと達も怖かったけれど、このひとも…物凄く格好良いけれど、見た目はどう考えても不良だから大きなピアスが耳にはついていて、髪の毛は茶色で襟足が長い短いジャケットにだぼついたボトムス夜でも目立つシルバーの存在感のあるネックレス怖い、けれどもさっきまでのひと達とは違う何が、と言われても難しいのだけど、このひとは『違う』と思った「立てるかな…」「…っ、…痛ったあ…」尻は問題無いだけど、尻もちをつきそうになった時に左手を地面について身体を支えようとしたから、左の手首が痛い伸ばされた手を右手で掴み立ち上がり左手を見ていたら、彼はそっと痛む手を取って…「え…っ何…」「…もしも骨に異常があったり、治らなければ言ってあいつらは俺の下だから責任は俺にある」ジャケットの胸ポケットから、男はペンを取り出した僕の痛む左手をそうっと支えながら、掌に数字を書いていった「これは…」「ん?俺の番号だよ何かあればこの番号に電話して俺はユンホ、この辺りは俺の縄張りだ」「ユンホ…縄張り…」「今日は送るよ、後ろに乗ってくれ」そう言って、今度は右手を引いて公園のなかへと僕を連れていく「…っえ、何…」もしかして、リンチでもされるのだろうかだって、公園のなかには…「ユンホさん!」「ユンホさん、そのガキは一体…」いかにも悪そうな男達の姿だけど、僕の手を掴む『ユンホさん』に彼らは皆頭を下げている「こいつは俺が送って帰る今日はもう解散だ…ほら、後ろに乗ってしっかり掴まって」「え…何…」「家まで送る、物騒だし怪我をさせてしまったから」大きなバイクその後ろに促されて、半ば無理矢理座ったそして、『ユンホさん』以外の男達は僕の前に座った男に頭を下げて…「お疲れ様でした!」「ああ、ありがとう」まるで、彼は夜を統べる帝王みたいだと思った「左手は痛いだろうけど…右手と身体全体で抱き着いてくれれば良いから家はどっち?」バイクに跨った『ユンホさん』はそう言うと、振り返って後ろに座る僕に微笑んだ「ああ、その前に…名前は?」「…チャンミン…」「良い名前だ、さあ行こう、掴まって」バイクなんて乗ったのは初めてだった音が煩くて耳がおかしくなりそう怖くて恐ろしくて、こんなひとと自分が関わる筈も無かったのに、それなのに胸が踊るようにドキドキしている左手はじくじくと痛むけれどもそれよりも、ユンホさんが僕の掌に書いた電話番号が消えてしまう事の方が怖かった出会ったばかりの、しかも不良のようなひとのバイクに乗るなんて物凄い冒険だこんなの、列からはみ出たく無い僕には有り得ない事それなのに、何故か胸がどきどきするこのドキドキの正体は一体何なのだろうランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございますTwitterの鍵アカウント(@hominism0212)をフォローしてくださっている読者様はもしかしたら気付いて頂けたらかな?と思うのですが…XVツアーのパンフレットのホミンちゃんから色々と膨らんで止まらなくなってしまったので、前後編で更新させて頂きます続きもお付き合い頂けなら幸いです

    • 先程の更新について

      先程更新した「Devotion」これまでのお話はカテゴリー「SS(パラレル)」に入っていますこちらからも直接読んで頂けます ↓DevotionDevotion 2にほんブログ村

    • Devotion 3

      生まれた時から特別なふたりだって、俺達は二卵性双生児だからそして、二卵性双生児だから俺達は外見も性格も似ていない似ている事と言えば身長くらい特別な、俺にとってたったひとりの双子の弟であるチャンミンに恋をしている片想いだった時は、双子だからこそいつも一番近くで居られて幸せだと思っていた両想いになんてなれる訳が無いから、誰よりも近くに居られて幸せだと思っていただけど、奇跡のように気持ちが通じ合ってからは、双子だからこそ困る事が沢山あるのだという事実に直面している「は…何で?デートでもしようと思ってたのに」「…そんなの聞いて無いよ僕は僕で先に予定を入れていたし…誕生日は明日だから良いでしょ?」確かに話してはいなかったでも、誕生日前日の祝日、だなんて当たり前に一緒に居られるものだと思っていただって、双子の弟のチャンミンに恋をして数年、奇跡のように気持ちが通じ合って誰にも秘密の恋人になって…そうして初めて迎えるふたりの誕生日だから…いや、誕生日は明日の12日だけど「明日は学校が有るし夜は家でケーキを食べたりするだろうから、放課後にデートなんて出来ないのに?」「でも、本番は明日だよ今日はただの祝日で…それに、夕方には帰る予定だから」そう言うと、チャンミンは立ち上がりリュックを背負った一緒に居たい、と言えば友人との約束よりも俺を選んでくれると思ったけれども残念な事に彼の意思は揺らがないらしい「予定って、誰と遊ぶの?」「…追求するみたいで何かやだ……キュヒョンだよクラスも違うしユノは親しくないよね?」「……」小学生から中学三年生の今までずっと、俺達は双子だから、と同じクラスになる事が無いだから、家ではずっと一緒でも学校での様子はお互いに知らない部分が沢山ある「小学校も一緒だし、俺も同じクラスになった事があるし…親しくは無いけど分かるよ仲が良いんだな」「うん、まあ漫画やゲームが好きだから話が合うんだその…新しいゲームを買ったって聞いて…だから遊んでくるちゃんと帰ってくるし、夜は一緒に居られるから」何だかチャンミンの目が泳いでいるつい最近両想いになったばかりだし、浮気をされているだなんて短絡的な流石に事は思わないだけど、もしかしたら俺が一緒に居たいと言っているから後ろめたさでも感じているのだろうかそれなら断って一緒に居てくれれば良いのに明日は特別な、一年に一度の…俺達が生まれた日なのに「たまにメッセージでも良いから連絡して欲しい」「…じゃあ、ユノが先に送って」「分かった、それから…」「…?」立ち上がり、リュックの紐を両手でぎゅっと掴むチャンミンを抱き寄せて右の耳元で囁いた「チャンミナからキスして『好き』って言ってくれたら、寂しいけど笑顔で送り出してあげる」「………っ……僕からとか…」「出来ない?もう何度もキスしてるのに」明日で同じ日に生まれて十五年になる双子の弟そして今では恋人であるチャンミン腕の力を緩めて至近距離で可愛い顔をじっと見たら「出来るもん」と小さく呟いて、そして…「…ん……出来た!」キス、と言うよりも勢い良く唇が触れたような…色気はあまり無い、しかも一瞬触れるだけのキスそれでも勿論物凄く嬉しいだって、いつもキスは俺からだったから「…ユノが好き…これで良い?」何だかやっつけ仕事のようなキスと言わされた、というような感じに聞こえなくも無い言葉だけど、素っ気無いのは恥ずかしいからだと分かるそれは、きっと俺だから…双子だから分かる事こんな時双子で良かったとやはり思うのだ「恥ずかしいのに頑張ってくれてありがと早く帰ってきて、待ってるから」「…うん、行ってきます」かくして、クラスの友人からの誘いを断ってデートをするつもりだった俺の祝日、しかも貴重な誕生日前日の一日は、ただの予定の無い日になってしまった「…やっぱり寂しい」勿論、今日みたいにそれぞれ友人と過ごす事だってあるずっとクラスが違う所為で共通の仲の良い友人というのは居ないからだけど、今日は何となく当たり前に一緒に居られるのだと思っていた俺達は双子で、いつも何か不思議な力のようなもので通じ合っているでも今日はそうでは無かったみたいだ「今日が特別だって思っていたのは俺だけだったのかな…」まだ期限は先まであるのだけど、映画のチケットを買っていた今話題の、チャンミンが気になると言っていた映画だ捻りも何も無いデートかもしれないけれど、映画を見て街を見て…彼が何か欲しがれば誕生日プレゼントとして買ってあげたいと思っていたまだこどもだし、使わずに取っておいたお小遣いしか無いのだけど「明日…放課後少しでもどこか寄れたら良いな」父さんと母さんも、毎年俺達ふたりを祝ってくれるだから、両親を無視してふたりきりで放課後にゆっくり…なんて事は難しいでも、やっぱり誕生日にふたりだけの時間が欲しい「…よし!」好きになってもらえただけでもまるで奇跡だって、俺達双子だからでも、想いが通じ合ったらもっともっと、と我儘になってしまう双子だからこそ同じ屋根の下、いつも一緒に居られるだから寂しくなんて無いそれに、元々好きになったのは俺の方チャンミンも俺を好きになってくれたけれど、気持ちの比重は今でも圧倒的に俺の方が大きいのだろうそう思えば誕生日本番は明日だし、大丈夫「宿題して予習して…夜はチャンミンとゆっくり過ごせるようにしよう」特別好きでは無い勉強も、恋の力が有ればやる気が出てくる机に向かって勉強に集中し始めた「…終わった…明日はチャンミンも英語があるって言ってたし、分からないところが有れば教えてやれるかな」宿題も、それから各教科の予習まで終えた流石に肩も凝ったし疲れてスマホを見たら夕方の五時チャンミンが出掛けたのは昼食を摂った後、午後一時前頃だった途中、何度かメッセージを送ったら直ぐに、では無いけれど返事もあった『今何してる?もうそろそろ帰る?』そう送信したら、直ぐに既読がついた返事も直ぐで『もう帰るとこだよ』と言うメッセージと共にスタンプが三つも送られてきたそれらは小鹿の可愛いキャラクターで、以前俺がチャンミンに似ていると言ったものどれも嬉しそうだったり楽しそうだったりするスタンプだから、きっと友人との時間が楽しかったのだろう「…母さん、ちょっとコンビニまで出てくる途中でチャンミンに会えるかもしれないし」「気を付けてね、もう少しで夕飯だから遅くならないように」「うん、行ってきます!」コンビニに行く用事は無いまあ、行ったらお菓子やジュースが欲しくなるし買うだろうけど本当の用事は帰宅するチャンミンと少しでも早く会う事偶然を装って外で会えたら…なんて思う俺は我ながら健気だと思う確か、チャンミンは手袋をしていなかった俺よりも寒がりなチャンミンの為にコートのポケットに手袋を入れて自転車に乗った「キュヒョンの家…確かあっち側だったよな?」キュヒョンとは、小学生の時に同じクラスになった事があるだから、彼の家の大体の場所は分かるチャンミンと入れ違いにならないように周りを注意して見ながら自転車を漕いだそして…「チャンミナ!」「…っびっくりした…」リュックを背負わずに前に抱えるようにして歩いている撫で肩の少年を見つけた入れ違いになったり別の道を使って擦れ違う事無くちゃんと会えるなんて、流石双子だ「乗って、一緒に帰ろう」「迎えにきてくれたの?」「違うよ、俺もコンビニ行こうかなって思っただけだし」「そっか」声を掛けた時はびく、と身体を震わせて驚いた様子だったけれど、直ぐに嬉しそうに微笑んで瞳を輝かせた「リュック、自転車の籠に入れたら良いよ」「…っあ!駄目…」「え…」自転車から降りてリュックを受け取ろうとしたら、チャンミンは大きな声を出して首を横に振る「何、大事なものでも入ってるの?」「そんな事…その…背負うから大丈夫だよ」じっと見つめたら視線を逸らしてリュックを背負うそれなら最初から背負えば楽なのに双子だからこそ、まるで通じ合っているように相手の事が分かる時があるだけど、流石にこのリュックに何が入っているのか、なんて透視能力の無い俺には分からない「ちゃんと掴まって……あ、そうだ、手袋持ってきたよ寒いだろ?」俺の後ろに乗ったチャンミンを振り返って、コートのポケットのなかから出した手袋を渡したチャンミンは大きな瞳を更に大きく丸くした「寒くて、手袋も忘れたし困ったなあって思ってたんだありがとう、ユノ」リュックのなかの『秘密』は気になる俺に言えない何かがあるとしたら切ないでも、頬を赤くして微笑むチャンミンは、確かに俺を好きだと分かるから無理に聞き出さない事にした夕飯は普段よりも少し豪華だった明日の誕生日当日は父さんは仕事で早く帰って来れないかもしれないから、という理由らしい好物ばかりで幸せで、いつもよりもお代わりをして食べたなのだけど、チャンミンはと言えば普段よりも食べていなかったいつも俺よりも食べるのに体調が悪いのか、と両親が心配したら否定していたけれども、何だか怪しいその理由までは分からないけれど、双子だから何となく怪しいと思うのだ「その理由まで分かれば良いのに一卵性双生児なら全て分かったのかなあ」自分の部屋に戻り呟いたいや、だけど一卵性双生児なんて俺がふたり居るという事それはもう、チャンミンでは無いし、自分に恋なんてしないふたりともそれぞれ風呂に入って、誕生日まで後二時間になった普段は日付が変わる瞬間なんて眠っているだけど、今日は…恋人になれた今年は、その瞬間をチャンミンと一緒に過ごしたい部屋をそうっと出て、向かいのチャンミンの部屋の前に立ったいつも『ノックをしてから入って』と言われるのだけど、しない事の方が多いから今日もそのままがちゃり、と扉を開けた「チャンミ…」「わあっ!!!」扉を開けると同時に名前を呼んだら、その声をかき消すくらい大きなチャンミンの声ベッドに腰掛けていたチャンミンは、一瞬で腿の上に置いていた『何か』を背中に隠した「……何隠したの?」「…っもう!いつもノックしてって言ってるのに!ユノのばか!」ゆっくりとベッドに歩んでいったら、チャンミンはじりじりと後ろに下がり、落ちてしまいそうなくらい端に行ってしまう「怪しい、何?俺には見せられないの?」「…双子だってプライバシーくらいあるよね?」「無いとは思わないけど…でも、そんなに隠されたら怪しいものかと思う」力は圧倒的に俺の方が強いだから、力づくで隠している『何か』を見る事は出来るでも、そんな事はしたくないし…何より、チャンミンが俺に秘密を作る事が悲しかった「怪しくなんて…」「じゃあ見せて」「……」「本当は、キュヒョンと、じゃあ無くて別の女子と合ってたとか?誕生日前日だしやっぱり双子で付き合うなんて無理って思った?」本気で言っている訳じゃあないでも、拒まれたらやはり悲しいチャンミンの前、ベッドに腰掛けたそっと手を伸ばして、パジャマの上からチャンミンの太腿に手を置いたら困ったように眉を下げて俺を見る「嘘なんて吐いて無いって分かるよね?」「分かるよ、分かるけど…隠し事なんて寂しい、チャンミナの事が好きだから」「……」疑心暗鬼になりたい訳でも無いでも、一度怪しいと思うとどんどん気持ちは沈む「部屋に戻ろうかな…」呟いて立ち上がったら、「待って!」とチャンミンの声見下ろしたら、相変わらず背中に腕をまわして何かを隠したまま俯いているそして、座っていたら見えなかったのだけど、至近距離で見下ろす形になったから、チャンミンが隠しているものがハート型の紙の箱である事が分かった「それ…何?」「…っ、もう…後二時間隠せたらって思ったのに…はい、あげる!」「え…俺に?」「当たり前だろ」ついさっきまで必死に隠していたハートの箱ぐいっと差し出されて受け取ったゆっくりとその蓋を開けたら甘い甘い、俺の大好きな匂いがして…「これって…」「ガトーショコラ、なかには生チョコが入ってる」「…え…」「…誕生日プレゼントそれと、バレンタインも兼ねてるから二日早く渡せば、誰よりも先にユノにバレンタインを渡せると思って…毎年ユノは沢山チョコをもらってるし…」ハート型の箱のなかにあったのは、ハート型のガトーショコラ店の名前や包装は無くて…「もしかして、チャンミナが作ってくれたの?」「家じゃユノにばれるから、キュヒョンの家のキッチンを借りた」「…チャンミナ…」「付き合って初めての誕生日でバレンタインで…だから、特別にしたかったなのに、折角日付が変わる瞬間に渡したかったのに……っあ…」もう、我慢なんて出来なくて、左手で箱を抱えたまま右手でチャンミンを抱き締めたそうしたら、可愛い恋人の腕も俺の腰にまわされた「…サプライズ失敗した、ユノの所為だよ」「…充分過ぎるくらいサプライズだよ今から食べても良い?」「…日付が変わったらだから、それまで…今日はあまり一緒に居られなかったから、沢山キスしたい僕の方がキスは下手だから、ユノに教えてもらいたい」ベッドの上で座るチャンミンが俺を見上げるあまりに可愛過ぎてくらくらした「晩ご飯食べられなかったのは何度も味見したからだよユノの好きな味を作りたくて…」「チャンミナは甘い物得意じゃ無いのに…」「それくらいユノが好きだって事!」擦れ違い、どころか俺達はやっぱり両想いだったチャンミンはノックをして、なんて言うけれど、部屋の鍵はかけないでも、ふたりきりの時は…「…鍵掛けたから、沢山キスしたい」立ち上がり扉の鍵を閉めて、恥ずかしがり屋の双子の弟で、そして恋人は俺に抱き着いてきた「誕生日が来るまで沢山キスしよう何回出来るかな?」「…数えてみる?」結局その後、舌を入れるキスが止まらなくなったらチャンミンに「これ以上は恥ずかしくて無理」とストップをかけられてしまった夢中になってしまったから、キスの回数は数えられなかった日付が変わるまでふたりでチャンミンのベッドに寝転がり欠伸をしながらも他愛の無い話をして、日付が変わった瞬間にまたキスをして、ガトーショコラをふたりで食べた双子で恋人、である事もこんな時間にガトーショコラを食べている事もどちらも両親には秘密「甘くて美味しい、ありがとう誕生日おめでとう、チャンミナ」「良かった…ユノも誕生日おめでとうそれに、いつも一緒に居てくれてありがとう」「うん、これからもずっと一緒だよ」チョコ味の、今までで一番甘い甘いキス十五歳の誕生日はきっと、一生忘れる事なんて出来ないだろうランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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