ホミンですが、ミノ目線です
タイトル通りの内容です
大丈夫な方のみお進みください















 


チャンミニヒョンとふたりで飲もう、と思って持参したワインは結局、ふたりでは無くて三人で空けた
その後も、ヒョンのご自慢のワインセラーに寝かせてあるワインを数本空にした



「ユノヒョンって…飲むと強いですよね…」



ソファに座ったまま左隣を眺めたら、ユノヒョンは口角を持ち上げて、まるでドラマのワンシーンのように微笑む



「ひとりじゃあ飲まないよ、特にワインはなかなか…
付き合いや誘われたり…
後は、最近はチャンミナにも良く付き合わされてるから…な?」

「…それじゃあ、僕が無理矢理誘っているみたいじゃ無いですか」



ユノヒョンの視線の先に居たチャンミニヒョンはそう言うと頬を膨らませる
ユノヒョンと対照的に酔っ払っている様子のチャンミニヒョンは、ふらりとクッションから立ち上がった



「次のワイン取って来ます
僕の選んだやつで良いよね?」

「はい…ヒョンに任せます
と言うか手伝いますよ」



何だか普段よりも早く酔いがまわっているように見えたから、慌てて立ち上がった
だけど、伸ばした右手がチャンミニヒョンに触れるより先に、左手を掴まれた




「俺が行くから良いよ、ミノはゆっくりしていて」

「……」



先輩で、しかもチャンミニヒョンの恋人であるユノヒョンにそう言われたら、俺には何も言える訳は無く…
ソファにもう一度座った

チャンミニヒョンはワインをそのまま飲んでいて、ユノヒョンはジュースや炭酸で割っている
それもあって、ユノヒョンはしっかりしているのかもしれない



「酒の飲み方までスマートなのかよ…」



思わず呟いて、項垂れた
それから、身体を乗り出してちらりとキッチンの方を見ると、ユノヒョンは俺の想い人の腰を抱いていた
それはきっと、チャンミニヒョンがふらふらしていて危なっかしいから…だと思う
だけど、やっぱり見てしまうと切ない



「…勝てる気なんてしない、よな…やっぱり」



分かっていた
俺の好きになったヒョンには同性の恋人が居る事を
それでも、想いのまま突っ走れば俺を見てくれるんじゃあ無いかとも思った 
男と付き合っているからこそ、俺にもチャンスは有るかもしれない、と前向きに考えて来た



だけど、この部屋にユノヒョンがやって来た時の…
俺に向けた少しばつの悪そうな顔
そして、玄関でユノヒョンと抱き合っていた姿や、無自覚なのだろうけれどユノヒョンを見る視線の柔らかさ
それらはどれも、俺に向けてくれるものとは違うのだという事をはっきりと感じた



『大切に思われている後輩』
として信頼を得て、そしてひとりの男として見てもらいたかった
ゆっくりと時間を掛けて意識してもらおうと思った
長期戦を覚悟していた筈
簡単に上手くいかない事だって分かっていた筈
だけど、ユノヒョンを見るチャンミニヒョンを見たら…
そして、チャンミニヒョンを見るユノヒョンを見たら、敵わないと思ってしまった

何故かって?
チャンミニヒョンを特別に好きだ
そして、ライバルであるユノヒョンの事を尊敬している
普段は面と向かって言えないけれど、憧れている
そんなふたりが想い合っていたら俺には出る幕なんて無いのだろう、と冷静になってしまうから



「…ああもう、悔しい」



ソファからずるずると落ちるようにして体勢を低くして、上を向いて目を瞑った
大きく溜息を吐いてから、グラスに残っていたワインを飲んでしまおう、と目を開けたら…



「…うわっ…!」

「わっ!って何だよ…
折角この僕…ヒョンが直々にビールを持って来てやったのに」

「…はは、ありがとうございます」



目の前にずいっと差し出されたのは冷気を放つガラス瓶
まさか、ワインを数本空けた後に、今更ビールになるとは思わなかった
つまみも食べたし、アルコールもだいぶ腹に入れた
だけど、『チャンミニヒョン直々のビール』だから有難く受け取ったら、俺の顔を上から覗いている可愛いひとはまるでこどものようににこりと微笑んだ



「ミノは可愛いなあ」

「ええと…かなり酔ってます?」

「…酔って無い、そうですよね?ユノヒョン」



そう言いながら頬を膨らませると、チャンミニヒョンの傍に居たユノヒョンは肩を竦めて、それから俺をちらりと見て困ったように微笑んだ



「そうだな、チャンミナは酔って無い」

「ほら、ユノヒョンも言ってるから、ね?
ミノも飲み足りないだろ?もっと飲んで、ほら」

「わっ、冷たいですよ、ヒョン」



もうビールは受け取ったのに、更に冷えたビール瓶を頬にちょん、とあてられたから反射的に目を瞑った
そんな俺を見て、嬉しそうにくすくすと笑うひと
年上なのにこどもみたいで可愛くて胸がぎゅっと締め付けられる
アルコールの所為もあって、冷たいビールをあてたのに頬が熱い



「ほら、チャンミナも座って
飲むなら座らないと駄目だよ」

「…んん…分かってます」



二本目のビールも受け取ったら、チャンミニヒョンがもっと嬉しそうに笑うから抱き締めてしまいたい、なんて思っていたんだ
だけど、ユノヒョンの優しい声に現実に引き戻された



「分かってるならちゃんとしないと
ミノが見てるのに情けないだろ?」



俺と話す時とは違う、どこか甘い声
いや、チャンミニヒョン以外で…ユノヒョンからこんな風に甘い声で話し掛けられる相手はきっと居ないのだろう



ユノヒョンに手を引かれた酔っ払いのヒョンは、ローテーブルの横にヒョン自ら置いたクッションの上に座った

『ソファは客が座るものだから、僕はここで良い』

なんて、飲み始める前に言っていたのだけれど、酔っ払ってもまだそれは続いているようだ
まあ、ユノヒョンと俺が座らせてもらっているから…
大きなソファとは言え、男三人が並んで座ったら、少し笑える光景になるかもしれない



「ミノは飲み過ぎて無いか?」

「え…あ、はい、俺は大丈夫です」



左隣に座ったユノヒョンにふいに聞かれて、慌てて答えた



「チャンミナに飲まされ過ぎて潰れたら大変だ
あまりこいつを甘やかさなくても良いんだからな?」



耳打ちするようにそう言われた
チャンミニヒョンは俺の右下に座っていて、ユノヒョンの声は届いていない
ローテーブルに肘をついて俺達を見上げて、何だかむくれている



「ふたりとも、僕を置いてけぼりですか?
ミノは一緒に飲んでくれるよね?
ユノヒョンはもうあまり飲むなって意地悪を言うから…」



そう言いながらビールを瓶のままぐいっと飲む
行動は男らしいのに、やっぱり何だかこどもみたいだ
俺は、チャンミニヒョンのそんな屈託の無いところも好きで…
もっと一緒に居られたら良いのにって思う



「ユノヒョン、チャンミニヒョンって酔うと可愛いですよね」



生意気かもしれないけれど、アルコールも入っているし少しの無礼講なら許されるかな、なんて思ってユノヒョンに話し掛けた

チャンミニヒョンに告白をして、そしてユノヒョンにもその事を告げた
つまり、ライバル宣言をしたばかり
でも…気持ちを言葉に出来た事で、そしてふたりのヒョンの俺には付け入る隙の無いような雰囲気を見せられて、敵わないと思ってしまっている

だけど、やっぱりチャンミニヒョンは可愛いし…
見ていると愛おしいなあと思うんだ
そんな気持ちを素直に口にしたのだけど…
ユノヒョンは眉を寄せてじいっと俺を見つめて来た
こっちはこっちで…言えないけれど、何だかこどもみたいだ



「ミノ、お前とふたりで飲む時はいつも『こんな感じ』か?」

「え…何がですか?」



アルコールの量の事なのか
飲み方についてなのか、それとも?
何の事か分からずに聞き返したら「ふう」と大きく深呼吸をするユノヒョン



「チャンミナだよ
今、あんな感じだろ?」



そう言うと、ユノヒョンから見ると俺の向こう側に座る、ビール瓶を両手で抱き締めてふにゃふにゃと気持ち良さそうにしている酔っ払いのヒョンの方を向いた



「ええと…はい
でも、いつもはこんなに早く酔わないですよ
ユノヒョンも知っていると思いますがお酒に強いので…」

「…じゃあ、酔うといつもあんな感じなのか?」



今度はぐっ、と俺に顔を近付けて来るから思わず顎を引いた
見慣れている筈
なのに、信じられないくらい顔が小さいしイケメン
チャンミニヒョンはやっぱり俺の顔よりこの顔が好きなのか…と思い内心切なくなっていたら…



「ミノ、聞いているのか?
チャンミナはいつも『こう』なのか?」

「あ、はい…
いつもこんな感じですけど…違うんですか?」



何を当たり前の事を、と思った
チャンミニヒョンは普段は几帳面だったり、どちらかと言えば控えめにも見える
だけど、俺やギュラインのメンバーと飲むとどこか幼く…と言うと失礼かもしれないけれど、甘えて来たり可愛らしくなる
普段は目立つタイプじゃ無いのに、こどものように無邪気になるのだ

それだって、以前は特に意識なんてしていなかった
なのに、恋心を自覚してからは可愛くて仕方が無い
ギャップでときめくだなんて俺らしくない
そう思うけれど、男に恋をするのは初めてだから…
なんて、自分に言い訳をしている



ユノヒョンはまだ俺をじっと見据えていて、それからふっと肩を竦めた



「…どうかしましたか?」

「俺と飲む時はもっとしっかりしてるんだ」



大きく溜息を吐きながら、何だか苦々しそうな顔



「多少は変わるけど、ここまでじゃない
…ミノに気を許してるんだろうな」

「え…」



余裕の無さそうなユノヒョンの顔
こんな顔、なかなか見た事が無かった
俺達に見せる姿はいつも毅然としているし、苦しんでいる姿や辛そうな姿なんて見せる事が無い
周りを引っ張ってくれるカリスマ性の有るヒョンだ

そんなユノヒョンが、チャンミニヒョンの事になるとこんなになるなんて、何だか…
可愛いところも有るのだなあ、と思った
勿論、そんな事顔には出せないのだけれど



「ミノ、聞いてるか?……ん?寝たみたいだな」

「え……はは、本当ですね」



俺越しにチャンミニヒョンを見たユノヒョンが、俺の後ろを指差した
チャンミニヒョンはローテーブルに左頬を付けて、小さなこどものような顔で眠っている



「寝るのもいつも、か?」

「毎回じゃあ無いですけど、まあ…」



立ち上がったユノヒョンに聞かれたから、見上げて答えたら、また溜息



「悔しいけど、俺の知らない顔を知っているなんて嫉妬するよ」

「それは…」



その先を言い掛けた
けれども、ユノヒョンは俺の言葉を聞かずにチャンミニヒョンの元へ歩んで、軽々と彼の恋人を抱き上げてしまった



「ベッドに運んで来るよ」

「あ、はい…」



担ぎあげられたチャンミニヒョンは眠りながらもくふくふと笑っていて…
それは、俺の知っている『いつも』と同じだけれど、確かにいつもよりも幸せそうに見えた



俺の知っているチャンミニヒョンの『いつも』は、俺だけが知っている姿じゃあ無い
多分、だけど…
チャンミニヒョンがユノヒョンとふたりで飲む時は、少しでも良い姿を見せようと思っているのだろう

俺だって、今日は飲みながらも緊張しているし、少しでも好きなひとからの印象を良くしたいと思っているから
ユノヒョンよりも…いや、せめて同じくらいは頼れる男だと思われたいから



今日のチャンミニヒョンが俺の知る姿なのは、ヒョン達…つまり恋人同士、だけで無く後輩の俺が来たから
恋人だけに見せる姿は俺には見せてもらえない、という事

それはきっと、恋をしていたら皆多かれ少なかれ有る事で、ユノヒョンはチャンミニヒョンの『特別』なのだと思い知らされた



「…でも、ユノヒョンもそうなんだろうな」



チャンミニヒョンも眠ったし、もう格好付ける必要も無い
酔う為にビールを一気に流し込んだ



ユノヒョンだってチャンミニヒョンを想っている
だから、自分の知らない恋人の顔を俺が知っていた事で、少しばかり嫉妬されたのかもしれない

でも、そうだとしたら、ユノヒョンの勘違いに起因する嫉妬だ
チャンミニヒョンは確かにユノヒョンを大切に想っていて、俺はそんな想い人の後輩
諦めたくは無いけれど、このふたりの間に入る事が出来る、とも思えない

だけど、勘違いだと伝えないでおいたからこそ、勝てそうに無いライバルであふユノヒョンの悔しそうな顔を見る事が出来た
そうしたら、少しは勝てたような気もして…
アルコールの所為もあって心は少しだけ晴れやかだった


















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