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- 12Dec
emotional 前編
叶わない恋をするだなんて柄じゃ無い僕を知る誰しもがきっと、そう思うだろう僕自身だってそう思うそもそも相手が悪かった…いや、僕が普通では無いから悪いのかこんな事を考えるのも柄じゃ無い幼馴染み腐れ縁悪友…いや、ここは親友にしておこうきっと、僕達を形容する言葉は色々有るだけど、僕がなりたいものにはなれないし、あいつだってそれに気付く事なんてこの先も無いのだろう「チャンミナ、たまには一緒に帰るか?」「ユノ…珍しいね、今日は誰にも構ってもらえなかったの?」午後最後の授業を終えて、お気に入りの大学内のカフェでコーヒーを飲んでいたら聞き覚えの有る…と言うか、有り過ぎる声顔を上げながら尋ねたら、ユノはまるで当たり前のように僕の前、丸テーブルの向こう側の椅子に座った「あはは、面白い事を言うなあ俺が構ってもらえない、だって?チャンミナは女に興味が無いから分からないのかな俺が、今日はゆっくりしようと思って全部断っただけだよ」「ふうん、そう」「そう、って何だよ本当に興味無いって顔だな」「分かってるならわざわざ言わないでよそれに、別に隠すつもりも無いから良いけど…あまり大きな声で『女に興味が無い』とか言わないで欲しいんだけど」デリカシーの無い幼馴染みに向かって唇を尖らせたら、彼は僕のそんな顔にも慣れているのだと言わんばかりに笑みを浮かべた「…っあ!もう!」「え?良いだろ、後でジュースでも買って返すから」勝手知ったる…なんて言葉が有るけれど、まさにそれ時間まではまだ有るからゆっくりと飲もうと思っていたのに僕のコーヒーが入っている紙カップを綺麗な手で取って悪戯っぽく僕を見ると、そのまま一気に飲み干してしまった「…苦……チャンミナとは本当に好みが合わないな」「分かってるなら勝手に飲むなよ」もう、そんな言葉に傷付く事も無くなったそんな純粋な時期はとっくに過ぎたから「ユノと僕は好みが何もかも合わないからこそ、腐れ縁としても上手く行ってるんだろ」既に胃に入ってしまったのに返せ、と言ってもどうにもならないそれに、ユノが此処に来て『帰ろう』と言って来たならばもう、此処に居る意味も無いからコーヒーだって必要無くなっただからもう気にしない「確かにそうだな…腐れ縁、うん、何だか良いな」「…適当に言ってるだけだろ」「あはは、バレた?でも、チャンミナの事を適当に思っていたら一緒に帰ろう、なんてわざわざ探してまで来ないよ」「…え……って、僕が大体此処に居るって知ってるだけの癖に」一瞬どきり、としてしまい悔しいなんて、僕だってもうそれを楽しめるくらいになっているから良いのだけど「何?チャンミナはもしかして予定入れてた?」「無いよ、コーヒーが飲みたくて寄っただけ」頬杖をついてにこりと笑うユノを視線だけで確認して、スマホを取り出してカトクのメッセージを送った『ごめん、やっぱり今日は無理になった』今日の男は最近ずっと僕にモーションを掛けて来ていた先輩だ先輩、とは言っても威厳も何も無い大人しい男僕とどうしても寝たいらしくて、何度も何度も誘って来ていた顔は悪く無いし遊びで良いって言うから、今日は此処で待ち合わせてホテルか…それか先輩の部屋にでも行くつもりだったけれども、ユノが来たなら話は別だ「帰るならもう帰ろうコーヒーもユノの所為で無くなったし此処に居る意味も無い途中で甘く無いものを奢ってよ」ユノは自分は選ぶ方だ、なんて言うし…まあ、物凄いイケメンだからそれについて否定するつもりも無いけれども、僕だって選ばれるよりも選ぶ方だそこは僕達の似ているところ…なんて思われるかもしれないけれど、実は全く違うだって、ユノが遊ぶ相手は異性で、僕は同性だから「俺が奢るなら必然的に甘い物になるけど?」「…コーヒーを勝手に飲んだのはユノなのに飲まなければユノが奢る必要だって無かったんだからな」会話しながら指を動かしてスマホの通知は全て切ったカトクの返事が来ているのが分かったけれど、見ない振りで立ち上がり、デニムパンツの尻ポケットにスマホを仕舞った「俺の好きなものをチャンミナにも味わって欲しいんだ……可愛いだろ?」「…全然」肩を竦めて返したけれど、本当は嘘男らしいのに時に可愛い面を見せてくる裏表が無くて、自由人なのに憎めない…どころか、だ悔しいけれど、こいつが僕の腐れ縁で幼馴染みゲイである僕が密かに恋をしている、女好きの男すたすたとかなりのペースで半歩前を歩いているのに、ユノは直ぐに追い付いて僕の隣に並ぶ「今日からコンビニで苺のケーキが新発売になったらしいそれもおまけに付けてやるよ」「…僕が甘い物は得意じゃあ無いって知ってるよね?」「ああ、でも美味いらしいからチャンミナにも食べて欲しくて」ユノはスマホを取り出して、新作スイーツとやらの写真を見せて来たきっと、女子は可愛いスイーツが好きなのだろうそして、スイーツなんて好まなそうに一見見えるイケメンが一緒に付き合ってすれるから、余計に盛り上がるのだろうけれども、僕は全く違う「例えばの話だけどさ」「どうした?急に」「僕がユノにおすすめの男を差し出して『男も良いよ、絶対に気持ち良いから』なんて言ったらどう思う?」「………無理だな」「そういう事つまり、苺のケーキは要らない」「釣れないなあ、じゃあ何なら良い?」ここでもし、僕が『ユノが欲しい』なんて言ったら腐れ縁の幼馴染みはどんな顔を見せるのだろうか『男も良いよ、突っ込ませてって言ってるんじゃあ無くて、女の子にするように抱けば良い』とでも言えば、ユノは何と返事をするのだろうかまあ、冗談だと思うのだろうけど「甘過ぎないスイーツと、それからカフェオレ」「やっぱりチャンミナも甘い物が食べたくなったんだな?」「たまには食べてやっても良いよ、ユノの奢りだし」「じゃあ、チャンミナも気に入りそうなやつを選ばないとな」僕達は幼馴染みで腐れ縁だユノは物心ついた時から異性にモテていたそして、彼自身も普通に異性を恋愛対象として見ているユノが遊ぼうと思わなくとも、次々と女子達は遊んで欲しいのだと彼を誘うだから、少しばかり同性の敵が多いそこに来て僕はうってつけだこどもの頃から、大学進学した現在までずっと同じ学校家は隣で家族同然、というような幼馴染みユノがどれだけ女子にモテたところで、僕は男として嫉妬する事なんて無いだって、僕は小学生の時にはもう、同性しか好きになれない自分を受け入れていたからそして、それは誰よりも一番近くに居るユノには中学生の頃に知られてしまったから例えばゲイである、という弱みを握られて仲良くしている訳じゃ無い何故なら、ユノは恋愛は自由だと言うから自由だから、特定の恋人を作る事無くお互い合意の上で遊ぶのだと言う自分の自由を許すのと同時に、僕がどんな男と遊んでいたって、例えそれを知ったって貶したり馬鹿にしたり差別する事は無いユノからすれば、異性が完全に駄目な僕はライバルや敵にはなりようが無い僕からすれば、ユノに対して叶わない淡い恋を抱いているだから、結局離れられない僕達はお互いの利害が一致して、こうして腐れ縁を続けているのだ「ほら、これがさっき言ってた苺のケーキ良かった、売り切れていたらどうしようかと…」「それはユノが欲しいんだろ僕に奢るスイーツは?甘過ぎ無くてコーヒーにも合うやつにしてよ」「チャンミナは我儘だなあ俺のおすすめじゃあ駄目なの?」ユノが僕のコーヒーを飲んだから代わりの飲み物を奢る、という話だった筈なのに、その飲まれたコーヒーの代わりすら自分で選べない大学の最寄り駅傍のコンビニエンスストアに入って店内を見渡した「駄目、って何だよ」「ん?本当に鈍いなあ…まあ良いかじゃあ苺のケーキとティラミスにしようこれなら甘過ぎないだろ?」ユノは籠に幾つもスイーツを入れて、それからペットボトルのコーヒーを無糖、微糖、カフェオレ、と何種類も入れた「これで文句は無し、良いな?」「…だから、ユノが最初から僕のコーヒーを飲まなきゃ良かった話だろ」「それを蒸し返しても仕方無いだろ」こんな言葉の応酬ですら、本当は楽しいし嬉しいこれがデートなら良いのに、なんてふと思った絶対に有り得ないのにユノは当たり前に女の子が好きで、僕は…僕のなかの当たり前で女の子を特別に見る事は出来ないレジで会計をするユノを隣で見ていたら、ふと僕の方を向いてくしゃっと笑った「見過ぎ」「はあ?見てたのはスイーツがあまりに多いから何日でそれを食べ切るんだろうって思っていただけだし」「…別に俺を見ていた、なんて言ってないけど?チャンミナは可愛いな」レジのコンビニスタッフにはきっと、僕達の会話は丸聞こえもしかしたら『良い関係』だと思われてしまうかもなんて思っただけど、現実はどう思われたところで僕達は男同士だから僕の望む関係になんて思われないのでだろうそれでも、男友達として、腐れ縁の幼馴染みとして誰よりも近い同性という位置に居られるなら悪く無いレジ会計を終えてコンビニを出た少し歩いたら大学の最寄り駅後はもう、電車に揺られたら…ユノの匂いのする空間つまり、ユノの家が近付く叶わない恋をするなんて柄じゃあ無いけれども、勝手にひっそりと思っていれば誰にも気付かれないそれに、ユノはあまりに魅力的で見るひとを虜にするだから、僕がそうなったってそれは仕方無い事なのだ「帰ったら俺に部屋に来いよ今日は両親が親戚の家に泊まりに行ってるんだ」「え…それって自由に出来る日、って事じゃあ無いかなんで遊ばない事にしたの?」ユノは、と言うか僕も、だけど自分の家に遊び相手を呼ぶ事はしない親に迷惑を掛けたり不安にさせたく無いからだから、ユノにとって部屋に招ける僕、というのはやはり何でも無い相手、という事なのだ「そんなの今はチャンミナに関係無い」「今は、って何だよ…」お互いに干渉はし過ぎ無いだって、ただの友人…いや、腐れ縁の幼馴染みだからでも本当は、誰よりユノの事が気になる好きだからなんて…「……言える訳無いだろ」例えばユノがバイなら、遊びで『抱いて欲しい』と言えるけれども、ユノは完全に女子しか受け付け無いようだコンビニを出て少し俯きながら歩いていたら、後ろから「チャンミン」と声を掛けられた「…え…」丁度、駅の改札に入るその直前だった振り向いて漸く分かった僕の名前を呼んでのは、今日抱かれる予定だった先輩だった「…何でここまで…」先輩は内向的で大人しくて、遊ぶには少し物足りないタイプだとも思っていたそれでも、『どうしてもチャンミンを抱きたい』なんて情熱的に言われたから応じてやったのだ結局カトクのメッセージひとつで断ったのだけど…「チャンミン、あれは誰?」「…え、いや、先輩で…」大人しい先輩はあっという間に僕の元までやって来て、右腕を掴んだ「…っ痛…」「今日は俺と約束をしていたよな?やっと、だったのに…カトクひとつでキャンセル?巫山戯るなよ」「…え…」いつも、僕は自分が優位に立てる相手を選んで来たこの先輩は物足りないくらい、だけど害が無さそうだし…体格は良くて顔もそれなり、だから遊ぶのには丁度良いし、気が変われば断りやすいとも思っていたのだけれども、今僕の腕を掴む先輩はまるで別人「ほら、行くぞそいつ…チョンは男とは寝ないやつだろチャンミンはそれじゃ満足なんて出来ないだろ」「ちょっと、離せよ!」こんなに面倒臭い男だったなんて知らなかったそもそも恋人でも無くて遊びの関係身体だけ、って思っていたし、まだそれすら何もしていない確かに僕が約束を反故にしたけれど、この先輩なら大丈夫って思ったからだけど、そんな僕の考えは甘かったのかもしれない「俺の部屋、もう直ぐそこだから…行こう、チャンミン」「…っや、…っ!」腕を振りほどこうとしても力が強い豹変した先輩に困っていたら…「チャンミナはどうしたいの?」「…ユノ……」「俺は知らなかったんだけど、今日はその男と寝る約束でもしてたのか?巻き込まれても困るんだけど…でも、チャンミナが『助けて』って言うなら助けてやっても良いよ」こんな時、ユノは…と言うか、お互いのこういう事情には踏み込まないものだと思っていただから、黙って先に帰られたって仕方無いとさえ思ったけれども、腕組みをして…何だかとても冷たく僕を見る「チャンミナはどうしたいんだ?そいつに抱かれたい?それとも俺?」「…え…」一瞬どきり、としたユノは単に一緒に帰る事、を言っているのだろうけれどもまるで、『俺に抱かれたい?』と言われたようで…「早くしないと目立ってるよ幾らここが大学の最寄りで、チャンミナはゲイだって知られていても…まるで痴話喧嘩みたいで見ていて恥ずかしい」「チャンミン、行こう優しくするし…ずっと狙っていたんだ」「え…狙って……」まさか、そんな事思ってもみなかった少し見た目が良いだけの、気弱な先輩だったのに「そいつと居たって満たされ無いだろ?ちゃんと優しくするよ」先輩は僕の腰に手を回してぐっと引き寄せた幾らゲイであると周りに知られているとは言え、公衆の面前でこんな風に目立つのは嫌いだそれに、ユノの前では他の男と触れ合っているところなんて見られたく無かった幾ら僕達が全く違う、交わらないタイプだから上手く行っている、なんて言っても、それはお互いに見ないようにしているからこんな姿を見られたらもう呆れられるそう思ったのに…「チャンミナ、俺にはしないの?」「…え…」「俺を選べば助けてやるし…チャンミナが望む事をしてやるよ」ユノは僕の気持ちを知らない筈ユノは男なんて受け付け無い筈それなのに、熱い視線が僕を見ていて…「…ユノが良い…」思わず呟いていたそうしたら、にやり、と笑って長い腕が一気に伸びて…「…っあ…」一瞬で僕は、ユノの腕のなかへと抱き寄せられた「『こういう事』だから執拗い男は嫌われるし、先輩こそこれ以上目立ちたく無いんじゃないですか?」僕はユノの首に顔を埋めていて、背中に先輩が居るから顔なんて見えなかったもう、先輩なんてどうでも良くて、触れられる訳なんて無かったユノの身体のその熱さに、僕の体温は急上昇していたここは駅前で、これ以上目立つ訳にはいかない離れなきゃ、そう思った時…「今日、親が居ないって言っただろ?」そう、耳元に低く囁かれたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Fated 58
もう、全てが壊れてしまうかと思ったチャンミンと漸く築き上げた新しい関係が彼へと確かに向かう、本能や欲望にだって打ち勝つ事が出来るという気持ちが俺のなかの確固たる思いやプライドのその全てが「…ん…っ……だいぶ落ち着きましたか?それともまだ辛い、ですか?」「……っはあ……はあ…」チャンミンの声は先程迄と違い、クリアに聞こえるその前はずっと、耳のなかではあらゆるノイズ音が邪魔をしていてチャンミンの声は殆ど届いていなかったから「大丈夫、ユノヒョンはちゃんとユノヒョンのままです僕がそうだって分かっているから…」ふと、背中にまわされている『何か』がチャンミンの手だと気付いた少し前にも抱き着かれていると分かっていた筈なのに…腰を振っている内に、また何もかも分からなくなっていたのだろうか優しく背中を擦られて、少し掠れた声で俺の名前を何度も何度も、囁き語り掛けるように紡ぐふっと力が抜けて、チャンミンの細い身体に覆い被さった互いのニット越しに胸を合わせると熱くて、心臓の音が大きく響き渡るニットもインナーも、自分の汗で肌に張り付いていて不快だなんて事も今漸く気が付いた冷たくて硬い床に私服のニットのまま背中を付けて横たわるチャンミンそう、確かこのニットは昨年も着ていたもので、彼のお気に入りの一枚である筈それが、土足で歩く床にぴたりと付いていてはっと我に返った「…っ、ごめん、チャンミナ…!」「…っあ、…っ…」身体を起こしながらチャンミンの身体も引き上げたら高い声が漏れて、そしてまだ繋がっているままなのだと気付いたチャンミンの身体を完全に起こして、向かい合って俺の上にチャンミンが座るような体勢になった「…抜くから、少し力を抜ける?」「でも、まだユノヒョンは…」「大丈夫、今は正気だから」やっと自分の表情をコントロール出来る少しぎこちなかったかもしれないけれど、チャンミンを少しでも安心させるように微笑んで、汗で張り付いた前髪を耳に掛けるように流してやった「……ん、…っ…」甘い吐息を漏らすからどきりとしたけれども、それは肉欲から来るものでは無くて、恋愛感情から来る感情の揺れのようなものそれなのに、気持ちと裏腹にまだ力を持ったモノをゆっくりと抜いたここは仕事終わりの楽屋で、そして俺は…チャンミンのフェロモンやヒートに反応した訳じゃ無いそれなのにまるでただの暴力のようにチャンミンを抱いたいや、抱き潰してしまっただから後悔と、そして自分自身への恐怖のようなものでいっぱいそれなのに、そうはっきりと思ってもまだ身体は熱を持っているから気持ちが悪い「…ユノヒョン、僕の事…ちゃんと分かりますか?」「分かるよ、チャンミナ…好きなのに、それなのに酷い事をして…ごめん」チャンミンを俺の腿の上に座らせるようにして、床にはつけないようにしたすりっと寄ってくると、彼の尻に俺のモノが当たるどきり、として…少し怖いもう傷付けたくなんて無いからきっと、俺は自分で思っているよりもチャンミンを傷付けたから「酷く無い、さっきも言いましたが…あの女性を追い掛けずに僕を連れてここに戻って来たそれだけで良いんですきっと何も考えられなくなりましたよね?それでも…僕を好きだからだって思わせてください」「…そうだよ、そうじゃなきゃ有り得ない」そう答えたけれども実際は、あの時の俺は兎に角必死で『駄目だ』『あの女性を俺のものにしたい』そう、相反する思いでいっぱいでぐちゃぐちゃだったそれでも無意識でチャンミンを連れてこの楽屋に戻って来たのかもしれないけれど、はっきりと自分でそうした訳では無いから、後ろめたさしか無いそれに何よりも、他の女性に確かに反応したのに、それをチャンミンで解消するように酷く抱いた結局解消、なんて簡単に出来なくて、抱いても抱いても足りなかった『違う』という思いが頭のなかを占めて苦しくて仕方無かったそれがまた、今となれば後ろめたくて仕方無い「ユノヒョン」「…ごめん、傷付けた」自分が情けなかった自分が自分で無くなる怖さを知ったけれども、それが自分だけの問題ならまだ良いのかもしれないけれど、チャンミンを巻き込んだ彼は、俺があの…一目見ただけのオメガであろうアシスタントの女性を見てそのフェロモンに反応した事を分かっていた分かって身体を差し出すように抱かれ続けた好きなのに傷付けて、自分を見失った「ユノヒョン」「……痛っ…」俯いていたら、頬をぱん、と叩かれた弾みで『痛い』と言ったけれど、本当は痛くないだって、チャンミンの手は少し震えていたし力なんて入っていなかったから多分、俺に酷く抱かれて体力を使ったからだろうそれでも、叩かれた事がどこかショックで顔を上げたら、チャンミンは丸い頬を少し膨らませて唇を尖らせていた「僕を傷付けるなら良い他の誰かを抱いたり求めるんじゃあ無くて、例え代わりだったとしても…ヒョンが好きだと思ってくれる僕を抱いてくれるならそれで良いんです」「…チャンミナ…」他の、初対面のオメガ女性に反応した恋人を見て襲われて自分を見失った状態の俺に抱かれる事は…理性を失ったアルファに力で支配される事は、オメガのチャンミンにとってどれだけ恐ろしかっただろうかアルファの俺にはきっと、どれだけ考えてもその気持ちを理解する事もその立場になる事も出来ない俺は自分の事ばかりで、自分が自分で無くなる恐怖に理性を取り戻しながら怯えたけれどもチャンミンは…恋人のアルファが別のオメガに発情しただけで無く、その代わりに抱かれ続けた自分では満足出来ない、という事だってきっと…分かっていたに違い無いそれなのに、チャンミンは気丈に『他の誰かじゃ無くて僕を傷付けるなら良い』なんて言うチャンミンはアルファの俺なんかよりも、余っ程強いのかもしれないそう思っただけど…「…だから、僕から離れないで」「…チャンミナ…っ…」俺の首に抱き着いて肩を震わせるそれは強いオメガ、では無くて、傷付いたひとりの男だ俺が一方的に傷付けて悲しい思いをさせたチャンミンは漸くオメガになった今の彼自身の事を受け入れ始めたように見えるのにそんなチャンミンを裏切ったのは俺だ例えあの女性を抱かなくとも、あの女性に発情したままチャンミンを代わりにして満足出来なかった事は事実なのだから「……」『離れない』『好きだよ』そう、喉元まで何度も何度も出掛かったけれども、身も心も傷付けておいて理性を取り戻したら耳障りの良い言葉を吐く、なんて最低だ「チャンミナ…」大切だからこそ何も言えなくて、ただ名前を呼んで背中をそっと擦る事しか出来ないチャンミンからは変わらずに甘い匂いがする落ち着くけれど、今はその匂いを嗅いで抱きたいと思えないそんな自分が恐ろしいこれまではずっと、例え抱けなくてもそれよりも気持ちが大切だからそれで良いと思っていたチャンミンを見ると、傍に居ると甘い匂いに引き寄せられて身体が熱くなるそれでも、そんなアルファとしての本能に抗いチャンミン自身を大切にしたい、と思って来た今は抱かなくても大丈夫だし、抱きたい、とも思えないそんな自分が、自分で無くなったように怖いのだきっと、あの女性のヒートに反応して身体がおかしくなって、チャンミンを激しく幾度と無く抱いたからだからもう、肉体的に疲れただけだから、チャンミンでは無くても例え誰だって抱きたい、なんて思えない筈それでも頭のなかにはあの女性の存在がちらついて…「…っくそ…っ…」「…っ、…ユノヒョン…?」「ごめん、違うんだ、自分に苛立って…」チャンミンがそっと身体を離して俺の顔を覗き込んで来た彼は気丈で強い、そう思ったけれど、俺を見つめる瞳は潤んで不安に揺れている胸が締め付けられて痛くて、そうしていたら鎮まらない熱を帯びた中心よりも胸の方が余っ程痛い、と漸く思えた「……チャンミナが好きだよこの期に及んでごめん」「…言ってくれないと僕は……好きなんですだから、僕が全部受け止めるから…お願いだから、もうあのひとを見ないでください」何を言えば良いのか分からなくて、何も言えなくてただ、チャンミンの背中をもう一度強く掻き抱くようにして抱き締めたまだ自分がどうなってしまったのかこれで身体が落ち着くのかそれは分からないだけど、もう思考ははっきりしている「…あの女性はインタビュアーのアシスタントだと言った、よな?」「……うん」「アルファの俺が反応したという事は…理由はどうであれ、オメガだ」傷付けたのにこんな事を思うなんて最低だと思うけれども、少しでも安心させられるように背中を擦りながらゆっくりと言葉を続けた「芸能界には男女問わずアルファが多いたから、通常スタッフや業界の人間は…アルファに影響されるオメガは敬遠されるチャンミナも知っているよな?」「…はい、だから僕だって勿論…オメガになった、なんて知られる訳にはいかない」アルファばかりの世界にオメガが入るそれはつまり、オメガ自身の身の危険に繋がるという事幾ら抑制剤やピルを飲んでいても、ヒートを防ぐのは百パーセントでは無いそれに、もしもオメガ自身が誰か…特定であろうが不特定多数であろうが、アルファの子種を欲しがったりアルファと番になりたい、なんて思い服薬を自ら止めたらアルファはフェロモンに引き寄せられて自我を失うそんな事になれば大変な事は目に見えているだから、芸能人だったり、芸能人に直接関わる職種には通常オメガは就かないのだもしも関係する会社や仕事に就いた、としても直接対面するような事は絶対に避ける筈そうしてこの社会は均衡を保っているなんて、考えてみればとても脆いものなのかもしれない「…本当はもう関わりたく無い自分が情けなくて仕方無いだけど、あの女性が何故アシスタントとして居たのか、は聞かないと…」「…なら、僕が聞きますマネージャーには…ユノヒョンの体調が悪くなったと伝えたら…マネージャーはベータだから、アルファの事は分からない筈です」そう言うとチャンミンは俺の胸を押してふらりと立ち上がった「ユノヒョンはまだ辛いと思うので、もう少し休んで…今日の仕事はもう終わりだから、まだもう少しこの楽屋を使わせてもらえば大丈夫です」立ち上がって止めようとしただけど、力が抜けてしまって動けない意識ははっきりしたけれど身体はまだ熱くて気持ちが悪い冷めない熱をまだ持て余しているチャンミンは彼の荷物の元へとゆっくり歩んで、リュックのなかからタオルを取り出した俺の視線からは逃げるように、部屋の端で…多分、だけど俺が出したものをタオルで拭いていた見ていられなくて申し訳無くて、思わず目を逸らして俯いていたら、少しして足音が聞こえた「マネージャーが心配していると思うので、僕が話して来ますもう、僕達に何かが有ったようになんて見えないでしょう?」そう言って服をきちんと着込んだチャンミンはもう、何も無いような笑顔で微笑んだ『俺が行くから』『今から自分で話すから』そう言えない、動けない自分が情けなかった俺は彼を視線で追うのがやっとだったけれども、チャンミンは体力なんてもうきっと限界である筈なのに、心だって傷付いている筈なのに、しっかりとした足取りで楽屋を出て行った「どうして俺が…」左の拳を太腿に強く叩き付けたけれども、痛みなんて感じないそれくらい、まだ身体は興奮状態なのだ意識はもうはっきりしているのに確かに俺は俺なのにあの一目見ただけのオメガを自分のものに出来なかった事に、胸がざわついて気持ちが悪かったアルファは生まれながらにして高い能力や才能を持っていると言われているだからこそ、芸能界や企業のトップ、政治家やスポーツ選手に多いし、所謂非凡、だとか天才、なんて言われるタイプ俺も、自らそれを望んだ訳でも何でも無いのに、昔から優れていると言われて来たそれを実感する事も少なくは無かったけれども今、多分、俺は生まれて初めて自分の力の及ばない『何か』がある事を感じたその正体は、アルファが従わせる事の出来るオメガだ…いや、感情を全て無くさせてしまうオメガのフェロモンだ出会った瞬間に意思とは関係無く身体で惹かれ合うというアルファとベータ、つまり『運命の番』俺とチャンミンはそんな運命では無かったそれでも、運命なんてものは自分の手で掴んで作り上げていけば良い、と本気で思っていただけど…抗う事が出来ないから、皮肉にも『運命』なんて言われているのかもしれない、と思った「チャンミナ…」あの女性が俺の『運命』なのかは分からないけれども、ついさっきまでチャンミンの事を何度も抱いた筈なのに、身体は足りないと叫んでいるそして、頭の隅にあの女性の姿と匂いが残っている運命を自分で切り拓く事が出来たら良いのにこんなに自分の心が弱いなんて今まで知らなかったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 11Dec
京セラドームのお誘い(追記あり)
ご訪問ありがとうございますこの記事が公開される時はまだ仕事中ですが、心はもうテレビの前ですGuilty、つまり世界一格好良過ぎるあまり罪深いチャンミンのウリヒョンこと旦那様ことユノヒョンと世界一可愛いあまり罪深いユノヒョンのウリチャンミナがGuiltyにGuiltyのパフォーマンスを見せてくださるのが楽しみで楽しみで仕方有りませんそして、今日からcoex artiumで展開されている、写真集LIFE IS A JOURNEYの未公開写真展が素晴らし過ぎて仕事の合間にひたすら保存させて頂きました…大好きな大好きな花火ホミンちゃんの未公開も大好きな大好きな写真集発売前にウリチャンミナがこの海をInstagramに載せて「海を見に行きたい」とユノヒョンとの楽しい撮影を振り返り「この時ユノヒョンと一緒でした///」を匂わせた事も忘れてはいけない海と砂浜と風とナチュラルホミンちゃんもまるで自分達の愛を貫く為に都会から全てを捨てて静かな海辺に移住したホミンちゃんカップル更に太腿と脚の差がとてもホミンちゃんでウリチャンミナのお胸が大変な事になっているサーフィンホミンちゃんも全て全て…写真集本編のお写真よりもウリチャンミナの奥様度が上がり過ぎて大変に大変ではないですか…?多分、ですが…あまりにホミンちゃんの普段のご夫婦な雰囲気が出過ぎてしまい、泣く泣く未公開になったのでしょうね…(強めの妄想です)と、もはや本題から逸れ過ぎてしまったのですが…あと10日に迫って来た、XVツアー京セラドーム、両日参戦致します札幌は行けないので東京ドームぶりで、とても楽しみですという訳で(そういう訳もこういう訳も無い事は分かっています…)福岡と東京でも呼び掛けたのに引き続き今回も…京セラドーム21日、22日で会場でお会い出来る方はいらっしゃいますか?と呼び掛けてみようと思います毎回こうして尋ねる度にほぼどなたもいらっしゃらなければどうしよう、と恐ろしいのですが…⚪会場でお会い出来た方には、その方達だけに差し上げている限定のお話(のパスワード)とソンムルとも言えないお菓子だったりをお渡し出来たらと思っています普段、拙いお話を読んでくださる方達に直接お礼を伝えたり出来る機会はなかなか無いので、お会い出来る方がいらっしゃれば嬉しいなあと思っています会ってやっても良いよ、という方がいらっしゃれば、この記事のコメント欄からどちらの日が都合が良いか(両日で都合が分からなければその旨を教えて頂けると有難いです)を教えて頂けると有難いですコメントはどなたでも残して頂けますが、あまり…という場合はこちらからお願い致します⚪Amebaのメッセージ⚪TwitterのDM ↓ 以下クリックで飛べます@hominismmomi @hominism0212追記複数の方から有難い事にご連絡を頂いて…本当に有難いのですが、コメントで差し支えない方は出来たらこちらのコメント欄からお声掛け頂けると有難いです私がTwitterやメッセージでも、と書いたからそちらからご連絡くださっている方が多いのですが…人数が複数いらっしゃると私が上手く管理出来ず、どなたとお会い出来るか分からなくなったり纏めきれなくなってしまいそうで会える予定の方はソンムル(にもならないソンムルですが…)を準備して遠征する為、これから声を掛けてやろう、と思ってくださる方がいらっしゃれば、こちらからお願い出来ましたら幸いです(何かご事情だったりがある場合はこっそりお声掛け頂ければ嬉しいです)どれでも大丈夫です、という風に書いたのに本当に申し訳ございません時間はまだ未定ですが、入場開始時間前後の一時間程時間を設けて分かりやすい場所に私が居て、当日「到着しました、ここに居ます」と記事を上げる予定です呼び掛けておいてご足労頂く形になるので申し訳無いのですが、お会い出来る方がいらっしゃれば嬉しいですと呼びかけておいてほぼいらっしゃらない場合はそっと記事を取り下げようと思うので、その時は察してそっとしておいて頂ければ有難いです…(どうでも良いよ、興味無いよ、等々はそっと胸に仕舞ってやって頂ければ…)京セラドームの前に札幌ドーム、そして何より今日のFNS歌謡祭ですね地上波生放送のホミンちゃんを全力で応援したいと思いますそれではまた、FNS歌謡祭の後の夜のお話でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村ここ数日複数の方からメッセージを頂いておりますが、お返事が追い付いておりません全て有難く拝読しております、そしてお返事遅くなるかと思いますが出来たら…と思っておりますのでご理解頂けましたら幸いですまた、このお誘いにコメントを頂けた場合は、お返事は控えさせて頂く事をご了承くださいませ
リクエストのお礼
ご訪問ありがとうございます今日は遂にFNS歌謡祭ですね今朝タイムテーブルも発表されて…東方神起は夜の10時代でGuilty、となっていました我儘を言えば、番組内の企画でもう一曲有るかも、と思っていたので少しだけ切なくもあるのですが、ユノとチャンミンの素晴らしい歌とパフォーマンスを全力で応援しようと思いますどんなお衣装なのか、10時何分何秒から登場するのか、ホミンちゃんは見つめ合ってくれるのか気になって気になって仕方有りませんが、夜を楽しむ為にも今日一日頑張ろうと思います先日から私が勝手に行って募っておりました、二周年と一ヶ月の中途半端なお礼のリクエスト企画、以前告知した通り昨日で締め切りましたコメント以外でリクエストくださった方も複数だったので、150名様くらいかな?沢山ご意見くださって…本当に本当にありがとうございます何の事?という方がもしもいらっしゃれば、こちらです ↓今更ホミンちゃんありがとう二周年企画をしてみますこのなかで、それぞれふたつ、リクエストの多かったお話を今後どこかで更新しようと思っておりますその時にサプライズになった方が何となく楽しいかな?と思い、更新するまで秘密にしようかと思いますとは言え、上の記事のコメント欄を見て集計すれば大体分かるのですが、多分そこまで調べる方はいらっしゃらないと思うので…リクエスト用に候補に挙げたお話以外にも続きを、と言ってくださったものや、このお話やあのお話が…と色々と声を掛けてくださって本当に有難いです頂いた声は全て大切に拝読させて頂きますね読みたいと言って頂けると書きたくなる単純な私なので、ゆっくり有難く拝見しながら色々なお話をまた進めていこうと思いますそれでは、今日もホミンちゃんが、そしてこのお部屋を訪れてくださる皆様が笑顔で幸せでありますようにそして、今日のFNS歌謡祭、ユノとチャンミンが素晴らしいステージを披露出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村
世界の片隅の僕ら 13
Side Cそれは最初から言われていた事最初から決まっていた事彼らは僕の事を誰よりも想い心配してくれている血が繋がっていないのに、それなのに僕を引き取り育ててくれた申し分の無い教育を受けさせて何不自由無い生活をさせてくれた選択肢は無限に有る訳じゃあ無かったそれでも、そのなかから僕は彼らを選んだつまり、彼ら…僕の新しい両親の方針や考えを受け入れたとは言え、選んで決めた理由は第一に苗字今思えば恥ずかしいけれど、彼らの考えを受け入れ守る事にしても『チョン』になれたらそれで頑張れると思ったから『シムチャンミン』であった頃の事は全て不幸な過去だから忘れるように、もう二度と関わらないようにそう初めから決められていた血の繋がらない僕をこんなにも心配してくれて、新しい人生を歩ませてくれる優しい彼らそれに対してこどもである僕が否と言える筈も無かっただけど、この新しい苗字があれば、僕のなかだけでひっそりと大切な気持ちを忘れずに済むと思った成長していくにつれ彼らの望みはもうひとつ増えたけれども、それは親としては当たり前の事なのだろうしかも、僕に望んでくれるという事は、両親と僕は血の繋がりよりも深いところで繋がる家族だという事チョン家のこどもになったのだから、それを否定する気持ちは無いし彼らに応える事が僕の人生だと思ったそう思っているのに、否定する気持ちは無いのに応えないといけないのに彼らの言葉は僕を縛り付けていくそれが自分の人生の役割だって、毎日毎日言い聞かせるように思っているのにそれなのに、縛り付けられている、だなんて思う自分が浅ましくて嫌いだ「今日は本当に楽しみだわお父さんも退院したし、それに…久しぶりに賑やかになるわね」「母さん、そんなに豪華なものなんて作らなくて良いから…」「私が勝手に作りたいだけなのだからあなた達は沢山食べてくれたらそれで良いの」困る僕の事なんて何処吹く風で、キッチンに立つ母親は笑顔で手を動かしているふう、と溜息を吐いて肩を竦めて「じゃあ行って来る」と告げたら、鼻歌混じりに彼女は「気を付けてね」と僕を送り出してくれた「チャンミン!」一応、約束の時間よりは少し早めに到着したなのだけど、彼はもう駅の改札の前に立っていた「…声が大きいよ」ぶんぶんと両手を振って僕の名前を呼ぶから、周りのひと達が一気に声の主…つまり、ユノと、その視線の先にいる僕を見る「え?そうかなだって、チャンミンに会えたから嬉しくて」「学校で昨日だって会ったし連絡も取っていたのに」なんて言う僕の方が、本当はきっと嬉しいって思っている事なんてユノは知らないに違い無い僕はこの六年間で自分の感情を閉じ込める事が上手くなったからいや、昔から多分それが普通だったきっと、物心ついた時から血の繋がった両親からは充分に愛情をもらう事が出来なくて、彼らはいつもどこか別の方を見ていた辛い事が、寂しい事が当たり前だったけれども、そんな気持ちを認めてしまえば自分がより辛くなるだけだから、感覚を鈍くするように気付かない振りをしていたそれが、僕の生きて行く術のようなものだったあの北の村の児童養護施設に移り住んでユノと出会い、そんな僕は少し変わった嬉しい事や楽しい事、幸せな事は閉じ込めなくて良いのだと、少しずつだけど思えるようになったユノは僕を変えてくれて、ユノと過ごした一年弱…と言っても、仲良くなってからは半年と少しなのだけど、兎に角あの頃は今でも僕の人生のなかで一番幸せだった時期「今日は特別だよだって、チャンミンの家に行けるんだからしかも、今まで友達を招いた事が無くて俺が初めてなんて幸せ過ぎる」「ユノは大袈裟だよ」身体全体で嬉しいのだと伝えるようなユノが眩しいそして、僕だって本当は嬉しいこうして休日に会える事が家に招ける事がでも、今の僕はもう、そんな幸せな気持ちも閉じ込められるようになっただって、ユノと以前のようになる事は今の両親に背く事と同じだから「ここからどれくらい?」「歩いて十分かからないよ」「駅前のスーパーに寄っても良い?本当は母さんが仕送りをしてくれて、地元のお菓子を送ってくれたからそれを手土産にしようと思ったんだでも、それじゃあ駄目だって気付いて…代わりに何か渡すものを一緒に見繕って欲しいなあって」ユノに気を遣わせている事を悪いと思うだって、ユノにも、ユノが生まれ育ち僕も確かに暮らしていたあの土地はとても素敵な場所だから初めは何も無くて驚いたけれど、空気が美味しくて山々は美しくて、人々は優しい冬は寒くて凍えそうだったけれど、ユノが居たから楽しかった自然が多いから虫も沢山だったけれど、あの日見た蛍はまるで夢のように綺麗だったそれなのに、今の両親が僕に『チョンになる前の事は全て忘れて関わらないように』なんて言うから「ごめん…嫌な気持ちになるよね」歩き出しながら、斜め前を向いて呟いた左側から視線を感じてちらりと見たら、ユノは優しく笑っていた「大丈夫だよ事情も知っているし、それに何より…チャンミンがあの頃を覚えていてくれている事も、写真を財布のなかに入れるくらい大切にしてくれている事も知っているから」「…っ、その事はもう言わないでって言っただろ!」「あはは、そうだったっけ?なんて…本当に嬉しかったんだ、泣けるくらいあの時に撮った写真はもう、一生見る事は出来ないかもって思っていたから」ユノの前で隙なんて見せてはいけない過去を懐かしく思っている事も、再会してしまった事で胸のなかの想いを過去になんて出来なくなってしまった事も、知られてはいけないからそれなのに、もう一ヶ月前になるのだけれど、父親が入院していた病院にユノと一緒に見舞いに行った際、財布のなかに入れて大切に持ち歩いていた写真が落ちてしまった大切なのは勿論、ユノと撮った写真だからユノとの最後の一日、忘れられない日の思い出だからあの日からユノの僕に対する距離は縮まった気がするそれを嬉しいと思ってはいけないのに嬉しくて、表情に出さないようにするので精一杯「写真も、勿論両親には見せられないから見つかったらきっと悲しませるし心配を掛けるし…捨てるように、と言われるかもしれない」「うん、分かってるだから隠していたんだろ?捨てないでいてくれて嬉しい」「…うん」あの日、ユノは僕に『好きだよ』と言ったその言葉を聞いたのは再会してから二度目そして、その日以来、ユノはたまにその言葉を僕に紡ぐようになった再会して最初に言われた時はどうして良いか分からなかった『まだ好きだよ』そう言われて、胸が苦しくて押し潰されそうで二度目は信じられないような、でも嬉しい、そんな気持ちそして、今は少し慣れた「チャンミン」「何?」「好きだよ、チャンミンの事が」「…折角こんなにひとが居る都会に出て来たんだから、僕みたいな男じゃ無くて可愛い女の子でも探したら良いのにそれに、ユノはきっと…モテるだろうし」少し早足で歩いて、スーパーに入った手土産なんて要らない、と思ったけれど、もしもそれで両親のユノへの評価のようなものが落ちたら嫌だから勿論、そんな事で息子の友達を見るひと達では無いと思うけれど、ユノがあの村の出身だという事を隠している負い目のようなものがあるから、少しでも良く思って欲しい、なんて考えてしまうのだ「モテたとしてもチャンミンが良いんだよ」「そんなの口だけだろだって…中学や高校で…彼女とか居たんじゃ無いの?」言いながら胸がつきん、と痛んだそれを感じない振りでスーパーのなかを歩いて、お気に入りの西瓜のジュースのパックを手に取ったそれから、更に歩いて母親が好んでいるクッキーと、父親の好きなワインに合うつまみの生ハムを選んだユノは両手いっぱいになった僕に駆け寄って、大きな西瓜のジュースの紙パックとクッキーの箱を僕の手のなかから取った「西瓜…チャンミンと夏に食べたのが懐かしいこんなのが有るんだな、海外のジュースなんて飲んだ事が無いよ」「このスーパーには置いていて…季節に関係無く飲めるから」ユノと過ごした日々で経験した事そのひとつだから西瓜を好きになった、なんて事は絶対に言わないし、それに…ユノが覚えているとも思わなかった嬉しいなんて思ってはいけないのに、ユノと過ごす日々が今の当たり前になっていく内に、どんどん閉じ込めていた気持ちが大きくなってしまう本当は突き放さなきゃいけない今の僕は昔の僕とは違うから、って…こんな風に家に呼ぶ程仲良くしてはいけないそれなのに、僕はそれが出来ない『好きだ』と言われても受け流す事が精一杯レジに向かって列に並んだユノが「これがお土産で良いの?」と聞くから、僕達家族三人の好きなものなのだとぶっきらぼうに告げた僕の好きなものが何なのか、は伝えていないのに、ユノはジュースを眺めて嬉しそうに微笑んだ「それにしても、モテたんじゃ無いの?って言ったらさり気なく認めてたよね?」「…ん?え…そうだったかな」「そうだよ!モテたとしても…とか…本当に、誤解されるから…僕に変な事を言うのは止めた方が良いと思う」生ハムのパックを見下ろして意味無く眺めながら小さく呟いたユノはそんな僕の顔を隣から覗き込んで来て…「…っ、何だよ…」「誤解って?彼女とか?周りの女子、とか?今は特に仲良くしている女子も居ないし告白されても断っているし、チャンミンだけだよ」「………」ユノの口調は揶揄う訳でも無くて真剣な声音だっただけど、とても気になった、と言うか引っかかった「『今は』って?やっぱり前は彼女とか居たんじゃあ…」「…前の話だよこの一年以上はずっと居ないし作る気も無かったし告白されてもちゃんと断ってる」ちゃんと、の意味が分からないそれに、一年以上居なくてもその前は彼女が居たのだ僕がずっとユノの事を…毎日毎日考えていた間にも、ユノは別の女の子を見ていたのだまだ好きだ、なんて、まるでずっと好きだったかのような事を言っておいて、そうでは無かったのだ「…チャンミン?」「……」何だか一気にむかむかして来ただけど、それを顔には出さないもう興味なんて無い振りで前を向いて、レジに商品を置いたユノも戸惑いつつも、と言った様子でジュースとクッキーを置いた財布を出して紙幣を出そうとしたら、ユノが慌てた様子で手を伸ばして来て僕を止めた「俺が払います」ユノの笑顔に、二十代らしきレジの女性スタッフが少し頬を赤くして「ありがとうございます」と言ったのに気付いて、またむかむかしたスーパーを出てから、会話は一気に減った感情は顔には出していない筈普通にしている筈だけど、自分から話題を振るのは癪で普段よりも早足で歩いた「チャンミンのお父さんとお母さんが俺を呼んでくれたんだよな?本当に嬉しい」「…だから、別に僕が招いた訳じゃ無いから」季節は六月、初夏になったあの村だと確か、六月はまだ少し肌寒かっただけど今日は歩くと日差しが強い僕は丁度良いくらいだけど、ユノは空いている右手でTシャツの胸元摘み扇ぐようにしているそれを横目で見ていたら、ユノが急にこちらを向いて思わず固まってしまった「でも、元はと言えばチャンミンが俺を見舞いに連れて行ってくれたから、だろ?あの時にチャンミンの父さんと話して、家にも遊びに来てって言ってくれたから退院なんておめでたいし、呼んでもらえて本当に嬉しいんだ」「…父さんに言ったらきっと喜ぶよ」そう、ゴールデンウィークにユノと父親が会った時、口約束のように『退院したら家にも遊びに来て欲しい』と彼はユノに話していた僕が唯一親に合わせた友達だから、その後父親も、そして彼から話を聞いた母親も喜んで『お家にも呼んでね』なんて言われていたでも、それを決めて改めて誘ったのは僕だそんな事は勿論ユノには言わないけれど「…ここだよ」「え…ここがチャンミンの家?」「うん、ここがチョンの家」「あはは、『チョンの』なんて言ったらどきっとするな」「苗字が同じだけだし、そんなの…別に凄く珍しい訳じゃ無いし」一軒家の小さな門を押し開けて振り返ったら、ユノは嬉しそうに微笑んでいた「招いてくれてありがとうどんな理由だって良いよ、今のチャンミンの家族に会える事も俺にとっては嬉しいんだ」「感謝されるような事なんてしてないよ大学生にもなって友達の家で親も交えて食事だなんて、面倒だろうし」ユノがなかに入ってから、門を閉めたそれから玄関に向かう短い石畳の道を歩いていたら、後ろから「チャンミン」と呼ばれた立ち止まり、振り返ったら、ユノはあの頃と同じ優しい顔で僕を見ていた時間が戻ったような気分になるから止めて欲しいのにそれに、ユノは女の子と付き合って…本当は僕の事なんて忘れていた癖に「チャンミンも何度も何度も俺の家に泊まったり遊びに来てくれたよな凄く嬉しかったんだ、本当に…実は嫌だった?」「…そんな訳…それに、今は大学生であの頃はこどもだったユノの両親は優しい良いひと達だったし…」「チャンミンの父さんも優しそうだったよ本当にチャンミンを大切にしているんだって思ったお母さんとはまだ対面していないから緊張するけど…」「………」「チャンミン?」「…なかに入ろう」感情は出しちゃいけない僕は両親が望む理想のこどもじゃ無ければならないでも、ユノと居るとそれが段々難しくなってくる両親は僕を大切にしてくれる僕が傷付かないように悲しい過去から解き放たれるように幸せな思い出だけを積み重ねられるようにそうして、チョン家に迎え入れられる以前の事はもう忘れなさい、と言われるそれは彼らの優しさで僕を大切にしてくれる気持ちだから、僕はそれに応えなきゃいけない『早く良い女性と結婚して孫を見せて欲しい』その願いを僕は叶えなければいけないその言葉を放たれる度に僕の心は磨り減って、本当の自分も、本当の自分の気持ちも隠さなければならないのだ、と苦しくなるだけだとしてもとは言え、ユノだって結局口だけだった僕の事が忘れられなかっただとか、ずっと探していた、とか言っていたのに僕は誰とも付き合う事もしていない、手だって繋いでいないのに手を繋ぐのも、抱き締めるのも、キスだって、ユノしか知らないのに、それだけを覚えていたのに、ユノはそうじゃ無かった苦しくて悲しくてこれなら再会しない方が良かったそう思えたら良いのに、そう思いきる事も出来ない僕は、何も強くなんてなれていないのかもしれない「お帰りなさい、チャンミン」「ただいま、父さん、母さん玄関まで迎えに来なくて良いのに…父さんは二度目だけど、母さんは初めてだよね大学の友達の…」「チョンユンホ、です今日は招いてくださってありがとうございます退院も本当におめでとうございます」大丈夫、僕は強いだって、ちゃんといつものように笑えているからずっとこうやって生きて来たのだからだから、何も悲しく無いし、大丈夫ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Sun&Rain 28
何だかとても良い夢を見ていたそれが夢である事はぼんやりと分かってはいたつまりは現実では無い、僕の願望だという事僕は好きなひとの事を以前のように『ユノ』と呼んで、そうするとそのひとは一瞬目を見開いて、そして含羞むように笑ってくれた腕を伸ばすとそうっと抱き締めてくれて、あたたかさを感じたそれは勿論夢だってもう、僕達は恋人関係では無い抱かれて直ぐに振られてしまい終わりを告げたから理由はそう言えばはっきりとは聞いていないけれど、そんな事を聞いたって自分が傷付くだけだから聞く気は無い抱かれた翌日、僕は幸せな気持ちでいっぱいで…けれども、現実では恋人になり結ばれたユノを撮影では拒む、というシーンが上手く行かなかったその後、つまり抱かれた翌日の夜に『やっぱり付き合えない』と振られた抱いてみたらやはり男なんて、と思ったのかそれだけで無く更に仕事まで録に出来なくて呆れられたのか考えても凹むだけだから僕は前を向く事にしたとは言え、また嫌われてまた振られたら流石にきついし立ち直れないそして、振られてもやはり僕は彼の魅力に抗う事が出来ないし、やっぱり好きなんだだから、まずは何よりも僕達が共演する映画『Sun&Rain』の撮影に全力で取り組んで、もう一度僕自身を見て欲しいもう一度僕を選んで欲しいし振り向かせたい「ユノ…」夢のなかで何度も呼んでいた名前夢のなかだから許された、恋人だった時の呼び方意識がふっと浮上して、夢から醒めたのだと気が付いたもうきっと朝で、これは現実でも、恋人だった時とは違い、僕達はひとつ屋根の下隣の部屋で眠るだから、まだ名前を呼んでも彼に知られる事は無いから大丈夫起き上がりこの部屋を出ればもう、名前を呼ばないだから、もう一度だけ「…ユノ」口にすると胸が締め付けられて心臓の鼓動が速くなる役名で『ウノ』と呼んでもどきどきしないのに「…起きなきゃ………ん?」何だかあたたかい、のは布団を思い切り被っているからかと思っていたでも、瞼を開けたら何だか違和感があった「……」布団は確かに頭から被っているでも、それだけじゃあ無いだって、僕達はもう別々に眠っている筈それなのに、目の前に誰かが居て、しかも僕を抱き締めているゆっくりと記憶は蘇って来て、そう言えば昨日はマネージャーとチョンさんと三人で食事をした事を思い出した確か、マネージャーが持って来てくれたワインが美味しくて、気の置けない兄のような彼が居たからリラックスしてしまった事もあり、久しぶりにグラスが進んで…「……マネージャー…いやいやマネージャーと僕が一緒に寝るとか、幾ら酔っ払っていてもおかしいだろ」小さく呟いて頭を振ったそうしたら…「…ん……何だ?チャンミン?」「…っ、あ…え……」まさかそんな訳無いって思っただって、僕達はもうとっくに別れていて、最近は漸く共演者として良い関係を築けているのだから「…おはよう、チャンミン」腕と身体はゆっくりと僕から離れて、僕の頭を隠していた布団は捲られた窓から射し込む朝の陽射しを受けているのは間違い無くユノ…では無くてチョンさんだ「え…あっ、いつから起きて…じゃ無くてどうしてここに…僕の部屋ですよね?」そう言えば途中からあまり記憶が無いだけど、酔っ払って問題を起こした事は無いから、きっとおかしな事はしていない筈慌てて起き上がったら布団が完全に捲れて、まだ横たわったままのチョンさんが寒そうに肩を縮めた「あ、ごめんなさい……っうわっ!」「今日は午後からだろ寒いしまだ眠いから少しだけ…」腕を引かれてまた布団のなかに引き戻されてしまった恋人だった時のように抱き締められる事は無いチョンさんは布団を引き上げて、何事も無いように欠伸をして僕を見た「昨夜チャンミンのマネージャーが帰る時にはもう、テーブルで寝てたんだけど覚えてる?」「…覚えて無いです」「まあ、一番飲んでたもんな俺が見送って、それからこの部屋まで連れて来たんだ流石にテーブルで朝まで寝かせる訳にはいかないから」「…すみません…」酔っ払って問題を起こした事は無いなんて思っていたほんの少し前の自分を殴りたい気持ち情けなくて、チョンさんの方を向いて、横たわったままではあるけれど頭を下げたそうしたら、彼の手が僕の頭に伸びてぐしゃっと混ぜるように触れてきた「良いよ、俺達の仲だろ」「俺達、って……」もしかして、酔っ払って告白でもしてしまったのかと思ったでも、チョンさんは何でも無い顔で言った「恋人になる役だし、共演者だから」「…そうですよね」何だかやっぱり、チョンさんは付き合っていた事を無かった事にしたいと思っているように感じる振ったのだからそう思われても仕方無いでも、一緒に眠ったなら少なくとも気持ち悪いという風には思われていない筈「それで、どうして一緒に眠って…」「…本当に覚えて無いの?」頷いたら、彼は困ったように眉を上げて、それから僕の頬をむにっと摘んできた「…っ何…」「どうして、も何も…俺がこの部屋まで連れて来て布団に寝かせて出て行こうとしたら『行かないで』『一緒に寝て』って泣くから」「え……嘘…」さあっと血の気が引いただって、それはきっと昨夜の僕の本音だから撮影が進んで仕事をきちんとするまでは告白はしない、と決めているのにアルコールの所為で本音が漏れてしまったのだろうしかもそれだけじゃあ無くて泣いた、だなんて情けない気持ちが悪い、執拗い、そう思われたのだろうかチョンさんのその時の様子も勿論覚えていなくて…けれども、覚えていなかくて良かったのかもしれない「…泣いた、のは少し話を盛った…かなけど、チャンミンが引き止めたのは本当だよ小さなこどものように目を潤ませて言うから」「…すみません、迷惑を掛けて…」チョンさんは背を向けて、どうやらスマホを見ている無視されてしまったようで、やはり何か失礼な事でもしたのかもしれない、と沈んでしまうとは言え、布団から出ようとした僕を引き止めたのもチョンさんだからここで出て行くのも失礼かも、と思うしどうしようも無い背中を見つめているのもきっと、チョンさんからすれば気持ちの良いものでは無いだろうから、上を向き布団を口元まで持ち上げた少しでも自分を隠すように左側で気配が動いて、チョンさんがこちらを見た嫌がられている顔には見えないけれども、視線を合わす事も出来ない一緒に眠っていたと分かって幸せ、というよりもどう思われているのか、が怖いだって、眠る前から起きるまで、記憶が無いのだから何だか物凄く緊張してしまってどうしたら良いか分からない更に布団を持ち上げて鼻まで隠したら、チョンさんは表情を変えないまま、何を考えているか分からない顔で口を開いた「迷惑じゃあ無いよ昨日は何だか…久しぶりにチャンミンの楽しそうな顔が見られたし、最近少しぎこちなかっただろ?勿論、俺の所為だって分かっているんだけどだから、嫌がられてはいないんだって分かって嬉しかったよ」「…嫌がる訳…そんな…」「だって、俺が酷い事をしたから」言葉と共に長い腕が伸びて、布団の上から軽く、だけど抱き締められた僕は上を向いているままで、視線だけで左側を見たら目が合って慌てて反対側を向いた「あの、近いです」「ん?仲直りのハグをしようかなって」「仲直り…喧嘩なんてしていませんけど」心臓の音がうるさい耳の奥でずっと響いていて、胸が苦しくて痛いこんなに恋に夢中になると思わなかったしかも振られても尚好きで…振られて離れたからこそ、やっぱり好きだ、なんて思うなんて「うん、喧嘩はしていないと言うか、チャンミンがおとなだからかな?それともチャンミンも別にそこまで、だったのかな…俺が勝手だったのに殆ど責めたりもしなかっただろ?」「それは…」振られた時の話を持ち出されてどきりとしたどうして、とは勿論言ったけれどもプライドもあったし、何より男同士で付き合った事も無かったからどうして良いか分からずに受け入れるしか無かっただけだ「あれからやっぱりぎくしゃくしているから都合が良いかもしれないけど…共演者として仲直り…駄目?」「…仲直りだからってハグするんですか?男同士なのに…」それに、都合が良いチョンさんはきっと、僕の事なんてもう当たり前に好きでは無い筈なのにそれに、僕がまだチョンさんの事を好き、だなんて事は思ってもいないのだろうか都合が良いと思うし悔しい何が悔しいって、触れられて嬉しいと思う事がだからやっぱり、もう一度振り向いて欲しいチョンさんから抱き締めてきたから、左側を向いて、布団のなかで僕も手を伸ばしてそうっと背中に添えたそうしたら、チョンさんはふわりと…含羞むように微笑んで、夢を思い出した…いや、夢のなかと重なったのだ「男同士でも良いだろ?だって、俺をこの布団に引き摺りこんだ後もずっと俺の名前を呼んで抱き締めて…いや、抱き着いていたのはチャンミンの方なんだから」「…っえ、嘘…」「これは本当に本当それに、名前も…『ユノ』って呼んでいたんだよ」「…すみません、僕…」夢だと思っていたのは現実だったのかそれとも、夢と現実が混じり合っていたのかだって、夢のなかでチョンさんは…ユノはとても優しかったから僕が名前を呼んだら含羞むように笑って『どうした?』なんて優しく答えてくれたから何度も何度も、今は呼ばないようにしている名前を呼んで、まるで付き合っていた頃のようだったから「謝らなくて良いよそれに、俺が何も言わなかったのが悪いけど…呼び方を変える必要も無いし、チャンミンが縮こまる必要も無い」「…ユノって呼んで良いんですか?」「…勿論、だから俺をもう少し頼って昨日、マネージャーからも『二週間、チャンミンの事を頼みます』って言われたんだ勿論、任せてくださいって返事をしたよ」優しく背中を撫ぜられたチョンさんは優しくて狡い振っておいて、また優しくするそれはきっと恋愛感情なんて無いから、なのだろうでも…嬉しいけれど、その優しさに甘えて、ただの共演者の振りをしながらチョンさんを好きでいる事は何だか嘘を吐いているようで『違う』気がした振られた時と今の僕勿論、大きくなんて変わってはいないのだろう僕は役者としては勿論、ひととしてもまだまだだでも、チョンさんと出会って演技の世界を少しずつ知って…こんなにも夢中になれる魅力的なひとに溺れて周りが見えなくなるくらい惹かれてそれで失敗してしまったけれど、失敗に気付く事も出来たし、それでもまだ好きだ振り向かせたい、なんて強気な事を思ったけれど、やっぱりチョンさんの器は大きいし僕には敵わないそれなら、回りくどい事なんてせずに、もう一度ぶつかって…そして、嘘を吐かずに向き合いたいと思った「あの…じゃあ、ユノ、ってまた呼びます」「うん」優しい声にほっとしたこの先の言葉を、もしかしたら…ユノは不快に思うかもしれないけれども、気持ちを黙って騙したような状態で優しくされるのは違うと思うんだそれなら伝えてしまって、その上でこの先も仕事を全力で頑張りたいもう一度嫌われても、必死な姿を見せて、例え恋愛で無くても僕を認めて欲しいこんな気持ちになれたのはユノのお陰だから、勝手かもしれないけれど伝えたい胸をそっと押して距離をとって、少し驚いたように目を見開くユノを見つめた「それと…」「それと?どうしたの?」ユノも何だか緊張したような表情僕の緊張が移ったのだろうかそれが何だか可愛くて、今度は緊張が解れただから、笑顔で言う事が出来た「本当はまだ、ユノの事が好きです」「……チャンミン…」「でも、勘違いしないでくださいここに居るのは仕事だって…振られた時はそれを少しだけ忘れてしまっていましたが、今はちゃんと分かっています好きだって言いましたが、それ以上何もしません最後まで…全力で作品作りに…演技に取り組みますだけど、黙っているのは嘘を吐いているようで嫌だったんですだから…嫌いにはならないで欲しいです」言い切った、と思うとふっと力が抜けたユノの顔は…嫌がっているようには見えなかったから、それだけでもう良かった「風呂に入って来ます昨日、入ってないって事ですよね?まだ時間があるなら、チョンさんはゆっくりしていてください」笑顔を作って起き上がり布団から出て立ち上がったそうしたら、「チャンミン」と呼び止められた振り返って、上体を起こした彼を見下ろしたら…「ユノ、だろ」「あ…間違えました、ユノ」僕の呼んだ名前に微笑むユノそれだけで今は良いそれに…分からないけれど、きっと昨日見た夢は夢では無くて現実なのかもしれないから僕が名前を呼んで、それに笑ってくれる太陽のようなユノが居るから、それだけで僕は今日もどんな事だって乗り越えられる気がするそして、今は僕にとってのユノが太陽だけど、いつか…映画のなかでユノが演じる『ウノ』が僕の演じる『ミヌ』に対して太陽のようだって思うみたいに、もう一度ユノが僕を求めてくれたら嬉しいだから、今日も僕は前を向いてミヌを演じようと思うランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 10Dec
お話の紹介 2
ご訪問ありがとうございます先程の記事に引き続き、今度はこれまでのお話をカテゴリー別に振り返ってみようと思いますこの記事から直接カテゴリー別に読んで頂けるようになっております最近このお部屋に辿り着いてくださったけれどお話が多過ぎて分からない、という方だったり、未読のものを読んでみようかな…という方だったり、時間があるから読んでやるか、という方だったり…そうで無くても一緒に振り返って頂けたら嬉しいですひとつ前の記事「お話の紹介 1」にも記載した通り、現在カテゴリーはこれだけあります後ろのかっこのなかの数字が、そのカテゴリーのなかの記事の数ですまた、普段から読んでくださっている方はご存知かと思いますが…このお部屋のお話は全てホミンちゃんですどのお話も幸せな結末にしかなりません以下、カテゴリー(お話タイトル)の部分の色文字をクリックで直接お話に飛べるようになっていますお話の簡単な説明を載せるので、もし興味のあるものが有れば暇潰しに読んで頂ければ有難いですとにかく数が多いので、傾向ごとに並べていこうと思います…⚪1話から数話のシリーズ物SS(リアル設定)1話~数話のリアル設定のSS主に、その時々の出来事と絡めたお話が多いですInstagramや空港写真、analogtripだったり現実の出来事とリンクさせていますSS(パラレル)1話~数話のリアル設定では無いSSホミンちゃん愛のクッキングリアル設定でシリーズ物コメディ寄りで成人指定有りまた、一部アメンバー限定記事ですアメンバー申請をお考えの方はこちらの記事からお願い致します ↓アメンバー申請について色に惑うパラレル(学生)同い年のふたりほぼ成人指定は有りません片想いミノが主役のホミンのお話ですタイトル通りで、成人指定有り好き?嫌い?あるテーマについてのリアル設定のSS集成人指定有りblack dayパラレル(社会人と大学生)基本的に一ヶ月に一度のお話単発のお話で少しだけ成人指定も有りSS(センイル月間)ホミンちゃん月間(2月)のリアル設定SS集⚪1話から数話のシリーズ物(主に成人指定のもの)生徒会長にお願いパラレル(高校生で同級生)執事のお仕事パラレルで執事とお坊ちゃん(高校生)恋と駆け引きこのお部屋のお話のなかでチャンミンが一番男らしいですパラレルで社会人のふたりチャンドラの成長記録(完結)リアル設定、少し変わったお話ですimmoralリアル設定、シリーズのなかでは一番成人指定強めです続編はアメンバー限定記事(現在非公開にしていますが、アメンバー様の見直しが終われば限定公開に戻します)Reveal(完結)パラレル(AV男優とフリーター)bleu bleuパラレル(ホストと社会人)言えない秘密パラレル(大学生と社会人で年齢逆転)お花売りのチャンミン(裏)(完結)チャンミンのInstagramからのお話パラレル長編の「お花売り」のパラレルワールドのような、もうひとつのお話です⚪中編連載(30話前後までのもの、完結済み)初恋のゆく先(完結)リアル設定このお部屋で初めてのホミンのお話傷心旅行(完結)シングル曲「Road」からのお話MVのロケ地が複数出てきますパラレルで写真家と画家僕の好きな先輩(完結)もうひとつの「Road」からのお話パラレルで上のお話とはまた別のふたりです先輩と後輩通学電車(完結)パラレル(大学生)Electric Love(完結)パラレル(大学生)同名曲からのお話です⚪パラレル長編連載(完結済み、ファンタジー色強め)禁じられた遊び(完結)桃源郷の世界のふたりスリスリ(完結)ユノのInstagram(絵のなかのランプを擦る動画)からのお話アラブの国が舞台です⚪シリアス長編連載(完結済み)このお部屋のなかでは重めのお話ですが、全て自分のなかでテーマのあるものです悪い男(完結)リアル設定消えない傷痕(完結)パラレル(百貨店の美容部員)My sweet blanket(完結)リアル設定⚪別館Fc2ブログでのキリ番リクエストからのお話全て本編完結済み、話数短めですIt’s a new dayパラレル(社会人)成人指定有りで甘めのお話風花が舞うパラレル(学生)シリアスで成人指定無しcute lollipopコメディ色強め、成人指定有りパラレル(SP兼マネージャーとアイドル)繋がり連なるリアル設定シリアスで成人指定無し⚪現在更新中のお話Chandelierパラレル(義兄弟)ほのぼのとシリアス、成人指定も少し有りシリーズ物でこの先もありますが、現在きりの良いところで止めてありますお花売りパラレル(芸能人とお花売り)ほのぼのとシリアス、成人指定も有りあと少しで完結予定で更新再開予定秘密のシム先生秘密のシム先生(夏休み)秘密のシム先生(二学期)秘密のシム先生(文化祭)秘密のシム先生(大学受験)このお部屋で一番長いお話ですパラレルで年齢逆転(養護教諭と高校生)ほのぼのとシリアス、R指定一部有りシリーズ物なので途中からでも読んで頂けます更新再開予定Sun&Rainパラレル(俳優とモデル)少しだけR指定有りシリアスですFatedリアル設定のオメガバースオメガバースについては1話から読んで頂ければ分かるようになっていますシリアスで成人指定有り世界の片隅の僕ら「ホタルの涙」からのお話パラレル(学生で同い年)シリアスですひなぎく幼稚園のチョン先生アメンバー限定のお話なのでリンクは貼っていません現在アメンバー様見直し中で一旦非公開にしてありますが、後日限定公開にして続きを更新予定ですと、書き出してみると二年と少しの間に沢山書いていたようで驚きましたどのお話もとにかくふたりが好きで好きで仕方無くて、頭のなかでどんどん膨らんで溢れてしまうので文字に残していますそんな私の独り言のようなお話を読んで頂ける事にいつも感謝しています現在未完のままで更新が止まっているお話も幾つかあるので、それもゆっくり進めながら、まだまだ書きたいものがどんどん増えているのでそれを形にしていけたら良いなあと思っていますと思えるのも私の独り言のようなお話にお付き合いくださる皆様がいるからだと思っていますなので、これからもこのお部屋にお付き合い頂けたらとても幸せです応援してくださいね幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村ちなみに…たまに、hominismさん、と声を掛けて頂く事があるのですが、このお部屋、つまりブログが「hominism」で私の名前は「もみ」なので、名前で呼んで頂けると有難いです何故かと言うとブログ名は本当に恥ずかしいからです…かと言って今更変えられないしセンスのある名前も思い付かないがです…という訳で、hominismのもみ、でした
お話の紹介 1
ご訪問ありがとうございますホミンちゃんが昨日来日して、今日はFNS歌謡祭のリハーサルが行われているようですね昨日の来日の様子を見ていたらふたりともとても笑顔だったので嬉しいです明日の本番何を歌ってパフォーマンスしてくれるのか、もう楽しみで楽しみで楽しみで動悸がしそうです…前置きが長くなるのでこの辺りにして…前回、ブログ開設一年半の頃にこれまで書いたお話の紹介を簡単に致しましたと言うのも、毎日更新でどんどんお話が増えてカテゴリーも増えるので…そして、また半年以上が経ってそこからもどんどん増えた事、日々有難い事に新しくこのお部屋に辿り着いて覗いてくださる方が増えている事から、カテゴリー(お話タイトル)ごとにリンクを貼ってお話の簡単な説明を残していこうと思いますたまに、多過ぎて分からない、またはカテゴリー別の読み方が分からないという声も聞くので…お暇な時だったりに好みのものを選んで暇潰しに使って頂けるようになればと思っておりますまず、このお部屋(ブログ)は一覧とは別にカテゴリー、月別、アメンバー記事、等々選んで記事を探す事が出来ます⚪ウェブブラウザから見る場合記事一覧(トップ画面)上のテーマをクリックしますすると、テーマ別記事一覧画面になりますスクロールするとまだまだ下に沢山あるのですが…どれかを選ぶと、そのカテゴリーの記事だけが一覧で表示されてお話ごとに読む事が出来ますもしくは、何かの記事を開いた時にタイトルの下に表示されるテーマ「〇〇」をクリックすると、例えばこのように同じお話(カテゴリー)が一覧で並びますこの時に、下の丸印(この場合カテゴリー「Fated」)をクリックすると…ここをクリックしてもカテゴリーを選んでお話を探す事が出来ます⚪Amebaアプリから見る場合こちらの一覧画面(最新記事一覧が出ている画面)で、すべての記事をクリックしますすると、記事の絞り込みが出来ますテーマ別をクリックすると、カテゴリー別で選んだお話(記事)を読む事が出来ますもしくは…何かの記事を開くとタイトルの上にテーマ「〇〇」と表示されますこれがカテゴリーで、その部分をクリックすると上と同様に記事の絞り込み画面に移行します文字で書くともしかしたら難しいと思われるかな?とも思うのですが、例えば過去のお話をお話ごとに纏め読みする際や、例えば一年前のお話を…だったり、探して読んで頂く際には「テーマ別」「月別」等から探して頂くと簡単に見つかるかと思いますちなみに、カテゴリーは今これだけあります…あまりに多いので、次の記事でお話ごとの簡単な説明とリンクを貼ってそこからも読めるように纏めてみようと思いますまだまだ書きたいものがあるし、日々増えて行く一方なので、あまりに古い記事やお話は消すか、もしくはアメンバー限定記事にしようかな?とも思うのですが、読んでくださる皆様からすればどうなのでしょうか…カテゴリーで分けてなるべく見やすく、とは思うのですが、もっとこうした方が良いのでは、ですとか…もしも何かあればこっそりご意見頂けると有難いです それではまた次の記事でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村
Matching 2
2、ですが単発のSSで前回のお話とは繋がっていませんまた、現実とリンクしていますがあくまでも私の頭のなかのお話です大丈夫な方はお進みください┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈「僕の部屋に来てしまって良いんですか?」なんて、俺を窺うように、まるで優等生のように言うけれど、本音は嬉しいと思っている事なんて顔を見れば分かる「ここ最近ずっと日本で一緒だったのに…」「年が明けてからは日本より韓国の方が長かったから、最近あまり一緒に居られて無かっただろ?」「でも…」「それに、明日からまた別々だから」チャンミンの部屋のリビングに日本から持ち帰った荷物を置いて、腕を広げた俺の目の前、右手で彼自身の左の二の腕をぎゅうと掴んでいたチャンミンは少し困ったように上目遣いで見つめてくる秋から日本で行っていたライブツアー月に何度も韓国と日本を行き来して息付く暇も無く過ごした日本ではチャンミンと同じ宿舎だから隣に居る時間も長かったけれども、そのツアーも無事に昨日終わり帰国して…勿論仕事では一緒に居る事が多くても、プライベートではなかなかゆっくり一緒に過ごせていなかったのだ両腕を広げたまま待ってみたけれど、チャンミンはじっと俺を見つめて物欲しそうにしている癖に、動こうとはしない「来ないの?明日から触れられないのに?」「…意地悪しないでください」「…わっ!…あはは、驚いた」唇を尖らせて拗ねたように、けれども可愛いく言ったかと思ったら、勢い良くまるでこどものように胸のなかに飛び込んできたふたりきりの時は今でもこんな風に無邪気でこどもっぽい顔を見せるなのだけど、背中に腕をまわし抱き締めて至近距離で覗き込むと、今度はもう、おとなの顔で俺を誘うのだ「一緒に居られて嬉しい、けど…夜には帰りますよね?」「明日はもう、タイに向かうその準備があるから…」「…そうですよね」物分かりの良い返事だけど、俯いて俺のジャケットの裾をぎゅうっと握るこんな時のチャンミンは、言葉よりも態度の方が雄弁だし分かりやすい「明日の朝までここに居ても良いよチャンミンが一緒に居たいって言ってくれるなら、だけど…」「…僕に委ねるんですか?ユノヒョンの気持ちは?」「そんなの分かってるだろ?」「…あ……んぅ…」細い腰をぐっと抱き寄せて、そのままキスをした前日まで三日間連続でのコンサートだったその前はリハーサルで忙しくしていて、日本で一緒に居ても触れ合う事は殆ど無かった「…ユノ…んっ…」「好きだよ、チャンミナ」だって、こうして触れてしまうと…例えそれが一度のキスだとしても離れられなくなるし止まる事が出来なくなるそう分かっているから自制していたのだ息継ぎの合間に長い睫毛がこめかみに触れて、それが擽ったくて目を開けた潤んだ瞳で俺を見るチャンミンと目が合いどきりとする「今夜は帰らないでください僕の部屋にも旅行に必要なものは揃っているし、ユノヒョンの服だって沢山有るから…」漸く素直になった恋人に微笑み掛けたら「狡い」と唇を尖らせるそれが可愛くて額に、頬に、唇にキスをしたら擽ったそうに身を捩る「本当は最初からそのつもりこの部屋に泊まろうと思ってたんだ朝まで時間は有るから…ゆっくり抱いても良い?」「本当に?ずっと我慢していたので、ユノヒョンが欲しい」頬を包まれて熱い吐息が混じり合う寝室に行くのももどかしくて、アウターを脱ぎながらソファに縺れ込むようにして重なり合い、それから肌を重ね合った結局、勿論、と言うか…一度では止まる事なんて出来なくて、二度チャンミンを抱いたコンサートで酷使した身体を労わってやりたいなんて言うのも勿論本心だけれど、『もっと』と言われたらそれに抗う事なんて出来る筈も無くて、誘われるままに恋人の身体を求めたら、俺よりも体力の無いチャンミンは最後に気を失うように眠ってしまった「……ん…ユノヒョン…?」「おはよう、なんて…まだ夜だけど」ソファで横たわったまま、眠る彼の頬や髪の毛を撫ぜていたら、ゆっくりと瞼が持ち上がった震える睫毛が目の下に影を落とすと何だか儚く見える「腹減っただろ?たまには俺が作るから、シャワーを浴びておいで」「え、そんなの僕がやります……っん…」言いながら上半身を起こしたチャンミンは言葉の途中で固まってしまったそれから、視線だけで俺を見下ろした「…ユノヒョン、なかに出したんですか?」「チャンミナがそうして欲しいって言ったんだけど忘れた?だからシャワーに行っておいで、って…」「あ…」腰の引けたような状態で涙目で固まるから、何だか虐めたくなってしまうとは言え、あまり虐めたら拗ねてしまうと分かっているから、起き上がって額にキスをした「ごめん、俺が悪かったよ」「…違っ、忘れていただけです」真っ赤な顔で半ば転がり落ちるようにソファから降りて、振り返る事無くリビングから立ち去ってしまった自ら望んでおいてそれを忘れて、更にそれを口にした事で行為を蒸し返してしまった事それが恥ずかしくて耐えられないのだろうあまりに可愛くて、くすくす笑ってしまった「…ラーメンで良いかな」立ち上がってみたら身体が軽かったチャンミンは連日の疲れと、それに抱き合った事で足取りがふらついていたけれど、俺はどうやら絶好調のようだ勝手知ったるキッチンに向かい、戸棚のなかから袋のラーメンを取り出した量は、迷ったけれど四袋にした鍋に湯を沸かして乾麺を入れようとしていたら足音がして、もうチャンミンは戻って来た「…本当に作ってくれるんですか?」「もっとゆっくりしたら良いのに、身体は大丈夫?」麺を鍋に入れてから振り返った髪の毛も濡れていないから、多分掻き出してきただけなのだろう「大丈夫ですそれに、明日からまた離れるのが寂しいから…なんて言ったら迷惑ですよね」「迷惑な訳無いだろ俺だって寂しいから、自分の部屋じゃあ無くてここに来たんだよ」少し赤くなった耳を空いた右手でふに、と挟んでそれから「ダイニングで待ってて」と笑いかけた晩飯はラーメンひとり当たり二人前それからチャンミンが漬けていた水キムチそしてビールとワイン昨夜も打ち上げでかなり飲んだのだけれど、仕事でアルコールを飲むのとプライベートは違うチャンミンとふたりきりは気楽で良い食事を摂ったら疲れも、まだどこか緊張していたような肩の力も抜けていくような気がしただから…「今夜はもう、寝なくても良さそうだな」「…ユノヒョンの体力ってどうなっているんですか」思わず呟いて振り向いたら、ベッドのチャンミンは首を横に振るそれだけで無く更に、呆れたようにぽかん、と口を開けている「体力?チャンミンを抱いたから元気が出たみたいだ」「…っ、もう、変な事言わないでください」ベッドに腰掛けるチャンミンに顔を近付けたら、耳を真っ赤にして顔を背けられてしまった「よし、早く明日の準備をして…もう一度チャンミンを抱き締めないと」クローゼットの前で腕組みをしたそれからそうっと後ろを振り向いたら、シーツの上に顔を伏せている様子のチャンミンがゆっくり顔を上げて…「寂しいから、今夜は離さないでください」枕を抱き締めたまま、可愛い我儘を甘い声で囁いた「それなら尚更早く準備しないとな下着とバッグは決まったんだけど…服はどうしようかな…」今眺めているチャンミンのクローゼットには、俺の私物が収納されているスペースがある同様に俺の部屋にもチャンミンの私物が幾つもあって、それらのアイテムは半ば共有しているようなものだ「タイだから…この時期でも暖かいんですよね?移動も多いと思うので、楽な服装の方が良さそうですね」ゆっくりしていたら良いよ、とベッドに寝かせたんだけれどもチャンミンは俺が気になるようで、またベッドの上に座り後ろから話し掛けて来る普段はもう流石におとなだし、外で触れようとすると『駄目です』なんて眉を顰める癖に、ふたりきりだと構って欲しそうにするその姿がこどものようで、ギャップにやられてしまう急いで服を決めてしまおう、と思い自分の私物だけでなくてチャンミンのスペースも見てみたすると、見覚えの無いものが視界に入った「ん?こんなのあったっけ?」「何ですか?」見つけたのは、柔らかいけれども張りのあるジャージー素材のセットアップダウンコートで有名なブランドのもので、チャンミンの普段の服装の趣味からすると少しばかり意外なものだった畳んであったそれを広げてみたら、後ろからチャンミンがやって来た「これ、機内でも楽そうだし…借りても良いか?」「ええと…」「駄目なの?」右隣にやって来たチャンミンを見ると、困ったような表情チャンミンが自分で選ぶ事の無さそうなデザインそして高級ブランドもしかして、なんてふと思った「俺が着たらまずい奴?まさかシウォンに貰った、とかじゃないよな?」「え?いえ、違います」「じゃあ何で濁すんだ?別に俺が使っても良いだろ?」スウェットジャージのトップスを身体に当ててみた俺達は身長も変わらないから、当たり前だけれどサイズも合ってるようだネイビーのスウェットジャージはシンプけれども、ロゴテープ入りのデザインになっていて遊び心もあるどちらかと言うとチャンミンよりも俺の方が合っているのでは?なんて思った「似合っています、ユノヒョン」チャンミンもこくこくと頷いているし「かっこいいです」なんて、少し頬を染めている「だろ?だったら…」「でも、あの、それ…この間のサイン会で頂いたものなんです」「へえ、そうだったんだな……で、それが?大事に使えば問題無いだろう?」もう一度畳んでバッグのなかに入れた離陸してから機内で着替えるのに丁度良さそうだと思ったからけれども、チャンミンは何故か困り顔「何?言ってごらん」「その…ファンの方から頂いたので…ユノヒョンがその姿で誰かに見られたら、僕の私物を着てるって分かってしまうかと…」「あはは、なるほどまあ確かに変に騒がれても、だからホテル内だとか…見つからない場所で着るようにするよ」そう言って頭をぽん、と撫ぜたらほっとした顔で「お願いします」と、俺の可愛い恋人は言ったそう、俺の恋人はとても可愛いなのだけど…『ユノヒョン、どういう事ですか』今朝チャンミンの部屋から出て行く時は涙目で『寂しいから早く帰って来てください』なんて言って…まあ、それ以外にも『美味しいお土産期待しています』とも言われたのだけれど、殊勝な態度で俺に抱き着いてなかなか離してくれなかったそして今、俺のスマホに届いたカトクのメッセージは、何だか今朝出て来た時とは違う雰囲気なのだ『どうした?』返信したら、直ぐに既読になってチャンミンからの返事が来た『今、ユノヒョンが何を着ているか知ってますどうしてか分かりますか?』「あはは、なるほど」添付されていたのは俺の写真それは正しく今の俺の姿で、チャンミンに借りたセットアップ姿やはり、チャンミンが着るよりも似合っている気がする頬が緩んでしまうのだけれど、どう返信しようか迷っていたら直ぐにまたチャンミンからのメッセージ『あれだけ言ったのに…やっぱりペンの方達にばれましたどうしてユノユノが僕の服を着ているんだって…ネットで騒がれています』本当はわざと、と言うか、別に何を言われたって事実だから問題無いと思ったのだ俺達は後ろめたい関係では無くて、純粋に愛し合っているだけど、大きな声でそれを口にする事は出来ないでも、普通の恋人のように…少しはアピールしたい時も有るし、離れていてもチャンミンの服を着ていたら…なんて、少しロマンチックじゃあないかと思ったのだ『本当はいつも、チャンミンは俺の恋人だって自慢したいんだでも出来ないから…これくらいなら許して?』そう返信したら、少しだけ間が空いてトーク画面に写ったものに思わず頬が緩んでしまった「愛しているよ、チャンミナ」可愛いバンビが照れているスタンプがひとつきっと、帰ったら色々言われてしまうのだろうけど、それもチャンミンの照れ隠しだと分かっているから問題は無いちらりとSNSを調べてみたら、どうやら好意的な意見で盛り上がっているようだ世間は俺達に対して、自分達が思っている程厳しくは無いのかもしれない『もう少しあたたかくなったら、チャンミナが沢山使えば良いよ』そう送信したら、今度は返事が無くなってしまったでも、その夜には『僕だって何でも無い顔で着ます』なんて可愛い答えが返って来たチャンミンの元に戻ったら、嫌だと言われても抱き締めて、今度はもう離さないでいようと思ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Fated 57
成人指定です大丈夫な方はこちらからお願い致します ↓Fated 57ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村このお話は特殊設定のオメガバースです1話からお読み頂ければ分かるようになっていますが、詳しくはこちらにも説明を載せてあります ↓Fated 設定とお知らせ
- 09Dec
今更ホミンちゃんありがとう2周年企画をしてみます、とお知らせ
ご訪問ありがとうございます週末からずっと、今日ホミンちゃんが来るかも…思っていましたが、遂に来日ですねふたりとも今日はにこにこだし…ウリチャンミナに向かって手を振る世界一のイケメンユノヒョンは黒髪と爽やかかつどこまでも男前でインパクトのあるアウターをこんなにさらっと爽やかに着こなす、モデルよりもモデル、な素晴らしさ先日よりも髪色が暗くなって、髪の毛を少しずつ伸ばしているユノヒョンのウリチャンミナは上目遣いと少し開いたお口が今日もどこまでもあざとい、あざと匂わせマイスターちゃんっぷりを今日も見せつけてくださいましたね…このビジュアルで明後日のFNS、楽しみで楽しみで仕方ありません先日から私が勝手に行っている2周年企画?のリクエスト、声を掛けてくださった皆様、本当にありがとうございますなかには「新しくこんなお話を読みたいです」というご意見もあったのですが…そちらに関しては今朝更新したお話「繋がり連なる」のように、成人指定のお話を置いてあるFc2ブログで拍手キリ番を押してくださった方からのみ受け付けておりますなので、お応え出来ず…申し訳ございませんリクエストの期限を設けていなかったので、(もう無いかな?とは思いますが…)明日いっぱいまで、受付させて頂こうと思います以下の記事にこのなかでどのお話の続編を読んでみたいですか?という続編リクエストの質問がありますシリアスなお話、おとな向けのお話、それぞれリクエストを募っており、それぞれ一番声の多かったものを今後ちらっと更新してみようと思いますもしもまだお声掛けくださっていない方で考えてやっても良いかな、という方がいらっしゃればお気軽に下の記事からコメント頂ければ有難いです(知らないお話が多くても、知っているお話の続きを、でも勿論有難いです) ↓上の「リブログ」の部分からリンクが飛べなければこちらからお願い致します(同じ記事です) ↓今更ホミンちゃんありがとう2周年企画をしてみます集計したら、どのお話かは伏せてどこかのタイミングで更新しようかな?と思っていますもしくはこのお話でした、と書いた方が良いのでしょうか…どちらが良いか考えてみようと思いますここに書いても目を通してくださる方は少ないかな?とも思うのですが、昨夜のお話「Fated」に拍手コメント等から複数の方がお声掛けくださいましたお返事は控えておりますが、全て拝読しております、本当にありがとうございます私なりに大切に進めていきたいと思っておりますので、最後までお付き合い頂けたなら嬉しいですそして、このお部屋のお話は全て幸せな結末にしかなりませんそれでは夜のお話でまたお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村
繋がり連なる 12 最終話
初めは自分の気持ちすら分からなかった不安ばかりが大きくて、日々を過ごす事が精一杯だった自分がこんなにも情けないのか、なんて事を日々痛感させられて、そしていつも隣に居たヒョンの存在の…その大きさを再確認した自分を見つめる事で気付けた事は沢山あった今迄と環境が変わる事で不安ばかりだったけれど、後になって思えばそれが僕を成長させてくれたそして、その『成長』の切っ掛けになったのは、離れていても文字で、言葉で繋がっていた大切なヒョンの存在だなんて事を言ったら、自分も同じ事を考えていたのだと恥ずかしそうに言われた自分が誰かを支えている、なんて…当たり前に思った事が無かったし、以前の僕ならその言葉をヒョンから告げられても信じる事が出来なかったかもしれないでも、離れる事で自分を見つめて、そして大切なひとを見つめる事が出来た沢山悩んで少しずつ成長出来たそして何より沢山の言葉が僕の心を満たして、僕も大切なひとを少しでも支える事が出来たのだと思えるようになった繋がり連なる 12ユノヒョンが隣に居ない厳しい冬を二度越えた一度目は離れて…つまり、僕がヒョンに続いて入隊して直ぐだったから、必死で日々を過ごしながらもふとした時に寂しさが募り胸を焦がすような気持ちを抱えていた二度目も勿論冬は凍てつくように寒いし、陸軍と義務警察、それぞれの居るべき場所で離れて過ごしていただけど、前年と違った事はお互いに恋愛感情を持っている事を打ち明け気持ちを通わせた事冬の始まりの十一月、ユノヒョンの妹が目出度くも結婚して僕も式に招待されたそこで、はっきりと…勿論ふたりきりでひっそりと、だけど『この先』の約束のようなものを交わしたそれが僕の心の支えになったし、きっと、ユノヒョンにとってもそうだったのだと思う「チャンミン、お前、本当に分かりやすいなあ…」「…何ですか」僕からすれば、今日も相変わらずのシウォニヒョンと言ったところ毎日僕を揶揄っては、その反応を見て楽しんでいるのだそれが分かっているから、最近は楽しませないようにしているつまり、『ユノヒョンか俺かどっちが良い?』と日課のように聞かれても冷静に『残念ながらユノヒョンです何故なら僕の唯一のリーダーでヒョンなので』と答えているそれでも何だか納得していない様子で頷くのだけど、反応したら余計に揶揄われそうだから何も無い顔をしているでも、今日ばかりは難しかったのかもしれない「知ってた?歌っている間もずっと頬が緩んでいたって」「…そんな事は…」「本当に気付いていないの?俺だけじゃ無いよ、皆言ってた」「……」「大丈夫だって、皆分かってるから」「分かってるなら揶揄わないでください別に嬉しそうにしていたって良いじゃ無いですかもう…」ああ、結局恥ずかしくてシウォニヒョンを喜ばせる結果になってしまったでも、今日は仕方無いだって、今日は四月二十日、ユノヒョンが漸く服務を終えて転役したから「揶揄ってるんじゃ無いよでも残念だな、俺が一番近くに居る内に振り向かせられたら…と思ったんだけど、もう間に合わないなあ」「…そう言って僕を励ましてくれていたんですよね?」悔しいから、たまには僕からも仕掛け返してみただって、分かるんだシウォニヒョンは僕に本気で恋愛感情を持っている訳じゃ無いって事優しいこのヒョンは、きっと心配して僕を見ていてくれたのだ…なんて、情けないけれど「さあ、どうかな?まあ、まだまだチャンスは有るだろうから」なんて言いながら笑って僕の頭をわしゃわしゃと掻き混ぜるぶんぶんと頭を振って抗議していたら…「シム!」「…っはい!」「電話だ、ユノユノから『お疲れ様でした』と義務警察一同からも伝えておいてくれ」ユノユノ、と言われて頬が緩むのが抑え切れない今日はきっと忙しいし、電話すら難しいと思っていたから慌てて電話機の方へ、けれども走らないように向かって受話器を耳に当てた「……ヨボセヨ、ユノヒョン?」『チャンミナ、一足先に帰る場所に帰って来たよ』「…うん、長い間お疲れ様でした」最近は電話で話す事も増えたとは言え長い時間は話せないから、僕達の間の日常になった手紙で言葉を交わしている『ありがとう……ああ、どうしよう、何を話せば良いのか…そうだ!今日のチャンミナをSNSで見たよ』「…恥ずかしいので見ないでください」『無理だよ、会いたくて堪らないのに歌声が聴けて…何だか緊張が解けたんだ、それに…』「それに?」勿体ぶるように言葉を止めるから聞き返したら、ふっと笑う声が僕の鼓膜を震わせた『凄く嬉しそうだったそれって…俺の事だって、自惚れても良い?』「………」『あれ…違った……?』今度は僕が黙ったら、少し焦るような声以前の僕ならこのまま黙ったり、誤魔化して…そうして後で気持ちを伝えない事に後悔していただろうでも、僕は伝える事の大切さを知った「当たり前、です…嬉しくない訳がないでも、今日声を聞けると思っていなかったんですだからもう…嬉しいを通り越して泣きそうです」『……うん…うん』だって、嬉しくて堪らないんだヒョンが無事に戻って来た事今日は偶然ソウル警察のイベントだったから、そんな日に歌を歌えて…ユノヒョンへの気持ちを込めて歌を紡いだ事そして、その歌が本人へと届いた事が『ごめん、今日はもう時間が無いんだけど…』「大丈夫、分かっています寂しいけど、物凄く元気が出ました」『…うん、チャンミナ、受話器を耳にしっかり当てて?』「え……はい」言われる通り、左手に持った受話器をぐっと耳に押し付けたふう、と息を吐く音が聞こえて何だか擽ったいと思っていたら…『好きだよ』「…っ……」『じゃあ、まだ早いけどおやすみ』「…おやすみ、なさい…」耳元で直接囁かれたような声に固まってしまって、『おやすみなさい』と返すのがやっとだった「…好きです…届かなかった…」届かなかったけれど、ユノヒョンの事を思って…きっと誰が見ても嬉しそうに見える顔をしていたのだと、ちゃんと伝える事が出来たから後悔と呼べる程の後悔は無い…から、大丈夫「……ええと、受話器を置いてもらっても?」「…っあ!はい、失礼しました」上官にどこか申し訳無さそうに言われて我に返り、慌てて持ち上げたままの受話器を下ろして頭を下げた「今日は仕方無いよ、良い日だな」と言ってもらえた一同から伝えて欲しいと言われた労いの言葉は伝えられなかったけれど、それはまた次の機会に伝えようユノヒョンが戻ってからの日々は、僕に彩りを与えてくれた僕の転役も近付いて来ていたから、入隊直後と比べても出来る事、許される事が増えた休暇を取りやすくなり、平日でもユノヒョンのスケジュールに合わせて会う事が出来たとは言え、ユノヒョンも息付く暇もなく仕事に追われていて、なかなかゆっくり会う機会は無かったそれでも、週末の夜にはヒョンの部屋に泊まり恋人として過ごす事も幾度かあった直ぐに精力的に仕事を始めたヒョンの様々な活動を、僕は僕の場所で目にする事が出来た誇らしいと思うのと別に、実は…ヒョンが戻って来てから直ぐの頃は焦りもあった僕は毎日制服を着て、まるで一般人それなのに、ユノヒョンは遠い世界で輝いているようで離れて行ってしまうように感じたり、置いて行かれるようでけれども、電話やメール、それに手紙変わらずに届くヒョンの言葉や声が、僕をいつだって彼の隣に繋ぎ止めてくれるようで一歩ずつ未来へ進もう、と思う事が出来た恋人としてはキスまでの関係だった僕達だけど、少しずつ身体に触れ合ったり、お互いの事を知っていった『チャンミナを抱きたいと思っている』とはっきり言われたのは確か七月の事迷ったけれど、僕だってヒョンと付き合い出して色々な事を考えていたし…触れ合うなかで何となくヒョンのその気持ちを感じていたし、それを感じても嫌では無かったから頷いたとは言え、僕の恋人は真面目で『チャンミナが戻って来るまではしない』なんて言う真夏の盛り、僕が社会に戻る迄までの約一ヶ月、数回ふたりで会う機会もあったけれども、触れられたりお互いに触れ合うだけだったから、いっそ抱いてください、なんて言い掛けた事もあった…心のなかで言い掛けただけで、勿論、実際には言えなかったのだけどどうしてなのだろう思い出すのはユノヒョンの事ばかり自分自身の事を忘れている訳では無いけれど、僕はやっぱりヒョンの背中を追い掛けていたような気がするそれに、いつも僕の真ん中にはヒョンが居ただからだろうか、真夏のあの日、無事に社会に戻って来たあの日の思い出は、ただ目まぐるしく一日が過ぎた、という事くらい勿論、直ぐに事務所でユノヒョンに会う事が出来たハグをして『お帰り』と言葉を掛けられたでも、勿論そんな日にふたりきりになれる訳も無く、とても久しぶりの目まぐるしいスケジュールが僕を待っていたああ、そうだ転役の日の思い出が薄いのは、その直ぐ後に思い出深い…と言うか、シウォニヒョンに揶揄われる出来事があったから、だ「チャンミナ、大丈夫?疲れていない?」「…疲れ…何だかまだ、まるで夢のようで…大丈夫です、ユノヒョンと一緒だから」まだ短くて恥ずかしい髪の毛どうして自分がユノヒョンの隣で大量のフラッシュを浴びているのだろう、なんてふと思う事もある状況僕の事も待っていてくれるひと達が大勢居たのだという実感色々な思いを抱えながらの記者会見あれは僕が戻って来て三日後の事多くの記者達が僕達ふたりを見て、カメラを向けて、質問をするフラッシュを眩しいと思わなかった自分に、僕の居場所はここで大丈夫なのだ、と安心した事も覚えているふたり、並んで座り質問を受けては話すお互いへの気持ちを率直に語ってください、なんて言われて…僕は多分以前と変わった気がするだって、以前は素直に言葉を口に出来なかった可愛げの無い弟だったけれど、長い時間を過ごして少しは変わったのだ、なんて冗談も交えて話す事が出来たからそして、僕が忘れられない事が…「ユンホさんはチャンミンさんに対してどのような気持ちを持っていらっしゃいますか?」「…そうですねまずは、転役お疲れ様、おめでとう、と伝えたいですそれまでずっと隣で活動して来たので、離れていた時間は長く…チャンミンの存在の大きさを改めて感じていました」「……」椅子の距離が近いから、触れていなくても少し安心だったでも、それだけじゃあ無くて、ヒョンは空いている右手で語りながらも僕の腿にとんとん、と優しく触れる安心出来て嬉しいのと、それも全て沢山のひと達に見られているから恥ずかしいのど…でも、やっぱり安心の方が大きくて、そして隣に居られる事が嬉しくて頬が緩んでしまう「離れている間に考えていたんです、彼の存在について隣に居る事が当たり前で大切な事を疎かにした事も有りましたですが、思い返してみれば…自分が辛い時、苦しい時、それだけで無くて楽しい、嬉しい時いつだって傍に居てくれたのがチャンミンでした言葉を交わす事が無くても存在が有難いんですそして、そのような『誰か』はひとにとって一番大切な存在であると言える…僕はそう思っています」「……」何度かユノヒョンの視線を感じたでも、嬉しさを飛び越えて、もうどうしたら良いのか分からなくて僕は俯いてしまったそうしたら、ヒョンは僕の腿に触れて『ちゃんと聞いて』と言われているような気がした「……」顔を上げたら一瞬視線が絡んで、その瞳が、その笑顔でとても幸せそうに見えた僕の隣に居るヒョンが幸せだと思ってくれているそれが僕の幸せなんだ、と思い心があたたかくなるこれもきっと、ヒョンの言う『言葉を交わさなくても隣に居るだけでその存在が有難い』という事なのかもしれない「つまり…そうですね僕にとって、そのような大切な存在と言うのは確かに、隣に居るチャンミンで…これからは特に、そんな僕の、僕達の気持ちをブロマンスのケミでお見せしていけたら、と思っています」「…っ……」思わずユノヒョン、と名前を呼んでしまいそうになったけれども、必死で恥ずかしさを堪えて目を瞑ったあまりにも赤裸々に語られてしまって、僕はもうパニック寸前やっとの事で目を開けたけれど、今度は今日一番、とも言えるフラッシュに流石に眩しくなって…やはり、二十一ヶ月の時間というものは長く、当たり前だった事を懐かしくさせるのだとぼんやり思った「……」「チャンミナ?もう寝たの?」「……寝てます」「あはは、そうか、寝ちゃったのか」その夜、僕はユノヒョンの部屋に泊まった疲れているだろうから、と先にシャワーに行かせてもらいベッドで待っていた疲れもあるし緊張から解放された事もあって、何だかまだ色々と気持ちも追い付いてはいなかったそれでも、そうっとベッドのなかで抱き締められてキスをされたら、全てが解れていくような気がした「あんな…告白みたいな事、言っても良かったんですか?マネージャーだって驚いていました」「ん?大丈夫だよそれに、一番大切な事は誰にも言うつもりは無いから」「…大切…って?」真正面から緩く抱き締められて、大きな掌が僕のまだ短過ぎる髪の毛を撫ぜる擽ったくて目を瞑ったら、瞼にキスをされたそうっと目を開けたらにこり、と微笑む僕の恋人「一番大切なのはチャンミナ、それは勿論本当でも、そんな気持ちを日々強くさせてくれたのも、俺を俺のままで居させてくれたのも…離れている間ずっと、チャンミナと沢山の言葉で繋がっていたからだよお互いの気持ちをこんなに語る事なんて今までも無かっただろ?」「…うん」「そう、だから俺も毎日手紙を読み返したりチャンミナの声を思い出して…元々好きだって思っていたけど、その気持ちは間違い無いんだって強く思うようになったんだ」「ユノヒョン…」その言葉は、僕の思っていた事と同じだった手紙や電話、それらで交わした言葉は決して特別なものじゃ無い愛の言葉を連ねた訳でも無ければドラマのような台詞を並べた訳でも無い日々の他愛も無い出来事を書き連ね、相手の事を心配してふたり揃う日を夢見て、そして…誰よりも大切なのだと互いに伝えるそんな、もし誰かが聞いたならば何でも無いと思うかもしれない言葉の数々それでも、僕にとっては…僕達にとっては、それが何より力になった「長かったよ、凄く…でも、この時間があったから、俺達の気持ちは揺らぐ事が無いんだって確信出来た」「…うん、僕も…離れていても繋がっているって思っていましたユノヒョンも同じで嬉しい」涙が溢れてしまったけれど、直ぐにヒョンの熱い舌に掬われた目を瞑るとまた溢れてしまうから、今度は流れるままに唇を塞がれた「…しょっぱい」「…あはは、チャンミナの涙が垂れたんだな」幸せなのに泣けて、胸がいっぱいで泣けてくるそうしてこの夜、簡単に、とは行かなかったけれど、僕は初めてユノヒョンに抱かれた一生忘れられない日一生忘れられない思い出、は幾つもあるでも、この日もそんな日になっただって、『初めて』だったのは勿論、それを終えても僕達は繋がっていると思えたから穏やかな気持ちが心をふわりと覆っていった「昨年の結婚式で、チャンミナの妹も結婚したら俺達の事を話そう、って言っただろ?」「…はい」「今も気持ちは変わって無いよいや、勿論一度も変わっていないそれに、今日はそれが間違いじゃあ無いって確信した」「…僕も、一度も自分の気持ちを疑った事は有りません簡単じゃあ無いって分かっていますでも、ユノヒョンとならそれでも前を向けるし、進めるって確信しています」声は枯れてしまって決まらなかったけれど、囁くように心からの想いを愛するひとに伝えたその後の僕達は、色々な事に感謝してもし切れないくらい以前にも増して目まぐるしくスケジュール、仕事のオファーに必死で応える日々が続いたたまに、それを当たり前に思ってしまったり、疲れて投げ出したくなる事もあっただって、僕達だって普通の人間だからけれども、そんな時でも隣にはユノヒョンが居るそして、ヒョンの隣には僕が居る支え合う事で僕達は前に進む事が出来たそして…「この度は本当に…おめでとうございます」「ユンホ君、こちらこそわざわざお祝いをありがとう」僕の妹…とは言ってもまずはひとり、だけどその結婚が決まり、僕達はオフの今日、ふたりで僕の実家にやって来た本当は僕ひとりで向かおうと思っていたのだけど、父さんと母さんが『ユンホ君も休みなら一緒に来てもらえたら嬉しい』なんて言って来て…一応ユノヒョンに伝えたら、彼はふたつ返事で勿論、と答えてくれたのだ父さん母さん、それから妹ふたり、そしてユノヒョンと僕皆で食卓を囲み、思い出話にも花が咲いた主役は妹なのに、いつの間にか僕達の話になって…「ユンホ君がいつも、チャンミンを大切にしてくださっている事が伝わって来るんですふたりの雑誌のインタビューも、日本のものも全て取り寄せて…翻訳したものですが読んでいます」「…もう、そんなのは今日は良いってば」慌てて止めようとしたけれど、父さんと母さんは嬉しそうに続けた「勿論、チャンミンからも折にふれて話を聞いています私達家族であなた達の事を話す事も良くあります…大変な事もあるでしょうそれでも、私達も…勿論、ユンホ君の家族もいつも、あなた達ふたりの味方ですふたりの気持ちと決めた事を支持するし、親として守るつもりです」「……」「だから、いつでも待っています」『何を』なんて言われなかっただけど、父さんと母さん、それに…恥ずかしいけれど、妹達の目を見れば分かった「…あ…」テーブルの下、ユノヒョンの右手が僕の左手をそうっと握った思わず左側を見たら、優しく微笑む…僕の、誰よりも大切なひと「…いつか、僕達ふたりから…僕達の大切な家族にお話したいと思っていますありがとうございます」「…ユノヒョン…」その言葉に、ユノヒョンにも伝わったのだと分かったこの日も僕は、静かに、だけど泣いてしまって…それが恥ずかしくて情けなくて、『妹の結婚が兄として寂しくて』と言い訳したそうしたら直ぐに『チャンミニオッパはユノオッパの事を想って泣いたんでしょう?』なんてはっきり言われてしまった僕達は決して幸せな事ばかり、で生きて来た訳じゃあ無い普通の社会に生きていれば経験しなくて良かった事が沢山有ると思うそれでも、誰よりも大切なひとに出会えた色々な経験が僕を、僕達を少しずつ豊かにして…そして、沢山の言葉が僕達の気持ちを繋げて連ねて、そしてそれはいつの間にか僕達の周りのひと達にも繋がっていくこれからの人生がどんなものになるのか、三十代の僕達にはまだ分からないだけど、隣に誰よりも大切なひとが居れば何も怖く無いランキングに参加しています最後までお付き合いくださり心から感謝致します最後なので…足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございます別館Fc2ブログでの拍手キリ番リクエストからのお話「繋がり連なる」最後までお付き合いくださった皆様に心から感謝致しますリクエストは兵役の間にふたりがお互いの気持ちに気付いたりそれを深めていく、もしくは離れているからこそ相手の事を想う、というものでした兵役、と言う事で…ユノとチャンミンはこの期間中もそれぞれ色々と情報があったり、また、そもそも韓国の兵役について私が勿論詳しくは無かったので、それでもなるべくリアリティを出せたら…と思い色々と調べて書き始めましたその為、あまり面白い、というお話にはならないかな?と…折角リクエストをいただき書いているのに申し訳無いなあと思っていましたが、有難い事にこのお話を好きですと仰って頂く事が多く、とても嬉しいし励みになりました書けば書く程思い入れが深まるのでつい長くなってしまい、これでもかなり短くしましたとは言え当初は数話で…と思っていたので、短編だろうから、と読み出してくださった方がいらっしゃれば長くなってしまい申し訳無いです…あの頃を思い出しながら、自分なりにではありますが大切に書き綴る事が出来ましたお名前は伏せますが、リクエストをくださった読者様、そしてこのお話にお付き合いくださった全ての皆様に心から感謝致します今日が皆様にとって、そしてユノとチャンミンにとって素敵な一日になりますように…にほんブログ村
Fated 56
成人指定です大丈夫な方はこちらからお願い致します ↓Fated 56ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村前回からコメント欄を閉じていますが、メッセージ等で感想をくださった方がいらっしゃったので…ありがとうございますコメントに関しましては、これまでの長編のお話同様、この先の展開だったりを伏せる為に一旦閉じています読んでくださってありがとうございます
- 08Dec
SMT TOKYOに行ってきました
ご訪問ありがとうございますこちらは真冬の寒さになって来ましたが、来週はFNS歌謡祭、そして私は参戦出来ませんが札幌ドーム公演が控えているのでホミンちゃんもそろそろ来日で…楽しみがあると思えばそれだけで寒さも乗り越えられそうな気がします明日あたり来日かな?と思っているのですが…まだかなあ、とそわそわ出来るのも幸せです昨日、ホミンちゃんコラボメニューを実施しているSMT TOKYOに行って来ました東京のみ、期間限定で枠も限られているという事で行きたくても行けない方も沢山だと思うので有難いです…予約開始直後にネット予約をして、今回コラボメニューをいただきました折角なので、お写真や雰囲気だけでも伝われば…と思い色々載せてみようと思います今回のコラボメニューですが…SMTTOKYO(赤坂)で「BigeastFANCLUBEVENT2018THEMISSIONIV」の料理企画をSMTTOKYOさんが再現した、というものです以下公式の説明で…食材選び、調理手順もふたりの個性をしっかり掴み完成させているとの事でしたユノのテーマは世界平和様々な食材を厳選し、閃きから誕生した斬新な味わいが持ち味意外な組み合わせが相乗効果になり、もうひと口欲しくなる仕上がりとなっていますチャンミンは安定のマリアージュ緻密な手順と何度も味見をする事がこのメニューのクオリティを左右します人柄が味わいに醸し出される、とはこの事と言えるでしょうだそうです【商品概要】YUNHO作 「WeAreTheWorld~AllinOne世界平和~」販売金額:2,500円(税込・セレブリティカクテル付き)CHANGMIN作 「海老入り春川タッカルビ蕎麦チヂミを添えて」販売金額:2,500円(税込・セレブリティカクテル付き)お店の外には電光掲示板でこのように告知がされていました午後3時と5時、2部制で各回80分という時間制限があります私は昨日5時の回でしたが、時間前に店舗に到着したらトンペンさんが沢山いらっしゃいました店舗に入ると入口左手の壁に…これ、物凄く大きなタペストリーでしたお恥ずかしい事に、私、これを見て「ひいっ」と声を出してしまいました本当にすみません…特大の、これでもかと美しさを見せ付けてくるホミンちゃん、最高です…店内はひとが多かったのでお写真を撮っていませんが、クリスマス時期という事もあるのかな?赤を基調にした空間になっていてとても素敵でしたこのコラボメニュー、予約の際に人数分、メニューを指定して予約してくださいとなっていましたつまり、例えばふたりならユノメニュー×1、チャンミンメニュー×1、という感じで選ぶ、なのですが…予約の時から私は決めていました、何故なら私はホミンちゃんペンです、ホミンちゃんはふたりでひとつだからです…ホミンちゃんが創作した素晴らしいお料理を再現したものを有難くもいただけるなら両方いただくしかありませんでしたちなみに、他にもきっとユノとチャンミン、両方一緒にいただく方もいらっしゃるだろうなあ…なんて思っていたのですが、見渡す限りはいらっしゃいませんでした…(勿論手前が私です)お席に案内されるとこのようになっていて、⚪予約時に頼んでいるメニューのレシピカード(表がユノかチャンミンのお写真、裏にレシピ詳細)⚪コースター⚪ステッカーが置かれています堂々と2枚あったので若干恥ずかしくもありましたが、ホミンちゃん愛をアピールする事が出来たので最高です一見4人居るようですが、お箸とスプーンの数の通り3人です、私がホミンちゃんメニューを有難く贅沢にいただくだけです…セレブリティカクテルは、炭酸水とクランベリージュースで作られていました上にオレンジとグレープフルーツ、ミントが飾られていて、勿論こちらも私だけ2杯あったので何だか得した気分でした(2個頼んだんだから当たり前なのではという突っ込みは受け付けておりません申し訳ございません…)最初にユノのメニューが運ばれて来て、その後チャンミンのメニューが運ばれて来ましたチャンミンのメニューを持ったスタッフさんが私のところにユノメニューが置かれているのを見て「あれ?おかしいな…」と通り過ぎていこうとするので慌てて「それも私のところだと思います…」と伝えて無事に置いてもらえたのですが、またしても恥ずかしさとホミンちゃん愛の狭間でなかなか味わえない経験が出来たと思います…ユノのメニューは上にもっちりしたチヂミが乗っていて、下がスープと煮込みの中間のような感じですTwitterで行かれた方の感想を見ていたら、トマト缶の味が強い、とか、味が足りないかも、という意見が幾つかあったのですが…本当に美味しかったですホミンちゃんありがとうございます…なかは具沢山で、もやし、ほうれん草、人参、鮭、牛肉、韓国おでん、等々…スプーンで掬う度に色々な具材が出て来て飽きがきませんでした勿論トマトベースですが、煮込まれているのでお野菜やおでん、お魚やお肉のダシが出ていてコクがありましたトマトの酸味も控えめでまろやかだったのでとても食べやすかったですチヂミはもっちりしていて食べ応えがあります後、物凄く焦げている、と聞いていた食パンですが…私のところに用意されたものは真っ黒では無かったので普通のトーストでしたカリカリで美味しかったです後は、私実は火を通した柔らかい人参が本当に苦手で…でも、このメニューにはそんな人参がごろごろ入っていると知っていたのでそれだけ不安だったのですが、言っても良いですか…?最高に美味しかったです…(人参色で表現させて頂きました)チャンミンのメニュー単独で撮影したつもりだったのですが、フォルダを見返してみたら何故かユノヒョンのパンを写りこませていました…ホミンちゃんは常に一緒という深層心理故なのかもしれませんね…チャンミンのメニューは、タッカルビとお蕎麦のチヂミです流石、SMTさんが忠実に再現されたから、なのかな?と思うのですが、このホミンちゃんメニュー、量を比べるとユノ 2 対 チャンミン 1という感じでしたお写真だと分かり辛いのですが、ユノの方はラーメン丼のような深さのあるボウルに入っていたのでかなりしっかり、チャンミンは控えめな量でしたチャンミンのタッカルビは辛いと聞いていましたが、個人的には少しぴりっとするくらいだったので…辛いのが特に苦手でなければ問題無い辛さかと思いました鶏もも肉、海老、葱、キャベツ、玉葱、トッポギが入っていて、冷めても美味しかったです蕎麦チヂミは素揚げのような感じで、ほぼ味付けはされていませんでしたが、個人的にはお蕎麦が好きなのと、噛めば噛むほどお蕎麦の味がして、タッカルビとチヂミ、別々に食べても一緒に食べてもとにかく本当に美味しかったですホミンちゃんありがとうございます…ふたつ食べ終わってもカクテル(ノンアルコールです)が1杯残っていたのに最後急いで飲み干しました私はふたつ頼んで、更に元々量を食べる方なので満足、でしたが、例えばチャンミンメニューだけだと少し控えめな量になるのかな?というイメージでした途中、別のテーブルの方からの「両方食べているの?」という視線を感じたり感じなかったりしましたが、私は大満足です…後は…一緒にお食事した方が以前にユノメニューを召し上がっていたとの事で教えて頂いたのですが、この日提供されたユノメニューの方が具沢山だったそうです以前の方がもう少しスープっぽい感じだったそうで…私はスープ、というよりも煮込みのように感じましたと、振り返ってみたらもっとお写真を撮っておけば良かったなあ、と思うのですが、素敵なコラボや雰囲気が少しでも伝われば嬉しいなあと思います私は参戦したくてもしたくてもしたくても今回行けませんが、札幌も昨年に引き続きラーメンやお菓子のコラボだったり、フォトパネルが登場したり、恒例になったコラボLAWSONさんだったり…勿論、全国でそれぞれ色々なものがあれば一番ですが、各地で企業さんとコラボ出来るなんて凄いし有難い事だなあと思います今日も明日もコラボメニューを食べたくて食べたくて、なのですがお写真を見てホミンちゃん幸せ空間を思い出そうと思いますそれではまた次の更新でお会い出来ますように…幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村
Sun&Rain 27
Side Y感情が乱される、なんて役のなかの自分だけで良い制御出来ない事はどこか不安だから台本が有れば、どれだけその役に入り込んだってその行動や思いの理由が分かる入り込んでいるその最中は役とひとつになって感情が乱されるけれど、ひとたび自分自身に戻れば冷静になれるそれくらいが俺には合っているし、何より色々な人生を、他人を演じて来たけれど、穏やかな人生なんてなかなか無いだから、実生活では乱されたく無いし、恋愛だって俺がリードしたい相手から夢中になられて俺の事だけしか見えなくなる、というのは勘弁だけれど、好きでいるよりも想われていたいだって、その方が自分が上でいられるから心を乱されずに済むからそれなのに、俺は今多分、生まれて初めて役のなかでも、そして現実でも、名前は違うけれど同じひとに心を乱されているしかもそれが俺と同じ男だなんて、人生は時に映画よりも奇妙なものだ「いや、それでも幸せな気がする、なんて本当に不思議だな」「チョンさん?分かり辛かったですか?」「え?あ、いや、大丈夫だよ」「なら良かったですでも、後は僕がするのでチョンさんは寛いでいてください風呂に入ってもらっても部屋で待っていてもらっても…」俺が掻き混ぜながら見ている鍋のなかをじっと見つめたチャンミンは、頬を緩めて「美味しそう」と幸せそうな顔思わず視線が離せなくなってしまい見ていたら、チャンミンははっと気付いたように口を開いた「あの、すみません、流石に失礼でしたよね」「え、何が?」「鍋底から掻き混ぜて焦げないように…ってお願いしていただけなのに『分かり辛かったか』なんて…」「……いや、大丈夫だよ」半分、何を言われているのかも分からないくらい考え事に没頭していたのが恥ずかしくて、それを悟られないように何も無いような顔で答えた「後は僕がやります、もう後少しで出来るのでマネージャーももうそろそろ来るかも」「うん…と言うか俺って邪魔じゃないのか?三人で食事を、なんて…」「そんな事無いですだってここは今、チョンさんと僕の家…家って言ったら変かもしれないですが、僕達が役でもそうじゃ無くても暮らしている場所ですそれに、マネージャーもチョンさんと話してみたいって言っていたので」「むしろ、チョンさんが気を遣ったり落ち着かないかもしれないですよね、ごめんなさい」なんて珍しく殊勝な事を言う正直、今朝夕食をこの家で三人で、なんて言われた時には内心気が重かっただって、チャンミンのマネージャーとチャンミンは何だかとても距離が近い以前から『兄のようなひとです』なんて言っていたけれど、マネージャーは多分俺より少し年上タレントだと言われても頷けるような長身と外見だから、何か特別な関係なのかと疑ってしまっていたけれども、撮影している時にそのマネージャーは新婚なのだとチャンミンから聞かされて俺のなかの小さな…けれども誰にも言えない嫉妬は影を潜めたのだ「…テーブルを片付けて来る」「え、僕がやるから大丈夫です」「ここは俺とチャンミンの家だろ、何かするなら協力しよう」少しぶっきらぼうだったかもしれないこれが演技なら、好きなひとにまた振り向いてもらえるように笑顔のひとつやふたつ、簡単に出せるけれども、それが現実だと…そして、振っておいてやっぱり好きで仕方無いだなんて情けなくて何だか空回ってしまう今ならきっと、普段はおとなしいけれどミヌに恋をして自分を変えようと前を向くウノの方が俺よりもやり手かもしれないそんな俺の気持ちなんて当たり前に知らないであろうチャンミンは含羞むように微笑んだ「ありがとうございます」見た目よりも気が強くて、俺に振られたって直ぐに何でも無いような顔をしていたそんな当たり前に男だし勝気なチャンミンの、ふとした時に見せる柔らかい笑顔に心はこんなにも乱されるウノの気持ちが痛い程に良く分かる役と俺自身は別だし、素の俺と外に見せる俳優チョンユンホの顔も違うずっとそうして来たのに、何だか全てが混じり合っているでも、それがどこか心地好いチャンミンが作った料理はビーフストロガノフどうやら煮込み料理が得意らしく、冬には温まるから、という事らしいやって来たチャンミンのマネージャーと三人でテーブルを囲み食事を進めた「チョンさん、いつもうちのチャンミンがお世話になって…朝食もチョンさんが用意してくださる事が多いのだと聞きました主役で先輩に手間を掛けさせて申し訳無いです」「…いえ、それに俺が用意するものなんてトーストやジュース、後は精々卵料理くらいで…と言うか、チャンミンがこんなに豪華なものを作ってくれたのは初めてで驚きました」白米と一緒にビーフストロガノフをひと口キノコや牛肉の味は勿論だけど、俺が焦がさないように飴色に炒めた玉葱がとても美味しいそう、美味しいのだけど、正直面白く無いまるでこのマネージャーがやって来るから気合いを入れた、という風にしか見えないから「別に豪華じゃ無いです、簡単だし…チョンさんに玉葱を炒めてもらったんですが、それが一番大変な工程なんですだから半分はチョンさんが作ったようなものです」チャンミンは首をふるふると横に振って、そして真正面のマネージャーに嬉しそうに笑うこのマネージャーが結婚したばかりだと言われても、結局仲の良いふたりを俺が外から見ているようで虚しい「簡単だとしても今まで作った事なんて無いだろ」半分は俺が作った、なんて言われても嬉しく無いそれこそ、マネージャーに喜んでもらう為の料理を俺が手伝ったようなものだから何だか苛々する彼が結婚しているのだと聞いて嫉妬心が小さくなったのにいや、違う確かにチャンミンはこのマネージャーに恋愛感情なんて抱いていないのだろうだって、最初から『兄のよう』と言っているそして、マネージャーだって新婚なのにチャンミンを恋愛対象として見ている訳が無い全部全部、俺の醜い小さな嫉妬から来る苛々なのだチャンミンからの視線も感じるし、斜め前から彼のマネージャーの視線も感じるだけどもう良い顔ばかりするのも面倒で、俯いてスプーンで料理を口に運んだ悔しい事に美味しくて、チャンミンが…好きなやつが作ったのだと思うと更に美味しく感じる両想いになって抱き合うまでになって振ったのは俺それなのに、我ながら酷いものだと思うちらりと顔を上げたら少し困惑した様子のマネージャーと目が合ったそして…「あの…ええと、今日はワインを持って来たんです差し入れと言う程では無いですが冷やして持って来たんですが、ここに着いて冷蔵庫に入れていて…」「え…ワイン…?」「はい、それを撮影中にチャンミンに伝えていて…」「あ、僕が持って来ますふたりは食べていてください」マネージャーの言葉を遮るようにチャンミンは椅子から立ち上がりキッチンへと向かったマネージャーがやって来た出迎えたのはチャンミンだったし、何も言われていなかったから差し入れがあるだなんて知らなかった「…お気遣いすみません」「いえ、料理ですが…チャンミンがワインに合う物を作りたいと話していたんです以前、チョンさんの部屋に招かれてワインをご馳走になった事も有るんですよね?」「え…あ、はい」「チャンミンから聞いています」と笑うマネージャー何故笑うのか分からなくて、また穿った考えを持ってしまいそうになるだけど、そうしたら…「チョンさんはワインを好むから、ワインに合う料理を…と気合いを入れていたんですよだからきっと、この料理を作ったんでしょうねチョンさんに喜んで欲しいって撮影の後に話していたんです」「…俺に、ですか?」聞き間違いかと思い尋ねたら、彼は笑って頷くそして…「チャンミンは少し生意気なところも有ると思いますですが、チョンさんの事を本当に慕っているようで…ご迷惑を掛ける事も多々有るかと思いますが、これからもご指導頂ければと思います」「…そんな、頭を下げないでください」腕を伸ばして肩に触れたら、マネージャーはゆっくりと頭を上げて、「チャンミンはいつもチョンさんの話ばかりなんです初めはライバル意識が強かったようですが、今は尊敬していると…チョンさんのお陰で演技も形になってきて感謝しかありません」なんて言う俺の頭のなかはもう、『チョンさんに喜んで欲しい』『いつもチョンさんの話ばかり』という言葉がぐるぐるとまわっていて、ついさっき迄の不機嫌な気持ちがどんどん小さくなっていくマネージャーもチャンミンも、俺がどこか不機嫌な事なんて分かっていただろうそれでも良い、なんて思っていたけれど今となれば恥ずかしい役者が苛立ちすら抑えられないなんて情けないこほん、と咳払いをして息を吸って、それから表情を作り斜め前を見た「チャンミンの演技は格段に良くなっています少し調子の上がらない時期も有りましたが、彼自身で乗り越えていると思います僕も…彼にとても良い刺激をもらっているし、役者としてこの先が楽しみです」これは本音だけど、なかなか本人には言えないだからマネージャーには伝えておこうと思ったなのだけど…「…チョンさん、ありがとうございます」「…っ、チャンミン」振り返ったら、いつの間にか栓を開けたワインボトルとグラスをトレーに乗せて持ったチャンミンが戻って来ていた立ったまま、ワイングラスに赤ワインをゆっくりと注いでいくその横顔は嬉しそうに見えて…それが、俺の言葉を聞いたからだと思うと恥ずかしい、けれども嬉しい「毎日、チョンさんが読み合わせを一緒に行ってくれるし、僕がNGを出しても付き合ってくれて…演技指導もしてもらいましたよね」「……うん」グラスを眺めたまま、少し頬を赤くして語るチャンミン『演技指導』それはきっと、キスの事だ彼がその言葉を持ち出す意味は分からないそして、俺の事をどう思っているのか、もこれが台本のある演技であれば、何かのドラマや映画なら、今のチャンミンの気持ちだって分かるのに分かれば自分が優位に立てて何も悩む事なんて無いのにけれどもそんな風に思う今の自分の気持ちが、まるでこれまで演じて来た『恋をして恋に振り回される男』そのもののようで…何だか不思議な気持ちでもあった「それで、チョンさんがその時も僕のアドリブに合わせてくれて…凄いなあって思ったんです相手がチョンさんだから、僕も安心して『ミヌ』になれるんだって最近思うんです…へへ」「うん、そうだな、いつも聞いてるよ」「それに、チョンさんは寝起きでも格好良いんです狡いですよね?マネージャー」「ああ、やっぱりイケメン俳優は違うんだろうなでも、チャンミンだってノーメイクでも綺麗な顔だから」「……そうかなあ…」チャンミンは言いながら、机に突っ伏してしまったワインは全部で三本あったそして、チャンミンは以前俺のマンションでワインを出した時よりも量を飲んだ『最近調子が良いし、明日は午後からだから』『チョンさんもマネージャーも居て三人で食事なんて楽しくて』なんて言いながらハイペースで飲んで、そしてどうやらかなり酔っ払ったようだ「…チョンさん……ユノ…」「…っ、何……」突っ伏したまま少し篭った声けれども、確かに名前で呼ばれてびくり、としたすると、しっかりした様子のマネージャーは笑って「チョンさんに余っ程気を許しているんでしょうね」なんて言う俺とチャンミンは付き合って、そして別れただから今のチャンミンは俺に気を許す、なんて事は無い筈だし、あるとすれば慣れているマネージャーが居るから、だろうでも、さっきから俺の事ばかり話しているから、嫌われてはいないのだと思えてほっとした「チョンさん、すみません、僕はそろそろ…」「あ、帰りますか?」「はい、明日の朝早いので、旅館に戻ります明日から二週間、ここに戻って来れないので…勝手を言いますが、チャンミンの事を宜しくお願いします俺はあくまでもマネージャーですでも、チャンミンを弟のように思っていますだから…」彼は言いながら、いつの間にかすう、と寝息を立て始めたチャンミンの丸い頭を見つめながら微笑んだ「だから、チョンさんと仕事をするようになってから、生き生きしているチャンミンを見る事が多くなって嬉しいんです」例えば、少し前の俺なら他人のそんな事情になんてあまり興味が無かったけれども、俺の知らないチャンミンの顔を知れたから、恋愛では無いのかもしれないけれど、俺を今でも確かに慕ってくれているのだと分かったからだから、俺からも「ありがとうございます」と頭を下げて、チャンミンの代わりにマネージャーを玄関まで見送った「…何が『俺に任せてください』だよ…恥ずかし過ぎるだろ」マネージャーが夜の暗闇に飲み込まれるように遠のいてから、玄関の扉を閉めた頬を刺すような夜の風に吹かれて、はっと我に返った最後に俺から『二週間の間も俺が責任を持ってチャンミンを見ていますだから、俺に任せてください』なんて伝えたのだ彼は目を丸くしてから微笑んで『チョンさんに任せる事が出来たら安心です』なんて言うから、俺も心配しないで大丈夫です、なんて更に返したのだ「…俺も酔ってるのかな…」マネージャーが居たから、俺は結局あまり飲んでいないそれに、やはりどこか彼に敵対心のようなライバル心のようなものを抱いていたから、しっかりしておきたかった…というのも有るふう、と大きく息を吐いてダイニングへと戻ったら、チャンミンは目を覚まして、まるで小さなこどものように不安げな顔をしていた「チョンさん…どこに…」「え?チャンミンのマネージャーを玄関で見送っていたんだチャンミンが眠っていたから」もう日付も変わってしまったお開きにしよう、とチャンミンの元へと歩んだそうしたら、彼は立ち上がって俺に腕を伸ばして来た「…起きたらチョンさんが居なくて寂しくて……っ…」「…っ、チャンミン…」「傍にいて、お願い…」アルコールの所為か、普段よりも熱い身体に抱き着かれた寂しい、傍に居て、なんて…「チャンミン、酔ってるんだろ?もう眠ろう」勿論、嬉しいだけど、きっと明日の朝には忘れてしまうのだろう背中を擦っていたら、案の定、と言うか…「…おい、…チャンミン?」明日の朝、どころか『今』なのだろう俺を抱き着いたままずるずると落ちていく身体を慌てて抱き留めたら、チャンミンはまたすうすうと寝息を立てていた「…嘘だろ…でも…それだけ俺に気を許してくれているって事ならそれで良いよ」力が抜けた身体は、幾ら細いとは言えずっしりと重いぐっと力を込めて引き摺るようにして支えてチャンミンの寝室へと向かった敷布団の上にチャンミンを横たえて、それから掛け布団や毛布を上から掛けてひと仕事終えたとばかりに溜息を吐いた部屋を出る前に、眠るチャンミンの頬に手を伸ばして、それから柔らかな髪の毛を撫ぜた思わず『好きだ』と言ってしまいそうになったけれど、心のなかで呟くのみに留めて手を引こうとしたそうしたら、離した瞬間にチャンミンはまた目を開けて…「…行かないでください」「え…」「今日だけ一緒に…酔ったから」細い腕を伸ばして俺の袖を引っ張る上目遣いに俺をじっと見て「お願い」なんて言うワインに酔っているから寒いからそう理由をつけて、チャンミンの布団のなかへゆっくり入ったチャンミンは嬉しそうに笑って俺にそうっと抱き着いて…「…おやすみなさい」酔っ払っているからか、その声は普段よりも幼く聞こえたミヌに翻弄されつつも日に日に惹かれていくウノこれまでウノという人物を演じて来たなかでも、今が一番彼の気持ちが分かる「…おやすみ、チャンミン」けれども違うのは、ウノはミヌを好きで、俺はチャンミンが好きだという事振ったのにまた好きになってもらおう、だなんて自分勝手だでも、ウノとミヌが近付いていくように、俺ももう一度チャンミンの事を知っていきたいそれを、チャンミンが許してくれるなら「…ユノ…」まるで、そんな俺の考えなんて見透かされているように名前を読んで寄り添って来るチャンミンの身体は余す事無く全て見たし、彼を抱いたけれども、その時よりも今の方が好きた服を着ていても、キスすら出来なくても…それでも、自分の気持ちをきちんと見つめる事が出来たからか、気持ちはどこか晴れやかだし幸せだと思ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Matching
現実とリンクしていますが、あくまでも私の頭のなかのお話です1年前の日本ツアー中のお話で、消えていたので加筆修正して再掲させて頂きます......................................................「このなかから選んで欲しいそうだ」事務所でマネージャーから見せられたのは、タブレットのディスプレイまるでカタログのように新作バッグの写真が載っていた「…ユノヒョン、どうしますか?」左側に座るリーダーに尋ねたら写真をじっと見つめて、それから僕の方を見た「チャンミナが先に選んで良いよ」「そうですか?…じゃあ…」それは高級ブランドからの協賛品だったブランド側から依頼してもらい、僕達が商品を持ったり身に付ける事で広告の効果を見込まれている高級なものを使わせてもらうのは一流の証拠で、とても有難い事でも有るでも、正直それらを持つ事は緊張するし、気が抜けなくも有るんだけど…カタログ写真には大小幾つかのバッグが載っているそれらを一通り見て、ひとつのバッグに決めた「ユノヒョン、僕はこれにしようかと…ヒョンはあまり大きなバッグは持たないし、僕は荷物も多い方なので」「へえ、ボストンバッグかチャンミナに似合いそうだな」スエード地の少し大きめのボストンキャメルで色合いも落ち着いていて、主張も激しく無いユノヒョンはきっと小さめのバッグを選ぶだろうから、僕達ふたりが並んだ時にもバランスが取りやすいかもしれないと思った「マネージャー、これで大丈夫ですか?」「ああ、自由に選んでもらって問題無いと聞いているこのバッグだと真ん中に好きな文字を入れられるそうだ」「え…文字ですか?」マネージャーが指差したのは横長のボストンバッグの中央、白くなっている部分「オーダーで文字入れが出来るから、そのバッグなら何か入れて欲しい」「文字…無くても良いんですが…」そのままの状態がシンプルだし問題も無いそう思ったけれど、文字入れが必要なのだと言われたどうしようかと思っていたら、ヒョンはこちらを見て…「『チャンミン』で良いんじゃないか?」「ユノヒョン…そんなにはっきり主張したく無いです」明るくそう言われて揶揄われているのかと思ったけれど、どうやら大真面目らしいとは言え、僕からすればあまりにストレートだし恥ずかしいから頬を膨らませて抵抗したそうしたら、今度は何か閃いたような顔「じゃあ『ユノ』は?それか『YH』」「それじゃあヒョンのバッグみたいじゃないですか…」「あはは、違うよチャンミナは俺のもの、って言うアピールだけどさり気なくて良いだろ?」まるで冗談のような事を笑顔で言うリーダー…いや、僕の恋人はきっとこれも本気で言っている長年の付き合いだから分かるのだ僕が何か案を出さなければ本当にそうなってしまいそうだから、首を振った「チャンミン、もユノ、も主張が強いので…『CM』にしますマネージャー、それから大丈夫ですか?」「ああ、チャンミンが使うんだろ?それなら『YH』より良いと思う」マネージャーは僕達の事を知っているから、動じる事も無いだからと言って知られたい訳じゃあ無いから恥ずかしくて俯いて「それでお願いします」と小さく呟いた「チャンミナ、もう次の仕事の時間じゃないのか?」「え…あ、本当ですね、そろそろ出なきゃ…」今日はこれからユノヒョンと別々の仕事僕は他のスタッフと撮影に臨んで、ユノヒョンは事務所で打ち合わせ「俺も選んでおくよ届くのが楽しみだな」「そうですね」この時の僕は、まさか『あんな事』になるだなんて思ってもいなかった......................................................ホテルの僕の部屋にやって来たユノヒョン彼は置いてある新しいバッグを見つけて、瞳を輝かせた「チャンミナ、それ使いやすい?」「はい、たくさん入るし思った程重くも無くて…色も落ち着いているので合わせやすいです」『CM』の文字をオーダーで入れたボストンバッグは無事に僕の元へとやって来た今は日本でのツアー中で二国間を行き来しているから、その度にメディアやファン達に写真を撮られるそんな時にはこのボストンバッグを持って、更にオーダーで入れた文字の面を見せる事が大切それがブランドの宣伝になるからだ初めはイニシャルを入れている事が恥ずかしかったけれど、SNSやメディアの反応を見てみたら概ね好評だったからほっとした「ユノヒョンのバッグはまだなんですか?」「ああ、少し遅れているらしくて…届いたらちゃんと使うよ」「そうなんですねあ、でも…そう言えばどんな形にしたんですか?」僕のバッグを手に取って眺めるユノヒョン隣に立って問い掛けたら、こちらを向いて微笑んだ「届いてからのお楽しみ俺も気に入った形を見つけたんだでも、チャンミナのも凄く良いな」「そうなんですねでも、流石に同じものを持ったら何か変に思われるかもしれないので…ヒョン?」バッグを戻したユノヒョンは僕を抱き締めた薄くて綺麗な唇が近付いて、顎をそっと掴まれる見た目以上に逞しい背中に腕をまわして隙間無く抱き合って、それから唇を重ねた「もしも俺達が同じものを持ったら何て思われるかな?」「…ん…そんなの…っあ…」問い掛けられて答えようにも、合間にキスをされて、舌を絡め取られたらどんどん溺れていく「恥ずかしい?もしもお揃いだったら…」「…っ…だって…変に思われるかも……っ」腰を抱かれてじりじりと動いて、気が付いたらベッドに押し倒されていた「俺が着てた服を見せつけるように人前で着るのに?」「…っそれは、気に入ったからで…」「SNSに載せたり見られる場所でも着るのに?」「…ユノヒョン…言わないで」両手首をユノヒョンの手でシーツに縫い付けられた恥ずかしいのに顔を覆う事も出来なくて、せめてもの抵抗で右側に背けたら…「…っひ…あっ…」「恥ずかしがりで独占欲の強いチャンミナが好きだよ」「…っ…」左耳に舌を差し入れられたら腰が重くなる背筋に電流が流れたようになって涙が滲んでくる「俺の事がそんなに好き?」「…好き…ユノが…僕が一番好きだから、誰のところにも行かないで」分かっている人前に出る時にユノヒョンが着てたものを借りたり、バッグや小物を共有すると気付かれるという事くらいだって、僕達の関係はマネージャーや一部の人間は知っていても、こんな仕事をしている以上公には出来ないユノヒョンと付き合いたい女性は数えきれないくらいいて、それだって当たり前の事ヒョンが僕を好きでいてくれている事も分かっているから、割り切らなければいけないでも、やっぱりたまにはこのひとは僕の恋人なんだって言いたくて堪らなくなるそんな僕の気持ちを知ってか知らずか、ヒョンは熱い視線で僕を見つめる「俺がどれだけチャンミナを愛しているか知らないの?」「知っています…でも足りない」まるで見せつけるような事をするなんて、本当は良くないって分かってるこどもじみているし、これ以上は駄目だと思うだけど…「チャンミナの嫉妬も独占欲も可愛い」そんな風に言われたら、本当は我慢しなきゃって思っていても、やっぱり我慢なんて出来なくなる「痕をつけたい、駄目?」「…明日はリハーサルだから駄目ですメイクで隠してもらわないといけなくなるから…」「…残念じゃあ、コンサートの三日間が終わったら思い切りつけさせて?」「…っん……」首筋を熱い舌が這ってぞくりとするこのまま何も考えずに抱き合いたいけれども我慢してからの御褒美のような…は、言葉に出来ないくらい気持ち良いって知っているから、キスで返事をした......................................................日本でのツアー、アリーナ会場の日程は全て終わり帰国したそれでも休みはほぼ無くて目まぐるしい日々が続いた持勿論、仕事が有る事、求められている事は有難いからそれぞれ必死で仕事に向き合った「チャンミン、お疲れ様」「シウォニヒョン今日は一緒ですね、宜しくお願いします」「ああ、宜しくそれ、最近良く使っているバッグだよな?使いやすい?」「はい、使うと馴染んで来て…物も沢山入るし便利です」事務所に着くと同時に彼は親愛のハグで出迎えてくれた僕達が東京でのドームでライブをする直前に、シウォニヒョン達も同じドームでライブを行うスケジュールも丁度合ったから、日本に同じ便で向かう事になったのだ「チャンミン、最近益々綺麗になっていないか?」僕の肩を掴んで、まるでハリウッド俳優のような顔を近付ける「僕は男です」「いや分かってるよ勿論でも、まあ…ユノヒョンと順調なんだろ?」「…普通です」彼も僕達の事を知っているかと言って惚気話のような事を口にするのは苦手だし、聞かれても返答に困ってしまう「チャンミンは可愛いな」「綺麗とか可愛いとか…揶揄わないでください、もう…」じとりとシウォニヒョンを見たけれど、彼は眉を上げてにこりと微笑む「だって、ユノヒョンが使ったものや着た服を見せつけるように使うだろ?分かりやすくて可愛いよ、ユノヒョンは愛されているよな」「…別にそんなつもりじゃ…」「そう?まあ、チャンミンが恥ずかしいならそういう事にしておくよ」何だか分かった風に言われて悔しいでも、言い返す事も出来ないし確かに真実だって、言葉で言うよりは僕にとって簡単だから、ついそうしてしまっていたでも、やっぱりひとから指摘されると恥ずかしいからこれからは控えなければならないシウォニヒョンは相変わらず嬉しそうに笑っていて、このままではまた何か突っ込まれてしまいそう彼の元を離れてマネージャーのところに行こうと思ったその時、聞き覚えのある声が聞こえた「チャンミナ、シウォン」「…っ…ユノヒョン」後ろから声がして、振り返ろうとしたでも、その前に僕の前に立っている…つまり、ユノヒョンと向かい合う形になっているシウォニヒョンが、何だか珍しく大きな瞳を見開いているからどうしたのだろうと思った「シウォニヒョン?どうしたんですか?」顔を覗き込んでも答えが無いから、ユノヒョンを振り返って…僕はその理由を知った「ユノヒョン…それ…」「え?アウターの事?凄く暖かいし意外に軽いんだチャンミナも着てみる?」「え…いや、違う…」思わず首を振ったあたたかそうな黒のボンバージャケットを羽織ったユノヒョンは、襟を捲って「どう?」と微笑むどうも何もいつも通り誰よりも格好良いなんて事は今は置いておいて…「ユノヒョン、そのバッグは…」一応確認するように聞いてみたものの、どう見ても見間違いでは無いだって、僕が最近ずっと使っているバッグとどこからどう見ても間違い無く同じもの敢えて言うならば色違い、だ「ああ、これ?オーダーする文字が決まらなくて迷っていたから届くのが遅れて…やっと届いたんだ」「いや、そうじゃ無くて…」ユノヒョンが差し出すように見せてきたのは、やはり僕と同じバッグ僕が『CM』と入れた部分には『JYH』とヒョンの苗字も入っていた「どうして同じものを…」「え?同じじゃないよ、真ん中の色が違うだろ?」何を言っているんだ、というように快活に笑う確かに違う僕は白で、ユノヒョンはオレンジそれに、文字も違うでも、それ以上に他は全部一緒でどう見ても同じバッグ「…ユノヒョン、チャンミン…やっぱりふたりは想像以上ですね…はは」「シウォン、羨ましいか?」「ユノヒョンには敵いません」シウォニヒョンは若干引き攣った笑顔で、嬉しそうに笑うユノヒョンに肩を抱かれているそうして結局シウォニヒョンは引き攣った顔のまま、他のメンバーのところへ行ってしまった「…ユノヒョン、最初からそれを選んでたんですか?これじゃあ見たひとに驚かれるじゃないですか」「ああ、そうだよチャンミナが選んだ後これに決めたんだ…驚かれるかな?色も少し違うし、文字も違うし、お揃いじゃないから大丈夫だろ」「え…そう、ですか?」ユノヒョンは自信満々に頷いたそして、このボストンバッグが気に入ったのだと言う確かに、中央の色は違うし…最初にユノヒョンが言ったように僕がヒョンの名前、ヒョンが僕の名前を入れたりするならまだしも、自分の名前を入れたのならば問題無いような気がして来たでも、結局…「ユノヒョンに騙されました…ヒョンのばか」「え?騙してなんて無いよだって、少しずつ違うだろ?文字も違うし…」「皆が言ってるじゃないですかカップルのお揃いにしか見えない、って…」驚いていたシウォニヒョンもその後戻って来た時にはもう笑っていた事務所スタッフもマネージャーも、先輩にも後輩にも『仲が良いんだな』と揶揄われた僕達の関係を知っているのはマネージャーや近しいスタッフと、あとはシウォニヒョンも…でも、それ以外のひと達にも『まるでカップルですね』なんて言われて、空港にいる間赤くなる顔を平常心で抑えるのに必死だった「チャンミナは嫌だった?」漸く飛行機に乗り込んだら、僕の隣、窓際に座るユノヒョンが腰に手をまわすようにして僕を覗き込んできた「…嫌とかじゃなくて…恥ずかしいです」「協賛品なんだから大丈夫だよでも、本当はただのお揃いにしたかっただけこうすれば、堂々とアピール出来るだろ?」通路からは見えないように引き寄せられて、衣服越しにユノヒョンの指がウエストに食い込む「今夜だったら痕をつけても良い?」「…衣装を着ても見えないところになら…」だって、今痕がついたら、ライブ迄には消えないでも、ユノヒョンの独占欲が嬉しくて今夜は我慢なんて出来そうも無い窓の外を見る振りで恋人の頬にキスをして「夜が待ち遠しいです」そう、普段よりも大胆な言葉を紡いだランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 07Dec
世界の片隅の僕ら 12
大学の最寄り駅まで俺の自転車でふたり乗りしたそれから、ふたりで初めて電車に乗って、チャンミンの父親が入院するという病院の最寄り駅に向かったそこから更にバスに揺られて病院に到着した大学の最寄り駅から病院まで、移動時間は全部で四十分程その間、少しだけチャンミンの話を聞いた小学六年生で養子になったチョン家その両親には元々こどもが居らず、チャンミンの事をとても可愛がって大事に育ててくれたという事両親には感謝をしている事入院中の父親は医師で、生活はどちらかと言うと裕福だという事父親は持病である心臓の病気の為に手術をして入院中だけれど、命には別状無いという事「両親は、昔の僕の事を聞いてとても胸を痛めているんだ自分達は望んでもこどもを授かる事が出来なかったのに、大切なこどもを虐待するなんて、って…」「…うん、そうだよな」チャンミンの背中には、両親の喧嘩中に割れた硝子の破片が飛んで来た事で負った小さな傷痕があるそれ以外に暴力を振るわれる事は無くて、けれどもずっと両親は不仲で肩身の狭い思いをしたり楽しい思い出は無かったようだと聞いている小学生の頃の俺は田舎で何も無いけれど、両親は当たり前に仲が良かったし、虐待、なんてたまにテレビのなかで聞くくらいあまりその意味も…今思えば分かっていなかったでも、成長して社会の事を知ったり、自分でも調べて、例え身体的な暴力や虐待で無くても心はとても傷付けられるし、その傷はなかなか消えないのだと少しは理解出来たつもりだ「だから、チョン夫妻は僕には昔の事とはもう一切関わらないようにって言ってる生まれた街に行く事は勿論…行きたくも無いけどそれだけじゃ無くて、ユノの生まれ育ったあの村の事も施設にはたまに連絡をして元気にしている、とは報告してるでも、それ以外は連絡も取ってはいけないし、会う事も…」「…少しだけ、母さんからそんな事情があるんだって事は聞いたよ、でも…」「それが、僕を大切にしてくれる夫妻の望みだし、僕を心配しているんだ」バス停から降りて歩きながら、チャンミンはずっと俯きがちに語っていたお尻まで隠れる、細身のチャンミンには少し大きくも見えるカーディガンその袖を伸ばすようにして腹の前で手をぎゅっと握る身長は伸びて、昔は俺よりも低かったのに、今は俺と変わらないくらい確かにチャンミンは…勿論俺も、だけど…成長してこどもから青年になっただけど、あの頃のチャンミンがやっぱり彼のなかに居る気がした「…チャンミンは、今幸せ?」そう聞いたのは、本当は、心から幸せそうには見えなかったから理由は分からないけれどもどこか苦しげに語るからシムチャンミンからチョンチャンミンに…つまり、養子になって約六年間経っているのに、『チョン夫妻』なんてまるで少し他人行儀に語るからそれは勿論、俺の手前、なのかもしれないだけど、そんな小さな幾つかの事やチャンミンの少し苦しみを抱えたような表情が気になったから「…幸せだよ凄く良くしてもらってる生活に困る事も無いし、勉強に打ち込む環境も充分に整えてもらった医学部に進む為に塾にも通って…それだって高いお金が掛かっているだろうし」「今の父さんが医師だから、チャンミンも医師を目指したの?」「そうなってくれたら嬉しいってずっと言っていたから」チャンミンは漸く顔を上げて微笑んだだけど、幸せになんて見えなくて胸が痛くなっただって、気付いているのか分からないけれど…チャンミンの言葉からは『僕が』という話が無かったから引き取ってもらい良くしてもらった教育にお金を掛けてもらった父親が医師だから何だかそこに、チャンミンの意思は無いように聞こえた何より、俺がそう思いたいだけなのかもしれないけれど、俺とふたりで過ごしていた頃のチャンミンは確かに幸せそうに笑っていてくれたから『ユノと出会えて仲良くなれて幸せだよ』そう、確かに言っていたから俺は医学部のチャンミンよりもきっと頭は良くない反抗期で勉強に専念していない時期もあった記憶は時間と共に少しづつ薄れていくもしかしたら、今覚えている記憶のなかのチャンミンの言葉や俺を見つめる視線や表情は、俺が都合良く思い込んで変化した部分も有るかもしれないけれども、毎日毎日チャンミンの事を考えていた忘れる日なんて無かった一緒に過ごしていた時もずっとチャンミンの事を考えて見てきただから、やっぱり、今のチャンミンは心から幸せそうには見えないし、俺と仲良くなる前の…あの村にやって来た頃のチャンミンを思い出させるのだ「この先だよ、ナースステーションに挨拶して名前を書かないと見舞いには入れないから」「え…っあ、うん」考えながら歩いていたら、いつの間にかもうチャンミンの父親の直ぐ傍までやって来ていたらしい俺を見るチャンミンの瞳からは、あまり感情は窺い知れない『本当に幸せ?そうは見えないよ』そんな風に言ってしまいそうにもなったけれども、今のチャンミンの事を知らない俺が言う事では無いし、チャンミンは確かに今の両親に大切にしてもらっているのだと話していたから「チョン君、今日も来てくれたのね、ありがとう」「いえ、大学からの帰り道なので」ナースステーションのなかの看護師はチャンミンを見つけて微笑み掛けて、それけらチャンミンの後ろの俺を見付けて微笑んだ「大学の友人ですたまたま帰りが一緒になって…見舞いに来てくれると言うので」「そうなのね、チョンさんもきっと喜ぶわ息子の友達とも会ってみたい、なんて話されていたから」「看護師さん達にもそんな事を言っていたんですね父さんは心配性だから…」チャンミンは少しだけ恥ずかしそうにして、名前を記帳した俺を振り返って、何だか貼り付けたような笑顔で「行こう」と声を掛けて来たから、ナースステーションに向かって会釈をして廊下を進んだ「お願いがあるんだ」「ん?何?」「父さんには、大学で初めて知り合って友達になった、って事にして欲しいあの村から来たって事は言わないでそれを話したら心配されるだろうし…関わるなって言われてしまうだろうから」「…分かったよでも、何だか少しだけ寂しいな」小声でふと漏らしてしまったら、立ち止まったチャンミンが俺を振り向いた困ったように眉を下げて俺を見つめるから、俺も眉を下げて…けれども大丈夫と言うように笑った「俺はあの村でチャンミンと過ごせて本当に幸せだったチャンミンも幸せそうに笑ってくれていたし、ずっと一緒に居られるって思っていて…でも、何だかそれを否定されたようでいや、違うな、そんなの俺の勝手な気持ちだ…ごめん」「ユノ…」「今のは忘れて、勿論チャンミンの言うようにするよ俺達は入学式に偶然出会って仲良くなった友達…仲良く、で良いんだよな?」「うん…ありがとう」寂しく無いと言えば嘘になるチョン家に迎え入れられる前の事とはもう関わらないように、だなんて、まるでチャンミンの過去を全て否定しているようだそれに、俺が生まれ育ちチャンミンが好きだと言ってくれたあの自然や空気を、それすらも無かった事にするようでもあるけれども、俺が本当の事を話せば『関わるな』と言われてしまうかもしれないだから隠して欲しい、と言う事はつまり、俺とこの先も友人でいてくれる意思がチャンミンにはある…という事今はそれだけでも充分だって思わなければならないチャンミンは俺をじっと見て、それから扉に向き直ったこんこん、とノックをしてから「僕だよ、さっき連絡した通り友達も連れて来た」そう言った出会えないかもしれないと思っていたのに、また友達になれた恋人、が良いけれど…そう言えば、告白をし合ってキスはしたけれど、小学六年生だったし『付き合おう』とは言っていないいや、当たり前に明日もその先も有るから急ぐ必要は無いと思っていたのかもしれない「…違うな、胸がいっぱいだったんだ」扉を開けるチャンミンの、身長は伸びても小さな背中を見つめながら、懐かしい想いを聞こえないように呟いた「チャンミン、それに…わざわざこんな所までありがとうございます」「わざわざって言う程遠く無いよでも、一緒に来てくれるって言うから…友達もチョンって言うんだ、偶然なんだけど」扉を開けたらそこは広い個室だった「失礼します」と言ってからなかへと入ったら、ベッドの上に上体を起こして座る柔和な表情の男性の姿有名な論文も発表している医師、そして養子に迎えたチャンミンに対して『過去の事とは関わらないように』だなんて制限する父親何となく、だけどとても厳しい強面の男性を想像していたから驚いた「同じ苗字とは、何だか親近感が湧くし嬉しいよだからチャンミンもこんなに…一緒に見舞いに連れて来てくれる程心を許しているのかな」「そんな…あ、ええと、チョンユンホです急にお邪魔してすみません」挨拶をしたら、何だかとても嬉しそうに俺を見てくれている「ユノ、座って」「うん、ありがとう」チャンミンが丸椅子を持って来たから、それに腰掛けたらチャンミンも同様に座ったベッドの傍、父親の頭の近くにチャンミン、そして隣に俺「チャンミンは真面目で勉強熱心なのは親としては勿論嬉しいのですが、熱心過ぎるのか友人と遊ぶという事が少なくて…ここにも家にも、仲の良い友人が居たら連れて来て欲しい、なんて我儘を言っていたんですよでも…今日が初めてで嬉しいんですチャンミンと仲良くしてくれてありがとう」「父さん!そんなの恥ずかしいから良いよ」チャンミンは本当に恥ずかしがっている、と言うか少し困ったような様子だけれど、父親はとても優しい目でチャンミンを見て、それから俺にも笑顔を見せてくれた「恥ずかしくなんて無いよ、父さんの素直な気持ちだ両親の為に、と頑張ってくれるのは嬉しいけれど、友人も大切にするべきだからね」「…うん」「何だか…凄く仲が良さそうですね俺、大学で初めてひとり暮らしをしているんですホームシック、って言ったら恥ずかしいんですが、実家が少しだけ恋しくなりました」「チョン君…いや、ユンホ君はひとり暮らしなのか慣れるまではきっと大変だろうチャンミン、今度家に招待してあげたらどうだ?部屋だって余っているし泊まる事だって出来る、母さんも喜ぶよ」「もう!父さん、恥ずかしいってば」やっぱり、話せば話す程にイメージが覆されるそれに、チャンミンを見ていれば本当に愛されているんだって事も、彼自身が両親を大切にしている事も分かる再会してからのチャンミンは、何だか初めて出会った小学五年生の頃のようで…心を閉ざされているようにも見えたし、今の両親にどこか抑圧されているのでは、とも感じていたけれども、思い過ごしなのだろう「お言葉に甘えて、いつか家にも遊びに行かせてください」「ああ、勿論、いつでも歓迎するよ…なんて言ったら料理を作る母さんが大変かなでも、私も今月中には退院出来るから楽しみにしているよ」「はい、ありがとうございます」再会して一ヶ月と少しチャンミンはどこか感情を押し殺しているように見えていただけど、父親の前に居るチャンミンは普通の大学一年生の青年に見えたそれに何より、今まで誰も両親に会っていない、と聞いたら自分がとても特別な存在であるようで頬が緩んでしまう「そう言えば…ユンホ君はどこからやって来たのかな?」「え…あ、南の方です本当に田舎で、なので初めてこんな都会に出て来ましたやっと慣れては来ましたが、まだまだだし…友人も知り合いも少ないので、チャンミンが仲良くしてくれて本当に嬉しいんです」突然尋ねられて、一瞬固まってしまったその質問を想定していなかったからけれども、チャンミンがちらりと俺を見たから直ぐに嘘を吐いて、それから誤魔化すように話を続けた俺が生まれ育ち、そしてチャンミンが小学五年生の秋の終わりから、小学六年生の夏の終わりまで過ごしたあの村は北にある幸い、目立つ訛りのようなものは無いから、逆の方角なのだと言えば疑われる事も無いだろう「そうか、大学は人数も多いからきっとこれからふたりとも良い友人に沢山恵まれる事だろうだけど、ユンホ君のような友達が出来て本当に良かった、ありがとう」「いえ、こちらこそ…チャンミンと出会えて良かったです」「そう言ってもらえて嬉しいよ親ばかと思われるかもしれないですが、チャンミンは自慢の息子なんです」「父さん、本当に恥ずかしいから…」仲の良さそうな親子を見ながらも、嘘を吐いている事で胸が少し痛い話してはいけないとは言え、優しそうな父親だからもしかしたら…なんて事も思った『また遊びに来て欲しい』そう、優しいチャンミンの父親は俺には声を掛けてくれたふたりで見舞いを終えて病院の玄関に向かっていたら、チャンミンはふうっと大きく息を吐いて胸に手を当てた「…はあ、緊張したユノ、ありがとう…と言うか付き合わせてごめんでも、黙っていてくれてありがとう」「いや、凄く優しそうなお父さんで安心したよ良い家で育ったんだって」「…うん…そうだねでも、あのひと達は僕に過去を忘れるようにって言うんだそれが幸せだから、ってチョン、になって父さんの跡を継いで医師になって……あ、喉が渇いたから丁度良かった」チャンミンは俯きがちに何かを言い掛けて、けれども自動販売機を見つけて顔を上げた言い掛けた話は終わり、とでも言うようにデニムパンツの尻ポケットから財布を取り出して「何にしようかな」なんて自動販売機を見上げている「チャンミンが医師になりたいのは、自分の考えじゃ無いの?」「……将来の夢が全部自分の気持ち、なんてひとはきっと少ないと思うだから、そんな事は何も関係無い」「…忘れるように、って言われたら…両親が優しくて良くしてくれたから忘れるのか?」「……」俺の言葉に答えは無くて、チャンミンは財布を開けて紙幣を取り出したそうしたら、財布から紙幣では無い紙がはらり、と落ちて慌ててそれを追い掛けるようにしゃがんで拾ったチャンミンは何か、が落ちた事には気付いていない様子で自動販売機に紙幣を入れてボタンを押したようだ俺は、廊下に落ちた少しつるりとした紙を拾いながら立ち上がり、チャンミンがどうしたのか、という様子で斜め後ろの俺を振り返り…「……これ…あの時の、だよな?」自分の声が情けないくらい震えていたし、落ちたもの、つまり写真を持つ手も震えていた「…っ、返して!見なくて良いから…っ…」「あ…」チャンミンは右手に持っていたお茶のペットボトルを落として、そのまま俺の手から写真を奪っていった病院の玄関付近で病棟や診察室は無かったからまだ良かったけれども、ペットボトルが床に転がる音とチャンミンの声に辺りに居るひと達の視線が集まる「ペットボトル…はい」「…あ、ごめん…ありがとう」チャンミンがもう尻ポケットに入れてしまった少し小さなサイズの写真は、小学六年生の夏休み最後の日…つまりチャンミンと再会する以前、最後の日に山で撮ったものだあの日はどうしてチャンミンが珍しくカメラを持っていたのかその理由なんて深く考え無かったし理由なんて無いと思っていた山で写真を撮った後、蛍を待つ間にも撮りたい、なんて思ったけれど、この先沢山撮れば良いとも思っていた今思えばきっと、チャンミンはもう村を離れる事を分かっていたから、思い出を作ろうと思ったのだと分かるチャンミンは無言で歩き出して、玄関から外へと出たふたりで病院の敷地内のバス停へと歩く「写真、やっと見る事が出来た」「…何の事…」隣を歩いているけれど、チャンミンは視線を合わせてくれない「あの日…最後の日に撮った写真本当はもっと撮れば良かったって思っていたし、見たかったんだだから、チャンミンが持っていてくれたなんて嬉しいし、それを見られて本当に嬉しい」本当は、上手く言葉に出来ない嬉しい、を超えてしまって、何だか夢のようでだから、言葉にすると何だかとても安っぽく聞こえてしまう「なあ、チャンミン」「……」「俺の事を忘れないでいてくれてありがとう忘れないといけないのに、俺とまた友達になってくれて…本当にありがとう」バス停で立ち止まった丁度バスは行ってしまった後のようで、先頭だ座って並んで待つ事が出来るベンチが有るから、ふたり並んでそこに腰を下ろした「ずっと覚えていてくれたの?」「…忘れた事なんて無いよユノは僕の大事な……友達だからでもこれも、もし次に僕の両親に会う事があっても絶対に言わないで見つかったら捨てなきゃいけなくなるから…」『好きなひと』だとは言ってくれなかったけれども、写真のなかのチャンミンは本当に幸せそうな顔で笑っていて、そしてその隣には同じように…物凄く幸せそうな俺が居たあの写真をもしも誰かが見たとしても、写真のなかの小学六年生のふたりがお互いに恋愛感情を持っているかもしれない、なんて思う事は無いのかもしれないだけど、俺は…自惚れかもしれないけれど、そうだって分かるだって、チャンミンは好きでも無い相手とキスなんてしないって分かるから確かにあの夏の日、俺達は同じ気持ちだったそして、その日の写真をチャンミンは今でも持っていて…そして、どんな形であれ覚えてくれている「ありがとう、好きだよ」「……」涙が流れてしまいそうだったから俯いた少しだけ肩が触れ合っているけれど、ベンチは長くて…しかも、俺達以外にはまだ誰も居ないから余裕が有るだけど、チャンミンは座り直したり隙間を開ける事が無かったから、触れ合う肩の暖かさを感じながらチャンミンと過ごした小学六年生の五月を想ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Fated 55
少しずつ、これ迄知ろうともしなかった色々な事…つまり、アルファやオメガという二次性の事について調べたり聞いて知るうちに、自分がどれだけこの世界の事を知らなかったのか、を突き付けられていくような気がするそれは勿論、俺が所謂『勝ち組』と言われるアルファに生まれたからなのだろう外見も知能も身体能力も生まれながらにして高い、らしい芸能界やスポーツ界に政界、色々な企業のトップにも多いのがアルファだ普通と呼ばれるベータに対して優越感を抱くものも…表向きは居ない、と言われているけれど、実際この芸能界には少なくないオメガという存在に関しては、人口の二割しか居ない俺達アルファよりも更に少なく一割だとか、それ以下しか存在しないと言われているし…それだけで無く、彼らは発情期であるヒートを抑える薬を服用する事で『普通』になり、ベータに擬態するように生きているだから、オメガだという誰かと関わった事が無かったし、彼らがどのように暮らしているのか、だったりも知らなかった自分が能力を与えられた存在、である事が嫌だった普通に生まれて、そうして自分自身の努力で認められたかっただけど、アルファばかりの芸能界で実際にそのように生きて来たチャンミンは、本当はアルファに生まれたかったのだと言った結局無いもの強請りなのだろうそして、自分自身にもっと満足していれば、苦しむ事も無かったのだろうか「最近、ですか?体調も良いし…オメガになった時は髭や体毛が薄くなったり雰囲気が変わったと言われて…身体の内側だけじゃあ無くて外見まで更に変わったらどうしようって思っていたんですでも、それも落ち着いたようなのでほっとしています」撮影とインタビューの仕事の前着替えもメイクも終わり、撮影まで時間が少しばかり余ったから、ふたりの楽屋で尋ねてみたのだ「そうか、でも、俺には何かあればちゃんと話して例え何か有ってもふたりで抱えて、ふたりで乗り越えていこう」「…はい、色々と巻き込んですみません」「巻き込まれた、だなんて一度も思った事無いよ」しおらしい事を言うから、隣に座るチャンミンの肩を抱き寄せるようにして耳元で囁いたそうしたら、ぎゅっと目を瞑って、それから俺の腿に手を置いてじっと見上げてくる「本当に?最初の頃とか『オメガになんてなりやがって』とか『面倒臭い事になった』とか…一度も思わなかった?」「全く、思わなかったよチャンミナが心配で、むしろ…俺はベータになりたいって思っていたから、そんな自分を恥じた二次性が変わるって事はこれ迄の自分が変わるって事だしかも、オメガになる、なんて一番大変に決まってる」前髪をかき分けて額にキスをして、それから頭を撫ぜるチャンミンは唇を尖らせて眉を下げて、少しだけ泣きそうな顔「どうしたの?」「意地悪な事を言ったのに、ユノヒョンはいつも優しい」「あはは、意地悪だったの?分からなかったでも、不安な気持ちは想像出来るから意地悪だって何だって俺にぶつけて欲しい」「…そんなの悪趣味ですよ」俯いて、だけど声で分かる嬉しそうだったり安心しているんだって事が「違うよ、他の誰かに頼られたら…考えただけで物凄く嫉妬するんだだから全部俺に言って欲しい、何だって受け止めるから」「スジンとソユンにはオメガになった事を知られましたが、他の誰にも言うつもりなんて無いそれに、心を許せるのはユノヒョンだけです」「うん、そうか…それなら良かった」衣装が皺にならないように優しく抱き締めたら、チャンミンの腕も背中にまわる「本当は少しだけ…」「ん?」俺の肩に顔を乗せるようにしてふう、と息を吐いた後、チャンミンが呟いた背中を擦って次の言葉を待つ「少しだけ、どう思われているのか怖いなあって思う事もあって」「…俺に、って事?」表情は見えないけれど、言い難そうである事は声の小ささだったり、少し幼い語り口で分かるだから、大丈夫だと言う風に優しく抱き締める腕に力を込めた「何だって聞くし、俺の気持ちも全部言うよ」「うん…ずっと思っている事が有るんです僕がベータだったからか…いや、今もベータだと思われているから直接誰かからそんな話を聞く事は無いですが、芸能界でも良く、その…バラエティだったりで語られていますよね」「……大丈夫、聞くよ、ちゃんと」言い難そうにしているのが分かるし、もしかしたら今は顔は見られたくないのかもしれないだから、そのまま抱き締めて背中を擦り続けたチャンミンはふう、と息を吐いて、それから手を俺の胸元に持っていき、まるで俺に包まれるように小さく背中を丸めた「…たまにアルファの芸能人達が面白可笑しく『オメガと出会えたら項を噛んで自分のものにしたい』『番になってみたい』だとか言いますよね?オメガなんてなかなか居ないし、芸能界はアルファばかりだからそうやってネタのようにするのかもしれないけどベータの時は気にしていなかったけど、今は見ると辛くて…」「チャンミナ…そうだよな…オメガにとっては失礼な話だ俺も、そのようなアルファの考えには賛同出来ないだからアルファなんて…って思ってきたんだ」そう答えたら、チャンミンはもぞもぞと動いて顔を上げたその表情には安堵の色が浮かんでいる「本当に?…良かったユノヒョンの事が好きなんです、今は、本当にでも、番は自分がオメガだって思い知らされるようで…それに、番になんてならなくてもヒョンの事が好きですもう、誰か女性と恋愛出来る気なんてしないでもそれは男相手だって同じで…ヒョンしか考えられない」「そんな風に言ってもらえて嬉しいな」喜ぶ顔が可愛い「ずっと気になっていて、だけどちゃんと聞けなくて」そう恥ずかしそうに告げるチャンミンの頬にそっと手を添えて顔を近付けた「ユノヒョン……ふ……んっ…」リップが取れるかもしれないだけど、撮影前に最終チェックがあるから大丈夫それよりも、今は顔を見られたく無かった「…好きだ、チャンミナしか考えられないよ」「ん……僕も……」キスの合間にそう囁いて、後は互いに瞳を閉じてキスに溺れただって、そうしなければ…本当は、心のどこかで『チャンミンを俺だけのオメガにしたい』そう思っている事を覗かれてしまいそうで怖かったからアルファは優れている訳じゃ無いアルファもベータも、それにオメガも対等だと思っているオメガになってもチャンミンはそんな自分に打ち勝つように、辛い思いをしながらもここまで来たそれを心から尊敬しているだけど、多分、本能なのだ縛り付けたく無いし、このままずっと…世間には勿論秘密にはしなければならないけれど、メンバーで恋人として過ごしたい俺だって、チャンミンしか考えられない身体の相性だとか、それだけじゃ無くてチャンミンを尊敬しているし愛しているそれなのに、『噛みたい』『俺だけのものにしたい』そんな衝動にふと駆られる事も有るチャンミンが誰か他のアルファで奪われる事が怖いのだそして、アルファとして他のアルファに負けたく無いし、オメガを自分のものにしたいのだ「…っん……これ以上はもう…っ…」「…立ってる、気持ち良いの?」「…やっ、言わないで……」男でも女でもあるような、今のチャンミンだけど、使う事は無くてもしっかりと男の部分は反応しているそれを見るとぞくぞくするけれども、怖がらせたく無いから優しく微笑んで唇と身体を離した「意地悪してごめん」「…意地悪だったんですか?キスは嬉しいし…ただ、これ以上は我慢出来なくなるから、って…」「うん、俺もだけど、チャンミナの我慢出来なくなる顔を見たくて、そうしたら止まらなくなった」「ほら」とチャンミンの手を俺の中心に導いた衣装のスラックスの上から触れたチャンミンは顔を赤くして薄く唇を開くそんな顔を見たら俺の方が我慢出来なくなりそうだし、思い切り抱きたくなる抱かなくても良いし好きな気持ちに変わり無い番にならなくても、自分の意思でチャンミンを選ぶし好きだそれが確かに本音、そして俺の理想けれども、自分のものに『本当に』したい、というのもアルファとしての本音なのだそれを出来る事ならば消してしまいたいそれなのに、チャンミンへの気持ちが大きくなればなる程にその望みも少しずつ膨らんでいく「好きだよ、本当に」だから、チャンミンを悲しませたり苦しめる事はしたく無い本能に飲み込まれそうになったって、それに負けるような事はしないだって、チャンミンはオメガになっても必死で自分を受け入れようとしているのだからそれに応えられるヒョンで、そして恋人で在りたい胸のつかえが取れたような穏やかな表情で微笑むチャンミンを見て、癒されたし、『噛みたい』なんて思いは無かった撮影と、それに引き続きのインタビューは順調に進んだインタビュー風景は写真を撮られる事も無かったから、私服に着替えてリラックスして臨む事が出来たスタッフやインタビュアーも顔馴染みの方達ばかりだったから、和やかに進んだ「テレビで拝見しても思ったのですが、最近とても良い雰囲気ですよね」「え…そうですか?例えばどんな…」インタビュアーの女性の言葉に、チャンミンは目を丸くして返した「勿論、以前からおふたりは仲が良いかと思うのですが、そうですね…信頼関係のようなものをより感じます撮影も見ていましたが、とても息が合っているなあと…あ、勿論これも以前からですが…もしかしたら、何か心境の変化だったりがあるのかと思って…」ふたりで顔を見合わせて、どうしようか迷っていたら、チャンミンが俺に『どうぞ』と言うように掌を差し出したチャンミンが俺を信頼してくれているから、だろうつまり、何か俺がおかしな事を言う心配は無い、と任せてくれているという事それが嬉しくて、チャンミンに微笑んだら彼は少しだけ顔を赤くした「そうですね、以前よりもプライベートで一緒に過ごす時間が増えました以前が不仲だった訳では勿論ありませんですが、仕事の場だけでは時間が無くて話せない事やこの先の事について、を話す機会が増えましたなので、信頼関係は深いと思います」そこまで話して、もう一度右側のチャンミンの方を見たら、彼も大きく頷いた「不安な事が有っても、ユノヒョンになら相談出来るし解決出来る、という信頼感がありますそうして僕達の雰囲気も良くなっているのかもしれないですね」「成程、やはり話すという事は大切ですよね私も仕事で心掛けていこうと思います」インタビュアーも大きく頷いて「だから雰囲気が良かったのですね」と納得している様子確かにこれは真実チャンミンと過ごす時間が増えて、以前は見えていなかった事が見えるようになった恋人関係になれて、仕事も上手く行くだなんて良い事だけれどもそれも、やはりチャンミンが苦労して少しづつ自分を受け入れ努力したからだから、とても誇らしい「…インタビューは以上です、今日はありがとうございました」「いえ、こちらこそありがとうございます雑誌が完成するのを楽しみにしています」頭を下げて挨拶をして、それから、俺とチャンミン、それぞれインタビュアーの女性と握手を交わした立ち上がりもう一度頭を下げて歩き出すチャンミンの方が扉に近かったから、自ずと彼の後ろに続いて歩いたチャンミンが扉のノブに手を掛けて押し開けたら…「…っ、あ、すみません…」「いえ、扉の向こうに居るのに気付かず申し訳ございません」見えなかったけれど、どうやら向こう側からもこの部屋に入って来ようとする女性が居たようだ「あ、すみません、私のアシスタントで…もしかして時間が予定よりも過ぎたから来たのかもしれません」「ああ、そうだったのですね話が盛り上がったから…すみません」後ろからやって来たインタビュアーに笑って返したら「こちらこそ良いお話が聞けたので」と微笑んでくれたチャンミンは部屋を出て、扉を開けたまま支えていたから、俺も後に続こうと部屋を出て、そうしてアシスタントだという女性に会釈をしようかと思ったなのだけど…「………っ……」目の前に現れたのは、ニットとデニムパンツ姿の決して派手では無い、良く居るスタッフという感じの女性勿論、初めて見た顔だそれなのに、『駄目だ』と本能が告げた息苦しくて心臓がおかしくなりそうで、自分が自分で無くなりそうで…「…っあ……私、すみません、失礼します!」俺よりも先にその場を離れたのは、アシスタントの女性だった声は震えていて、思わず追い掛けてしまいそうになった何故か、なんて分からない、本能だ初めて見た女性で興味すら無い、それなのに脚が動きそうになるそれでも、何とか堪えて歯を食いしばり拳を握り締めて俯いた走り去るように離れていくと少しずつ息が出来るようになって…「ユノヒョン…?」「…早く楽屋に…」それだけ口にするのが精一杯だった後はもう、どうやって楽屋に戻ったのか覚えていない確かなのは…多分、楽屋に慌てて戻り直ぐに鍵を掛けた事不安げなチャンミンの顔を見ても、何も言えないままに噛み付くようにキスをした事後はもう、靄がかかったように何もかも分からなくなって、残ったのは本能だけだったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 06Dec
昨日のリクエストについて
ご訪問ありがとうございます相変わらずアナログトリップが大好きで、時間を見つけてはスクショしたりシーンを戻してみたりスクショしたりスクショしたり、画面の隅にいるホミンちゃんを見逃さないようにしたり…と楽しんでいますあの衝撃の(私のなかの話です…)ホミンちゃんはベッドがひとつだととても危ない、ホミンちゃんのデンジャラス天蓋付きベッド事変から一ヶ月半は過ぎましたが、本編を見る度に「この収録の後もこのお部屋に戻っていて…」「就寝シーンはツインベッドのお部屋が映っているけど、特典映像で説明されていた通り、ホミンちゃんのお部屋には寝室の手前に天蓋付きダブルベッドのお部屋が有るのでカメラを消した後に天蓋付きベッドで眠っていた可能性があって…」と思ってしまっています…勿論ツインベッドで一緒に眠る事も出来ますよねと、最近荒ぶり記事を更新していない為、つい前書き前置きで広げてしまうのですが…昨日の「リクエストを受付ます」の記事にコメントをくださった皆様ありがとうございます毎回書いていますがあまり反応が無ければ…と恐れているので、沢山コメントを頂けてとても有難いです頂いた声は全て拝見しているのですが、このなかから選んでくださいね、と挙げたお話の数がそもそも多いので(当たり前かもですが)ばらけているのかな?という感じで…少しだけ我儘を言わせてください…勿論全部のお話を知らなくても、何個かは分かるよ、という方でも勿論大歓迎なので…(と言うかこのお部屋のお話の数が多過ぎるだけなので)まだコメントをくださっていない方でどれが良いか教えてやっても良いよ、という方は気軽にコメントを頂ければ有難いですたまに、「普段コメントをしていないのに…」ですとか「最近読み出したばかりなので…」と、それなのにコメントしてすみません、という風に仰ってくださる方がいますが、とんでも無いです…全く問題無いどころか有難さしか無いですこのお部屋はどなたでもコメント出来るようになっておりますので、お時間ある方、リクエストしてやっても良いよ、という方がいらっしゃれば下の記事(昨日の記事です)からお声掛け頂ければ…こちらの色文字をクリックで記事に飛べます ↓今更ホミンちゃんありがとう2周年企画をしてみます興味無いよ、どうでも良いよ、は心のなかに仕舞ってやってくださいねそれではまた、夜のお話でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村



















