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- 19May
Fated 116
日本での仕事は大きなトラブルや混乱も無く予定通り進んだチャンミンがオメガだと公表した事で、取材の申し込みが増えた事でスケジュールはなかなかに詰まっていたけれど、事務所側が信頼出来るメディアや人物からの取材をきちんと選んでくれた事で悪意のようなものだったり、目に見えて揶揄われたり…オメガのチャンミンを差別的な目で見るひとは居なかった勿論、例えばそれが記事になったり実際に放送されたらどうなるかは分からないし、例えチャンミンの事を好意的に報道したって受け取り手がまた違う風に捉えたりする事だってあるだから、これからの事はやはり未だ分からないけれども、『オメガに突然変異した男性アイドル』を使い注目度を高めようとしているのかもしれない、という不信感も事務所には抱いていたから…闇雲に取材のオファーを受けている訳では無いらしい事務所に対して少し安堵したチャンミンにとっての運命のアルファが現れた事は驚きだったし、複雑でもある通常、運命のアルファとオメガが出会うとオメガは強制的にヒート状態、つまり発情期となるそうして溢れるフェロモンに運命のアルファは反応して、そのふたりはお互いの感情抜きに抱き合い番になる事が多いらしいけれども、俺とチャンミンの場合は俺が項を噛んで番になったそうすればもう、俺もチャンミンも、例え運命の相手と遭遇しても何も起こらないと理解していただが、確かにチャンミンはヒートにならなかったけれども、チャンミンもあのアルファも身体に異変を感じてお互いが運命の相手だと気付いた分かってはいても、自分達が何かに定められた運命では無かった事をまた突き付けられたようで胸が苦しくなったけれども、チャンミンは彼と出会っても尚自らの意思で俺を選んでくれたそして、バンドのボーカルを勤めているアルファの男も自らの恋人への想いは揺らがないと俺達に語ってくれた嫉妬はしたけれど…俺も、運命のオメガと一度遭遇しているから、その時のチャンミンの気持ちを少しでも理解出来たのならば良かったとも思う二次性なんて関係無いそう思ってはいても、結局俺達にはアルファ、ベータ、オメガという二次性や『運命』というものが付いてまわるそれらはやはり切り離す事は出来ないし、共存していかねばならないのだろうか、とも思う「ユンホさん、では最後におふたりでの撮影を…」「はい、分かりました」椅子から立ち上がったら、スタイリストがやって来て俺の衣装とヘアメイクのチェックをしてくれる数メートル先のスポットライトの下では個人撮影を終えたチャンミンが立っていて、俺を待っているカメラが回っている時ははっと目が奪われてしまうような色気を醸し出すのに、素に戻るとまだまだ幼く見える「ありがとうございます、宜しくお願いします」スタイリストに礼を告げて、それからスポットライトの下へと向かいながらカメラマンやスタッフ達に挨拶をした俺は、チャンミンよりも先に個人撮影をしたけれど、最後にふたりで撮影をして…これで、数日間の日本のスケジュールは全て終了この後は着替えて直ぐ空港に向かい夕方に韓国へと帰国する「チャンミナ、ひとりで寂しかった?」「…そんなにこどもじゃ無いですそれに、僕はプロです」隣に立って耳元で囁いたら顔を背けて反論されたけれども、耳が赤くなっている視界に入った項には噛み痕が見付からない昨夜もまた新たに少しだけ噛んだのだけど、しっかりとメイクで隠されている「それでは、まずは並んだままでカメラに目線をお願いします」カメラマンの声に、少しずつ立ち方や顔の向きを変えていくチャンミンとの呼吸は元々合うと思っていると言うか、長年一緒に仕事をしているから当たり前なのかもしれないけれど…付き合いだして、と言うか番になってからは更にそれが顕著になって来た気がする言葉では上手く言えないけれど、彼がどう動くのかが自然と分かるのだだからそれに合わせて動けるし…きっと、チャンミンも同様に感じているのだろうなと思う「とても良いですね、素敵ですでは、向き合うように身体をお互いの方へと向けて、顔は俯いて…はい、そのまま目線だけもらえますか?」日本での仕事は殆どが全て日本語で行われるだから、日本語での指示を聞き漏らしをしないよう神経を研ぎ澄ませる大変ではあるけれど、その分良いものが出来るし真剣に向き合えば伝わると思っている特に今は、オメガになったチャンミン、そしてチャンミンが所属している俺達ふたりだけのグループをこれからも存続させる為に、そして理解を得る為に良い仕事をしなければならない「チャンミナ、疲れていない?数日間大変だったと思うけど…」カメラのシャッター音を聞きながら、チャンミンにだけ聞こえるように呟いたチャンミンはちらりと俺を見てから視線を逸らしカメラを見据えた「ずっとユノヒョンと一緒だから大丈夫です歌番組の収録をふたつ行っただけ、の割には体力が消耗していますが…『そのお陰』で気持ちも落ち着いています」「…チャンミナ…大胆だな」つまりは、夜は俺に抱かれて体力は使っているけれども、精神的には疲れていないという事大胆で強いチャンミンにくすりと笑ったら、彼も俺を見て微笑んだ「あ、今の表情とても良いですねでは、チャンミンさんがユノさんの右肩に左手を乗せて…そのままで少し撮影します」カメラマンの言葉に従って、チャンミンの少し小さな手が俺の肩に置かれた仕事だとは勿論分かっているけれども、番になってから余計にチャンミンを求める気持ちが強まってしまっているから、彼のフェロモンや体温を感じて身体が熱を持ってしまう「ユノヒョン、少し熱く無いですか?」俯きながら、こちらを向いているチャンミンが少し舌っ足らずに囁いた「チャンミナもだよ多分、同じだなお互いに我慢しよう」「…当たり前です、仕事なので」なんて言いながら、視線が絡むとチャンミンは潤んだ瞳で俺を見つめるけれどもその視線も一瞬で、カメラに向けられると凛とした表情になる彼は元々表情豊かだけれど、最近それが更に進化しているようで、俺だけでは無くてスタッフ達も見蕩れているように見えたそして、それを見ると誇らしくなるのだ「それでは、向かい合うようになってユンホさんがチャンミンさんの肩に手を置いて…視線を合わせてもらえますか?」「はい、分かりました」チャンミンの手が離れていった肩は、それでも彼の熱さが残っているようで、何だか甘くじんじんと痺れたような感覚だ向かい合わせになって、カメラからは離れている右手をチャンミンの左肩に乗せたチャンミンは少し首を傾げるようにして、俺をじっと見据えている「あはは、なかなか強い視線だな」「本当は、オメガの本能がユノヒョンを欲しているんですが…そんな顔は仕事中は見せられないので」またそんな事を言って俺をどきりとさせる俺の方が動揺してしまいそうだけれど、勿論俺もプロだから顔には出さずに笑ってみせたチャンミンもそんな俺を見て挑戦的に微笑む「それに、見つめ合うような構図になった時に…僕がアルファであるユノヒョンに見蕩れるような表情でも作ってしまったら、『オメガだから』と言われるかもしれません僕は男だし、仕事ではユノヒョンに負けたく有りません」「…そんなチャンミナが好きだよ」元々、男らしく在りたいと常に考えていたチャンミンオメガになって、外見は中性的になったし…悩みを抱えている彼は少し弱くも見えたけれどもやはりチャンミンは強いし、それにとても男らしい「俺も…アルファなのにチャンミナに飲まれた、なんて思われないように頑張らなきゃって昔から思っているんだ」「本当に?」「ヒョンだしアルファだし、恥ずかしいから言わないようにしていたけどチャンミナの存在がプレッシャーだし…でも、チャンミナが居るから俺ももっと上に、って思えるんだ」伝えたら、チャンミンは少し驚いたような顔をしたそして、小さく頷いてから「もっとヒョンにプレッシャーを与えられる男にならないと」と言うと、まるでスイッチが入ったように表情が変わった男らしいだとか女性のようだとか…そういう事では無くて、チャンミンだけが持つオーラのようなもの「…良いですね、そのままもう少し…」カメラマンの指示をしっかり聞かなければいけないそう思っていたのに、もうチャンミンしか見えないし…チャンミンに負けないように俺も挑まなければならないそう思い、チャンミンと呼吸を合わせながらポーズを取っていたら…「ユノヒョン」「…っえ?」「ふふ、物凄く集中していたって事ですね撮影、全てOKだそうです」「…っあ、ごめん聞こえていなくて…」そう言えば、何時からかシャッター音さえも聞こえなくなったたまにこういう事はあって、集中し過ぎた時は周りが見えなくなってしまうチャンミンは微笑んで「何だかとても良い撮影が出来た気がします」と言ったその顔はもう、少し幼いチャンミンに戻っていたから…またどきりとしてしまった結局、どんなチャンミンの事も好きなのだスポットライトの下から降りて、スタッフ達に挨拶しながら撮影した写真達が映し出されたモニターの前へと向かったカメラマンや、撮影した写真を使う雑誌のスタッフ達と一緒に眺めていたのだけど…「あの、こんな風に言うととても失礼かもしれないのですが…」「…もしかして、僕の事ですか?」口火を切ったのは雑誌の女性編集長で、チャンミンはそれに少し低い声で返した撮影に関しては、とても感触が良かった最後の最後に周りが見えなくなるくらい集中する前にスタッフ達の反応も見ていたけれど、皆頷いたり…反応は良かったと思うけれども、編集長の言葉に他のスタッフ達も何か言いたげな顔少し胸騒ぎのようなものを感じながら、けれども次の言葉を待った「はい、チャンミンさんの…オメガに突然変異されてから今回初めてお目にかかりましたが、以前よりも少し中性的になったように見えましたなので、ユンホさんと並んだ時に更にそう見えないように…肩に手を置くならチャンミンが上から置いて、という方がバランスが取れるのでは無いかと話し合っていたのです」「…考えてくださってありがとうございます」戸惑っている様子のチャンミンに代わり礼を伝えた例えば面白おかしくだとか話題性を追求するのであれば、敢えてチャンミンに女性的な衣装を着せたりポーズを求める事も出来るけれども、オメガらしい、という世間のイメージにはならないように考えてくれていたという事俺の言葉に、女性編集長は「とんでも無いです、当たり前の事で…」と直ぐに返してくれたそれはきっと彼女の本心で、とても有難い少し緊張が解けたけれど、その後に何が続くのだろうと思っていたら、彼女は微笑みながら続けた「私達が勝手に、『こうすれば在るべき男性アイドルの姿に見えるのでは無いか』と考えていましたですが…チャンミンさんはどのようなポーズを取っても、今までと変わらずにとても魅力的でした勿論ユンホさんもですし、特におふたりでの撮影は皆息を飲んで見守って…チャンミンさんは二次性に囚われない社会を、と語っていらっしゃいましたが、それは叶うのでは無いかと思いました」「…あの…こんな事を聞くのは情けないのですが…」黙っていたチャンミンが小さく彼女に問い掛けた「僕は、しっかり男でしたか?」「はい、勿論です番になったお相手がいらっしゃると公表されたので残念だと思われた女性も多いかと思いますですが、それ以上にとても魅力的だと思いましたそれに、自らの言葉で語られていて…とても強い方だと思いました」勿論、仕事をしている以上俺達に良い言葉を掛けてくれているという事もあると思うけれども、彼女は最後に教えてくれた『チャンミンさんが二次性の事を公表した事で、新たにおふたりのファンになったという方も日本では居るんです』それはとても意外な出来事で…というのも、俺もチャンミンも、勿論全く世間の声を調べていない訳では無いけれど、やはり何処かで怖さもあって多くは知らないだから、初めは信じられなかったけれど、とても嬉しかった「え?俺も勿論知っているよと言うかふたりも分かっているんだと思ってた」全てのスケジュールを終えて空港に向かう車中マネージャーにその話をしたら、彼は当たり前だという顔で俺達に教えてくれた日本の雑誌の編集長は日本での話を教えてくれたけれど…韓国でも同様に、SNSに新たなファンの声があるし、事務所にも俺達を支持するという声が少しずつ増えているらしい「…どうして教えてくれなかったんですか…まあ、自分で調べなかった僕も悪いですが」チャンミンは嬉しさを隠すように頬を膨らませて、後部座席から少し身を乗り出してマネージャーに詰め寄ったマネージャーはチャンミンを振り返った少しだけ微笑んで、けれども表情を引き締めて「本当の事を言うよ」と前置きをした「本当は、少し前までは事務所に対しても抗議の声が目立っていたんだ」「…あ…そうですよね…」「…俺達がふたりを守るべきだと思っていたから敢えて伝えないようにしていたんだでも、チャンミンが配信を行ってから、少しずつ減って…今は、これからも応援するって声だったり、潔いアイドルのファンになったって声も多いんだ」チャンミンは力が抜けたように浮かせていた腰を座席に沈めた「それって、チャンミナが自ら望んで配信をして…チャンミナの口から語ったからですか?」「ああ、誠実だし着いて行く価値があるアイドルだとチャンミンの事も、変わらずにチャンミンと活動を続けているユノの事も…だから、ふたりは俺の誇りだよ」マネージャーは「本当は帰国したらきちんと話をしようと思っていたのに、日本のスタッフに先を越された」と少し拗ねていたけれど、自分達の国は勿論、多くの活動を行ってきた日本でもそのように思ってもらえた事は本当に嬉しい事だ「チャンミナ、良かったな」「…はい…」チャンミンは緊張の糸が解けたように頷いて、その後は何だか静かになった日本でずっと気を張っていただろうし、あのアルファとの出会いもあったし…帰国して明日は一日オフだから、ゆっくりとふたりで疲れを取ろうと思っていた空港にはファンの姿がいつも見られる日本では原則俺達を待ったり撮影する事は禁止…なのだけど、結局ゼロになる事は無い今回は入国した時も普段よりも更に多かったのだけれど、帰国時は更に増えていたとは言え、警備のスタッフや空港職員達も対応してくれたお陰で混乱する事は無かったし…例えば俺達に罵声を浴びせるだとか、そのような危険人物も居なかったようで、日本での仕事の全てはこれで無事に終わったと思っていたなのだけど…「チャンミナ、大丈夫か?疲れた?」「…っ、いえ…」車のなかで黙ってしまってからずっと、チャンミンが大人しい単に疲れたのだろうとは思っているけれど、やはり心配になってしまう飛行機に乗り込んで、隣のチャンミンの顔を見たら少し赤かったそして、漸く異変に気付いた「チャンミナ、もしかして…」「…っあ……ユノヒョン…」赤い頬に触れたその瞬間、チャンミンからぶわっとフェロモンが溢れたのが分かった今はもう、俺達は番になったから、オメガであるチャンミンのフェロモンも俺にしか作用しないだから、機内に例え他のアルファが居たって狙われたり襲われたりする心配は無いけれども、このフェロモンは俺達の間でのみ強く作用するし、もう何度も経験しているから分かる「ヒートになった、のか?」「…車のなかでおかしくなって…っ…どうしよう…」チャンミンの汗ばんだ手が俺の太腿に伸びたもう、飛行機は動き出して、此処は日本に向かう機内だ仕事は滞り無く終わったそれに、チャンミンがオメガになっても俺達を支持してくれるひと達が居るオメガであってもチャンミンは変わらないそれどころか以前よりも俺達ふたりとも魅力が増したようだとも言ってもらえた「チャンミナ、水を飲む?俺に出来る事なら何でもするから…一緒に頑張って耐えよう」「…っ、苦しい…どうして薬も飲んでいるのに…ユノヒョン…」誰かに悟られないようにしなければならないそうは思っても、チャンミンのフェロモンに俺の理性は簡単に崩れ落ちてしまうのだそれを知っているから必死に拳を握って深呼吸をして…最後の最後に、こんな事が待っていると思わなかった二次性はこうしてずっと、俺達についてまわる分かってはいても突きつけられると遣る瀬無くて…愛しているのに触れられない状況に気が狂ってしまいそうだと思ったランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 18May
生徒会長にお仕置き 2
五月とは言え日が暮れると外はぐっと冷え込むいや、それだって普段ならば気にならないくらいの気温だしどうこう言う程のものでは無い風もそれ程無いし、見上げれば幾つかの星が確認出来るくらいに雲も無く晴れているし…そう、つまり服だって今日はジャケットを着ているから快適な夜である筈けれども、僕にとっては今は全く快適では無いだって…「…っあ……ユノ…」「何?チャンミナさっきから立ち止まってばかりで…これじゃあ、何時まで経っても家に帰れないよ」ユノの歩くペースが早くて…いや、それも普段とはほぼ変わらない速さなのだろうけれども今の僕には着いて行く事すら難しいし、こうして立ち止まらないと大変なのだ「…分かってるくせに…ユノ、やっぱりもう…」暗がりで良かった事と言えば、夜で人通りも少ないから目立たない事今みたいに、普段は格好付けている僕が背中を丸めて下腹部を押さえていたって気付かれずに済む事つい十分前まで滞在していた高校の同窓会の会場では無いから、僕を完璧な元生徒会長だと信じている元同級生達に見つかる心配は無いって事それはそうとして、もうとっくに限界なのだ我慢する事には多分、慣れているけれども今はアルコールが入っている同窓会で久しぶりに会う元同級生達と代わる代わる乾杯をして、普段あまり飲まないシャンパンを何杯もアルコールには弱く無いけれど、酔いもあるそれに何より、多分アルコールが入っているから我慢も出来ない「ユノ…ねえ…」「チャンミナ…言っただろ?」何度目かの呼び掛けで、漸くユノは振り向いた暗がりでももうとっくに目は慣れたから良く分かるユノは呆れたように僕を見ている「俺という恋人が居ながら、ひとりで女子達に囲まれて嬉しそうに笑っていたよな?嫉妬させたいのか、単純に嬉しかったのか知らないけど…俺はチャンミナだけだから傷付くし、お仕置きが必要だって」「そんな、それは…ユノの方こそ女子に囲まれていたし僕の方なんて見てくれなかったし…」それに、同棲している部屋を出る時には『付き合っている事は秘密だし知られたく無いだろ?別々のタイミングで店に入った方が良いかな』なんて気遣いを見せてくれたのに…結局、ぎりぎりになったから『店の前で偶然会った』という事にして一緒に会場の店に入ったけれど最近ずっと、忙しかったり今までに無いくらいただ優しかったりそれが物足りなくて寂しかったそれが、急にお仕置きだなんて言い出して、もうトイレに行きたくて行きたくて仕方無いのに我慢をしなければ駄目だと優しく微笑みながら言われて、ぞくぞくするぞくぞくするけれど、アルコールと苦しさで頭はもうあまり働かない「ユノ、お仕置きは分かったよでももう本当に限界だし、これ以上我慢したら本当に外で…だから、公園に入ろう、ね?お願い…」立ち止まったのは、目の前が公園だから薄暗い小さな公園のトイレは綺麗でも無いかもしれないでも、そんな事はもう関係無いユノは僕がトイレに行けずそのまま我慢出来なくてて…なんて事になっても良いって言うけど、流石にそんな事になれば嫌われてしまうお仕置きだって言われて我慢する事は苦じゃ無いけれども流石に自然現象は厳しい「ユノに汚いところなんて見せたく無い女子にモテて喜んでとか…そんなの、ユノしか見ていないから」「……」「ユノ、お願い…」確かに、女子は僕の所にも寄って来た綺麗になった、だとか褒められたし、モテるユノを見て僕の方が良いと言ってくれた子も居た確かに嬉しい気持ちが無かった訳では無いけれどもそれは何より、以前と変わらずに異性に魅力的だと思ってもらえている事で…最近ユノにあまり触れてもらえていなかった不安を少しでも払拭出来たからつまりは、ユノが課題だったりで忙しくて、だから一緒に暮らしていても以前のように沢山抱き合えていないのだと分かってはいても、自分自身が以前よりも魅力が無くなったのでは無いかと不安だったからいや、それだって、彼女達からすれば魅力的だと思ってもらえてもユノにそう思ってもらえなければ僕には意味が無いでも、皆の前で僕をふたりだけの呼び名である『チャンミナ』と呼んでふたりで暮らしているからと言って会場を出て、そしてお仕置きなんて…それはやはり、以前と変わらずに愛されているという事嬉しいけれどもこれで我慢出来なくなってしまえばやはり嫌われてしまう「本当に喜んではいなかった?」「うん、ユノだけ、ユノしか見てないし好きじゃ無い我慢出来なくなって嫌われたく無い、だからトイレに…」約二メートル離れて僕の前に立っていたユノは、ゆっくりとこちらに歩いて来て至近距離で僕を見た僕の言葉に何か考えるような顔をしてから、ゆっくりと大きな左手が伸びたそして…「…っあ…!」「まだ我慢出来そうだけど…だって、今もちゃんと我慢しているじゃあ無いか」長い指が僕の中心を、綿素材のスラックスの上からぐっと押してきたその瞬間に思わず、助けを求めるようにユノのフーディーの胸元を掴んだ背中は丸まって腰は引いてしまって、我ながら情けないちゃんとしていなきゃって思っても涙が溢れるし力を抜いたら大変な事になりそうだし…「出来てない、もう無理、ゆのっ…!」何とか必死に言葉を捻り出したそれくらい、もう頭も回らない限界なのだ覗き込んでくるユノを見上げて首を横に振った「お願い」と何度も伝えたら、今度は優しく僕の膨らんだ下腹部を撫ぜて「可愛い」と微笑むその姿にぞくぞくしてしまうこれは、僕の大好きなユノだ「皆、元生徒会長様の姿を褒めていたし女子に喜んでいたみたいだけど…こんな姿は俺にしか見せない?」「見せない、ユノだけ…」「本当に?俺にならどんな姿だって見せられる?」「うん、うんっ…」意地悪で優しい笑顔僕が望む事を知っている笑顔僕だけを見て僕だけを望んでくれるユノ嫉妬してくれる事が嬉しくて必死で頷いたら「仕方無いな」と頭を撫ぜてくれた「じゃあ、公園でトイレに寄って帰ろうか」「…!」漸くお許しをもらえて安堵したけれども、そうするとまた前が苦しくなる相変わらず腰は引けてしまうし息は浅くなる「ほら、急ごう、限界なんだろ?」「ん…っ…」ユノの手が伸びて、左手が僕よりも体温の高い手に握られた触れていられたら安心出来るけれども楽になる事は無いから、唇はもう半開きでふうふうと息をしながら、必死で身体に力を込めてゆっくりと公園のなかへと足を踏み入れた「暗いな、チャンミナは怖くない?」「え?…あ、うん…ユノが居るから…」言われて気が付いたけれど、公園は本当に暗い灯りも一応有るけれど、遊具も殆ど無いし、緑があってベンチが有るくらいそれでも日中はきっと賑わうのだろうけど、今は誰かひとが居る様子は無い「あ、あれがトイレみたいだなちゃんと有って良かったな、チャンミナ」「え…本当に?良かった…」もう、暗さも何も気にならない分かるのはユノの体温と、それから何よりも自分の事だから、ユノの声に顔を上げて初めて…数メートル先にトイレが見えて来た事に気が付いた本当は走って向かいたいくらいけれども、それすら出来ないくらい限界涙も滲んでくるけれど、ユノが居るから大丈夫…そして、ユノが居るから汚い姿は絶対に見せられない「チャンミナ、急がなくて良いの?」「え…あっ、走るのも無理で…だから…」心配そうに顔を覗き込み声を掛けてくれるユノ必死な顔を見せたく無いトイレが見えてきて少し冷静になったから、何とか笑顔を作って答えたゆっくりだって、歩けばちゃんと近付いてくるその建物は、確かにトイレのようで、目の前数メートルに近付いてきたら入口も見えた後少しでこの苦しみから解放されるそう思った時…「チャンミナ、やっぱり余裕だな」「…え?」「笑って答えたくらいだし…本当は限界、だなんて嘘じゃ無いのか?折角心配して公園に寄ったのに…」「違っ、そんな訳…!」ユノの言葉はまた冷たくなった繋がれた手が離れたら心まで冷える「兎に角、もう無理だからトイレに…っえ、何…」余裕なんて無いだからもうトイレに向かって、話はそれからゆっくりしようそう思って歩き出したら、後ろから抱き竦められた勿論、嬉しいでも、今はそれよりもトイレに行かなきゃ限界で…「ユノ、離して…」「駄目だよ、俺から逃げたいの?余裕なのに限界だなんて言って…そんなの傷付くよ俺はこんなに、どんな姿だって好きなくらいにチャンミナが好きなのに…」「え…っふ…ん…!」右手は腹にまわされて、左手で顎を捉えられて顔だけで振り返った瞬間にキスで唇が塞がれたそれだけで力が抜けてしまって、背後のユノに凭れ掛かるようにして身体を預けた「可愛いな、チャンミナ俺だけを見ていないと駄目だろ?」「…ん…っぁ……ふ…」ユノの唇は甘いきっと、僕と同じようにシャンパンを飲んだり、甘党の彼の事だからスイーツを摘んでいたのかもしれないユノの唇に溺れてしまって、そうしたらトイレを我慢していた事も忘れてしまっていたなのだけど、次の瞬間…「…っあ!」「我慢しなくても良いよ、此処で出してごらん俺だけしか見ていないし、どんなチャンミナでも好きだから」「やっ、ゆの…っふ、ン…」後ろから伸びた手に下腹部をぐっと押されて、駄目だと言おうとしたらまたキス離れなきゃいけないのに、逃げなきゃいけないのにそうしてトイレに行かなきゃいけないのに「良いよ、このままチャンミナがおもらしするのを全部見ていてあげるから」「…っ、や……ん、っ…」キスの合間に囁かれる言葉が甘くて、離れられないそれどころか、もう…「見せて?全部俺だけに」「あ…」もう、ユノの声しか頭に入って来ない駄目だって思っているのに楽になってしまえば…そう思った瞬間に、もう一度「どんなチャンミナも好きだよ」意地悪になったユノが優しく耳元で囁いて僕の腹をぐっと押した「…っや…」頭のなかは真っ白になった必死で腕を伸ばして身体を捻ってユノの首に抱き着いて…後悔する事は分かっているのに、常識から外れてしまう事なんて本当は嫌なのに僕はユノの誘惑には勝てないらしいランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村
思うこと
ご訪問ありがとうございます昨日は、突然のインスタライブで24日のBeyond LIVEを前に準備中のホミンちゃんからのサプライズプレゼントのような幸せな気持ちを貰いました。…なんて書いておきながら、TVXQ公式、ユノとチャンミンのアカウントの全ての通知をオンにしていたのに何故か通知の来なかった私は見逃してしまい打ちひしがれていましたが、Twitterで別の方達がシェアしてくださった動画を見て…更にTwitterの公式アカウントからもインスタライブの光景が投稿されたので、のめり込む、どころか…な相変わらずのホミンちゃんを見て幸せな週末になりました転役後の、初のVLIVEの時も思いましたが、リラックスムードでユノの隣に座るチャンミンは背中を丸めて小さくなるのがとても可愛いなあと…そして、脚を揃えて座って手の振り方は男らしく大きく、なユノと、脚を広げてどっしり座っても手の振り方はまるで女子、なチャンミン、そしてそして信じられないくらい(けれどもホミンちゃんにとっては普通)な寄り添いめり込み具合に何度も何度も見てしまいます明日は一旦延期になっていたイーデイリー文化大賞の重賞式への出演があるようですし、来週はBeyond LIVEだし…またこれから色々な予定が増えると良いなあと思っています。というのはここでは前置きで…この記事は、表題通り私の思う事を残しておく独り言です。ここ数日何だかざわざわしていたり、個人的にも複数の読者様からその件について連絡を頂いていたり…があるので、あくまでも私個人が感じている事を文字にしようと思いますお話では無いので、必要の無い方はそっと閉じて頂けましたらと思います。また、年末の事…に関連する事に触れるので、その件は目にしたく無いよという方も同様に閉じて頂きますようお願い致します。そして、誰かや何か、に直接言及するものでは無い事をこちらに明記させて頂きます。私自身も、自分が何よりも大好きで大切なユノとチャンミンの事について、発信(と言うと大袈裟ですが…)しているので、自分なりに気を付けてはいますが…インターネットやSNSでは今は誰しもが自由に、そして簡単に発信、発言する事が出来ると思います。それは、インターネットやSNSが身近で簡単に使える物であったり、対面では無くて本名を出す事をしなければ匿名のように思えるから、というのが大きいのかな?と思います。(実際は何かあった時等に調べれば何処の誰か、と分かってしまいますが…)簡単に発言出来るし、例えば友人同士で話しているつもりの事が実際には誰でも見える場所に載っていたり、それを見た別の誰かがまた別の誰かに伝えたり…そうして、一個人の発言が独り歩きする事や、真実では無い事が真実のように広まる事も直ぐに起こってしまいます。なので、便利ですが、その分考えて利用する事が大切だと個人的には思っています。ユノとチャンミンは芸能人なので、インターネットやSNSだったりで探せばきっと幾らでも噂や良い事や、それにそうでは無い事も出てくるかと思います。それを有名だから仕方無いとは私は思いませんが、真実では無い事が沢山転がっている事も事実ですよねまた前置きのようになってしまいましたが…数日前に、Twitterで発信されたとある記事を見ました。それはチャンミンの年末の件に関連する内容でした。私はこれまで見た事の無いニュースサイトのもので、記事は短かったです。目を通して思った事は色々と有りますが…まずは、タイトルがとても目を引くものでした。また、内容については芸能関係者からの声、と書かれているものを記載してありましたが、その言葉も記事の言葉も、憶測でも書けるのでは無いかな?と思う事でした。そして、丁寧で前向きな記事に一見見えるのかな?とも思いますが、実際は例えばファンの事を「年配女性を中心に…」と書いていたり、個人的には色々と違和感を感じました。ライブやイベントに直接参加したり、ブログやTwitterで色々な方とお話した上での私の感じ方は、ファンの世代は幅広いかなあと…。私自身はふたりと同世代ですが、年上の方も年下の方もそれぞれ沢山いらっしゃるし、きちんとした記事やニュースだったりきちんと調べての上でしたらまた違う言葉になるのでは無いかな?と思いました。そして、例えば日本でも週刊誌やネットニュースの記事ではライターの名前が記事には記載されますが、当該記事は文章を作成した、もしくは取材した記者/ライターのお名前は見当たりませんでした。ニュースサイトに私自身あまり詳しくも無い為、当該サイトさんについて調べてみたのですが、Twitterのアカウントもフォロワーさんは少なめで、ニュースサイト自体も真面目な内容と言うよりはゴシップ系という印象を持ちました。(当たり前ですが、個人的にそう感じたという事です。)それなりに有名だと思うゴシップ系の会社の関係サイトで、そのサイトは以前にフェイクニュースを出したとも言われているようです。勿論、以前にフェイクニュースがあっても、記事元が小さな会社や注目度の高くは無いサイトだとしても、全ての記事を疑う理由にはなりません。ですが、取材もしくは文章を書いた方の名前を出す事無く憶測でも書ける内容で…それなのに、その言葉を受けて、例えばSNSやこのようなブログだったりのある程度開かれた、もしくは少なく無い方が見る可能性のある場所で「〇〇なようです」「〇〇となっているらしくてこのように思う」と具体的に書く事は、例え不安や悲しい気持ちが元だとしても、その記事と同じ事をしているようになってしまわないかな?と思いました。自分の思う事を、思うままに、読んでくださる方に上手く伝わるように書くというのは難しいのですが…信憑性があるかどうか疑わらしい何か、について不特定多数から見える場所で論じてしまう事は、結果元の事柄を広げる事に繋がりかねないと思うんです…というのも、出処の小さなひとつの記事(もしくは噂話)だったりを、鍵を掛けないままSNS上で話をしたり記事を引用したり、ブログでも同様にしてしまうと、その記事は結果見られる回数が増えますよね。または、この場合元のサイトの方達がSNSやインターネットを確認して、記事についての話で人々が(賛否は関係無く)盛り上がっている事を知れば「この人物を記事に使ってこのような話を出せば、自サイトが注目されるから利用出来る」となってしまう事もあるかと思います。また、ファンでは無い誰かが偶然記事だったり、私達ファンの言動だったりを目にした時にプラスのイメージにはならないかもしれません。(勿論これも全て私が思う事です。)何だかざわざわし出す前に当該の記事を見たのですが、初めは勿論悲しかったです。でも、やはり色々と違和感があるので調べてみたり、自分なりに考えました。例えば、年末のように一言であったとしても事務所や本人だったりの発言の何かがあったならば…それについてファンが見える場所でそれぞれ自由に語るのも当たり前だと思います。公式の話なら、つまり真実という事なので、広がっても問題は無いですよね。ですが、(もしも今後真実になる事柄だとしても)現時点で出処さえも確認出来ない話について「こう記事に書いてあってこう思う」と具体的に書く事や記事自体を広める事は、噂を広めてしまう状態になりかねないですし、『彼らを好ましく思わない(かもしれない)、もしくは詳しく無い(かもしれない)方達が真偽不明の色々な話をまるで真実のように見える場所で書く事や広める事』と結果的には似通ってしまうような気がしました。実際に昨日私がブログを開いたら、Amebaさんのアプリで良く出てくる「おすすめの記事」というようなものでその件について、が出てきたり…多分、TwitterでもInstagramでもブログでも具体的にある程度書いて、それについての思いが書かれていたり意見を交わしあっていたり、が少なく無いのではないかな?と思います。元は目立たないとても小さなものですし、ちらっと探してみても他の媒体や記事では同様のニュースのようなものは特に見当たりませんでした。小さなひとつ、が色々な理由で拡散された結果、多くのファンが不安になったりそれぞれまた別の方へと伝聞したり…公式からの何か、では無いのにここまでなってしまう事が怖い事だし、ユノとチャンミンの為にもならないんじゃないかなあと思って…あくまでも私は、ですが、それが一番悲しくなりました。ニュースにしても、SNSにしても、色々な話題で不安を煽るようなものは少なく無いと思います。私もそうですが、好きだからこそ知りたくなるし、好きだからこそ不安になったり色々な事を考えるし…それを、ただ閉じ込めて我慢する事が良い事だとは思いません。私はふたりのファンなので、悪意を持って広めようとする事はまた別として…今回のような時だったり噂のような事について具体的に話をしたり言葉を交わす時に、例えばSNSでも鍵を掛けた場所で話をするとか、LINEを使ったり、サイトやブログだとしても鍵を掛けたり…色々な方法が有りますよねそして、自分自身の気持ちは勿論、それを見る(かもしれない)方の気持ちだったり、自分と同じ…私なら、ホミンちゃんをお好きな方達が自分の言葉や文字でどう感じるか、を考えながら文字にして吐き出す事は大切なんじゃないかなあと思うんです。どんな言葉も記事でも何でも、広がるのは切っ掛けさえ有ればあっという間ですよね。広がってしまえばもう、元が何であったのかは薄くなり、伝言ゲームのようになってしまう事も少なく無いかと思います。公式発信だったり、大きなメディアが複数報じている何か、発信元が顔や名前を出しての上での何か、でしたらまた別かと思いますが…今回のような場合は、心のなかで色々と思っても、それとは別に多くの方が見る事の出来る場所にその気持ちだったりを残したり誰かに伝える場合は伝え方や手段について考える事も必要なのかな?と思いました。勿論、LINEや鍵をかけたSNSや鍵記事のような限定的な場所で話をするのでしたらその必要は無いかと思います例えばこんな私の意見を見て、大袈裟だと思う方や思った事や感じた事を何処でどう書くのも皆自由だと思う方もいらっしゃるかもしれません。勿論何を思って何をするか、はそれぞれ自由だとも思います。ですが…私は私なりに、誰よりもユノとチャンミンの事が本当に本当に大好きで、彼らの活動をファンとして長く応援したい気持ちがあって…好きだからこそそう思いました。なんて、書いている私自身が語彙力も無ければ上手く伝えられるだけの文章力も無いので、まずは自分がもっと色々な事を考えなければ…と思いますでも、ショッキングだったり目を引くタイトルや何かで閲覧する時は時間を置いて冷静になる事も大切なのかなあと思います。そして、自分自身がそんな何かを受けてインターネットやSNSに文字を残す時は、自分がそうならないように気を付ける事も大切なのではないかなあと思いました。ユノとチャンミンの東方神起がこれからどうなっていくのか、だったりふたりのプライベートな事だったりは、勿論ファンの私達には分からないですよね例えば無数にあるかもしれない噂や何かのなかには結果的に当たる事もあるかと思います。でも、出処すらはっきり分からない何か、に振り回されてしまう事は何だか勿体無い気がするんです…上にも書きましたが、私自身好きだからこそ色々知りたくなるし、目にしたくは無い何か、を見ると直ぐに悲しくなって頭のなかはそれでいっぱいになってしまいますでも、今まで直接ふたりを見て来て、そして最近のふたりを見ても、ユノとチャンミンがお互いを大切にしている事や歌う事、ステージを大切にしている事…これからもふたりで活動を、と思ってくれている事が言葉でも行動でも伝わってくるとあくまでも私は思っています先が見えないこんな時だからこそ、いつもいつも幸せな気持ちを沢山沢山くれるユノとチャンミンを、つまりホミンちゃんを応援したいし、これからもファンとして応援し続けられるように今出来る応援をしたいなあと…今日も変わらずにホミンちゃんへと気持ちが重過ぎて大変です芸能人や知名度のある方はホミンちゃんに限らずそうですが、不特定多数の声を浴びる事やインターネットやSNS上にあらゆる声が溢れる事は一般人である私達には想像すら出来ない事だと思います。そして、無名の私達一般人やファンの言葉も大きくなってしまえばあっという間に広がり影響が出てしまう事もあるかと思います。まずは何よりも自分が…ですが、ひとりひとりが考えたり、調べる事が大切なのではないかなあと思いました。と、本当にあくまでも個人的に思う事なのですが、自分の気持ちを整理する為にも文字にしてしまいました年末の件でも思いましたが、自分と同じようにユノとチャンミンをお好きな方がもしも悲しい思いをしていたりするのなら、私も悲しくなってしまいます。(気持ち悪い自覚は常にあります申し訳ございません…)ファン活動は楽しく幸せに出来る事が一番だと思います。なんて、好きだからこそ色々常に考えてしまう私が書く事では無いかもしれないですが…だからこそ、と言うとおかしいかもしれませんが、このお部屋のお話だったりで、読んでくださる方が少しでも楽しい気持ちになってくださったり、ホミンちゃんへの「大好き」という気持ちを共有出来たら良いなあと(勿論私が勝手に)思っています。普段通りの生活が戻るまではまだまだ時間が掛かりそうですよね。本当に本当に素晴らしい企画、Beyond LIVEはありますが、日本人の私達がホミンちゃんに実際に会って応援するのもなかなか、な感じで…ですが、次にまた笑顔で応援出来る日を夢見て、自分の出来る全力でホミンちゃんを応援したいなあと思いますそして、ホミンちゃんは勿論、このお部屋を訪れてくださる皆様がいつも幸せであって欲しいと願っています。何の事?な独り言になってしまいましたが…それでは、またお話でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村本当にどうでも良いひとりごとTwitterでも書いたのですが、写真集「LIFE IS A JOURNEY」のなかでも、ホミンちゃんが揃って済州島で撮影したふたりの写真の表情がどれもとても穏やかで幸せそうで大好きですなので、その1枚を上のバナーに選びました
未必の恋 33
僕がずっと憧れてきた、まるで生きる世界の違うひとけれども、彼も僕と同じただひとりの人間で、僕と同じように小さな事に幸せを感じたり、恋をして嫉妬をしたり…クールに見えるのに甘い物が好きで辛さに弱かったり僕よりも二歳年上なのに、少年のような面があったり知ってみれば当たり前なのかもしれない事けれども彼に心酔して『彼は宿泊客で僕はホテル従業員だから』と後一歩を踏み出せ無かった僕にはなかなか知れなかった事も、後一歩を踏み出して彼、つまりユノさんと真正面からひとりの人間として向き合ったらきちんと感じる事が出来た僕は僕なりに考えて、ユノさんに対する特別過ぎる気持ちを秘めてきた臆病だったり自分の心に言い訳してばかりだったけれども、仕事に対するプライドや責任感から来るものでもあっただから、例えばもっと早くに告白をすれば良かっただなんて思わない「……」「どうしたの?車酔いでもした?」「…え、あっ、いえ何でも無いです」タクシーから降りて、ユノさんが準備してくれたピンクベージュのジャケットを羽織った厚手では無いけれど、羽織ると暖かい料金を払ってタクシーから降りたユノさんが僕を覗き込んできたから首を横に振って笑ったら、タクシーのなかでも散々言われたのだけど「天使みたいだ」と言われた「…タクシーのなかなら他に運転手しか居ないので、僕が天使にも見えてしまったのかもしれないですが…女性も沢山居るし、訂正するなら今だと思います」タクシーを降りたのは商業施設の入った高層ビルの目の前平日だけれど賑わっていて、特に女性が目立つユノさんが準備してくれた、突然のデートの為の服突然のデートは、ユノさんが帰国する前の最後のデートになるなんて事は考えると目の奥がじわりと熱くなり涙が滲みそうになるから考えないようにしたいのだけど…そう、今僕が身に付けている服は自分でならコーディネートする子との無い上下白ユノさんはそれを見て『天使だ』なんて言って、タクシーのなかで何度も何度も繰り返されたけれども、綺麗な女性を見れば僕を天使だなんて思わないかもしれない恥ずかしさと、それから同性同士だから…という少し卑屈になってしまう気持ちそれらから、訂正はしなくて良いのですかと言ってみた「…何か言ってください」「…」僕の言葉を受けたユノさんはじっと僕を見てくるどうして良いか分からなくて、視線を逸らして右手で左腕をぎゅっと掴んで構えたら…「チャンミンは未だ俺が本気じゃあ無いって思っているの?」「え…そんな訳…」「駄目だな、未だ伝わっていないだって、俺の気持ちがきちんと伝わっていれば、チャンミンを天使だって思う事も当たり前だって感じてもらえる筈だから」ユノさんはそう言うと「手加減せずに、もっと情熱的にいかないと駄目だな」と、まるで独り言のように呟いたその顔は真剣そのものだから、どうやら冗談では無いようだけれども、幾らユノさんの事が大好きで憧れて尊敬していても、今の言葉にはそうだとは思えない「ユノさん」「何?俺の天使」「…っもう!その、ちゃんと伝わっていますユノさんが僕を…物凄く愛してくれている事を」「うん、でもまだまだ…チャンミンが思っているよりもずっとだよ」毅然と伝えようと思ったのに、直ぐに笑顔のユノさんのペースに持っていかれそうになるデザイナーというよりもモデルだとか俳優のような整った顔とスタイルつい見蕩れてしまったけれど、気を取り直して「聞いてください」と続けた「本当に伝わっています、とても嬉しいですでも、僕は三十三の男ですユノさんの気持ちが伝わったら天使だと言われても素直に受け入れられるだなんて…流石にそれは…」こう言えば僕の恥ずかしい気持ちが伝わると思ったけれども、ユノさんは首を傾げて僕をじっと見る「あの…つまり、そう言う事です天使だなんて言って頂ける事はその、嬉しいですが…三十を超えた男なので当たり前とは思いません」我ながら可愛く無いけれど、そもそも男だそれに、実際に道行く女性達の方が皆僕よりも小柄だし、僕よりは天使と呼ぶに相応しいだろうなんて思ったら、ユノさんの腕が伸びて肩を掴まれてそのまま…「…っん…!」一瞬で視界がユノさんの綺麗な顔でいっぱいになって、唇が重ねられた人通りもそれなりにある道で、唇は直ぐに離れたけれども突然のキスに一気に体温は上昇唇を右手で押さえて視線を泳がせていたら、僕の肩から手を離したユノさんは満足気に微笑んだ「うん、やっぱり」「…やっぱり、って…?」「年齢だとか性別だとか、そんな事は何も関係無いよチャンミンが一番可愛いし俺にとっては天使なんだ例えチャンミンが何と言おうと俺の気持ちは変わらないから、諦めて受け入れて?」情熱的な行動、それに言葉にもう僕は何も言えなくて、ただ小さく頷くだけそっと僕の腰をエスコートするようにして歩き出したユノさんは「突然ごめんね」と人目を気にする僕に申し訳無さそうに囁いてきた違う、嫌な訳じゃ無い、ただ自分に自信が無くて恥ずかしくて、それにユノさんの目がいつか覚めるんじゃあ無いかって不安なのだ「ユノさん」「うん?」「…僕がユノさんの天使だって言うなら、ユノさんは僕には勿体無いくらい完璧で最高の恋人です神様だし王様だし、兎に角凄いんです」夏にはまたユノさんがソウルに戻って来てくれるその後は活動も生活も此処が拠点になるそれまでの少しの間の別れが寂しくて切なくて不安庶民である僕が世界的なデザイナーであるユノさんの恋人で良いのだろうかという不安それは簡単に消える事は無いのだろうけれども、ただそれを伝えるよりも、情熱的に気持ちを伝えてくれるユノさんに負けないくらい自分の気持ちを伝えようと思った言葉にしてしまうと陳腐かもしれないけれど、僕の本音それを恥ずかしいけれど伝えられたから少し満足して、ユノさんの言葉に恥ずかしくてどうしようも無くて…なんていう動揺も落ち着いたけれども、歩いて施設のドアを潜ったのにユノさんが静かだ案内板の脇で立ち止まり左に立つひとをちらりと見ただって、やって来たは良いけれど、この先どうすれば良いのか分からないから「あの、ユノさん…さっきのは本音ですだから、もしも嫌だと言われても僕はユノさんの事がとても好きでそう思っているので、受け入れて頂かないと困ります」ユノさんの言葉を借りて、目を合わすのは少し恥ずかしいから口元を見ながら言ったすると、少し厚みのある唇の両端がゆっくりと上がったからその意味を知りたくて僕も視線を上へと動かした「チャンミン」僕を呼ぶ声も、持ち上がった口角同様嬉しそうに聞こえるけれども、切れ長の瞳は何だか企みを含んでいるような気がする「俺はチャンミンの王様なの?」「…そのような感じです」「じゃあ、王様の命令や言いつけは絶対だよ可愛い天使を従える王だなんて嬉しいな」優しい笑顔けれどもやはり、何だか揶揄われているようだそんな、僕の神様で王様のようなユノさんをじっと見つめてみたら、彼は僕の頭を撫ぜてから頷いた「良し、チャンミンじゃあ、このデート中は俺の言う事を聞く事ノーは駄目だよ」「え…何でも、ですか?」はい、と言いたいところだけど、無条件に何でもだなんて大丈夫なのか分からないそれに、優しいユノさんだから無いとは思うけれど、もしも僕には難しいお願い事だったりをされてしまったら簡単にイエスとは言えないだから、どういう事なのか尋ねたかったけれども彼は更に笑顔で「勿論」と答えた「だって王様だからチャンミンには拒否権は無いよ」今日は、ユノさんがホテルをチェックアウトしてイタリアに帰国する前、最後のデート残された日にちは後三日で、三日は傍に居られるでも、ふたりきりでホテルを離れて過ごすのは今日がきっと最後だからこそ本心でユノさんに向き合いたい漸く今、一番素直に自分の気持ちを伝えられるようになったそれなのにユノさんの言葉には全て従って拒否権が無いだなんて、何だか僕が僕では無くなるような気がした「OK?」「…はい」もしかしたら、僕が考え過ぎているだけかもしれないでも、考えて考えてやっと素の僕を出せるようになったと思ったのに…そう思うと少し切ない切ないけれども、ユノさんの笑顔を見たら結局NOとは言えないやはり、ユノさんは僕の王様で神様なのだ「良かったじゃあ行こう、俺の天使」「天使もその…嬉しいですが、名前で呼んで欲しいです」手を伸ばして来たから、反射的にその手を掴もうとしたけれどもまず、此処はふたりきりで過ごせるホテル最上階のVIPスイートルームでも無いし、百歩譲って僕達の関係が知られる事になってしまったホテル内でも無い商業施設だから伸ばしかけた手を止めて、ユノさんに要望を出したイエスノーで答えられる事では無いから、これは許される筈「では、俺の天使チャンミンデートに付き合ってくださいますか?」『王様』なのに、まるで王に仕える従者のように流れるような仕草で右手を胸の前に持ち上げて頭を軽く下げた「…はい…僕の王様…じゃ無くて、ユノさん」「あはは、俺の事はいつも通り呼んで」「ふふ、分かりました」堂々と王様と呼んだら少し恥ずかしがっている様子そんな風に可愛いらしい姿を見たら、切なさも小さくなる「時間は有限だから沢山楽しもう俺は初めて来たんだけど、チャンミンは此処に来た事は有る?」「はい、何度か…でも、最近は全くなので店も分からないですだから、初めてのようなものです」ユノさんは「じゃあ、ふたりとも初めてって事にしよう」と笑って僕の左手を何だかとても自然に取って握った「あの、ユノさん、デートとは言え目立つかと…」「デートだから今日くらい目立って良いんだそれに、チャンミンは俺の自慢の天使で恋人だから…駄目?」「ノー、は無しなんですよね?だから駄目では無いです」王様なのに、僕を窺うように尋ねるそんなユノさんに、少し生真面目に答えてみたら僕の王様は嬉しそうに頬を持ち上げて「ありがとう、好きだよ」とさらりと言ってのけたショッピングモールにレストラン、ホテルに水族館、それに上には展望台まである高層ビルロッテワールドタワーのなかのモールがユノさんが発つ前の最後のデートを行う場所「男同士だという事を除いても、僕は本来目立つ事があまり得意では無いんです」「知っているよ仕事でのチャンミンは堂々としているけれど、素のチャンミンは控えめだから」「…はいだから、デートだからと外で触れたりだとか…手を繋ぐのも本当は慣れていませんでも、ユノさんとは…離れたく無いから恥ずかしくても良いです」男同士だから、ユノさんが綺麗な女性を見て僕に幻滅しないだろうか、と怖くもなるでも、僕自身はこの恋を自覚するにあたって男だとか女だとか…そういう事では大きく悩まなかった僕にとってユノさんは性別なんて関係無いって思えるくらいあまりに魅力的で素敵なひとだから「恥ずかしくても良い、なんて言われたらもっと触れたくなるよ」「…周りの迷惑にならないように、でお願いします」「あはは、それは勿論でも、手を繋いでいられて嬉しいチャンミンと居ると心が弾んで、まるで十代に戻ったみたいだ」「モールのなかを見てみよう」と言うユノさんに頷いてエスカレーターへと向かったまだ恋人になる前僕自身ユノさんへの想いを必死で恋では無いと言い聞かせていた時、ユノさんにスーツを四着も買ってもらったその内の二着はオーダーで、完成する前にユノさんはイタリアへと帰ってしまうのだけど高価なプレゼント、それは勿論嬉しいし値段に関係無く好きなひとが僕の為に選んでくれた物ならば何だって嬉しいユノさんに買ってもらったスーツは僕の宝物のひとつになったでも、何よりも嬉しいのはユノさんからの言葉と気持ち「僕は、ユノさんと一緒に居ると、こんなにもひとを好きになれた事が幸せだって思います」エスカレーターに乗ったら繋いだ手は離れて、ユノさんに促されるように僕は彼の前に立った直ぐに前を向いてしまえば、どんなに恥ずかしい言葉を伝えても恥ずかしさは軽減するだから、振り返って本音を口にしてから直ぐにまた前を向いて俯いた前を向いてもやはり恥ずかしくて、後ろからユノさんが僕を見ていると思うと身体が熱くなるエスカレーターを降りて俯いていたら、後ろからユノさんの手が僕の項に触れた「チャンミン」「…はい」「俺も同じ気持ちだよデザインを、自分のブランドや仕事を愛しているんだ俺はそれ程器用では無いし、もう当分仕事が有れば良いとも思っていただけど、チャンミンに出逢えてからもっともっと、更にこれから頑張ろうと思えた俺を成長させてくれるような天使と出逢えて幸せだ」「ユノさん…」特別な事なんて何もしていないただユノさんに憧れて好きで…そんな僕だけれど、少しでもユノさんの力になれたならば嬉しいまた手を繋いで歩いて、傍に居られる幸せを噛み締める歩いているだけでも勿論楽しいけれど、僕ばかり…気持ちだけで無く物も貰ってばかりだから、僕も形になる物を何か渡したい手紙も書いてみたけれど、そんなの僕の自己満足だ「あの…」折角モールに来たのだから、サプライズにはならないけれどユノさんに何かプレゼントをしたいそれを提案しようとしたら、ユノさんは壁際で急に立ち止まり僕をじっと見てきた「…ユノさん?」「…実は、チャンミンに白い服を着てもらったのはメッセージだったんだ」「え…この服の事ですか?」彼がホテルの部屋に準備してくれていた、白のシャツと同じく白い細身のパンツデザイナーらしいユノさんの言葉けれども、僕にはそれを瞬時に汲み取るだけの美的センスだったりは足りないようで何も分からない『教えてください』と目で訴えたら、ユノさんは手を繋いだまま、空いている左手で少しこめかみを掻いてから僕を見て口を開いた「チャンミンに白を着せて、俺の色に…俺だけに染めたいって思ったんだ」「え…」「だけど、想像の何倍も似合うし本当に天使のようだし…最近のチャンミンがとても素直で可愛いから、俺の方がチャンミンに夢中で『染める』どころじゃあ無いかもしれない」まるで映画やドラマのような、ともすれば気障なせりふでも、ユノさんが言うと嵌ってしまうから不思議だそれに、彼が冗談や誇張では無く本当にそう思ってくれているのだと伝わってくるから、嬉しくて恥ずかしくて…少しこそばゆい「じゃあ、王様を僕色で染められるように今日は頑張りますなので、まずは…僕色に染められる何か、をユノさんにプレゼントしたいです離れていても形に残るように…なんて言う僕の独占欲でも有りますが」ユノさんと違って決まらない僕でも、勇気を出して、ちゃんと思っている事を口に出来たから、我ながら成長したと思おう「どうですか?」と尋ねたら、ユノさんは「嬉し過ぎるサプライズだ」と破顔して…「…っ、ユノさん!」「デートだから、ノーは駄目」抱き締められて耳元で囁かれたら、身体から力が抜けてしまうゆっくりと背中に腕をまわして、目を瞑って僕よりも逞しい身体を抱き締めた恥ずかしいけれども、目を瞑ればユノさんと僕だけの世界になるからホテルマンとして生きているから、ひとの迷惑になるような事、それに非常識な事はしてはいけないと自戒しているでも、ハグだけだからもう、一緒に居られる時間は後僅かだからランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 17May
black day 30 前編
もう既に付き合っているつもりだと思っていた俺そして、まだ俺からのはっきりとした答えが無いから恋人未満だと思っていたチャンミンそんな俺達が薔薇の花を贈り合って正式に恋人同士になってから丸二年が経った三度目のローズデーに、もう一歩これから先の未来を見据えてチャンミンに改めてプロポーズをした改めて…と言うのは、これまでも数回プロポーズをしているからだ思い返してみれば、チャンミンとは付き合って割と早い段階で俺はもう彼に夢中になっていたそれまで人並みに恋をしては来たけれど、例え俺から惚れても女性から想いを寄せられてもその相手がどれだけ美人で性格が良くても…何故か夢中になれず、ふたりきりで居る事が徐々に苦痛になったりデートすら義務的なものになってしまったからそんな自分が自分で嫌で、どうしてなのかも分からず…付き合うからには大切にしたいとは思っても結局理想ばかり上辺でしか『好きだよ』と言えないでいたら、女性達からそれを見抜かれて振られたり、話し合いの末別れを選んだりそんな風に、俺にはあまり恋愛は向いていないのだろうと思っていた大学入学と共にソウルに出て来たから、そんな俺の恋愛事情について両親は詳しい訳では無いけれども、俺がそれなりに何故かモテていた事は知っているし、高校時代も大学に入学したそれ以降と変わらずに彼女が出来ても長くは続かなかった事も知っている昔、確か父親に『女性を振り回して遊ぶんでいるのなら止めなさい』と言われた事があるもし、心当たりが少しでもあれば認めて謝罪していたけれど、俺はいつも真剣に向き合って…それでも夢中になれずに関係が終わってしまっていたから、それを素直に伝えた父親は、俺の表情や言葉で真実なのだと分かってくれて、『何時かずっと大切に想える相手に出会える日が来る筈だ』と言ってくれた漸く出会えた『ずっと大切に想える相手』それは、自分でも予想外の同性だったけれど、そんな事は関係無いって知り合って二年以上経ってもはっきりと思えるだから、出会って三年目のローズデー、そして正式に付き合い出した記念日である十四日に恋人であるチャンミンに再度プロポーズをして、週末に俺の実家に一緒に来て欲しいとお願いをしたなのだけど…「ごめん、予定が急だったかな…」「そんな事無いです僕の仕事が急に昨日入らなければこんなに焦らなくて済んだだけなので」改めてプロポーズをしたのが十四日、つまり木曜日そして今は約束の日曜日今日は朝からチャンミンの部屋に彼を迎えに行って、それからふたりで美容院へとやって来たと言うのも、チャンミンは『ユノさんの両親にご挨拶をするなら少しでも身嗜みを整えないと失礼です』と言っていて、俺の実家に向かう事を快諾してくれた直後に土曜日に美容院に行くと言っていたのだそれが、翌金曜日に彼の上司に大きな仕事が入ってしまい、チャンミンは自ら手伝いを買って出て昨日の土曜日が一日潰れてしまった「髪の毛を切りたいと言うのは僕の勝手だから良いんです時間も午後早めで無くても良いなら間に合いそうだし…」受付を済ませて呼ばれるまでの間待合スペースで並んで座るチャンミンは俺を見て「ユノさんが気にする事じゃ無いです」と笑ってくれる普段ならばそれで終わるところ、かもしれないでも…「その、実は…」「何ですか?」二十五にもなって、親から指摘されて自分の至らなさに気付くだなんて恥ずかしいけれども、言われてみればそうだと思ったから、きちんと謝りたい「昨日チャンミンが仕事になった事を、丁度連絡をもらっていた親に伝えたんだ話の流れで『木曜日に伝えたから準備をする時間が無くて…でも、会うだけだし大丈夫だよな』って」「えっ、そんなの伝えなくても大丈夫です気を遣われたら申し訳無いですし…」ほら、やはりチャンミンの方が俺なんかよりも余っ程人間が出来ていると言うか、親の言う通りだつまり…「いや、俺が悪いんだ」「え?」首を傾げるチャンミン恥ずかしいけれど、俺には勿体無いくらい出来た恋人を大切にしたいから、繰り返さない為にも気付いた事はちゃんと伝えたい「親に…と言うか母親に『恋人の実家に向かうなんて物凄く緊張する事なのに、そもそも木曜日に本人に伝えるなんて遅過ぎる』って言われたそれで…初めて自分が舞い上がって無計画だった事に気が付いたんだ」「…ユンホさん…」「ごめん、言い訳になるかもしれないけど…記念日に俺にとってはこれからの俺達の未来にとって大切な事を伝えて、そうして両親にきちんと紹介してこの先に繋げたいと思ったんだ結婚は現実には難しいけれど、出来る事はしたいそれで…だけど、大切な事だからこそゆっくり準備する事も必要だよな」言い終えてから、座ったままではあるけれど腿の上に両手を置いてチャンミンに向かって頭を下げた俺の出来た恋人は、直ぐに俺に手を伸ばして「顔を上げてください、それに美容院のなかだし…」と、多分とても恥ずかしくて困っている様子ああ、またこんな風に思ったらそのまま言葉にしてしまうけれども、それはチャンミンと出会って俺が変わった部分でもあるから…なんて言ったら、また両親には叱られてしまいそうだけれどでも、大切だからこそ嘘無く向き合いたいのだ出会った時からずっと、チャンミンがそうしてくれているようにと、俺は何時でも真剣だけれど、これから髪をカットするチャンミンからすれば待合で目立つのは恥ずかしいという気持ちも分かるそれだって、付き合っている事は知られても問題無いくらいチャンミンは自慢の恋人だ…と言うのが俺の本音でも、それは俺の気持ちの押し付けになるから、ぐっと我慢して顔を上げて微笑んだ「ユノさん」「ん?」チャンミンはこちらを見て、何だか真剣な顔やはり、美容院のなかで目立ってしまったから何か思われてしまっただろうか…なんて思っていたら、チャンミンはぷくりと頬を膨らませたやはり、俺の思った通りかもしれない、と窘められる覚悟も決めたしそれだって羞恥心から来るものだろうから何を言われても問題無いそんな思いも、チャンミンは超えて行くから…だから、俺はまた彼に夢中になってしまうのだ「ユンホさんのご両親まで僕に気を遣ってくださったのなら本当に有難いですでも、ユンホさんが謝る事なんて無いですだって、もう先月から何度か電話で話をしているし…その内に会いに行こうという話もしていましたよね?だから、心の準備はしていました」「チャンミン…」「急に予定が決まったので物凄く緊張はしていますでも、声を何度も聞いて話をして…その、男同士でも僕に会いたいと言ってくださっているユンホさんのご両親にちゃんと挨拶とお礼をしたいんです」真っ直ぐに俺を見て語ったチャンミン『男同士でも…』からは、少しもごもごとしながら、囁くような声になったけれどそれでも俺から視線を逸らす事無く最後まで伝えてくれたほら、やっぱりチャンミンがこんな風に中性的で気弱そうにも見える外見なのに中身はとても芯が通っていて、そんな彼の事を愛しているから…俺も彼を見習って、気持ちをしっかりと伝えようって思うのだ「チャンミン」「…この話は終わりです」「じゃ無くて…抱き締めたい」「えっ、そんなの今は…」勿論、ちゃんと目立たないように小声で右側に座るチャンミンの左の耳元で囁いたら、あっという間に頬を赤くする可愛いからやはり今抱き締めてしまいたいでも、我慢だ「此処を出たらこっそり抱き締めても良い?」「…見られない場所で、なら」ついさっきまで俺の目を真っ直ぐに見て話していた芯の強い青年は、今はもう俯いても赤い目元が隠せない可愛い青年になったどんなチャンミンも、今まで特別な誰かなんてもう現れる事なんて無いだろうと思っていた俺の…何があってもこの先一緒に居たいと思う、愛すべきひとだ「…シムさん、いらっしゃいますか?お待たせ致しました」「あ!はい…じゃあユンホさん、少し待っていてください」「うん」立ち上がるチャンミンはまだ少し頬が赤い今の、少し前髪と襟足の伸びた姿も可愛いけれど、夏に『切り過ぎてしまいました…』と半泣きで俺に言った短髪のチャンミンも可愛かった「結局、好きなひとなら何でも愛おしいし…見た目でなんて変わらないって事だよな」小さく呟いて頷いて自己完結をしたチャンミンを待つ間、待合に置いてあった雑誌を読んで時間を潰したそして、勿論これから訪れる両親にも連絡を両親は『手土産だったり、気を遣う必要は本当に無いから』『私達も緊張しているけど楽しみにしているから、気構えないで欲しいとチャンミン君に伝えて』と俺にメッセージを返したそれはもう、昨日も聞いていて、俺からチャンミンに伝えているけれども再度伝えているのは、声で話を交わしたチャンミンの事を両親も気に入ってくれていて、そして…多分、俺がちゃんとチャンミンに伝えるか、あまり信用されていないから、なのだろう「…急に実家に行く事をチャンミンに伝えたのは…それも、俺がそれだけ夢中で本気だって事だし」と、また言い訳してしまうけれど、勿論二十五の俺が両親に敵う訳は無いそれに、彼らの言葉を聞いて、また更にチャンミンを大切にしようと思えたチャンミンのカットを待って約三十分事前にどのようにするのかチャンミンに尋ねたら『少し伸びたし整えるくらいです』と言っていたそれから『ちょっと切るくらいで変わらないって思うかもしれないですが、僕なりのけじめだし、初めて会うからきちんとしたいという気持ちです』とも言っていた俺の恋人の髪型はいつも…いや、髪の毛を切り過ぎてしまった昨年の夏を除いては、前髪を下ろして少し癖毛な髪の毛をブローで真っ直ぐに整えたシンプルなスタイル朝に整えても、湿気だったりで直ぐにくるりと跳ねるのだけど、俺にとってはそれも可愛くて仕方無いどんなチャンミンでも好きだから、髪型ひとつで左右なんてされないそれよりも俺の両親に会う為に…プロポーズに応えてくれて髪の毛を整える、というのが何よりも嬉しい残念ながら、待合スペースからはチャンミンの座る椅子は見えないから、仕上がりを楽しみにしながら両親とのメッセージのやり取りを終えた時…「あの、お待たせしました少し時間が掛かってしまってすみませんやり過ぎにならないようにセットもしてもらって、だから…」「…え……」「お会計も済ませたので行きましょう」椅子に座る俺の目の前に立って、少し早口でそう言ったチャンミンは我先にとくるりと背を向けて扉の方へ向かう一瞬固まってしまった俺は、慌てて立ち上がりチャンミンに続いて扉を出た今日のチャンミンは、紺のジャケットとセットアップになっている細身のパンツ、それに白いシャツを着ている本当はスーツのつもりだった、と言われたのだけど、両親から気楽で良いとも言われているから、話し合った結果この服装になったのだ普段の、と言うか髪の毛を切るまえのチャンミンだと、何だか高校生のようで可愛らしかったそれは勿論、伝えたら彼が気にしてしまうだろうから胸のなかに留めておいたそれが、美容院を終えてみたら全く印象が変わったのだ「チャンミン、待って!」「早く行きましょう、その、恥ずかしくて…それと、やっぱり髪の毛はいつものように戻した方が良いかも」後ろから追い付きながら、名前を呼んで左腕を掴んだら俺を見ないまま俯いているもしかしたら、チャンミンは普段とは違うヘアスタイルに違和感を覚えているのかもしれないだけど…「戻す必要なんて無いよ何時ものチャンミンも物凄く可愛いけど、今日はその…信じられないくらい綺麗で近寄り難いくらいだよ」「…似合わないから励ましてくれているんですか?」駅前の美容院を出て直ぐの広場そのまた隅でチャンミンと向き合った髪の毛の長さはきっと、全体的に少し整えて…いや、襟足は少しすっきりと短くなっているチャンミンが『似合わない』と言っているのはヘアセットの事なのだけど、前髪を真ん中で分けて癖を生かしてふわりと流してある決してカジュアルでは無くて、品のある纏まり方…なんて、素人の俺が感じるだけだけれど、今日の服装にとても合っていると思った「似合わないから励ますなんて…そんな事しない俺が本気で言っているって分からない?」柔らかく整えられた髪の毛右手でそうっと触れたら、擽ったそうに目を瞑ってから俺をじっと見て「分かります、でも自分じゃあ何だか変な感じで」と唇を尖らせる「美容師は何て?」「似合っているって…」「だろ?俺も同じ多分、俺の両親は驚くよ」「え…」また直ぐに不安げな顔をするだから、その顔を覗き込んで…ひとが直ぐ傍に居ないのを良い事に、一瞬触れるだけのキスをした「…っ…」あっという間に両手で口を押さえて真っ赤になる普段から見慣れているそんな表情も今日は何だかおとなに見えるいや…「チャンミン、本当に綺麗になったし…おとなになったな出会った頃から変わらないって思っていたけど、もっともっと魅力的だから困るよ」「……困るんですか?」「だって、幸せだしこれ以上好きになったらもう大変だから」胸を張って答えたら、チャンミンは瞬きを繰り返してから、腕を組んで…けれども頬を赤くして俺に返した「そんなの、僕はもうずっとです一目惚れしたユンホさんに再会したあの日から」見慣れない髪型はやはり違和感があるらしいけれど、似合っていると何度も伝えたら「じゃあこのままにしますそれに、普段よりもおとなに見えるなら嬉しいし」と、やはり俺とふたりの時は少し幼く見える表情で言った美容院が終わったらチャンミンを抱き締めたいと思っていたのが、それを飛び越えてキスをしてしまったけれども、チャンミンも『特急電車に乗って、人目が無ければこっそりキスをしたいです』なんて、出会ったあの日から変わらず…内気な癖に大胆で俺を振り回す、俺を幸せにしてくれる笑顔で囁いたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Fated 115
日本の音楽番組のトークの収録それは今まで経験した同じ番組の収録時よりも少しだけ、スケジュールの時間が多く設けられていた収録前にマネージャーにそれと無く尋ねたら、彼は『チャンミンがオメガだと公表してから日本では初めての収録だから慎重に進められるように、との局側の配慮だ』と教えてくれたけれども、実際は事前に打ち合わせた通りにほぼつつがなく終わった打ち合わせにも台本にも無くて予定外だったのは、ひとつチャンミンの『運命のアルファ』である日本のバンドのボーカルの男性が、彼にもオメガの恋人が居る事を公表した事だそして、チャンミンの話を聞いて、自らも恋人のオメガと番になる道を選ぼうと前向きに思ったのだという話彼らの事務所としては、そのような発言も問題が無いし、そもそも本人達が各自何か有れば自分達の口でファンに伝えるのだと公言しているようだから、そのまま放送でも使われる事になった俺達はまだ歌唱シーンの収録が残っているのだけど、トークの収録が予定よりも早く終わったから少しゆっくりする時間がこの後に出来た「チャンミナ、疲れていない?」「トークだけなのに疲れたりしないですユノヒョンは過保護ですね」トーク収録を終えて、出演者や司会者、それにスタッフ達に挨拶を一通り終えてからチャンミンに声を掛けた彼は飄々としている顔をしているけれど、それが外に見せる顔だという事も俺は知っている「トークでも疲れるだろ?だって、収録中はオメガについての事を話したし…今だって、関係者達に尋ねられたらまたそれについて話して…ダンスをしたり歌を歌わなくたって気持ちは疲れるよ隣に居る俺だって緊張して大変だったんだから」ぽん、と頭に手を載せたヒョンらしく、明るいリーダーらしく笑顔で言ったら、チャンミンは俺をちらりと見てから「甘やかすのはふたりきりになってからにしてください」なんて舌っ足らずに呟く強いし、そしてそんな強さ以上に多くの物を抱えているからこそ更に強く在ろうとするチャンミンの、俺だけに見せる弱さや等身大の姿それが垣間見えると愛おしくて今直ぐに抱き締めてキスをして…項に噛み付きたくなる最後はアルファとしての本能の部分でもあるけれど、番になっても尚飽きるどころか深まっていく彼への想いは、今では俺を構成する核の部分でもあるような気がする「甘やかすならもっと凄い事を言うし…甘やかしてなんて無い、本当の事を言っただけだチャンミナは今の自分が充分凄いんだって認めて良いんだよなんて、偉そうだけど…」「…ユノヒョンに褒められたら、嬉しくてどうしたら良いか分からなくなるのであまり褒めないでくださいそれに、僕はまだまだです、口下手だし…伝えたい事のほんの少しも伝えられていないです」「あくまでも番組の収録だし、オメガとしての気持ちやこれからの事を語るにも限界がある事も分かっていますが」と真剣に続けるチャンミン出演者達やスタッフ達のなかには、勿論好奇が見え隠れするひとも居たそれは事実だけれども、多くのひとは、チャンミンに寄り添うように話を聞いたり、実際にオメガの人物を見知っているから、と言って…チャンミンが二次性を公表して声を上げた事を評価してくれたそんな風に、あたたかい現場だったからチャンミン自身も精神的に落ち着いているのだろうでも、俺からすればチャンミンが真っ直ぐに真摯に語ったからこそだとも思うだから、今は少なくとも充分過ぎるくらいだと思う「じゃあ…楽屋でふたりでゆっくりしようか」「…痕とかは付けないように…」「チャンミナ、そんなに期待しているの?歌の収録に支障をきたすから、それはまた宿舎に戻ってから」耳元で囁いたら、チャンミンは耳まで真っ赤になって「そんなつもりじゃ無いです」と可愛く俺に抗議をした赤い耳はまるで俺を誘っているようで…リーダーとして頭を撫ぜる振りをして、そうっと耳に触れた穏やかな気持ちでスタジオを出て、楽屋に向かって廊下を歩いていたら、後ろから男の声で「シムさん」と呼ばれた一瞬誰か分からなかったけれど、直ぐに分かったふたりして振り向いたら思った通り…彼自身もオメガの恋人が居るのだとトークで告白した、チャンミンの運命のアルファである男だった「どうかしましたか?先程挨拶もしましたが…」もう、スタッフ達の目も無いだから自分のなかの嫉妬が顔を出してしまって、チャンミンよりも先に男に、丁寧さを崩さないまま問い掛けた男は俺をじっと見て、それから何処か食えない笑顔で肩を竦めた「構えないでくださいよトークで話した事が本音ですシムさんが公表して、更に他のオメガだったりそうでは無くても…『何か』を抱えるひとの力になりたいと思うのは素晴らしい事だと思います」「そうですか、ありがとうございます」「…ユノヒョン…」俺に返してくれたと思ったから礼を伝えたら、俺の背中に半分隠れる形になっているチャンミンに心配そうに名前を呼ばれた「誰かに見られるかもしれない場所なので簡潔に話しますお礼を伝えたいんです」「え…」何処か食えない男とは言え、トーク収録での彼が恋人について、そしてチャンミンの事について語る時はとても真剣だっただから、悪いやつだとは思っていないただ、チャンミンの『運命』である事がやはり悔しいのだチャンミンと番になっても尚、運命が付き纏う事が遣る瀬無い、そんな俺の…ある種我儘だこの男は勿論、俺達の関係は知らないだから冷静にとは思っていたのだけど、それにしても『お礼を伝えたい』なんて意外な言葉だった「おふたりとも意外だって顔ですねまあ、トークでも話しましたが…恋人が自分の運命では無い事が分かっていて、だから悩んでいたんです…番になって良いものなのか」「僕が運命だったから…これで悩む必要が無くなったという事ですか?」俺の隣、男の前に向き合ってチャンミンは小さく、けれどもはっきりと尋ねた「とても短く言えばそうなるのかな?でも違います『運命』に囚われずに自分の意思で運命を決めた、と言ったチャンミンさんの言葉を聞いて、自分が何よりも二次性や運命に囚われていたのだとはっと気が付いたんですだから、あなたの話を聞いて気持ちが固まったお礼ですそれともうひとつ…」右手の人差し指を立ててから、男は一歩俺達に向かって脚を踏み出したやはり、チャンミンに近付いて欲しくは無くて男をじっと見たけれども彼は俺を気にする事無く、少しだけチャンミンに顔を近付いて囁いた「俺はもしかしたら、シムさんの運命だったから分かるのかもしれないですが、チョンさんがシムさんの選んだ運命なのですよね?」「…っ…それは…そんな訳…」隣で見ていて、チャンミンの顔色がさあっと変わった本当は俺がはっきりと否定するべきなのかもしれないけれども、話し出した男の声にも表情にも…揶揄いの色は含まれておらず、今までにこの業界で少なくは無いひとを見て来たからこそ分かるのだけど…黙って見守ってみようと思った「良いですよ、答えなくても…俺がそう思っただけだし誰にも話すつもりは無いので」「……」チャンミンはじっと男を見ているそれはきっと、彼の真意を汲み取ろうとしたり警戒しているのだろうけど、やはり嫉妬してしまう「俺はただ、俺に運命付けられたひとが素晴らしいひとで…こうして刹那的にでも出会えた事に感謝をしたいと思いましたもしもシムさんが番になる前に俺達が出会っていたら…とも思いますが」「僕は僕の選んだひと以外とは考えられませんあなたも…番になろうと決めたひとが居るのならばそうなのでは?だから、有り得ない事です声を掛けられて正直驚きましたが…こうして話が出来て良かったです」俺にはこのふたりの間に入る事は出来ないのかもしれない、とも思うけれども、チャンミンははっきりと…名前は出していないけれど、俺しか考えられないと言ってくれたそして、この男も俺が嫉妬の目で見てしまうからつい胡散臭く、だとか食えない男のようだと感じてしまうけれど、チャンミンの言葉に俺達よりも若い青年らしく素直に笑って「物凄い出会いに昨夜は本当にどうしようかと思ったし、身体には違和感も有りますが…共演出来て本当に良かったですそして、幸せになってください」と言ってくれた「勿論幸せになるつもりです今も幸せですが…だから、お互いに頑張りましょう」ついさっきまで身構えていたチャンミンも笑って、そうして…俺はまた、物凄く嫉妬してしまったのだけど、男がチャンミンに握手を求めて、俺の番も素直にそれに応じた「チョンさんも…おふたりの幸せを今は心から願っています」「…今は、ですか?」続けて俺にも手を差し出してきた男に、つい低い声で答えたら「昨夜は正直初めての経験に混乱していて」と素直に教えてくれた俺だって運命のオメガ女性と出会い大変だったし、昨夜からのチャンミンの事も隣で見ただから、意地悪や何かでは無かった男の言わんとする事が分かり、握手に応じる事が出来た「何かに定められた運命が…本当の運命だと思うひとも居るかもしれないと思いますでも、チャンミンが話したようにそうで無いひとが居る事も当たり前だとも思います俺も、あなた達の幸せを願っています」「…ありがとうございます」固く握手を交わしてから男に伝えたら、彼は俺達に深く頭を下げた「チャンミナ」「…何ですか?」男と別れて楽屋に戻って来たマネージャーはスタッフ達と打ち合わせをしていて、まだ帰っては来ないだから、一旦鍵を掛けてから目の前の恋人を呼んだゆっくりと振り返ったチャンミンは、何だか俺を窺うように上目遣いで見ている「その顔は何?」「…その…あのひとと色々と話したし…勝手に話をしたから、良く無かったかなあと今更思って…ごめんなさい」そう言うと視線を逸らしてしまう収録中だって、それについさっきも凛としていたのに…今はもう、俺だけに見せてくれる顔それが直ぐに分かって思わず頬が緩んでしまいそうになった誤魔化す為に俯いて左手で前髪をかき上げたら、今度は視線を感じた「どうした?チャンミナ急にじっと見て来て…」「えっ、あ!僕無意識でだって、ユノヒョンが物凄く格好良い事をするから…」ぶんぶんと首を横に振ったチャンミンは、衣装のジャケットを脱いでハンガーに掛けたそんな風にして俺に背を向けて誤魔化そうとしているのかもしれないけれど、俯いて覗く項が真っ赤だ「逃げたら駄目だよ」「…っあ…」白いシャツ姿になったチャンミンを後ろから抱き締めたもうずっと、触れたくて仕方無かった勿論それはいつもの事なのだけど、特に昨日からはあのチャンミンの『運命』のアルファが居るから焦燥感が大きかったのだチャンミンがあの男にはっきりと向き合って、お互いにきっと本音に近い言葉で言葉を交わしているのを聞いたから…俺をちゃんと選んでくれたから、少しは気持ちは落ち着いたけれどもやはり、触れるとそれだけで心も身体も満たされていくこんな風に感じるのはチャンミンが初めてだ「ユノヒョン…あの…怒っていますか?」「怒っていると思う?」「…本当はそうでは無いと思いますでも、勝手に話をしたし…あと、その…」「何?」歯切れの悪い言葉まだ俯いているチャンミンの項が俺の目の前にある俺が付けた項の噛み痕は、アルファと番になった事を公表したとは言え見せるものでも無いから、メイクで消してある何も無い項をじっと見て、メイクに覆われた部分にキスをした「…っん…」「そんな声を出したらまた噛みたくなって…コンシーラーが取れたら、また隠してもらわないといけないから駄目だよ」チャンミンがそこで感じる事を分かっていて、けれども止められない俺が悪いのだけど耳元で囁いたそうしたら、チャンミンは漸くこちらをゆっくりと振り向いて…「噛んで欲しいのに…狡い」「…本当に我慢出来なくなるから駄目だよ」「…っあ……ふ……んっ…」身体ごとこちらを向かせて、真正面から強く強く抱き締めて唇を合わせたチャンミンの唇はいつも通り甘い触れると更に触れたくなるヘアセットは次の収録に合わせてまた変えるから、柔らかな髪の毛に指を通すようにして触れた「…ん…っ、ユノヒョン…」「怒ってなんて無いよチャンミナは凄いなあってまた思っていた本当に自慢のパートナーだ」「…そんな…」「…ただ…」「ただ?」キスの合間に囁いてから、漸く唇を離して至近距離で見つめながら言った「ずっと嫉妬して、それを押さえるのが大変だった本当は、あいつが言った通り俺がチャンミナの運命だってはっきりと言いたかったし…」「…言わなくても分かっていると思いますと言うか、気付かれてしまったし…それも、きちんと否定出来なくてごめんなさい」「大丈夫だよ、あの男はきっと誰にも言わない」なんて、俺だってチャンミンを敢えてフォローしなかった癖にでも、完璧だと言われるアルファは存外脆くて嫉妬に塗れてしまったり、アルファの助けを借りて生きるだなんて昔は言われていたオメガの強さにいつも救われている「あ、でもひとつ…やっぱり怒ってる」「…何ですか?」本音で伝えてみよう、と思ってじっと見つめたら、チャンミンは一気に泣きそうな顔そんな顔をさせたい訳じゃ無いし、ただの俺の我儘だゆっくりと、小さな手が俺の左頬に伸ばされたその手に自分の左手を重ねたやはり、触れるだけで何だか全てが浄化されていくような気がする「握手した事」「…え…でも、それはユノヒョンも…」「分かってる、それくらい俺は嫉妬深いって事」俺の言葉に驚いた様子のチャンミン言ってはみたけれど恥ずかしくてもう一度キスをした唇が離れてから、チャンミンは少し思案するように瞳を伏せてから俺を上目遣いに見上げた「…考えたのですが…僕も、ユノヒョンがあのオメガ女性ともしも握手なんてしたら…もうきっと大変ですだから、やっぱりごめんなさい」「チャンミナ…」「あの、でもひとつ良い事もあって…今さっきあのひととあんなに近くで話をしたのに、昨日感じた気持ち悪さが無かったんですもしかしたら気の持ちようなのかもしれないですが…それに気持ちが一気に軽くなったので、だから握手出来たのかもしれません」チャンミンの表情が何だかくるくると変わっていく運命のアルファを前にしても、言葉に出来ないような違和感だったりが消えたのだと語るチャンミンはこどものように瞳を輝かせるチャンミンを誇らしく思う気持ち、それから安堵そしてやはり、こんなに素晴らしいチャンミンに定められた運命が俺では無くてあの男だった事に対する嫉妬そして…それら全てを飲み込んでしまう、最後に残るのはただチャンミンを愛する気持ち「…嬉しいよ、教えてくれてありがとう」「…うん…僕もまだ、ユノヒョンの『運命』のひとの存在が怖いし今でも思い出しますでもきっと…もう、何処かで会う事があったって大丈夫だって思います」「それは、俺が?それともチャンミナが?」腰をぐっと抱き寄せて尋ねたら、俺が自ら選んだ運命のひとであるチャンミンは「ふたりとも、です」と甘えるように…そして、とても強く優しい顔で微笑んだランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 16May
Switching! 10
ユノ先輩との初めてのデートは無事に成功した女の子の服なんて普段身に付けているブレザーの制服しか無くて、休日なのに制服を着て会う事にどきどきしたけれど…ふたりでご飯を食べて、僕の服を買って、それにカフェでゆっくりと話も出来た服を買った後は制服から新しい服、つまり女の子の服に着替えたのだけど、ユノ先輩は何度も『可愛い』と言って僕に微笑んでくれた「可愛いって言われて嬉しいとか…信じられないよ」教室のなか、自分の机に座って両手で頬杖をついて呟いた転入して来て最初の頃は、男なのに女子として過ごす事になってしまったから何とかお淑やかに静かに、兎に角男だってばれないように常に緊張していたけれども、元々男らしい、と言える容姿では無いからか、髭も脛毛も殆ど生えないからか、怪しまれる様子も一向に無いもしかしたら、僕自身新たな事への順応性も高かったのか、今の環境に馴染んでしまって、女の子の制服を着ていてもリラックス出来るようになった「脚も涼しいし…」少し背中を丸めて座って、膝上丈のスカートから覗く脚をぱたぱたと揺らした最近、朝はひとり暮らしをしている僕のマンションまでユノ先輩が迎えに来てくれて、一緒に登校する事も増えたけれども、今朝は先輩の都合が悪いらしくて、ひとりで寂しく登校した「…っ別に寂しくとか…!でも、『可愛い』って朝から言ってもらえないと何だか…」そう、寂しいし物足り無い女の子になりたい訳でも可愛くなりたい訳でも無いでも、ユノ先輩の言う『可愛い』だったり、そう言う時の優しい笑顔に慣れる事なんて無いくらいいつも胸がどきどきして幸せになるのだ「…はあ…」両手で顔を隠すようにして俯いたら、「どうしたの?」と僕よりも高くて可愛い声「え…っあ、おはよう」「おはよう、もしかして恋煩い?好きな男子から可愛いって言われたいの?」前から振り返って声を掛けて来たのは、僕の前の席の女子小柄で色も白くて髪の毛が長くて『女の子』という感じだついさっきまでまだ座っていなかった筈なのに、僕が考え事をしていて気が付いていなかったようだ「恋煩い…そんな…いや、そうなのかもだけど」「もしかして…チョン先輩?チャンミン、前は付き合ってはいないって言っていたけど、凄く仲が良いみたいだし」女子は勘が良い、なんてイメージもあるけれど、その通りなのか…それとも僕が分かり易いのだろうかユノ先輩は僕との関係は皆に知られても良いって言っているでも僕は…多分、何処かで女の子では無いからという後ろめたさがあって『恥ずかしいから隠しておきたいです』と先輩に伝えている本当に女の子なら、例えライバルが沢山居たって自分が彼女なんだからってはっきり思えたかもしれないでも結局いつも心の底で、男なのに女子に敵う訳が無い、だとか女子達からしたら僕なんてユノ先輩の恋人として認められないんじゃあ無いかって思ってしまう「チョン先輩、凄く格好良いしモテるもんね私は自分の彼氏が一番だけど…」「え…彼氏が居るの?」「うん…あ、でも目立ちたく無いし皆には内緒」振り返ったまま、辺りをきょろきょろと見渡してから小さな声で言って唇に細い人差し指を当てる女の子だからこそ自然なその仕草を僕が真似したって違和感しか無いのだろう「うん、誰にも言わないよ」「ありがとう…で、チャンミンが可愛いって言われたいのは先輩?」「…っ、別にそんなんじゃ…それに、その…私は背も高いし髪の毛も短いし胸も無いし…」背が女子よりも高いのも、髪の毛が短いのも、胸が無いのも全部全然男だから当たり前の事髪の毛は…伸ばす男子も居るだろうけどそれと、最近は気温が上がってブレザーを脱ぐ機会も増えてきたから、ノースリーブのベストの下に念の為にパッドの入ったインナーを着ている座ったまま自分の事を見下ろしたもう、制服にも慣れたし男だと疑われる事も無いけれど、勿論女の子にはなれいなのだ考える度に不安な気持ちが募ったり、大丈夫なのかなあって気持ちになる慣れたし、お淑やかでいなきゃって思う時期は過ぎたけれど、かと言って脳天気な訳でも無い「私なんて…」「え?」「私は身長が低いから、チャンミンみたいな子に憧れるよチャンミンは可愛いし綺麗だし色も白いしスタイルも良いし…胸なんて小さくても問題無いよ」「えっ、あの…」本物の女子から褒められるとどうしたら良いか分からなくなるいや、彼女達は何故か僕を褒めてくれるしメイクの事だったりも教えてくれるのだけど…男なのに良いのかなあって思ってしまうそして、どきどきはしなくて…ユノ先輩にもっと好かれるには彼女達の真似をすれば良いのかな、なんて考える僕はきっと普通じゃ無い「クラスの男子も皆、チャンミンが転入して来た時に物凄く盛り上がっていたんだからね?チョン先輩だって…クールだって噂なのに、たまにチャンミンに会いに教室に来る時は凄く優しい笑顔だし…絶対に可愛いって思っていると思う」彼女はそう言いながらうんうん、と頷いた小柄でも女子の勢いは凄いそんな風に思いながら圧倒されていたら、「あ!」と何かに気が付いたように声を上げた「何?」「そう、最近そう言えば…チョン先輩、この教室に来ていないよね?チャンミンがやって来た直ぐの頃は何度も来ていたのに…」「あ…うん…」それは、実は僕からお願いした事ユノ先輩は時間が有れば僕の教室にやって来ては『寂しく無い?』とか『話そうか』なんて言うなのだけど、ユノ先輩は僕達二年生のなかでも有名人だって、格好良くて爽やかで運動が出来て頭まで良いらしいからつまり、女子のなかには憧れている子も少なく無い僕なんかと付き合っているとばれたら顰蹙を買いそうで、会う時は目立たない場所にしたいと伝えたのだユノ先輩は少し寂しがっていたけれど、『チャンミンが恥ずかしいなら』と受け入れてくれた「失礼かな、そんなの…」俯いてぼそりと呟いたら「大丈夫?」と声を掛けられたから慌てて顔を上げて笑ったそんな僕の態度はどうやら、本物の女子に誤解されたようで…「大丈夫だよ!チョン先輩がチャンミンを見る目、物凄く甘かったからだからきっと上手く行くし、応援してる」「…ありがとう、でもその…私、チョン先輩の事が好きだって言って無いよね?」勢いに思わずありがとう、なんて言ってしまったけれど、自分の恋について、はユノ先輩以外の誰にも話していないさっきだってユノ先輩の事では無いと否定したつもりだし…何故『応援』なんて言われたのか分からなくて小声で尋ねたら、彼女は満面の笑みで腕組みをして口を開いた「だって、チャンミンって凄く分かり易くて可愛いから」「え…」分かり易い、という言葉にどきりとして固まっていたら、彼女は口元に手を当ててひそひそ話をするように僕に顔を近付けてきた男としては、こんな時どきりとするのがきっと普通なのに、それが無い今まで女子を好きになった事は何度も有るのに…今の僕はもう、ユノ先輩にしかときめかない気がする「チョン先輩」「…っえ…」「ふふ、ほら…先輩の名前を出しただけでチャンミンの顔が変わるからそれって、好きじゃ無きゃそんな風にならないでしょう?」「…!」顔が変わる、なんて言われたらもう隠すしか無い両手で顔を覆ったら、丁度チャイムが鳴った「チャンミンって凄く可愛い私も彼氏の前で頑張らなきゃ」そんなの、僕なんかよりも本物の女の子達の方が可愛いどう頑張っても僕に勝ち目なんて無くて当たり前の事なのに「…揶揄われただけ…って事にしよ」授業が始まるから気持ちを切り替えたでも、なかなかひとには話せない事を話して…しかも、本物の女子に女の子として褒めてもらえたから少しだけ自尊心を持ち直す事が出来た午前中最後の授業は、隣の席の男子が『教科書を忘れたから…』と言ってきたから、一緒に僕の教科書を見せながら教師の話を聞いたつい最近席替えをしたばかりなのだけど、そう言えばこの間も別の授業で教科書を忘れたと言っていた「シム、ここって分かる?」「え?ここは多分…」尋ねられたから、内心面倒だなあと思いながら教科書を指差しながら教えたなのに、質問した当の本人は僕の指の先では無くて、何故か物凄く顔を見てくるこんな時、いつもどきりとするだって、近くで見たらやっぱり女の子には見えないだとか、怪しまれていたらどうしようって思いが過ぎるから「こうすれば解けると思うんだけど…どう?」俯いていた顔を上げたら、何だかとても近くに男子の顔があったから思わず顔を引いたそんな僕を見て、彼は「ごめん」とこめかみを掻いてから、漸く僕が書き込んだ数式を見ている「……」「なるほど!分かった、ありがとう」「…良かった」安堵して笑ったら、また僕の顔をじっと見てくる実はこんな事は少なくは無くて、その度に僕はユノ先輩に感じるのとは違うどきどきを覚えるのだ「まさか…違うよね?」「どうしたの?」「えっ、ううん、何でも無い」心のなかで呟いたつもりが声になっていたようで、慌てて笑って誤魔化した机をくっ付けているから仕方無いのだけど、何だかとても距離が近いそれに、いちいち僕の顔をじっと見てくるから何だか居心地が悪いもしかして、『また』なのだろうかという思いでも、僕は男だし、クラスには僕以外の本当の女子が沢山居るし…なんて、残りの時間も何度も隣から視線を感じつつ、集中して視線になんて気付かない振りで授業を受けたそして…「では、今日はここまでです」チャイムと同時に教師が挨拶をして教室から出て行ったこれで机も離せるし、漸く昼休みが来たから教室を出て、それから今日もユノ先輩と一緒にお昼を食べられる今朝は少し寝坊して作る時間が無かったから、先輩と一緒になるべく目立たないように食堂に行くか、それとも売店で何か買うか…「…どうしようかな」朝も会えていないから、漸くユノ先輩に会える事が楽しみ休み時間にはメッセージを交わしたりするけれど、やはり顔を見て話せるのが一番嬉しい何だか一気に頬が緩みそうになるのを必死で抑えながら教科書を閉じようとしたら、またしても視線を感じる「…あの…机…」元々離れていた隣の男子の机教科書を忘れて、僕の机に自らの机を寄せて来たのは彼の方だから、机を離して欲しいのだと訴えたけれども、何だか…『やっぱり』『もしかして』という予感がしたユノ先輩と付き合う事になった日に初めて同性から告白されたその後ユノ先輩と恋人同士になったけれど…それを公にしていないからか、もう既に何度も複数の男子から告白されている勿論、目立つ場所で何か言われる事は無いけれど、そんな彼らと同じ視線を感じるのだ「シム、あのさ…もし良ければ昼休み俺とふたりで…」「…え、何?」「その、一緒に食べない?」「あの、私…」昼を誘うだけだし、これは告白では無いでも、ふたりきりで会う理由なんて無いそれに、僕は今からユノ先輩の所へ行くのだ断ろう、そう思った瞬間、机の上に置いてある僕の右手に手が重ねられた「…っ…」止めて、と言いたいのに急に触れられたら何も言えない他の誰かにも見られたく無くて固まってしまったその時…「チャンミン!迎えに来たよ」「…っえ…」その声に、クラス中がざわついたわあっと声が上がって、その後に「チョン先輩だ」とか「シムを呼んでる」だとか聞こえて、そして視線は僕にも一気に集まったユノ先輩の姿を探そうか、それとも先に教科書を仕舞って…そう思った瞬間、僕の手に触れていた、同じ男だけれど僕よりも男っぽい手が離れて安堵した「チョン先輩と昼は会う予定だったの?」「え…予定…うん、そんな感じ…」「そっか…じゃあまた話が出来たら良いな」触れられたり、じっと見つめられるのは何だか怖いでも多分やっぱり…この男子は僕に特別な気持ちを抱いている気がする何だか申し訳無い気持ちも芽生えてしまってどう答えたら良いか分からずに、顔を逸らして教科書やノートを片付けていたら、足音が聞こえた「チャンミン、今触られていなかった?」「…っわ、ユノ先輩…」「教室だとそう呼ぶの?我慢しようと思ったけど…あんな光景を見たらやっぱり心配で我慢出来ないよ」僕の机の右側にやって来たユノ先輩は、僕を見下ろして微笑んでから僕の向こう側を見たその視線を追うように左側に見たら、また隣の男子と目が合って慌てた逸らした「チャンミン、怒るなら後で怒っても良いよでも心配なんだ」「え、何ですか?」あんな光景、だとか心配だとか…一瞬、何の事か分からなかったでも、じっと僕の向こう側を見るユノ先輩の顔を見てはっと気が付いた「あの!何でも無いです、本当に…」「そう?でも嫉妬するし、毎日はらはらするんだ、だから…」そう言うと、ユノ先輩は僕の鞄を手に取ってから、僕の向こう側の男子に微笑んで言った「俺達、実は付き合っているんだしかも俺の方が夢中で…だから、彼女の事がいつも心配で」近くから、またわあっと歓声が上がった僕はもう、どうしたら良いのか分からなくて俯いていたら「チャンミンも立って」と直ぐ傍で囁かれて反射的に立ち上がった「君、チャンミンと席が隣なんだろ?もしも悪い虫が付きそうだったり…何かあれば教えて欲しいごめん、俺が心配で…」「……あ、はい…」「ありがとう、チャンミン行こう」「え…っあ…」鞄はまるで人質のように取られてしまっただから慌てて歩き出すユノ先輩を追い掛けたもう、物凄く視線を感じるし、恥ずかしくて顔から火が出そうこんな事皆に知られて大丈夫なのかという心配もあるでも…「おいで」教室を出たところで振り返ったユノ先輩が優しく笑っていたから、もう周りの目は気にならなくなってしまった「せんぱ…オッパ!あの!私の鞄返して…」「別に盗った訳じゃ無いよ、俺が持ってるだけ」昼は売店で買って外で食べる事になった今はあまり目立ちたく無いし、食堂よりもその方が良いふたりでパンやサンドイッチを買って、それから裏庭へと向かう途中、荷物を持ってもらったままである事を思い出して声を掛けた「チャンミンにはパンを持ってもらってるし…平等だろ?」「重さが全然違うと思います…」「でも、少しでも何かしてあげたくて…嫌?」「…っ…」嫌じゃ無いから首を横に振ったら、「良かった」と微笑む嫌なんじゃ無い嬉しいけれどもこれだって、僕を『女の子』だと思っているからこその行動本当ならば僕はこんな扱いをされる訳が無い男なのだ「ユノオッパ…」「やっとオッパって呼んでくれた皆の前でも呼んでくれないし…」「それは、その、驚いて…それに、オッパこそ教室であんな事を言って…付き合っている事は秘密にするって言ったのに」廊下の端、裏庭に出るその手前で思わず立ち止まったさっきはユノ先輩の事しか見えなくなっていたけれど、この後また教室に戻るのが恥ずかしい「チャンミン?」立ち止まり俯く僕に気が付いた様子の先輩が、振り返りこちらへ歩いてくる「クラスの女子にもしもオッパを好きな子が居たら、恨まれるかも」「…そうかな…」「だって、ユノオッパは物凄く格好良いんです!だから私なんかで良いのかって不安で…」下ろした両腕の拳をぐっと握って不安をそのままにぶつけた女の子として上手くやって行きたいし、目立ちたくも無いでも、ユノ先輩と居れば必然的に目立つし、ライバルだって絶対に沢山居るし…「チャンミン、あのさ…」「……」そっと、シャツの上から右腕を掴まれて顔を上げた俯いていたから、ユノ先輩がもう僕の目の前に居る事は分かっていたけれど、顔を上げると直ぐ前に整った顔があって…勝手に約束、とまでは言えないけれど決めていた事を破られて不安だったのに、顔を見るだけでそれ以上にどきどきしてしまう先輩は、格好良過ぎて狡い「…何ですか?」「さっきの話、聞こえていなかった?」「え…」何の事か分からずに首を傾げたら、先輩は困ったように視線を泳がせたこの顔は確か、初めてのデートの時にも見た顔カフェでお互いのドリンクを交換した時だったり…確か、『回し飲みなんて今更なのに、デートだと思うと恥ずかしいし嬉しい』そう言っていた「ユノオッパ?」「ええと…じゃあもう一回言うよ俺の方がチャンミンに夢中なんだだから、可愛くて綺麗でスタイルの良い彼女に悪い虫が付かないか心配なんだたまには教室まで迎えに行っても…たまにだし許してくれるかなと思って向かってみたら、男に手を触れられていて…そんなのもう、ちゃんと宣言しなきゃ危ないって思った」「…っ、見ていたんですか?あれはその、急に…だから離そうと思って…」「でも、触れられていただろ?嫉妬するよ」さっき隣の男子に触れられた時は不快でしか無かったけれども、腕からゆっくりと降りていくユノ先輩の手にそうっと握られると好きだからこそどきどきする「付き合っている事は秘密だし、教室には行かないようにするって言ったのにごめん嫌だった?」ユノ先輩は狡いだって、嫌じゃ無いからただ恥ずかしいのと、僕に自信が無いだけで…「…ひとりで戻るのは恥ずかしいですだから、後で教室まで送ってくださいそうしたら許します」先輩の手を握り返して伝えたら、今度は太陽のように明るく微笑んで「勿論」と返ってきた「じゃあ、もうこの話は終わりですよね?ほっとしたらお腹が空きました」「え?まだもうひとつ残ってる」「…何……んっ…ふ……」「…先輩って呼んだだろ?ちゃんと、オッパって呼ぶ事」人気は無いとは言え、繋いだ手が離れたかと思ったらそのまま片手で抱き寄せられ突然キスをされて僕はもう混乱寸前ユノ先輩は、僕を驚かす天才なのかもしれない好きだから嬉しいでもやっぱり…急に教室にやって来て交際宣言、なんて僕は聞いていないそれには少し不服がある全部ユノ先輩のペースだなんて狡いだから…「ユノオッパ……ユノ」「…っえ…」「早く外に行きましょう、ね?」先輩の驚いた顔を見たら頬が緩んでしまうけれど、僕だって初めて名前を呼び捨てにしたから心臓が飛び出てしまいそうにどきどきしている僕の方がリード出来たって思っておきたいから、熱くなる頬が見られないように、僕の恋人の前を早足で歩いたでもやっぱり、直ぐに追い付かれてしまった「あはは、チャンミンの方が顔が赤いんじゃあないか?」「…オッパだってきっと同じです」「あれ?もうユノって呼んでくれないの?」「何の事か分かりません」足では追い付かれたけれど今だけは僕の勝ちきっとまた直ぐにユノ先輩に…ユノに、僕の方がどきどきさせられてしまうだろうからランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございます先日、このお話の進め方について読んでくださる皆様に意見をうかがって、本当に沢山コメントを頂きました多くの方の意見に沿って、このまま進めて…ですが、なるべく長くならないようにテンポ良く出来たら良いなあと思いますこの先もお付き合い頂けたら幸いですまた、お返事は間に合っておりませんが、先日の質問に答えてくださった多くの皆様に感謝致します
未必の恋 32
ユノさんがチェックアウトする日は、僕がどれだけ『時間が止まって欲しい』なんて思っても迫って来るし、念の為に残り一週間を切った時に『チェックアウトは予定通りですか?』と尋ねてみたけれど、当たり前に変更は無かった憧れの、手の届かないひとと仕事で一ヶ月も関われる事になったそれだけでも信じられないくらいの幸運…元々、ただ憧れていただけだから、抱かれる事になった時はとんでも無いやつだし…生きる世界が違い過ぎるのだと目眩がしたけれども今思えば、僕はあっという間に恋に落ちて、必死で恋では無いと言い聞かせた信じられない事は出逢えただけでは無くて、ユノさんも僕を好きになってくれて…本気なのだとまで言ってくれたもしも僕が女性ならばシンデレラストーリーのような出来事まあ、男だからそうはいかないのだけどでも僕にとってはとても幸福な事で、やはりそれを感謝こそすれど嘆くなんて事はあってはいけないでも…もう引き返す事なんて出来ないくらいに気持ちは膨れ上がってしまったから、ユノさんが居なくなった後の日常をどう過ごせば良いのか分からなくて怖い「後三日…」残されたチェックアウトまでの時間はもう後僅かけれども、出立を前にユノさんの仕事は忙しいようで、今日も朝からホテルをひとりで出て行った午後、なるべく早めには戻って来ると言っていたし、帰ってきたら僕と一緒にゆっくり過ごせると言ってくれたそれを心から喜んだり、忙しく働くユノさんの仕事の心配をしたり、夏になればまたこのソウルに戻って来てくれて…その後はもう、仕事と生活の拠点を現在のミラノからソウルへと移す事も決まっているから、それを僕は待ちながら自分の仕事と向き合うべきなのに、溜息が出てしまう「暦では春だけど…まだまだ寒いのに、夏とか…絶対毎日ユノさんの事を考えて寂しくなるし、声は聞けたり姿は見れたってキスすら出来ないし…」分かっている世界中には幾らでも遠距離恋愛をしているひと達が居る事くらいそれに、そもそも僕は恋愛よりも仕事、という考え方だったから恋人が傍に居なくたって何て事は無い筈なのだでも、想像しただけで胸が苦しくて仕方無い「仕事…他に何か無いかな」部屋の片付けもシーツの交換も全て終わってしまった出来るだけ無心で何も考えないように…そう思っていたら、物凄く捗ってしまったのだけれども、そのお陰で時間が余ってしまった「そうだ…」仕事用のスマートフォンをスーツの内ポケットから取り出した「また何か言われるかな…いや、でも僕は副支配人だし」アドレス帳から部下の番号を探し出して見下ろして、悩んでは指を伸ばして、を何度か繰り返した数日前、ユノさんが今日のように朝から外に仕事に出掛けた日彼はホテル従業員達に僕と付き合っている事を告白していたそれを僕は、ユノさんが帰って来る前に知ったのだけど…それもあって、優秀な部下達は、ユノさんがチェックアウトするまでは僕がユノさんの部屋やその身の回りの事以外の仕事はしないように、と皆で話し合って仕事を進めているらしいそもそも、この一ヶ月間の間はそうするように、と総支配人であるチェ先輩から言われていたのだけど、ユノさんが不在の間は彼からの指示が無ければ手が空く事も多いし、何だかんだ言って事務作業をしたりフロント業務に顔を出したりもしていた「大丈夫、だって今は何も無いし…」ユノさんからも『掃除が終わったらゆっくりしてチャンミンには後で俺の相手をしてもらわないといけないから』なんて言われているでも、ゆっくりと何もしないなんて僕の性分じゃあ無い「……あ、お疲れ様、僕だけど…」『お疲れ様です、シム副支配人何か有りましたか?』話を分かってくれそうな…まあつまり、僕のお願いを聞いて、仕事を分けてくれそうな女性部下に電話を掛けた「いや、その…掃除も全て終わって時間が有るんだチョン様以外の事はしなくても良いという話だけれど、僕は副支配人だ皆に負担を強いる訳にはいかないから、仕事を僕にまわして欲しい」『…副支配人…いえ、シムさん』「…何?」『シムさんは、充分過ぎるくらいホテルに貢献しています総支配人もですし、何よりもチョン様が仰っていましたが、こんなに気持ち良いホテルにソウルで出会えたのは初めてだとシムさんの事は勿論ですが、ホテルのスタッフも皆士気があって良いと声を掛けてくださいました』「…そうなんだ…嬉しいな」『そうです!それで…チョン様は今、知り合いの方達に我がホテルを勧めてくださっているそうですそのお陰でチョン様の名前を出しての宿泊予約が一気に増えたんです』「え…嘘、知らなかった…」そんな話、ユノさんは一度も僕にしてくれた事は無いそれなのに、担当客室係で恋人である僕を差し置いて部下が知っている事が少し…いや、かなり悔しい「その話はどうして聞いたの?」『え…ああ、私達も知らなかったのですですが、急にオフィシャルホームページや電話での予約問い合わせが増えて、名のある方が多いのですが…皆様、一様に「チョンユンホに勧められたから宿泊したい」と仰るのですそれで、総支配人が先日チョン様にお目に掛かった時に尋ねたら、教えてくださったそうです』「…じゃあ、その時に僕にも教えてくれたら良いのに…」『副支配人はご存知なのかと思っていました』当たり前のように言われて、『知らないよ』なんて拗ねたり苛立ちをぶつける事も出来ないから、それはもうユノさんに後で聞く事にしよう「分かったよで、そうじゃ無くて僕に何か仕事を…」『駄目です、シム副支配人はチョン様の帰りを待ってくださいそれに、シムさんのお陰で繁忙期前なのに予約はどんどん埋まっているんですもう充分過ぎるくらい貢献してます、勿論普段からですが…なので、気兼ねなくゆっくりなさってください』「いや、そんな訳には…」『あ!ごめんなさい、もう行かなくちゃ…それでは失礼致します』「えっ!…切れたし…」これ以上執拗くしても、部下達の仕事の邪魔になる直接、この最上階から降りて行って何処かに顔を出しても『戻ってください』と言われそうだし…「…どうしよう…」今日は、夜の食事も作らなくても良いと言われていると言う事は、帰って来てホテルの料理を部屋で食べるのだろう料理もまだまだだから、それで勿論良いのだけれど、ユノさんの為にする事ももう今は無くてもどかしい「……あ…」部屋を見渡して何か無いか、と探して目に付いたのは部屋に備え付けのホテルの名前の入った便箋備品だから、本来僕が使うべきものでは無いけれどもそんな事を言ってしまえば、僕はもう散々この部屋で寝泊まりをしてアメニティを使っている勿論、VIP客のユノさんの望みで「便箋は使ってとは言われていないけど…自由にして良いって言われているし、また補充すれば良いし…」便箋を数枚取って、机の前に座ってペンを握った今の僕の気持ちを、紙に書き残してみようと思ったのだ「…ん…っえ、嘘、僕…」はっと意識が浮上して慌てて顔を上げた目の前には、文字でみっちりと埋まった便箋そうだ、僕は慣れない手紙をユノさんに向けて書いていたなかなか上手くいかなくて、勿体無いけれども何度か書き直した「…良かった、夢じゃ無くて最後まで書いてる…」書きながらうたた寝した訳では無いけれども、珍しく眠ってしまってそう言えば、最近は夜が過ぎていくのが寂しくて、夜中何度も何度もユノさんを求めてしまうそれは僕だけでは無くてユノさんも、だけど「ユノさんも寝不足だよねでも、僕よりも忙しく働いていて…」一体どれだけ眠ってしまったのだろうとスマートフォンを見たら、多分一時間は眠っていた「…うわ、最悪…」便箋は備え付けの封筒に入れて、クローゼットの僕のスペース…になっている引き出しのなかにそっと入れた洗面スペースに向かい、鏡の前に立ってみたら、腕に顔を付けて眠っていたけれど顔に跡だったりは付いていなくて安堵したけれども、毎朝しっかりと整えている髪の毛は跳ねてしまっていたから…迷ったけれど、ユノさんのワックスをほんの少しだけ手に取って、髪の毛を整えた「…怒られるかな…いや、怒らないよね気付くかなあ」何だか、これだけでユノさんの匂いに包まれたようだ今度、このワックスや、他にもユノさん愛用の物を買って、僕も普段身に付けるようにしてみようと思ったそうすれば離れていても少しでもユノさんを感じていられるから鏡に向かってにやにやしてしまって、そんな自分が少しだけ気持ち悪くてこほん、と乾咳をした「…っあ…」もう一度、表情を引き締めて副支配人の顔で鏡を見た時、スーツの内ポケットに入れたスマートフォンが震えた取り出して見てみたら、また頬が緩んでしまったそれは勿論、ユノさんからの連絡だったから「はい、お疲れ様です」『チャンミン、起きていた?』「…っ、当たり前です、僕が昼寝なんてする訳…!」『あはは、その声は怪しいなでも、眠っていてくれた方が嬉しい昨夜もなかなか寝かせてやれなかったから』「それはその…お互い様ですユノさんこそ大丈夫ですか?体調は?」声だけじゃあ満足出来ないそう思ったけれど、今は声だけでこんなにも幸せけれどもそれは、この後会えるし触れられると分かっている安心感が有るから『体調?すこぶる良いよだって、毎日チャンミンと一緒だから』「…じゃあ、離れちゃ駄目です…」『ん?』「あ、いえ!何でも無いです」本音で話せるようになった気持ちを伝えられるようになったでも、どうにもならない現実を嘆いたりするのは違う寂しいのはきっと僕だけじゃあ無いだから、再会の日を待てば良いのだ、おとならしく「そうだ、お帰りの時間は分かりましたか?」声にも寂しさが出ないようにしてユノさんに尋ねたら、彼はもうタクシーでホテルに向かっていると教えてくれた「早かったですね、嬉しいです…じゃ無くて、お疲れ様です」『ありがとう早く会いたくて頑張ったんだだから…我儘を聞いてもらっても良い?』「え…」『チャンミンともう一度デートに行きたいもう、帰国するまでにこんな時間は無いから』「…あ…」デート、と言う言葉に胸が踊ったのも束の間、続けられた言葉に胸が切なく締め付けられる『俺に着いて動く分には仕事だし、大丈夫一番、玄関よりのクローゼットにチャンミンの為に今朝準備しておいた服が有るんだそれを着て来て欲しい時間は今から十分後、OK?』「え…本当に?」『ああ、着替える時間が必要だろうから…時間に、ホテルのエントランスで待ち合わせよう』そう一方的に言うと、通話は切れてしまった頼りになる部下と言いユノさんと言い、何だか今日の僕はこんな事ばかりだ「いや、ええと後十分?着替え?急がなきゃ…」スマートフォンを握り締めて、慌ててユノさんの言ったクローゼットへと向かったそこは勿論、ユノさんだけのスペースで…クローゼットのなかは僕も勝手に開ける事はしないだから、なかに何が有るのかも知らなかったのだけど…「…これ、って事だよね?」ハンガーに掛けられていたのは、白いシャツと白い綿のチノパンシンプルだけれど、シャツの胸元には透かし編みのような細工がされているホワイトコーデなんて、雑誌のなかやショーでは見るし…ユノさんのコレクションでも見た事があるけれど、挑戦した事なんて無い「大丈夫かな…」隣には、少しだけピンクがかった…けれども落ち着いたベージュのコートそして、メモが貼り付けてあった「『チャンミンに絶対に似合うよ』…ユノさん…本当かな似合わなくて笑われたらどうしよう」手書きのメモは無くしてしまうのが惜しいから、さっき書いた手紙と同じ棚にそっと仕舞って、急いで着替えをした一応、しっかりと鏡で確認をしたけれど、慣れないホワイトコーデはやはり気恥ずかしいでも、髪の毛をもう一度整えていたら、ふわりとユノさんの匂いがして…それだけで、ユノさんに魔法を掛けてもらったような気分になった着替えていたら時間ぎりぎりになってしまったから、コートを左手に抱えて慌てて部屋を出た一階に降りてフロントの傍を通ったら、部下に「行ってらっしゃいませ」と言われて…お客様と間違われてしまったけれども、時間もぎりぎりだし急いでいたから、早足で俯いてホテルのメインエントランスから外へと出たユノさんがまだ帰って来ていませんようにそう思いながら辺りを見渡したのだけど…「チャンミン、ありがとう」「…っあ、申し訳ございません遅くなって…」駆け寄って頭を下げたら、ユノさんは少しむっとした顔やはり似合っていないのか、それとも遅れてしまったから…申し訳無い気持ちで、俯きがちにユノさんを見上げたら、長い両手が伸びて抱き竦められた「っあ…ユノさん?」「デートなんだから『申し訳ございません』は禁止」「…ごめんなさい…それでそんな顔を?」「…顔に出てた?恥ずかしいな寂しかったんだよ、恋人が余所余所しくて」抱き締められたままだから顔は見えないでも、きっと…少し恥ずかしそうにしているであろう事が分かる僕も、今ならば顔を見られる事が無いから鏡に写って恥ずかしかった締まりの無い顔を見られる心配が無いから、恥ずかしい事も言えそうだ「申し訳ございませんって言ったのは…折角のデートでユノさんに早く会いたかったのに、服が似合うかなあって気になってなかなか部屋を出られなくてそれで、ユノさんを待たせてしまったからです」少し早口で言ったら、肩に手が置かれてばっと身体が離れたホテルの目の前だから、その方が良い分かってはいても少し寂しいそんな気持ちで目の前のユノさんを見たら、彼は僕を真っ直ぐに見据えて顔を綻ばせた「会えた事が嬉しくて…俺が準備したのに、服の事を一瞬忘れていたんだでも…真っ白いチャンミンが俺に向かって走って来て、天使かと思った」「…そんな訳…僕はもう三十を超えた男ですよ?」顔は真剣だけれど、冗談だと思ったけれども、僕がユノさんをじっと見たら、彼は今度は思い切り顔を綻ばせて微笑んだ「やっぱり間違い無いチャンミンは俺の天使だし…とても似合っているよ」「……っ、もう行きましょう、これ以上は目立つし…」嬉しさよりも、流石に恥ずかしさが勝って来てユノさんの手を引いてタクシー乗り場へと向かったけれども、この後もユノさんはタクシーのなかで何度も何度も「俺の天使」なんて僕を呼ぶから…降りる頃には、そう呼ばれる事にほんの少し慣れてしまったこんな事をチェ先輩に言えば『惚気だな』って言われるに違い無いランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 15May
a phantom 最終話
好きで好きで仕方無くて、だからこそ迷惑になりたく無かったなんて事は建前で、結局のところは自分の事しか考えていなかったのだと思うだって、恋心を拗らせてユノヒョンを崇拝した結果、仕事以外で関わる事すら出来なくなって…ビデオプログラムで会話の出来る『ユノヒョン』や、ある日突然僕の元へと送られてきた最先端のアンドロイドである『ユノヒョン』見た目だけ同じな彼らと擬似恋愛のような事をしていたのが知られてしまった今考えている事は、ただただ嫌われたく無い、幻滅されたくないという事だからもしも、僕が心からユノヒョンを尊敬して彼の事を第一に考えるそんな恋をしていたならば、先ずは謝罪をして、それから言い訳なんて無しに本当の事を話して…ああ、それからどうすれば良いのだろうやはり兎に角謝って許してもらうしか無いそれなのに…「チャンミン、今日は何をする?」「…ユノヒョン…今は…」「今日はチャンミンが静かだな疲れているのか?それとも、客人が居るから大人しいのか?」アンドロイドのユノヒョンとキスをしてしまった場面を、本物のユノヒョンに見られたキスをするつもりじゃあ無かったけれども、『ハグをしたらキスをする』とアンドロイドのユノヒョンに教えていたから…偶然そうなったのだ何も言えないまま、アンドロイドを連れて、三人で僕の部屋のリビングへと戻ったいや、アンドロイドはヒトでは無いし心も無いだから、ユノヒョンと僕と、それからユノヒョンの外見を持つ精密機械というのが正しいのだろうか情が移ってしまっているからそんな風には思えないけれどソファの真ん中に僕右側にアンドロイドのユノヒョンそして左側には僕の好きなユノヒョン正直、僕にとってはハーレムのような夢のような状況なんて思わず一瞬考えてしまったけれど、自体は深刻だ「で?チャンミナこれは一体どういう事?どうして俺とそっくりな…」「あ、あの…信じてもらえないかもしれないんですが、ある日突然送られて来たんです」「突然?『これ』って…最近話題の新しいアンドロイドだろ?高いだろうし…チャンミナが注文した訳じゃないのか?」眉を顰めるユノヒョン彼の方を向けなくて俯いていたら、右側から「何処か痛むのか?」と『ユノヒョン』の声心配してくれたのか、なんて思ったけれども、ちらりと視線だけで右側を見たら相変わらず殆ど表情は動いていない人工知能なりに、僕の表情が何を表しているのか考えているのかもしれない「…痛くないよ」呟いたら、左側からは溜息が聞こえた肩を竦めて更に小さくなって俯いたら「チャンミナ」と、珍しく苛立ちを含んだユノヒョンの声こんな風に彼を苛立たせているのは僕だただ好きなだけなのに「顔を上げて…俺の事は見てもくれないのか?」「そんな事…!」苛立ちと、それから少しの悲しみのようなものが含まれた声毎日、この部屋でアンドロイドのユノヒョンの声を聞いていて、その声は現実のユノヒョンと変わらないけれどもやはり、現実のユノヒョンの方が比べる事なんて出来ないくらいに豊かな感情を持っている当たり前だけれど、そんな事すら…ユノヒョンは完璧なひとで、仕事以外では関わる事なんて許されないと思っていた僕には見えていなかったような気もする「ちゃんと俺を見て、話をしよう」「…はい」罵倒されたっておかしくない気持ち悪いと言われたって何も言い返せないそれなのに、ユノヒョンは煮え切らない僕に根気強く語り掛けてくれるこれはきっとチャンスだそして、これを逃したらもう僕は信用を失ったまま取り戻せない「…本当に、突然送られて来たんですきちんとした配送業者で…悪戯では無いと思いました箱を開けてみたらユノヒョンが居て…そのまま、この部屋で話をしたり一緒に過ごしています」深呼吸をしてから顔を上げて、左側を向いてゆっくりと語ったユノヒョンは僕をじっと見てから少し困ったように頭を掻いた「俺が居て、って言うけど…俺はひとりしか居ないよ確かに驚くくらい似ているけど、AIが搭載されただけのアンドロイドだろ」「だけ、ってそんな…」言い掛けて口を噤んただって、ユノヒョンの言う通りだからそしてそれは『ユノヒョン』と一緒に居る僕誰よりも知っている事教えた事をその通り忠実に行うだけのアンドロイド寝る事も無いし何も食べないし飲まないずっと玄関で立っている事も苦では無いし、僕が気を遣って『リビングで休んでいて』『テレビを見ていて』と言っても、それはアンドロイドにとって何の意味も無い、ただの僕の自己満足分かっていても、やはり情があるそれに何より、僕の大好きなユノヒョンと同じ顔で同じ声笑顔のバリエーションは少ないけれど、確かに僕を見て微笑んでくれる上手く言葉に出来ないけれど、もどかしい唇を噛み締めてまた俯いていたら、「なあ」と少し低い声それが、普段のユノヒョンと何だか違って…いや、それすら僕がユノヒョンの事をもしかしたら見ているようで見ていなかったのかもしれないけれど、驚いた「…はい」「チャンミナは、現実の俺よりもアンドロイドの方が大切なの?」「そんな事…それに、ユノヒョンは人間でこのユノヒョンは…」「同じ名前で呼ぶの?それって、俺でもアンドロイドでも良いのかと思ってしまうよ」「違う…違います」そうは言っても、考えてみれば結局…僕は、人間のユノヒョンの代わりにアンドロイドのユノヒョンと接していたキスまでして、ユノヒョンに触れられない自分の想いの捌け口にしていた僕自身がやっぱり…好きだとか尊敬しているだとか思っている癖に、誰よりもユノヒョンを蔑ろにしていたのかもしれない「しかも、どうしてなのか分からないけど、キスまで…俺の事は好きじゃ無いけど、アンドロイドなら好きになったとか?」「え…」キスの話を持ち出されてどきり、と胸が痛くなったもう、こうなったらユノヒョンが好きなのだとはっきりと伝えてそうして振られて、心新たに頑張れば…なんてふと思った瞬間だったそうしたら、好き、どころかユノヒョンの事を僕が嫌いだなんて、そんなの…「有り得ないです、だって僕は…!」「…昔は…って、もう十年以上前だったりの話だけど…もっと懐いてくれていたよなでも、おとなにになってからは仕事以外だと目が合わなくなったり…ここ数年はそれもマシになったような気もするけれど、やっぱり仕事だけの関係なんだなって…寂しいよ」勢い付けて言ってしまおうと思ったら、静かに淡々と語られるユノヒョンの言葉ひとつでまた、何も言えなくなってしまうそれでも何とか、首を横に振って身体ごとユノヒョンの方を向いていたら、後ろからぽん、と肩に手が置かれた「…え…あ…」『ユノヒョン』と呼ぼうとして、けれどもその名前は飲み込んだだって、僕がアンドロイドと好きなひとを一緒に見ていた証だから「チャンミン、どうした?何か辛いのか?」「…違う、大丈夫だよ…」一度だけ振り返って小さく答えた僕が無視をしたところで『ユノヒョン』は傷付く事も無い分かってはいてもそれが出来ない僕は中途半端で、結局どんなユノヒョンであっても嫌われるのが怖いのだでも、さっきからそんな事ばかりしているから、何よりも僕が尊敬して大好きな…想いを拗らせて何も言えなくなってしまったくらい大好きなユノヒョンからの信用を失っていっている「チャンミナは俺の事をどう思ってる?どうしてアンドロイドばかり…」「僕は……ユノヒョンが知ったらきっと気持ち悪いって思います」こんな形で言うつもりじゃあ無かったいや、言える日が来るとも思ってもいなかったし、ずっと傍に居るからこそ言えなかった「気持ち悪い?それは俺を…そうやって思っているんじゃあ無くて?」「違う…だって僕はずっとずっと、ユノヒョンの事が好きで…でも言えなくて宿舎を飛び出したんです」「え…」ああやっぱりユノヒョンは切れ長の綺麗な瞳を丸くして固まっている大好きなのに、僕がユノヒョンを嫌っていただなんて…そんな風に感じるような態度を僕は取っていたらしいからただ、好き過ぎて踏み込めなくて、僕の汚い想いで汚したく無かっただけなのに…いや、違う嫌われるのが怖くて距離を置いた結果で、全て僕の所為だ「好きになって、気持ちが止められなかったんです傍に居たらユノヒョンに嫌な思いをさせてしまうと思って…仕事のパートナーという関係を壊さない為に一人暮らしを初めて距離を置きましたでも…好きで仕方無くて、好きで居る事だけは止められなくて…」「宿舎を出たって…もう随分前だけど…」「そうです、その頃からずっと…気持ち悪いですよね?」自分の言葉が胸に突き刺さるけれども、アンドロイドのユノヒョンとキスをしたのを見られてしまった以上誤魔化す事なんて出来る訳も無い身体は左側のユノヒョンの方を向けているけれど、腿の上に置いた手は震えるし前を向く事が出来なくて、白くなって震える拳を見下ろした「嘘だろ…本当に?俺はもう…本当に嫌われているとは思っていないよでも、あくまでも仕事のパートナーなんだろうなって思っていた」「じゃあ…僕の頑張りも功を奏したのかもしれません普通で居られるようにって思っていましただけど、僕は本当に本当にヒョンを尊敬しているんです好き過ぎて気持ちさえ伝えられないくらい、それは本当ですでも、伝わっていませんでしたか?」自分が不器用だって自覚はあるもう三十年以上生きて来たから拗らせている自覚だってあるでも、伝わらなくて良い事が思う通り伝わっていなかっただけでは無くて、伝わって欲しい事が伝わっていなかった事は切ない「尊敬…インタビューだったりで何度も言ってくれたよな言葉でもそう言ってくれていたから…だけど、その言葉にいつも距離を感じていたんだ俺達はもう家族のようなものだし、俺はもっとチャンミナの近くに行きたかったそれに…」「…それに…?」伝えたら全てが終わってしまうんじゃあ無いかっていう、爆弾のような僕の気持ちを伝えたけれども、キスを見られた時もそうだったけれど、ユノヒョンはきちんと僕の言葉を聞いてくれているそんなヒョンを僕はまた好きになってしまって…この気持ちを無くす事が出来ない「チャンミナはたまに俺を見て切なげな目をするんだ何時の頃からかもう忘れたけど…それを見ている内に、チャンミナをもっと知りたくなった踏み込ませてくれない内側を知りたくて…気が付いたら、好きになったんだ」「……え、今なんて…」俯いて拳を見ていた顔を思わず上げたそうしたら、僕とは違って、こちらを真っ直ぐに見ていたユノヒョンと思い切り目が合ったこんなの、仕事以外では何だか久しぶりで…「あはは、やっとちゃんと目が合った撮影では慣れていても…仕事以外だと何だか久しぶりな気がするチャンミナはいつも直ぐに目を逸らすから」「あ…今僕も同じ事を…」「ん?それって俺が目を逸らすって事?」「違います…何時だって逸らすのは僕で…僕がユノヒョンと向き合って嫌われる事が怖くて…だって、アンドロイドのユノヒョンにキスを教えるくらい、気持ち悪いくらいにヒョンの事が好きで…」想いが溢れてしまってふうふうと息を荒げながらそう言った時、後ろから「チャンミン」と声がして、肩に手が置かれたさっきまでは静かだったけれど、僕の声が大きくなったから、名前を呼ばれたと思ったのかもしれない反射的に振り返り掛けた時、今度は僕の右頬にアンドロイドの『ユノヒョン』と反対側から手が伸びて、僕の視界からアンドロイドの姿は消えた「チャンミナ、駄目だよ俺を見なきゃ…」「…っん……え…っ…」「……この唇に、俺よりも先にあいつが触れたの?」「え、今…」「分からない?じゃあもう一度…」頬に触れられるだなんて撮影でも滅多に無いアンドロイドの『ユノヒョン』の手に触れられた事はあるけれど、全然違う暖かくて優しくて、柔らかな皮膚の下は固く無くて、それは勿論、唇だって同じで…「……チャンミナの事が好きだよまさか同じ気持ちだなんて思っていなかったけど…そういう事で良いんだよな?」「…っあ…え……はい…好き、大好きです…」右の微だけでは無くて、左側も暖かな掌で包まれたそうしたらもう、俯く事も出来なくて目の前にユノヒョンの…やっぱりアンドロイドとはどれだけ酷似していても違う、確かに血の通った、たったひとり僕が大好きなひとの顔がある「参ったなあ…」「何が…」「俺達は、少なくとも仕事での信頼関係があるよな?」「はい、勿論」「でも、お互いにその…好きになっているのに相手の気持ちに気付いていなかったチャンミナは嫌われる事が怖かったって言うけど、俺だって同じだよこんなにずっと近くに居たのに擦れ違うなんてびっくりだなあと思って」と言うか、むしろ僕はユノヒョンが僕を好きになってくれる日がくるだなんて思ってもいなかったけれどもそれはやはり、結局僕がユノヒョン自身をちゃんと見ずに逃げてばかりだったから何だか不思議だけど、でも…「告白なんて出来ないって思っていたんですだから…その、ユノヒョンからしたら同じ顔で気持ち悪いって思うかもしれませんが、後ろにいるユノヒョン…じゃ無くて、アンドロイドが切っ掛けのひとつなのかなあって思います」嫌な気持ちになるかもしれないでも『ユノヒョン』が居たから僕の気持ちは少し穏やかになったそれは確かだからどきどきしながら、ついさっき僕に二度触れた唇に視線が吸い寄せられてしまうから何とか目線を上げて伝えたすると、ユノヒョンは少し不満げな顔やはり、同じ顔なんて気持ち良いものでは無いだろうそう思ったのだけど、ヒョンの口から出たのは驚くべき言葉だった「そのアンドロイドなんだけど…元々俺の、なんだ」「……え…?」思わず瞬きしたそうしたら、未だに僕の頬を包んだままのユノヒョンは、今度はくすっと笑って僕の頬をむにっと引っ張った「えっ、ちょっと…」「実は、アンドロイド制作の会社がPR用のアンドロイドを作る事になったんだ最初に広告に選ばれたのが俺で…俺のアンドロイドを作ったで、撮影はまだなんだけど、試しに俺が部屋で一緒に過ごす事になったんだ」「…嘘…でも、それがどうして僕の部屋に?と言うか、そんな仕事僕は聞いて無いです」漸くユノヒョンの手が僕から離れた後ろを振り返ると、『ユノヒョン』と目が合ってにこりと微笑まれたユノヒョンだけれどユノヒョンじゃあ無いけれどもこのユノヒョンもやっぱり…好き、とは違うけれど、何だか愛おしい「チャンミナには言いたかったんだけど、最初は極秘でその後俺以外のユーザーの反応も見たいと制作会社から言われて、チャンミンでも良いかと聞いたら大丈夫だと」「それで黙って僕の部屋に…?」尋ねたら、ユノヒョンは少しだけばつの悪そうな顔視線を少し逸らしてから、けれども僕を見てくれた「まあ、それはひとつの建前で…言っただろ、チャンミナの事が好きだけどなかなか仕事以上の関係になれなくて悩んでいたから、切っ掛けになれば良いと思った直ぐに俺に『アンドロイドが届いたんです』って言ってくると思ったし、そうすればこの部屋に来れて、そこから距離を縮めて…なんて思っていたんだ」それは、当たり前だけれど想像もしていなかった事で、思わず口があんぐりと開いてしまったそんな僕を見て、ユノヒョンはくすくす笑って「可愛い」なんて言う「…っ、可愛い訳が…」「え?可愛いよ今までは我慢していたんだけど…もう、両想いって分かったんだから我慢しない事にしたああ、そうだ、それと…物凄く驚いたんだからな」「…んむっ…」顔を逸らそうとしたらまた両手で頬をむにっと包まれて、おかしな声が出てしまったそれでもまた「可愛い」と笑う恥ずかしいけれど、ユノヒョンが嬉しそうに笑うから胸がこそばゆくて幸せで苦しい「驚いたって…」「取材中、まさかアンドロイドとの写真があるなんて…頬を寄せて随分楽しそうだったから嫉妬した」「…っあ…その、あれは…ユノヒョンとはあんな事出来ないから…だってユノヒョンの事が好きで…」「チャンミン、呼んだか?」「呼んでないからお前は黙って!」後ろから『ユノヒョン』の声がしたのだけど、僕が答えるよりも早く、前からは少し苛立ったようなユノヒョンの声ヒョンはそのまま、何だか昔良く見た記憶のある少年めいた悔しそうな表情で続けた「写真だけじゃ無くて、キスをしているところも見て…こんな事なら、チャンミナの元へ送る時に一旦記憶を閉じてしまわなければ良かった」「閉じる…そんな事まで出来るんですか?と言うか、この『ユノヒョン』はこの後…」「この後、撮影が控えているし…後は俺が自由に使って良いらしい」「…記憶…は?」「…忘れて欲しくないの?」ユノヒョンは、何処か寂しそうに僕に聞くでも、僕は誰よりもユノヒョンが好きで、そして…「だって、アンドロイドの『ユノヒョン』にはヒョンの事を好きで堪らない僕の気持ちが沢山…だから、我儘だけど消さないで欲しい、です」「チャンミナ…」頬に触れる手が優しくなったそして、ユノヒョンの黒い瞳がきらりと揺れた「ユノヒョンの事が好きだから、だからアンドロイドも…大切になったんです」「…分かったよそうしたら、俺の所に居た記憶をこのまま上書きして戻すよまあ、別に俺はこのままでも良いけど…俺が持ち主だから、チャンミナに手を出さないようにもう一度教えないと」「…僕はユノヒョンしか好きじゃ無い…んっ……」「キスしただろ?」「……はい、ごめんなさい」「物凄く嫉妬したんだからなでも…」言葉を止めたユノヒョンをじっと見つめたら、彼は僕の後ろに視線を遣った「でも、チャンミナが俺のアンドロイドを大切にしてくれていた事が分かったから嬉しいよ」「ユノヒョン…」「でも嫉妬してるんだからな?」「…ん…っ…」キスで唇を塞がれて、その柔らかさにくらくらするこんなキスを知ったら、『ユノヒョン』とのキスはやはりキスでは無かったのだと思うけれどもそれを口にしたらアンドロイドの彼に失礼だ、なんて思ってしまったから心のなかに留めておく事にしたこの後僕達がどうなったかと言うと、まず、ユノヒョンが出演した最先端のアンドロイドのCMは大成功決して簡単手の届く値段では無いけれど、注文が殺到したらしいちなみに、簡単に誰のアンドロイドでも作れる訳では無くて、元になる人間が了承を得たり、沢山の手続きもある例えば、僕のような熱狂的なユノヒョンのファンが勝手に『ユノヒョン』を作ろうとお金を詰んだって駄目だって事広告用に作られた『ユノヒョン』は、全ての撮影と幾つかの番組出演をヒョンと一緒に終えた後、ユノヒョンの部屋へと『戻って』行った「あの、ユノヒョン…」「何?その顔は何かお願い事があるって顔だな」恋人になって約二ヶ月僕達は素直に気持ちを伝えてお互いをしっかりと見る事が出来るようになったやってみればとても簡単な事けれども、近しい仲だからこそ、近過ぎるからこそ簡単には出来なかったのだ「その…僕から出て行って今更だって事は分かっていますでも、もう一度ユノヒョンと暮らしたいです」「…それって…俺とも、だけど『あいつ』とも暮らしたいって事?」「……キスはしませんハグをしてもキスはしないようにもう一度教えたし…」「ちゃんと俺だけが好き?」「勿論です!」ユノヒョンは少し考えるような顔をしながら僕をちらちらと見て、それからにこりと笑った「じゃあこうしようチャンミナのアンドロイドも作って四人で暮らそうかそうすれば『あいつ』も寂しく無いだろ?」「…ユノヒョン…だけど、そうしたら今度はヒョンがアンドロイドの僕に…」「さあ、どうかな」にやり、と僕を揶揄う顔で見るそんな冗談にも嫉妬してしまうけれどもちゃんと冗談だって分かっているし…きっと、とても楽しくなる「ユノヒョン、大好きです」「わっ、チャンミナは何時までもこどもだな」ぎゅうっと抱き着いたら、直ぐ傍、つまりユノヒョンの部屋のダイニングテーブルの椅子に座っている『ユノヒョン』と目が合って、彼も優しく笑ってくれた「ユノヒョンの前でだけだから良いんですそれにもう、我慢はしないって決めたので」「そっか…じゃあ俺も我慢は止めたから…ベッドに行こう」「あっ…!」ソファから立ち上がったユノヒョンに腰をぐっと抱き寄せられて僕も立ち上がったそのまま優しくエスコートされて、寝室までもう、ユノヒョンの事をただ完璧で憧れるだけのひとだなんて思わないヒョンの事は勿論尊敬しているけれど、彼にも僕と同じように感情があって、彼の考えがある完璧で欠点の無いひとなんて居ないし…僕はそうやって、長い間ユノヒョンを見ているようで、実際は自分で作り上げた幻想を見ていたのだ今はもう、恋人の事を僕はしっかりと見つめる事が出来ている幻想では無い現実のユノヒョンの事が、ヒョンを好きになってもう随分と長いけれど…今が一番好きだって自信を持って言えるランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村phantom…幻影(の)、夢幻(の)3話完結の予定が伸びてしまいましたが、3話目のコメントだったりで「長くなっても嬉しいです」と複数の方に言って頂けてとても有難かったです声を頂けるお陰で、最後まで思うままに進める事が出来ました連載していたなかでは「Electric Love」と系統が近いかと思うのですが、それよりも更に未来のお話で取っ付き難い内容だったかと思いますですが、描きたかった事は普遍的な事です読んでくださってありがとうございます
Fated 114
チャンミンは結局、あのアルファ男性と遭遇した昨夜からなかなかいつもの調子が出ないようで、朝しっかりと話は出来たけれど食欲は普段の半分も無かったようだそれを言ったら『食欲は有るけど、何だか気持ち悪くて食べたく無いだけです』と言われてしまったもしも俺が、先にあの…俺の『運命』だというオメガ女性に遭遇してもがき苦しむような思いを経験していなければ、チャンミンの言わんとする事や彼の気持ちを推し量る事は出来なかったと思うだから、あんな経験は二度とごめんだけれど、あの女性と遭遇して本能に抗った経験があって良かったと初めて思う事が出来た「チャンミナ、具合はどうだ?まだ気持ち悪い?」「大丈夫です、具合は悪くないし…言いましたよね?むしろ、ユノヒョンに抱かれた後は調子が良いんだって」「うん、じゃあ最近は毎日調子が良いって事だな俺も同じだよ」ヘアメイクと着替えを終えて楽屋のなか出番まで、少しだけふたりきりになる時間があったチャンミンは俺の言葉に少し頬を赤くして、それからペットボトルのミネラルウォーターに入っているストローを口に含んだ「…そうです、ユノヒョンと番になってから気持ちも身体もすっきりして幸せですだけど、今は気持ち悪い」「ヒートにならない代わりに身体が訴えているのかな」「押し込めたいです、そんなのそれに、僕はあのアルファと関わりたくも無いのに」そう言うと、ペットボトルを目の前のテーブルに置いて、隣に座る俺に小さな手を伸ばしてきた「どうした?」「ユノヒョンに触れたらそれだけで落ち着くから」上目遣いに見つめられたらどきりとするでも、やはり心配なのは俺自身も経験した事それは…「昨日抱いておいてこんな事を言うのはおかしいかもしれないけど…俺に触れたら『違う』って思ったりはしない?」そう、それは本能と理性が、身体と心がちぐはぐになる事勝手に定められた運命だというオメガ女性と出会った後の俺は、彼女の匂い、つまりフェロモンがずっと鼻の奥に残っていた良い匂いだとも思わないのに身体中に纏わりついて、考えたくも無いのに気が付いたら遭遇した時の事を思い出したり、自らの意思とは関係無く『あのオメガが欲しい』と思う心が求めるのはチャンミンなのに、身体だって勿論そうであったのに、運命の相手と遭遇して暫くの間は、チャンミンに触れて抱いていてもずっと何処からか『違う』という声が聞こえていたそれでもノイローゼになったり気が狂わずに済んだのは、やはりチャンミンの存在だ俺がどれだけ本能でチャンミンを否定するような事をしても、優しくする事が出来なくても、それでもチャンミンは俺を愛して求め続けてくれたから「…普段とはやっぱり違いますでも、朝も言いましたよね?例え本能があのアルファに反応していたって、身体がそれに引き摺られたって、僕はユノヒョンに抱かれて嬉しかったですそれに濡れなくてもちゃんと繋がれるって分かったので…オメガじゃなくても僕なら大丈夫って事ですよね?」「え…そう、なのかな?でも、濡れなきゃ痛むだろ?」「…やっぱりこの話は恥ずかしいので止めにしますそれに、好きだから痛みとか、そんなのは良いんです」今朝も、『その話』を自ら持ち出して赤くなったばかりなのにまたチャンミンは同じ事を繰り返すあまりに可愛くて揶揄いたくなってしまうけれど、今はぐっと堪える事にした「俺は、好きだから痛い思いをするなら辛いし…早く元通りに戻りたい時間が掛かっても大丈夫だし…チャンミナが俺を諦めずにいてくれたように、俺も同じ気持ちたよ」「ユノヒョン以外の誰にも抱かれたいなんて思っていないので大丈夫ですただ、僕はユノヒョンしか好きじゃ無いのに、勝手に頭のなかにあのアルファを思い出してしまうのが気持ち悪くて…それだけです」皺にならないように、なのだろうタキシード調のデザインのジャケットの裾をきゅっと掴むチャンミン『それだけ』では無い事は俺が何よりも知っている「多分、だけど自分が自分で無くなってしまうようないや、そうだな…『何か』に自分が支配されてしまうような、そんな気持ち?」「…うん」「そっか、うん…俺もあの時そうだったよ辛いよな…だからこそ一緒にまた乗り越えよう」俺から腕を伸ばして、背中をそうっと抱き締めた本当は壊れるくらいに抱き締めたい腕のなかから逃したく無いし誰にも見せたく無いけれども、これから収録だから必死に理性を掻き集めたそれに、あのアルファの事を除いても、今回の日本での仕事はとても大切だ「チャンミナが公表したから、オメガについての質問もある今まで答えて来た事や話した事ばかりだけど…緊張するだろ?大丈夫?」背中を擦りながら、耳元に優しく囁いたすると、チャンミンは俺の胸に額を擦り寄せるようにしてぎゅっと抱き着いてきた「あはは、チャンミナ…嬉しいけど衣装が皺になるから…」「直ぐに離れるから、今だけユノヒョンを補給させてください」くぐもった声でそう言うと、もう一度強く俺を抱き締めたそれから、ふう、と大きく息を吸って丸い背中が上下した「…もう大丈夫、本当はキスもしたいしまだまだ足りないけど…僕は今、グループの事も事務所の事も、それに…世界中の仲間…オメガの事も背負っているからしっかりしないと」ばっ、と腕を離したチャンミンついさっきまで俺の胸に抱き着いて背中を丸め小さくなっていたのに、今はもう胸を張っている少し冗談めかして放たれた言葉は、けれども事実だ隠れて生きる事が当たり前であるオメガ名の知れた人物がオメガである事を公表して、更にアルファだらけの業界で働き続ける事を選択したり、アルファと番になった事も公表するだなんて前代未聞の出来事オメガ本人、そして人口の一割に満たないと言われるオメガを家族や身内に持つひとならば少しは分かる事も、人口の殆どを締めるベータと、特権階級のように言われる俺達アルファには分からない事ばかり職業の自由が無かったり、まだ残る偏見や先入観それらを大きくするか、もしくは小さくしていけるのか、は今はチャンミンにかかっていると言っても過言では無い「怖い?」「…怖くない、怖いって言っても始まらないし…もう、僕は後には引かないって決めたんです」「本当に?強いチャンミナも好きだよでも、俺にだけは弱音も出してくれるんだろ?」大丈夫だと言うチャンミンにそうでは無いと言わせるような事をするのは俺のエゴなのかもしれないだけど、オメガになってからのチャンミンは本当に強くて…けれども、強いからこそ脆いという事も知っている「チャンミナ…」「もう時間だから…もう一度だけ抱き締めさせてくださいそうすれば大丈夫だって、怖くなったって何があったって僕の隣にはユノヒョンが居るし、僕達は運命の番でしょう?」『抱き締めさせて』と言ったくせに、両手を広げて「ん」なんて甘えるように唇を尖らせるから、思わず…「チャンミナ、一瞬だけだから…」「え、何……っん…」「リップが取れるからキスは終わり」ほんの少し、唇が軽く触れるだけのキスをしてから俺からチャンミンを強く強く抱き締めた「皺になる…」「この素材なら少しくらい抱き締め合っても大丈夫本当はチャンミナだって分かってるだろ?」「…うん…ユノヒョン、好き…」チャンミンの声がこどものように小さくて、触れ合ったところから彼の不安な気持ちが流れ込んでくるような気がするそうして全部全部、今のチャンミンの不安が俺に移ってしまえば良いのになんて、それを口にすればまた可愛い俺の番は『それは駄目です』と言うに違いないのだろう「良し、もう大丈夫です生放送じゃ無いし大丈夫それに、この間の配信は隣にユノヒョンが居なくて不安だったけど…今日はずっとヒョンと一緒だから大丈夫」「大丈夫、だらけだけど大丈夫?」「大丈夫です」腕を離して見つめたら、キスをして抱き締める前よりもチャンミンは穏やかな顔になったように見えたあの後直ぐにマネージャーが迎えに来て、それから三人でスタジオへと向かった予定は、音楽番組のトークシーンの収録、それが終わったら歌唱シーンの収録俺達は昨日来日したからそんなスケジュールだけれど、他の日本人の出演者達は昨日歌唱シーンを収録しているらしいどちらにしろ、あの…チャンミンの『運命』らしいアルファとは収録で一緒になるそう思っていたら、スタジオに入った途端に出会した「ああ、昨日はどうも」「…おはようございます、今日は宜しくお願い致します」まだ歳も俺達よりも若いらしい最近急に売れたバンドのボーカルだと聞いているけれどもアルファだからか…それとも、チャンミンが運命の相手だと察知したからか、何だか不遜な態度に見えた何も知らないベータのマネージャーは、そんな俺達の様子にも何も感じ取っていないようだ「ユノ、チャンミン、俺はスタッフに挨拶に行ってくるから…」「分かりました」マネージャーが立ち去ると、男は俺達を…いや、チャンミンをじっと見たチャンミンは身構えてはいるけれど、やはり俺と番になったからか、ヒートになる様子も無いししっかりしているように見える「ふうん、やっぱりチャンミンさんが俺の運命だったんですね」「…もう関係無いですよね?僕には番のアルファが居る事を公表しましたなので、僕達の間に何かが起こる事は有り得ませんお互いに良かったのでは無いでしょうか」男の真意が分からないし、何だか食えないアルファだから仕方無いのかもしれないけれど…韓国の芸能界にも少なくは無いけれど、アルファは自分を過信したり優れているから、と不遜な態度を取る者が居るのだ「チャンミナ、向こうで出番を…」「すみません、もう少し話をしたいのですが…」チャンミンの手を引こうとしたら、笑顔で制止された此処で目立つ訳にもいかないから否とも言えずにいたら、チャンミンは微笑んで「大丈夫です」と俺に言ったそれから、アルファの男に向き合って尋ねた「何でしょうか」「昨夜チャンミンさんに会ってから、色々と調べたんです日本でもあなたの事は話題になっていますが…配信で『運命のアルファと番になった』と言っていましたよね?」「…はい」「ですが、俺達がどうやら運命だまあ、この事は俺とチャンミンさんしか分からない事ですが…一体どういう事なんですか?」初めは、男か好奇の気持ちだとか、若しくは脅すつもりだとか…そういう悪意の篭った何かで尋ねているのかと思ったけれども、男の顔は真剣だチャンミンをちらりと見たら、彼は俺を見る事無く…悔しいけれど、運命の相手を見ている「運命、なんて誰が決めたのだろうと思いますあなたも僕も、こんな運命は望んでいないし良しとは思えないですよね?」「まあ…かなり驚いたかな」「僕もですそして、僕には…自ら『運命』と思えるひとが別に存在しますそれは、僕が決める事で…運命とはそういうものだと思っています」「だから、何も嘘は吐いていません」そうはっきりとチャンミンは言ったそれ以上、何も語ろうとしないチャンミン表情は動かないけれど、きっとその心のなかには色々な思いがあるだろうし、運命の相手を前にして気持ちと身体がちぐはぐになるような気持ち悪さもあるのだろうそれはきっと、目の前の男もそうなのかもしれないけれど「あの、申し訳無いのですが…」事を大きくしないように、男に声を掛けた「二次性の事に関しては、事務所とも相談して話をするようにしています今、他にオメガだと公表している人物はほぼ居ないと理解していますなので、何があっても、不用意にチャンミンの事を話す事は控えてもらいたいのです」日本語で思いを伝える事は難しいけれども、真剣にそう伝えた男は少し考える顔をしてから「分かっています俺も昨日から悩んでいて…なので話をしたかったんです」と言って、頭を下げてくれた収録前に緊張する出来事はあったけれど、どうやらあのアルファは話せばきちんと通じる相手らしいその事にふたりで安堵して、そうしてトークの収録が始まった今までも出演した事のある音楽番組で、男性アナウンサーと女性タレントが司会をしている挨拶をしてから、俺達を含む数組の出演者が紹介された収録前にそれぞれ挨拶をして、二次性の話が出るであろう事も断りを入れた俺達は話題作りをしたい訳では無いから勿論、戸惑うような顔をしている出演者が居なかった訳では無いけれども、男性も女性も、既に韓国からのニュースやSNSを通じてチャンミンの事を知っているから『今回共演出来て嬉しいです』『とても勇気の要る事で素晴らしいと思います』と言ってくれた日本の芸能界も韓国同様にアルファの割合が多いらしいそれでも、理解を示してくれる事が泣きそうになるくらい嬉しかった「本日は、今とても…あらゆる方面から注目されている方がいらっしゃいます」そんな風に紹介されたチャンミンは、真摯に質問に答えたオメガに突然変異したけれど、気持ちは何も変わらない事二次性をふたつ経験して、この業界でアルファの人間を沢山見て来たからこそ、人間は二次性に縛られずに生きていけると思ったという事もしも、オメガである事で辛いと思っているひとや、二次性関係無く生き辛さを感じているひとが居るなら…少しでも寄り添いたいし、オメガだと公表した事で、これから少しずつ何かが変わっていけば嬉しいと…大袈裟かもしれないけれど本気で思っているという事俺はと言えば、チャンミンをサポートする事すら出来ていなかったかもしれないけれど、ベータだった頃も、オメガになった今も、チャンミンの事を誰よりも尊敬している事そして、チャンミンは誰よりも内面が男らしく強いのだという事を語った茶化す事無く、司会者も出演者達も話に耳を傾けてくれたそして、出演者は俺達だけでは無いから、伝えるべき事を伝えた後は他の出演者達の話を聞いていたのだけど…「今回、チャンミンさんに初めて会って思った事があります」あの男がフリートークで、急にチャンミンの事を持ち出したからどきりとした隣合って座るチャンミンの肩が一瞬びくりと震えたけれども、彼は動揺を見せる事無く「僕ですか?」と言うように向けられたカメラに微笑んでいる「そうです、今日本でも話題になっていて…番が居る事を公表するってどんな感じだろうと思っていたんですと言うのも、実は…俺にも恋人が居て、オメガなんです」「そうなのですか?ファンの方達は驚かないですか?」「はは、何か有れば隠さないと言っているので大丈夫ですそれで…オメガの恋人とこの先番になって良いものか迷っていたんです」「それは、何故ですか?」視界の女性の質問に、男は少し考えてから「番になる事で、オメガを従属させてしまうよな気がしていたからです」と答えたそして、ゆっくりと続けた「今思えばとても失礼な話だと思いますですが、今のチャンミンさんが仕事に前向きでいる様子を見て、そんな事は関係無いのだと気付けましたそして、俺はアルファですが…同じように、これからは二次性に囚われずに皆が自由に出来る社会を目指すべきだと思いました」男の言葉に、バンドメンバー達は「今日は真面目だな」だとか「真面目な事は知っていたけど、こんなに語るのは珍しい」なんて、茶化しながらも頷いていた「チャンミンさんはどう思われますか?」司会者の質問に、チャンミンは「そのような考え方が今後広まっていけば嬉しいと思います」と、穏やかに微笑んだそれを見て、きっと大丈夫だと思った後少しでトークの収録が終わるから…そうしたら、一旦誰も見えないところに言って、思い切りチャンミンを抱き締めたい直ぐ傍に愛するひとの『運命』の相手が居る事は悔しいし、俺がどう頑張ってもそれを変える事が出来ないのも悔しいけれども、運命があったって自分達の意志があれば、想いがあれば新しい道を進む事は出来るそうやって俺達は証明したし…チャンミンを見て、あのアルファが何かを感じてくれたように、きっとひとつひとつ世界は変えていける筈ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 14May
生徒会長にお仕置き 1
ユノには『服なんて何でも良いよ』と言われたけれど、久しぶりに会う高校の同級生達の前で元生徒会長がだらしが無い格好をする訳にはいかないだから、スーツでは無いけれどもセットアップになったジャケットとスラックスを選んだ濃いめのグレーのそれは、ちょっとした何か、があった時に使えるからと持っていたのだけどあまり使う事の無かった服インナーは少しデザインの入ったスタンドカラーの白いシャツにしたユノは、と言えば…もう、何を着ても物凄く格好良いから今日も見るだけでくらくらしてしまうのだけど、最近お気に入りらしいスポーツブランドのフーディーと、それからデニムのパンツだスウェット地だしスポーツブランドではあるけれども価格は決して安くないし、それはデニムパンツも同じユノが選ぶ物はシンプルでも長く使える良い物が多くて、そして何より…「チャンミナ、見過ぎ…どうした?俺に見蕩れているの?」「…っ、気付いていたの?」「当たり前だろ、で…図星?」「…だって、ユノが着たら何でも格好良いだなんて狡いよ」少し日は長くなったとは言え夕方六時前になると日も陰ってきて、昼間よりも外で素直になれるユノと同じ大学に入学した学部は違うけれど、同じ校内で会おうと思えば会えるし会いに行けるけれども、それすらなかなか出来ないでいる高校時代は生徒会と体育会系という犬猿の仲で…そのなかでも生徒会長の僕と体育会系のトップであるサッカー部の部長であるユノは理由を付けて会う事が出来たでも、理由を付けなきゃ恥ずかしくて…周りに自分達の関係が知られる事が怖くて出来ないユノとの関係を知って欲しいのが本音なのに、行動出来ない今だって、少しだけ辺りが暗くなってきたから漸く家の外でもふたりきりの時のように本音を出せるなんて、我ながら情けない「チャンミナに言われるのが一番嬉しいよ」「…っあ…髪型が…」「ん?ごめん、嬉しくてつい」頭をくしゃっと撫ぜられた長い指が頭皮に触れてこそばゆくて気持ち良いおかしな声が出てしまったから、慌てて頭を振って拒むような仕草を見せたら直ぐに『ごめん』なんて言う以前のユノはもっと意地悪で…それだって、僕がそれを望むからなのだけど、人前で見せ付けたり見られてしまうくらい触れて来てくれたのに今はもう手は引かれてしまって触れてはくれない「皆変わっていないかな」「…変わらないよ、卒業してほんの数ヶ月なのに」「そう?でも俺達だって変わったと思わない?」じっと見つめられたけれど、ユノの真意が分からない僕が考えているのは、ここ最近のユノが妙に優しいって事元々優しくて意地悪だったけれど、ただひたすらに優しい「…変わらないよ、別に」変わりたくなんて無い僕はまだまだユノが好きで、折角一緒に暮らせるようになったもっともっとユノに触れたいそれなのに最近は忙しくてただでさえ抱かれていないのに、直ぐに優しくされてしまったらもう欲求不満でも、そんな本音も出せないくらい、変わってしまったユノに僕は臆病になっている「そう…あ、後少しで店だなしかも時間もぎりぎりだチャンミナ、急いで…俺と一緒に入るのは嫌だろ?」なんて、当たり前のように微笑んで言う確かに高校時代の皆に僕達が付き合っている事を知られるのは嫌と言うかプライドが邪魔をして、本当は言いたいのに言えないでも、まるでユノの事を嫌だと思っているような彼の口ぶりに胸が痛くなる「…嫌じゃ無い店の手前で偶然会ったって言えば良いだろ少し急いで向かって、一緒に入ろう」「そう?チャンミナが良いなら俺は異論なんて無いよ」「うん、そうしよう」ユノは優しい僕が酷くされたり激しくされるのが好きだって知っているから、いつもそんな僕の望むようにしてくれていただから、僕が求めているのはこんな優しさじゃ無くて…本当は、僕の肩を無理矢理抱いて皆の前に現れるくらいの、そんな優しさが欲しいけれども結局言えなくて、もう店も近付いて来たからユノとふたり駆け足で同窓会の店へと向かった店は居酒屋だと聞いていたけれど、実際はおしゃれな雰囲気の大型店舗だった創作料理の店らしく、参加人数も多い事から半分立食のような形式になっているのだと、受付で聞いた犬猿の仲だったユノと僕が一緒に現れた事で、やはり皆驚いている様子だったなかには『仲直りをしたのか?』だとか『ついに和解したのか』なんて言ってくるやつも居て…ユノはにこにこと笑っていたけれど、僕はついいつもの癖が出てしまった「直ぐそこで会っただけだ一緒に来たからって勝手に勘違いしないでくれ」本当は嬉しいし恥ずかしいだけでも、高校時代はずっとこんな風に生徒会長である自分を演じていた久しぶりに会ってもそれは変わらなくて、冷たく言い放ってから後悔したユノにも僕にも、それぞれ仲の良かった友人達が集まって来て、気が付いたらもう離れてしまった「チャンミン、久しぶりだな」「キュヒョン…会えて嬉しいよ最近はどう?」「ん?大学は忙しいけど変わらないかな高校時代が懐かしいよ」生徒会のメンバーに囲まれて一通り挨拶をしてから、喉が乾いたからテーブルの上のシャンパンを手に取ってひと息吐いていたら、生徒会のメンバーで気の置ける友人でもあるキュヒョンがやって来た「それより、チャンミン」「何?」「今日は堂々とチョンと一緒に来たと思ったのに…まだ隠すつもりなのか?」「しっ!誰かに聞こえるだろ」ユノとの関係を知っている…と言うか、以前ユノとの約束で、僕自らキュヒョンに交際している事を伝えたから、彼だけは知っているのだ本当は『ユノに抱かれている』と言うように、とユノから言われていたのだけど、流石にそれは言えないから付き合っているとだけ伝えたキュヒョンは笑みを浮かべて僕を見て、それから辺りを見渡して少し離れた場所に居るユノの事を見た「一緒に居なくて良いのか?」「……」「何?まさか別れたとか?」「そんな訳無いだろ!…っ、その、前も話したけど一緒に住んでいるし」そう、キュヒョンとは時々連絡を取っているだから、同棲している事も話している「じゃあ何で未だに余所余所しいんだよ何だか余計に不自然だよ」「……」心配してくれる友人が有難いそれに、誰にも言えないから…あっという間に空になったシャンパンのグラス沢山並べられているそれをもう一杯手に取ってぐっと一気に飲んでから、更に別のワイングラスを取って、キュヒョンを会場の隅の椅子の方へと促した「…で?俺に何か聞いて欲しいんじゃないのか?」「……うん…その…変わらずに付き合っているんだけど…最近ユノが優し過ぎて」「結局惚気かよ」「違うってば!そうじゃ無い優しいけど…優しくて距離を感じるんだユノはいつももっと、こう…ちょっと意地悪をしてくれたりとか…」「…チャンミンってMなの?今更だけど」アルコールの力を借りて漸く話せたのだけど、キュヒョンが僕をじっと見てくるから急に恥ずかしくなった「違っ、そういう事じゃ無くて…」「いや、でも意地悪をして欲しいって事だろ?冷静沈着な生徒会長様…いや、元生徒会長様がまさかそんな…知ったら皆驚くだろうな」「だから違うし!もう良いよ」揶揄うようなキュヒョンの前で立ち上がってワインを一気に飲んだら「チョンはチャンミンに夢中だと思ってるけど」なんて言われた今の僕達の事なんて何も知らない癖に「キュヒョンのばか」「…チャンミンってチョンの事になると可愛いよな」頷くキュヒョンには僕の怒りが全く伝わっていない様子無視して、また料理とドリンクの置かれたテーブルへと戻った「シム君、乾杯しよう」「生徒会長、久しぶり」「…もう生徒会長じゃ無いよ」あまり話した事の無い女子が近付いて来た僕だって、ユノ程では無いけれどモテて来たし、告白だってしょっちゅうだったユノの事しか見ていなかったから断り続けて来たけれどそう言えば、高校時代、ユノが居る場所で女の子に声を掛けられて…普通に笑顔で応じていたら、その後いつも『お仕置き』をされたそんなユノの嫉妬が嬉しかったし、何よりもお仕置きをされる事が愛されている証拠のようで幸せだった「乾杯」「シム君、益々綺麗になった気がする」「そう?僕も少しはおとなになったのかも」にこりと微笑んだら、彼女達が少しだけ頬を赤くする僕はまだまだモテるのかもしれない最近、自分自身に魅力が無くなったのかも、とも思っていたから、異性の反応を見て少し安堵したでも…「チョン君ってやっぱり人気だよねでも、恋人が居るんだって…残念」「そうなの?でも、同窓会は出会いの場にもなるし…チャンスは有るかも」近くで聞こえてきた声に、彼女達の視線の先を追うと、僕よりも余っ程沢山の女子に囲まれたユノの姿何だか嬉しそうだし、まるでハーレムだ「シム君、私達は生徒会長様の方が好きだからね」「…別に競っている訳じゃあ無いから」その後も、懐かしい顔やあまり顔の覚えていない女子だったり色々なひとと挨拶をして、その度に乾杯をした食べるよりも飲んでばかりで、それなりにお腹は満たされたのだけど…「ごめん、僕ちょっと…」そう言えば、部屋を出る時にもトイレに行きそびれたまま同窓会への緊張もあって、今の今まで忘れていたけれど、アルコールもだいぶ飲んだから…気付いたら、一気に我慢出来なくなってきた「直ぐ戻って来るよ」周りの皆に声を掛けてから、トイレを探した「あの、トイレは?」空いた皿を片付けている男性スタッフが居たから声を掛けたすると、彼は場所を教えてくれたのは良いけれど…「広い会場なのに、トイレはひとつ、とか…」会場のなかにあるトイレまあ、確かにレストランや居酒屋のトイレなんて個室は少ないのも当たり前だけど、今日は立食で人数も多いそして皆アルコールも飲んでいて…ひとつだけある男性用の個室に並んでいたら、僕の前に並ぶふたりが振り返って言った「友達が飲み過ぎたらしくて…少し時間が掛かると思う」「え…嘘…」「ごめん、どうしても急ぐようなら外に出て探してもらっても良いかな」あまり話した事の無い元同級生は、どうやら並んでいる訳では無くて、友人を心配して待っているようだ念の為、問題無いのかと聞いたら「大丈夫」と言うし、皆から見える場所でずっと並んでいるのも何だか恥ずかしいから我慢する事にしたそうして、その後もユノの傍にはいけないまま、次々と誰かがやって来て乾杯ばかりトイレに行きたいままだから、なるべく口を付ける程度にして飲み過ぎないようにしたでも、お腹も苦しいし、何だか久しぶりにワインやシャンパンを飲んだから酔いが回ってきて…「…ごめん、僕、ちょっと座ってるよ」トイレよりもくらくらして来たから、近くにあった椅子に座った女子が心配してくれたけれど、なるべく笑顔を作って「大丈夫だから」とひとりにしてもらった「水が欲しいけど、でもそうしたら…」そうだ、水なんて飲んだらまたトイレに行きたくなってしまうトイレの方を見たら、さっきの男達は居なくなっていて…けれども、また数人の列が出来ている入れ代わり立ち代わり誰かが利用しているようで、並ぶのも面倒「…はあ…」久しぶりの友人にも会えたし、楽しく無かった訳じゃ無いでもやっぱり、同じ場所に居るのにユノと一緒に居られないのが辛い額に手を当ててぼんやりしながら会場を見渡したら、離れた場所にユノを見付けたそして、彼も僕を見付けた様子で目が合って…「え…」「…シム、真面目な生徒会長様がこんなに酔い潰れて…どうした?」「え…あ…」「あはは、いつもの調子も無くなったのか?」ユノは僕の前にやって来て笑うと、ぽん、と肩を掴んだその手が熱くてどきりとしたのだけど、それよりも…「…っあ、駄目…」「…シム?どうした?」今度は、僕の前にしゃがんで太腿を擦るその手にどきどきするのだけど、肩に触れられても太腿に触れられても…その振動が身体に伝わって、下腹部が刺激されたような感覚つまりは、トイレを我慢していたのに一気に刺激されてしまった「あの、僕、トイレ…」「トイレ?ああ、ずっと並んでいるみたいだな…行くの?」「…うん…」ゆっくりと立ち上がったその拍子にくらりとして、思わずユノの胸に手を置いたユノは僕を拒む事無く居てくれるそれに少しほっとしたのだけど、立ち上がったら更にトイレが近くなる「…っあ…」「何?もしかして、限界なのか?」「あ…っや…」「トイレ…あれだけ並んでいたら十分はかかるんじゃあ無いか?だいぶ飲んだんだろ?腹が膨れて可愛い事になってる」真正面に立って僕を覗き込んで来るユノそのまま、水分だけで膨れた僕のお腹に手をあてて…「…っひ…」「もしかして、押されたら困る?」「ん、だって…駄目…」「そうか…でも、このままじゃあトイレにも間に合わないんじゃあ無いか?ここで、皆の前でお漏らしなんてしたら、元生徒会長様のイメージにも関わるだろうし…」「やだ、ユノ…」胸を掴んで頭を振ったけれども、そんな刺激さえも腹に伝わってもう限界涙が滲んできて、顔を上げるのも怖くてどうしようと思っていたら、ユノが僕の手首を掴んで歩き出したそして、耳元で「少しの間我慢する事」と低く囁いた「シムがどうやら気分が悪いようだ今日はもう俺が連れて帰るよ」「え、シム君が?大丈夫?もし良ければ私が一緒にタクシーで…」「問題無い、一緒に住んでいるから…俺が連れて帰るのが一番スムーズだ」「え…」もう顔も上げていられなかったから、周りに沢山ひとが居る事は分かるけれど…それ以上はもう分からない「シム…いや、チャンミナ、帰ろう…限界だろ?」「…うん、もう無理…」もう、ユノの事しか考えられなくて、ただただ優しく笑って振り返るユノに頷いて会場を後にした何だかとても、ざわついていたような気もするけれど…ユノが僕をいつも通り『チャンミナ』と呼んで笑ってくれたからそれで良い「チャンミナ」「ん…」外はもう真っ暗外気に触れると肌寒くてぶるりと身体が震えるそうすると、またトイレに行きたくなる「ユノ、あの、何処かでトイレ…」手を繋いで僕の半歩前を歩くユノその速さについていくのも精一杯だって、急いだら更にお腹が刺激されるから後ろから声を掛けてアピールをしたユノになら何でも言えるし、もう僕がトイレに行きたい事も伝わっているだから、一緒に近くのトイレに行けば良いと思ったけれども、振り返ったユノはとても優しく微笑んで言った「駄目だよ、我慢しなきゃ」「え…」「女子に良い顔ばかりして、モテて喜んでたんだって?俺が居るのに、俺には知らん顔をして…そんなの、お仕置きが必要だろ?トイレには行かないから、このまま我慢する事」「でもそれじゃあ…」「俺は別に、チャンミナがお漏らしをしたって良いよ」汚いって言おうとしたけれども、高校時代のように…いつものユノのように、意地悪だけど優しい笑みを浮かべて言われたら、僕にはもう逆らう事なんて出来ない悩ましいし苦しいけれども、僕の醜い姿さえもユノは全て受け入れてくれるそう思うと、苦しいのに心は歓喜でいっぱいになるそう、これが僕達の正しい関係なのだランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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black day 29
暦の上では春、けれどもまだ寒い時期に本当の恋なんて知らなかった僕は、恋の何たるかも知らないのに同性であるユンホさんに一目惚れをしたそれも、まるでドラマなんかで有りそうなシチュエーション往来の真ん中で転けてしまったら優しく手を差し伸べてくれたドラマなんかで有りそうではあるけれど、ドラマならばきっと僕は女性で…同じようにユンホさんに彼女が居たって、それは些細な障害でしか無くて結ばれたのだろう冬のように寒かった二年前のあの日、やはり現実はドラマのようになる訳も無く、僕は同性である名前も知らなかったユンホさんに一目惚れしたけれど、彼のなかには僕は殆ど印象すら残らなかった一ヶ月経った二年前の四月恋の何たるかも知らないのに一目惚れしたまま忘れられない僕は、ただ外に出る度に彼の姿を探していて…そうして、一ヶ月ぶりに彼を偶然見付けたもうチャンスなんて無いと思ったし、その日は丁度恋人の居ないひとは黒を身に付ける、というブラッグデー彼はブラックコーデに身を包んでいたから、自分史上最大の勇気を出して声を掛けたそう思うと、再会までの一ヶ月は長く苦しかったけれど、再会してからの僕、そして僕達は何だかドラマよりもドラマチックかもしれない、とも今となれば思うユンホさんにとっては『初めまして』状態だった四月の肌寒い日に勢いで告白した彼は同性である僕を邪険にする事無く、気持ちを聞いてくれたし傍に居させてくれたその後一ヶ月の間、親しい友人のように接してくれたし、たまに手を繋いだりもした僕にとってはそれは特別な事けれども、奥手な僕と違うユンホさんからすればそれは自らに想いを寄せてくる僕への慰めのようなものなのだろうか、とも思った再会した四月の肌寒い日に勢いで告白したけれどもその後は、執拗くして嫌われる事が怖くなって、それ以上を伝える事が出来なかったユンホさんは優しいけれど、手を繋ぐ以上には進まない自分達の関係は何なのか、男同士だから余計に分からなかった僕の気持ちは最初に伝えているから、ユンホさんの返事をゆっくり待とうとも思ったでも、再開して告白した日から一ヶ月が経ったからもう一度きちんと告白しようと決心したのが二年前の今日「シム、今日は早く帰った方が良いんじゃないか?」「え…どうして…」元々、今週はスケジュールをしっかり組んで、今日…つまり、十四日はなるべく早く仕事を終えられるようにと調整していた仕事さえきちんと出来ていれば、社内では問題無いだから、声を掛けてきた先輩にも特に今日の事は伝えていなかったからどきりとした「だって今日は十四日で恋人達の日だろ?しかも確か、先月だったかな…シムにとっての記念日も十四日だって嬉しそうに言っていたから」「え…っ、僕そんなに話してましたっけ…」先月は、僕にとって特別な日そして勿論、ユンホさんから告白されて、僕も二度目の告白をしてはっきりと恋人同士になった今日も大切な日あれからずっと、勿論毎日ユンホさんに現在進行形て恋をしてどきどきしているでもやっぱり、十四日が近付いてくると更にどきどきするそうして少し浮き足立った僕は、入社したばかりなのに会社の先輩にまで記念日の事を話していたらしい「シムは真面目だし、どちらかと言うと寡黙なのに…恋人の事を話す時は目がきらきらしていたから、本当に好きなんだなあって伝わってきたよ」「…お恥ずかしいです」優しい先輩で良かったけれども、自分でも無自覚で話して惚気けていただなんてとても恥ずかしいパソコンに向かって、乱れる気持ちを必死に冷静に抑えて頭を働かせたのだけど、隣からは先輩が何だかにやにや嬉しそうにこちらを見てくる「…何でしょうか…?」「ん?揶揄ってるって顔だな…違うよ」「……」優しい先輩だけれど、流石に『揶揄ってますよね?』なんて聞けないから、手を止めてちらりと右側を見たすると、二十代半ばの彼はにやにや、では無くて何故か少し恥ずかしそうな表情に見えた「どうしたんですか?」「いや、その…俺も彼女が居るんだけど、学生の頃から長く付き合っているんだ結婚は考えているけれどあまりサプライズなんて事はしていなくて」「結婚も…そうなのですね」「うん、そろそろかな、とは思ってるプロポーズも形だけすれば良いかと思っていたんだでも…」丁度、オフィスにはひとはあまり居ない僕からこんな話を先輩にけしかける事は出来ないけれど、先輩から、だし…何だかとても、聞いて欲しいように思えたから耳を傾けたと言うか、先月の僕こそもっと惚気けていたのかもしれないし「でも?何か問題でも?」「いやいや、違うよ、その逆」首を傾げて尋ねたら、先輩は両手を振って否定したその拍子に、遠くに座っていた上司がちらりと僕達を見て来たから、仕事の話をしている振りでお互いに表情をきりっと整えて…それから、上司の視線が無くなってから顔を見合わせて少しだけ笑い合ったでも、先輩はまた直ぐに真剣な表情僕も釣られて背筋を伸ばして右側を向いたら、彼は「シムを見て教えられたんだ」と言った「僕が…?」「そう、彼女の事がとても好きなんだって伝わってくる大切にしていて、彼女を想って色々な事を考えているんだなあって」「……」僕は、ユンホさんの事を誰かに話す時に『恋人』と言うだって、彼女では無くて『彼氏』だからでも、それをまだ大っぴらに出来る程、この世界は同性同士の恋愛に寛容では無いからけれども、男が恋人と言えばひとは当たり前に女性だと思うそれが少し切ないもう、二年経ったから慣れた事でもあるけれど「そう、だから…シムを見習って俺も彼女にちゃんと向き合おうと思ったまず、今日はローズデーだからサプライズをして…それから、彼女の記憶に残るようなプロポーズをしようと思う」「先輩…僕はいつも特別な事なんてしていないですでも、きっと先輩の気持ちを知ったら彼女も喜ぶと思います」当たり前に僕の相手は女性だと思われているでも、そうでは無い部分…僕が何よりも『恋人』を大切に想っているという気持ちが伝わったならばそれで良い「そう、だから…今日は俺も早く帰れるように、シムと同じようにスケジュールを組んでいるんだ」「…そうだったのですねでは、お互いに予定通り仕事を上がれるように後少し頑張りましょう」今日は勿論、と言うのは先輩には言えないけれど、ユンホさんと仕事の後に待ち合わせをしている僕達が日々を過ごす場所の距離は、僕が大学に通っていた頃よりも近くなっただから、夜に会うのもお互いに負担が小さくて済むなのだけど…今日のような日は、それが逆にネックになるだって…「後少しで終われる…急いであそこに寄って、それから待ち合わせ場所に戻ってくれば大丈夫だよね」パソコン画面の時計を確認しながら先輩に聞こえないように、自分に言い聞かせるように呟いて頷いたこの調子ならば、予定通り定時に上がる事が出来るユンホさんの待ち合わせ時間まではまだ余裕が有るのだけど、お互いのオフィスが近いからこそ今日は少し足を伸ばさなければならない事があるのだ最後の踏ん張りで、もう一気に集中して仕事を進めた正直まだまだ新人で、なかなか上手くいかない事も多いでも、記念日に掛ける想いが強かったからか…「…終わった…!」「え、もう終わったのか?」「はい、予定通りです、良かった…先輩は後少しですか?手伝いましょうか、と言いたいところなのですが今日は…」「大丈夫、分かっているし…俺もシムに負けないように頑張るからまた明日、俺も良い報告が出来るように仕事も彼女の方も頑張るよ」理解のある先輩に頭を下げて、丁寧に…だけど、顔には出さないように急いで片付けてオフィスを後にした「…昼休みは暑いくらいかなって思ったけどやっぱり夕方は寒い」スーツの上には薄手のショートコートオフィスを出たら風が冷たいって思ったけれども、地下鉄の駅まで走ったら寒さなんて直ぐに気にならなくなったそれに…「…っはあ…体力付けなきゃ…」直ぐに息切れしてしまって、ホームで腰に手をついて俯きながら息を整えた地下鉄で、三駅離れた場所が目的地勿論、本当はそこまで向かわなくともその店…つまり、僕が今から向かう花屋はオフィスの最寄り駅にも有るそして、今日の待ち合わせ場所は僕のオフィスの近く出来るだけユノさんに気付かれないように準備をしたかったのだ「まだ時間も早いし、きっと混んでいないよね」地下鉄の一駅がとても長く感じた早く駅からまた走りたくて、そわそわしながら窓の外、トンネルのなかを見つめた駅まで走ったから、髪の毛は何だかあらゆる方向に跳ねていて、恥ずかしいけれども少しだけ電車内で髪の毛を押さえたり、整えてみた地下鉄を降りたところでユンホさんからのメッセージ『予定通り仕事を終われそうだ』直ぐに既読をつけないようにして…でも、やっぱり待ち切れなくて、返事をした『僕も予定通りオフィスを出れそうです後少し頑張りましょうね』なんて、本当はもうオフィスを出ているのに「ユンホさん、驚いてくれるかなあ」メッセージを返して改札を出て、目的地へと向かった初めて向かう店だけれど、昨夜、それに昼休みにも地図をしっかりと見ていたから迷わずに向かう事が出来た走って走って息を切らして、やはり寒さなんて感じなくなるくらいにとは言え、僕の髪の毛はユンホさんの真っ直ぐな黒髪と違って直ぐに跳ねるし広がるから、店の手前で立ち止まり、それから手櫛で髪の毛を整えた急いだのは、予約している訳でも無くて、そして店頭で見て相談して作ってもらおうと思ったからだから少しでもその時間を取る為に走ったのだ「良し、行こう」少し気恥ずかしいけれど、男らしく胸を張って、硝子張りの店内へと足を踏み入れた色鮮やかな花々が所狭しと並べられた店内は何とも言えない甘い自然な匂いが漂っていて…「いらっしゃいませ、とのような花をお探しですか?」「あ…ええと、ローズデーなので恋人に薔薇の花束を…」「とても素敵ですね今日はきっとこれから薔薇を買いに来られる方が増えるので…今ならまだ沢山有ります」女性スタッフは優しい笑みを浮かべて、赤い薔薇でも幾つも種類が有るのだと鮮やかな花々を見せてくれた「花の大きさや香りの強さもまちまちですどちらかと言うと、大ぶりのものの方が香りもたつので…目立つように、でしたら色が強く大きなもので花束を作る方が多いです」「…ええと…目立ちたい訳では無くて…小さめで、色は…少し柔らかなものが良いかなあとでも、花束は少しだけ大きめにしたいと思っています」スーツで仕事帰りに待ち合わせるだから、花束を持って待つのは正直恥ずかしいだって、男同士だし…でもユンホさんはいつも、そんな事関係無く僕と堂々と過ごしてくれるそんな恋人に、僕も気持ちをちゃんと伝えたい「では、こちらのようなイングリッシュローズは如何ですか?丸みがあって、お色も赤ですが少しピンクがかったものもあるし、お花の持ちも良いので長く楽しんで頂けます」「…へえ…薔薇って少し気恥ずかしいんですが、これだと可愛らしいですねじゃあ、この薔薇と、それから…幾つか種類を混ぜて花束にしてもらえますか?」大体の大きさや、使う花の種類を女性スタッフと一緒に選んでから、花束を作ってもらった店内には数人の男性客がいて、やはり薔薇を選ぶひとが多いユンホさんとのローズデーも三回目だけど、今日が一番緊張するだって、僕も漸く社会人になったから一人前の男だし…スーツで花束、なんて漸くユンホさんに追い付けたような気がするから「それに、今回はサプライズを成功させなきゃ…」待ち合わせ場所に現れるユンホさんの顔を想像したら、頬が緩んでしまうきっと僕がスーツで花束を持って現れるだなんて思っていないだろうから「お客様、このような感じで如何でしょうか?」先程のスタッフの声にはっと顔を上げた出来上がった花束は、片手で持つには少し大きいサイズだから、決して小さく無い本当に恥ずかしいけれど、もう決めたから…「はい、お願いします」頷いたら、スタッフは「包んで仕上げるから後少し待ってください」と微笑んだどきどきしながら待っている間にも、店には男性客の出入りがあって、皆やはりそわそわしている仲間に見えて心強いそしてまた、自動ドアが後ろで開く音がした「いらっしゃいませ」別の女性スタッフの声がしたきっとまた男性だろうそして、僕や店内の男性達と同じようにローズデーの薔薇を選ぶのだろうなあと思っていたら…「すみません、予約をして頼んでおいたチョンと申しますが…」「…え…」まさか、と思ったでも、間違える訳が無い僕が、誰よりも大好きな年上の恋人の声を名前を聞くまでも無く、後ろに居るであろう姿を見る事も無く、直ぐに分かった…から、振り返る事が出来なかった「チョン様…ありがとうございます花束ですね、準備が出来ておりますオーダーを元に作ったのですが、このような形で如何でしょうか?」兎に角、店内の隅へと移動して壁の方を向いたきっとユンホさんは気が付いていないから…ユンホさんがこのまま先にレジを済ませて店を出てしまえば気付かれずに済むどんな花束なのか気になるけれども見る訳にはいかないし、それよりももう、まさかの事態に心臓がドッドッと五月蝿い「とても素敵ですねでも…後少し、可愛らしい感じも欲しいなあと思うのですが…」「でしたら、こちらの小さな薔薇をアクセントに加えてみるのも良いかと思います香りも控えめなので、主役の薔薇の邪魔をしません」「ああ、とても良いですねでは、そちらを少し加えて頂いて…」「かしこまりました」ユンホさんの弾む声が背中の方から聞こえる顔が見たい、だけと見てはいけないもう緊張は最高潮で、ひたすら気配を消していたら…「あ!お客様、お待たせ致しました準備が出来たのでお会計をあちらで…」「…っあ、はいあの、ええと…恥ずかしいので此処でお会計をお願いしても良いですか?」目の前に現れた、僕の花束を作ってくれた女性スタッフレジは多分、ユンホさんが居る方向だから苦肉の策でお願いしたら、少しだけ不思議そうな顔をしながらも「分かりました」と微笑んだ彼女は紙の袋に入れた花束を持って来て、そして何とかその場でお会計をして、僕の払ったお金と花束の袋を持って「お釣りをお持ちします」と背を向けた後少しで何とか大丈夫、そう思っていたら…「あれ、あの花も素敵ですね……っえ…」「……」驚き過ぎて、声も出なかっただって、急に後ろから気配が近付いたと思ったら真横に腕が伸びてユンホさんが現れて…僕の傍の花をじっと覗いたかと思ったら僕を見て来たから「…お疲れ様です、ユンホさん…」「え…嘘だろ…え…」隠し切れなかったでも、物凄く驚くユンホさんなんてなかなか見る事が無いから…何だか可愛くて、こんなハプニングもそれはそれで良いのかも、なんて思ってしまった「チョン様、お会計をお願い出来ますでしょうか?」「あ…っはい!」ユンホさんは、穴が空いてしまうくらいじっと僕を見てから背を向けてどうやらレジに向かった様子見たいけれど我慢して待っていたら、僕の元にお釣りと、それから直ぐ後ろに居るユンホさんの為の花束がやって来た「ありがとうございます!」女性スタッフに小さく伝えたら「きっと恋人も喜ばれると思います」と微笑まれて…今は更に恥ずかしいから頭を下げて店を出た「…ユンホさん、見ちゃったかなあ…」店を出て、通りの向かい側で花束の紙袋を抱えて待った紙袋に入っていれば、きちんと隠れているから大丈夫どきどきしながら待っていたら、直ぐにユンホさんが店から出て来て、そしてきょろきょろと辺りを見渡している「ユンホさん!」「チャンミン…!」手を振ったら、ほんの少しの距離なのにユンホさんは走ってきてくれたでも、僕もその気持ちが分かるだって、少しでもゆっくり花を選べるようにってオフィスから駅、駅からこの店まで走って来たから「…もしかして、同じ事を考えてた?」ユンホさんは僕よりも更に大きな紙袋を持っているだから、まだ花束は見えてはいない「…早く仕事を終わらせて、オフィスから遠いお店で薔薇を買ってユンホさんを驚かせようと思いましたでも、僕が先に…ユンホさんがお店に入って来てびっくりしました」「俺も…本当に驚いたよまさか同じ店を選んでいたなんて…あはは、これも相性が良いって事かな」「…僕も、同じように思いました背中を向けてどうかばれないでって思っていたんですが、ユンホさんが隣に来て…びっくりしたけど嬉しかったです」まだ暗くなっていないから、ユンホさんの顔がはっきりと見える夕暮れの所為か、それともまさかの出会いの所為か、少し赤く染まっている頬がとても愛おしい「チャンミンの頬が赤いのは夕焼けの所為?それとも…」「…さあ、どちらでしょう」嬉しいのと恥ずかしいのと、それからこの先どうしようと思ったふたりで同じ店の紙袋を持っている僕達は、まるでこれから合コンだとかダブルデートに向かう彼氏に見えるのだろうかそう思われたら少し切ないけれど、かと言ってやはり…オフィスからは離れたとは言え、スーツ姿で恋人として過ごすのも恥ずかしいユンホさんのスーツ姿は格好良くて本当に素敵だから良いのだけど「チャンミン、ええと…本当は待ち合わせ場所に花束を持って現れて、サプライズをしたかったんだ、でも予定が狂ったな…」「僕も、今どうしようかなって思っていました」「うん…でも、決めていたから今言うよ」「え…」人通りは少ない閑静な道だけど、男ふたりが大きな紙袋を持っていたらそれなりに目立つ気もする場所を移動した方が良いかとも思ったけれど、ユンホさんは真面目な顔でゆっくりと紙袋のなかから花束を取り出したそして…「ユンホさん、スーツが…」「良いよ、それに…チャンミンは恥ずかしいだろうけど、少しだけ聞いて欲しい」片膝を立てて膝まづくようにして僕を見上げるユンホさん大きくて鮮やかな花束を両手で差し出してから、彼はすうっと息を吸った「プロポーズはしているけど…俺達には本当の結婚は難しいたから、家族には認めてもらいたい電話では話をしてもらったけど…次の週末に、俺の実家に一緒に来てもらえませんか?」「え…」「急だって言われちゃうかなでも、今日で…俺達がちゃんと付き合って二年、だろ?両親もチャンミンに会いたがっているんだ、だから…」丁度一ヶ月前、初めてユンホさんの父親と電話で話をしたユンホさんから僕の話を聞いていたという、ユンホさんと少し声の似ている優しいひとは、僕の事を…言葉だけではあるけれど、受け入れてくれたその後も、二度、少しだけ話をしたそして、何時か会いに来て欲しいと言ってくれていたのだ「…僕…本当に僕で良いんですか?」少しだけ、周りの視線を感じるでも、ユンホさんは僕だけを見ていて、そしてとても真剣な表情プロポーズはされていて、僕だってユンホさんしか考えられないけれども勿論、男同士が簡単では無いであろう事だって分かっている簡単では無くても、これから何時か何か、が待ち受けているとしても、それでもやっぱり、ユンホさんが良い「何度考えても、チャンミンしか居ないよチャンミンは?」「…そんなの、僕はもうずっと二年前から…」ぐっと下唇を噛み締めたら、ユンホさんが立ち上がった右手に花束を持ったまま、左手だけで抱き締められて背中を擦られた「恥ずかしい思いをさせてごめんでも、これくらい俺は本気だって事」「…僕だって…今日は、少し目立つくらいの花束を持ってユンホさんを待とうって思っていたんですだから、僕も同じ気持ちです」ゆっくりと身体を離して、両手で抱える大きさの鮮やかな花束を受け取ったそれから、少し手間取ってしまったけれど、僕も紙袋のなかから花束を取り出して「ずっと一緒に居てください」と、僕なりに堂々と外で大きな花束を渡した道行く見知らぬひと達は、僕達の事を馬鹿みたいだって思うだろうかそれとも気持ちが悪いと思うだろうか勿論、そんなひとが居るのは当たり前でも、少なくとも僕はそんな視線に傷付かない訳でも無いそれでも、ユンホさんと一緒に居られる事が比べ物になんてならないくらい幸せだし、僕はユンホさんを好きになって後悔した事なんて一度も無いって胸を張って言える「俺の花束、かなり大きいからチャンミンの方が荷物になってしまうけど…大丈夫?」「嬉しいから全く問題無いです帰ったら、一緒に写真を撮りましょう」「うん、チャンミンの写真を沢山撮りたい」「僕だってユンホさんの写真を沢山撮りたいですスーツのままと、それから着替えてからも…」男同士だって、誰よりも今僕達は幸せだって胸を張って言える幸せな沢山の日々の事を沢山沢山覚えているから、もしもこれから何かあったって、それを糧に乗り越えていけるユンホさんと一緒に居れば何時だってきっと「週末…ユンホさんの実家に行くなら、その前に髪の毛も切りに行こうかなあ」「ええ、そこまでしなくて良いよ」「じゃあ、ユンホさんが僕の実家に行く事になればどうしますか?」「勿論、髪の毛もだし…全部完璧を目指すよ」「僕も同じです」緊張するけれど、前へ一歩進む為に薔薇の甘い香りと大好きなユンホさんの匂いを感じながら、駅までの道をふたりで歩いたランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございますまだ更新しても大丈夫なのかな?と思っているのですが…一ヶ月に一度のふたりでしたこのふたりを終わらせる事も寂しいのですが、そろそろかなあと考えていますリアルタイムで時間を重ねていくふたりにお付き合いくださる全ての皆様に心から感謝致しますと、書いておきながら…このふたりのお話をまだ読んでみたいよという方はいらっしゃいますでしょうか書きたいものが沢山あるので、読んでくださる方の「これが読みたいです」のご意見がいつもとても参考になっていますもしも、ですが、まだこのふたりの先も…という方がいらっしゃれば、ホミンちゃんをぽちっで教えて頂けると嬉しいです ↓にほんブログ村
この後の更新について
この後、いつもの7時は「black day」を更新致します毎月14日の日のお話です現実と同じ時間で進むお話で、繋がっていますがそれぞれのお話のみでも読んで頂けますこれまでのお話はこちらです ↓black dayそれではまた次のお話でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村
未必の恋 31
ユノさんが夕方に仕事から帰って来るまではもう、僕が何かしない限りこの部屋…つまり、ユノさんが後もうほんの僅かな時間を過ごす、ホテル最上階のVIPスイートルームに誰かがやって来る事は無いそうは分かっていても、ガウンを羽織っていても全く隠せないくらい沢山残された昨日の情事の痕跡をつい先程、ルームサービスを届けてくれた部下に見られてしまった「…どうしよう…でも何の事か分かっていないかも虫刺され…いや、この部屋のなかに虫が居る訳無いから…」小さなテーブルの前に座って、鮑の入ったホテルで一番高価なお粥を見つめたままぶつぶつと独り言をしている「アレルギー、肌荒れ…いや、それだって自己管理出来ていないと思われるかなだけど、ユノさんに吸われただなんて言える訳無いし」気付かれていないと思いたいでも、完全に見られたガウン一枚だけれど、物凄く肌蹴ていた訳では無いそれでも視線はしっかりと胸元にあったし、ガウンの合わせから覗く素肌には薄紫になった鬱血痕が幾つも見えていたし…「…はあ…」ついさっきも同じようにしたばかりだけど、左手でガウンの合わせを握って胸元をしっかりと閉じた早くシャワーを浴びて出来たらきちんとスーツに着替えて、そうして首元の痕まで隠れるか試してみなければならないでも、このお粥はユノさんが僕の為に頼んでくれたものだし…「冷めない内に食べなきゃ」まだ湯気の出ているお粥を見下ろすと、腹がぐう、と鳴った昨夜は普段よりも激しく抱かれたし、体力も消耗している隣で眠っていたユノさんが起きた事すら気付かなかったくらいに「いただきます」頭を下げて呟いて、それからスプーンで柔らかな粥を掬ったホテルで提供している料理の味は全て知っているとは言え、このお粥を食べたのは随分以前の事「…美味しい…」勿論、素材だって自慢のものを使っているから当たり前でも、やはり僕の勤めるホテルのシェフの腕は良い何よりユノさんが僕の為に頼んでくれた、という気持ちがあるから更に美味しく感じるのかもしれない「僕が淹れたカフェオレ…気持ちが伝わるって言ってくれたよねこれも、そういう事なのかなあ」僕にはきっと、世界的デザイナーであるユノさん程の感性は無いそれはやはり事実だと思うだけど、じんわりと優しさが伝わって来たり、僕にも分かる事がある「何だか僕がVIP客みたいになっていて心苦しいけど…ユノさんがチェックアウトすればまた普通の業務に戻るから」少し前まではこんな事、冗談でも言えなかったでも、今は少しだけ…たまには自分に優しく緩くしてみようかなとも思うそれに、ユノさんが『俺が帰って来るまで兎に角身体を休めてゆっくりするように』と僕に言ったからお粥を食べたら、更に胃腸が活発になってしまった抱かれ過ぎて疲れて立てなくなる、どころかあっという間に回復して欲張りになる自分の腹が恥ずかしいでも、今は腹が鳴っても誰も聞いていないから良しとしよう「シャワー浴びなきゃ」身体は少しべたべたしている普通なら気持ち悪いでも、僕の汗だけでは無くてユノさんの汗が混じっていたり後は…「…っ何考えてるんだよもう!」ぶんぶんと頭を振ったらくらりとしたから額を押さえて立ち上がったそうしたら、テーブルの上に置いていたスマートフォンのランプが光っている「気付かなかった…」立ったまま手に取って通知を見てみたら、それは先程この部屋を出た僕の恋人、ユノさんからのメッセージ彼は僕の行動の先を読んでいるのだろうかなんて、本気で思ってしまうくらいのタイミングそして、お互いに本音を出し合えた今では…通じ合えているからなのだろうか、とも思ってしまう『そろそろシャワーを浴びて、それからゆっくりと温まって』「分かってます…あれ、まだ有る」続きがあった事に気が付いてアプリの画面を開いて、それから本当に僕の心は読まれてしまったんじゃあ無いかと恥ずかしくなり、思わずスマートフォンを隠すように胸に抱き締めてしまった「…何で…いや、そっか、ユノさんは付けた張本人だから分かってるから…」考えてみればそう思い至る事でも、指摘されると恥ずかしいだって、ユノさんが部屋を出る時はまだ僕は気付いていなかったのだ昨夜、ユノさんが僕に付けた痕が肌の上に無数に残っている事を「『血行が良くなれば、痕も消えやすくなると思うでも、無理に擦ったり触れたら駄目だよ』…優しい、けどユノさんってエッチだ」そう言えば、昨夜もお互いにもう訳が分からなくながら抱き合っていた時に『こんなに夢中になるのは本当に久しぶりだ』なんて言っていた思い出すとやっぱり以前ユノさんを夢中にさせた相手に嫉妬してしまうでも、僕達はお互い三十代恋は経験してきて当たり前「でもやっぱり嫉妬したって…帰って来たら言おうそれから…」過去の恋愛だとか、過去の想い人の事なんて、僕が全部塗り替えるくらいユノさんに想いを伝えたいスマートフォンを持ったまま浴室へと向かった温まって、という事は湯に浸かるように、という事だと思うけれども部屋の主が不在なのに僕だけ寛ぐ事はやはり後ろめたいそれに、ユノさんだってきっと昨夜の疲れがあるのに…「シャワーだけにしよう……あれ、これって何の…?」ユノさんが帰って来たら『お湯に浸かりました』と言えば良いいや、先にメッセージでそう伝えれば問題無いそう思いながら、浴室の扉を開いたらふわりと甘い匂いが漂ってきたそれに、室内は湯気で温もっている「…ユノさん…僕の為、ですか?」全自動で浴槽に張られた湯に手を入れてみたら、きちんと適温が保たれているそれも、ユノさんが入るならばもう少し低い温度を好むから…僕に合わせてあるようだそれだけでは無くて、入浴剤が入れてあるようでほんのり乳白色に染まっている『ちゃんと温まります、ありがとうございますそれから…ユノさんが帰って来たら、今度は僕がユノさんの疲れを取ってあげたいです』大切な仕事に向かった僕の大好きな…今は恋人になった憧れのひとにメッセージを返して、ガウンを脱いだ「…うわ…え、此処も?」胸元や首元だけだと思っていた痕は、二の腕や脚の付け根にまであった確かに、全身ユノさんの手と唇に触れられた記憶はあるでも、まさかこんな事になっているとは思ってもいなかった「今までこんな風になった事なんて…」全く無かった訳では無いでも、ユノさんに抱かれるようになって感じる事を知ってしまった胸に触れられた時に、少し痕が残った事があるくらいこんな姿誰にも見せられないし、鏡に映る自分自身を直視する事も出来ないくらい恥ずかしいでも、それをユノさんだけが知っていて、ユノさんによって齎される事だと思うと嬉しくもなるから不思議だ「…次は僕が仕返し…出来るかな」何時もリードされっぱなしだし、どこかで遠慮もあった嫌われたくなくて、望まれるままにしてきたけれども僕だって男だし、好きなひとには沢山気持ち良くなって欲しいゆっくりとお湯に浸かりながら深呼吸をして…気持ちを落ち着けようと思ったのだけど、頭のなかは不埒な事でいっぱいになってしまったこんなの、高級ホテルの副支配人としては失格だでも…こんな僕も確かに僕で、自分自身で認めてあげよう、なんていう風に思えた「…すっきりした…けど、温もったらまた眠くなるなあ」完璧でスマートな恋人が準備してくれた花の香りがするお風呂に浸かって、同僚や部下達に申し訳無い気持ちを持ちながら、それでもゆっくりと身体を温めたしっかりと髪の毛まで洗ってから乾かして、新しいワイシャツとスーツに着替えたのだけど…「…これ…ぎりぎり、かな」勿論、胸元や二の腕や脚の付け根の痕は全て隠れている問題は首元の鬱血痕だったのだけれど、ほぼ隠れているけれども、ワイシャツの首元からほんの僅かに覗いているものがある「いや、でもこれくらいなら掻いたって言えば…うん、大丈夫」ユノさんからはあの後も連絡が来て、『何もしなくて良いからゆっくりしていて』と言われたでも、充分風呂で休んだし、一度フロント業務だったり部下達の仕事のフォローもしておきたいと思ったそれも、総支配人であるチェ先輩には『チョン様の滞在中は必要無い』と言われているから、結局は僕のちっぽけな良心、というかプライドのような建前のような…つまりはそういう事「本当に出来る仕事人なら、何もしないべきなのかもしれないけど…でもそれは流石に出来ないよ」鏡の前で何度も身嗜みを確認した首元は、やはり僕自身は気になるけれど、ひとが見て気にされる程では無いだから、僕も堂々としていたら大丈夫だし…「あ、絆創膏…そうだ、フロントに降りれば有るよね」貼って隠してしまえば良いのだとも気が付いた部屋のなかを掃除して、シーツを取り外して予備で置いていたものに取り替えたガウンも一緒に小さく畳んで後で回収出来るようにして、それからスタッフルームへと降りたのだけど…「あ!シム副支配人!」「…どうしたの皆集まって…あ、そうか、もうチェックアウトが終わったから…」何だか、時間の感覚さえも今日はずれていたようだ丁度昼時で、部下達はこの後のチェックインに向けて少しの休憩をそれぞれ取っている様子僕が部屋に入ってきたら、何故か皆揃って僕をじっと見るそして…「おめでとうございます!」「…は?」「チョン様と恋人同士になられたんですよね?以前からおふたりは特別だと思っていましたが…チョン様がもう兎に角夢中なようですね」女性スタッフ数人が僕の元へとやって来たから、思わず両手を顔の横に上げて構えてしまった「チョン様が…え?夢中?」「もう、しらばっくれないでくださいよ今朝、チョン様が仕事に出られる時にフロントスタッフに『自慢話』をしてくださったんです」「そうなんです、私はその時フロントに居たので直接聞けたのですが…あ、因みに、内緒にする必要は無いってチョン様が自ら仰ったんです」彼女達だけで無くて、奥に座る部下達も皆僕をにやにやしながら見ている若き副支配人として、それなりに威厳を持って働いているつもりだから、こんな視線は滅多に無くて戸惑ってしまうどうしようかと思っていたら、朝にお粥を届けてくれた男性スタッフが居るのを見付けた目が合った途端に逸らされてしまったから、女性スタッフ達の脇を擦り抜けて彼の元へと歩んだ「まさか、話したのか?」「いえ!そんな…!ですが、あの後此処に戻ってきたら、既におふたりの話で持ち切りで…と言うのも、先程話していた通り、チョン様自ら私達にシム副支配人との話を教えてくださったので…」「……嘘だろ…」テーブルに手を付いて、座る彼を見下ろしたら、俯いていた視線を上げて…「…っ見るなよ!」「あ、はい、申し訳ございません」今度は首元に視線を感じたから、慌ててワイシャツの首元を左手で押さえたその後はもう、部下達に『どうやってチョン様のハートを射止めたのですか?』だとか『総支配人は以前から気付いていたそうです』だとか『男性同士だからって隠す事は無いです』なんて…流石、世界のVIP達を見ているからか、良く言えばとても理解のある言葉ばかりをもらったまさか、ユノさん自ら僕達が恋人になった事を話すだなんて思ってもみなくて恥ずかしくて堪らないけれども、副支配人だから本気になってはいけない、だとか…仕事だからこれ以上は駄目だと必死にブレーキを掛けていた自分を思い出したら少し笑えて来て…そして、少し泣けてきただって、こんなにも世界が優しいだなんて思ってもみなかったから「…シム副支配人チョン様は、何よりも副支配人の仕事っぷりを評価していました『彼は常に謙虚で驕らず、ホテルと部下達の事を考えている』と…それを伺って私達も誇らしかったです後…チョン様はもっと恋人として過ごしたいのに、シム副支配人が真面目過ぎてなかなか甘い雰囲気にならない、とも仰っていました」「…もう良い、恥ずかしいから…」まさか部下達に揶揄われる事になるとは思わなくて、耳を塞いだそして、ユノさんが僕をとても評価してくれたり…恋人関係になっても、僕が仕事を遂行していると伝えてくれる、そんな気遣いにやはり彼の事がとても好きで尊敬すべきひとだと思ったいや、でも勝手に言い触らすのは恥ずかしいし…だけどそれ以上に嬉しいと思ってしまった「もうそろそろ皆動かなきゃ、だろ?午後も頑張ろう、今日は宿泊の予約も多かったし…」こほん、と乾咳をしてから部下達に声を掛けて、そして従業員専用の備品棚から絆創膏を探してスーツの内ポケットに入れた「怪我をされたのですか?」「え、いや、別に…」「あ…っ、ごめんなさい、いえ何でも無いですですが…隠した方が目立つのでは無いかと思います」心配した様子で声を掛けられたから、振り返って部下の女性に返したら、彼女は僕の首元を見て…気付かれてしまったようだ何も言えなくて、ただ「ありがとう」なんて情けない返事をしてしまったその後は最上階に戻って、料理に取り掛かってみたユノさんは帰りの時間が分かれば連絡をくれる事になっているから、直ぐに仕上げが出来るように仕込んだなるべく早く終われるようにしたいとは言ってくれていたけれど、なかなか連絡は来なくて…「あ…ユノさん…」そう思っていたら、夕方の六時前にメッセージが入ったなのだけど…「え!もう?」早めに連絡をくれるのかと思っていたら、『後十分で着くよ』なんてメッセージもしかしたら驚かせようと思っていたり、僕が何か準備を出来ないように、とか…優しくて気遣いの出来るひとの事だからそんな理由かも、なんて思った「…僕も驚かせようかな」もう、ホテル中に知られてしまった元々、僕が抱かれている事はチェ先輩や一部のスタッフには知られていたかもしれないでも、もう隠しようも無い「…その方が早く会えるし…」部屋を出て、エレベーターに乗って、そうしてホテルエントランスでユノさんを待つ事にした日が暮れると外はかなり寒い風も強くて…だからこそ、外に出ると、エントランスで立ってお客様を迎えるスタッフ達を素晴らしいと思うどんな日だって、柔らかな笑顔で饗す彼らを見て、また僕もホテルマンとして成長しなければ、なんて思っていたら…「…あれかな…」一台のタクシーがホテルにやって来たどきどきしながらそれでも表情を崩さずに待っていたら、扉がゆっくりと開いてそして、なかから男性が降りてきた「チャンミン!どうして?」「お帰りなさいませだって、連絡をいただいたので…お出迎えに参りました」ドアマン達も傍に居るから丁重に抱き着きたいのを必死に我慢して頭を下げたユノさんの驚く顔が見えたから、作戦成功だ、なんて思っていたら…「…会いたかった…!」「…っ…」ぎゅうっと強く抱き締められた瞬間、ユノさんの温もりと匂いでいっぱいになった泣きたくなるくらいに愛おしくて、恥ずかしさよりも嬉しさが勝ってしまう「チャンミンから良い匂いがする」「…料理をしていたので…」「うん、それと…入浴剤の匂いもちゃんと温まってくれたんだな」「…っちょっと!キスは駄目です!」当たり前のように唇が近付いてきたから、慌てて両手でユノさんの唇を押さえたくすくすと、周りから笑い声が聞こえてしまって、やはり恥ずかしさが大きく勝ってしまったでも…「あはは、我儘な客の所為で副支配人は大変だ」ユノさんはやっぱり優しい僕の立場が悪くならないようにしてくれているのだそんな気持ちをふたりきりになったエレベーターのなかで言ってみたら、彼は目を丸くして少しだけ困ったような笑みを浮かべて言った「本当に優しくて気遣いが出来るスマートな男なら、言いふらさないしホテルの目の前でキスをしようだなんて思わないよ」「でも…」「俺は、ただチャンミンに触れていたいだけそれに…チャンミンの仕事っぷりだって、色々なホテルの人間を見た上で本当にそう思っているから評価しているだけだよ」ユノさんが何て言ったって、やはり彼は優しい部屋に辿り着いたら、僕からめいっぱい彼を驚かせるくらいにキスをしてみようと思うランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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- 13May
a phantom 後編
昔は宿舎で一緒に生活をしていた傍に居る事が当たり前だったでも、メンバーでリーダー、仕事のパートナーで同居までしているユノヒョンに恋をして不埒な想いを抱くようになってから悩んで悩んで、かと言って想いを諦める事も出来ず結果、僕は『ひとりの時間が欲しいし、もうこどもじゃあ無いから』そう言って宿舎を飛び出たユノヒョンもその後直ぐに宿舎を出てマンションを購入した『寂しいけど、チャンミナももう大人だもんな』なんて言っていたけど、僕と別々に暮らし出した後のユノヒョンには日々誘いが絶えなかった事を知っている以前は、一緒に来ないか?と誘われる事も多かったでも、大人数は苦手だし、ユノヒョンを誘うひと達は僕に会いたい訳では無い事を分かっているから断ったそれに何より…自分から距離を置いたくせに勝手だという事は分かっているけれど、僕はヒョンとふたりで居たかったから、他の誰かなんて必要無いから大人になって成長すればする程に、恋は僕を苦しめた昔は、ヒョンの事を考えて自慰をする事もあったけれど、プライベートで関わる事が減るとファンと同じような目線になってしまって…年齢を重ねる毎に歌とダンスだけでは無くて演技やその他の仕事でも功績を残していくヒョンは僕の崇拝の対象となってしまったそれに、僕が知らないだけかもしれないけれど、彼が本気になる女性はなかなか現れない様子そうして、僕のなかでユノヒョンは穢す事が出来ないし、穢れる事も無い存在になっていった恋だけれど、恋を超えたような、そんな片想いの相手「だけど…アンドロイドを同じ名前で呼んでキスをしているとか…崇拝なんて言えないよ」そう、僕の心の均衡を崩した、ユノヒョンの見た目と声を持つ等身大のアンドロイドある日突然、差出人不明で送られてきた、無機質だけれど強く触れなければまるで本人だと見紛うような『ユノヒョン』僕からすれば、笑顔やちょっとした時の仕草が全く違うから、ユノヒョンであってユノヒョンでは無い存在けれども、違うとは分かっていても大好きなひとと同じ顔をしているから、同じ声で僕を呼ぶから、僕は今、言うなればアンドロイドの『ユノヒョン』と疑似恋愛をしている恋なんて超えてしまった存在だと思っていた筈けれども結局、僕は浅ましい想いを断ち切れないまま抱いている「…完全に見られたよね」アンドロイドの『ユノヒョン』がリビングのソファに座り、テレビの電源をオンにした事を確認して、遠隔で自室の様子を見る事を止めたそれから、写真フォルダを開いたら…最近はもう、アンドロイドのユノヒョンの写真ばかりそのなかには、さっき間違えて取材で見せてしまった僕とのツーショットもある勿論、本物のユノヒョンの写真だって常に増えていて、仕事で写真が増える度にこっそりとそれを保存している「どうやって誤魔化したら…」トイレに篭ってかれこれ五分頭を抱えていたら、足音がして息を潜めた写真のフォルダは一旦閉じて、きちんといつもの待受画面になった事を確認してからデニムパンツのポケットに仕舞った「チャンミナ?もしかして具合が悪いのか?」「…っ…」そうだ、僕はしっかりと『トイレに行って来ます』と言ったから…優しいユノヒョンは心配して来てくれたのだろう本物の、生きているユノヒョンに、その彼とは撮っていないアンドロイドの『ユノヒョン』とのツーショットを見られてしまった焦って気が動転して、取材が終わると共にトイレに逃げたでも、これ以上逃げる事なんて出来ないだけど本当の事を言うのも…「…すみません、急に走って…その、ちょっとお腹が痛くてでももう大丈夫です」そう、告白が出来ないまま自分の気持ちを知られる事が怖くて逃げてばかりの臆病な僕には、真実を話す事はとても恐ろしい事それならば演じてしまった方が良い扉を開けたらユノヒョンが心配そうに立っていたから、少なくとも嫌悪はされていない事に安堵した「そうか…調子が悪かったのに気付いてやれなくてごめん」「そんな、ユノヒョンは悪くないです昼のケータリングを欲張って食べ過ぎただけだと思います」本当はお腹なんて痛く無いいや、あんな写真を見られてしまったから心臓はぎゅっと素手で掴まれたような気持ちだから胸は痛い兎に角後は、当分の間は少しユノヒョンと距離を置いて、あの写真の事は忘れてもらいたいなんて事をユノヒョンは知ってか知らずかあの写真をどう思っているのかすら分からない少なくとも取材中には、『俺では無い』だとか『この写真に見覚えは無い』なんて事は言われずに済んだけれども、それはきっと人目があったからだから、今が怖くて仕方無い「今日はもう終わりですよね?僕は先に帰って…」「チャンミナ」「…っえ…」トイレから出て廊下を歩いたユノヒョンの前を歩いて顔を見られないようにそれなのに、手首を掴まれて思わず振り返った「たまにはチャンミナの部屋で飲まないか?」「…どうして急に…」「誘ってもなかなか応じてくれないし…最近はなかなか仕事以外でゆっくり話す時間も無いから」「でも、仕事で充分一緒に…」いや、僕にとっては充分では無いでも、これ以上傍に居たら僕の気持ちが知られてしまうかもしれない何よりもユノヒョンには僕以外に沢山彼を望むひとが居るだから、嬉しいけれど応じる事は出来ない「また今度…ユノヒョンがもしも暇な時間が有ればでも、きっとヒョンと会いたいひとは沢山居るので…」目を合わせないようにして手を引いた…なのだけど、ヒョンの手は僕の手首を掴んだまま離してくれない「チャンミナは俺を避けているの?」「そんな訳…」むしろ、逆だいや、結果避けているようになっているのかもしれないけれど、本当は誰よりも僕がユノヒョンの事を好き想いを拗らせ過ぎて、同じ見た目のアンドロイドと疑似恋愛をするくらいに「俺は、チャンミナと話したいんだたまには良いだろ?それとも予定が有る?」「予定は何も…」予定は有るのだと咄嗟に嘘が吐けたら良いのに僕にとっては何よりも甘い言葉、甘い誘いに思わず考えるよりも先に答えてしまったあの写真の事があるから、今はあまりヒョンと関わりたくは無いのにだけど、そうっと俯いていた顔を上げたら、ヒョンはさっきまで少し険しかった表情を優しい笑みに変えていたそれを見たら写真の事なんて忘れてしまうくらい、一瞬で胸はときめいてしまうユノヒョンに対しての感情はもう恋なんていうものでは無いなんて幾ら思っていたって、結局僕はただ彼の事が好きなのだと笑顔ひとつで思い知らされる「じゃあ決まり俺は今日車じゃ無かったから、チャンミナの車に乗せてもらえる?」「…分かりましたビールとワインとつまみになるものくらいしか無いですが…」「チョコレートかアイスはある?」「一応」「じゃあ充分だよそれに、チャンミナとゆっくり出来るのが何よりだから、何も無くたって良いんだ」最近はあまり誘われる事も無かったけれど、こんな風に言ってくれるならばもう少しユノヒョンとの時間を大切にすれば良かったとも思うでもきっと、ふたりきりになれば僕は気持ちを抑えるのが困難になるそうしたら、男になんて好かれたく無いであろうユノヒョンを困らせてしまうだけ写真の事は頭から抜け落ちて、ユノヒョンが部屋に来るという事で僕の頭のなかはいっぱいになってしまったそして、今度は『失敗』しないように、と思って…その後私服に着替えてからもう一度ユノヒョンの元を離れて、スマホから自らの部屋の『ユノヒョン』に呼び掛けた本物のユノヒョンに気付かれないように『何があっても、僕が合図するまで寝室から出て来ないように』とアンドロイドに感情が無い事は分かっている『ユノヒョン』は僕の心の機微になんて何も気付かないし、教えた事をその通り正確に行うだけハグをしたらキスをする事は教えたけれど、そこにも気持ちなんて無いでも、そうは分かっていても僕からは情が移ってしまっているから、隠れてもらう事に少しばかり胸が痛かった車でユノヒョンとふたり、僕の部屋に向かう間どきどきしたけれど、ヒョンはあの写真について言及する事は無くいつも通りだった『部屋に行くのも久しぶりだな』だとか『チャンミナとふたりでゆっくり出来るなんて嬉しい』と無邪気に笑うヒョンもう仕事は終わってプライベートなのに一緒に居られる昔はそれが当たり前で、自らそこから逃げ出したけれどもやはり隣に居られる事が幸せだと思った「どうぞ、ええと…ダイニングテーブルでもソファでもどちらでも好きな方で寛いでください」「ありがとう、お構いなく」「そんな訳にはいかないです、折角ヒョンが来てくれたのに…先に分かっていれば何か用意したんですが」部屋に入って直ぐ、ユノヒョンに伝えた久々にやって来てくれたからきちんと饗したい敵わない片想いが辛くて、気持ちを悟られる事が怖くて距離を置いていたけれど、やはり仕事以外でも一緒に居られる事はそれだけで幸せ僕ももう30を超えたし、ユノヒョンを抱きたいとも抱かれたいとも思わないだから、もう少しプライベートで上手くやれるようにしたいなあ、とぼんやり思いながら、廊下を歩きリビングに入るユノヒョンの背中を確認してから、そっと寝室の扉を開けた「…チャンミン」「しっ、喋らないで座ってゆっくりしていたら良いよごめんね、僕が良いって言うまでは此処から出て来ないで」感情なんて無い事は分かっている僕を見て名前を呼ぶけれど、待ち侘びたように喜んでくれる訳でも無ければ抱き着いて来る訳でも無いでも、やはり『ユノヒョン』を見ると胸がぎゅっとなる電気をつけたまま、扉を閉めて廊下を歩いたそうしてゆっくりとリビングへ向かったダイニングテーブルでは無くて、ソファに座るユノヒョンの背中ソファならば並んで座る事になる仕事ではいつもの事だけれど、ふたりきりで僕の部屋でなんて緊張するなんて思って、先程とは違う胸の高鳴りに右手で心臓を押さえていたら、異変に気が付いたそして、僕が声を上げる前に僕の気配に気が付いたらしいユノヒョンが座ったままこちらを振り向いてきて…「これって…チャンミナが遊んでいるの?」「…っあ、いえ、その…僕のプログラムもある事は分かっていますが、自分で試しても気持ち悪いだけだし、だからと言ってファンの方達が楽しむコンテンツを僕自身が知らないのも良くないと思って…その、それだけです!」慌てて走って、ローテーブルの上のリモコンを取ってテレビを消した大画面に映っていたのは、僕のお気に入りのビデオプログラムリアルな姿が映し出されて、会話を楽しめるものそして…勿論、そこに映っていたのはユノヒョンの姿「しかも、テレビがつきっぱなしで…プログラムの俺が寂しそうだったよ」「いや、その…昨日の夜、試しにつけてみてそのままだったのかも…」そう、確か昨夜久しぶりに『ユノヒョン』と一緒にこのプログラムを試してみたのだ『ユノヒョン』が自らと同じ外見をしている事に気付くかと思ったけれど、残念ながらまだそこまでの知能は備わっていないようだった勿論、昨夜僕はテレビを消しているし出掛ける時もそうだけど…「…っあ……」「何?」「いえ、何でも、兎に角何でも無いです」だってもう、そうとしか言えないこれ以上誤魔化しても墓穴を掘りそうだし…僕がアンドロイドの『ユノヒョン』にテレビを見て過ごすように言って、その後寝室に居るようにと言ったその時にテレビの電源をオフにするようにと伝えなかったからこうなったのだ気付いたところで時既に…だけど「あの『ユノ』の方が、何だかチャンミナと親しげだったよ話し掛けてみたら『チャンミナと話せて嬉しい』なんて…沢山試してくれていたの?」「…別にそんな訳じゃ…あの、何か飲みますか?」「アイスのアメリカーノ」「アルコールは?飲みたいって…」「うん、今は大丈夫」無理だと分かっているけれどもいっそ、酒で全てを忘れてくれたら良いのになんて事は顔には出さずにキッチンへと向かったエスプレッソをマシンで抽出しながら、グラスに氷を入れたそれから、海外で購入して以来お気に入りのシロップを棚から取り出した「好みはちゃんと知っているし…仕事だけでも、僕はきっと、誰よりもユノヒョンの傍に居る筈だから」ソファに背を向けるようにしてキッチンに向かって立って、僕の心を少し落ち着けてくれる芳醇な匂いで鼻を満たしてから、エスプレッソにシロップを注いでゆっくりと混ぜた氷をたっぷり注いだグラスにエスプレッソを注いでから…迷ったけれど、僕はビールを飲む事にした「お待たせしました僕は飲んでも良いですか?」「勿論、飲み過ぎなければ何でも」いつものように優しく笑うユノヒョンアルコールを入れてしまえば、いっそ酔っ払った事にして…何か聞かれても誤魔化せば良いそれに、もうあの写真の事には触れて来ない様子僕達は一緒に仕事をして長いし、撮った写真の数だって数え切れない程ある僕だって、自分自身直ぐに思い出せない撮影なんて…いや、正直ユノヒョンとの事は忘れたくなくて殆ど無いのだけど、流石に同じ顔で写っていれば『あんな写真もあったかも』程度に思ってくれるだろう考えればそう思えてきて、僕は安心してしまったのかもしれない「チャンミナの作ってくれるアメリカーノが一番美味しいよ最近なんて日本に行った時くらいしか飲めないし…」「僕はただマシンで淹れただけですよ」「でも、これが一番美味しい、ありがとう」「…いえ…」何だか上機嫌なユノヒョンに、僕の緊張も解けていったそして、やっぱりユノヒョンの事が好きだし…プログラムのなかのユノヒョンも、アンドロイドのユノヒョンも、同じ見た目をしているけれど、偽物じゃあやはり満足なんて出来ないと思ったかと言って、これ以上の関係になんてなれないから、仕事のパートナーとしてもう少し距離を縮められるように頑張ってみようそう思いながら、ビールを飲み切った時、ユノヒョンが「そうだ」と微笑みながら僕を見た「チャンミナ、さっきの…」「何ですか?」「あの写真、何時撮ったの?」「え…写真って…」「取材の時に出した待受の写真俺が確か…ほら、こんな風にチャンミナの肩を抱いて頬を寄せて…メイクもしていないからプライベートっぽかったけど、最近あんな写真撮ったかなと思って」「……」そう思っていたなら、いっそ直ぐに言って欲しかったそうすれば逃げてひとりで帰れたのにここじゃあもう、逃げ場なんて無いじゃないか「ええと…僕も良く覚えていなくて」「覚えて無い?でも、チャンミナのあの髪型は今と同じだし…最近だよな?」「髪型なんてあまり変わらないですよ何年も経って同じになる事もあるし女性じゃあ無いので…」「うん、でも俺はずっとチャンミナの事を見て来たから分かるチャンミナもそうじゃないの?」ソファで隣同士座ったままぐっと顔が近付けられる黒くて綺麗な、宝石のような瞳やっぱりそれは、アンドロイドの瞳とは違っていて、確かに僕を映し出している何とかして誤魔化さなきゃいけないだって、ユノヒョンと同じ顔をしたアンドロイドとまるで恋人のように親密にして写真を撮るだなんて知られる訳にはいかないそれなのに、この瞳に見つめられたら嘘なんて吐けなくなるそう、だから距離を置かなきゃいけないって思ったんだ「分かるだろ?俺の事…」「…はい、だってもうずっと一緒に居るので」「最近は仕事以外じゃあ断られてばかりだし、チャンミナからは誘ってくれないけど」「そんな事…」反射的に首を振ったら、ユノヒョンも同じように首を横に振る少しだけ悲しげな顔をされると胸が痛い「で…あの写真はどうしたの?」「それは…」本当の事を話せばきっと気持ち悪いって思われるそもそも、送り主も不明だったしでも、これ以上誤魔化したってユノヒョンには通用しないだろう「…少しだけ待っていてくださいちゃんと話すので」「直ぐに戻ってくる?」「はい、直ぐに」何だかまるで僕の受け答えもアンドロイドのようでも、緊張して、この先が怖くて仕方無いそれでももう、アンドロイドの『ユノヒョン』の存在を明かすしか無いビール一本じゃあ全く酔えないのに、ほんの少しのアルコールすら身体のなかから消えてしまったようだ頭は冴えているような気もするけど、多分動揺し過ぎているだけソファから立ち上がってゆっくりと廊下を歩いてそして…「ユノヒョン、おいで」「…チャンミナ、会いたかったよ」何事も無いように数十分前の扉を閉める前と同じ笑顔で、僕を見て微笑む『ユノヒョン』立ち上がってこちらに向かってくる『ユノヒョン』は、やはり僕のヒョンでは無いでも、確かに一緒に生活して…少なくとも、僕は無機質な『彼』をどこか愛おしいと思ってしまっている彼が僕に何も思っていない事は知っていても「今日から本当に、僕の相手をしてくれるのはユノヒョンだけになっちゃうかも」「相手?何時でも話そう」「話…まあそれもだけど」僕が『伝わっていないなあ』という顔をしても、爽やかに微笑むばかり目の前にやって来たユノヒョンはそのまま立っていて、ただ僕の言葉を待つのみもどかしくて遣る瀬無い直ぐにリビングに戻るのも怖いでも、本当のユノヒョンと向き合わなければならないその勇気が少しだけでも欲しかった「ユノヒョン、抱き締めて」「…チャンミナが好きだよ」「……ん……僕も好きだよ」こんな言葉の応酬に、唇に見えてその実ただ精密機械を包む柔らかな皮膚とキスをする事に、何の意味があるのかなんて分からないでも、確かに僕の心にずっとぽっかり開いている穴をほんの少しでも埋めてくれた事は確か「宿舎を出てずっと寂しくて…だから、こんなにひとりじゃ無いって思えたのは本当に久しぶりなんだ」唇が離れてから、硬さを感じなくて済むようにそうっと頬に触れたら、『ユノヒョン』はまた僕を抱き締めようとした「ふふ、ハグじゃ無い、違うよ…触れただけ」「そうか、違うんだな」彼は僕とキスをしたい訳じゃ無いだから、キスが出来なくても残念がる事も無い「リビングに行こうか、一緒に」声を掛けてから振り向いたら…「…っ、あ……」「チャンミナ、どうしてキスを…」『ユノヒョン』の存在は、今から明かして写真の真相を話そうと思ったでも、その先はまた上手く誤魔化せば問題無いだろう、なんて思っていただけど…「どういう事なんだ…?」驚いた様子で、扉を開けて立っている僕がずっとずっと好きで仕方無いユノヒョンもう、僕の信用なんて取り戻せないのかもしれないランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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Fated 113
たった一度だけ擦れ違った、勝手に何かに決められてしまった俺の『運命のオメガ』彼女と擦れ違い、そのフェロモンに長く苦しめられていた頃にチャンミンを抱いた時の事は、正直に言うとあまり覚えていない忘れてしまいたいというのも本音であるけれども、それ以上に、アルファとしての本能が常に俺の頭のなかで『彼女が欲しい』『項を噛みたい』そう叫んでいたし、確かに俺自身が愛しているチャンミンを抱いても『このアルファは違う』『足りない』なんて、思ってもいない声が俺を支配したあの頃の俺は、俺であって俺では無い何か、のようだった仕事をしていてもチャンミンとふたりで居ても、忘れたいのにずっと鼻の奥に残るのはあのオメガ女性の匂い、つまりフェロモンそれを良い匂いだなんて思わないのに、本能はそれを求める自分が自分では無くなってしまったようで、『アルファである俺』に俺自身が支配されて消えてしまうようで恐ろしかったあの頃の俺は、オメガに突然変異して悩み苦しむチャンミンの事を、リーダーとしても恋人としても支える事が出来なかった日々を何とか普通に過ごす事で精一杯だったから持て余す欲求にどうしようも無くなっていたら『代わりで良いから抱いてください』そう、チャンミンに言われて、まるで性の捌け口のようにして愛するひとを手酷く抱いたと思う詳しくは覚えていないけれど、抱いても抱いても満たされなくて、そんな自分が嫌だったし、チャンミンに申し訳無かった運命の相手は、俺にとってはチャンミンしか居ない何があったってそうだし、運命は自分で切り拓くものだと思っているからなんて強がりを言っても、チャンミンの項を噛んで番になった事で俺は安心していたもう、オメガになったチャンミンは誰からも狙われる事は無いし、俺達は互いのフェロモンにしか反応しないからけれども、安心する時点で結局、二次性や定められた運命と言ったものに囚われて逃げる事なんて出来ていないのだそれを、チャンミンの『運命のアルファ』が現れた事で俺は思い知らされた「身体は大丈夫?その…痛みとか…」「濁して聞くならはっきり聞いてください」「チャンミナは男前だな昨日、その…濡れていなかったのに止まれなかっただろ?普段は痛みなんて無いって言うけど、奥は痛くない?切れていないのは確認したけど、痛みがあるかどうかは俺には分からないから」日本の宿舎での朝フルーツとジュースと、それにチャンミンがベーグルを温めてくれた少し熱いベーグルを千切りながら、前に座るチャンミンに尋ねたそうしたら、『はっきり聞いて』と涼しい顔で自ら言ったくせにあっという間に真っ赤になってしまった「どうしたの?」「…確認したって何時の間に…見たんですか?僕のお尻…」「え?うん、昨日眠る前に奥に出した俺の、を掻き出す時に…覚えていないの?」「あ…っ、覚えてます覚えているからそれ以上言わなくて良いです!それに、僕が言った『はっきり』は、単に尻が痛くないかを聞けば良いって事で…痛く無いです、いつも通りだし…」もしかしたら、恥ずかしさもあるけれど、俺に気を遣っていつも通りだと言ったのかもしれない知らなくても良い事も有るし、知る事で悲しくなる事も有るのかもしれないでも、俺達はもうそんな関係では無いと…少なくとも俺は思っている「いつも通り、ならチャンミナはオメガで、番の俺と『そういう事』になれば身体が準備をするだろ?初めて抱いた時から、何があっても何時もそうだった」「…ユノヒョン、今は食べていてそんな話は…」「だって、昨夜は抱いて直ぐに眠ってしまったからこの後は仕事だし…マネージャーや誰かに聞かれながらする話でも無いだろ?」手に持ったベーグルを置いたチャンミンは、コーヒーをひと口啜って少し拗ねたように唇を尖らせる「あのアルファに…チャンミナの運命だっていう男に出会ったから、きっとオメガとしての本能が俺を拒んだんじゃないか?」「そんな…僕はユノヒョンしか…」「うん、分かっているよでも、俺も『そう』だっただろ?あのオメガ女性と遭遇した後もずっと、俺の気持ちは変わっていなくてチャンミナだけが好きだでも、一瞬の匂いや記憶だけがずっと残って、チャンミナを愛しているのに苦しかった、いや、愛しているからこそ…心と身体がちぐはぐで苦しかった」皮を剥いたオレンジを一欠片摘みチャンミンの口元へと伸ばした彼はじっと俺の手元を見てから、小さく口を開けて瑞々しい果実を口に含んだ「番になったら他の誰かには何も感じなくなると思ったんだけど…『運命』なんて勝手に決められた相手の事は分かってしまうんだな…俺も勿論そうだけど、チャンミナはきっととてもびっくりしただろ?」「…うん…」「だけど、ヒートにならなくて良かったそれに、昨夜も俺以外に抱かれたく無いって言ってくれたし…だけど、濡れないって事はオメガとしてあいつに反応しているって事だよな?」矢継ぎ早にならないようにチャンミンを混乱させないように、なるべくゆっくりと話したベーグルは皿の上に置かれたままだから、自分のベーグルを千切ってオレンジと同じように彼の口元へと運んだ「僕はこどもじゃあ無いです」むっとするチャンミンが可愛くて、余計に止められなくなるだなんて思わないのだろうか「知ってるよ、だって昨夜だって…濡れて無くても『ユノヒョンが良い』って沢山求めてくれたからこどもならそんな事出来ない…」「…っもう!ユノヒョン!」今度は口では無く、彼の指によってベーグルが奪われてしまった小さな欠片を口に放り込んだチャンミンは、急いで咀嚼してからコーヒーで流し込んだ小さな喉仏が上下する姿にすらどきりとしてしまう「ユノヒョンは…」「うん?」下唇を噛み締めたチャンミンは、小さなテーブル越しに俺に右手を伸ばしてきたテーブルの真ん中でその手を、彼の指先を擦るようにしてゆっくりと握った「ユノヒョンがあの女性と出会って苦しんでいた時、僕はそれを分からずに自分の事ばかりでしたただ、ヒョンを奪われたく無くて、どれだけヒョンが悩んで苦しんでいるのか想像すら出来なくて…だから、今の僕なんてそれに比べれば何て事無いです」「そんなの分からないよ…どんな感じ?」漸く、今の状態について口を開いたチャンミン尋ねてみたら、小さな声で「気持ち悪い」と言った「気持ち悪い?具合が悪い?」「体調は全く…むしろ、ユノヒョンに抱かれた次の朝は身体が軽いんです確かに濡れなかったけど、それ以上に気持ちは落ち着いていますでも…」「でも?」チャンミンの右手にぐっと力が込められた上から優しく擦ったら、チャンミンはまたその手を見下ろした「頭のなかで、僕では無い誰かがずっと『あのアルファだ』そう言っているような感じですそれだけなんです、でもそれが続いていて…」「俺に抱かれている間はどうだった?」「途中までは…でも、最後はもう分からなくなりました起きたらまた、あの男の事を思い出して…思い出したくも無いし興味も無いのに」そう語るチャンミンの表情が苦悩に満ちている「俺が、その苦しみを変わってやれたら良いのに…」思わず本音を呟いたそうしたら、チャンミンはばっと顔を上げて首を横に振った「駄目です、そんなの…!ユノヒョンの方が絶対に辛かったですよねそれを昨日から考えていて…だから余計に苦しいんです僕は何も分かっていなかったと思って…」「そんなの比べられないそれに、そんな事を言ったら珍しい突然変異で二次性が変わってしまった事、の方が余っ程大変だ」「でも…」「ほら、言い出したらきっとお互いに『自分の方が辛くない』ってなりそうじゃ無いか?俺は、チャンミナを愛しているから辛そうな姿を見るのが苦しいそれだけだよそして…ちゃんと、チャンミナが俺を選んでくれた事が嬉しいんだ」手に触れているだけじゃあ足りなくて、ゆっくりと彼に触れる手を離して立ち上がったチャンミンはそれだけで不安げに俺を見る手を握り返してはくれなかったけれど、離れると寂しいのだろう「何処にも行かないよ」「…別に何も言ってなんて…」「うん、でも分かるから今俺はチャンミナにもっと触れたくて…チャンミナもそうだと思うんだけど…違う?」テーブルの向こう側に歩いて、座るチャンミンの頭をそっと抱き締めた直ぐに俺の腰に腕がまわされて「合ってる」と舌っ足らずな声俺の髪の毛と違い、柔らかで少し絡まりやすい髪の毛指で梳くようにして撫ぜていたら「ユノヒョンは嫌かもしれないけど…」と、少し良い辛そうに、やっぱり舌っ足らずに言われた「うん、何?聞くよ」「ヒョンは優し過ぎます、何を言われるかも分からないのに…」「だって、チャンミナの事なら何だって知りたいからそれだけ好きなんだよ」少し身体を離して見下ろしたら、耳まで赤くしたチャンミンは少し頬を膨らませてから「僕だって負けていません」と呟いたそして…「ずっと、あのオメガ女性と出会ったユノヒョンの苦しみが分からなかったんです昨日あのアルファと出会って…勿論会いたくなんて無かったですでも、そのお陰でユノヒョンの気持ちをほんの少しは理解する事が出来た気がして…だから嫌だし気持ち悪いけど、受け入れて乗り越えようと思いました」「そっか…あ、そうだ!」「何ですか?」チャンミンと目線を合わせるようにして腰を屈めて両肩に手を乗せたじっと見つめたら、上目遣いに俺を窺うように見る長い睫毛が震えていて美しい「ヒートにならなかったし、勿論俺達は番だからあの男とチャンミナがどうにかなる事は無いでも…だからって、あいつと必要以上には関わらない事」「…当たり前です共演者なのでトークの撮影で一緒にはなると思いますが、僕はユノヒョンにしか興味は無いし、あのひとだって僕に興味なんて無いと思います」チャンミンはむっとした様子で眉を顰めて俺の鼻を軽く摘んだ「わっ、何だよ…」「ユノヒョンが僕を見くびるからですそれに、濡れなくたって物凄く気持ち良かったし…いや、今のは無しで」「…もう無理、聞いたから」「…っ、忘れてくださいもう……っあ…」顔を逸らして逃げようとするチャンミン赤くなった耳も美味しそうだけど、長い襟足から俺の付けた噛み痕が覗いたから、引き寄せられるように項に噛み付いた「…チャンミナ、最近『ここ』で凄く感じるよな」「だから、今は朝食の途中で…」「もう無理、チャンミナも色々と教えてくれたし…お互い様だよ」「…ん…っあ……」耳も美味しそうだけれど、やはり唇を味わいたくて赤くなって熱を孕んだ右の耳を左手で覆いながら、ゆっくりと唇を重ねたチャンミンにとっての『運命』の男彼とチャンミンが遭遇した影響がどれだけ有るのか、チャンミンの身体に影響するものがどれだけ残るのか、は分からないでも、俺達は自分達の運命を自らで切り拓くと決めただから、きっと何があっても揺らぐ事は無いランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村読んでくださってありがとうございますそろそろラストスパートです
Fated 112
先程更新したお話の前話が飛ばされてしまったので、再掲します本文はこちらからお願い致します ↓Fated 112ランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村
- 12May
Switching! 9
あまりファッションには興味が無かっただから、こんなに長く試着室で格闘したのは初めてと言うか、女の子の服をあんなにも沢山着たのは初めて最初はユノ先輩にこっそり見てもらっていたのだけど、途中で女性スタッフがやって来て『これも新作でおすすめです』『スタイルが良いのでこれもきっと似合います』なんて言って、更に服を持ってきた勿論、全部女の子の服だ正直恥ずかしかったし、何よりも僕は本当は男だし…だけど、ユノ先輩は僕が何を着ても『可愛い』と笑ってくれるし、スタッフはきっとお世辞なのだろうけど、僕がスカートやワンピースを探していると言ったら僕の体型に合うものを幾つも勧めてくれただから、全部で十回近くは着替えた「本当は全部プレゼントしたいんだけど…流石にそれは出来ないからなあ」「え!プレゼント?駄目です!私の服だし、ユノ先輩を付き合わせてしまったのに…っあ」ウエストが少し細くなっているスウェットパーカーそれから何だか柔らかい素材の白いミニスカート裏地があるから、僕のボクサーパンツも透けなかった折角だから、部屋から着てきたいつもの制服から、買ったままの新しい服に着替えよう、という事になって最後の着替えを済ませて試着室を開けた時に、『また』約束を破ってしまった「チャンミン、今他には誰も居ないから…もう一度、ここでお願い」「…っ、聞こえましたか?」「勿論、聞こえてなきゃ言わないよ俺はオッパって呼んで欲しいから…先輩って呼ばれると寂しいだから、寂しくないようにキスして」試着室の壁を両手で支えるようにして、顔だけ僕の方へと近付けて来て目を瞑る恥ずかしいけれども、『先輩と呼んだらキスをする』という約束をしたからそれに、さっきも試着室のなかで隠れるようにキスをしたから…「ん……ユノオッパ、これで良いですか?」「うん、ありがとう」高校二年生になるまで誰とも付き合った事が無かったのにそれなのに、女の子の服を着て女の子になって『彼氏』とデートをして、お店のなかでキスをするまるで僕では無いみたいだ…でも、そもそも男なのに女の子の振りをしているだなんて本当の僕では無いだから、このまま女の子としての僕で、いつもの僕ならば考えられない事をしても良いのかもしれない「この服も可愛いよシンプルなのに、チャンミンが着たら華やかだし…また他の男に見られそうだから、ちゃんと俺から離れないでいて」「オッパは褒め過ぎです」「そう?でも本当だから」そう言うと、何だかとても自然に僕の髪の毛を撫ぜる年上だし、ユノ先輩はとてもモテるだから、勿論恋愛経験があるだろうし…僕はまだ知らないキス以上、だって知っているのだろう僕はと言えば、キスには少し慣れたとは言え、慣れたってずっとどきどきしている何だか、生まれて初めての…そう、冒険をしているような気分夢のように幸せで、まだ現実味が無いくらい「これとこれは買って…確かに安いけど…オッパは特にどれが良かったですか?」自分の今の姿にも見慣れて来たから、それなりに確かに似合っていたかな、なんて思うでも、どれが一番可愛いだとか、女の子として見えるか、は自分では客観的に見えない試着室から出て、幾つかに絞った服を眺めていたら、ユノオッパは少し考えてから「これとこれとこれ」と選んでくれたなのだけど…「最初に試着したワンピースは長いけど…後は全部丈が短く無いですか?」「え、そう?でも、チャンミンは脚が長いから短いのが似合うなあと思って」「それに、パンツばかり持っているならスカートは短い方が雰囲気も変わって良いと思う」とも言われたユノ先輩は優しいし紳士だし、きっと下心では無い筈「じゃあ、ユノオッパが選んでくれた服にします」「本当に?俺の好みで良いの?」「だって自分じゃ分からないし…駄目ですか?」まるで主体性が無いと思われてしまうだろうかでも、男なのに女の子になる為の服を自分で選ぶだなんて僕には難しい例えば、ユノ先輩のようにモテていたり女の子と付き合った事があったり女の子を良く知っていれば別だろうけど、僕には残念ながら経験すら無いから余計に分からない「いや、駄目じゃなくてむしろ嬉しくて…」「僕…じゃ無くて、私もオッパに選んでもらえた方が嬉しいです服が無くてどうしようって思っていたので良かったです」駄目じゃ無いと言われてほっとした女の子の『普通』なんて分からないし、『彼氏』にどう対応すれば正解なのかも分からないから何とかぼろを出さずに済んだ事、それから私服が無くてデートも出来ないと悩んでいたけれど…これで、これから先輩とデートする時の悩みから解放されて休日だって会う事が出来る「えへへ」「チャンミン、嬉しそう」「はい、だって服を選べたので」ひとりで過ごす休日や部屋のなかでは勿論着る事は無いだから、これは全部ユノ先輩と付き合う為のアイテムこんな事、昨年までの同級生や友人には勿論言えない両親は僕が女子として高校に通っている事を知っている…と言うか、性別を間違えて書類を提出してしまった張本人だから知っているし、必要ならば服を買ったら良いと言われていたから話も出来るけれど、『彼氏』が出来ただなんて流石に言えない「ユノオッパの服も見なきゃ私にばかり時間を取らせてごめんなさい」「どうして謝るの?可愛い姿が沢山見られて大満足なのに」「…満足だなんて、そんな…」優しくてスマートで、男としては目指すべき姿なのだと思うそれなのに、こんな風に言われて嬉しいと思ってしまっている何だかもう、このままじゃ女の子との恋愛なんて出来そうも無い「兎に角、メンズのフロアに行きましょう」「うん、じゃあ少しだけ付き合ってもらっても良い?」勿論です、と頷いてこれから買う予定の服をカゴに入れて持っていたら、何も言わずにスマートにカゴを持つユノ先輩嬉しい気持ちと、僕は男なのに、という気持ちが拮抗するだけど、彼の善意だし僕が女の子であればきっと普通の事だから「ありがとうございます」と伝えたら、それだけで嬉しそうに微笑まれた「…他の女の子にもそんな風に笑うんですか?」「え…そんな風にって…?」「優しいし嬉しそうだし…そんな顔をされたら、皆オッパの事を好きになりますだから、私以外にはしないで欲しいです」エスカレーターで下に降りながら僕の方が前に立っているし顔を見られる事は無いからそう思って本音を呟いた独り言だしそれで良いのだけど、返事は無かったそのままメンズのフロアに到着して歩き出そうとしたら、後ろから肩に手を回された「…っえ…」「自分がどんな顔をしていたのか想像したら恥ずかしいけど…チャンミンに向ける顔はチャンミンにしか出来ないよ」振り返ったら、ユノ先輩は少し困ったように、そして恥ずかしそうにしていた「恥ずかしいんですか?」「だって、物凄くにやけて締まりなんて無い顔になってそうだし」「そんな事無いです、格好良いです」「……そんな事言われたら余計に…ほら、もうやばい」右手で僕の肩に手を置きながら、カゴをぶら下げた左手で目を隠すようにして恥ずかしがる先輩「オッパは格好良い、なんて言われ慣れている筈なのに…」だって、皆言っている一学年下の僕のクラス内でもユノ先輩は有名人女子は憧れだと言うし、男子生徒も彼のようになりたい、彼のようにモテたいと言っているそして、悪い話は一切聞かない恥ずかしがって顔を隠されると余計に見たくなってしまうそうして、身体ごと先輩の方を向いて覗き込んだら…「チャンミン、近過ぎ」「…わぁっ!先輩こそ近い…っ」僕から近付くならば緊張しないでも、不意打ちのように顔から手を離したユノ先輩が肩に置いた手をぐっと抱き寄せるようにしてきたから、唇が触れてしまいそうになった「…チャンミン、わざとは可愛いけど…さっきから『先輩』ばかりだからこれは罰」「…っん…あ…ひとが居るのに…」「そう、だから罰…恥ずかしかっただろ?」辿り着いたメンズのフロアには、男性客やカップルの姿がある多分、僕が大きな声を出してしまったからただでさえ目立っていたのに、更にキスをされて物凄く視線を感じる「…ユノオッパの意地悪優しいけど意地悪です」「先輩って呼ばれたら傷付くからおあいこ」そんなの、半分冗談だと思っていただけど、ユノ先輩の顔は真剣だったから、僕が『先輩』と呼ぶ事で距離を感じてしまうというのは本当なのかもしれないでも、心のなかでは『ユノ先輩』と呼んでいないと、本当に男としての僕が消えてしまいそうで怖いのだ「オッパ、ごめんなさい」「…素直に謝られたらどうして良いか分からないよでも、オッパって呼んで?前にも言ったけど、『ユノ』でも勿論良いから」ぽん、と優しく頭を撫ぜられたそれがこそばゆくて目を瞑ったら「髪の毛が乱れるかな、ごめん」なんて謝る「そんな事無いです!嬉しくて恥ずかしくて…」「そっか、良かった」肩に置かれた手はそっと離れていく寂しい、けれどもここは店内だし、ただでさえ注目されてしまったし…寂しいという本音は胸のなかに仕舞い込んだユノ先輩は、キャップや小物を探しているのだと言っていただけど『チャンミンの可愛い姿を沢山見られたから満足してしまった』なんて笑って、何も買わなくても良いかも、なんて言うからそれでは駄目だと伝えたふたりで帽子が並ぶコーナーに向かって、鏡の前で先輩に沢山試着してもらったなのだけど、彼の頭があまりに小さくて、サイズを調節してもなかなか合うものが無かったなのに…「チャンミンが被ると可愛いかも」なんて、結局また僕の事になってユノ先輩がそっと被せてくれたカジュアルなキャップは僕には丁度良いサイズ感だった「オッパには大きかったのに私にはぴったり…傷付きます」「え、っいや、そんなつもりじゃ…」慌ててキャップを取って「やっぱりこれは良くないな」なんて言いながら棚に戻す先輩そんな姿もやっぱり、年上だし格好良いのに可愛くて…彼がモテる理由が分かる「冗談です、さっきの…キスの仕返しです」笑ってそう言ったら、先輩は胸に手を当てて「良かった」と言ったユノ先輩はキャップや靴下を買ったキャップは、ふたつで悩んでいて「チャンミンの好みのやつにする」と言われたから、何にでも合いそうな黒のキャップを選んだ先輩が僕の服を選んでくれたのと同じ事だけど、いざ自分が選んで、好きなひとがそれに決めてくれると物凄く嬉しかった選んでもらう立場ならあまり何も思わなかったのに、逆になって初めて気付くだなんて情けないけど…「チャンミンに選んでもらったなんて嬉しくて、学校にも被っていきたいくらいだけど…流石に我慢しなきゃ」「…嬉しいので気持ちだけ受け取っておきます」本当は飛び跳ねるくらい嬉しいでも、恥ずかしいから冷静な振りをした僕の服もユノ先輩が一緒に払おうとしたから、それは勿論断ったパスタだって出してもらったし、両親からの仕送りがある『女子』としてこのまま過ごす事を伝えたら、その為に必要なものがあれば買い足して良いと言われているし…なんて事は言えないけれど、服は買うつもりだったから、と伝えたら「やり過ぎは良くないもんな」と言って、渋々ではあるけれど引いてくれた部屋から着てきた制服は畳んで店の袋に入れてもらった漸く私服で女の子として外に出る事が出来て、漸くユノ先輩と普通の恋人になれたような気がしたなのだけど…「…っ寒…」「風が出て来たなチャンミン、パーカーだけじゃ寒そうだ」店の外に出たら、少し雲が出て来て気温も昼間よりも下がっているようだ思わず自分を抱き締めたら、隣の先輩がごそごそと何かしていて…「不格好かもしれないけど、我慢して」「え…」「俺は暑がりなんだそれに、このトップスも厚手だから寒くない」肩からそっと掛けられたのは、彼が着ていたデニムのジャケット同じ男だけど、僕には少しサイズが大きくて、何だか先輩に包まれているような感じ襟元を寄せるようにして右手でぎゅっと掴んだのだけど、ふと思い出した「あ!制服のブレザーがあります、それを羽織れば…」「あ…そっか…でも折角私服になったんだしそれに、私服に制服を重ねるよりもこの方が良いし…彼氏として格好付けさせて?」そう言って僕を覗き込んだ先輩は、手を繋いで歩き出した先輩が本当に寒くないのなら、僕だって嬉しいし…断るのも良くないかも、と思っていたでも、ユノ先輩の真意は他にもあったらしいと言うのも、この後カフェに向かう途中赤信号で立ち止まった時に彼は僕には耳打ちをしたからそれは…「サイズが大きい俺の服を羽織っていれば、チャンミンは俺の彼女だって誰から見ても分かるだろ?何処に居てもチャンミンは目立っているし男達が見てくるから」「…手を繋いでいるからオッパの服を着ていなくたって分かります」「そっか、でももっとアピールしたくて…なんて、こどもっぽいかな」ユノ先輩は完璧な男のひとに見えるだけど、完璧で年上で誰よりも格好良いのに可愛いって事女の子に感じた事のある『可愛い』では無くて、胸が苦しくなるような気持ち言葉にするのは難しいけれど、ユノ先輩にしかこんな気持ちになった事は無いだから、僕は男なのに彼の事を好きになってしまったのかもしれないランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします 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生徒会長にお仕置き 序
クラスメイトや周りの仲間達、勿論生徒会のメンバー果ては教師達にも言われた『天敵同士なのに同じ大学に通う事になるとは』だとか『腐れ縁なのかもしれない』だとか卒業までに散々言われたそんな言葉には勿論、いつものように『あいつとは関係無い』『僕は受験だけれど、あいつはスポーツ推薦学部も違うのだから一緒にしないで欲しい』と眉を顰めて興味なんて無さそうに返しただけど、僕とあいつ…つまり、生徒会長、文化系のトップとして学園に君臨していた僕と、サッカー部の部長で体育会系のトップとして…更に文武両道なユノとは、犬猿の仲だけれど本当は恋人生徒会メンバーのキュヒョンには知られてしまったけれど、結局卒業するまで僕達の秘密の関係は広く知られる事は無かった本当は、誰よりも男らしくて格好良いユノは僕の恋人なんだって言いたいけれども、プライドが邪魔をして言えない同じ大学に進学したのは幸福な偶然だった新しい環境で僕達を知らない生徒が沢山居るなかで…今度こそ、ユノと堂々と一緒に居られると思ったのに、学部が違う事もあってそれも出来ていない更には、高校時代の僕たちを知る先輩や同級生達から噂は直ぐに広まったつまりは『チョンユンホとシムチャンミンは犬猿の仲である』という噂だけど、犬猿の仲と言われているユノと僕は恋人同士だし同じ大学に進学したし、そして進学を機に互いに実家を出て同棲を始めた表向きは『友人との同居』だけどそして、親にはそう言えても、犬猿の仲だと思われているから大学の友人達には勿論言えていないこうして、大学に入学しても尚、僕達は人前で恋人らしく振る舞う事は勿論、仲の良い友人として過ごす事さえ出来ないでいる「チャンミナ、準備は出来た?」「え、まだだよまだ時間には余裕があったよね?と言うか、別々に向かった方が良いんじゃ…」ふたりだけの城このなかならいつも何時でも、僕は好きなだけユノに触れる事が出来るだからぎりぎりまでふたりの部屋に居たかったのだけど、あっという間に着替えたユノはソファに座っていた僕を見下ろして腕組み「別々にって言うならそれでも良いけど途中までは一緒に行って、後は…チャンミナが先に店に入ってから、俺が少し遅れて入るそうすれば別に問題無いだろ?」「…うん」「ほら、コーヒーを淹れたから、飲んだら着替えて出掛けよう」「僕の為に?ありがとう」差し出されたカップを受け取ったら、ユノは僕の左側に座って肩を抱き寄せた冷静沈着で品行方正だと言われた生徒会長だった僕は、ユノに激しく抱かれたり『見付かるかもしれない』というスリルのなかで抱かれる事やそうして愛される事にいつの間にか嵌り込んでしまったでも、最近のユノは何だかとても優しい勿論それはとても嬉しい事だけど、少しだけ物足り無い高校時代は生徒会室や学校のなかで、誰にも見付からないように抱かれていた生徒会長として、文化系のトップとして犬猿の仲であるユノと親密であるだなんて言えなかったから、隠れて会っていたでも、今は例え大学で会えなくてもこうして一緒に居られるスリルを楽しむ必要は無くなったし、もう若い高校生でも無い「チャンミナ、どうした?同窓会は楽しみじゃあ無いのか?」「え…そんな事無いよコーヒーが美味しくてぼうっとしていただけ」そう言えば、ここ最近はユノの方が課題に追われていて、あまり抱かれていないスポーツ推薦で入学したとは言え、大学は進学校だし課題や授業での優遇措置はあまり無いらしい頑張っているユノを見たら『抱いて欲しい』『足りない』なんて言えなくて我慢をして…風呂で後ろを弄っても、自分の指じゃあ全然届かなくて結局欲求不満昨日も一昨日も抱かれていなくて、そうしている間にこの週末がやって来た「同窓会、楽しみだな大学に入ってから忙しくて皆に会う時間も無いから」「…うん、そうだね」本当は、夕方から始まる同窓会よりも、ユノとふたりきりで過ごしたいこのまま抱かれたいでも、そんな事言えないから頷いてコーヒーを飲んだユノは本当に優しい元々、少し意地悪だけれどそれは僕を愛してくれているからだって分かっていたけれど…今日は休日で、課題も落ち着いたらしくて朝からずっと隣に居るキス以上、はしていないけど、『最近寂しくさせていたから』なんて言って、僕の好きなコーヒーを何度も淹れてくれた「美味しい?」「うん、ユノのコーヒーがどんなカフェのコーヒーよりも美味しい」最後のひと口をゆっくりと啜ってからカップをローテーブルの上に置いたら、ユノにキスをされた「…ん……っユノ…」「本当は抱きたいけど…もう出掛ける時間だから、帰るまで我慢しないと」「…っあ…」ユノの首に腕を巻き付けて身体を擦り寄せていたら、ぐっと腰を押し付けられたユノの中心はもう熱く、そして硬くなっている刺激されたら僕の前も熱を持って腰が揺れてしまう「最近抱いてないけど…浮気なんてしていないよな?」「当たり前…っ、ユノしか…」「そう、じゃあ夜が楽しみださあ、着替えて来て」もう少し触れていられるかと思ったのに、あっという間に身体は離れていったしかも…「チャンミナ、本当にぎりぎりだ急いで準備をして」「え、嘘…分かった」ユノと過ごす時間はあっという間一緒に暮らしても足りないし、もっと好きになるし欲しくなる高校のなかで皆に隠れて抱かれていた頃が懐かしくて、あの頃の僕が羨ましくなってしまう「着替えられたけど、トイレに行ってから…」「駄目だよ、もう本当にぎりぎりだから俺は後から入っても良いけど、チャンミンは元生徒会長なんだから時間に遅れるだなんて有り得ないだろ?」「分かったよ」玄関でもう靴を履いて僕を待つユノ彼が少し焦っている様子に見えたから、慌ててユノの元へと向かって靴箱から革靴を選んだ「会場では、付き合っているのは内緒にするのか?」「だって、そんなの今更話すのも…」本当は皆に言いたいユノは僕のもので、僕はユノのものなんだってでも、高校の同級生達は誰よりも僕達が犬猿の仲であった事を知っている本当はずっと違ったのに、特に僕が人前ではユノを嫌って避ける振りをしていたからそうして隠れてユノと付き合うスリルも楽しかったのだけど、今になって素直になっていれば良かったなんて思う僕は馬鹿だ「そうだな、男同士だし…まあ、言ったところで信じてももらえないだろうし」「…うん、そうだよね」何時までもユノに執着する僕と、昔よりも優しくなって意地悪では無くなったユノもっと追い詰めるように愛して欲しいのに僕達の関係を見せ付けて欲しいのに久しぶりに会う高校の同級生達居酒屋で行われる同窓会あまり楽しみでは無くて、僕はそれよりもユノとふたりきりが良かったのだけど…この同窓会で大変な事になってしまう、だなんてまだこの時の僕は知らないランキングに参加していますお話のやる気スイッチになるので足跡と応援のぽちっをお願いします ↓にほんブログ村おはようございます物凄く久しぶりにこのふたりのお話を少しだけ更新してみようと思います短くさらっと、の予定ですこのふたりが初めての方も、そうで無い方もお付き合い頂けましたら幸いです
この後の更新について
この後、いつもの7時は「生徒会長にお願い」の新しいシリーズを更新致します振り返ってみれば、最後の更新が昨年の2月だったのでかなり久しぶりで…知らないよ、という方も多いかと思うのでこれまでのお話をリンク致します シリーズもので、続けて読まなくても大丈夫なお話です成人指定多めですまた、新しいお話だけでも読んで頂けるようにはなっていますこれまでのお話はこちらです ↓生徒会長にお願い私はと言えば、昨日のBeyond LIVEのお知らせに、嬉しすぎて頭のなかが混乱しているくらい嬉しくて地に足がつかない感じですと言うのは置いておいて…それではまたお話でお会い出来ますように幸せホミンちゃんにぽちっ♡ ↓にほんブログ村




















