昨日とりあげたレコード、プッチーニの『ラ・ボエーム』、ヴォットー指揮ミラノスカラ座o・cho、1956年録音、モノラル、仏コロンビアFCX773/774。
第二幕のムゼッタのワルツ、
それはもう天国的に甘美なのですが、
そういう音を引き出す再生が結構
難しい。
初期盤のモノラルLPの再生の難しさ
には、大きく分けて三つの要因がある
と思います。
まずはカートリッジ、針の問題。
モノラルレコードの音溝は1.0ミル
(ステレオは0.7)、一般的な
ステレオ針だと過不足なくトレース
できない場合があるんですね。
二つめ、これが厄介なんですが、
イコライジングの問題がある。
レコードには録音した音がそのまま
入ってるわけではなく、再生時に
高域、低域ともに補正してやらないと
いけません(高域側をロールオフ、
低域側をターンオーバーといいます)。
この補正の数値は1954年にアメリカ
レコード協会(RIAA)によって
ターンオーバー500Hz、ロールオフ
10kHz/-13.7dBと統一される前、
そして統一されてからもしばらく、
レコード会社によってバラバラ
だったんですね。
たとえば上記のレコード、この時期の
仏コロンビアは一応500/-16
の通称コロンビア・カーブで補正
するのが最適とされており、
そのように調整して聴くとたしかに
音の抜けがいい。RIAAで聴いていた
ときにかかっていた霧が晴れたような
感じがします。
でも、たとえばこのレコード。
トスカニーニ指揮NBC響、
ベートーベンの2番、英HMV盤
(ALP1145)ですが、英HMVに
一般的なコロンビア・カーブで
再生してもしっくり来ない。
これはもとは米RCA録音なので、
いわゆるオールドRCAカーブで
再生してやらないと、戦車が全速力で
こちらに向かって来るような
音の波は押し寄せて来ません。
ややこしいです。
さらに三つめの要因、僕は経験上
これが最も大きいと思うのですが、
盤の個体差の問題。
レコードの品質を決めるパラメータ
はプレス工場やプレス時期、
塩化ビニルの材質まで、それこそ
無数にあります。
それに、中古レコードは自分の手元に
来るまで、どんな装置で再生されて
いたのか、どのようにメンテナンス
されて来たのか、知る由もない。
まあ大抵は劣悪な環境に晒されて
いたと考えて間違いないでしょう。
要するに、自分の所有することになった
その一枚があらゆる意味で良盤で
あるか否かは、ほとんど運に支配される
のではないかとさえ思えます。
人事を尽くして天命を待つ、と言います
が、天命は仕方がないとして、「人事」
の部分は自分の裁量で如何ようにも
工夫できます。
今、我が家の再生装置は、比較的
低コストでそれなりの成果を得て
いますので、参考までにこれから
少しずつ紹介して行きたいと思います。
もっとも、ここに至るまでにはかなりの
額の授業料を払いましたが(笑)
今日はまず、話題に出た再生カーブ
を司るフォノイコライザーから。
英国のGSPという小さなメーカーの
製品。ターンオーバー3、ロールオフ5
種類の選択ができ、SP、LPとも大抵の
カーブに適応できます。初めは
この可変という点に注目して導入
したんですが、フォノアンプとしての
出来自体が非常に素晴らしい。
もう10年以上使ってますが何の
不服もない。トランジスタですが
真空管のような瑞々しい音が出ます。
それまでに所有していた高級(?)
管球イコライザーはすべて処分
しました。価格は当時、送料込みで
たしか400ポンドほど、今はもっと
上がっているかも知れません。
そもそも、まだ作ってるのかな?
続きはまた後日。
☆
あ、昨日発売の私立恵比寿中学
ニューシングル
『バタフライエフェクト』
オリコンデイリー5位発進とのこと。
おめでとうございます。

