※前回の続きです。
大分県にある「大元神社」の境内に「大元八坂神社」があります。
八坂神社、ですから、この文字を見た時に「えっ? 牛頭天王がここに?」と思いました。
山岳系神様の神社なので、ここに牛頭天王がいるのだろうか? と鳥居をくぐって近くまで行くと、明らかに「気」が違っていました。
「あ、違うんだ」ということで、境内社だし、手を合わせなくてもいいかな、とパスすることにしました。
背を向けて戻ろうとしたら、
「おいおいおいおいおい」と声が聞こえます。
続けてこう言います。
「ちょっと話を聞いていかぬか?」
おい、の呼びかけが多い神様だな~、と振り返ったら、平安時代の男性姿の神様がいました。
青地に、薄い黄色い星のような柄が入った狩衣を着ています。
貴族のようです。
その姿が周囲の山の景色と全然合っていません。
「平安時代のお方ですか?」と聞くと、「うむ」と高めの声で、涼やかに答えます。
「どうしてここに入っていらっしゃるんですか?」と聞くと、勧請をした人が間違えた、と言うのです。
へ? 勧請を間違えた? ![]()
「えええーっ! そんなことがあるんですかーっ!」
疑う気持ち丸出しでそう言うと、
「だって……そうだぞ?」と、あくまでも爽やかです。
不思議な話です。
聞いたことがありません。
「ま、そこに座りなさい」
神様が「そこ」と指定したのは、大きな岩の上でした。
しかし、表面が緑の苔だらけなのです。
いやいや、神様、そこに座ったらズボンが汚れるじゃないですか……と心の中で思いました。
神様はまったく気にしていないようで、「ほれほれ、そこに座りなさい」みたいなジェスチャーをします。
仕方なくハッキリお断りすると、「そうか」と、飄々とした雰囲気で納得していました。
この神様に、祈願について質問をしてみました。
「参拝者が来たら、お願いを聞いてくれるんですか?」
「仕事は時々する(笑)」
「え? 時々? 時々って……どれくらいですか?」
「ん~~~~~、10人来たら3人は叶える」
「は? あの~、神様、それって……時々ではなく、たまに、と言うのでは……」
「そのかわり叶える時はきっちり漏らさず、細かい部分まで叶えるぞ?」
神様は胸を張って言います。
その主張というか、言い方がなんだかおかしくて、神様と一緒に笑いました。
この境内社では、願掛けが叶う確率が10分の3です。
「宝くじみたいなものですね?」
「まぁ、そんなもんだ。身を粉にして働かずともよいぞ。たまには休まないと」
さすが平安時代の貴族、と思いました。![]()
この神様はすごく面白い神様で、会話をしていて私は本気でゲラゲラ笑わせてもらいました。
ユーモアのセンスがあって、明るくカラッとしており、生きている人間のような神様なのです。
神様神様していませんから、緊張せずに参拝ができます。(『「山の神様」からこっそりうかがった「幸運」を呼び込むツボ』という本に詳しく書いています)
岐阜県の「長滝白山神社」には、龍のイメージをくつがえすようなご祭神がいました。
ここの本殿には、大きな緑色の龍がいます。
鎮座しているその姿が……「ドデーン! といる」としか表現のしようがない龍です。
龍は普通、しゅるる~んと上空を泳いでいます。
社殿に鎮座している龍も、スッキリとそこにいます。
しかし、ここの龍はくつろいでソファにドカッと座っているような、それもあぐらをかいているような、そんな大胆なポーズです。
長い体を、ヘビのような感じでとぐろを巻くようにしているのではなく、うねうねとさせたままです。
浴衣が思いっきりはだけた男性が、お腹をドデーンと突き出しているような、そんな姿なのです。
ですから、龍のお腹は丸見えです。![]()
龍なのに……
そのポーズはありえない……
というのが、正直な感想でした。
「そんなに大きくて、パワーもあって強いのに、どうして大空を泳ぐでもなく、高い山にいるでもなく、ここにいるのでしょうか?」
「勧請された」
「ええーっ!」
「なんだ?」
「勧請されて断らなかったのですか? そんなに大きい体だったら、神社とサイズが合わないじゃないですか」
「勧請されて悪い気はしない」
「えええーっ!」
「なんだ!」
「龍なのに? ですか?」
自由気ままで、クール、人間に媚びない、のが龍です。
それなのに、社殿のような小さなところ(実際はここの本殿は大きく広いのですが、龍がそれよりもはるかに大きいので、相対的に小さく見えるのです)に勧請されて、窮屈に思わないのが不思議でした。
「まったく悪い気はしない」と、サラッと言います。
へえぇぇぇぇー!
龍なのにぃぃぃー!
と、私は心の底から驚きました。
「でも……実際のところ、狭くありませんか?」
「狭い……」
うぷぷ、と思わず笑ってしまいました。
やっぱり狭いと思っているのです。
龍は3次元の本殿の中ではなく、本殿の〝空間〟にいます。
次元が違うので、狭くはないだろうと思うのは人間の考えで、見えない世界での事情があるのです。
「お体、ずいぶんはみ出していらっしゃいますよね」
「狭いが……かまわない」
大物感が漂う、魅力のある龍でした。(詳細は『神様のおふだ』という本に書いています)
このような楽しい神様がいる神域では、神様にあれこれと話しかけていると、「なんだかワクワクしてきた」「心が弾んできた」という感覚になります。
〝なんとなくでも〟そのように感じたら、その神社のご祭神は、楽しい系の神様の可能性が高いです。
神様が面白い反応をしてくれて、魂がそれを感じ取るからです。
※続きます。![]()










