たいへん珍しい、「門番の龍」がいる神社があります。(本の取材で行きました)
この龍は厳しい性質であり、「ワシが! 神域の入口を守る!」という意識の高い龍です。
怖いくらいの大迫力なのです。
龍は、参拝に来た人を、入口にある自分用のお社から、じいぃぃーっと見ています。
チェックしている、という雰囲気でした。
もちろん、私もじいぃぃぃーーーーーーっと、見られました。
険しい顔つきで、入口を守っているのです。
任務に忠実な龍です。
ご祭神のために、その仕事を頑張っているようでした。
で、ついこないだ、その神社に、また寄ったのですが、
相変わらず、門番の龍は威厳のある表情で、参拝者をチェックしていました。
そこに、ひとりの女性(50代くらいでしょうか)が、やってきました。
何気なく見ていると、女性は手を合わせ、一生懸命にお話をしています。
たぶん、自分がどこから来た誰なのか、という自己紹介をし、
参拝した理由なども省略せずに話していたのでしょう。
もしかしたら、祝詞を唱えていたのかもしれません。
けっこう長い時間、手を合わせていました。
門番の龍はそれをじっと見ていましたが……
次の瞬間、片方の口角をフッと上げ、軽くですが、笑顔になったのです!
つい、微笑んでしまった、という感じでした。
そのあとは、またすぐに気合いの入った顔で、次々に訪れる人をチェックしていました。
見ていた私は「え? えっと? 今のなに? 」とビックリです。
どんなに厳しい龍でも、信仰心が厚い人、純粋に神仏を信仰する人は特別のようで、可愛いみたいです。
なんだか、ほんわかとする、素敵な光景でした。
面白い話をしなくても、たどたどしくしか話せなくても、一生懸命に伝えようとすれば、神仏にはちゃんと伝わります。
私の読者さんは信仰心の厚い方が多いので、この時の女性のように、神仏をフッと微笑ませる人も多いのではないかと思います。
うまく話せない、と悩む方がいらっしゃるのですが、ヘタでも全然大丈夫です。
一生懸命に伝えれば、そこは問題ありません。
その一生懸命さは、信仰心の表れですから、神仏にとても喜んでもらえます。
7月3日発売です。