海外に行くと、アジア人というだけで、差別されることがあります。
これは国によってどうのこうのという問題ではなく、個人の考え方によるものですから、国は関係ありません。
その人が、差別をする人なのかどうか、です。
なので、この記事は、オーストラリアの人が差別をするということではありませんので、そこは絶対に、誤解のないようお願いいたします。
今回、驚いたのは某航空会社のキャビンアテンダントのひとりがそうだったことです。
年配の女性でした。
もしかしたら、私に対応する直前に、何か腹の立つことがあったのかもしれず、それでイライラしていたのかもしれません。
お昼のメニューを選ぶ時のことです。
チキンは聞こえたのですが、もうひとつがなんなのか、まったく聞き取れませんでした。
たぶん、聞いたことがない単語だと思うのですが、知らない単語は言えないので、チキンではないほう、とお願いしました。
すると、その年配のキャビンアテンダントが、完全にバカにした態度で、「はぁ?」と言うのです。
何を言っているのかわからない、チキンじゃないって? 何? みたいに言われました。
いやいや、選択肢は2つしかないんだから、チキンじゃないほうって言ったらひとつしかないやろ、と思いましたが、
「はぁぁぁ? 何? ナンタラ(聞き取れないんですね~、この単語が)のこと? え? チキン? ビーフ?」と、重ねて言うのです。
つか、そのビーフって何? ビーフがあるの? と言いそうになりましたが、私が困っていると、チキンじゃないほうをポンと置きました。
この時に、隣のお姉ちゃんも同じものをもらっていたのですが、お姉ちゃんには、クリスマス包装のチョコレートをつけていました。
他の白人の乗客も、みんなクリスマス包装のチョコレートつきです。
でも、私にはクリスマス包装のチョコレートはなく、ランチのみなのです。
チョコレートがほしいわけではありませんが、同じ航空運賃を払っているのに、その差別はあかんのじゃない? と思いました。
私の隣の席にいたお姉ちゃんですが、パンク系? というか、ヤンキー系? というか、なんだか、すっごい元気な格好をした女性でした。
25歳くらいの白人さんです。
私が差別されていると気づいた彼女は、差別をしていたキャビンアテンダントがペットボトルの水を配りに来た時に、
自分の分をもらったあとで、「もうひとつ」と言います。
キャビンアテンダントが「?」という顔をしたら、
「彼女の分」と、さらっと私のことを言い、私の分をもらってくれたのでした。
到着まで4時間以上かかる路線だったので、もしも、水がもらえなかったら、つらかったと思います。
その後、しばらくして、キットカットが配られている時も、隣のお姉ちゃんは、
「もうひとつ」と要求し、私の分ももらってくれました。
私がお礼を言うと、照れたような感じでニッコリしていたのが印象的でした。
さりげなく人を助ける……
これは、できそうで、なかなかできないことではないかと思います。
でもお姉ちゃんは、特別なことと思っていなかったようで、普通に私の分をもらってくれました。
ああ、このお姉ちゃんはできた人だな、と思いました。
ここでいつも考えるのが、私が逆の立場だったら、同じことを思いついただろうか? ということです。
キャビンアテンダントに文句を言うと、差別されている人がもっとイヤな思いをするかもしれません。
なので、そうすることは正解とは言い難いです。
大ごとにせず、差別されている人がみんなと差がないようになればいいわけですから、お姉ちゃんがしてくれたことが正解だったように思います。
困っている人がいたら、その人が傷つかないように、居心地も悪くならないように、さりげなく、手を差し伸べる……
人として大切なことを教えてくれた、親切なお姉ちゃんのお話でした。