昔の書物を読んでいると、面白い内容に出合うことがあります。
私が「へぇ~」と思ったのは、「天狗」についての記述です。
ある日の夜、若い男性が、全裸で、突然浅草に現れました。
この男性は2日前に、京都にある愛宕山に参拝をしていました。
京都の愛宕山は、天狗がいることで有名ですね。
男性はそこで年老いたお坊さんに出会いました。
お坊さんが、面白いものを見せよう、と言うので、ついて行っていたら……
そこで男性は記憶が飛んでしまいます。
そして、ふと気づくと、京都から遠く離れた、江戸の浅草にいました。
これは天狗のしわざだ! と人々は大騒ぎです。
その理由は、男性の足袋です。
男性は全裸なのですが、足袋だけは履いていました。
その足袋が、真っ白だったのです。
裏が汚れていないということは、男性は歩いていません。
つまり、男性は天狗に連れられて、空を飛んで来た、というわけです。
別の書物では、お風呂に入っている時に、天狗にさらわれた少年がいた、とか、
天狗に占いを教えてもらった人がいた、という話が書かれています。
天狗に万里の長城を見せてもらった人もいたそうです。
7歳で天狗にさらわれて、8年後に帰ってきたけれど、7歳の時の着物がそのままだったという話もあります。
このように、意外と、天狗にさらわれた話は多いのです。
天狗って、人間をさらう存在だったのか~、とあれこれ読んでいたら、
昔の認識では、天狗は「妖怪」だったのですね~。
ひゃ~! と、驚きです。
現代では、神社やお寺に祀られている天狗は、神様や仏様として人間を手厚くサポートしています。
けれど、昔は妖怪というカテゴリに入れられていたんだ……とビックリです。
そして、私が今回、新しく仕入れた情報は、これまた、へぇ~! という感じで驚いたのですが、
天狗はよいもの(神仏)にも、悪いもの(「魔」の仲間)にもなれるそうです。
その話を、なんと! 鬼がしていました。
面白いですね~。
詳しいことは新刊の『100年先も大切にしたい日本の伝えばなし』に書いていますが、見えない世界は本当に奥が深いです。