去年の夏に国立博物館に行きました。
展示物のひとつに安土桃山時代の陣羽織があり、まじまじと鑑賞しました。
陣羽織とは、鎧の上に羽織るものです。
その陣羽織には「摩利支尊天(まりしそんてん)」という文字が漢字で、背中にでかでかと、縦に書かれていて、それだけでも見ごたえがありました。
前身頃には、「愛染明王」と「不動明王」が、こちらは梵字で、右左に分けて書いてあったのです。
目立たないけれど、内部には経文が細かく書かれていました。
戦国時代の武将たちは、きっとどの武将も、戦は神仏の力が大きく作用する、と知っていたのだろうな〜、と思いました。
この時は、奈良県にある「聖林寺」の十一面観音像も展示されていました。
十一面観音さんは魂抜きがされていたのか、もうひとつよくわからなかったのですが、光背がすごかったです。
強烈なパワーを放っていました。
光背は普通だったら、仏像の背中部分として一体化しています。
ですが、この十一面観音さんの光背は、別に展示されていたのです。
ところどころ欠けていて、完全な形ではなかったのですが、「うっわー!」と思わず声が出たほど、迫力がありました。
仏様とは関係なく、純粋に光背がパワーを放出していたのです。
どうやら、開眼したお坊さんがそのようにしたのではなく、仏師によって込められたエネルギー・パワーのようでした。
仏像は開眼されて、仏様になることを考えると、仏師は自分の魂というか、思いはそこに込めるのではなく、光背のほうに入れるべき、と考えたのかもしれません。
見るほうからすれば、光背込みで1体の仏像ですが、分けて見たほうがわかりやすく、感じ取りやすいこともあると思います。
皆様も、次回どこかで仏様に会う時は、分けて見ることにトライしてみてはいかがでしょうか。
博物館の特別展は遠いお寺の仏様に会うことができますし、私は聖徳太子さんが仏様になっていることを博物館に展示されていた仏像から知りました。
多くのことが学べるため、特別展などがある時は、博物館にお出かけしてみるのもいいのでは? と思います。