新刊でご紹介している「法隆寺」の五重塔の、屋根の四隅には邪鬼がいます。
邪鬼は四天王のほとんどの仏像にもデザインされていて、そこでは、ぶに~っと踏まれています。
お寺にある邪鬼像は、このように四天王に踏まれていたり、石燈籠の上部(重たい石)を支えていたり、建築材を支えていたりします。
このようにあちこちで見る邪鬼の像ですが、意外と中に入っていることが多いです。
えっ! なぜ、そんなしんどい状態の像に、わざわざ邪鬼が律儀に入ってるのでしょうか?
と、思われるかもしれませんが、 邪鬼は〝自分から〟 好きこのんで入っているわけではありません。
閉じ込められているのです。
自然界にいる邪鬼は悪霊です。
人間に取り憑いたり、動物に悪さをしたり、放っておいたら、悪いことばかりします。
四天王は見えない世界の「魔」と日夜、戦っています。
自然界にいる邪鬼も、退治をしています。
邪鬼は悪霊ですが、驚くことに、中には改心する可能性のある邪鬼がいます。(それがわかる仏様ってすごいですね!)
この場合、バッサリ消滅はさせず、こうしてお寺にある邪鬼像に閉じ込めます。
改心すれば、人間にも動物にも害がなくなりますし、邪鬼が希望すれば、仏様が眷属として使うこともあります。
自然界にいる邪鬼は本当によくない、恐ろしい「魔」の一種ですが、お寺にいるのは悪いものではありません。
四天王に退治された時点で、毒気を抜かれているからです。
反省をしている途中ですから、すでに意地悪でも邪悪でもなくなっています。
ですから、話をすると「可愛い♪」と思える存在が多いです。
特に大阪にある「観心寺」の邪鬼は超可愛いです。
像に閉じ込められているのは永遠ではありません。
十分に反省をして悪い心が消えれば、動けるようになります。
なので、見かけたら、話しかけてあげるといいです。
あれ? 人間は優しいじゃん、いい人が多いんだな、と思えば、危害を与えて悪かったかな、と思います。
邪鬼の反省が進むので、仏様のお手伝いになります。