「私は別の宗教に入っているのですが、神社やお寺を参拝してもいいのでしょうか?」
「違う宗教なので、行くと神様や仏様が嫌がりませんか? 怒ったりしませんか?」
という質問をたまにいただきます。
宗教によっては、違う宗教の場に行くことを、「悪」だと考えることもあるようなので、不安になるのかもしれません。
以前にも書きましたが、実は、日本の神様と仏様は非常に心が広いです。
特別と言ってもいいくらいです。
包容力があるだけでなく、柔軟な考えを持っています。
ご存知のように、日本には〝神仏習合〟という時代がありました。
神仏習合を簡単に言うと、日本古来の神道と、当時外来の宗教であった仏教を調和させた状態のことです。
宗教を分けずに、神様も仏様もいっしょくたにして拝んでいました。
現在のように、神社は神社、お寺はお寺、とはっきり分かれていなかったのですね。(実際の神様と仏様は、うまく居場所を分けていたようです)
そんなごちゃ混ぜ状態の期間が長くありました。
私はこのことを、心の底から「すごいなー!」と思います。
アジアの他の国でも、古来からの信仰と新しく入ってきた宗教が融合することはあったようですが、
日本の神様は、外来の仏様とまったく種類が違う……別の存在です。
その全然違う存在が同じ場所に祀られていて、どちらも文句を言わずに人々を守ってきた……
ということが、奇跡のように思えるのです。
本当に素晴らしいです。
私は北京の寺院で、中国仏教の仏様に会ったことがあります。
放っている「気」が威厳に満ちていて、かなり厳しい感じがしました。
ここだけの話、かすかな恐怖すら感じました。
ビシバシ怒られそうな雰囲気だったのです。
日本のほんわか~とした、優しく丸〜い感じの仏様と、中国仏教の仏様は違っていました。
ですが、あれが本来の仏様ではないかと思います。
仏様は見えない世界の「魔」(悪霊)と戦ったりするからです。
日本の仏様が柔らかくて優しいのは、神様と一緒にされていた時代があるからです。
神様のほうも、あとから入ってきた仏教とごちゃ混ぜにされたのに、全然怒りませんでした。
大らかに受け入れたのです。
どちらも、別の宗教と一緒にされても怒らない、機嫌を悪くしないというのは、相当ふところが深い、ということです。
そしてお互いがよい関係を保ち、よい影響を与え合ったので、
日本の神様・仏様は、特別な穏やかさを持った、超寛大な存在となりました。
日本には神社がたくさんありますし、お寺も多くあります。
おかげさまで、自分の好みで神社でもお寺でも、好きなところに参拝ができます。
神社を参拝した直後に、お寺を訪れるのもオーケーですし、
空海さんゆかりの山で空海さんと一緒に登山をして、空海さんという仏様とともに、山の上にある神社の神様に参拝するのもアリです。
宗教的に恵まれているな~、としみじみ思います。
他の宗教に入っていても、神様も仏様も拒否することはありません。
ましてや怒ったりなんか、絶対にしないです。
日本の神様・仏様は度量が広いので、その人の信仰による差別などもしません。
ですから、ご加護もごりやくもちゃんといただけます。
そういうわけで、別の宗教を持っている方も不安に思わなくても大丈夫です。
安心して神社仏閣を参拝なさって下さい。
7月13日発売です。