※前回の続きです。
由緒書(前回の記事に由緒板の写真を載せています。神社の公式ホームページにも載っています)に書かれているように、この神社の神様はもとが人間です。
野崎隠岐守綱吉(のざきおきのかみつなよし)さん、というお名前です。
フッと現れた時の、そのお姿にビックリしました。
というのは、アニメ、イラスト、絵本などに描かれる、浦島太郎のような格好なのです。
見るからに、昔の人で、魚を釣って生活をする人、です。
漁師という、近代的な感じではありません。
もろ浦島太郎なのです、見た印象としては。
「あの~? 神様? 神様でいらっしゃるのに、その格好はどうしてなのでしょう?」
好奇心に勝てず、ここから質問をしました。
綱吉さんは、釣りが大好きだったそうです。
魚をよく食べていたと言っていました。
この島にいた時の仕事というか、やることは釣りがメインだったそうです。
「釣りがお好きなのですね」
そう聞くと、「釣りは楽しい!」と、ニッコニコの笑顔で言います。
魚釣りが楽しくて仕方なかったみたいです。
へー、釣りってそんなに楽しいんだ~、と私は魚釣りが苦手なので、「へぇ〜」と釣りの話を聞きました。
私がこの神社に来たのは、宝くじが当たるという噂を聞いたからであることを話し、
「ブログか本に書いてもいいですか?」と先に許可をいただこうとしたら……。
綱吉さんは、若干、困った顔ような顔になりました。
眉毛をハの字にしたような感じです。
理由を聞くと、参拝者が、またたくさん来るようになるではないか、と言うのです。
綱吉さんによると、テレビなどで紹介されると、参拝者がドドッと増えるそうです。
大勢の人に来られても、全員の願いは叶えられない、と言います。
ああ、なるほど、と思いました。
『ごほうび参拝』という本でご紹介した「小国両神社」も宝くじが当たる神社です。
でも、ご祭神は2柱とも、全員に当ててやることはできない、と、それはもうハッキリと言っていました。
「あそこのご祭神は天狗さんなんですけど、キッパリとそう言っておられましたよ」
それを聞いて、綱吉さんは、自分はもとが人間だから、天狗よりもさらに、はるかに、力が小さい、と言います。
来た全員に宝くじ当選のごりやくは与えられない、と。
なので、ブログか本に書かれても、当ててやれない人のほうが断然多いわけで、ガッカリさせてしまう……と言うのです。
「わかりました! 必ず当たるわけではないと、そこはちゃんと書きます」
綱吉さんはうなずき、詳しく教えてくれました。
宝くじの高額当選を誰かに与えると、もとが人間の神様ですから、だいぶパワーを消耗するらしいです。
なので、それからしばらくは、宝くじを当てられるほどのパワーがない、と言っていました。
で、また頑張って充電をし、充電がいっぱいになったら、高額を当てられるわけです。
ちょこちょこ小さいものを当てて、疲れたら休む、とかもあるし、
しばらく充電してパワーをガッツリ貯め、ドッカーンと大きな1等を当てることもあるそうです。
当て方はいろいろなのですね。
要は、綱吉さんのパワーがみなぎっている時に、たまたま行ったらラッキーというわけです。
その時は当たる確率がかなり高いです。
そういう意味では、いつ行くのか……ということが、当たるかどうかの鍵で、そこがすでに宝くじのような気がします。
ここで、話題を変えて、由緒に書かれていることを聞いてみました。
「この島で悪事を働いた人がいて、退治したというか、懲らしめたそうですね?」
すると、綱吉さんはちょっと照れたように笑い、島民のためを思って、ワシがなんとかしなければ! という立派な考えではなかった、と言います。
生前は血の気が多いタイプだった綱吉さんは、悪いことをしているやつがいる! と聞いた瞬間に、頭に血が昇ってカーッとなり、勢いでやっつけに行ったそうです。
島民を守ろう、助けようという正義感からやったのではない、血気盛んだったからムカッ腹が立って、それで行った、と苦笑していました。
美談ではない、とのことです。
悪事を働いているのはどこのどいつじゃー! おりゃー! ワシが相手だ! という感じだったのでしょう。
でも、そのおかげで島民に感謝をされたそうです。
死んだあとは、お墓も丁寧に作ってもらえました。
最初はただのお墓でした。
みんな、お墓にただ手をあわせていただけでした。
そのうち「こうしてもらえませんか?」「ああしてもらえませんか?」と願掛けをする人が出てきました。
「お? そうか。ちょっと叶えるように頑張ってみようか」と、綱吉さんは願掛けを叶えることにトライするようになりました。
すると、だんだんじょうずになり、
「綱吉さんにお願いしたら、意外と叶うんだけど」
「たしかに、叶うよな~」と、
島民も綱吉さんのパワーが強くなってきたことを感じ始めました。
そのうち、力もついてきて、「綱吉さんに願うと叶う!」と神様扱いとなり、綱吉さんのほうも期待に応えたいため、必死に頑張ったとのことです。
最終的に神社のご祭神として祀られたので、正式な修行をして神様になったそうです。
本人いわく、「ワシは乗せられやすい性格」だそうで、
この言葉には大笑いしました。
「お願いします」と頭を下げられれば、「よっしゃ! まかしとけ!」と頑張って願掛けを叶え、
「ありがとうございました。助かりました」とお礼を言われれば、「なんのなんの。またなんでも言ってこい!」と返答していたそうです。
明るい神様ですね~。
生前のお人柄がそのまま現れています。
というわけで、この神様にお願いをする時のコツです。
※次回に続きます。
もとが人間の神様は、独特の魅力があります。
聖徳太子さんも、役行者さんも、即身仏の真如海上人さんも、輝くような魅力をお持ちでした。
7月13日発売です。