花文字とは、中国の伝統芸術のひとつです。
漢字を、縁起がよいとされる絵(龍や竹など)で表現した、パッと見は絵のような、カラフルな文字のことです。
横浜中華街に、花文字を描く職人さんがいました。
展示されているものをいろいろと見ていると、「福」の文字がありました。
私はかなり昔に、万里の長城と紫禁城を見たくて、北京に行ったことがあります。
その時に、花文字の存在を知りました。
本場中国では、自分の名前を花文字で描いてもらいます。
掛け軸のようなものに描いてもらうので、縁起物ではありませんが、おぉ~、これは開運しそう! という雰囲気でした。
こちらがその花文字です。
軽くぼかしたくらいでは、名前がわかってしまうので、ガッツリぼかしています。
太陽が描かれていて、このような絵もあって、見た目は華やかです。
帰国して、張り切って飾りましたが……
正直言って、縁起がいいとは言えませんでした。
というか、ここから運勢が下がりまくりました。
しかし、横浜中華街で見た、この「福」という花文字 ↓ は縁起がいいです。
龍といい、色づかいといい、構図・形といい、縁起物なのです。
「開運招福」という落款の文字も、縁起のいい字体で、龍の頭にある「福」の落款もいいです。
そうか、自分の氏名を花文字で描いてもらうんじゃなく、「福」とか、いい意味の漢字を描いてもらえばいいんだ~、と気づきました。
おじさんに値段を聞くと、3千円だと言います。
小さな絵ですから、ちょっと高いような気がしましたが、でも、この「福」は欲しい、と思ったので、
「これをください」と言うと……。
おじさんはすぐに、描き始めました。
描きたてをくれるのだな、と嬉しく思いましたが、すでにここで、見本と違います。
あら?
龍を2体、描いてくれてる~。
いいかも~。
細かい部分はペンを入れていました。
龍の爪とかヒゲとかですね。
パンダもササッと入れてくれました。
最後に跳ねた魚を描いてくれて、
これが完成品です。↓
でも……
どうして下の龍が、「ゲー」をしているのか……。
それも黒っぽい「ゲー」で……。
龍は金運パワーを表現しているそうで、そのパワーを、同じく金運を表す魚に照射しているのだろうとは思うのですが……。
あ、でも、この花文字は、金の線がふんだんに入っていますし、にぎやかだし、悪くないです。
いい感じです。
いい感じなのですが、お店で見た縁起物の「福」の花文字とは違います。
縁起物棚には置けないなぁ……ということで、
廊下に飾っています。
我が家の廊下は蛍光灯ではないため、龍の顔が暗くなり、どう見ても、体調が悪くて「ゲー」をしているように見えます。あう~。
このように花文字は、職人さんにどう描いてもらうかで、縁起物となるかどうかに分かれます。
私の花文字には魚が5匹、描かれています。
おじさんが言うには、これを「魚」だと思えば、次々にお金が入ってくる、
「鯉」だと思えば出世する、と言っていました。
どうとらえて、どう思うかで、開運の方向が違う、というところが面白いです。
一緒に行った友人も、同じ金額の、同じ「福」の文字をお願いしましたが、こちらには龍が3体描かれており、「うわ、そっちのほうがだいぶ縁起度が上がるな~」と思いました。
縁起物となる花文字を手に入れるのは、もしかしたら、かなり難しいかもしれません。
でも、運がよければ、自分だけの縁起物となります。
縁起物ではなくても、華やかな雰囲気ですし、美しいので、興味がある方は見に行ってみるのも楽しいと思います。
横浜中華街には何軒か、花文字のお店がありましたし、他の地域の中華街にもあるのではないかと思います。