前回、キリストのお墓に行ったお話を書きました。
この時に、私はいつものことながら、深~い山の、奥のほ~~~うまでドライブをしました。
もちろん取材で、です。
そこで気づいたことですが、東北には、可愛くて明るい妖怪が多いです。
まったく悪気のない妖怪です。
妖怪、と表現していますが、悪者ではありません。
西日本の怪しげな山に行くと、悪いものがけっこういます。
お不動さんの守りがなければ、入るのが怖い、という山も少なくないのです。
けれど、東北はそこまで怖い魑魅魍魎に出合うことは、めったにありません。
悪気ない妖怪、つまり、見た目は妖怪ですが、ニュートラルな自然霊が多いのです。
東北の山奥は、冬季に雪で閉鎖されたような空間になるため、人間が足を踏み入れないし、そういう環境の影響かな? と思います。
車1台がやっと、なんとか通れる……という林道を慎重に走っていたら、その道に妖怪が並んで、私を見ていました。
「人間が来たぞ~」
「へぇ~、どんなやつ? どんなやつ?」
「おばちゃんや~」
「ふ~ん、ちょっと見てみよかな」
「俺も、俺も」
みたいな感じでしょうか。
並んでいる妖怪全員に、じぃぃぃーっと注目されました。(笑)
『神様が教えてくれた 金運のはなし』に書いた、「ツノが溶けるぅ~」と言った遠野の小鬼と、性質も姿も似ています。
なんだか可愛らしくて、ほっこりとした好感が持てるのです。
見ていると、自然と顔がニコニコとほころびました。
「おばちゃん、ひとりで笑ってる〜」
「大丈夫かな?」
という会話がされていたかもしれません。
ニコニコしていたら、ますます、じぃぃぃーっと見られましたから。
可愛い妖怪は、東北の山奥、独特の特徴です。
新装版になって読みやすくなりました。
こちらは11月8日発売です。