大変な世の中となっている今、私が介護職をしていた時の利用者さんは、元気にされているのかな……と心配になります。
介護の現場ではたくさんのことを学ばせてもらい、たくさん笑って、たくさんの良い思い出をいただきました。
これは90代の女性の利用者さん宅でのお話なのですが、ここのお宅のキッチンはIHクッキングヒーターでした。
それまでIHクッキングヒーター使ったことがなかった私は、特徴がわかりませんから、ガスコンロのような感覚でいました。
ある日、利用者さんが鍋で煮物を作っている時に、クッキングヒーターの上に手を置きました。
ガスコンロ感覚だった私は、「大やけどをしてしまう!」と、びっくり仰天です。
「キャー! ○○さん! 危ない!」と、あわてて利用者さんの手をクッキングヒーターから離したことがあります。
利用者さんは、私の顔をまじまじと見て、
「は? これな、鍋んとこ以外、あつないで?」
そう言って、ふたたび、クッキングヒーターの上に手を置きました。
安全だということを教えるために、です。
「キャー! ○○さん! 怖いからやめて~」
私がまたあわてて利用者さんの手をどけると、なんだかすごく嬉しそうに笑っています。
そして、次は「ほれ」と言って、またしても手を……今度は、わざとクッキングヒーターの上に置きました。
いやいやいや、さすがに私も3回目になると学習します。
「あー、はいはい、あつくないんですね~」
と、やっと放っておくことができて、2人で大笑いしたことがあります。
お元気にされているといいなぁ……と思います。
小さな出版社の社長をしていた男性の利用者さんもいました。
郷土史に興味があった方で、そっち方面の本を作りたい! と出版社を立ち上げたそうです。
名士と言われる人々とも交流があった方で、いろんな話をしてくれました。
「どのような本を作っていたのですか?」
「これは、思い入れがあるな」
と、見せてくれたのは川の本でした。
全国的に有名な川ではありませんが、その地域では重要な川らしいです。
この川を後世に伝えなければいけない、という思いで作った本だということでした。
めくってみると、川幅がいくら、水深がどれくらい、という記述から始まって、水質検査の結果とか、江戸時代はこの位置にあって、この川を利用して人々は物資を運んで……みたいな、本当に川のことだけが書かれた本でした。
「これ、売れたんですか?」
「さっぱりやったなぁ。あ、それ、持って帰ってええで」
「えーっと……すみません、いらないです」
「いらんか?」
「今、読んだところだけで、頭の中が川でいっぱいいっぱいになりました。専門性が高すぎて学術書みたいです~。1冊全部読めません~」
ここでも利用者さんと2人で大笑いしました。
この方は出版社をたたむ時に、妻子に迷惑はかけられない、ということで、離婚をしたそうです。
その後、息子さんが亡くなられたそうで、お部屋に飾っていた遺影をすごく大事にされていました。
今もお元気かな……お元気で過ごされているといいな、と思います。
『神仏に愛されるスピリチュアル作法』は、『幸せになるひっそりスピリチュアル作法』という単行本の文庫化ですから、第6章までは同じ内容です。
介護職時代のお話もけっこう入っています。
第7章は2回目の離婚に至った経緯や、元夫とのちょっとしたエピソードなどを書いています。
こちらは文庫化にあたっての加筆です。
何かをやってみたいけれど、それが何なのか見つからない、また、生まれる前に決めてきた自分の人生計画を思い出せない、という方へのアドバイスも最後に加筆しています。
明日、発売です。
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