亡くなった人への供養についてです。
親しい方が亡くなって、できるだけたくさんの供養をしてあげたい……と思っても、位牌もお墓もない、という方がおられると思います。
位牌やお墓があれば、位牌やお墓に向かって手を合わせたり、お経を唱えたり、お供え物をしてあげることができます。
しかし、故人が顔を出す位牌やお墓(『死んだらどうなるの?』という本に詳しく書いています)が、ない場合、どこでどのように供養をしたらいいのか……悩まれる方がいらっしゃると思います。
写経が故人をあたたかく癒やすお話は、今までたくさん書いてきたので、皆さんご存知だと思いますが、ちょっと説明をしますと……。
お寺へ行って写経をし、そのまま仏様に奉納して帰る、
もしくは、自宅などで写経をして、それを仏様に奉納しに行く、または郵送で受け付けてくれるお寺に送る、
これで心のこもったお経が故人に届きます。
仏様が故人に届けてくれるので、位牌がなくてもお墓がなくても、ちゃんと本人に届くのです。
けれど、般若心経が苦手で……とか、なにか別の理由で写経が難しいという方がいらっしゃるかもしれません。
このような場合、もうひとつ別の方法があります。
それは、〝気持ち〟〝愛〟を直接送る、という供養です。
この方法は、普通、位牌やお墓に向かって、故人との楽しかった思い出などを心に描きます。
たとえば、故人が父親だったとします。
子どもの頃にお父さんと遊園地に行って「楽しかった」
幼い頃にお手伝いを褒められて「嬉しかった」
亡くなってもお父さんのことが「大好き」……というように、ポジティブな感情をともなった思い出を心に思い浮かべると、それは故人への優しい供養のプレゼントになります。
このプレゼントを送ります。
位牌もお墓もないのにどうやって届けるのかと言いますと……ここでも仏様を頼ります。
お寺に行って、仏様に……さきほどのたとえで言えば、父親の位牌とお墓がないことをお話します。
それから、前述したように、思い出を心に描き……この思い、この気持ち、この愛情を、本人に届けて下さい、とお願いをすればいいのです。
願掛けは、普通、病気の平癒や商売繁盛、金運などをお願いします。
その願掛けが〝供養を届けて下さい〟ということになるのです。
形としては願掛けですが、このお願いは必ず聞いてもらえます。
というのは、見えない世界を管轄しているのは仏様だからです。
位牌もお墓もないので、供養は仏様に頼る以外に方法がないわけですから、聞いてもらえないということは絶対にありません。(写経も仏様に頼る供養です)
必ず、届けて下さいます。
〝故人を思う気持ち〟〝愛情〟は、ほんのりとした優しい供養で、亡くなった人の心にストレートに響きます。
どなたにも大変喜ばれますが、特に、位牌もお墓もないという方は、供養自体が少ないので、ものすごーーーく喜んで下さいます。