私が宿泊していたヒロの町から、車で1時間ちょっとの場所に「ワイピオ・バレー」という渓谷があります。
ここがものすごい聖地らしい、ということは行く前から知っていました。
ハワイ州観光局によると、
【聖地ワイピオ渓谷は、カメハメハ大王が幼少期を過ごした場所で、ハワイの政治宗教の重要な拠点でした。「王の谷」とも呼ばれ、ハワイの歴史文化の重要な場所であるだけでなく、ドラマティックな熱帯の美しさを称えています】
と紹介されています。
デジタル大辞泉によると、
【コハラ山地の北麓を流れるワイピオ川が刻んだ渓谷で、急峻な断崖と黒砂の海岸に囲まれる。古代の王都であり、神聖な場所として知られる】
と説明されています。
ここで聞いたお話は、この「王の谷」という聖地がどのようなところなのか、先に知っていたほうが、よりわかりやすいかもしれない……ということで、ワイピオ渓谷をご紹介します。
ワイピオ渓谷(ワイピオ・バレー)はハワイ島のこの部分にあります。
※グーグルマップから画像をお借りしています。
まず、ワイピオ渓谷を一望できる場所に行くために、乗馬ツアーに参加しました。
乗馬って難しいんですね~。
まっすぐ座っているつもりが、いつの間にか体が斜めになったりして、姿勢を保つのが大変でした。
雨上がりでぬかるんでいる、平坦ではないケモノ道を、崖の頂上を目指して進みます。
時折、馬が「ズリリッ!」と足を大きく滑らせたりするので、ビビります。
スリル満点です。
「馬に乗って崖を駆け下りた義経ってすごいなぁ」と、しみじみ思いました。
馬は時々、首をまわして自分の背中に乗っているのが、どんな人物なのかを確認します。
で、なめられてしまうと、勝手に止まって草を食べたりします。
手綱でコントロールをしても、半分くらい従ってくれません。
若いお姉ちゃんが乗っていた馬は、いきなりまったく違う方向に進みだして、ガイドの人(2人)が慌てて馬から飛び降りて追っかけていました。
馬に乗って、この場所まで登ってきます。
眼下に見えているのがワイピオ渓谷です。
左側を見ると、このような雄大な滝があります。
右側は海です。
以前は民家もホテルもあって、多くの人が住んでいたらしいのですが、すべて洪水で流されたそうです。
ワイピオ渓谷の向こう側にも同じような渓谷があるそうです。
しかし、道路がないので車では行けず、徒歩か、舟、ヘリコプターで行くしか方法がない、とガイドのおじさんが言っていました。
崖の真ん中に、細い道が見えます。
ここを通って向こう側へ行くそうです。
厩舎(きゅうしゃ)で馬から降りると、そこからガイドのおじさんが車に乗せて、お店に戻ります。
途中に野生のグアバがあり、おじさんが取って…
お客さんに切り分けてくれました。
私は運転席の真後ろだったせいで、切り分けるナイフがよく見えてしまい……。
それがまた、〝超〟汚れていて……。
「う~」 と、なりましたが、もちろん、笑顔でいただきました~。
乗馬を終え、レンタカーを運転してワイピオ渓谷展望台へと行きます。
奥のほうに、人がたくさん集まっているところが展望台です。
上から見ると、海岸線はこのようになっていて、
あ! 向こうに見える崖から滝が流れています。
聖域感、半端ないです。
かなり迷っていたのですが、あのビーチに立ちたい! と思ったので、下までおりることにしました。
なんだか傾斜がすごいな、という道です。
車は四駆しか通行が許可されていません。
監視員さんが左側にいて、チェックをしていました。
このあたりはまだ、余裕余裕の坂道です。
だんだん、傾斜がきつくなっていきます。
半分までおりたところでパチリ。
なんだか理想郷のような雰囲気です。
写真では伝わらないかもしれませんが、すべり台くらいの傾斜があります。
大げさではなく、本当にすごい角度なのです。
四駆でなければ登れないわけで、それで普通車禁止、なのですね。
てくてくと下りていると、ものすごーく膝に負担がかかります。
帰りにこのすべり台坂道を登ることを考えると……ここらで引き返す? やめといたほうがよくない? と何回も思いました。
途中で2回ほど、帰る時に登れないかもしれない、やっぱりやめよう! と本気で思いました。
しかし、「こうなったら、モー、2時間でも3時間でも、思いっきり時間をかけてゆっくり登ればいいから」と、自分に言い聞かせて頑張りました。
下りるのは45分くらいだったように思います。
野生の果物だけで生きていけそうなところです。
土地のパワーが、それはもう本当にすごかったです。
地面から強烈なエネルギーが放射されています。
あ!
さっき見た滝だ!
と、そちらに向かって歩いてみましたが……
遠いのなんのって、30分くらい歩いても全然近づけませんでした。
滝のあたりは神気あふれるパワースポットで、もしかしたら私の人生で一番のパワスポかも? と思ったのですが、帰りの坂道を考えると無理ができず……ここで、これ以上近づくのを断念しました。
こんなところで修行をしたら仙人になれそうだなぁと思いました。
方向を180度変えて、今度は海岸のほうへ行きます。
なにやら宗教的なものがありました。
現地のこのようなものは、絶対にスルーしたほうがいいです。
てくてくと歩いていたら……
野生? 放し飼い? の馬がいました。
刺激しないように、そ~っと道の端を目立たないように歩いていたら、後ろから来たアメリカ人のお姉ちゃん2人は、普通に馬を触っていました。
見たことがない植物も生えています。
連獅子がたくさんこちらを見ているような……。
ひ~ 歩きに歩いてやっと到着です。
濃厚で強い、地球を感じられるパワースポットです。
おぉ~!
崖からの滝も迫力あります。
もちろん、ここで海の神様ともしっかり繋がることができます。
同じ海でもその海域を守る神様によって、癒やされ度が微妙に違います。
ハワイは感激するくらい、ストレスや疲れなど、負のものを癒やして取り除いてくれます。
自然のままですから、キレイに整備されているわけではありませんが、心地よいビーチでした。
ず~っとここにいたい、という気持ちになります。
写真を見ていたら、「また行きたいっ!」と強く思いました。
こちらは、ですね。
渓谷から上に登る車が立ち往生しているところです。
傾斜が急なので、うまく登らないと、タイヤがキュルキュルキュルキュル! と派手な音を立てて空回りしてしまうのです。(地面の状態も悪いため)
空回りしている間はいいのですがブレーキを踏むと、アクセルから足をはずしてブレーキの上に置く、そのわずかな時間で、ズズーッと車が思いっきりバックします。
空回りさせてしまって、慌ててブレーキを踏み、下がる。
また進もうとして、キュルキュルキュルキュル! と空回りさせ、慌ててブレーキを踏む、下がる。
を3~4回繰り返していました。
ブレーキを踏むたびにズズッと下がってきて危険なので、歩行者は皆さん車から距離を取っていました。
向こうに見える白い車は上からおりて来た車です。
中に乗っていたおじさんが出て来て、キュルキュルしている運転手に「助けてあげられると思うよ」と言うと、中から中国人のお兄ちゃんが勢いよく飛び出してきました。
「サンキュー! サンキュー!」と連呼します。
おじさんが黒い車に乗り込むと、お兄ちゃんは何を考えているのか、車の真後ろに立っています。
そのため、おじさんは操作ができません。
すると私の後方から、「真後ろにいたら危ないで! 横によけて! 念のためや!」と、アメリカ人のオッちゃんからアドバイスが飛び、お兄ちゃんは道の端によけました。
おじさんはうまく車を発進させて、白い車の向こうまで上手に移動させていました。
お兄ちゃんは「サンキュー、サンキュー」とおじさんと握手をして、去って行きました。
私たち歩行者が全員通り過ぎるのを、白い車に乗ったおじさんはじっと待っていました。
横を通る時に、歩行者はみんな口々にお礼を言って、中には「ヒーローだね」と褒めていた人もいました。
貴重な体験をさせてもらって面白かったです。
このあとが登り地獄でしたけど……。
こんな感じで、ワイピオ渓谷はアクセスが非常に困難な場所です。
崖の上からおりていかなければいけない場所ですから、気軽に訪れるようなところではありません。
観光客も少なかったです。
たくさんある滝の聖水が川となって大地を伝い、海へと流れているため、大地は浄化されています。
聖域というのは本当です。
緑豊かなこの土地ではゆったりした時間が流れていて、現在と過去が混在している、そんな素晴らしい場所となっていました。
そこでのお話を「南の島シリーズハワイ島8」で書きます。
※続きます。
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