よくいただく質問に「ご先祖様」に関するものがあります。
一番多いのは、写経をする時に、「為」のところにどう書けばいいのか迷う……というご相談です。
「父方のご先祖様」「母方のご先祖様」というふうに書けばいいのか、それとも、どちらか一方しか書いてはいけないのか、だったら父方と母方、それぞれに1枚ずつ写経をしなければいけないのか……と悩まれるみたいです。
結論から言うと、「ご先祖様」と、全部ひとくくりにして大丈夫です。
「え? でも家が違いますよね?」と思われた方がほとんどだと思いますが、写経などでご先祖様の供養をする時は、「家」「家系」は関係ありません。
同じく「お墓」が別々だとか、「仏壇」も別だから、というのも関係ないです。
それらを念頭に置いていると、「父方のご先祖様」「母方のご先祖様」という考えになってしまうと思います。
本人が、仏様に直接、供養をお願いする場合、または写経をする時は、ご先祖様と言えばその人の〝ご先祖様全部〟が対象となります。
仏様から見ると、まず本人がいて、その人につながっているご先祖様は、父方も母方も区別はないのですね。
ですから、人間側もわざわざ分ける必要はないというわけです。
ちょっと視線をずらして考えてみるとわかりやすいかもしれません。
まず、本人がいます。
本人という言い方ではわかりづらいので太郎さんとします。
太郎さんは、自分のご先祖様は「父方のご先祖様」と「母方のご先祖様」に分かれている、と考えています。
「父方のご先祖様」も「母方のご先祖様」も大きなひとつのかたまりだと思っています。
しかし……太郎さんのおとうさんにも「父方のご先祖様」と「母方のご先祖様」がいます。
〝太郎さんから見た呼び方〟で言うと、おとうさんには、「祖父方のご先祖様」と「祖母方のご先祖様」がいる、というわけです。
祖父と祖母の「家」は当然違いますし、お墓も仏壇も違います。
つまり……おとうさんからすれば、「祖父方のご先祖様」と「祖母方のご先祖様」という2つのご先祖様のかたまりがあるのに、おとうさんの息子である太郎さんはその2つを一緒にして「父方のご先祖様」と言っているわけです。
子どもの世代で一緒くたになるのです。
同じように、太郎さんは今、「父方のご先祖様」と「母方のご先祖様」というふうに2つを別にして考えていますが、太郎さんの子どもは、「太郎さん(父)方のご先祖様」と「太郎さんの妻(母)方のご先祖様」に分けるわけです。
太郎さんの子どもの世代になると、太郎さんが今、「父方」「母方」と分けて考えているご先祖様は一緒くたになってしまうのです。
……という私のこの説明でおわかりいただけましたでしょうか?
お寺でする法要は宗派の考えなどもあるでしょうから、そちらは別として、自分で仏様に直接、供養をお願いする場合は分けて考えなくていいのですね。
仏様はあちらの世界を管理していますから、そこにいる人のことは全員知っておられます。
「ご先祖様」と言えば、または書けば、それがどの人を指しているのかちゃんとおわかりになります。
供養を漏らさずに届けて下さいますので、心配はいらないですよ、というのが私の答えです。
※前回の「サモトラケのニケ」ですが、ナイキの社名の由来だったんですね~。
まだナイキになる前に、社員のジェフ・ジョンソンさんが夢でニケ(Nike)を見たそうです。
それで社名にしたらしいです。
彫像ですら、飛翔するパワー、大空に羽ばたく力を持っていましたから、ナイキが世界的な大企業になったのもわかる~、と思いました。
ニケさん、何気にすごい女神さまだったんですね。
教えて下さった方、ありがとうございます。
早口言葉かと思いました! と楽しい感想を送って下さった方もいました。
言えてる〜、と思いました。
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