おとといの空港でのお話です。

 

私が利用した航空会社のカウンターと自動チェックイン機は、ものすごーーーく混んでいました。

 

チェックインをする人が……これは大げさに言っているのではなく、本当に100人近くいて長蛇の列だったのです。

 

列はくねくねと折り返して歩くように作られていて、その長さから、確実に30分~40分はかかりそうだと思いました。

 

「よかった~、早めに来て」と、3時間早く来た自分を褒め、列に並びました。

 

私の前には若い父親と母親、6歳くらいの男の子、4歳くらいの女の子の4人家族が並んでいます。(アメリカ人家族です)

 

男の子も女の子も、小さいながらも、自分のキャリーバッグを引いて歩いています。

 

父親はスマホを操作しながら、また、母親は携帯で電話をしながら進んでいましたが、子どもたち2人は、騒いだりふざけたりせず、静かに両親の後ろをついていきます。

 

とても上品で、おとなしい子どもたちなのでした。

 

列が進むと、当然、私の後ろにもどんどん人が並びます。

 

列はくねくねと折り返しているので、新たに人がやってくるところもよく見えます。

 

大抵の人は、列のそばに立っている案内係に「ここに並ぶの?」と聞いて、「そう」と言われ、頭を抱えています。

 

列の後ろのほうは、ターミナルビルから出ていて、今なら確実に1時間待ち、という長さなのです。

 

そこへ60歳くらいの落ち着いた年齢で、恰幅のいい、見るからに紳士のおじさんが来ました。

 

そして、長い列を見るなり、いきなり周囲に響き渡る大声で、

 

「Oh Shit !!!」と、叫びました。

 

ご存知の方が多いと思いますが、「Shit」は、ウンチという意味で、「オー シット!」と言うと、「クッソー!」とか「チクショウー!」という意味になるのですが……。

 

とても汚い言葉なので、使ってはいけません、と日本の英会話学校でも、アメリカの幼稚園でも教えられます。

(私が昔、通っていた英会話学校では、常識のある大人は使わない、とどの先生も言っていましたし、アメリカの幼稚園では実際に子どもが使うと、先生が本気でものすごーーーく叱ります)

 

おじさんは時間ギリギリで空港に来たのかな、と思いました。

 

もしかしたら、「美味しいものでも食べよーっとドキドキ」と、少し余裕を持って来たのかもしれません。

 

それが来てみたら、この長蛇の列なのです。

 

驚くと同時に、よほど腹が立ったのだと思われます。

 

その言葉は、意図せずに〝つい〟口から出てしまった、という感じでした。

 

わかるわぁ、おじさん、そう叫びたくなるよね、と思いましたが、よろしくない言葉なので、周囲の人が一斉におじさんを見ます。

 

うわ~、おじさん、お気の毒……と、ふと前を見たら、男の子と女の子が石のように固まっていました。

 

2人とも目を真ん丸に見開いて、口もあんぐり開けて、固まったまま呆然とおじさんを見ているのです。

 

たぶん、日頃から、「汚い言葉は使ってはいけません!」と、先生や両親にしつけられているのだろうと思います。

 

「そんな悪い言葉は使っちゃダメなのに……」

 

「おじさん、大人なのに、ド派手に叫んじゃって……」

 

「しかも、こんなに大勢の人がいるところで……」

 

と、男の子も女の子も、「信じられない……」という顔で、しばらくおじさんを、呆気にとられて見ていました。

 

アメリカ人の子どもって、驚いた時の顔が「本当に驚いています!」と、誰が見てもわかるので可愛いです。

 

固まってしばらく動かないところも(両親は少し先に進んでいました)、私的には可愛いツボで、でもその状況が面白くて、ちょっぴり「ウププ」と笑わせてもらいました。

 

ところどころに配置された係員の中には非常にイライラした人もいて、お客さんに当たり散らしていましたし、そんな殺伐とした空気でしたが、2人の子どものおかげで、私はちょっぴりほんわかさせてもらったのでした。

 照れ

 

 

 

 

 

 




 

 

 

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