※このシリーズ、21回くらいで終わる予定でしたが、すみません、あと4〜5回続きます。
違うお話を読みたいと思われている方はもう少しだけお待ち下さい〜。
ノロの代表の女性に、「お前をノロと認めよう」と、認定してもらったところまでを書きました。
そのおかげで、三離御嶽で会った守り人には「御嶽に入ってもよい」と特別扱いをしてもらえ、お話を聞くことができました。
詳細は省きますが、車のタイヤが側溝に落ちる寸前で助けてもらったりもしました。
その日の夜のことです。
思いっきり熟睡していた私は、誰かがくすくすと笑う声でぼんやりと目が覚めました。
ふと気づくと、私の顔を笑いながらのぞきこんでいる人がいます。
誰だろう? と思っていると、「寝てる?」と、その人が声をかけてきました。
そこでぱっちり目を開けてみると……。
私の周りには、女性が20人ほどいます。
「え? な、なにごと !? 」とびっくり仰天です。
20人の女性はノロ? のようで、たき火を囲んでいます。
3次元で見える世界はホテルの一室ですが、空間が重なっていて、ノロの女性たちがいるのはどこかの御嶽です。
イビの前でたき火をしているのです。
たき火を囲んで全員が輪になっており、私にも入るようにと勧めてきます。
輪に加わると、1人1人が順番に余興をしているところでした。
歌ったり、踊ったり、出し物はいろいろです。
全員がとっても楽しんでいて、余興の自分の順番が早く来ないかな、とみんなワクワクしています。
私の隣の人の番になり、その人はいきなり「じゃんけんぽーん!」と私に向かって言います。
とっさのことで私が天に向かってグーを突き出すと、その人もグーを出し「おあいこだね〜、おあいこだから、次の出し物は識子さんだよ」と言うのです。
「は? せっかく自分の番だったのに? しかも次は私の番って決まってるのに、なんでじゃんけんしたん? もったいなくない?」と、私が目を真ん丸にして聞くと、なぜかみんな、大爆笑をします。
そこにいる全員が友好的で、すべてのことが楽しくて仕方ないといった雰囲気なのです。
どうやら私を歓迎する宴のようでした。
その後、トークタイムとなり、いろいろな話をしていると、誰かが「離婚して、1人になって寂しくない?」と私に聞きました。
「寂しい? いやいや、全然! 1人は気楽だし、自由だし」と答え、「あ、でも、力仕事とか、パソコンでトラブルがあった時は元夫がすぐに来れないから、そこが不便かな〜」と言うと、
「これからは時代がどんどん進むから、大丈夫になるよ」と言われました。
そうか、AIとかロボットとか、いろいろと進化していくんだろうなぁ〜、と思ったところで、ハッキリくっきりと覚醒した私は現実界に引き戻されました。
その理由は……ラップ音です。
部屋中に鳴り響いていたからです。
威嚇するような、ビシ! バシ! という音ではなく、柔らかい、パタ! パタ! という音で、音量もそんなに大きくありませんでしたが、〝ラップ音〟です。
時計を見ると、夜中の2時半をまわったところでした。
ノロの仲間にしてもらったので、歓迎をされていることはわかります。
しかし……歓迎の宴をしているその時間が問題です。
丑三つ時なのです。
そして、部屋に響くラップ音……。
成仏していない幽霊の証拠です。
歓迎をしてくれているのは、どうやら幽霊のまま、御嶽を守っている人たちのようでした。
「あれ? これってやばいんじゃ……」と思いましたが、眠気に勝てなくてそのまま寝てしまいました。
すると、また夢の中で歓迎をされます。
今度は、ものすごーく日焼けをした60歳くらいの男性が(漁師のようでした)、御嶽を守る男性のリーダーとして私に挨拶をするのです。
「それは、わざわざどうも……」と思っていると場面が変わり、私は御嶽の、神聖なイビの香炉の前に座らされました。
香炉は丸いタイプで、その香炉をじっと見ていたら、またしても鳴り響くラップ音で目が覚めました。
さきほどよりも、音は大きく、激しくなっています。
「本格的にやばいかも」と思った私は、仕方がないので、お不動さんの真言を唱えました。
真言の力でラップ音は一瞬で消えましたが、「どうして?」「仲間なのに」みたいな念がうわーっと襲ってきます。
他にもいろいろな念が飛んできます。
「ごめんなさい、でも幽霊の仲間入りをするのはちょっと……」と思いつつ、ウトウトと寝入ったのですが、またしても激しいラップ音に起こされました。
だんだん音が激しく、大きくなっていくのです。
「ああ、これは完全にダメだ」と思った私は、お不動さんにお願いをして、お不動さんの火で私のまわりを囲ってもらいました。
そのおかげでラップ音は完全に収まり、それっきり鳴りませんでした。
ここでハッキリとわかったことは、「ノロとして認められた」ということは「ノロの仲間入りをした」ということでした。
私の感覚では「同じような能力を持った人の知り合いになれた」程度でしたが、実際はそうではなく、ノロ同士の結びつきは非常〜〜〜に強かったのです。
親兄弟をはるかに超えた固い絆であり、それは現実界で思うものよりも、何倍も何十倍も、何百倍も強力です。
ここで問題なのは、御嶽には成仏していないノロや守り人もいる、ということです。
つまり、仲間入りは二重になるのですね。
成仏したノロの人の仲間入りと、幽霊状態でいるノロや守り人の仲間入り……この2つです。
幽霊状態の人々に大歓迎されて、つかれてしまうと、南の島出身の人だったら問題ないと思いますが、私のような外部の人間は南の島を出ると、ものすごい怒りを買うと思われます。
島にいれば、よくしてもらえますが、島を去ると裏切り者に近い感覚を持たれるみたいなのです。
つまり……移住しなければいけなくなる、というわけです。
さらに、なぜかものすごい大歓迎をされていて(南の島出身ではないから? と思いました)、私に好意を持ってくれている人ばかりなので、長く大勢につかれる可能性があります。
向こうに悪気は一切なくても、幽霊は物理的に波動が低いので、長くつかれていればこちらの体調が悪くなります。
「困ったな」と頭を抱えました。
これは……深く謝罪をして、ノロ認定を解いてもらわなければ、このまま東京に戻ったらえらいことになりそうです。
この日は違う島に行く予定にしていましたが、そんなことは二の次三の次です。
スケジュールを白紙にし、片道1時間かけて、ふたたびノロの認定を受けた聖域の浜へと急ぎました。
※続きます。
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天から聞こえるメロディを曲にしています。