新刊の取材で、大雪山に登ろうと思っていた私は旭川まで行ったのですが……旭川の繁華街ですら、まだ積雪していた状態を見て、これは無理だ、と登山はすっぱりあきらめました。
札幌より、もっと寒いのですね、旭川は。(旭川の冬は鼻毛が凍ることもあるそうです。読者の方が教えてくれました)
で、せっかく旭川まで行ったので、市内の神社を参拝したいと思い、上川神社を訪れました。
早朝でしたが、ちらほらと参拝客がいて、かなり高齢の女性(90歳前後だと思われます)が私の前にいました。
腰か足を悪くされてるのか、少しずつ少しずつ、ゆっくりと歩いていました。
それでも1人で参拝できるのは、元気な証拠であり、神様の恩恵をいただいているということです。
大正時代に建てられたという社殿は新しくて立派です。
ここにおられる神様は、このあたり一帯を広く守っている土地の神様でした。
氏神様というと狭い範囲になってしまうので、氏神様ではありません。
でも、大地の神様ほど大きくはなく、やはり土地の神様という言葉が一番しっくりきます。
正確に言うと、広大な範囲の土地の神様、でしょうか。
もともとこの地を守っていた、と言っておられました。
祝詞を唱えた時に見えたのは、烏帽子をかぶって直衣を着ている男性のお姿だったので、最初はこちらがご祭神かと思いました。
そうではなく、直衣を着ている神様は、境内社である旭川天満宮の神様でした。
ちょうどその時に、幼い子どもを2人連れた若いお母さんが参拝に来ました。
3歳と5歳くらいの2人の子どもが、お母さんにそれぞれ10円をもらって、小さな手でお賽銭箱に入れていました。
それからペチペチと柏手を打って手を合わせていました。
「可愛くていいですね〜」と神様に言うと、神様は、
「ここに参拝に来る者はみな、この子どもたちのように可愛い」と言います。
それはさきほど会った高齢の女性のことであり、1人で参拝していたおじさんも、私のように遠くから突然来た人でも、自分を慕うすべての参拝者が可愛いそうです。
神社に来て、神様を信じて一心に手を合わせる人、その人たちがみな可愛くて仕方がない、願いを叶えてやりたい、しっかり守ってやりたい……そんな気持ちと愛情を持った神様です。
神社が境内社を建て、そこに神様を勧請する時に、天満宮から来てもらえるよう、ご祭神みずからが太宰府までお願いに行っています。
それはなぜかと言うと、可愛い旭川の人々のため、だそうです。
この神様は学業方面がちょっぴり苦手だそうで(願いを叶えることです)、天満宮の神様には何としてでも来てもらいたい、と思ったと言います。
学業方面の願掛けを手伝ってもらうためです。
神様がじきじきに頭を下げに行っていますから、天満宮からはそこそこ位の高い神様が来ていました。
天満宮の神様は大変おっとりとした良い性格の神様です。
本殿で見えたのはどうしてかと言うと、この天満宮の神様もご祭神と一緒に本殿にいるからです。
ご祭神の神様が、天満宮の神様を本殿に招いているのです。
小さなお社ではなく、この本殿で一緒に仕事をしましょう、ということらしいです。
太宰府からはるばる旭川まで来てもらってかたじけない、といったところでしょうか。
本当に優しい神様です。
そして2柱の神様はとっても仲良しです。
ですから、天満宮の神様にお願いをするのは本殿でもオーケーです。
本殿内でしっかり聞いておられます。
神様のほうは「ワッハッハ!」と豪快に笑い、ちょこちょこ冗談も言います。
そんな感じでお話をしていると、「こっちだ、ここ、ここ」と神様が示すので、その方向を見ると!
なんとっ!
キタキツネがーーーーーーーー!
キタキツネは私のほうに歩いてきて、それから目の前を走り抜けて行きました。
きゃーっ! 野生のキタキツネを見せてもらえた〜、やったぁ! と大興奮していたら、
「どうだ? 嬉しいか?」と神様はニコニコして聞いてきました。
「めっちゃ嬉しいですっ!」
そう答えると、神様は良かった良かったと、満足そうに微笑んでおられました。
自分を信仰する人はみな、可愛くて仕方ないという、愛情がとても強い神様です。
表参道を歩いている時に、エゾリスも見せてもらえたのですが、エゾリスってすばしっこいんですね〜。
あまりの速さに写真が撮れませんでした。
しかも、木を「縦に」チョロチョロ〜ッと伝って、垂直に降りるんですね、それもすごいスピードで。
なぜ落下しないのだろう……? と不思議でした。
上川神社は神様が、よしよし、可愛い可愛い、と頭を撫でてくれるような神社です。
せっせと通って愛情をたくさんいただき、癒してもらうといいです。
恩恵をたくさんもらえる神社です。
手水舎です。
雪がすごいですね~。
関西でこれだけ積もったら、大雪と言われるのでは……と思いながら歩きました。
これって、3月の最終週なんですよ~。
関西では……さ、桜が……。
本殿です。
包み込むような愛情を持った神様の「気」が伝わっていますでしょうか。
桜が神社の社紋なのですね。
なんだかカッコいいです。
神様に「こっちだ、ここ、ここ」と言われてそちらを見たら……。
あーっ! あれは!
キタキツネなのではっ!
と、ここからすでに大興奮してました。
うわ~、こっち見てる~。
こっちに歩いて来るぅ~。
(拡大して見るとわかりますが、本当に私を見ています~)
そして私の目の前を走り抜けて行きます。
北海道の方はもしかしたらキタキツネを見慣れているのかもしれませんが、こんなにすごい歓迎の印をもらってもいいの? と恐縮しました。
石段を上がろうとしている人と、私の間を走り抜けて行きましたが、あれ? 野生なのに? 距離感間違えてない? とこれも驚きです。
心の中でぎゃーぎゃーと大騒ぎしている間にキタキツネは向こうへ行ってしまい……
ブレててすみません。
顔を向けているほうへと去って行きました。
境内社の旭川天満宮です。
ガラスのケースに入っているので反射がすごいです。
こちら側からも撮ってみました。
神社を出て散策したあとで、戻ってみたら、この牛の前に高齢のご夫婦がいました。
「牛さん、雪がなくなったねぇ、見えるようになったね」と旦那さんのほうが言っていました。
75歳くらいの方でしたが、「牛さん」という呼び方がいいな~と思いました。
ただの像、という意識だったら「牛」と呼びそうなので、信仰心の厚い方だと思います。
そして、それを聞いた私は、「牛さんは見えないくらい雪に埋もれていたのね~」とそちらのほうに驚きました。
境内の外は神楽岡公園になっていて、社殿のすぐ横は良い「波動」を浴びられる場所になっていました。
こういう感じで社殿が見えます。
キレイな羽根のカラス君がずっとそばにいました。
とても気持ちの良い場所だったので、ゆっくり散策していると……
カラス君がわざわざ目の前にやってきます。
このカラス君、飛ばずにてくてく歩くのです。
私のまわりをウロウロと歩きまわっていました。
ひとごとながら「足、冷たくない?」と思ってしまいました。
飛んだほうが早いよ~、とおせっかいも言っておきました。
表参道を神社側から見たところです。
下っていく時にエゾリスを見せてもらえました。
いい参拝をさせてもらったなぁ、としみじみ思った上川神社でした。