浄瑠璃寺を出て、てくてく歩いて岩船寺へ行きました。

所要時間は30分程度ですが、歩くのが難しい人には、コミュニティバスが出ています。

この時期、山ではウグイスが鳴く練習をしています。

まだ上手に鳴けないので、聞いていると面白いです。

「ホーーーケキョ」 と何回も鳴いているのを聞いて 「ケの前に、ホが入ってませんけど~」 と一人でツッコミを入れたりしてました。

今回は 「ホーぴぇケキョ」 と鳴くのがいて、すごいのがいるなー、と思いました。

普通、 「ホーホぴキョ」 と ”ケ” の部分がうまく言えないのですが、このウグイスはその難しい部分をクリアしていながら、簡単な ”ホ” をわざわざ複雑に鳴いているのです。

最初の ”ホ” と同じ発音でいいのよ、あ、また間違えた、もしかして音痴なん? ちょっと他の子の鳴き声をよく聞いてみなさい、とツッコミまくっていましたが、うまく鳴けない声ばかりを聞いていると、むずむずしてきます。

そんな時に、うまい子が 「ホーホケキョ!」 と完璧に鳴いてくれると、うわぁー、スッキリしたー、ありがとー、となります。

そんな感じで、この時期の山道は楽しいです。

岩船寺に着いて、お堂に入ると、年配の住職の方がいらっしゃいました。

ここもご本尊は阿弥陀如来なので、ボーっと見ていたら、ご住職が説明をしてくれました。

岩船寺の阿弥陀仏は、平安時代・藤原初期のもので、宇治平等院より107年古く、浄瑠璃寺よりも160年古いのだそうです。

四天王像は720年前の鎌倉時代の作だそうです。

仏像の説明を終えると、 「ゆっくりしていって下さいね、何か質問があれば何でも聞いて下さい」 と言ってくれたので、ありがたいチャンスだと思い、信仰についていろいろと聞かせてもらいました。

ご住職が言うには、昔の人は字が読めない人も多かったそうで、そういう人は仏像で、教えを理解していたそうです。

仏様のお顔を見て、仏様の包容力や慈悲深さを悟り、このように生きなければ、と気づく・・・。

良くない行いをしていた人は、お不動さんのような怖い顔に戒められ、恐ろしさを知って、行動を正す・・・。

仏像を見ることにより、 ”人間としての生き方を考える” ことが出来て、お寺とは、そのような場所である、とのことでした。

なるほど~、と思いました。

素敵な教えだと思ったのは、次の言葉です。

「仏様だけでなく、ロウソクを見てもそうです。ロウソクは自分の身を削って、周りを照らし、明るくします。果たして自分にはそれが出来ているのか? ロウソクを見ても生き方を考えることが出来ます」

いい話だなー、と思いました。

人間のこの体は仏様からの授かりもので、死ぬ時には返す、お金やその他のものもそうで、死ぬ時に持って行けないものはすべて仏様からの授かりものだということでした。

「子供もね、昔はみんなちゃんと、授かりものと言っていたんですよ、最近は ”出来た” とか言ってますけどね・・・」 とおっしゃっていました。

なるほどなぁ、授かりもので死ぬ時には返すものを、勘違いして ”自分のものだ!” と思うから執着がうまれるのだろう、と思いました。

執着すると当然、失いたくない、取られたくない、と苦しみが増えるわけで・・・借り物であるということを自覚する必要があるのだな、と深く納得しました。

そこで高齢のご夫婦が入ってきたので、私は阿弥陀仏の正面の席を譲って、お堂の中を見学することにしました。

ここのお堂はど真ん中に阿弥陀仏と四天王像があり、その周りをぐるっと一周するように出来ています。

阿弥陀仏の真後ろに、 (阿弥陀仏は壁を背にしているので、裏側は細長い廊下みたいな感じです) 十二神将像がありました。

その前に、ロウソクが立ててあったのですが、このロウソクがすごいのです。

最初に見た時は普通の燃え方だったのですが、十二神将像のそばに寄って、一つ一つをまじまじと見ていたら、炎が30センチ以上、いや、もしかしたらもうちょっとあったかも・・・天に向かってすうぅーっと伸びたのです。

先っぽなんか針のように細くなっていました。

たまにこういう現象に遭遇しますが、すうーっと伸びた炎は、しばらくするとストンと元に戻るのが普通です。

それが、伸びたまんま、なのです。

うわぁ! すごいー! 写真に撮りたいっ! と思いましたが、本堂内の撮影は禁止です。

仏像の写真を撮るわけじゃなく、このロウソクだけ撮りたいんだけど~・・・ダメだろうな、と心の中で考えていたら 「写真はいかんだろ」 と十二神将像のどれかに言われました。

「わかってます」 と答えると、また別のどれかが 「よいよい、撮ってもよい」 と言いました。

十二神将は、勉強不足のせいで、どれが何の仏様なのかさっぱりわかりませんが、十二人もいると微妙に性格が違うのね、と思いました。

もちろん写真は撮っていませんが、この十二神将はかなり強い力を持っているみたいです。

本堂を出て、境内を一周してから、岩船寺を後にしました。

 

 

 

浄瑠璃寺から岩船寺への道です。
岩船寺01

 

 

 

 

ウグイスの声がよく聞こえます。
岩船寺02

 

 

 

 

距離的にはそう遠くないのですが・・・
岩船寺03

 

 

 

 

このような登りもあります。
岩船寺04

 

 

 

 

岩船寺の本堂です。
岩船寺05

 

 

 

 

三重塔も美しかったです。
岩船寺06

 

 

 

 

これは浄瑠璃寺と岩船寺の間にある一願不動です。

岩にお不動さんの姿が掘ってあります。

岩の半分から下、やや左側で、剣を立てて持っています。

このような石仏が、この地域には多くありました。
岩船寺07