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Pさんは80代の女性です。

認知症がありますが、それほど重度ではありません。

この方はいつも不機嫌です。

例えば 「Pさん、ハミガキして下さいね」 と言うと 「ハミガキくらい自分でするわよー! なんでいちいち言うのよ! ほっといてよー!」 と怒ります。

着替えをタンスから出していると 「勝手に触らないでよ!」 と枕を投げつけてきたり、脱いだ靴下を洗濯カゴに入れると 「ちょっと! それは明日もはくのよ! ここに置いといてー!」 と怒ります。

リハパンを利用しているのですが、たまに失禁していることがあって、それを交換して着替えてもらうのは、スタッフの誰がやっても大変です。

怒りまくりの怒鳴りまくりなのです。

食事中も、味付けが薄いとか、こんなものまずくて食べられないとか、常に大声で文句を言っています。

時々、口に入れた食べ物をゴミ入れに向かってペッと吐き出したりもして、Pさんという人はいつも不機嫌である、というのが共通したみんなの認識です。

そんなPさんと他の何人かの入居者さんとで世間話をしていた時です。

何かの話から、魚料理に関する話になりました。

するとPさんが 「私は毎日、朝から魚屋さんを3軒ハシゴしていたわよ」 と言うのです。

「へぇ~、それはどうしてですか?」 と聞くと、 「うちの主人は、お魚が好きなのよ」 と言います。

ふーん、と思いましたが、その言い方が ”もっと聞いてほしい” みたいなニュアンスを濃厚に出していたので 「毎日3軒行って活きのいいお魚を探してたんですか?」 と聞いてみました。

Pさんは、夫が魚好きだから夫に新鮮な魚を食べさせてあげたくて、毎日3軒の魚屋を回っていた、朝早く行かないといいのがないから、朝から出かけていた、毎日魚だから飽きないように工夫して違う料理にしていた、夫は私の料理をいつも褒めてくれていた、と話しました。

「Pさんって妻の鑑ですね~。私、夫のためだけに3軒も魚屋に行きませんもん。それも毎日でしょ? うわぁ、絶対ムリ~」 

そう言うと、いつも不機嫌な顔のPさんの表情がパーッと明るくなりました。

え? とビックリするほどの変化です。

すると、そばにいた別の入居者さんが 「それはなかなか出来ないことね~。あなた、素晴らしいわ」 と言いました。

「ご主人は幸せね~」 とつけ加えた人もいて、Pさんはとても嬉しそうな顔になりました。

”ああ、これってPさんが知ってもらいたかった、人にわかってもらいたかったポイントなんだ” と思いました。

せっかくだったので、3軒の魚屋は遠かったのかとか、どんな魚があったのかとか、どう料理にするのかとか、Pさんがもっとその話を出来るように質問をしました。

そして最後は、お世辞抜きでみんなが、すごいわ、素晴らしいわPさん、と言ってその話は終わりました。

イライラモードが平常のPさんですが、この日はその後も柔らかい表情のまま、ギャーギャーと文句を言うことなく、スタッフに当たり散らすこともなく、時折微笑み、穏やかに過ごしていました。

「へぇー!」 と驚きました。

この ”人に知ってもらいたい、人にわかってもらいたいポイント” を理解してあげることは、もしかしたらすごい効果をもたらすのかもしれない! と思いました。

Oさんは軽度の認知症がある女性です。

時々、 「方角がわからへん!」 とか 「何もわからへん、怖い!」 とナースコールをする人です。

徐々にわからなくなっていくことに恐怖があるようです。

夜になると寂しくなるせいもあって、しょっちゅうスタッフを呼びます。

部屋に行って 「大丈夫ですよ」 としばらく話をすると落ち着くのですが、1人になるとまたナースコールしてきます。

ひどい時は30分おきにスタッフを呼んで、このままそばにいてほしい、と言います。

しかも夜中はほぼ寝ないで起きており、明け方になってようやく眠りにつく、というパターンです。

そんなOさんと、夜、話をしていたら、Oさんの亡くなった夫の話題になりました。

夫は付き合いも多く、外に出ることが多かった、という話の時に 「主人は私を立ててくれてなぁ、そこは感謝してるんや」 と2回、繰り返して言いました。

その瞬間、ここだ! と思いました。

立ててくれた、という部分に集中して質問をすると、全貌がわかりました。

Oさんに子供はいません。

出来なかったそうです。

夫はたくさんの浮気をした、でもOさんを気遣って決して外に子供は作らなかった、それを私はありがたいと思っている、という内容でした。

Oさんが銀行で働いていたのを夫がみそめ、取引先だった夫は猛アタックをして結婚したのだと言います。

その部分も長々と説明していました。

私は、素直な正直な感想として、当時の時代背景からいってお見合い結婚が普通なのに、そこまで愛されて結婚したのは珍しいのではないか、それだけ愛している妻だから、ただでさえ子供が出来ないというつらさを抱えているのに、外に子供を作ってさらに悲しませたくなかったのだろう、と言いました。

ボーっとした表情で語っていたOさんでしたが、その瞬間に日が射したような、輝くような笑顔になりました。

「あんた、わかってくれるか? そうなんや、主人は私を立ててくれてたんや! だから私、感謝してるんや」

言葉は立ててくれた、ですが、Oさんの ”人に知ってもらいたい、人にわかってもらいたいポイント” 略して ”わかってポイント” は、夫は浮気をしていた、だが心の中では私を愛していた、その証拠に夫は外で子供を作らなかった、私は愛されてなかったミジメな妻ではない、ということだったのです。

愛がない男だったら外に平気で子供を作るだろうから、夫はOさんを愛していたのだと思う、銀行に毎日預金しに行って、仕事をしている銀行員を誘うなんて昔はかなり勇気がいった行動なのではないか、それだけ好きだったのだろう、とOさんの ”わかってポイント” をこれ以上ないというくらい理解した話もしました。

私が部屋を去った後、30分たっても1時間たっても、Oさんからナースコールはありません。

2時間近くが経過した時に、先輩が 「何かあったんやろか?」 と怖いことを言うので見に行くと・・・Oさんは穏やかな顔でスヤスヤと眠っていました。

いつもはナースコールする機器を右手に握りしめて寝るのですが、それも枕もとに置いたままです。

”わかってポイント” をわかってもらえたー、という喜びはどうやら精神安定剤にもなるようでした。

「認知症になっても・・・」 という記事で書いたMさんにも試してみました。

Mさんは、大学時代~就職の頃の話、および、Mさんがしていた仕事の詳しい内容に関してしか、話をしないので、ここらへんにMさんの ”わかってポイント” があるのだろうと思いました。

Mさんは飛行機を作りたくて、必死で勉強をして、日本で一番の大学に入りました。

一生懸命に勉強をして、飛行機を作れる仕事に就ける将来が見えてきた時に、戦争が終わり、敗戦国となった日本は飛行機を作ってはダメ! となったそうです。

それでMさんは大学教授となり、有名大学の名誉教授になり、外国でも教鞭をとり、引退したそうです。

この話はスタッフみんな知っていて、Mさんがこれを話した後に 「Mさんって頭がいいんですねー」 とか 「立派なお仕事をされてたんですねー」 と褒めています。

ですが、どうも、 ”わかってポイント” はそこではないような気がしました。

で、先日、この話を注意深く聞いた結果、 「戦争が人生を変えた」 ということが言いたいのではないか、と思いました。

そこで 「戦争がMさんの人生を変えたんですね?」 と言うと感情がないMさんが 「そうなんです!」 と力強く言いました。

「戦争がなければ、僕は自分がやりたかった仕事をしていました。僕はね、戦争が憎いですよ。僕の人生を変えちゃったんですからね」

いつもは感情がないMさんの、ものすごい感情のほとばしりに驚きました。

その後、少しの間、戦争が憎い、許せない、と言っていました。

「わかります。私の父方の祖父は広島で被爆して、ガンになって私が生まれる前に亡くなりました、だから私も戦争が憎いです」 と言うと、Mさんは 「そうでしたか~」 と同情してくれました。

Mさんは、頭がいいことや、経歴自慢をしていたのではなかったのでした。

そんな話をしつつ、車椅子からベッドに移乗したのですが、 「ああ、痛くない。あなたが優しく (移乗) してくれたから、足が全然痛くなかった。よかったー」 とホッとした表情で言ったのです。

ええーっ! と、心底驚きました。

Mさんは感情が全然なく、今まで、そんなことはひと言も言ったことはありません。

”わかってポイント” をわかってもらえた喜びと安堵は、忘れていた感情さえも活性化させるのかもしれない、と思いました。

そして、これは認知症だけでなく、普通の人にも言えることなのかもしれません。

ここで思い出した話があります。

前職の職場には、気難しい事務員の○×さんがいました。

10年近く勤務していたので、仕事は早いし正確だし何でもこなせてバリバリです。

ですが、愛想がいいとは言えず、時々キツイことも平気で言っていました。

自分でもそういう目で見られていることを、○×さんは知っていました。

みんな○×さんを敵に回すと仕事が出来ないので、いいところを見つけては褒めていました。

仕事が出来るという褒め言葉は定番で、○×さんがいないとこの事業所は成り立たない、○×さんでもっている、とまで言ったケアマネもいます。

○×さんってすっごく若く見えるぅ~、と褒めちぎっていた人もいました。

○×さんは賢い人なので、お世辞など一発で見抜くし、仕事が出来ると言われても天狗になることなく、淡々と仕事をしていました。

そんな○×さんと2人で昼食を食べていた時です。

訪問介護で新しく入った人が、面白くもない冗談にいちいち反応して大袈裟に笑う、非常にイライラする、と○×さんが言いました。

私は何気に 「○×さんは本当に面白い時でないと笑いませんもんね」 と言うと 「え? わかる?」 と○×さんは驚いた表情になりました。

「わかりますよ。冗談を言って、○×さんが笑った時は、今のは本当に面白かったんだー、って思います」

○×さんは 「私、愛想笑いとか出来ひんねん」 と言うので 

「でしょうね~、○×さんって、人にお世辞とかも言いませんよね? ○×さんが褒めたことはお世辞が入ってないから、私、本気で嬉しいですもん」 と普通に感想を言いました。

別に褒めるつもりでも何でもなく、そういう性格と知っている、という話をしたつもりでした。

これが○×さんの ”わかってポイント” だったらしく、この日から○×さんは、私に非常によくしてくれました。

なんで識子さんだけ? と周りが嫉妬するくらい仕事も手伝ってもらいましたし、事務的な失敗をしても 「識子さん、あれ、間違ってたで~」 「すみません」 「もう直しといたから~」 と訂正をしてくれたりもしてました。

主任や、所長にでさえ、 「ここ、間違ってますよ!」 と書類を突き返す人だったのです。

人を褒めることは大事です。

ですが、大人になった他人は、褒めてさえいればいいというものではないような気がします。

ヘタするとお世辞と取られる場合もあると思います。

1人1人に個別の ”わかってポイント” というものがあって、そこを理解してあげることが大切なのではないか・・・と私は考えています。




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