認知症で、乙女だった頃の年齢に戻ったり、バリバリの関西のおばちゃんに変身したりするIさんという女性がいます。

先日、Iさんは風邪をひいて微熱があったため、食事は部屋でとっていました。

入居者さんが部屋で食事をする場合、何かあっては大変なので、見守りが1人つきます。

Iさんのその日の見守りは私でした。

非常に忙しい1日だったので、私は見守りをしながら記録もしていました。

記録は個人別のものと、全員分が一覧になっているものとがありますが、どちらも超細かい字で記入するようになっています。

Iさんのそばで会話をしつつ、見守りをしながら、記入をしていると、ドアがノックもされずにガラッと開きました。

見ると、先輩が立っています。

先輩は、イライラと慌ただしく業務連絡を私に言いました。 (本当に忙しかったのでかなりイラついていたみたいです)

そこで、一瞬の間があって、私に 「記録するのはええけど、近づきすぎやで!」 と怒鳴りました。

「それ、個人情報やからな! 見られたらアカンやろ! 記録したいんならもっと離れてからにしぃ!」 

一応、すみません、と謝ると、勢いよくドアを閉めていきました。

Iさんに見えるわけないのになー、と思いました。

記録は超細かい字で記入するものなので、記入する本人以外の距離では読めません。

仮に私がIさんの場所にいて、読めと言われても、絶対に読めません。

しかも、私はIさんと向かい合っているので、ファイルは逆向きなのです。

大体Iさんがそんなものを読もうとするはずがなく、主任や他の先輩も誰かの見守りの時は、この距離で普通に記録しているのです。

目が回るほど忙しい日でしたから、見守りでのんびり座っていて、さらに記録まで済ませているのが (終業時にサッと帰れます) 役得とはいえ、ムカついたのかもしれません。

すると、Iさんが 「なんや、あれ!」 と言いました。

それまでは乙女で、 「ごちそうやなー」 とか言いつつおとなしく食事をしていたのですが、いきなり関西のおばちゃん全開です。

「なんや、あの言い方!」 と言うと、私に向かって、あいつ嫌な奴やな、という顔をしてみせました。

そして 「ホンマうるさいな! なぁー!」 と言いました。 (この ”なぁー” は、でしょ? みたいな同意を求める言葉です)

私を可哀想に思ってくれたのだな、とその思いやりに感激したのですが、 「ん?」 と思いました。

Iさんは耳が遠いのです。

普通の音量でしゃべっても聞こえません。

なので、スタッフはかなりの大声で、それも耳のすぐそばで、手を添えて聞こえやすくして話しかけています。

そうしないと聞こえないのです。

ですので、さっきの先輩の言葉がIさんに聞こえているはずがありません。

「いやいや。Iさん・・・。さっきの、聞こえてないでしょ」 と言うと、思わず笑いが出ました。

聞こえていないのに、私以上のその反応・・・と思うとおかしかったのです。

「絶対に聞こえてませんよね?」

私が大爆笑する顔を見て、Iさんも照れたようにゲラゲラ笑っています。

Iさんには、聞こえていないのに、先輩が何か嫌なことを言ったのだ、とわかっていました。

それは先輩の表情で判断したのだと思います。

私は連絡事項を聞く方に必死でしたから、表情まで見ていませんでしたが、聞こえないIさんはしっかり顔を見ていたのですね。

人間、嫌なことを言う時は、やっぱり嫌な顔になるんだなぁ、とこの時に確信しました。

聞こえていないのに、 「なんや、あの言い方!」 とまで言っていたのです。

顔っていうのは、いろんなことを伝えるものだ、と思いました。

これは、以前に働いていた会社での出来事です。

朝イチで先輩に 「識子さん」 と呼びとめられました。

すがすがしく気持ちのいい朝なのに、 「ハイ」 と見ると、先輩が微妙に嫌な顔になっています。

本人が自分では気づかないであろうくらい、ほんのわずかに顔が歪んでおり、それだけで何ともいえない嫌な印象を出していたのです。

”ああ、この人は今から嫌なことを口にするのだな” と思っていたら、案の定、大変意地悪なことを言われました。

多分、先輩の気持ちの中では、これを言うことは悪くない、と正当化していたのだと思います。

そういう口ぶりだったからです。

でも人間は、というか・・・魂は ”よくないことを言う” とわかっているのですね。

だから、口にする時に ”自分はこれから嫌なことを言うのだ” と、無意識に自覚して、顔が微妙に歪んでいたのだと思います。

人間の顔って正直だなぁ、と思いました。

顔は不思議です。

意図して変えなくても、嬉しい時は輝くようなキラキラした表情になるし、怒った時は重たく暗い怒り顔になっています。

嫌なことを言う時は嫌な顔になるし、人を馬鹿にしている時はちゃんと ”あなたを見下しています” という表情になっています。

あちらの世界では (成仏した後の世界と、それより上の階級です) 心の中が丸見えで、嘘をついたり誤魔化すことが出来ません。

なのに、この人間界では心は見えないようになっています。

ですから、わずかでもわかるように、顔が心を映し出す役割をしているのではないかと思います。

嫌な顔にならないように嫌なことは口にするまい、と思うし、良くない表情にならないように、心を美しく、正しく持っていたい、と考えていますが・・・なかなか難しいです。




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