トイレ介助が必要なHさんは女性で、90近い方です。

排泄が済んで、リハパンやパッチ、ズボンを上げるお手伝いをしていた時のことです。

排泄が終わったHさんは便座から立って、転倒しないように、左右の介助バー (手すり) を両手で握っていました。

仁王立ち状態です。

私が斜め後方から、リハパンをはじめ、すべてをはかせます。

まず、上に着ているものは背中の上の方にまくりあげておいて、 (背中が丸くなっている方なので乗せやすいです) リハパンをはかせ、その上にパッチをはかせます。

ここでズボンの中に入れる肌着のみを背中の上方から下ろし、 (ブラウスやTシャツなどは背中の上の方にまくりあげたままにしておきます) ズボンを上げます。

最後にブラウスやTシャツなどの上衣を下ろして、完成です。

上衣がTシャツなど綿素材であれば、まくりあげるとそこにピタッと止まっているので、やりやすいのですが、この日、Hさんが着ていたのは、ブラウスでした。

少し寒くなってきたので、長袖のブラウスを着ていたのですが、それがツルンツルンのスカーフのような生地なのです。

加えて、Hさんは背が低いので、ブラウスは ”ワンピース?” というくらいの丈になっています。

リハパンをはかせようと、邪魔な肌着・ブラウスをまくりあげるのですが、ツルンツルンですから、1秒も持ちません。

すぐにペロンと落ちてきます。

とりあえず、それでもリハパンとパッチははかせることが出来ましたが、うまく肌着だけをズボンの中に入れることが出来ません。

ワンピース丈のブラウスが、上げても上げても、ペロンペロン落ちてきて邪魔をするのです。

なんとかしてブラウスだけを落ちないように押さえておきたいところです。

でも、片手でブラウスを押さえておくことは不可能です。

ズボンを上げるのは両手を使わなければ出来ないからです。

Hさんは介助バーをしっかり持たなくてはなりません。

どこにも余った手がないのです。

・・・・。 ( ̄ー ̄;

仕方ないので、私はHさんに抱きつき、自分の頭で・・・ブラウスをガシッと押さえ、肌着だけを下ろしてズボンを上げました。

その変てこりんな姿勢でいると、 「アンタ、頭でシャツを止めてんの~?」 とHさんが聞いてきました。

「はいー。わかりますぅ?」

「わかるわよー」 とHさんは、愉快そうにアハハハと笑い、 「ありがとね」 と言いました。

後から他のスタッフに聞くと、 「ブラウスも一緒にババッとズボンに入れちゃって、最後にブラウスだけ引っ張り出してるよ」 とのことでした。

ああ、そっか、そういう手もあるな~、と応用がきかない自分に苦笑しましたが、滑稽な姿勢でHさんと一緒に、アハハハと笑ったのは楽しかったです。

Iさんは、最近、一人で寝るのが怖い、と言いだすようになった90近い女性です。

夕食後あたりから、 「一人で寝るのが怖いよー」 と言うのです。

同時に、 ”今日、私、ここにお泊まりするの? だったらお父さんに連絡しないと心配するから、電話してー” と言うので、どうやら本人は、乙女だった時の年齢に戻っているようです。

寝る前に、パジャマに着替えるのを手伝い、ハミガキ、トイレも済ませると、ますます不安になるようで 「一人で寝るのが怖いよー」 「怖いよー」 と大きな声で訴えます。

「お姉さん、 (私のことです) 今日、私の部屋に泊まってくれる?」 と聞くので 「私は今日は夜勤で、ここにお泊りなんですよ~、Iさんが心配だから時々見に来ますね、だから怖がることはないですよ、大丈夫ですからね」 と言うとうなずきます。

「ホンマに来てくれる?」

「はい。何回も来るから大丈夫です。もう来んでええわー、っていうくらい来ますからね」

それを聞くと、Iさんはウププと笑い、やっと安心したようで、布団に入りました。

「Iさん、怖いんだったら、電気は点けたままにしときましょうか?」 と聞いてみました。

他にも、暗いのが怖いから、と言って電気を点けたままで寝る方がいるからです。

すると、 「怖いよー」 と言っていた気弱な乙女の可愛いIさんは一瞬にして消え、急にどっしりとした関西のおばちゃんになりました。

「はぁぁ? 電気点けたままやったら、アンタ、明るうて寝られへんやないの! 消しといて」 と言うのです。

え? (  ゚ ▽ ゚ ;) 

怖かったんじゃ・・・ないの???

消灯すると、また 「怖いよー」 と言いだすのでは・・・と思いつつ、電気を消しました。

すると、Iさんは私に ”御苦労っ!” と言わんばかりに、布団の中からカッコよく、スチャッと片手を挙げて目で合図をし、そのまま寝ました。

・・・・。 ( ̄ー ̄;

一体、何が怖かったのか・・・。

それと、いつでも自由自在に関西のおばちゃんに戻れるのはすごい、と思いました。

このように介護の仕事には、日々、フフフと笑ってしまう小さな楽しさがたくさんあり、認知症の方々に癒してもらっている私です。




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