※ 昨日の記事の続きです。
夜勤の時でした。
深夜に見回りをしていると、最近、急速に認知症が進み、体の機能も低下してきた女性、Gさんが起きていました。
Gさんは80代で、私が入社した時はベッドからトイレまでの距離なら歩いていましたが、今は立つことは出来ても、歩くことは出来ません。
聞けば、入居してから認知症も身体機能も坂道を転がるように、どんどん低下しているそうです。
Gさんが夜中に起きていて、何が危険かというと、自分でベッドを降りようとするのです。
一番低床にしているとはいえ、体の自由がききませんから、転倒につながります。
足元にセンサーマットを置いていて、センサーが鳴ってスタッフが駆けつけた時は、すでにベッドから滑り落ちていた、ということが何回もあったのです。
へたをして頭から落ちると命に関わるので、注意が必要です。
その日、見回りで部屋に入ると、Gさんはベッド上に座っていました。
そばに行って、 「どうされました?」 と聞くと、私の顔を穴があくほど見つめます。
その目が人間の目ではありません。
この方は、深夜に時々、この状態になります。
最初にこの目を見た時は、背筋がゾーッとして、実際に背中が氷のように冷たくなりました。
明らかに何かが乗り移っている目なのです。
視線をそらすわけにもいかず、目を見ながら 「目が覚めたんですね~、おトイレに行きますか?」 と聞いても、理解が出来ないようで、私を見つめたままです。
無機質で不気味な、血が通っていない目になっています。
その目の奥がだんだんと ”恐怖” の色を帯びていきます。
あれ? と思いつつ観察していると、恐怖でいっぱいの目になり、目の奥は怯えている感じになるのです。 (文章で表現するのが難しいです)
何かがGさんに憑いていて、それを本人がとても怖がっており、目の奥からそれを必死で私に訴えています。
Gさんの部屋は、強烈な悪霊集団のブラックホールがあるDさんの部屋と、悪霊の道がつながっています。
Gさんの部屋には本人の宗教の祭壇が作られていて、キリスト像やマリア像と一緒に、見たことがないヘンテコな宗教人形、神仏関係のものが飾ってあります。
どうやらそこがつながるポイントになっているようですが、私には詳しいことはわかりません。
ただ、Dさんの部屋の親分ではなく、子分がこちらに出張し、悪影響を及ぼしていることはわかります。
それでこの方は入居直後から、坂道を転がるようにすべてが悪化しているのです。
その夜も、何とか横になってもらいましたが、また起き上がろうとします。
危険で放っておけません。
まだ他に巡回をしなければいけない人がたくさん残っているし、オムツを交換しなければいけない人も何人もいます。
私がしなければいけないことは山積みです。
自分でベッドから滑り降りているだけだから、そこまで気にしなくていいよ、と言う先輩もいますが、そのままにも出来ないので、横になったGさんの肩から腕にかけて、ゆっくりさすりながら 「大丈夫ですよ~」 と声をかけました。
Gさんは眉間にシワを寄せて、非常に厳しい顔をしていましたが、さすって声をかけているとだんだんほぐれていきます。
本人が安堵して良い波動を出し、肉体が本人に戻っていく感じです。
子供を寝かしつけるようにトントンする動作に変えると、ますます顔が穏やかになり、目をつぶりました。
”お願い、このまま寝てー” と思いましたが、トントンをやめると、途端にパッチリと目を開き、眉間に深いシワを寄せ、不機嫌で険しい顔つきになって起き上がろうとします。
しばらくはトントンしていましたが、他の見回りもありますし、オムツ交換を待っている人もいるので、Gさんの部屋に30分も40分もいるわけにはいきません。
けれど、私が部屋を離れると、Gさんは確実に起き上がるでしょうし、ベッドから転落する可能性もあります。
”どうしよう・・・” と行き詰まった時に、お不動さんの火の玉を借りられることを思い出しました。
Gさんに憑いているものはDさんの部屋から出張している子分で、悪霊集団の巣のブラックホールや親分ほど強くはないだろうから、お不動さんの火の玉でやっつけることが出来るかもしれない、と思いました。
私には憑いているものは見えませんが、お不動さんに習った通りにして、Gさんの背後にいるであろうそいつに向かって、火の玉を投げてみました。
正直に告白しますが、私は半信半疑でした。
・・・というか、本当に効果あるのか? くらいの疑い度でした。
えいっ! と投げたら、一瞬でGさんの顔が元の優しいGさんの顔に戻り、次の瞬間、Gさんは静かに目をつぶりました。
もしかして効果あった? 憑いていた奴、離れた !? と思う間もなく、Gさんはすやすやと寝息をたて始めました。
この間、わずか2~3分です。
うわーっ! お不動さん、すごいー! と驚き、感動しました。
離れた奴がまだそばにいて様子をうかがっているかもしれないので、もう一発投げておきました。
すやすやと平和な寝息をたて、穏やかな表情で寝ているGさんを見て、安心して次のお部屋に見回りに行くことが出来ました。
たとえ小さな火の玉でも、すごい威力です。
私に焼く能力はない、と言われたので、退治したわけではなく、単に憑いていたものを離れさせただけだと思います。
きっとまた、奴は、もしくは奴らは、様子をうかがって憑くとは思いますが、とりあえず離れさせることが出来たのはありがたいと思いました。
スピリチュアルしていると宣言していながら、まだまだ信心が足りない自分を・・・今回も猛反省しました。 (TωT)