私が担当している利用者さん宅にいるペットのお話です。
人なつっこさナンバー１のペットがいるお宅は、犬が３匹います。
マルチーズと中型犬と大型犬で、みんな室内で飼われています。
私が玄関を開ける前から３匹は待っていて、ドアを開けると同時に、 「おばちゃーん！ こんにちはー！」 と３匹がうわーっと寄ってきます。
寄ってきて、 「元気だったぁ？」 とばかりに、立ち上がって前足を私に掛けてきます。
よしよし、と３匹を撫でてから、利用者さんの居室に行くのですが、３匹が 「おばちゃん、もっと撫でてー」 「私も私もー」 「俺もー」 とくっついて来ます。
お部屋に入って、ベッドの点検を始めると、 「お仕事なのね・・・」 と３匹とも別の部屋に行きます。
以前、点検をしている時にマルチーズが 「おばちゃん、あのね、あのね」 とまとわりついてきていたのですが、利用者さんの娘さんにしこたま叱られてからは、仕事中は邪魔をしなくなりました。
靴の選定などで試し履きをしてもらっている時なども、すーっとどこかへ行きます。
作業が終わって、娘さんと会話を始めると、３匹がダダダーっとやってきて、 「仕事終わった？ 終わった？」 「撫でてくれる？」 「俺、でかいから最後やろ、じゃあ頭だけでも先に撫でてー」 と顔や体を寄せてきます。
座って会話をしている時なんか、３匹にもみくちゃにされます。
楽しいです。
ここのお宅にはカナリアもいて、たまに籠から出されています。
このカナリアがまた人なつっこくて、 「おばちゃん、やっほー！」 と、ぴゅーっと飛んで来て、私の頭のてっぺんにとまります。
娘さんが、 「ピーちゃん、識子さんが困ってるやろ、ダメよ！」 と怒りますが聞く耳持たずで、 「ワシ、ここがええねん」 としっかりとまって離れません。
”慣れてくれるのは嬉しいんだけど～、ピーちゃん、とまるの肩にしてくれないかなー” とさりげなく手を出して、手に乗らせて、肩に持ってこようとしますが、パタパタっと飛んで、頭のてっぺんに行きます。
”ピーちゃ～ん、お願いだからそこでウンチしないでね” といつも思います。
私が動くと、バランスを取るために頭上で、 「おっとっとー」 と足を踏み踏みしているのが、可愛いです。
別の利用者さんですが、初めて行く時にケアマネに、 「大型犬が庭で放し飼いにされてるから、門扉は開けないで。家の人が出て来るまで待っててね」 と言われました。
行ってみると、とても大きなシベリアンハスキーがいました。
目が合うと、じーっとこっちを見ていたので、 「こんにちは～」 と言ってみました。
すると、スタスタとこちらに向かって歩いてきます。
門扉越しに私を見て、体を横向きにして、門扉にぎゅーっと押し付けています。
？？？ と思っていたら、チラッと私を見ます。
「ちょっと撫でてくれへんかなぁ」 と言っているようだったので、撫でてあげると、ますます体をくっつけます。
鉄の柵の間から、体がボンレスハムみたいにぽよんぽよんと出ています。
「もっと、こう、手ぇ全体で撫でてくれへん？ 指先だけで撫でられてもイマイチやがな」 と言われてるようで、柵の間に手を突っ込んで、中腰になって撫で撫でしてあげました。
家から出てきた奥さんが、 「あら！」 と言ってクスクス笑っていましたが、なかなか人を使うのが上手な犬です。
猫も可愛いです。
真っ黒い大きな猫がいるお宅があるのですが、座って話をしていると体をスリスリしてきます。
そして、にゃーん、と何か訴えかけてきます。
「アンタさぁ、今、しゃべってるだけだから手は空いてるよね？ 撫でてくれない？」 と言ってるようです。
撫でてあげてると、しばらくしてまた、にゃーん、と言います。
「しゃべるのに夢中になってるからズレちゃったわよ～、そこじゃないのよ、もうちょっと右よ～」 と文句を言われてる気がしたので、撫でる場所を変えると気持ち良さそうに目をつぶっていました。
この猫は満足して去る時も、にゃーん、とちゃんとお礼を言ってくれます。
最後は上司と引き継ぎに行ったお宅の話です。
そこのおうちにはマルチーズがいました。
上司とケアマネは先に家に上がりましたが、私は玄関で車椅子を袋から出していました。
すると犬がやってきて、ワンワン、と吠えました。
奥から 「ダメよ～、ユキちゃん」 と聞こえたので、 「ユキちゃんっていうの？ ハイジの山羊と同じ名前やね～、可愛い名前で良かったねぇ～」 と話しかけると吠えるのをやめ、黙って見ています。
「ちょっとユキちゃん、そこどいてねー、車椅子をそこに置くからね」 と言うとぴょんっと後ろに下がりました。
それからは全然吠えません。
それどころか、私が上ると 「アンタ、合格にしたるわ。撫でてええで」 とまとわりついてきます。
人なつっこい犬なんだな、と思っていたら・・・上司がしゃべるとワンワンと吠えます。
しゃべっている間じゅう、途切れることなくワンワン言っています。
上司が黙ると、 「ふう、やっと黙りよったわ、こいつ」 と犬も黙ります。
そして私の足元に来て、 「私の仕事、とりあえず終わったから、撫でてええよ」 とくっついてきます。
よしよし、と撫でていても、上司がまた何か言うと、ワンワンワンと大騒ぎです。
「コラー！ しゃべるな、って言うてるやんっ！ 何回言えばわかるねん！ 私を甘く見てたらガブッていくで！」 ってとこでしょうか。
上司が、 「俺、もう３年以上ここに通ってるや～ん、そろそろ慣れてくれよ～」 と言うと、また一層大きくバウバウバウ！ と吠えていました。
笑わせてくれます。
動物たちは面白くて、可愛くて、本当に楽しいです。
飼い主だけでなく、こうした私たち訪れる人にまで、癒しを与えてくれます。
動物って人間にとって貴重な存在だなー、といろんなお宅のペットを見てそう思います。
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